文教 大学 におけ る体 育科 教育 の授業 に関す る研 究
球技領域 に対す る実態調査 から
深 町 明 夫 ・ 中 林 忠 輔How to Organize a Class of "The Physical Education Teaching"
A Research in Bunkyo U. with Special Reference
to Ball Games
Akio Fukamachi Tadao Nakabayashi
1は じ め に
よ い体 育 の 授 業 とは高 田典 衛 氏 が 述 べ て い る よ うに,1.せ い い っ ぱ い運 動 させ て くれ た 授 業,2.ワ ザ や 力 を伸 ば して くれ た授 業 3.友 人 と仲 よ く学 習 させ て くれ た 授 業,4.
何 か を新 し く発 見 させ て くれ た 授 業 で あ ろ う.
この よ うな児 童 に とって 望 ま れ る授 業 を実 際 に行 うに は経 験 が 大 き な 役 割 を果 た して い る.し か し経 験 だ けで は この よ うな 授 業 が 出 来 る と は思 わ れ ず,そ こに は授 業 を遂 行 す る 上 で の原 理,原 則 が あ る.将 来,教 員 を 目指
す学 生 は実 際 に指 導 す る機 会 に は 余 り恵 ま れ な い が,大 学 の 授 業 な どを通 し論 理 とそ れ を ふ ま え た経 験 豊 富 な教 員 の考 え方 等 を早 期 に 吸収 す る こ とは 大 切 と思 わ れ る.
本 学 教 育 学 部 初 等 教 育 課 程 の体 育 科 教 育 に お いて もそ の意 義 の も とに よ りよ い授 業 を行 な い,学 生 が 望 ま しい指 導 者 と して 育 つ こ と を期 待 す る もの で あ る.3年 次 に履 修 す る体 育科 教 育1‑2は,定 め られ た 担 当 の学 生 が 他 の学 生 を指 導 す る授 業 形 態 で行 な わ れ て お り,教 員 は指 導 担 当 者 の事 前 指 導(指 導 案 の 点 検 等)や 授 業 時 の ア ドバ イザ ー と して係 わ る.そ して 学 生 は年 間 で 器 械 運 動,陸 上 運 動,
ボ ー ル運 動,表 現 運 動 の 四領 域 を演 習 履 修 す る.従 って各 領 域 を学 習 す る授 業 時 数 は5〜
6時 間 とな る.
ボ ー ル運 動 に お い て は,授 業 前 に 「ボ ー ル 運 動 に何 を期 待 す るか 」,授 業 後 に 「ボ ー ル 運 動 を 終 え て 」,指 導 担 当 者 に は 「指 導 を終
えて 」 の レ ポ ー ト提 出 を義 務 づ け て い る.
本 研 究 は レ ポ ー トの記 述 内容 を分 折 す る こ と に よ り,授 業 に よ る教 材 に対 す る意 識 の 変 容 や一 般 的 球 技 指 導 上 の 留 意 点 と学 生 指 導 者 が 関心 を示 す 留 意 点 との 相 違 な どを検 討 す る もの で あ る.球 技 は 基 礎 技 能,応 用 技 能,ゲ ー ム,ま た個 人 技 能,チ ー ム プ レー な ど様 々 の形 態 を含 ん で い るの で,望 ま しい 授 業 の 進 め方 につ い て は模 索 ・研 究 の余 地 が 多 く,今 回 は学 生 の実 態 を 把 握 す る こ とに よ り今 後 の 指導 の 基 礎 資 料 とす る もの で あ る.
H研 究 の 方 法
1.授 業 前 後 の レ ポ ー ト記 述 内容 の 分 類 ・分 折 法 につ い て
ボ ー ル運 動 に お い て は,授 業 開 始 に先 だ ち
「ボ ー ル運 動 に何 を期 待 す るか 」,授 業 終 了 時 に 「ボ ー ル運 動 を 終 え て」 の題 目 に よ る レポ ー トを課 して い る.レ ポー トは400字 詰 め原
稿 用 紙1枚 と し,原 則 と して題 目,専 修,学 籍 番 号,氏 名 を そ の 中 に記 す の で,記 述 は実 質360字 程 度 とな る.そ れ は受 講 に あ た り, 目的 意 識 や 心 構 え等 を 明 確 に させ,さ らに終 了 時 に は 自己 の期 待 した 事 柄 との 照 合 に よ っ て,今 後 の 課 題 や反 省,授 業 に対 す る意 見等 を提 起 させ る の に有 意 義 で あ る と考 え られ る.
本 研 究 は こ の レポ ー トの記 述 内容 を分 類 ・分 折 す る こ と に よ り,学 生 の 意 識,態 度 変 容 を 知 り,今 後 の指 導 に 役立 て よ う とす る もの で
分 折 方 法 は以 下 の様 で あ る.
レポ ー トに述 べ られ て い る 内容 を使 用 語 句 を 中心 に,A群 一教 材 の 特 性 に 関 す る事 項, B群 一 指 導 に関 す る事 項,C群 一 技 能 に 関 す る事 項,D群 一 チ ー ム に関 す る事 項,E群 一 ル ー ル や知 識 に 関 す る事 項,F群 一 態 度 や安 全 に関 す る事 項,G群 一 体 力 や健 康 に関 す る 事 項,H群 一 そ の他 の 事 項 の8群 に分 類 す る.
各 群 は相 互 に 関連 しあ う もの で あ る が,文 章 表 現 や語 句 の用 い方 か ら分 類 を行 い,難 解 の もの は 研 究 者 両 者 の 合 意 判 断 に よ っ た.な お 各 群 の 具 体 的 用 語 及 び事 項 は次 の よ うで あ る.
A群 一 他 教 科 や 領 域 との 関 連,ボ ー ル の特 性, 集 団 技 能(チ ー ム)重 視,楽 し い ・好 ま れ る
・親 し ま れ る運 動 遊 び ・ゲ ー ム的 要 素 が強 い, レ ク リエ ー シ ョン ・生 涯 ス ポ ー ツ と して 有 効 な ど,B群 一 準 備 ・整 理運 動,説 明,示 範, 教 材 の 配 列,運 動 量(練 習 回数),指 導 者 の 運 動 参 加,慣 れ させ る指 導,未 熟 者(低 技 能 者)へ の配 慮,楽 し さ ・楽 しい 指 導,指 導 の 難 ・易,よ り良 い(効 果 的)指 導 法,指 導 者 の 資 質,指 導 法 に関 す る一 般 的 事 項 な ど,C 群 一 ボ ー ル(用 具)の 扱 い方,個 人 ・基 礎 技 能,集 団 ・応 用 技能,基 礎 と応 用 との 関 連,
ゲ ー ムの 進 め方,自 己 技 能 の 優 ・劣,教 師 に 必 要 な 技 能,苦 手 な種 目 な ど,D群 一 集 団 行 動,チ ー ム編 成,チ ー ム ワ ー ク,チ ー ム プ レ ー,リ ー ダ ー シ ッ プ,チ ー ム で の 役 割 な ど, E群 一 ル ール ・規 則 の 重 要 性,ル ール の熟 知 度,ボ ー ル運 動 に つ いて の知 識,審 判 の 仕 方
な ど,F群 一 勝 敗 に対 す る態 度,社 会 性 ・社 会 的 態度,協 調 性 ・協 力 的 態 度,ゲ ー ム中 の マ ナ ー ・態 度,ス ポ ー ッ マ ン シ ップ,ル ー ル
・規 則 を守 る態 度,人 間 性 ・精 神 的 影 響,安 全 に対 す る配 慮,怪 我 の防 止 な ど,G群 一 体 力 を養 う,健 康 を高 め る,自 己 の 体 力 評 価, 運 動 の 心 身 に与 え る価 値 な ど,H群 一 コー ト, 用 具,発 育 と教 材,評 価,個 人 差,性 差 な ど.
次 に,「 ボ ー ル運 動 に 何 を 期 待 す るか 」 と
「ボ ール運 動 を終 えて 」 の レ ポ ー ト別 に各 専 修 に分 け,具 体 的 事 項 の記 述数(度 数)を 求 め て か ら各 群 の集 計 を した.こ れ を専 修 別 に 人 数 に対 す る百 分 率 及 び全 度 数 に対 す る百 分 率 を算 出 した.一 群 の 中 で も数 用 語 を用 い て 記 述 して い る場 合 が あ る の で 人 数 に対 す る 百 分 率 は100%を 越 え る もの が 出 た.本 来 比 較 研 究 法 と して は分 布 の仕 方 や 集 団 間 の差 の 有 意 性 等 を基 に して,検 討 論 述 す べ きで あ る が,本 研 究 は ボ ール 運 動 の み を対 象 と した実 態 把 握 が主 眼 で あ るの で,度 数 及 び百 分 率 に
よ る検 証 に と ど ま っ た.な お 調 査 対 象 は53年 度 生 と した が,レ ポ ー トの記 述 量 が400字 を 越 え る もの は 除 外 した.
2.指 導 上 の 留 意 点 に つ い て
学 生 は 図 一1に 示 され た 内容 に 沿 って,指 導 の割 り当 て が決 定 され,指 導 案 の 作 成 に 入 る.指 導 案 の 作 成,展 開 に際 して は図 一2の 様 な 内 容 が 示 され て お り,ま た指 導 上 の 留 意 点 と し て,ボ ー ル 運 動 の 特 性(ボ ー ル を用 い て行 な われ る,チ ー ムゲ ー ム,個 人 技 能,
図1授 業の進 め方
週 種 目 A輪 銘+・・分 B20分 C20分 1 ド ッ ジ ボー ル投 げ遊 び ① ボール投げ遊び② ド ッ ジ
ボ ー ル
2 ゜一 ト パ ス ・ド リ ブ ル ㍗ 貿3対2 ゲ ー ム
3 バ スケ ッ ト パ ス シ ュ ー ト
ド リ ブ ル 3対22対2 ゲ ー ム
4 ラ インサ ッカーソ フ ト ボ ー ル け ラ イ ン
り遊 び サ ッ カ ー
ト ス バ ッ テ ィ ン グ
ゲ ー ム
(ソフ ト) 5 サ ッ カ ー キ ッ ク ド リブル
トラ ップ シ ュー ト 孫 ン3対1 ゲ ー ム
図2指 導案 の作成 展 開の様 式 本 時 の ね らい
ね ら い
3人 の担 当者 共通 の ね らい
各 担 当 者 の ね らい 段階 時間 学習 内容 学習活動 指 導上 の留意点 備 考 導入 運動技能 運動方法 技能 の要点 運動 場の や ル ー ル の図 示 と 社 会的態度,健 使用 法 展開 な どの具 解説 康安 全へ の配 惹 隊形 の変
体 的 内容 指 導の留意点 化
整理 (項 目) 用具 ・評
価
集 団 技 能 を重 視,調 整 力 の 向上,集 団 と して の 協 力,勝 敗 に対 す る態 度)指 導 上 の 問 題 点(基 礎 的 技 能 を ゲ ー ム に 結 びつ け る に は どの よ う に した らよ い の か.チ マ ム の 編成 は どの よ う にす れ ば よ い か.協 力,責 任,公 正 な ど社 会 的 態 度 を育 て るに は ど う した らよ い か.狭 い運 動 場 に お け る効果 的 指 導 は どの よ うに した らよ いか.基 本 → 動 き→ 対 敵 → ス コ ア リン グ→ ゲ ー ム の流 れ を ど う授 業 に生 か す か)が 提 示 され て い る.指 導 案 は前 述 され た 内 容 を ふ ま え,一 案 提 出,ミ ー テ ィン グ,修 正 案 提 出 の過 程 を経 て 授 業 に 入 る.授 業 終 了 後 に は 「指 導 を し て み て 」 とい うレ ポ ー トの 提 出 を終 えて,教 材 研 究 授 業 が 終 了 す る.学 生 が 指 導 案 作 成,実 践 授 業 の過 程 に お い て考 慮 しな け れ ばな らな い こ とは数 多 くあ るが, 指 導案 の 作 成 過 程 で 遭 遇 す る もの に限 定 して 考 えて み る.
表1
番号 用 語
1 指 導案 下準備
2 説 明 ① 内容 ② 声 ③ 時機 ④ 隊形 ⑤ 図表
⑥ 示範
3
技術 指導
① 内容 ② 教材 の配列 ③ 時間 の配分 ④ 練 習回数 ・運動量 ⑤ 対応力 ⑥ 技術差 ・男女差 個人差 ⑦ 練習隊形 ・班 編成 ⑧ 笛 の使 用
4 ゲ ー ム指 導 ① チ ー ム編 成 ② チ ー ム人 数
③ ル ー ル ④ 審 判
5 社 会 的 態 度 ① 協力 ・意 欲 ・態度 ② チ ー ム ワ ー ク
③ 役 割 分 担
6 安全
7 施 設 ・用 具 ① 施 設 ・コ ー ト ② 用 具 ③ 環 境 8 体 力 ・健 康 ・発 育 ・発 達 との 関 連
9 指導者 の資質 ① 体力 ・運動能力 ② 知識
考 察 は前 述 され たr指 導 を終 えて 」 の レ ポ ー トに表 され て い た 用 語 を表1に 示 した要 素
に分 類 し て,学 生 が 授 業 の展 開 に際 し,ど の よ うな要 素 に着 目 して い る か を数 量 的 に処 理 し,学 生 の指 導 に対 して 留 意 して い る点 を把 握 す る と と もに,男 子 と女 子 の比 較,⑦ 群(準 備 運 動,個 人 技 術),④ 群(対 人 技 術),◎ 群
(ゲ ー ム)に 分 類 して,そ れ ぞれ の分 野 にお け る留 意 点 の差 を 吟 味 す る.な お 徴 妙 に どの 要 素 に入 る か に つ い て は前 項 同様 研 究 者 の 合 意
に よ っ た.
1皿 結 果 と 考 察
1.授 業 に よ る ボ ー ル 運 動 教 材 に 対 す る 意 識 の 変 容 に つ い て
授 業 前 に 提 出 され た 厂ボ ー ル 運 動 に 何 を 期 待 す るか 」 に 述 べ ら れ て い る 事 項 の 群 別,専 修 別 記 述 数(度 数)及 び 人 数 に対 す る 百 分 率, 全 度 数 に 対 す る百 分 率 な ど は表 一2の 通 りで
あ る.
記 述 さ れ て い る 用 語 句 や 事 項 の 総 数 を人 数 で 除 し た も の(f/N)を 表2の 下 欄 に 掲 げ た が,平 均4.8項 目 に つ い て 述 べ て い る こ と に な る.各 専 修 と も5項 目 前 後 に 分 布 し て お り, 記 述 数 に つ い て は 大 差 が な い もの と 考 え ら れ
る.
次 に 群 別 の 記 述 数 か ら の 結 果 を見 る と,F 群 一 態 度 ・安 全A群 一 教 材 の 特 性B群 一 指 導D群 一 チ ー ムC群 一 技 能E群 一 ル ー ル ・知 識,G群 一 健 康 ・体 力,H群 一 そ の 他 の 順 に 記 述 数 が 多 く,各 群 内 の 具 体 的 事 項 で50名 以 上 の 多 く が 述 べ て い る も の は 次 の 通
り で あ る.(注)記 述 数 を()で 示 し た.
F群 協 力 ・協 調 性(187),社 会 性(78) 勝 敗 に 対 す る 態 度(60),安 全 や 怪 我 の 防 止
(52),A群 楽 し さ(204)遊 び ・ゲ ー ム(67), 集 団 で 行 な わ れ る(53),B群 楽 し い 指 導
(141),効 果 的 指 導(75),指 導 法 一 般(66), D群 チ ー ム ワ ー ク(チ ー ム プ レ ー)(232), 集 団 行 動(57),C群 基 礎 ・個 人 技 能(172),
表2
専 修
群(N)人 数
国 語 社 会 数 学 理 科 音 楽 美 術 体 育 家 庭 特殊教育 計 順 位
128 93 97 27 43 24 47 37 14 510
A 教 材 の 特 性 iio ‑8619 84 ‑9019 77 ‑79is 25 ‑9317 48 11223 24 ‑io1 32 6814 26 ‑ 7015 io ‑7114 436 85is 2 B 指 導 99 ‑7717 68 73
‑
15 95 98
22 17 63
12 31 72
‑
15 19 7
1 45 96
‑
19 29 78
‑
16 14 100
‑
19 417 82
‑
17 3
C 技 能 96 ‑7516 65 ‑1570 40 ‑419 24 ‑8917 30 1470 14 ‑511 33 ‑7014 20 1154 12 一一8616 334 ‑6514 5 D チ ー ム 94 ‑ 7316 55 ‑5912 65 ‑6715 24 ‑8917 28 1365 18 ‑7514 26 ‑5511 26 ‑7015 7 ‑50io 343 ‑6714 4 E ル ー ル ・ 知 識 66 ‑ 52
11 47 冖51
11 50 52
iz 15 56
‑
10 19 44
9 12 50
‑
10 14 30
‑
6 14 38
8 9 64
‑
iz 246 一48
ユ0 6
F 態 度 ・ 安 全 93 73is 97 ‑10422 72 7417 28 10420 43 ‑10021 31 12925 63 ‑13427 47 ‑12727 19 13626 493 ‑9720 1 G 健 康 ・ 体 力 21 ‑164 19 204 20 ‑215 9 ‑336 8 194 6 ‑255 is ‑388 11 306 2 ‑143 114 ‑225 7 H そ の 他 14 ‑112 7 ‑ 28 13 ‑133 1 ‑ 41 2 ‑ 5i 1 ‑ 41 3 ‑ 61 4 冖11
2 0 0
0 45 9
2 8
度 数 合計(f) 593 442 432 143 209 125 234 177 73 2,428 一
f/N 4.6 4.7 4.5 5.3 4.9 5.2 5.0 4.8 5.2 4.8
(注)巨 圧
① 記述数(度 数)② 度数の人数 に対する百分率③ 度数の度数合計に対す る百分率
応 用 ・集 団 技 能(59)E群 ル ー ル の 重 要 性 (159),ル ー ル の熟 知 度(52),G群 体 力 を養 う(72).
各 専 修 に よ る顕 著 な差 は認 め難 い が,8割 以 上 の学 生 が述 べ て い る事 項 に 注 目す る と, F群 は 社 会,理 科,音 楽,美 術,体 育,家 庭, 特 殊 教 育,A群 は 国語,社 会,理 科,音 楽, 美 術,B群 は数 学,体 育,特 殊,C群 は理 科, 特 殊,D群 は理 科 で あ る.
従 って 授 業 前 の教 材 の 受 け止 め方 や 授 業 に 期 待 す る姿 勢 と して は,小 学 校 指 導 書 体 育 編 に述 べ られ て い る と こ ろの 「体 育 に お け る運 動 の もつ 意 味 は単 に体 力 つ く りや人 間 形 成 の 手 段 と して だ けに と ど ま らず,運 動 を身 に つ け る こ と 自体 も同 時 に重 視 す る こ とが こ れ か らの 社 会 に生 き る児 童 を考 え る場 合 に必 要 だ か らで あ る.現 在 か ら将来 の 生 活 に わ た っ て 運 動 に 親 しむ こ とが で き る よ うに す る た め に は,運 動 の 技 能 や運 動 を め ぐっ て必 要 な態 度, 行 動 の 仕 方 だ け で な く,何 よ り も運 動 の 楽 し
さ ・喜 び を理 解 させ る こ とが 重 要 で あ る」 を 受 け て,そ れ とボ ール運 動 の 特 性 と を照 合 し て 述 べ て い る と思 わ れ,ご く一 般 的 常 識 的 な 内容 と判 断 で きよ う.す な わ ち ボ ー ル 運 動 の 特 性 を 述 べ る と共 に,そ の 中 で も重 視 しな け れ ば な らな い点 と して,勝 敗 に対 す る態 度 や
社 会 性,安 全 へ の 配 慮,個 人 や 集 団 技能 の生 か し方,ル ー ル を知 りそ れ を守 っ て チ ー ム と
して 協 力 で き る こ とな どを あ げ,そ れ らを ふ ま え て楽 し く指 導 す るた め に は どの よ うにす れ ば よ い か をつ か む こ とを期 待 して い る と考
え られ る.
授 業 が終 了 して か ら提 出 され た レポ ー トに 述 べ られ て い る事 項 の群 別,専 修 別 記 述数(度 数)及 び人 数 に対 す る百 分 率,全 度 数 に対 す
る百 分 率 な ど は表 一3の 通 りで あ る.
記 述 度 数 の人 数 比 は平 均4.5で や や減 少 し て お り,そ の傾 向 は各 専 修 間 に も認 め られ る.
次 に群 別 の記 述 数 か らの結 果 を み る と,B 群 一指 導C群 一 技 能,F群 一 態 度 ・安 全,
E群 一 ル ール ・知 識D群 一 チ ー ム,A群 一 教 材 の特 性,G群 一 体 力 ・健 康H群 一 そ の 他 の順 に記 述 度 数 が 多 く,各 群 内 の具 体 的 事 項 で50名 以 上 の 多 くが 述 べ て い る もの は次 の 通 りで あ る.(注)記 述数 をOで 示 した.
B群 楽 し い 指 導(128),効 果 的 指 導 法 (100),指 導 法 一 般(66),指 導 は難 しい(65) 示 範 な ど(63),説 明 法(56),C群 基 礎 ・個 人 技 能 が劣 る,教 師 に必 要 な技 能(74),自 己 技 能 が劣 る(64),F郡 協 力 ・協 調 性(155), 安 全 へ の配 慮 ・怪 我 の 防止(79),社 会 性(63), 勝 敗 に対 す る態度(51),規 則 を守 る態 度(50),
表3
専 修
群 人 数(N)
国 語 社 会 数 学 理 科 音 楽 美 術 体 育 家 庭 特殊教育 計
130 124 132 36 40 25 59 38 18 602 順位
A 教 材 の 特 性 75 5813 52 4210 38 ‑297 21 ‑5813 20 ‑1050 19 ‑7614 24 419 19 5011 13 ‑7217 281 4711 6 B 指 導 143 11025 128 10324 147 ‑11127 44 ‑12227 53 13327 37 i4s28 90 ‑15333 36 9521 21 11728 699 11626 1 C 技 能 120 ‑2五92 85 ‑6916 90 6817 28 7817 35 ‑8818 is 5610 43 7316 25 66
15 11 61
14 451 75
‑
17 2
D チ ー ム 60
冖46 10 65 ‑52
12 71 54
13 20 56
12 15 38
8 10 40
7 28 47
‑
10 16 42
9 6 33
8 291 48
11 5
E ル ー ル ・ 知 識 74 57
13 58 47
11 60 ‑45 11 14 冖39
8 29 73
is 13 52
‑
10 32 54
12 26 68
is 16 89
‑
21 322 53
12 4
F 態 度 ・ 安 全 57 ‑1044 122 ‑9823 98 ‑ 74is 28 7817 27 ‑6814 27 10820 43 ‑7316 32 ‑ 84
19 6 33
8 440 ‑73
is 3
G 健 康 ・ 体 力 35 276 14 113 24 ‑ 184 7 194 11 ‑286 10 407 1 20 11
29
‑
6 1 6
‑
i 114 ㎝19
4 7
H そ の 他 17 ‑13
3 14 11
‑
3 16 12
‑
3 4 11
2 4 10
2 4 is
3 12 20
‑
4 6 is
‑
4 2 11
3 57 9
‑
2 8
度数 合計(f) 581 538 544 166 194 134 273 171 76 2,677 一
f/N 4.5 4.3 4.1 4.6 4.9 5.4 4.6 4.5 4.2 4.5 一
(濁[圖
① 記述数(度 数)② 度数 の人数 に対する百分率③ 度数の度数合計に対する百分率
E群 ル ー ル の重 要 性(124),ル ール の 熟 知 度 (108),知 識 の必 要 性(53),D群 チ ー ム ワー ク(171),A群 楽 し さ(200)
専 修 別 に見 る とB群 は全 専 修 の95%以 上 の 学 生 が記 述 して い る他,F群 を社 会 と美 術, C群 を国 語 が 多 く述 べ て い る.(9割 以 上).
社 会 専 修 が社 会 的 態 度 や協 調 性 を強 調 して い る点 は注 目 に 値 す る.
授 業 後 で は,実 技 ・演 習 の 体 験 に よ って, や や 抽 象 的 で あ っ た体 育 観 や 教 材 観 が 具体 化
され る と共 に,将 来 教 師 と して 指 導 す る場 合 を意 識 ・自覚 して か,記 述 内容 が指 導 との 関 連 性 が強 くな って い る.指 導 に関 して は,前 述 した事 項 の 他 に教 材 の 配 列 や授 業 の 流 れ, 指 導 者 の 資 質,運 動 量 や 練 習 回数 等 をか な り
の者 が あ げ よ りよ い指 導 をす るた め に着 眼 点 も定 って きた よ うで あ る。 技 能 面 で は,基 本 的 技 能 の重 要 性 を 認 め,自 己 の能 力 を伸 ば し 教 師 と して 児 童 と共 にゲ ー ムが 出来 る よ うに 望 ん で い る.ま た種 目 と して は サ ッ カ ー を苦 手 とす る もの が 女 子 に 多 く,今 後 の課 題 と な った.態 度,安 全 面 で は社 会生 活 に必 要 な 種 々 の 規 範 を学 ばせ る格 好 の教 材 で あ る と し そ れ を ど う育 て指 導 で 生 か す か を知 りた い と述 べ る者 が 多 い.こ れ は チ ー ム ワ ー ク や個 人 を 集 団 の 中 で ど う育 て るか との意 味 あ い か らD
群(チ ー ム)か らの 論 述 で も多 か っ た.ル ー ル や 知 識 面 で は,ボ ー ル運 動 で ル ー ル は重 要 と認 め な が ら も熟知 度 が低 く,さ らに ボ ール 運 動 の 知 識 の 乏 し さや 審 判 の仕 方 に対 す る不 安 等 も述 べ て い る.教 材 と して 楽 しい,親 し み が もた れ る等 を あ げ る者 が 多 か っ た が,児 童 の 立 場 や過 去 の 経 験 か らで は な く,授 業 を 通 して 体 験 し実 感 と して 述 べ て い る点 が,内 容 的 に 授業 前 と異 な る.そ の他,怪 我 防 止 の た め の準 備 運 動 の 必 要 性,体 力 を養 い運 動 の 価 値 を 認 め る,個 人 差 ・性差 を ど う扱 うか, 評 価 に つ い て等 の 指 摘 も あ り,問 題 点 も明 確
に な っ て きて い る よ うで あ る.
以 上,レ ポ ー ト分 折 か ら授 業 前 後 の意 識 に つ い て述 べ て きた が,抽 象 的 か ら具 体 的 に, 学 生 の見 方 か ら指 導 者 的 発 想 へ,受 動 か ら能 動 へ と向上 変 容 す る過 程 を授 業 で正 確 に と ら
え,学 生 の 希 望 を生 か しつ つ 展 開 して い か ね ば な らな い と考 え る.(深 町 明 夫)
2.指 導 者 と して の教 材 意 識 につ い て (1)指 導 案 との 関 連
指 導 案 が学 生 に と って机 上 の もの で あ る と は い え,指 導 案 は教 材 全 体 の 流 れ を把 握 す る 上 で も緻 密 で あ る こ とが要 求 され,そ の 指 導 案 は誰 が見 て 授 業 して も同 じ様 な指 導 が な さ
表4レ ポ ー トに表 わ れた指導 上留 意 した用語 の頻 度
項 目 1 2 316 3一 ⑦ D 412 4‑Q 4‑● 5 6 7 7一 ③ 8 9
頻 数 50 109 92 11 6 7 30 10 24 7 25 13 7 35
% 37:0 80.7 68,1 8.1 II 5.2 22.2 7.4 17.8 5.2 18.5 9.6 5.2 25.9
順 位 3 1 2 9 14 11 5 10 11 11 6 8 11 4
総 数135名
表5男 子 と 女 子 の 比 較
項 目 1 2 316 3‑Q 4 412 m③ IIO 5 6 7 7一 ③ 8 9
男 子 32.6 89.1 80.4 8.4 2.2 8.7 19.6 6.5 17.4 6.5 15.2 10.9 6.5 8.7
女 子 39.3 76.4 61.8 7.9 5.6 3.4 23.6 7.s 18.0 4.5 20.2 9.0 4.5 34,8
△ △ * △ ● * △ △ △ D △
***
順 位
男 3 1 2 10 14 8 4 11 5 11 6 7 11 8
女 3 1 2 9 11 14 5 9 7 12 6 8 12 4
男子46名 女 子89名
△ 女 子 の意 識 が 高 い項 目
*x2検 定***0。01
男女共(%)
**0.05*0.1・0.2
表6ア 群 イ 群,ウ 群 の 比 較
項 目 1 2 316 3‑Q 3一 ⑧ 412 4一 ③ IIO 5 6 7
7一 ③ 8 9
ア% 24.4 77.8 77.8 8.9 4.4 II II 2.2 11:1 2.2 22.2 6.7 6.7 20.0
イ% 51.1 80.0 64.4 15.6 0 0 15.6 0 11.1 II 13.3 11.1 4.4 37.8
ウ% 35.6 ;,, 62.2 0 8.9 11.1 46.7 20.0 31.1 8.9 33.3 11.1 4.4 20.0
順
位
ーア 3 1 1 7 10 10 10 13 6 13 4 8 8 5
イ 3 1 2 5 12 12 5 12 8 10 7 8 10 4
ウ 4 1 2 14 11 9 3 7 6 11 5 9 13 7
ア群 男 子14名 45名 女 子31名
イ群 男 子11名 45名 女 子34名
れ る とい っ た前 提 で立 案 され た もの だ け に指 導 案 に書 か れ た こ とへ の 尊 守 は必 要 条 件 に な る.指 導 案 とか 授業 へ 入 る前 の 下 準 備 は全 体 の37.0%の 者 が 留意 して お り,今 回 の 調 査 で は3番 目 に位 置 して い る.そ の 内容 は指 導 案 は書 い た が,机 上 と現 実 は 違 う とい う主 旨 が 大 半 で,指 導立 案 の 時 機 に もっ と教 材 研 究 が 必 要 で あ るとの 意 見 が見 られ た.男 子 と女 子
との 比 較 に お い て は差 は 見 られ ず,ア,イ, ウ群 との 比 較 で は イ群 の半 数 が この要 素 に着 目 して い る.こ の こ とは対 人 技 能,応 用 技 能 と して 工 夫 され たパ タ ー ンの ド リル を指 導 す る教 材 内 容 が影 響 して い る と思 わ れ る.
(2)説 明
実 際 に 指 導 す る教 材 の 内容 を事 前 に児 童 へ 示 す こ と は大 切 な こ と で あ り,特 に身 体 活 動 を伴 った教 材 に お い て は教 材 内容 の 説 明 だ け
ウ群 男 子21名 45名 女 子24名
で な く,練 習 の 方 法,ゲ ー ムの ル ール 説 明 な ど多 岐 に渡 って い る.留 意 す る事 項 と して は, 児 童 に わ か りや す い 内 容 で説 明 で きる か,大
きな声 で は っ き り と意 志 の伝 達 が で きる か, そ の説 明 の 時 期 が適 切 で あ るか ど うか,説 明 す る時 の児 童 の 隊 形 は ど うか,補 助 教 材,図, 表 な どを使 用 して 行 な うの が よ い か な どが 考
え られ る.運 動 の 方 法 を言 葉 だ けの説 明 で 児 童 に対 し十 分 な 理 解 を得 る こ とは 困 難 な事 が 多 く,特 に パ ス,ド リブル な どの個 人 的 技 術 に関 して は 示 範 が 大 切 に な って く る.部 活動 等 で 日頃運 動 に親 しん で い る者 は と もか く,
そ うで な い者 は 示 範 の重 要 性 は認 識 して い る もの の実 際 に は 実 施 に踏 み 切 れ な い で い る こ とが多 く,示 範 で きる技 能 を身 に つ け るか, ま た児 童 を使 って の 示 範 を ど う した ら よい か が留 意 され る点 で あ る.ま た 対 敵 技 術 に して
も ドリ ブル1対1の よ うに相 手 に よ っ て練 習 状 態 が左 右 され る もの,3対2や2対2な ど 各 自 の役 割 を は っ き り認 識 させ るた め の練 習 方 法 上 の 示 範 も考 慮 しな けれ ば な らな い.今 回 の調 査 にお いて は80.7%の 者 が この項 目 を 考 慮 して お り,特 に説 明 す る順 序 とか 内容, 声 の大 き さ,言 葉 使 い に お い て が 多 く見 られ た.男 子 と女 子 の比 較 に お い て は各 要 素 と も 差 は あ ま り見 られ な い 。 ま た ア,イ,ウ 群 間 の差 もあ ま り見 られ な か っ た.説 明 に対 す る 関心 の高 さは予 想 以 上 で あ り,初 め て人 前 で 指 導 す る とい っ た心 理 的 な面 が 多 分 に 影 響 し て お り,初 めて の経 験 とい う こ とで学 生 に顕 著 な 印 象 が あ った もの と考 え られ る.
(3)技 術 指 導 法
技 術 指 導 に 際 して は教 材 の配 列,時 間 の配 分,練 習 回数,運 動 量 が児 童 の 技能 向 上 に影 影 して い る.教 材 の配 列 に関 して は 基 礎 技 術, 応 用 技 術,ゲ ー ムの過 程 に お い て 基 礎 と応 用
との 関 連,応 用 か らゲ ー ムへ の発 展 の 理 解 度 が 留意 す べ き点 に な る.ま た指 導 者 は体 育 が 得 意 で 好 きな者 だ け を対 象 に して 行 な わ れ る とい う訳 で な い の で 下 手 な児 童,遅 れ た児 童 を ど うす るか,ま た男 女 差 は ど うす る か とい った配 慮 も大 切 に な る.指 導 に は一 斉 指 導, 班 別 指 導,個 別 指 導 等 が あ るが,球 技 に お い て は使 用 す る施設 ・用 具 等 の 関連 か ら班 別 指 導 を と る例 が 多 く,一 斉 に同 じ こ と を各 班 が 行 な う とい う こ と で班 編 成 に も留 意 しな けれ ば な らな い.ま た練 習 の 開 始 か ら終 了 時 まで の 指 示 の仕 方 も留 意 しな けれ ば な らな い.笛 の使 用 法 も問題 と して 提 起 され る.今 回 の調 査 にお い て は61.8%と 高 い 関心 を示 して お り, そ の 中 で 時 間配 分,パ ス の 仕 方 等 の技 術 内 容
に関 す る もの が 多 く見 られ る.ま た少 な い な が ら もそ の 場 面 に適 した方 法 を採 用 す る と い った 対 応 力 に関 して も見 られ る.男 子 と女 子 との 比 較 で は男 子80.4%,女 子61.8%と 差 が 見 られ,男 子 の 方 が技 術 指 導 に関 心 が高 い こ と を示 して い る.笛 の使 用 法 に関 して は 全体
と し て は 少 な い な が ら も女 子 の 方 が 着 目 し て い る.ア,イ,ウ 群 間 で の 比 較 で は 班 編 成 に お い て イ 群 に 関 心 の 高 さ が 見 られ て い る.こ の こ と は 主 に 対 人 技 術,チ ー ム フ゜レ イ を 行 っ た グ ル ー プ で あ る こ と と関 係 が あ る と 考 え ら れ る.
(4)ゲ ー ム
球 技 指 導 は そ の 特 性 か ら ゲ ー ム を う ま く と り入 れ る こ と と 言 え る.ゲ ー ム 指 導 に 際 し て 留 意 す べ き こ と は チ ー ム の 編 成,チ ー ム の 人 数,チ ー ム 内 の 役 割 分 担 の 確 認 が 大 切 で あ る.
ま た ゲ ー ム を ス ム ー ズ に 行 な う要 素 と し て ル ー ル 等 の そ の ゲ ー ム に 対 す る理 解 度,知 識 が 必 要 で あ る.そ の ゲ ー ム の 仕 組 み を 熟 知 す る こ と は そ の 種 目 の 特 徴 を う ま く引 き 出 せ る し ゲ ー ム に 対 す る 認 識 も か な り高 揚 で き る.特 に 留 意 し な け れ ば な ら な い 点 は 審 判 法 の 習 得 で あ る.審 判 が う ま くで き る か で き な い か に よ っ て ゲ ー ム の 様 相 は か な り変 化 し て く る.
バ ス ケ ッ トボ ー ル の ゲ ー ム の よ う に コ ー ト内 へ 敵,味 方 が 入 り混 っ て 行 な う種 目 は フ ァ ウ ル を 取 れ る取 れ な い は そ の ゲ ー ム の 成 否 を 決 定 す る 位 の 重 要 さ を持 っ て い る.バ ス ケ ッ ト
ボ ー ル の ゲ ー ム に 限 らず ど ん な 種 目 の ゲ ー ム に せ よ ボ ー ル の 所 有 が ど ち らか の チ ー ム へ 行 くか は 児 童 達 に と っ て は 大 切 な 事 柄 で あ る と い え る.今 回 の 調 査 で は ル ー ル に 関 す る こ と が22.2%と ゲ ー ム指 導 は ル ー ル を 知 っ て い る こ と,少 な い な が ら も審 判 へ の 関 心 が あ る こ とか ら ル ー ル を実 践 場 面 へ 適 応 させ る必 要 が あ る と思 わ れ る.男 子 と女 子 の 比 較 で は ル ー ル,審 判 に 女 子 の 方 が,チ ー ム 編 成,チ ー ム の 人 数 に 男 子 の 方 が 関 心 が 高 か っ た.群 別 で は ゲ ー ム 担 当 の 学 生 に 関 心 が 高 い の は 当 然 と し て もイ 群 に もル ー ル へ の 関 心 が あ り,チ ー ム プ レ イ を主 体 と し た 応 用 技 術 の 練 習 に もル ー ル が 必 要 で あ る こ と を うか が わ せ て い る.
(5)社 会 的 態 度
球 技 に お け る 社 会 的 態 度 の 育 成 は チ ー ム ゲ ー ム ゆ え に生 じ る 児 童 自 身 の 役 割 の 遂 行 ,ゲ
一 ムの 開 始,終 了 時 に お け る あ い さつ,勝 敗 に対 す る態 度,ル ール を 守 って の プ レ イな ど 数 多 くの 場 面 が あ り,そ れ らの 場 面 を利 用 し た チ ー ム ワー ク,リ ー ダ ー シ ップ等 の 育成 が 留意 事 項 に な る.今 回 の調 査 で は17.8%と 球 技 の特 性 か ら考 えて も関 心 は あ ま りな い.こ の事 項 は社 会 的 態 度 に関 す る指 導 が時 間 を か
けて 行 な わ れ る こ とや,内 容 自体 が抽 象 的 で 具体 的 に どの よ うな こ と をす れ ば よ い か とい った 着 眼点 が見 い 出 せ な い か らだ と思 わ れ る.
ア,イ,ウ 群 の 比 較 に お い て33.3%と ウ群 の ゲ ー ム指 導 者 に 関 心 の 高 さが 見 られ た.
(6)安 全
指 導 時 は 事故 の危 険に遭遇 しな けれ ばな らな い.怪 我 や病 気,と きに は死 亡 の 危 険 さ え も 予 想 し な が ら対 処 しな けれ ば な らな い.指 導 は この よ うな事 故 を未 然 に防 止 す る適 確 さ を 持 た な け れ ば な らな い.今 回 の調 査 で は安 全 面 に 関 して の 関心 は低 い様 で あ る.こ れ は.
安 全 指 導 が指 導 の 際 の 必 須 条 件 と して 考 えて い るか ら と好 意 的 に解 釈 で き るが,実 際 の指 導 に立 ち合 った立 場 で い え ば ゲ ー ムの 際,夢 中 に な っ て の衝 突 や予 想 以 上 の速 い パ ス を受 け そ こ な っ て の 突 き指,身 体 接 触 の 際 の 捻 挫 な ど事故 が起 った 時 の み に気 がつ くの が大 半 で あ る と思 え るの で,指 導 の 際 に は安 全 面 で の 留 意 は欠 かせ な い 要 素 と言 え る.
(7)施 設,用 具
コー トに つ い て は場 所 の安 全 の 確 認,児 童 の 発 育 状 態,技 術,人 数,広 さ,ル ー ル との 関 連 で の 適 合 性,用 具 に 関 して もボ ー ル の種 類 とか数 の 適 切 さな どを 留意 す る必 要 が あ る.
ま た施 設,用 具 に つ い て は 事 前 の 準 備,管 理 が 大 切 で,日 頃 か らの確 認 が 大 切 で あ る.今 回 の 調 査 で は18.5%と や や 関心 を示 して い た 要 素 で あ る.男 子 と女 子 の 比 較 で は女 子 の 方 が 関 心 を 示 し,ウ 群 の ゲ ー ム指 導 担 当 者 に関 心 の 高 さが他 の 群 よ り も見 られ た.こ れ はゲ ー ム指 導 時 に お い て の コ ー トの大 き さの決 定 が,サ ッ カ ーの 様 に あ ま りゲ ー ムの 様 相 が わ
か らな い ま ま指 導 す る よ うに な り,コ ー ト作 りを どの よ うに した らよ い か な どの そ の種 目 の知 識 不 足 とか,事 前 準 備 で どの 位 コ ー ト作 りに 時 間 が か か るか と い っ た とま どい が 影 響 して い る と考 え られ る.
(8)健 康 と体 力
児 童 の 健 康 状 態 を知 り,児 童 の体 力 を考 慮 す る こ と は指 導 に と って 大 切 な事 項 で あ る が 今 回 の調 査 で は そ の 関心 は少 な か った.球 技 指 導 とい うこ とで,体 力 向 上 に は あ ま り目 を 向 け て い な か った と考 え られ る.
(9)指 導 者 の 体 力,運 動 能 力,技 術,知 識 今 回 の調 査 で は 指 導 者 本 人 の 体 力,運 動 能 力,技 術,知 識 に 関 心 を よ せ る者 が25.9%い た.女 子 に お い て は34.8%と 男 子 と比 較 して
4倍 も見 られ た.群 別 で は対 人,応 用 技 術 担 当者 に多 く見 られ た.特 に知 識 面 はル ー ル の み で な く運 動 の方 法,技 術 指 導 に もわ た って い る.そ して 女 子 に お い て技 術 面 に関 心 が高 い こ とは,指 導 に必 要 な 技 術 を小 学 校 の 水 準 以 上 に習得 し た い とい う願 望 を意 味 して い る
と考 え られ る.
Nま と め
授 業 前 に 提 出 され た 「ボ ール 運 動 に何 を期 待 す るか」 に述 べ られ て い る事 項 は小 学 校 指 導 書 体 育 編 に述 べ られ て い る 目標,内 容 を受 けて,ボ ー ル運 動 の特 性 と を照 合 した,ご く 一 般 的 常 識 的 な 内 容 で,「 勝 敗 に 対 す る 態度 や 社 会 性 」,「安 全 へ の 配 慮 」,膕 人 や集 団 技 能 の生 か し方 」,「ル ー ル 」,「チ ー ムの 協 力 」 な ど が 顕 著 に見 られ,そ れ らを ふ ま えて 楽 し く指 導 す るた め に は ど う した らよ い か を期 待 して い る.
授 業後 で は実 技 ・演 習 の体 験 に よ って や や 抽 象 的 で あ っ た体 育 の教 材 観 が 具体 化 され た.
将 来 教 師 と して 指 導 す る場 面 を 想定 して の記 述 が 多 く見 られ,内 容 と して は 「指 導 との 関 連 」 に つ い て が 多 くな って お り,児 童 の 立 場 や過 去 の経 験 か らだ けで な く,授 業 を通 して
体 験 し実 感 と して 述 べ て い る点 が 内 容 的 に授 業 前 と異 っ て い る.
指 導 上 の 留 意 点 と な る要 素 を抽 出 して,学 生 の教 材 研 究 授 業 終 了 時 に 提 出 され た レ ポ ー
ト 「指 導 を終 えて 」 に見 られ る用 語 句 を統 計 的 に処 理 して,将 来 小 学 校 の教 員 を 目指 す 学 生 の 段 階 で の 指 導 上 の 留 意 点 を検 討 した 結 果, 関 心 の 高 い指 導 上 の 留 意 点 と して は,「 説 明 指 導 法 」,「技 術 指 導 法 」,「指 導 案 との 関連 」,
「学 生 自 身 の 技 能 ・知 識 面 で の資 質 」,「ル ー ル 」 が あ げ ら れ る.男 子 と女 子 の比 較 に お い て は
「技 術 指 導 法 」 に お い て男 子,「 学 生 自 身 の 資 質 」 に お いて は女 子 に関 心 の 高 さが見 られ た.
ま た指 導 種 目別 に み る と個人 技 術 担 当 者 は技 術 指 導 法 の 「時 間 配 分 」 に対 人 ・応 用 技 術 担 当 者 は,「 指 導案 立 案 と実 践 との くい違 い 」,
「自己 の資 質 に つ いて 」,ゲ ー ム指 導 者 に お い て は,「 ル ー ル の理 解 」 な どに 高 い 関 心 を 示 して い た.運 動 指 導 の必 須条 件 で あ る 「安 全 面 」,球技 の特 性 で あ る 「社会 的 態 度 面 」 に関 心 を示 す 者 が少 なか っ た の は意 外 で あ る が, 今 後,こ れ らの 面 に も関 心 を 示 させ る授 業 を 考 え る必 要 が明 らか にな った.
以 上,レ ポ ー ト分 折 か ら指 導 前 後,指 導 を 終 えて の意 識 に つ い て 述 べ て き た が,抽 象 的 か ら具 体 的 に学 生 の 見方 か ら指 導 者 的 発 想 へ 受動 か ら能 動 へ と変 容 す る過 程 を授 業 で 正 確 に と ら えて い る と思 わ れ,指 導 した学 生 に お い て は 授 業 技 術 に着 目 して い る.こ の よ う に 学 生 の 意 識 は授 業 体 験 で もか な りの 変 容 が見
られ るが,実 践 指 導 に当 っ た学 生 の意 識 は さ ら に高 ま って きて お りこの 様 な形 態 の 授 業 の 重 要 性 を再 認 識 で きた.
今 回 の調 査 は全 受 講 生 及 び指 導 担 当者 に果 した レ ポ ー トに表 わ さ れ て い た 用 語 句 を 中心 に抽 出 した方 法 を と った が,微 妙 に どの 要 素 に組 み 入 れ た らよ い か と い った 解 釈 に 困 る表 現 もあ った り して方 法 論 的 に よ り客 観 性 が 必 要 で あ る と痛 感 させ られ た.今 後 は ア ン ケ ー ト方 式 を採 用 す るな ど して さ らに詳 細 な 指 導
上 の 留 意 点 を探 り,今 後 の授 業 の 基 礎 資 料 と
し た い.(中 林 忠 輔)
参 考 文 献
1.文 部 省:小 学 校 指 導 書 体 育 編1978 2.水 野 忠 文 他:体 育 教 育 の 原 理 東 京 大 学
出 版 会1976
3.前 川 峯 雄 他:体 育 科 教 育 法 杏 林 書 院 1975
4.関 四郎 他:体 育 授 業 シ リー ズ 球 技 指 導 ハ ン ドブ ッ ク 大 修 館1974
5.東 京 都 教 育 庁 体 育 部:体 育 指 導 上 の 諸 問 題1968
6.高 田 典 衛:体 育 授 業 研 究 明 治 図 書1980 7.黒 木 一 美:小 学 校 の ボ ー ル 運 動 泰 流 社
1976
8.中 林 久 二:小 学 校 体 育 指 導 の 研 究 とそ の 実 践 葵 書 房 ユ973