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医療薬学 看護師, ソーシャルワーカーと協働し, 外来化学療法室にてチームでオリエンテーションに当たっている. そこで外来化学療法室薬剤師は, 使用する抗がん剤, 投与スケジュール ( 治療の流れ ), 予測される副作用 ( 発現時期とその対処法 ), 薬剤費用などについて, 治療レジメン別に患者用

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Academic year: 2021

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緒  言

がん化学療法においては,治療に対する患者の 十分な理解が必要であり,副作用への不安を抱く 患者も多いため,薬剤師が専門的な立場から副作 用やその対処法などの情報提供を行うことが重要 である.九州大学病院(以下,当院)では,入院 において化学療法開始前の患者に対し,病棟専任 の薬剤師が治療レジメンについて各自で作成した 説明用紙やメーカーパンフレットを用いて,使用 薬剤,治療スケジュール,副作用などについて説 明を行っている.特に副作用に関しては些細な症 状でも医療スタッフに申し出るよう患者に説明す ることで,副作用についての適切なモニタリング と速やかな対処ができるように取り組んでいる. さらに外来化学療法を実施予定の患者に対して は,退院前に外来化学療法室薬剤師が,改めて治 療や副作用の程度・対策について患者の理解状況 の確認を行いながら,患者自身や患者家族が副作 用等へ対処できるよう詳しい説明を行っている. このように,当院では病棟薬剤師と外来化学療法 室の薬剤師が連携し,繰り返し説明を行うことで, 患者の十分な理解と不安の解消に努めている1~2) 特に外来化学療法実施予定の患者に対しては, * 福岡県福岡市東区馬出3-1-1 38(4) 211―219 (2012)

がん化学療法における患者指導シートの

効率的作成システムの構築と評価

入佐俊弘*,辻 敏和,吉田 実,中嶋一恵,池末裕明 平川良宏,末安正典,江頭伸昭,大石了三 九州大学病院薬剤部

Development and Evaluation of a System of Preparing Patient Education Sheets

in Cancer Chemotherapy

Toshihiro Irisa*, Toshikazu Tsuji, Minoru Yoshida, Kazue Nakashima, Hiroaki Ikesue,

Yoshihiro Hirakawa, Masanori Sueyasu, Nobuaki Egashira and Ryozo Oishi

Department of Pharmacy, Kyushu University Hospital

Received August 19, 2011 Accepted January 15, 2012

 An orientation is given to patients who are scheduled for chemotherapy in our ambulatory center by nurses, pharmacists and social workers. The pharmacists provide them with the necessary information on chemotherapy using a patient education sheet for each regimen. Each education sheet was prepared by a commercial spreadsheet program (Microsoft®

Excel 2003), so considerable time was required to update the sheets for many regimens. In this study, we developed and evaluated a new system of preparing patient education sheets using a commercial database (Microsoft® Office Access 2003). The preparation time for a fixed form of patient education sheet for pegylated liposomal doxorubicin (Doxil®

) therapy was significantly shortened by implementing the new system from 61.2±26.4 min to 19.0 ±3.7 min (p<0.05). The preparation time for each patient education sheet using a fixed form was also significantly shortened from 17.1±7.0 min to 3.8±2.3 min (p<0.0001). This system is very useful in ensuring the efficient preparation of patient education sheets for various chemotherapy regimens.

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看護師,ソーシャルワーカーと協働し,外来化学 療法室にてチームでオリエンテーションに当たっ ている.そこで外来化学療法室薬剤師は,使用す る抗がん剤,投与スケジュール(治療の流れ), 予測される副作用(発現時期とその対処法),薬 剤費用などについて,治療レジメン別に患者用指 導シート(指導シート)を作成しており,これは 患者指導や協働するスタッフとの連携に重要な役 目を担っている. 一方,これらレジメン別の指導シートの定型を 作成するためには,抗がん剤やその副作用などの 情報収集,レジメン内容の理解,使用する薬剤の 費用調査,後発医薬品への切り替えなどに応じた 日常的な更新などに多くの時間が必要である. 我々はこれまで市販の表計算ソフト(Microsoft® Excel 2003:Excel)を用いて 100 件以上の指導シー トの定型を作成し,オリエンテーション時にこれ らの指導シートの定型を印刷し,患者ごとの薬剤 費を別途算出・記載してきた.しかし,このよう な運用方法では, 指導シートの定型の作成に作成 者個人の判断基準が反映され得ること,誤操作に よるデータ更新が起こり得ること,1 つの薬剤の 変更(後発医薬品,情報)に伴い多くのレジメン の指導シートを変更せざるを得ないこと,別ソフ トを用いた治療費算出や追記が必要であるなど 様々な問題を抱えていた. そこで本研究では,指導シートの定型および個 別の指導シート作成の効率化およびデータ管理の 一元化を目的として,市販のデータベースソフト を用いた作成システムを構築し,その有用性を評 価した.

方  法

1.指導シート作成システムの構築 (1)システムの構成 指導シート作成システムには Microsoft® Office Access 2003(Access)を用いた.薬剤情報とし ては,基本的な情報(薬品名,一般名,薬効分類, 剤形,規格,容量)と薬剤についての簡単な説明 文で構成されており(図 1),薬価に関しては, 診療報酬情報提供サービスの医薬品マスターを使 用した.なお,本マスターの情報更新には更新者 の制限が設けられている. 副作用情報としては,それぞれの副作用の発現 率,発現時期,回復時期,特記事項などで構成さ れており(図 2),これらの情報は各薬剤のイン タビューフォームや書籍などから調査し入力し た.なお,これらの情報入力は,担当薬剤師によ るダブルチェックを必須とすることで,安易な データ変更が行えないように運用している. レジメン情報としては,レジメン名(患者用名 称),対象疾患,使用薬剤,投与日,インターバル, 図 1 薬剤情報の画面 図 2 副作用情報の画面

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投与時間,投与量などで構成されており(図 3), 当院電子カルテ上の外来化学療法室に登録のある レジメンの情報を用いた. なお,当院の電子カルテシステムは,内服薬と 注射剤のオーダリングがリンクしていないため, 本システムは電子カルテシステム(レジメンオー ダーシステム)から独立した運用とした. (2)指導シート作成機能 指導シートの作成には,システム上の「OR 用 資料作成」を使用する.アルファベット順で表示 される電子カルテ上に登録されているレジメン名 の一覧より,患者へ適用されるレジメンを選択す る(図 4).これに,患者名,使用開始日,投与日, 使用予定薬剤数を入力することで指導シートが A4用紙 1 枚に作成される(図 5). 指導シートの説明項目は,①「使用薬剤」②「治 療スケジュール」③「当日の治療の流れ」④「当 日の治療費」⑤「治療による副作用(発現時期と その対処法)」の 5 つで構成されている.①「使 用薬剤」ではレジメンに登録されている抗がん剤 の商品名(一般名)と薬剤の説明が表示される. ②「治療スケジュール」では,コース期間,使用 薬剤と投与日がテーブル形式で表示され,内服薬 がある場合には,テーブルの下に内服開始日と投 与期間が表示される.③「当日の治療の流れ」で 図 3 レジメン情報の画面 図 4 個別指導シート作成画面

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は,治療薬剤の順番ごとの投与時間が総投与時間 と共に表示される.④「当日の治療費」では,使 用予定薬剤数の合計薬価,外来化学療法加算,無 菌製剤処理料の総計を 3 割負担した場合の金額が 表示される.⑤「治療による副作用(発現時期と その対処法)」では,我々が前に報告した副作用 モニタリング方法3)に従い,使用される抗がん剤 の各副作用発現率の総計が 20%以上となるもの が自動的に表示され,発現時期の最小から回復期 の最大までが「起こりやすい時期」として表示さ れる.薬剤固有の副作用がある場合には,テーブ ルの下部に文章で症状と対処法が表示される. (3)薬剤師支援機能 前項で説明した使用予定薬剤数等を入力する フォーム(図 4)上では,身長・体重からの体表面 積の算出と,それに対応する投与量を算出する計 算機を備えている.また,カルボプラチンのように area under the blood concentration-time curve(AUC) で投与量を決定する薬剤についても,年齢と血清 クレアチニン値より推定する Jellife 式での算出が 可能である.このため,オリエンテーション予定 の患者に対して薬剤師が迅速に投与量の計算から 指導シートを作成することができる.さらに,同 画面では指導シートの「治療による副作用(発現 時期とその対処法)」の作成に用いられる詳細情 報の参照が可能となっている.参照画面には,レ ジメンのコース期間,適応疾患のほか,抗がん剤 ごとの全副作用の発現頻度,発現時期,固有の副 作用および副作用の特記事項が表示される(図 6). (4)レジメン薬価表作成機能 オリエンテーションに参加するソーシャルワー カーが,レジメンごとの薬価を把握できるように するため,薬剤師はレジメン価格を一覧表にして 情報提供している.対象患者のステータス(身長, 体重,年齢,血清クレアチニン値)を入力し,そ の理論投与量から対象疾患分類ごとの総薬価(10 割)をレポートと Excel 形式で出力することがで きる(図 7). 2.指導シートの定型の作成時間の調査 指導シートの定型の作成における本システムの 効率性を評価するため,外来化学療法室で業務に 図 5 個別指導シートの一例

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携わる薬剤師 6 名(経験年数 2~3 年目)を対象に, システム導入前(Excel 使用)とシステム導入後 (Access 使用)での指導シートの定型の作成に要 した時間を比較した.なお,指導シートの定型の 作成対象となるレジメンは再発卵巣がんに適用さ れる「ドキソルビシン塩酸塩 リポソーム注射剤 (ドキシル® )単独療法」とした. 作成時間の調査方法は,導入前の作成時間とし て,①従来使用していた抗がん剤副作用情報の入 力専用 Excel(図 8 左)への入力時間 ② Excel 図 6 薬剤師支援機能(左:計算機 右:副作用情報) 図 7 レジメン価格一覧と患者ステータス入力画面

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の雛形(図 8 右)を用いた指導シートの作成時間 ③模擬患者へ情報提供するための価格の計算時間 の 3 項の総計とした.一方,導入後の作成時間と しては,①本システムへの薬剤登録と副作用情報 の入力時間 ②レジメン情報の入力時間 ③模擬 患者への指導シート出力までの時間の 3 項の総計 とした.なお,薬剤に関する情報の収集については, インタビューフォーム,適正使用ガイド,添付文書, 文献(インターネット利用を含む)および書籍な どを使用し,記録すべき副作用情報を選択する時 間については,システム導入前後での共通業務と して調査した. 3. 指導シート作成システム運用前後の業務量調 査 2010年 11 月~2011 年 1 月の期間のシステム導 入前に実施した 88 件のオリエンテーション,お よび 2011 年 2 月~4 月の期間のシステム導入後 に実施した 79 件のオリエンテーションにおいて, それぞれの指導シート作成に要した時間を比較し た.また,指導シート作成時間が長くなると作成 途中で中断せざるを得ないことが多くなる.そこ で中断に至った件数(中断率)も比較した. 4.統計学的解析

統計学的処理は StatView-J Ver-5.0(SAS Insitute Inc.)を使用した.各調査時間は平均値±標準偏 差(mean±S.D.)で表し,指導シート作成時間 の変化は対応のある t 検定,業務量調査における 時間の変化は対応のない t 検定,中断率の変化は カイ 2 乗検定を用いて統計学的解析を行った.危 険率が 5%未満の場合を有意差ありとした.

結  果

1.運用 2011年 4 月末日までに登録されているレジメ ン数は 204 件であり,そのうち 5 件は本システム 導入後に登録された.システム導入後の薬剤登録 数は 6 件であり,その内訳は新薬 1 件,後発医薬 品 5 件(抗がん剤は 2 件)であった.この後発医 薬品を含む対象レジメン数は 89 件であった.さ 図 8 本システム導入前に使用していた Excel による管理画面と指導シートの定型の雛形

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らに,すでにレジメン登録されている薬剤の変更 事例は 3 薬剤であり,対象レジメン数は 33 件で あった.これらの変更および登録では,変更が確 定した当日に迅速に対応し,その都度ソーシャル ワーカーへレジメン薬価表を提供した. 2.指導シートの定型の作成時間の比較 本システム導入前の Excel による指導シートの 定型の作成では,その作成から患者提供までに要 した総作成時間は 61.2±26.4 分であった.項目別 では,①抗がん剤副作用の情報入力専用 Excel へ の入力時間は 25.8±18.0 分 ②雛形を用いた指導 シートの作成時間は 27.8±13.3 分 ③模擬患者の 価格計算時間は 7.5±2.7 分であった.一方,本シ ステムの使用による総作成時間は,19.0±3.7 分と 有意に短縮し(p<0.05),各薬剤師間のばらつき も減少した.項目別では,①本システムへの薬剤 登録と副作用情報の入力時間が 9.2±3.8 分 ②レ ジメン情報の入力が 6.7±2.6 分 ③模擬患者への 指導シート出力が 3.2±2.0 分であった(図 9). なお,両手法に共通する作業である,インターネッ トや書籍を利用しての薬剤の副作用情報収集にか かる時間は 63.3±23.8 分であった. 3.指導シート作成時間の変化 システム導入前の 2010 年 11 月~2011 年 1 月 末にかけて行われたオリエンテーション(88 件) における指導シートの平均作成時間は 17.1±7.0 分であった.一方,システム導入後 2011 年 2 月 ~ 4 月末に行われたオリエンテーション(79 件) における指導シートの平均作成時間は 3.8±2.3 分 と著明に短縮した(p<0.0001)(図 10).また, 指導シート作成中の作業中断事例は,導入前は 88件中 29 件(33.0%)であったのに対して,導 図 9 指導シートの定型作成時間の比較  *p<0.05 図 10 指導シート作成時間の変化  **p<0.0001

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入後は 79 件中 2 件(2.5%)と著明に減少した(p <0.0001).

考  察

がん化学療法は,新たな作用機序や副作用軽減 を目的とする薬剤の登場に応じて日々変化してお り,その治療内容を十分に患者に理解させ適切な 薬剤情報提供を行ううえで,指導シートの作成や 管理は薬剤師にとって重要な業務である. 従来の指導シートの定型は,Excel によって作 成と管理がなされており,診療科ごとの別のファ イルで 1 シート 1 レジメンという管理方法であっ た.そのため,一部薬剤の変更または後発医薬品 への切り替えが生じた場合には,診療科ごとの 11ファイル(100 件以上に及ぶ指導シートの定型) から該当薬剤の有無を確認し,各指導シートの定 型を確認していく以外に更新の方法はなかった. 指導シートの定型によっては長期にわたり更新さ れていないものもあった.また,日々のアクセス で誤操作による意図しないデータ更新が起こった り,Excel のコピーを介した編集・更新操作によ りオリジナルデータの特定ができなくなるなど, 適切な情報管理が困難になっていた.今回,本シ ステムの構築によってデータの一元管理が可能と なり,変更内容の指導シートの定型への迅速な反 映のみでなく,協働してオリエンテーションを実 施する看護師やソーシャルワーカーとの情報共有 もより迅速かつ正確なものに改善された. 本研究により,新規薬剤に伴うレジメンが承認 された場合,Excel を用いた従来の作成方法では, その情報収集から指導シートの定型の作成までに 約 2 時間を費やしていたことが判明した.しかし, 本システムの構築によって,外来化学療法室で利 用される 200 件以上のレジメンは,標準化された 指導シートの定型作成が可能となり,作成時間に おいては従来の 61.2 分から 19 分へと大幅に短縮 された.これにより,従来はレジメン承認直後の 指導シートの定型作成が間に合わないことを理由 に,薬剤師のオリエンテーションのみ後日対応す る事例もあったが,本システムの利用以降そのよ うな事例はなくなった. 薬価計算については,従来は薬価改訂のみなら ず後発品への差替えや新薬採用のたびにインター ネット上で薬価の調査を行ってきた.本システム では,薬価を診療報酬情報提供サービスの医薬品 マスターを使用するため,定期的な更新作業のみ で薬価調査の必要はなくなった. 副作用情報の入力についても,従来は抗がん剤 副作用情報入力専用の Excel を別途作成・使用す ることで情報を管理し,複雑なマクロを組んで集 計することで指導シートの定型を作成の際に活用 していた.この副作用情報の入力専用 Excel では, 薬剤名および副作用の症状を,「行」および「列」 とし発現率を一覧表形式で管理しており,骨髄抑 制による副作用(白血球減少,赤血球減少,血小 板減少)に関しては発現時期の違いから別シート により管理せざるを得なかった.そのためそれぞ れの情報管理用シートが複数にわたる従来の Excel方式では,データの入力・編集・集計作業 に一定の技術が求められていた.さらに,近年多 く承認されている抗体製剤や新機序の薬剤につい ては,従来の抗がん剤の副作用とは類似しない独 特な症状も多く,例えばベバシズマブの高血圧や 蛋白尿,セツキシマブの皮膚症状,オキサリプラ チンの冷感異常等の副作用については,従来の副 作用の症状リストへ発現率を入力する管理方式で は,それら固有の副作用の症状・発現率・発現時 期・対処法に関する調査データを残すことが困難 であった.同様に,今回の「ドキシル® 単独療法」 の指導シートの定型の作成過程においても,従来 の Excel による作成方法の場合では,「手足症候 群」に関する表記の有無やその対処法(記載方 法)4)について,個々の薬剤師によって多くの違 いがみられた.本システムでは,副作用情報を症 状・発現率・発現時期・対処法というこれまでの 入力形式だけではなく,薬剤ごととすることで情 報の入力・編集を簡便化し,さらにこれまで記録 できなかった固有の副作用についての入力も可能 とした.また,指導シートの定型作成時には自動 集計化することで負担を軽減できるばかりでな く,迅速な情報の更新と収集したデータの一元管 理も可能とした.さらに,多くの時間をかけて調 査した詳細情報の記録もその都度参照可能とする

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ことで,同他職種者との様々な情報の共有化ばか りでなく,患者説明を行う薬剤師の知識向上のた めにも役立っている. また,指導シートの作成においても,従来は診 療科別の 11 ファイル(100 以上の Excel シート) から該当する指導シートの定型を検索した後に印 刷し,さらに別のソフトより治療費を計算した後 追記するという多元的な手法であったが,本シス テムの導入以降は,定型選択・治療費計算・印刷 までを一元化することにより,その作成時間は従 来の 17.1 分から 3.8 分へと大幅に短縮された. オリエンテーションの事前準備に関しては,指 導シート作成のみならず,患者情報の十分な調査 も極めて重要である.しかし,これまでは資料作 成にある程度の時間を要したため,この患者背景 調査が不十分であることが多かった.さらに,混 合調製業務の合間の時間も利用せざるを得ない多 忙な状況において,資料作成の中断を強いられる 薬剤師の心理的な負担も少なくなかった.今回, 本システム導入による資料作成時間の大幅な短縮 に伴い,その中断割合も従来の 7.6%へとほとん ど解消されたことから,薬剤師の心理的負担の軽 減ばかりではなく,その短縮できた時間を十分な 患者背景調査に充てることも可能となった. 以上のことから,今回構築したシステムは,指 導シートの定型や指導シート作成の効率化および 標準化,さらにデータ管理の一元化を可能とする システムとして極めて有用であることが明らかと なった(表 1).

引用文献

1) 辻  敏 和, 渡 邉 裕 之, 吉 田  実, 中 嶋 一 恵, 児玉亜由美, 大林かよ, 江頭伸昭, 中西洋一, 大石了三, 外来化学療法における繰り返しの情 報提供の効果-mFOLFOX6/FOLFIRI療法に関 する患者アンケート調査-, 日本病院薬剤師会 雑誌, 2010, 46, 513-517. 2) 渡邊裕之, 相良英憲, 伊藤善規, グリム理恵子, 高田敦史, 坂本節子, 山本直子, 古賀友一郎, 千堂年昭, 五味田裕, 中西洋一, 大石了三, 外来化 学療法室における患者アンケート調査に基づく 患者満足度の評価, 日本病院薬剤師会雑誌, 2007, 43, 201-204.

3) Ikesue H, Ishida M, Uchida M, Harada M, Haro T, Mishima K, Itoh Y, Kotsubo K, Yoshikawa M, Oishi R, Monitoring for potential adverse drug reactions in patients receiving chemotherapy, Am J Health Syst Pharm, 2004, 61, 2366, 2368-2369. 4) 厚生労働省, “重篤副作用疾患別対応マニュアル, 手足症候群”, 2010, pp.1-38. 従来の手法 本システム 雛形作成 手入力作成

自動作成 資料作成時のレジメン選択 11Excelファイル 100 シート以上のファイルより検索し選択 一般(アルファベット順)よりクリックし選択 レジメンの副作用 副作用集計 Excel にてマクロを利用し集計その後,集計結果を雛形へ入力 レジメン選択時に自動集計・抽出しその結果を指導シートへ即時反映 薬価改定(⇒価格計算) (⇒手入力計算)ネット上で調査後 Excel へ手入力 (⇒自動算出)診療報酬情報 HP よりダウンロード 薬剤の変更 該当薬を含むレジメンを全て検索後,手入力変更 データ検索後,該当データ差し替えのみ 雛形作成時間 61.2±26.4 分 19.0±3.7 分 資料作成(出力)時間 17.1±7.0 分 3.8±2.3 分 表 1 従来の手法と本システムの比較

参照

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