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小学校英語教育における自律性の育成に関する研究

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Academic year: 2021

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小学校英語教育における自律性の育成に関する研究

教科・領域教育専攻 言語系コース{英語) 塩 田 美 穂

1.  研究の背景と目的

2013年12月に報道された「グローパル化に 対応した英語教育実施計画jでは,現在小学校 5・6年生で実施されている外国語活動が教科化 されるとの説明であった。2020年度の教科化全 面実施に向けて,この小学校英語教育の大きな 変換期をいかに捉え,対応していくかを検討す

る必要性があると考えた。

1998年実施の前学習指導要領では,

r

流行j

と「不易Jという言葉が取り沙汰されていた。

小学校英語教育が断切要請,つまり「流行j

によって生まれてきたと捉えるなら,小学校英 語教育における「不易j とは何であろう。時代 が変わっても変わらないもの,それこそが自分 が追究する今後の英語教育の在り方であると考 えた。そして,小学校英語教育における「不易J とは,前学習指導要領から提唱されている自ら 課題を見付け,解決していこうとする生涯学習 の考え方に拠るものであり,これを自律性と捉 えた。自律性育成の視点は,今後の小学校英語 教育を推進していく上で根幹となる考え方であ ると思われる。また,

2 ∞ 8

年告示の小学校学習

指導要領の総合の時間の目標や教育基本法,学 校教育法にも生涯学習やその根本の考えとなる

自律に関する文書が明記されている。一方,ヨ ーロッパの国々では,2

0年前後に学習者オー

トノミーがカリキュラムに明示的に取り入れら れ,言語政策として自律性の育成が図られてき

指導教員 山 森 直 人

ている。そうした背景から,小学校英語教育に おいても自律性を養うことで,子どもたちの生 涯にわたって学て臓ける意欲や態度を育成でき

るものと仮定した。

そこで,本研究では,生涯学習の観長から,

英語学習における児童の自律性の基盤を培う方 法を検討することを目的とする。

2.  論文の構成及ot概要

本論文は, 5つの章から構成されている。第 1章では,本研究の目的と背景について述べた。

第 2章では,先行研究を基に,自律性の定義と 必要性,そして,自律性という言葉が生まれた 歴史的背景と実践の広がりについて概観した。

また,言語教育における自律性の捉え方につい てまとめ, Council ofEurope (ヨーロッパ評議 会,CE)が開発したCom.m.on European  Framework  of  Referenlω r Language,  h町 出ng,Teaching, 

Ass

essment (W外国語 の学習,教授,評価のためのヨーロッパ共通参

照枠,~ ,以下 CEFR)に示された外国語教育の 目的の一つである学習者の自律についても触れ た。さらに自律性育成の実践の例として,フィ ンランドにおける自己評価表の活用を取り上げ,

我が国の小学校教育への適用を検討し,筆者の 視点から自律性の定義づけを行った。第3章で は, CEF官の理念を具現化し,効率的に運用し ようとした ELP(TheEuropean L田 晴 朗ge

(2)

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P O

此島tlio)に注目し,自律性の育成に効果を上げ ている実情を述べた。また,アイルランドにお けるポートフォリオの活用例を取り上げ,その 有用性について触れた。加えて,ポートフォリ オの一般的な定義と学習面における使用の効果 について述べ,小学校においても対話型のポー トフォリオを活用することで,自律性育成に繋 がるのではないかという仮説を立てた。第4章 では,実際に小学校外国語活動において授業の 振り返りカードを使用し,自律性の育成が行わ れるかどうかの調査・分析を行い,研究の成果 について述べた。そして,第5章では,本論の 要約,教育的示唆,今後の課題について記した。

3.  まとめ

本研究で明らかになった成果は,次の4点で ある。

(1)学習における自律性の有用性や自律性育成 を目指した取り組みの例から,小学校英語教育 における自律性育成の支援の意義や方向性を確 認した。

(2)振り返りカードの活用により,クラス全体 の傾向として児童の認知面が高まり,目標の明 確化が行われるようになってきたという,特に 認知的側面,メタ認知的側面での大幅な成長を 確認した。これはすなわち,振り返りカードが 自律性育成の面で有効であることを意味してい る。

(3)教師がコメントを書き加えることで,学習 の振り返りが深まったり,児童の記述内容を印 象づけたりし,自律性育成の促進を確認した。

ω

自律性の育成については,常に4側面から のバランスのよい支援が必要なわけではなく,

児童の個性や発達段階に応じて,ある特定の面 (例えば,情意的側面)からのアプローチに重

点を置くことも必要であるということを確認し た。

4.  おわりに

2020年度の小学校における英語の教科化に 関しては,生涯学習の観県より小学校段階から 自律性の育成を考慮に入れた取り組みが必要で あると考える。近年,頻繁に叫ばれている英語 教育の小・中学校連携の視点からも,小学校で 自律性を育成しておくことは重要であると考え る。教科化にあたっては,自律性育成の4側面 (認知的側面,情意的側面,メタ認知的側面,

社会的側面)からの支援を行う必要性があり,

自律性を促す対話的支援のあり方"の表に示 した内容は,有用であり,参考となりうるであ ろう。この説明をさらに発展的に開発・活用し,

自律性育成に役立てたいと考える。また,自律 性育成に関しては,個性や発達段階に応じた支 援も重要であり,児童一人一人の特徴を見極め,

それに応じて支援の仕方や4側面からの支援に 軽重をつける等の工夫が必要となってくる。さ らに,自律性育成の面からすれば,児童理解が できている学級担任からの支援が,より効果が 高いと恩われる。

今後,実践としてこの対話型の支援法を用い る場合は,児童の記述に対する意識及び児童の 記述内容のマンネリ化を防ぐために,毎回では なく単元を決めて振り返りをさせるなどの工夫 が必要である。また,本研究は,一教員の授業 実践に基づいて考察を行っているため,これを さらに一般化するために,広く教師の支援のあ り方を分析し,発展的に構築する必要があると 考える。

参照

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