ランチェスター戦略という軍事法則があります。 かいつまんで解釈すると、
数的に劣勢の場合でも、 一騎打ち ( 局地戦、 接近戦) に持ちこめば あわよくば勝算があるというもの。 反対に数的に優位の側は、 一騎打ち を避け遠隔的に戦うことが勝利の条件となります。 この法則に則ると、
なぜアルカイダのような小さなテロ組織が大規模な軍隊をもつ米軍に屈し ないのかとかいうことが理解できてくるわけです。 さて、 大学図書館という のは大学という組織内では一般的に劣位にあります。 ですから、 図書 館が大学 ( 教員 ) を相手に交渉を優位に進めるためには、 接近戦に 持ち込むことが最善の策であると思われます。 という訳で、 本学の場合、
当事業に関する交渉を持ちかける際は、 徹底的に接近戦で臨むという ことを心掛けました。 まあ要するにメールや文書等による上意下達にはあ まり頼らず、 鼻触れ合うほどの face to face による広報活動を重視した ということなんです。 主戦場は学生食堂で、 先生を見つけたら勝手に 隣席に座って、 のべつ幕なしにコンテンツを催促するという奇襲戦法を採っ たのでした。 これが奏功し、 結構グリーン論文を頂戴するケースが少し ずつですが増えてきましたよ。
当館には修士論文論題データベースというものがあって、 開学以来の修 士論文の書誌情報を一般公開しています。 しかし、 周知の通り修士 論文は公表された著作物とはみなされないため、 著者の許諾がない限 り 1 ページも複写できません。 しかし、 公開された論文情報から論文 本文到達へのパスが閉ざされている利用者にしてみれば、 たぶん鼻のす ぐ先に人参をぶらさげられた馬のような気持ちになっているのに違いないの です。 鼻のすぐ先に人参をぶらさげた馬の身になったことがないのでわかり ませんが。 とはいえ、 「修士論文は公表された著作物ではありませんの で…」 などという常套句で利用者の失望を招くことには、 もううんざりして きているというのが本心です。 そこで、 当館では平成 20 年度から 2 ヵ 年計画で、 同窓会名簿に拠りながら修士論文電子化の遡及作業を 敢行しました。 これにより、 最終的に修士論文全約 6,700 件中 800 件 (12%) を電子化しリポジトリで公開する運びとなりました。 また、 利 便性を高めるため、 修士論文論題データベースの検索結果から、 リポ ジトリの該当コンテンツにシームレスに誘導できるよう、 システム間連携を 行いました。
当館リポジトリサーバのハードディスク構成は RAID1 です。 RAID1 という のは2台のハードディスクに同じ情報を書き込むことで危機に備える方式 ですね。 で、 記念すべき
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月 14 日未明、 遂にこの内の1台がクラッシュ し、 一時心肺停止状態に陥ったのです。 サーバ構築から既に 4 年が 経過しようとしていたのでいつ何が起こってもおかしくはありません。緊急手術でクラッシュした片肺を摘出すると辛うじて動いたので、 新しい ディスクが届く ( ハードウェアの保守契約を結んでて良かった ) までの数日 は片肺で運用しておりました。 と、 ここまではいいのですが、 新しいディ スクが届きそれを装填する段になって、 ふと RAID1 でのディスクイメージの バックアップを取っていなかったことに気づいたのです。 もし、 装填した際 にリカバリーがうまくいかず再び心肺停止に陥ったら元も子もなくなるという ことで、 とりあえず次善の策として、 今更ながら片肺のディスクイメージの バックアップを取っておいて、 もし両肺 (RAID1) への復元が頓挫すれば、
すかさず片肺に戻しバックアップからリストアしようということになりましたが、
なんとか手術は事なきを得、 心配は杞憂に終わりました。 ちなみに今 回のクラッシュの原因は、 サーバ室に隣接する部屋の空調工事により相 当な埃が舞ったためではないかと考えられています。
ある日、 学生食堂で 「論文をリポジトリに登録したいんだけど」 と声を かけられました。
これまで、 リポジトリに関しては食堂で話しかけることはあっても、 話しか けられることはまずなかったので、 びっくりしました。
しかも話を聞くと、 どうも尋常な論文ではありません。 「黒鉛からダイヤモ ンドを生成することに世界で初めて成功」 というふれこみで新聞各紙で 報じられ、 学会でも相当な評価を得た論文であるとのこと。 「世界初」
の論文を手にした喜びから、 早速 SHERPA/RoMEO で掲載誌の著作 権ポリシーを調べたところ、 幸運にもグリーンジャーナルであることが判明。
山積する紀要を尻目にリポジトリに登録したのでした。
この教員との関わりを通じて感じたのは、 著名な論文の著者はそれを公 開することについて相当なモチベーションをもっているということ。そしてまた、
そのような人にこそリポジトリは活用されなければならないんだなあと実感し ました。
リポジトリの可視性の高さに驚いたその教員は、 その後もコンスタントに 論文を提供してくれるようになり、 記念すべき HEART 顧客第 1 号になっ たわけです。
とにかく紀要電子化のラッシュに沸いた一年でした。 現在、紀要専用ペー ジから電子版を提供している雑誌は 6 誌ですが、 内 3 誌については、
全掲載論文をリポジトリで公開できるよう、 投稿規程等の改訂が行わ れました。 また、 3 年前の照会時には梨のつぶてだったある紀要編集担 当者から、 突然リポジトリで公開したいとの要望があり、 現在規程の改 訂を待っているところです。
他のコンテンツは遅々として増えないのに、 なぜか紀要ばかりがうなぎの ぼりで増えていくのが不思議です。 リポジトリは本当は紀要公開のための プラットフォームなのではないかと早合点してしまうほどです。
しかし、 リポジトリを商業出版社への対抗という文脈からみれば、 紀要 は決してメインコンテンツにはならないわけで、 その辺の何というか引け目 のようなものを、 紀要の割合が大きくなればなるほど痛感するというのも なんだか変な話です。
とはいえ、 紀要の発行が多い年度末は、 メタデータの作成やスキャニン グでてんてこ舞いになって引け目なんて感じるどころではありません。 ここ は嬉しい悲鳴と捉えて、 「なんだまだリポジトリに載ってないの、 やっぱり 図書館は暢気だなあ」 なんてクレームのないように頑張らなくてはなりませ ん。 もう外注できませんから…。
とりあえず、成人式。
事業開始から足かけ4年。目立ったことはし
てないけれど、地道にこつこつコンテンツを増
やしてきました。
相変わらず数にものをいわせる紀要頼みのリ
ポジトリですが、ちょっとずつグリーン論文も
増えてきているんです。見よう見まねでやって
るうちに、なんだかこうリポジトリっぽくなっ
てきたなとときどき自分を褒めてあげたりもし
ます。
でも、いったいリポジトリっぽいってどうい
うことなのでしょう。
OAIという窓をたくさん開けておくことがリ
ポジトリっぽいことなのか。グリーン論文をメ
インコンテンツに据えることがリポジトリっぽ
いことなのか。教員が自発的に関わることがリ
ポジトリっぽいことなのか。
リポジトリはときどきリポジトリっぽくない
こと(たとえば非公開コンテンツを扱うとか)にも手を出すけど、そのこと自体がリポジト
リっぽいといえなくもないのではないか。
定義がむずかしいのがリポジトリの定義とい
うことにでもしておきましょう。
リポジトリの仕事って、canやmayが多くて mustやshouldが少ないのがたいへんな魅力で、
それが4年間飽きもせず楽しい事業を続けるこ
とができた決定的な理由だと思います。
人間にたとえると、HEARTは今年で二十歳
くらい。
ようやく「親」の扶養から外れても、自活で
きるようになりました。
だから、今年のCSI委託事業報告交流会は、
HEARTにとっての成人式。
これで終わりではなく、これからのこといろ
いろと考えるきっかけにできればと思います。 2006・8 CSI委託事業(領域1)採択 2007・4 学内試験公開 2007・10 運用指針制定 2008・3 正式公開 2008・3 教育系サブジェクトリポジトリによるハーベスト開始 2008・12 コンテンツ1000件突破 2009・4「世界初」の研究論文を公開 2009・12紀要専用ポータルページを開設。 2010・1研究者総覧DBとの連携決定 2010・2学位論文論題DBとの連携 2010・3コンテンツ2158件
広報 修論 紀要
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HEART 兵教 検索
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HEART Hyokyo Educational and Academic Resources for Teachers
平成 21 年度 CSI 委託事業報告交流会(コンテンツ系)