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吉村祐貴 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成27年9月

吉村祐貴 学位論文審査要旨

主 査 竹 内 隆 副主査 畠 義 郎 同 久 郷 裕 之

主論文

Mouse embryonic stem cells with a multi-integrase mouse artificial chromosome for transchromosomic mouse generation

(トランスクロモソミックマウス作製に向けたマルチインテグレースマウス人工染色体を 保持するマウスES細胞)

(著者:吉村祐貴、中村和臣、遠藤猛、梶谷尚世、香月加奈子、香月康宏、久郷裕之、

押村光雄、大林徹也)

平成27年 Transgenic Research DOI:10.1007/s11248-015-9884-6

参考論文

1. Exploring new gene integration sites for gene knock-in by gene-trapping strategy

(ジーントラップ法による遺伝子ノックインのための新規遺伝子導入領域の探索)

(著者:南地勇、吉村祐貴、中村和臣、真砂有作、大林徹也、奥田智彦)

平成27年 Transgenic Research 24巻 549頁~559頁

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学 位 論 文 要 旨

Mouse embryonic stem cells with a multi-integrase mouse artificial chromosome for transchromosomic mouse generation

(トランスクロモソミックマウス作製に向けたマルチインテグレースマウス人工染色体を 保持するマウスES細胞)

マウス人工染色体(MAC)ベクターは、数Mbに及ぶ遺伝子の導入や複数遺伝子の導入に優 れている。よって、マウス人工染色体を保持するトランスクロモソミック(Tc)マウスは、

疾患モデルやヒト化モデル動物として期待されてきた。目的のMACベクターの構築は通常

CHO細胞で行われており、Tcマウスを作製するためにはマウスES細胞へ移入しなければなら

ない。そのためには複数回の微小核細胞融合法を繰り返す必要があり、その効率は10-6以 下と、極めて低いものであった。そこで本研究では、微小核細胞融合法の過程を経ること なく、目的のMACベクターの構築をマウスES細胞で行う方法を開発し、Tcマウス作製の効率 化を図った。

方 法

高効率で遺伝子の導入が可能であるマルチインテグレーションマウス人工染色体

(MI-MAC)ベクターを用いて、MI-MACベクターを保持するマウスES(MI-MAC mES)細胞を 構築した。MI-MAC mES細胞から作製したキメラマウスから交配によって次世代のMI-MAC Tc マウスを得ることで、MI-MAC mES細胞の万能性を確認した。MI-MAC mES細胞に外来遺伝子 を導入できるか検証するために、組換え酵素FLPe、PhiC31、R4、TP901-1、Bxb1インテグレ ースを用いて、MI-MAC上のそれぞれの導入箇所へGFP遺伝子を導入し、その導入効率を検証 した。また、外来遺伝子をもつMI-MAC mES細胞からTcマウスが作製できるか検証するため にEmerald Luciferase(Eluc)を発現するTcマウスを作製し、系統化した。

結 果

MI-MACベクターを保持するCHO細胞からA9細胞を経て、mES細胞へMI-MACベクターを移入 し、mES細胞のゲノムとは独立してMI-MACを保持している細胞株を8細胞株得た。これらす べての細胞株からキメラマウスが得られ、そのうち、MI-MAC mES4、5より子孫伝達を確認 した。次にMI-MAC mES4へ組換え酵素FLPe、PhiC31、R4、TP901-1、Bxb1を用いてMI-MAC上

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にGFP遺伝子を挿入した。その結果、平均G418耐性コロニー数がFLPe、PhiC31、R4、TP901-1、

Bxb1インテグレースそれぞれで組換えを行なった場合、92、352、27、7、1,229個のコロニ ーが得られ、それぞれの部位特異的組換え効率は71.9%、90.6%、56.3%、73.3%、68.8%であ った。また、今回FISH解析したGFP陽性クローンではランダムインテグレーションは見られ なかった。

MI-MAC mES4へPhiC31インテグレースを用いてElucを導入したTcマウスの作製を行った ところ、MI-MAC上のPhiC31組換えサイトにELucが導入され、かつ作製したキメラマウスか ら子孫伝達したクローンを2クローン(2E、2G)で確認した。作製したELuc発現Tcマウスの 各組織において、ELucの発現を確認し、系統化した。

考 察

本研究では、mES細胞において直接人工染色体上へ外来遺伝子を導入できるMI-MAC mES 細胞を構築した。MI-MAC mES細胞が保持するMI-MACベクターには5つの外来遺伝子が導入可 能であり、実際にそれぞれの導入可能部位には56.3%から90.6%の割合で部位特異的組換え を起こすことがわかり、この方法でELucを発現するTcマウスを作製することができた。

MI-MAC mESには理論上を5遺伝子の導入が可能であるが、それぞれの組換え箇所に外来遺伝 子を導入するためには5つの薬剤耐性遺伝子が必要である。今後はゲノム編集技術を用いて、

一度使用した薬剤耐性遺伝子の破壊を行うことで複数遺伝子の導入が期待される。また今 回の結果においてMI-MACベクターの子孫伝達効率は性別に依存しており、オスを介した MI-MACの子孫伝達効率は20-30%とメスより低いものであった。この現象はオスとメスとで は減数分裂の過程が異なることがら生じている可能性があり、未熟な精細胞を用いた生殖 補助技術が有効であると考えられる。

結 論

本研究で作製したMI-MAC mES細胞を用いてmES細胞で直接外来遺伝子を人工染色体上へ 搭載可能になり、微小核細胞融合法を行うことなくTcマウスの作製が可能になった。また、

MI-MACを用いることでFLPeやインテグレースによって高効率に外来遺伝子を搭載できるこ とがわかった。この方法により、ユビキタスにELucを発現するTcマウスの作製にも成功し た。今回作製したMI-MAC mES細胞を用いてヒト化モデルTcマウスなどの応用が期待される。

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参照

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