平成27 年 7 月 27 日
赤道以南アフリカ主要国の石油と天然ガス動向
本レポートでは、米国エネルギー省 (DOE)エネルギー情報局(EIA)レポー トを主なベースとし、2012年度 第37回 JPECレポートの更新版として、最近の赤 道以南(赤道上を含む)のアフリカに属す る主要国の石油と天然ガス動向について 紹介する。 1. 赤道以南アフリカ諸国の石油産業の概要 赤道以南のアフリカ地域 には 23 ヶ国が該当する。こ れらの国々の主な石油関連 情報を国土面積順に示す (表1・図 1 参照)。 アンゴラは石油確認埋蔵 量と石油生産量が突出して 多く、また南アフリカ共和国 (以降、南アと略す)は原油 精製能力が突出している。 同時に南アは石油に準じる 合成液体燃料製造業が盛ん な国でもある。 この 2 ケ国以外の国々に は特筆すべき事項がなく、 アンゴラと南アについて次項 以降でより詳しく紹介する。 図1 赤道以南アフリカ諸国の位置J
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1. 赤道以南アフリカ諸国の石油産業の概要 1 1.1 アンゴラの石油産業 2 1.2 南アフリカ共和国の石油産業 7 2. 赤道以南アフリカ諸国の天然ガス産業の概要 11 2.1 モザンビークの天然ガス産業 12 2.2 南アフリカ共和国の天然ガス産業 14 2.3 アンゴラの天然ガス産業 16 3. まとめ 17表1 赤道以南アフリカ諸国の石油関連情報概要 国名 (国土面積順) 国土面積 (千km2) 石油確認 埋蔵量 (億bbl) 石油生産量 (万BPD) 原油 精製能力 (万BPD) 1 コンゴ民主共和国 2,345 2 3 2.1 2 アンゴラ 1,247 90 161 3.9 3 南アフリカ共和国 1,220 0 0.4* 50.3 4 タンザニア 945 0 0 0 5 ナミビア 824 0 0 0 6 モザンビーク 799 0 0 0 7 ザンビア 753 0 0 2.4 8 ソマリア 638 0 0 1.5 9 マダガスカル 587 0 0 0 10 ケニア 583 0 0 9.0 11 ボツワナ 567 0 0 0 12 ジンバブエ 386 0 0 0 13 コンゴ共和国 342 16 29 2.4 14 ガボン 268 20 26 0 15 ウガンダ 241 0 0 0 16 マラウイ 118 0 0 0 17 レソト 30 0 0 0 18 ブルンジ 28 0 0 0 19 ルワンダ 26 0 0 0 20 スワジランド 17 0 0 0 21 コモロ 2 0 0 0 22 モーリシャス 2 0 0 0 23 セーシェル 1 0 0 0 合計 11,969 128 219 71.6 *:合成液体燃料(CTL、GTL)を含まず、石油(原油、コンデンセート)のみ 1.1 アンゴラの石油産業 1.1.1 石油の埋蔵量
2015年1月発行のOil & Gas Journal によれば、アンゴラの原油確認埋蔵量は90億bblで、
アフリカではリビア、ナイジェリア、アルジェリアに次いで第4 位、世界では第 17 位である。その大
半は、Lower Congo 堆積層と Kwanza 堆積層の海洋部分にある。従来、大半の石油探査および 生産活動は、Lower Congo 堆積層の海洋部分で実施されてきた。
1.1.2 海洋の石油探査
近年 国際石油企業(IOCs)は、プレサル層が存在する Kwanza 堆積層の陸上部分と海洋部分 に注目している。Kwanza 海盆(ブラジルの Campos 海盆と Santos 海盆との類似性を共有)は、
現在IOCs やアンゴラ国営石油(Sonangol)によるプレソルト(Presalt)層探査の対象エリアとなっ ている(図2 参照)。 アンゴラの大西洋側には、西側プレソルト層が存在している。この地層で形成された石油類は、 岩塩層の下に閉じ込められ、これまで上方に(岩塩ドームの上部側)漏れてこなかった。 図2 ブラジルとアンゴラのプレソルト層の同緯度比較 アンゴラの海洋石油探査活動の大部分は、水深1,200m 以上で行われている。同国における深 海域の石油探査は、1990 年代前半から始まった。1994 年 深海域鉱区の探査許可がおり、50 を 超える有望油田の発見に繋がった。その結果、2002〜2008 年間に多くの深海域油田の生産が始 まり石油生産量が急増した。その結果、同国の石油生産量(石油と他液体燃料の合計)は、2008 年 に約200 万 BPD(原油は 190 万 BPD)のピークに達した(図 3 参照)。 2011 年 アンゴラ政府は、IOCs 向けに探査権入札会を開き、Kwanza 海盆のプレソルト海洋全 11 鉱区を割り当てると発表した。この入札により鉱区を割り当てられたのは、Petrobras、Maersk Oil、Cobalt、BP、Repsol、Total、Eni、ConocoPhillips および Statoil である。しかしながら、地 質の複雑さと石油の低価格環境変化により、原油開発投資の延期、複数の油井が閉鎖および放棄 されている。
2011 年 Maersk Oil(オランダ)が Kwanza 海盆の Azul 油井でプレソルト層を発見した。同社 は、その油井の事業化調査を継続する計画である。
アンゴラでのプレソルト層の石油探査では、Cobalt International Energy(米国)が最も成功し
ている。同社は、商業生産可能なCameia 油田を発見した唯一の会社である。同社は、2015 年末 までに同油田が同国政府より認可されるように準備を進めている。しかし、石油価格の低迷状態が 継続する場合は、開発開始決定は延期される予定である。 アンゴラ国営石油(Sonangol)は、新深海域油田が生産開始するとして、2016 年までの原油生 産目標を200 万 BPD としている。しかしながら、複数の新油田が生産開始したにもかかわらず総 産油量はその恩恵を受けず、2014 年には 5 万 BPD 減少し 175 万 BPD となっている。同国の石 油生産は、継続的な技術問題(水注入システム、ガス冷却および浮体式石油生産貯蔵出荷設備) により停滞している。 1.1.3 海洋原油生産プロジェクト 【2014 年 商業生産開始済案件】 ・2014 年 6 月 Total(フランス)が主導している「CLOV プロジェクト(16 万 BPD、深海)」が商業 生産を開始した。 ・2014 年 12 月 Eni(イタリア)が主導している「West Hub 開発プロジェクト(10 万 BPD、深海)」 も商業生産を開始した。 【2015 年以降の開発案件】 アンゴラは、今後5 年以内に生産開始予定の 11 の石油プロジェクトを有している(表 2 参照)。 これらのプロジェクトのうち6 件は、開発するための最終投資決定(FID)済であり、最近の世界的 な原油価格の下落にもかかわらず、FID 済のこれらプロジェクトは既に調達と建設段階が始まって (単位:百万BPD) 図3 アンゴラの原油・液体燃料の生産と消費量 年
いる。同6 プロジェクトにより、5 年以内に原油生産量を新しく約 50 万 BPD 増やす予定である。こ れらプロジェクトが撤回されることはなさそうであるが、原油価格の低迷が続くようであれば、プロジ ェクトの開始時期が延期される可能性がある。 表2 アンゴラの海洋原油生産プロジェクト プロジェクト 生産量 (万BPD) 操業企業 生産 開始年 鉱区
Mafumeira Sul 11.0 Chevron 2015 鉱区 0 海洋
Lianzi field 2.3 Chevron 2015 鉱区 14 深海
Kizomba Satellites PhaseⅡ 5.9 ExxonMobil 2016 鉱区 15 深海
East Hub Project 10.0 Eni 2016 鉱区 15/06 深海
Greater Plutonio PhaseⅢ 2.2 BP 2016 鉱区 18 深海
Kaombo Project 20.0 Total 2017 鉱区 32 超深海
Negage 7.5 Chevron 未定 鉱区 14 深海
Lucapa 10.0 Chevron 未定 鉱区14 深海
Chissonga 10.0 Maersk Oil 未定 鉱区16 深海
Malange 5.0 Chevron 未定 鉱区 0 海洋
Cameia 10.0 Cobalt 未定 鉱区21 海洋
特にChevron が開発している Mafumeira Sul 油田と Lianzi 油田が、2015 年内に生産開始
の予定である。これら2 プロジェクトは、コンデンセートおよび天然ガスも生産する計画である。な
お、Lizani 油田は、アンゴラとコンゴ共和国との間の統合海洋ゾーン(unitized offshore zone)に 位置しており、海域で国境を跨ぐ最初の開発となる。
1.1.4 陸上の石油探査
アンゴラの陸上部での石油探査活動は、同国内戦(1975〜2002 年)のため制限されてきたが、 内戦終了後 その活動は再開されている。最近の石油探査活動は、Lower Congo 盆地地域で行 われている。
同盆地のCabinda South 鉱区では、Pluspetrol Angola、Sonangol および Cubapetroleo に
より2013 年後半に生産が始まっている。一方、Cabinda North 鉱区では、現在Sonangol および
China Sonangol が共同探査活動を行っている。 1.1.5 製油所
アンゴラには、Sonangol が首都に建設(1955 年)した唯一の Luanda 製油所(3.9 万 BPD)が 稼働している。同製油所の設備は、常圧蒸留、減圧蒸留、接触改質、水素化脱硫、灯油水素化処
2012 年12 月Sonangol は、同国Lobito におい てSonaref 製油所(12 万 BPD)の建設を開始した。 同新製油所は、現時点では2017〜2018 年に稼動 開始の予定である。また、稼動開始後 数年内に処 理能力を20万BPD に拡大する計画である。同新製 油所はアンゴラ産原油を精製し、石油製品を国内お よび国際市場にも販売することが期待されている。 1.1.6 石油の消費と燃料補助金 アンゴラは製油所の原油精製能力が小規模のため、国内消費量の約80%を石油製品輸入に依 存している。2014 年 同国の燃料補助金政策により燃料価格が低く抑えられた結果、石油製品の 需要増をもたらし、10 年前の約 3 倍に相当する約 14.5 万 BPD の石油製品が消費された。同年 の燃料補助金総額(発電分野への燃料補助金を含む)は、国内総生産(GDP)の約4%を占める金 額となり、同国財政にとっても大きな負担になっている。 国際通貨基金(IMF)は、同国の燃料補助金政策のため燃料価格は世界で最も低いレベルで あると報告している。2012 年のデータによれば、同国のガソリン平均価格はサハラ以南のアフリカ 諸国の平均価格より55%低く、ディーデル燃料価格も 67%低いレベルであった。 2014 年の原油価格の急激な低下がアンゴラ経済に大きく影響し、同年 9 月 同国政府は、燃料 補助金の削減を実施した。その政策変更により、ガソリンとディーゼル燃料を25%、LPG 21.6%、 灯油 34.6%、重油 100%、アスファルト 18.8%それぞれ値上げを実施した。IMF は、燃料補助金 削減による燃料価格の上昇分を同国GDP の 0.5%に相当すると見ている。また同国政府は、2015 年内に燃料価格のさらなるアップを計画している。 1.1.7 原油の輸出 2007年 アンゴラは、石油輸出国機構 (OPEC)に加盟している。同国産原油 は、主に中質ないし軽質原油であるが、 Dalia、Pazflor、Hungo 原油のような重 質原油もある。なお、同国の原油精製能 力が小規模のため、原油生産の大半が 輸出に廻されている。 2014 年 アンゴラは、約 165 万 BPD の原油(コンデンセートを含む)を輸出し 図4 アンゴラの製油所位置 図 5 2014 年 アンゴラ産原油(コンデンセート 含む)の輸出先
た。そのうち約半分は中国向けであり、2005 年以来 中国への原油供給国として、同国はサウジア ラビアに次いで第2 位となっている(図 5 参照)。 一方 米国は、1970 年代にアンゴラ産原油の輸入を始め、2005〜2009 年 米国の輸入原油量 合計の5%(平均 48.4 万 BPD)をアンゴラ産原油が占めていた。しかしながら、米国内で類似品質 (軽質・低硫黄)のシェールオイル生産量が増加した影響により、米国のアンゴラ産原油輸入量は 減少している。 1.2 南アフリカ共和国の石油産業 1.2.1 石油の埋蔵量
Oil & Gas Journal によれば、2015 年 1 月時点で 南アの石油確認埋蔵量は僅か 1,500 万 bblである。その確認埋蔵量の全ては、同国南部沖(Bredasdorp海盆)と西部沖(ナミビアとの領海 線の南ア側)にある。 1.2.2 石油の生産と開発 2014 年 南アは、石油および合成液体燃料を約 16 万 BPD 生産した(図 6 参照)。なお、同国の 石油産業の特徴にもなるが、石炭と天然ガス由来の合成液体燃料(CTL と GTL)が、石油および 合成液体燃料の国内生産量合計の90%超を占めている。
南ア国営石油(PetroSA)が操業している Oribi および Oryz 油田で生産される石油(原油とコン デンセート)は、0.5 万BPD 未満と少ない。これは、既存油田の成熟と新たな商業生産可能油田の 発見がないためであり、生産量は継続的に減少している。 図6 南アフリカの石油(含む合成液体燃料)生産量と消費量 年 (単位:千bbl) 図6 南アの石油(含む合成液体燃料)生産量と消費量
隣国ナミビア近くのOrange 海盆には、相当な量の石油と天然ガスが埋蔵されていると信じられ ているが、このエリアでの探査活動は停滞している。2009 年 Shell は、同海盆の広大な鉱区の探 査権を獲得した。しかしながら、同社の探査活動は未だ初期段階に留まっており、商業ベースに乗 る油田を開発する可能性は何年も先のことだとしている。 1.2.3 石油の消費と石油精製 南ア(人口約5,120 万人)は、アフリカ最大の経済大国であり、エジプトに次いでアフリカで 2 番 目に石油(合成液体燃料を含む)消費量が多い国である。同国では、石油精製による石油製品と CTL および GTL プラントが生産した合成液体燃料を消費している。2014 年 同国の石油(合成液 体燃料を含む)消費量は、65.5 万 BPD であり、国内生産で足りない分は主にアジア諸国から輸入 して補っている。
Oil & Gas Journal によれば、2015 年 1 月時点の南アの原油精製能力は、50.3 万 BPD あり
エジプトに次ぎアフリカで2 番目に大きい設備を有している(表 3 参照)。同国政府は、全製油所の アップグレードが必要条件となる燃料品質規格の引上げを2017 年に施行する計画を提案してい る。しかしながら、石油精製企業各社は、費用対効果が少ないため装置のアップグレード投資への 動きは緩慢である。同国政府は、当初 製油所をアップグレードする期限を 2017 年としていたが、 現時点では2020 年もしくはそれ以降に延期する見込みである。 表3 南アの製油所概要 また、南ア政府は、「多品種燃料油パイプライン(ダーバン~ヨハネスバーグ)」の新設工事用資 金調達のために追加融資を必要としている。なお同パイプライン建設の目的は、既設の老朽化し たインフラを置き換え、かつパイプラインの輸送能力を拡大することである。同国政府は、上記資金 を賄う為、石油製品用パイプラインにかかる関税を引上げている。 以上のように南アでは、上記2 点の政策変更にともなう経費負担を賄う為、同国での石油製品価 格の上昇が懸念されている。
PetroSA は、Port Elizabeth 近郊の工業地帯 Coega に新しい製油所(30 万 BPD)建設を計
オーナー 製油所名 所在地 原油精製能力
(万BPD)
1 Sapref Sapref Durban 17.0
2 Petronas Enref Durban 13.5
3 Chevron Chevref Cape Town 11.0
4 Shell+Total Natref Sasolburg 8.8
画している。このプロジェクトは、「Project MthomboまたはCoega製油所建設プロジェ クト」として知られている。同新製油所は、同 国の新燃料基準を満たす石油製品の製造お よび石油製品輸入度の低減を目指している。 現在 PetroSA は、中国石油化工集団公 司(Sinopec)と新製油所建設の事業化調査 に対し共同融資しているが、合同企業を設立 する公式の決定はなされていない。 1.2.4 原油の輸入 南アは、原油の大部分を中東や西アフリカの 石油輸出国機構(OPEC)加盟国から輸入して いる。2014 年 同国は、原油を 42.5 万 BPD 輸 入した。主な輸入先は、サウジアラビア、ナイジ ェリアおよびアンゴラとなっている(図8 参照)。 なお2011 年時点では、イランが南アへの最 大の原油供給国で、同国の輸入原油合計の約 27%を占めていた。しかし、2012 年に入って米 国とEU 諸国のイランに対する経済制裁のため、 イラン産原油輸入量が減少した。現在も同国は、 イラン産原油の輸入を再開していない。 1.2.5 石油製品に準じる合成液体燃料 南アは、世界有数の石炭を原料としたCTL(Coal-to-Liquids)プラントおよび天然ガスを原料と したGTL(Gas-to-Liquids)プラントによる合成燃料製造産業を保有している。 1.2.5.1 石炭液化燃料(CTL) Sasol は、Secunda CTL プラントにおいて年産 3,700 万トンを超える石炭を、合成液体燃料(ガ ソリンやディーゼル燃料等)および複数の化学原料に変換している。同プラントは、2 系列併設して おり、石油換算で16 万 BPD の CTL を生産する能力がある。さらに同社は、3 万 BPD の増強を 計画している。また、Mafutha CTL プラント(8 万 BPD)を建設することも計画している。なお、 CTL の増産分は、全て石油製品の内需拡大用に使われる予定である。 図8 南アの石油(原油、コンデンセート)の輸入先 図7 南アの製油所位置 図7 南アの製油所位置
図9 F-T プロセスを用いた CTL 生産の概略フロー
石炭液化は、触媒を用い高温高圧下で直接液体に変換する直接法および石炭をガス化してか ら「フィッシャー・トロプシュ(F-T)合成プロセス」を介して液体に変換する間接法がある。Sasol の Secunda CTL プラントは、間接法を採用している(図 9 参照)。
1.2.5.2 天然ガス液化燃料(GTL)
PetroSA は、Mossel Bay 製油所の GTL プラン ト(4.5 万 BPD)においてガソリンおよびディーゼ ル燃料を生産している。1992 年に稼動開始した 同プラントは、世界最大のGTL プラントの 1 つで ある。生産されたGTL の半分以上は、自動車用 ガソリンに利用される。残りは灯油、ディーゼル燃 料、プロパン、その他(液体酸素、液体窒素、プロ セス油、アルコール等)となる。 GTL プロセスとは、天然ガスをより長い鎖状炭 化水素に変換するプロセスである。 ①天然ガス 由来のメタンを水蒸気改質して合成ガスを生成す る。CH4 + H2O → CO + 3 H2 ②その合成ガスをF-T プロセスにより液体炭化水 素(鎖状飽和炭化水素:アルカン)に変換する。 (2n + 1) H2 + n CO → CnH2n+2 + n H2O、③生成した液状炭化水素を水素化処理してナフサ、 ガソリン、ディーゼル燃料などのGTL 製品に仕上げるフローとなる(図 10 参照)。 図10 F-T プロセスを用いた GTL フロー
2. 赤道以南アフリカ諸国の天然ガス産業の概要 天然ガス確認埋蔵量は、①モザンビーク ②アンゴラ ③コンゴ共和国の順になっている。次に 天然ガス生産量は、①モザンビーク ②南ア ③コンゴ共和国の順となる。なお、コンゴ共和国は各 項目で3 位にランクされてはいるが、いずれもその量は多くない(表 4 参照)。南アの天然ガス確認 埋蔵量は少ないが、シェールガスの可採埋蔵量は世界第8 位である。加えて、南アは GTL 生産 において、天然ガスを重要な原料としている。そこで、赤道以南アフリカ諸国の天然ガス産業の主 要国として、モザンビーク、南ア、アンゴラの3 ヶ国を選定し、次項以降でより詳しく紹介する。 表4 赤道以南アフリカ諸国の天然ガス関連情報概要 国名 (国土面積順) 国土面積 (千 km2) 天然ガス 確認埋蔵量 (億m3) 天然ガス 生産量 (億 m3/年) 1 コンゴ民主共和国 2,345 10 0.0 2 アンゴラ 1,247 2,745 7.5 3 南アフリカ共和国 1,220 160 12.8 4 タンザニア 945 65 8.6 5 ナミビア 824 623 0.0 6 モザンビーク 799 28,300 36.2 7 ザンビア 753 0 0.0 8 ソマリア 638 57 0.0 9 マダガスカル 587 201 0.0 10 ケニア 583 0 0.0 11 ボツワナ 567 0 0.0 12 ジンバブエ 386 0 0.0 13 コンゴ共和国 342 906 9.5 14 ガボン 268 283 0.7 15 ウガンダ 241 142 0.0 16 マラウイ 118 0 0.0 17 レソト 30 0 0.0 18 ブルンジ 28 0 0.0 19 ルワンダ 26 566 0.0 20 スワジランド 17 0 0.0 21 コモロ 2 0 0.0 22 モーリシャス 2 0 0.0 23 セーシェル 1 0 0.0 11,969 34,058 75.3
2.1 モザンビークの天然ガス産業 2.1.1 天然ガスの埋蔵量
2010 年以降、モザンビーク北東部沖(モザンビーク海峡)の Rovuma 海盆において、天然ガス の発見が相次いでいる。2014 年 1 月 Oil & Gas Journal によれば、同国の天然ガス確認埋蔵量
は、前年より1,300 億 m3増えて2 兆 8,300 億 m3となっている。この値はナイジェリアとアルジェリ アに次いでアフリカで第3 位、世界では第 14 位である。 2.1.2 天然ガスの生産/消費/輸出 モザンビークの天然ガス生産量は、未だ少量であ る。2012 年 同国は、主に南部および西部陸上地域 の2 つの内陸ガス田(Pande、Temane)から 44 億 m3の天然ガスを生産した。 同国は、南アを天然ガスの有望市場ととらえており、 生産された天然ガスの大部分(36 億 m3)は、Sasol
Petroleum International Gas Pipeline(全長約
860km)を経由して南アに輸出され、残り(8 億 m3)
は国内消費されている(図11 参照)。なお、同パイプ
ライン経由の南アへの輸出は、2005 年から開始され
ている(図12 参照)。また同パイプラインは、Sasol、 図 11 Sasol Petroleum International
南アおよびモザンビーク政府が共同所有している。 Gas Pipeline の位置 (単位:10 億 ft3) 年 図 12 モザンビークの天然ガス生産量と消費量
また、モザンビークと南ア両政府は、SacOil (南ア)と共にモザンビーク 北東部の Rovuma 海 盆で複数の大規模ガス田が発見されたのを受け、同国北東部のCabo Delgado 州から南アまで、 新しく天然ガスパイプラインを敷設する可能性について検討している。 2.1.3 最近のガス田の発見 2010 年以降 モザンビークでは、海洋の Rovuma 堆積層において複数の LNG プロジェクトに 供給するのに十分なガス田の発見が続いている。 2010 年 Anadarko(米国) が Windjammer ガス田を発見したのを皮切りに多くのガス田が発 見された。同社発表によるとProsperidade Complexe 鉱区の天然ガス可採埋蔵量は 4,810〜 8,490 億 m3、Golfinho/Atum Complexe 鉱区は同 4,250〜9,910 億 m3だとしている。 2012 年 Eni(イタリア)は、Mamba Complex 鉱区の天然ガス可採埋蔵量は 1 兆7,550 億m3、 Coral 鉱区は同 3,680 億 m3だとしている。 2.1.4 天然ガスの探査 2012 年 ICF International(米国、コンサル ティング会社)は、モザンビークでは発見済およ び未発見の在来型石油と天然ガス資源を合わ せて、石油換算で約467 億 bbl(ガス換算で 7 兆9,210 億 m3)のエネルギー資源埋蔵量があ ると報告している。 このうちの70%以上が最近 Anadarko と Eni 両社が発見した同国北東部沖のRovuma Offshore North 海域に存在しているとしている (図13 参照)。同国政府は、各海盆(Rovuma、 Zambezi、Beira High、Mozambique)の深海 鉱区を提供して、第5 次天然ガス鉱区探査入札会を始める予定である。 2.1.5 LNG について Anadarko は、世界最大級の LNG プロジェクト(Mozambique LNG プロジェクト)の開発に取 組んでいる。また、同社はパートナーと共にLNG 販売市場の開拓も進めている。
2012 年 12 月 Anadarko は、Eni とモザンビーク北部の Afungi Park に陸上 LNG プラントを
共同建設することに合意した。同社は、複数のパートナーとLNG 液化トレイン 4 基(2 鉱区合計で
図12 モザンビークの天然ガス生産量と消費量
売も開始し、2030〜2032 年までには LNG 液化トレインをフル運転する計画である。さらに、Eni は、同鉱区に浮体式LNG 生産施設(年産 250 万トン)を設置することも検討している。 2.2 南アフリカ共和国の天然ガス産業 2.2.1 天然ガスの埋蔵量 南アの天然ガス確認埋蔵量は、160 億 m3と非常に少ない。しかしながら、非在来型天然ガスで あるシェールガスの埋蔵量は潜在的に大きい。 2.2.2 天然ガスの生産と輸入 南アは、成熟した海洋ガス田(F-A ガス田、1980 年発見 済)から少量の天然ガスを生産し、1992 年から海底パイプ
ラインを経由してPetroSA の Mossel Bay 製油所 GTL プ
ラントへ送っている(図14 参照)。また、モザンビーク からパイプラインを経由して天然ガスを輸入し、Sasol の Secunda CTL プラントと複数のガス焚き発電所に供給し ている。2013 年 南アは、12 億 m3の乾性天然ガスを生産 し、49 億 m3の天然ガスを消費した。不足分の37 億 m3 はモザンビークからの輸入分で補っている(図15 参照)。 図 14 海洋ガス田の位置
(出典:Petroleum Agency SA)
2010 年 PetroSA は、持続的に GTL プラントへ天然ガスを送るため、「F-O ガス田開発プロジ ェクト(別称Project Ikhwezi)」を開始している。同社は同ガス田の生産が 6 年間続くと予測してい るが、安定供給を続けるため同ガス田近くのIbhubesi ガス田の開発も計画し、2016 年内の生産 開始を予定している。 (単位:10 億 ft3) 図15 南アの天然ガス生産量と消費量 年
南ア政府は、F-O ガス田と Ibhubesi ガス田の天然ガス生産開始およびモザンビークとナミビア からの天然ガス輸入により、同国の発電用燃料および産業用燃料使用における石炭依存度を減ら すことを計画している。
2.2.3 天然ガスパイプライン
南アは、GTL プラントの生産を維持するため、モザンビーク産天然ガスの輸入が必須条件とな っている。モザンビークからの輸入は、Sasol Petroleum International Gas Pipeline(輸送能力
日量1,480 万 m3)を経由して2005 年から同国に送られている。 2.2.4 シェールガスについて EIA(米国エネルギー情報局)の報告によれば、南アは豊富なシェールガス資源を保有してい る。同国のシェールガス資源は、同国南部に広がる半砂漠地帯のKaroo 盆地に存在している(図 16 参照)。同盆地のシェールガス可採埋蔵量は、Whitehill 堆積層に 5 兆 9,720 億 m3、Prince Albert 堆積層に 2 兆 7,170 億 m3、 Collingham 堆積層に 2 兆 3,210 億 m3の合計11 兆 100 億m3あり、世界の第8 位にランクされている(表 7 参照)。 2011 年 4 月 南ア政府は、シェールガス抽出採掘時に利用する大量の水使用にともなう水不足 問題および水圧破砕法(Hydraulic Fracturing)に起因する地下水汚染問題からシェールガス探 査を一時禁止した。 2013 年 10 月 南ア政府は、シェールガス探査と水圧破砕法に関する新しい技術規則を提案し た。その提案を下に翌年10 月 同国石油局(PASA)は、Karoo 盆地での探査許可の申込審査を 開始すると発表した。現在、複数の国際企業がシェールガス探査許可証の発行を待っている。 国名 可採埋蔵量 兆㎥ 1 中国 31.6 2 アルゼンチン 22.7 3 アルジェリア 20.0 4 米国 18.8 5 カナダ 16.2 6 メキシコ 15.4 7 オーストラリア 12.4 8 南アフリカ共和国 11.0 9 ロシア 8.1 10 ブラジル 6.9 10 位までの小計 163.1 図16 南アの Karoo 盆地の位置 表7 世界のシェールガス可採埋蔵量
2.3 アンゴラの天然ガス産業 2.3.1 天然ガスの埋蔵量
2015 年 Oil & Gas Journal によれば、アンゴラの天然ガス確認埋蔵量は 2,745 億 m3で、ア
フリカではナイジェリア、アルジェリア、モザンビーク、エジプト、リビアに次いで第6 位である。 2.3.2 天然ガスの生産と消費 アンゴラの天然ガスは、全て石油生産時の随伴ガスとして生産されている。2013 年 同国の天 然ガス総生産量は108 億 m3であり、うち70 億 m3が大気放出またはフレア焼却され、26 億 m3 が油田に再注入し、市販されたのは12 億 m3と少量である。大気放出およびフレア焼却量が多い のは、同国での天然ガス資源の商業化に必要なインフラが不足しているためである。(図17 参 照)。 2.3.3 LNG の生産と輸出 Angola LNGは、同国の Soyo に深海域油田から随伴する 天然ガスを原料とし、LNG プラント(生産能力 年間 520 万ト ン)を建設した(図18 参照)。同社は、Sonangol(アンゴラ)、
Chevron 、Total、 BP および Eni からなる企業連合である。
2013 年 同社の LNG 輸出量合計は 5 億 m3(ガス換算)で、 主な輸出先はブラジル、日本および中国であった。 2014 年 4 月同社は、技術的なトラブル(電気火災、配管漏 洩、配管破裂、掘削リグの崩壊など)が続き、プラントをほぼ1 年間停止した。なお、2015 年末~2016 年内には、再稼動で きる見込みである。 (単位:10 億 ft3) 図17 アンゴラの天然ガス生産量と消費量 (単位:10 億 ft3) 年 図18 Angola LNGの位置
2.3.4 アンゴラの天然ガス産業の課題 アンゴラは、海洋石油探査の増加に伴い、石油生産時に随伴する大量のガスを処理するプラン トを必要としている。今後の同国の天然ガス戦略にとって、LNG 生産能力と輸出能力の拡大なら びに天然ガスの国内販売市場の開拓が重要な要素となっている。 3. まとめ 【石油産業の主要国】 ・アンゴラは、石油確認埋蔵量および石油生産量が多く、赤道以南アフリカ地域でも主要国であ る。特に世界有数と期待されている海上油田開発は、IOCsにて活発に行われており、原油価 格動向次第では拡大が期待できる。同国唯一の製油所能力はまだ小規模であるが、建設中の 新製油所の稼働により原油だけでなく石油製品輸出量拡大に期待が持たれる。 ・南アは、石油確認埋蔵量はほとんどないが、国内に世界有数のCTLおよびGTL産業が発達 した特異な国に位置づけられる。また、同国はアフリカ最大の経済大国であり、かつ人口も多 いことから、燃料生産量は消費量の1/3程度しかなく石油輸入国になっている。 【天然ガス産業の主要国】 ・モザンビークは、天然ガス埋蔵量がアフリカ3位と多くあり、その探査ならびに生産活動が活発 に行われている。また、生産された天然ガスは、2005年より隣国の南アにパイプラインで送ら れており市場に隣接した地の利がある。さらに大型LNGプラントの建設も計画されており、今 後LNGの輸出も期待される。 ・南アは、モザンビークからのパイプラインで天然ガスが供給され、GTLプラントで使用されてい る。また、シェールガスの埋蔵量が豊富にあり、今後 採掘にともなう環境汚染等の課題に対応 することにより同資源の開発が期待できる。 ・アンゴラは、随伴ガスが豊富にあるが少量しか有効活用されていない。今後、同ガスを処理でき るインフラが整備されてくれば増産、輸出増およびGHG削減が期待できる。
≪出典および参考資料≫
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http://www.eia.gov/beta/international/analysis.cfm?iso=ZAF 、
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(3)米国 DOE・エネルギー情報局(EIA)レポート 、Angola Country Analysis Brief、
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(4)米国 DOE・エネルギー情報局(EIA)レポート 、Emerging East Africa Energy、
http://www.eia.gov/beta/international/regions-topics.cfm?RegionTopicID=EEAE 、 (5)米国 DOE・エネルギー情報局(EIA)レポート 、Analysis and Projections 、
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(6)米国 DOE・エネルギー情報局(EIA)レポート 、TODAY IN ENERGY 、
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https://en.wikipedia.org/wiki/Pre-salt_layer 、 (20)Wikipedia 、Sonangol Group 、
https://en.wikipedia.org/wiki/Sonangol_Group 、 (21)Derri 、 http://www.1derrick.com/angola-licensing-round-pushed-to-2014/11422/ 、 (22)外務省ホームページ、各国情勢 、 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html 本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、 分析したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは [email protected]までお願いします。
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