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100 年以上の歴史があります 企業理念は 革新的医薬品を継続的に創出し 多様な 医療ニーズに応える医薬品を提供することで 世界中の人々の健康で豊かな生活に貢 献する です 従業員数は全世界で 1 万 4 千人以上 共通の企業理念のもとに働いており 日本の従 業員が約 6 割です 第一三共の強みは

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個人投資家向け会社説明会 ミーティングメモ

第一三共株式会社(4568)

開催日:2018 年 12 月 1 日(土) 場 所:大和コンファレンスホール (東京都千代田区) 説明者:代表取締役社長 眞鍋 淳 氏

1.医薬品市場について

・ 世界全体の医薬品市場は 1 兆 1,351 億ドル、日本円にすると約 125 兆円です。一番大き いのがアメリカで世界の約 40%を占めています。次に欧州主要 5 カ国の合計、中国と 続き、日本は第 4 位、市場規模は、約 9.3 兆円です。 ・ 日本の医薬品市場のうち、約 90%が医療用医薬品、約 10%が OTC 医薬品です。 医療用医薬品は、医師が処方する医薬品で、その価格は日本では、薬価として国が制 定。国民皆保険制度のもと、患者さんの自己負担は一部で、大部分は国が負担してい ます。OTC 医薬品は、ドラッグストアなどで選んで購入できる医薬品です。テレビな どで宣伝ができるため、認知度はこちらの方が高いと思いますが、売上金額では、医 療用医薬品の方がかなり大きくなっています。 医療用医薬品には、新薬とジェネリック医薬品があります。ジェネリック医薬品は後 発医薬品とも呼ばれ、新薬の独占販売期間が過ぎた後に発売される医薬品で、新薬と 同じ有効成分を持ちます。新薬に比べ 4 割から 5 割の価格なので、医療費抑制の観点 から、その使用が促進されています。売上ベースでのシェアを比較すると、単価が安 いことや、特許の切れていない新薬もまだ多くあることから、ジェネリック医薬品は 約 10%で、新薬が約 90%を占めています。 ・ 新薬の発売には、9 年から 16 年にもおよぶ研究開発期間と、数百億円から場合によっ ては 1,000 億円を越える費用が必要であり、およそ 3 万個の化合物から 1 つの新薬が生 まれるというほど、大変ハードルが高いものです。 一方、このような過程を経て承認された新薬は、特許期間や再審査期間の間は、独占 販売が認められます。新薬は発売後、独占販売期間中は売上が拡大するものの、独占 販売期間が終了すると、ジェネリック医薬品が登場し、その売上が急激に落ち込みま す。その様子はグラフの形から、製薬業界では「パテントクリフ(=特許の崖)」と呼 ばれています。我々、新薬メーカーがパテントクリフを克服し、持続的に成長してい くためには、研究開発を通じ、絶え間なく新薬を開発、発売していく必要があります。

2.第一三共の現況

・ 当社は、東証一部上場、証券コードは 4568 です。 「三共」と「第一製薬」が合併して、2005 年に発足しましたが、前身の会社からは、

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100 年以上の歴史があります。企業理念は、「革新的医薬品を継続的に創出し、多様な 医療ニーズに応える医薬品を提供することで、世界中の人々の健康で豊かな生活に貢 献する」です。 ・ 従業員数は全世界で 1 万 4 千人以上。共通の企業理念のもとに働いており、日本の従 業員が約 6 割です。 ・ 第一三共の強みは、まず新薬メーカーとしての「サイエンス・テクノロジー」です。 長年引き継がれてきた強力な研究開発の DNA、先進的医薬品を創出する高い創薬技術、 また、先進的なアカデミアとの強力な関係を強みとしています。 それから、「グローバル組織・人材」です。世界の英知を結集したグローバル経営体制 のもと豊富なグローバルタレントが一丸となって目標に取り組んでいます。 三つ目は、「日本でのプレゼンス」です。日本国内医療用医薬品の売上収益では、2016 年度、2017 年度と 2 年連続第 1 位を達成し、医療関係者から営業担当者(MR)への評価 では、6 年連続で No.1 をいただいています。 また、多様な医療ニーズに応えるべく、新薬だけでなく、OTC、ワクチン、ジェネリ ックと 4 つの事業を展開していることも第一三共の特徴であり、強みです。 ・ サイエンス・テクノロジーの強みのひとつである「創薬型企業として長年引き継がれ てきた強力な研究開発の DNA」について、第一三共の起源である三共と第一製薬はと もに創業以来、創薬型企業として、高コレステロール血症治療剤・メバロチン、高血 圧症治療剤・オルメテック、合成抗菌剤・クラビットなど画期的な製品を生み出して きました。統合後も、抗血小板剤・エフィエントや、抗凝固剤・リクシアナを世界の 患者さんに届けています。こうした長い歴史の中で、引き継がれ、蓄積されてきた強 みを活かし、全社一丸となって、日々、革新的新薬の創出に向け研究開発を進めてい ます。 ・ グループ全体の連結業績では、2017 年度の実績は、売上収益が 9,602 億円です。地域 別では、日本が 60%強、米国 20%弱、欧州 10%弱、他が 10%弱です。売上原価は約 36%と他の製造業に比べると低い水準ですが、研究開発費には、将来の成長のために 年間売上の約 4 分の 1 にあたる 2,360 億円を投じています。研究開発費の比率が高いの は、新薬メーカーの特徴です。営業利益は 763 億円、当期利益は 603 億円。また、純 資産は約 1 兆 1 千億円、自己資本比率は 59.7%と財務的にも安定しています。一方、 ROE は 5.2%でした。 ・ 売上の約 6 割を占めるホームグラウンドの日本では、新薬事業に加え、OTC 医薬品事 業、ワクチン事業、ジェネリック事業の 4 事業を通じ、さまざまな医療ニーズに応え る事業を展開しています。当社の日本事業の中心は、医療用医薬品の中でも、特に新 薬事業であり、日本の売上の 4 分の 3 を占めています。また、日本以外の地域でも新 薬事業が中心で、新薬事業が当社の根幹となっています。 ・ 日本の新薬事業の主力品は、前述のオルメテック、リクシアナ、エフィエントに加え、

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胸焼けなどの胃酸分泌をコントロールする抗潰瘍剤・ネキシウム、アルツハイマー型 認知症治療剤・メマリー、2 型糖尿病治療剤・テネリアなど、豊富な製品を揃えていま す。 ・ OTC 医薬品は第一三共ヘルスケアが販売しています。風邪薬のルルや第一三共胃腸薬 は、知名度が高く、長く使われている薬です。痛み止めのロキソニン S は、元々医療 用医薬品ですが、ドラッグストアなどでもお求めいただけるようになったスイッチ OTC です。医薬品ではありませんが、スキンケア製品のミノンもご好評をいただいて います。デンタルケアでは、口臭に対する悩みや不満にお応えするため、今年 8 月に ブレスラボを発売しました。 ・ 最近の当社の株価は 4,000 円前後です。1 株あたり 70 円の年間配当に対する利回りは、 ここに示した 11 月 16 日の終値で計算すると、約 1.7%です。株価収益率が、45 倍と高 い水準にあるのは、がん領域の将来の売上貢献を市場が評価していると捉えています。 3.第一三共の成長戦略 ・ 当社は 2016 年 3 月に、「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」となることを 「2025 年ビジョン」として掲げ、さまざまな取り組みを続けています。 ・ 「第 4 期中期経営計画」は、2025 年ビジョン達成に向けた経営方針の転換を図る上で 非常に重要な計画と位置づけています。第一三共はこれまで、循環器領域や感染症領 域で、世界中で使われる薬を生み出してきましたが、2025 年ビジョン「がんに強みを 持つ先進的グローバル創薬企業」の実現に向け、転換を進めています。 ・ 当社は先般、第 4 期中期経営計画の修正計数目標を発表しました。 がん事業への投資を優先させることで、2020 年度の目標を売上収益 9,600 億円、営業 利益 800 億円としましたが、がん事業を早期に立ち上げ、2022 年度には売上収益 1 兆 1,000 億円、営業利益 1,650 億円を目指します。加えて、2022 年度の時点で後期開発段 階にある開発品について、ピーク時の期待売上収益の合計が 5,000 億円以上となるよう、 開発品の価値向上を図るとともに、ROE も 8%以上を目指していきます。 ・ 第 4 期中期経営計画においては、持続的成長基盤の確立に向けて 6 つの戦略目標を掲 げています。その中から、「エドキサバンの成長」、「日本 No.1 カンパニーとして成長」、 「米国事業の拡大」、「がん事業の立上げ・確立」について、以下で紹介します。 ・ 「エドキサバンの成長」:がん事業が順調に立ち上がり、収益の柱となるまでの間を支 える施策の 1 つとして、グローバルでのエドキサバンの成長は非常に重要です。エド キサバンは、静脈や血流の滞った心臓内で血液が固まることを抑える薬で、日本やア ジア・欧州で「リクシアナ」の製品名で販売しています。心房細動による脳梗塞(の うこうそく)の予防や、肺塞栓(はいそくせん)やエコノミークラス症候群の治療と 予防に使われる薬剤です。リクシアナは、1 日 1 回の服用ですむ利便性と、臨床試験で 示された高い安全性の両立を特徴としています。

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・ 日本におけるリクシアナの四半期ベースでの売上シェアの推移を見ると、競合品もあ る中で、リクシアナは発売後、着実にシェアを伸ばしています。第 2 四半期時点で売 上シェア 30.7%となり、第 1 位に肉薄してきています。 ・ 数量ベースの国別・地域別シェアの推移を見ると、アジアでは、韓国、台湾が好調で す。欧州では、ベルギー、ドイツ、イタリア、スペインで順調に成長し、英国でもよ うやくシェアが上向いてきました。また、ブラジルでは、本年 8 月に上市、中国では、 承認申請中です。 ・ 世界中でエドキサバンは、順調に売上を伸ばしており、今期の売上は、1,110 億円に伸 びると見込んでいます。引き続き、エドキサバンを主力品として、当初の 2020 年度目 標(売上 1,200 億円)を超えて成長させていきます。 ・ 「日本 No.1 カンパニーとして成長」:現在、売上の約 6 割が日本事業からであり、当面 の第一三共の収益を支える上で、日本での成長を維持することは、大変重要です。 当社の日本事業の持続的成長サイクルとして、自社開発品の継続的上市・売上拡大を 図り、事業を成長させ、外部からも高い評価を得ている営業力を活かし、良質な導入 品を獲得し、売上を拡大することで、持続的成長を実現していきます。 日本の主力製品であるリクシアナ、エフィエントは、成長中の自社開発品です。承認 申請中の品目には、ミロガバリン、エサキセレノン、キザルチニブがあります。ネキ シウム、メマリーなどの導入品も、日本の主力製品として、収益に貢献しています。 営業を担当する MR の評価は、「医師からの評価 No.1」を 6 年連続でいただいています。 ・ 成長サイクルの好循環を続け、“国内医療用医薬品の売上” 2 年連続 No.1 を達成しま した。これからも、No.1 の継続を目指していきます。 ・ 「米国事業の拡大」:米国の子会社ルイトポルド社は、米国の鉄注射剤市場で主要事業 を展開しています。鉄注射剤は、血液中の鉄成分の不足が原因となる貧血、鉄欠乏性 貧血の治療に用いられる薬剤です。従来型の口から飲む鉄製剤に対し、注射で投与す ることで、短い期間で治療が完結することから、市場が拡大しています。 ルイトポルドは、インジェクタファーとヴェノファーという 2 つの鉄注射剤製品を持 ち、両製品を合わせると、75%以上のシェアを確保し、鉄注射剤市場におけるリーデ ィングカンパニーとしての地位を確立しています。中でもインジェクタファーは、幅 広い適応を有しており、着実にシェアを伸ばしています。 ・ 米国ルイトポルド社は、インジェクタファーを主力とする鉄注射剤と、もう一つの主 要事業であるジェネリック注射剤で、2020 年度売上収益 1,500 億円を中計目標として います。売上げは順調に拡大しており、本年度は 1,130 億円を見込んでいます。2019 年 1 月からは、社名を米国市場で製品ブランド名として広く普及している「アメリカ ン・リージェント」に変更し、さらに発展を目指していきます。 ・ 「がん事業の立上げ・確立」:2025 年ビジョン「がんに強みを持つ先進的グローバル創 薬企業」を目指す当社にとって、最も重要な戦略目標です。

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現在、抗体薬物複合体・ADC フランチャイズ、急性骨髄性白血病・AML フランチャイ ズ、ブレークスルーサイエンスという 3 つの柱を設定し、2025 年までに 7 つの新規化 合物の承認申請を目指しています。 AML フランチャイズでは、キザルチニブを日本、欧州、米国で承認申請中です。ブレ ークスルーサイエンスからは、ペキシダルチニブの米国で承認申請を本年度下期に予 定しており、がん事業の立ち上げに向け力強く前進しています。 ・ 投資家や医療関係者から特に注目を集めているのが、抗体薬物複合体・ADC フランチ ャイズです。抗体ががん表面の抗原と呼ばれる部分に結合すると、抗体と薬物が一緒 にがん細胞内に取り込まれ、薬物が、がん細胞を死滅させる仕組みです。 当社の ADC 技術の特徴として、抗体と薬物をつなぐリンカー部分が血中では安定して 薬物を保持する一方、がん細胞では速やかに薬物を放出するという優れた性質があり ます。また、薬物については、作用が強力という特徴があります。このようにいくつ かの優れた特徴を併せ持つことで、当社独自の技術を用いた ADC は、副作用が少なく、 強い効果が期待されています。また、抗体部分を他の抗体に替えることで、“異なる抗 原を発現するがんを狙った ADC”に展開が可能という点も大きな特徴です。 ・ 現在の抗体薬物複合体の開発品リストには 7 つの開発品があります。全て同じ薬物と リンカーを使っています。その中で開発が進んでいるのが、DS-8201 と U3-1402 です。 ・ DS-8201 は、がん細胞に発現する HER2 という抗原を標的とする ADC です。HER2 を

狙った薬剤は、他社から乳がん、胃がんに対する薬剤が発売済みです。ハーセプチン とパージェタはいずれも抗体医薬品で、カドサイラは、HER2 を狙った従来型の ADC であり、DS-8201 の先行競合品です。 がん治療では、“ある薬剤が効かなくなると次の薬”というように治療薬を変えていき ます。カドサイラは、転移性乳がんの患者さんに対し、2 番目に使われる“セカンドラ イン”の標準薬で、昨年の売上は、1,000 億円を超えています。胃がんでは HER2 に対 しては、抗体医薬品のハーセプチンだけが使用できます。 ・ DS-8201 の乳がんでの開発計画では、3 つの臨床試験があります。 まずファーストラインのハーセプチンとセカンドラインのカドサイラが効かなくなっ た患者さんでの適応を目指す試験です。標準薬でがんの増殖を止められなくなった患 者さんが対象で、米国の FDA から開発を加速する“画期的治療薬”の指定を受けてい ます。2020 年度の申請を見込んでいますが、1 年前倒しした 2019 年度申請の可能性も 探っています。 2 番目は、現在、セカンドラインの標準薬であるカドサイラの置き換えを目指す試験で、 フェーズ 3 試験を 9 月に開始しました。 3 番目は、上の 2 つとは異なり、HER2 低発現と呼ばれる患者さんを対象とした試験で す。こちらは、ハーセプチンやカドサイラが適応を持たない患者さんを対象とした試 験です。ハーセプチンやカドサイラが適応を持つ HER2 陽性に対して、約 2 倍の患者

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さんが該当することから、最も重要な試験と位置づけています。 ・ DS-8201 の臨床試験での有効性を見ると、最も効果が高かった患者さんの中には、グラ フが、-100%近くまで伸びている患者さんもいらっしゃいます。これは、がんがほとん ど消失したことを示しています。 HER2 陽性乳がんでの結果を見ても、ハーセプチンやカドサイラが適応を持たない HER2 低発現乳がんでの結果を見ても、DS-8201 は、どちらの患者さんにも同じように 高い効果を示しています。また、カドサイラが適応を持たない、胃がん、大腸がん、 肺がんでも DS-8201 投与により、腫瘍の縮小が見られています。 ・ DS-8201 の主要開発計画として、単剤では、乳がんに加え、カドサイラが適応を持たな い胃がん、大腸がん、肺がんについても、開発を進めています。胃がんの適応では、 日本の厚生労働省から開発を加速する“先駆け審査指定”を受けています。 併用試験では、本年のノーベル賞で話題になったオプジーボと DS-8201 を併用する試 験が先行していますが、他にも複数のフェーズ 1 試験の準備をしています。 ・ DS-8201 についてまとめると、有効性については、HER2 陽性乳がんでカドサイラと同 等以上の効果を示す可能性があります。また、HER2 陽性患者さんの約 2 倍の患者さん が該当し、カドサイラが適応を持たない HER2 低発現の乳がんにも効果を示す可能性 を持っています。加えて、カドサイラが適応を持たない、胃がん、肺がん、大腸がん などでも、将来を期待させる効果を示しました。 安全性については、間質性肺炎/肺臓炎に関し、現在、判定委員会にて評価中です。 引き続き、安全性にも、充分注意を払いながら開発を進めてまいります。

・ DS-8201 が、HER2 という抗原を狙った ADC であるのに対し、ADC フランチャイズの 7 つの開発品目のうち 2 番目に臨床入りした U3-1402 は、HER3 という異なる抗原を狙 った ADC です。 ・ U3-1402 については、乳がんでのフェーズ 1/2 試験の途中経過を、本年 6 月に初めて発 表しました。最良と考えられる抗がん剤治療を受けたあとで、がんが再び増殖を始め てしまった HER3 陽性の乳がん患者さんに対し、U3-1402 が効果を示し、多くの患者さ んでがんが縮小しました。U3-1402 の全奏効率は 47%であり、DS-8201 を 2 年前の国際 学会で初めて発表した時のデータと類似しています。 U3-1402 の薬物とリンカー部分は、DS-8201 と全く同じであり、DS-8201、U3-1402 と 2つの異なる薬剤で効果が見られたことから、我々の ADC 技術は抗体を変えても応用 できると判断しています。 ・ U3-1402 についてまとめると、有効性については、乳がんフェーズ 1/2 試験の途中経過 で、DS-8201 と同水準の効果を示しました。DS-8201 と U3-1402、2 つの試験において 効果を示したことで、同じ ADC 技術を用いた他の 5 つの ADC 開発品も、効果を示す 可能性が高まったと考えています。U3-1402 については、安全性も、しっかりと評価を 継続していきます。

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・ ADC フランチャイズをまとめると、最も開発が進む DS-8201 については、有望な臨床 データが蓄積してきており、多くの患者さんに有効な選択肢となる可能性が見えてき ました。その次の U3-1402 も、良好なデータから HER3 を標的とする世界で最初の薬 剤となる可能性が出てきました。 このように異なる ADC で、良好な臨床データが見られたことで、当社の ADC 技術が、 さまざまなターゲットを狙える “プラットフォーム技術”である、との確信を高めて おり、他の 5 つの ADC 開発品に対する当社の期待も上昇してきています。 ・ がん事業の順調な進展を受け、2018 年度から 2022 年度までの 5 年間で、研究開発費総 額 1 兆 1,000 億円をがん領域を中心に投資していきます。特に、ADC フランチャイズ のポテンシャル最大化のための投資を優先します。がん事業強化のための設備投資も、 今後 5 年間で 250 億円以上実施していきます。 このようにがん領域への投資を集中的に実施することで、がん事業の売上収益を、2022 年度では 1,500 億円まで伸ばします。そして、DS-8201 や U3-1402 などを中心に、2025 年度には 5,000 億円にまで大きく拡大し、さらなる企業価値向上を目指していきます。

4.株主還元方針

・ 2022 年度までの株主還元方針です。 普通配当・年間 70 円以上と機動的な自己株式取得で、2016 年度から 2022 年度までの 7 年間の期間通算で総還元性向 100%以上を株主還元方針として掲げています。 ここまで、普通配当は、年間 70 円を継続しており、自己株式取得は、2016 年度・500 億円、2017 年度・500 億円を実施しました。 ・ 昨今、持続的な企業価値の向上・成長を計る上で、環境・社会・ガバナンスの英語の 頭文字をとった ESG への取り組みが注目されています。ガバナンスにおいては、コー ポレート・ガバナンス・オブ・ザ・イヤー2017 に選出されました。また、世界の代表 的な社会的責任投資評価の指標である DJSI World Index の医薬品セクターの構成銘柄、 および RobecoSAM の医薬品産業のシルバークラスに日本企業として初めて選定される など、当社の取り組みは、外部からも高く評価されています。今後も事業と一体とな った ESG 活動を続けていきます。

5.質疑応答

Q1. 売上高、営業利益に対する海外比率はどのくらいでしょうか。また海外進出先ではど のような地域を重視されていますか。 A1. 昨年度の売上収益のうち、日本が 60%強、米国が 20%弱、欧州が 10%弱、その他も 10% 弱です。がん事業の重点投資と拡大を将来的に目指しており、中でも米国については、 がん事業のビジネスがある程度軌道に乗るまで、少し厳しい状況が続くと思っていま す。がん事業が拡大すると、海外での売上も拡大するものと見込んでいます。

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国・地域別の営業利益率は開示していませんが、概して自社開発品だと原価率が低い ので、営業利益率はいいと思っていただければ、と思います。 海外拠点として現地会社では、米国や英国、ドイツ、フランス、イタリア等の欧州で 12 ヵ国、中国、韓国、タイ等のアジアで 5 ヵ国に拠点があります。南米のブラジルに もあります。現地子会社がない地域では、現地の会社とパートナーリングを組み、事 業展開しています。 Q2. がん事業に注力されていますが、この分野の研究開発が大きくなっていくのでしょう か。今後の計画を含め、お聞かせください。 A2. 2018 年度から 2022 年度まで今後 5 年間で、研究開発費 1 兆 1,000 億円を投資していき ます。その重点領域はがん領域です。年平均で 2,200 億円。がんの中でも ADC フラン チャイズの DS-8201、U3-1402 に続くものについて、早期に臨床試験の結果を出し、企 業価値の最大化を図りたいと考えています。もちろん固定費等の経費削減は継続的に 進めていきます。また、がん製品の治験薬や主要製品の生産設備への投資についても、 今後 5 年間で 250 億円以上を考えています。このような投資を進めながら、がん事業 を早く拡大していきたいと考えています。さらに、がん事業に携わる優秀な人材の採 用も必要で、すでに始めています。そこに対する投資も継続していきたいと考えてい ます。 Q3. 10 月に発表した第 4 期中期経営計画の見通しの要点についてお聞かせください。 A3. 当社の第 4 期中期経営計画は、2016 年度から 2020 年度に向けて進めており、ちょう ど半分の 2 年半が経った段階で、いろいろと事業の進捗を見直しました。その中で今 日お話したがん事業は、非常に優秀なスタッフが取り組んできたこともあり、ADC フ ランチャイズで大きく進捗しています。この開発を早めて一刻も早く上市し、がんに 苦しむ患者さんに貢献したいと考え、今が、がんに最大の投資をすべき時であると決 断しました。その上で計数目標を見直し、2020 年度については、売上収益 9,600 億円、 営業利益 800 億円としました。その 2 年後の 2022 年度では、売上収益 1 兆 1,000 億円、 営業利益は 1,650 億円を掲げています。その時点で ROE については 8%以上を目指した い。開発候補品のパイプラインから、将来の売上として合計 5,000 億円を見込める製品 を複数、確保したいと思います。このようなことから新たに発表したのが、第 4 期中 期経営計画の修正計数目標です。 現在、2025 年ビジョンに向けて第 4 期中計は大きな転換期を迎えています。従来の当 社は、循環器系や感染症薬を専門としてきましたが、これからはがんに強みを持つ会 社に転換したいと考えています。 Q4. 御社の ADC 技術は、他の競合先の技術に対し、どのような優位性がありますか。

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A4. 抗体薬物複合体は、抗体に対し、抗がん剤をリンカーで繋ぐ構成となっています。当 社の製品はリンカーについて、いくつかの優位点があります。抗体薬物複合体が血中 を移動する際に、リンカーが安定していないと、血中で薬物が外れ、副作用の一因と なります。しかし当社の ADC 技術では血中で、リンカーが薬物を安定して保持する特 徴があります。 また、従来のリンカーは 3~4 つの薬剤しか搭載できませんでしたが、当社開発品は 8 つまで搭載可能です。 抗体薬物複合体はがん細胞に結合し、がん細胞の中に取り込まれ作用を発揮します。 リンカーは、血中では薬物を安定に保持する一方で、がん細胞に取り込まれた後にス ムーズに切断され、薬物を放出します。リンカーについては、このような 3 つの特徴 があります。 また、薬物についても優位点があります。従来型の ADC に比べ、非常に強い殺細胞活 性があります。細胞膜の透過性も優れているので、がん細胞を殺した後、細胞膜を透 過して、別のがん細胞にも侵入し、殺すことができます。更に、血中での消失スピー ドが速く、がん細胞で効果を発揮した後、正常細胞に副作用を起こしにくい特徴があ ります。このように薬物にも 3 つの特徴があります。リンカーと薬物でそれぞれ 3 つ、 合計で 6 つの先行品に対する優位点があると考えています。 Q5. エドキサバンが順調に成長して、他社製品のシェアを奪っていますが、従来品とどの ような点が一番異なるのでしょうか。 A5. この分野ではもともとワーファリンという先行薬がありました。ワーファリンは、頻 繫に検査をしないと効果の度合いがわからず、食事の制限もありました。例えば納豆 を食べると効果が発現しなくなるので、納豆が食べられませんでした。それに対して エドキサバンを始めとする新しい薬剤は、使い勝手がよいので、ワーファリンからエ ドキサバンが含まれる新しい薬剤群に移行しています。 その中でも当社のエドキサバンは、1 日 1 回の投与で済むという特徴があります。脳梗 塞や肺塞栓の予防薬なので、1 日 2 回で飲み忘れると、リスクが高まります。それが 1 日 1 回なら安心して使っていただけます。また多くの患者さんによる臨床治験を行い、 出血の副作用が少ないことも明らかになっています。このように、1 日 1 回投与の利便 性と安全性の高さがエドキサバンの特徴です。これが非常に評価されています。 また、口腔内崩壊錠を最近発売しました。口に入れると水ナシでも溶けて飲めるもの です。高齢の方でも飲みやすく、水ナシなら災害時等にも便利です。このような点で 総合的に受け入れられています。 さらに、エドキサバンの「エド」は「江戸」で、東京で生まれた薬です。エドキサバ ン以外の 3 つの競合薬は海外製品ですが、国内においては親しみを感じていただいて いるのではないかと思います。

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