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単称主義的因果理論はどのように定義されるか

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Academic year: 2021

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単称主義的因果理論はどのように定義されるか

神原 直樹 北海道大学文学研究科

本発表の目的は、因果性の哲学における理論のカテゴリーの一つである「単称主義 的理論」ならびに多元主義的な視点の下で単称主義的理論が扱うとされる「産出的因 果」の概念を定義することである。単称主義的な因果理論は、単称因果が全称因果よ りも重要な存在であると考える。あいまいで情報量に欠けるこのスローガンは三つの 仕方で精緻化され得る。宇宙全体の規則性としての法則に対置される場合には「因果 的プロセスの内在性の保証」(Armstrong [2001] 2004)という形の、より形而上学的 にリッチな普遍者間の二階の関係としての法則性に対置されれば「法則なし因果の許 容」(Tooley 2009)としての、単称因果と全称因果の間の基礎づけ関係に着目すれば

「全称因果は単称因果を基礎付けない」(Moore 2009)という定義がそれぞれ得られ る。

当発表では、

Ehring (1997)

Armstrong ([2001] 2004)

に倣い、単称主義が論じら れるモチベーションは多重決定、先回り、打ち負かしなどの(多くの場合反事実条件 文分析に対する)反例の直截的な解決を可能にすることにあるとする。ここで、ある 種の多元主主義によれば、この種の反例に困らされる反事実条件文分析が扱う反事実 依存関係としての因果と、この種の状況が問題にならない単称主義的理論が扱う因果 概念は別個の、それぞれ真正な因果概念であり、後者の因果概念は「産出的因果」

(Hall

2004)もしくは「物理的因果」 (Ney 2009)と呼ばれる。したがって、単称主義的理論の

定義が定まれば多元主義の下での産出的因果の概念も自然と定まることになる。上の 動機を考慮すると、カテゴリーとしての単称主義的理論は少なくとも原初主義、ある タイプの伝達主義、あるタイプの傾向性主義を含まなければならず、また、少なくと も規則性分析と反事実条件文分析を含んではならないと考えられる。当発表では既存 の定義三種を検討し、その条件を満たすことができないと論じる。

より適切な定義として、「時空間上の点をその内在的性質に還元できないような方法 で結び付けることによって、原因と結果が部分として含まれるような単独の四次元的 対象としての因果的プロセスを形成する」という戦略が単称主義的理論が共有するも のであると提案する。具体的には、原初主義は別個の関係項間の因果関係を、伝達主 義は原因と結果に共有される存在の持続を、傾向性主義は傾向性の同一性条件に応じ て、傾向性の保持者トークンの持続もしくは傾向性トークンと「その」顕在化トーク ンの紐つけを還元不可能なものとして設定することによって先取りなどの状況を無害 化していると論じる。

(2)

Armstrong, D. M. ([2001] 2004). Going through the open door again. In G. Preyer and F.

Siebelt (eds.), Reality and Humean Supervenience.; repr. in J. Collins, N. Hall, and L. A.

Paul (eds.), Causation and Counterfactuals.

MIT Press. pp. 445-457.

Ehring, Douglas (1997). Causation and Persistence: A Theory of Causation. OUP.

Hall, Ned (2004). Two concepts of causation. In J. Collins, N. Hall & L. A. Paul (eds.), ibid. pp. 225-276.

Moore, Michael (2009). Introduction: The Nature of Singularist Theories of Causation. The Monist 92 (1):3-22.

Ney, Alyssa (2009). Physical causation and difference-making. British Journal for the Philosophy of Science 60 (4):737-764.

Tooley, Michael (2009). Causes, Laws, and Ontology. In H. Beebee, P. Menzies & C.

Hitchcock (eds.), The Oxford Handbook of Causation. OUP. pp. 368-386.

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