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<地域研究>横浜国立大学の入学試験に伴う経済波及効果の推計

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2. 横浜国立大学の入学試験に伴う経済波及効果の推計. 1622053 熊谷 高晃. 指導教員 居城 琢. 第 1 章 はじめに. 大学は教育機関・研究機関であると同時に、地域の拠点としての役割を持っている。キャンパスは数千. から数万人の人口集積地であり、所属する学生の活動による地域貢献機能も有している。その学術的な. 価値はもちろんのこと、その経済的な価値を明らかにする取り組みも進められている。大学と地域との. 経済的な関連を重層的に把握するためには、大学や教職員、学生の消費動向だけでなく、大学の活動によ. ってもたらされる地域住民や訪問客の消費動向にも着目する必要がある。そのなかで本稿では、大学を. 起点として多くの人が地域をまたいで移動を行う入学試験に着目し、その経済的な意義を問う。. 第 2 章 先行研究. 一般財団法人日本経済研究所(2007)「地方大学が地域に及ぼす経済効果分析 報告書」の中では、弘前. 大学、群馬大学、三重大学、山口大学の四大学について、産業連関表を用いて地域への経済効果が分析さ. れている。. この研究では、消費支出を①大学の教育・研究に伴う経常支出および科研費支出、②大学の学生及び教職員. による消費、③大学への訪問者が行う消費、④大学が行う設備投資、の 3 つに分類し、産業連関表を用いて経. 済波及効果の測定を行っている。. 大学受験生については、③の大学への訪問者に含んで推計されている。消費項目は交通費、宿泊費、滞在費. の 3 項目で、消費単価は旅行代理店の受験パックおよび全国大学生活協同組合連合会「第 41 回学生消費生活. に関する実態調査」(2005 年 10 月実施)を参考とした値が用いられている。. 同様の手法を用いた経済波及効果の測定は、熊本大学、国際教養大学、鳥取環境大学等でも行われている。. 本研究においても、日本経済研究所の調査手法を基本的に踏襲しつつ、消費単価や利用交通機関の割合につい. てはアンケート調査を用いた実測データを利用する。. 第 3 章 経済波及効果の推計. 3-1 経済波及効果とは ある産業に新しい需要が生じて生産が行われると、その材料や輸送、燃料などの他の産業にも新しい需要が. 生まれ、生産活動が行われることになる。その材料を生産するための材料や燃料、さらにその材料を生産する. ための…というように、ある 1 産業に発生した需要は他の産業に波及していく。また、産業の需要が増加する. と、その産業に従事する雇用者の所得も増加し、その一部は消費として産業の需要増加につながる。このよう. に、ある産業の需要増加が他の産業の需要増加につながっていくことを経済波及効果という。. この波及は、理論上は無限回にわたって続いていくことになるが、その波及金額は回数を重ねるごとに小さ. くなっていく。そのため、一般的な経済波及効果の分析においては直接効果、第 1 次間接波及効果、第 2 次間. 接波及効果の 3 つを分析対象とすることが多い。本研究においても、第 2 次間接波及効果までを分析対象とし. ている。. 3-2 直接効果 直接効果とは、新しく生まれた需要の増加分から、域外・国外で賄われた需要(移輸入額)を除いた、域内. 産に対する需要増加額である。消費支出は購入者価格のため、流通の過程で発生したマージンが上乗せされた. 価格となっている。そのため、消費支出から運輸マージンと商業マージンをはぎ取って生産者価格へ変換した. のち、これに自給率を乗じて直接効果を求める。この値が、消費金額のうち地域内の産業に対して消費された. 額である。. 3-3 間接一次波及効果 一次波及効果とは、直接効果に伴う需要増加により、原材料や燃料等の他産業の生産が誘発されていく効果. である。直接効果の値に産業連関表の逆行列係数を乗じることで求められる。. 逆行列係数とは、ある産業に対して新たな最終需要が1単位発生した場合に、直接・間接を合わせて各産業. の生産が究極的にどれだけ必要になるかという生産波及の大きさを示す係数である。. 3-4 間接二次波及効果 直接効果・間接一次波及効果によって産業に新しい需要が誘発されることにより、その産業に従事する雇用. 者の所得が誘発される。その所得の一部が消費として支出され、新たな需要となって再び県内に誘発される生. 産額を第 2 次間接波及効果とする。. 間接二次波及効果は以下の 4 ステップで求められる。. ⅰ.直接効果および第 1 次間接波及効果から生まれた生産誘発額に、各部門の雇用者所得率を乗じて雇用者. 所得誘発額を算出する。. ⅱ.雇用者所得のうち、貯蓄されずに支出される金額を算出するため、家計調査で得られた平均消費性向を. 雇用者所得額に乗じて消費支出額を求める。. ⅲ.求めた消費支出額を、産業連関表の民間消費支出構成比に基づいて各部門に振り分ける。. ⅳ.この消費増加額に自給率と逆行列係数を乗じることで第 2 次間接波及効果が求められる。. 3-5 雇用者誘発数 直接効果、間接一次波及効果、間接二次波及効果によって生み出された需要をまかなうために、新しい労働. 者が必要となる。これが雇用者誘発数であり、単位生産額当たりの労働者数を表す就業係数に生産誘発額を乗. じることで求められる。就業係数は、神奈川県の雇用表に基づく。本研究では、経済波及効果に加えて雇用者. 誘発数も推計する。. 本研究においては、これらの算出を「平成 27(2015)年神奈川県経済波及効果分析ツール」を用いて行う。. 第 4 章 横浜国立大学入学試験に伴う経済波及効果の推計. 4-1 研究範囲の設定 本研究の対象となる行動を「本学キャンパスで行われる選抜試験のために自宅を出発し、帰宅するまで」と. し、大学入試センター試験は研究の対象としない。. 経済効果波及効果の測定範囲は神奈川県と設定した。本学は神奈川県に本部を持つ唯一の国立大学であり、. 大学と関連する地域として神奈川県を設定することは妥当だと考える。. 受験生の同行者による支出は、横浜国立大学の受験性が移動および支出を行ったことに付随する支出である. ため、推計の対象とする。. 4-3 発生需要額の推計 本研究の対象範囲において発生する需要はいずれも来訪者による消費支出で、①交通費、②宿泊費、③食事. 代、④土産代、⑤娯楽施設代に分類できる。これらの支出額および神奈川県内での支出額を明らかにするため、. 在籍学生に対してアンケート調査を行い、その結果から推計を行った。. 4-3-1 アンケート調査概要. オンラインアンケートフォームを用いて、平成 27 年度から令和 2 年度入学生へのアンケート調査を行った。. 調査項目は①所属および入試形式②キャンパスへの来訪回数③最寄り駅・バス停から横浜国立大学までの往復. の移動経路および移動手段④同行者の有無および人数⑤宿泊人数、宿泊数、および一泊あたりの宿泊費⑥土産. の購入に費やした金額⑦食事に費やした金額⑧娯楽施設での入場および消費に費やした金額⑨一度の旅程で. 複数校を受験したかどうか、の 9 項目である。⑤から⑧については、県内での支出額と県外での支出額を分け. て集計した。回答期間は 2020 年 10 月 23 日から 2021 年 1 月 4 日で、有効回答数は 76 件。. 4-3-2 交通費支出. アンケートに記載された移動経路および利用した交通手段より算出された料金・運賃を交通手段ごとに集計. した。交通手段ごとの算出手段および神奈川県内での消費額の算定基準は以下の通り。. 4-3-2-1 鉄道輸送. アンケートに記載されたルートを、通常の切符を使用したと仮定して運賃を計算した。特定の都区市内駅を. 発着する場合の特例が適用される場合はその規則に準ずる。また、IC カードと現金利用で運賃が異なる場合. は IC カードを利用した場合の運賃を適用した。. 神奈川県内での消費金額は運賃および料金に県内距離/総距離を乗じて求めた。. 【例】羽田空港から横浜まで京浜急行を利用して移動した場合、運賃は 364 円で総距離は 20.7km、うち神奈. 川県内の走行距離は鶴見市場から横浜の 10.4km のため、県内消費額は 364×10.4/20.7 の 182.8 円となる。. 4-3-2-2 路線バス輸送. アンケートに記載されたルートを、通常の運賃で利用したと仮定して運賃を計算した。IC カードと現金利. 用で運賃が異なる場合は IC カードを利用した場合の運賃を適用した。. 神奈川県内の消費金額は、営業所が神奈川県内にある区間のバスを利用した金額で推計した。. 4-3-2-3 高速バス輸送. 当該区間のバス料金の中央値の料金を高速バス代として算出した。神奈川県内の消費金額は、当該区間の運. 賃に神奈川県の事業所管理による便数/当該区間の全便数を乗じて合計したものとする。. 【例】羽田空港から横浜(YCAT)まで高速バスを使って移動した場合、運賃は 590 円。東京都と神奈川県をま. たいで運行されるが、同区間を運行している事業者は東京都大田区にある京浜急行バス羽田営業所のみなので、. この運賃は全額を東京都で行われた消費として集計する。. 4-3-2-4 航空機輸送. フルサービスキャリアの通常料金でエコノミークラスを利用した場合の料金を航空機代として算出した。神. 奈川県内に旅客用の空港はないため、神奈川県内の消費金額は一律で 0 円とした。. 4-3-2-5 自家用車輸送. 記載された区間をナビゲーションサイトが算出した経路に基づき、各年のガソリン価格と燃費、および ETC. 使用時の高速道路料金を用いて推計した。ガソリン価格は 122 円/L、燃費は 18km/L とした。神奈川県内で. の消費金額は鉄道輸送と同様に、ガソリン代および高速道路料金に神奈川県内の走行距離/総距離を乗じたも. ととして算出する。なお、出発地または到着地に市町村名が記載されていた場合は庁舎の位置を、横浜国立大. 学については正門前を出発地または到着地に設定した。. 4-3-2-6 タクシー輸送. ナビゲーションサイトを用いて通常料金、空車利用時でのタクシー料金を算出した。神奈川県内のタクシー. 事業者を利用したと考えられる区間の料金を神奈川県内の消費金額とした。. 4-3-3 宿泊費支出. 1 人 1 泊あたりの宿泊費×宿泊数×宿泊人数を宿泊費の支出とした。神奈川県内の宿泊施設での宿泊費を神. 奈川県内の消費金額とした。. 4-3-4 食費、土産代、娯楽施設代支出. アンケートに記載された金額を各支出とした。神奈川県内での食費支出を県内消費金額とした。. 4-3-7 複数校を受験した場合の推計. 交通費以外の支出は、総額を受験校数で除した金額を横浜国立大学の受験に伴う支出とみなした。交通費に. ついては、自宅と宿泊施設の往復に伴う支出は受験校数で除した金額を、横浜国立大学の受験日の移動は全額. を横浜国立大学の受験に伴う支出とみなした。. 4-3-8 全体消費金額の推計. 本研究では、単年の入学試験に伴う経済効果を推計する。単年の受験者数を 2018 年度から 2020 年度の受. 験者の平均となる 4984 人とし、各項目の受験生一人当たりの平均値に 4984 を乗じることで単年の消費金額. 全体を推計した。発生する全体需要額は表1の通りである。このなかの県内消費額を、入学試験の実施に伴っ. て発生した新規需要とする。. 表1 項目別消費額 単位:千円. 県内消費額 県外消費額. 鉄道 9,677.7 32,005.4. 航空機 0 78,604.2. 高速バス 66.9 2,893.6. 路線バス 383.6 74.7. 自家用車 196.0 85.4. タクシー 144.2 0. 宿泊費 28,776.0 3,869.1. 食費 10,262.9 1,931.3. お土産代 2,144.4 1,141.0 娯楽代 1,442.7 1,311.5. 合計 53,094.4 121,916.2. 4-4 経済波及効果の測定 本研究においては、産業連関表の統合中分類(107 部門)を用いる。. 4-4-1 部門分類. 支出項目を産業連関表の部門へ分類する。分類先と部門ごとの需要増加額は以下の表の通り。食費について. は、飲食サービスに 95%、飲料に 5%の按分を行う。お土産は神奈川県という地域の特性上、菓子類がほとん. どであると考えて食料品への分類とした。. 4-4-2 自給率の調整. 運輸部門および対個人サービス部門に属する鉄道輸送、道路輸送、自家輸送、航空輸送、宿泊業、飲食サー. ビス、娯楽サービスに関しては、県内消費額はすべて県内の産業への支出だと考えられるため、自給率を調整. し 100%とする。. 4-4-3 直接効果および間接一次波及効果、間接二次波及効果. 上記の数値を用いて、第 3 章で述べた通りに推計を行っていく。なお、本研究においては、平成 27 年(2015). 年神奈川県経済波及効果分析ツールを使用して計算を行った。結果は以下の通り、直接効果が 5082.1 万円と. なり、直接効果と一次波及効果、二次波及効果を合計した経済波及効果は 7881.6 万円となる。. 支出項目 部門分類. 鉄道 鉄道輸送(571). 航空機 航空輸送(575). 高速バス 道路輸送(572). 路線バス 道路輸送(572). 自家用車 自家輸送(573). タクシー 道路輸送(572). 宿泊費 宿泊業(671). 食費 飲食サービス(672). 飲料(112). お土産代 食料品(111). 娯楽代 娯楽サービス(674). 表2 支出項目ごとの部門分類 表 3 部門別需要増加額 単位:千円. 部門分類 需要増加額. 食料品(111) 2,144.4. 飲料(112) 513.1. 鉄道輸送(571) 9,677.7. 道路輸送(572) 594.7. 自家輸送(573) 196.0. 航空輸送(575) 0. 宿泊業(671) 28,776.0. 飲食サービス(672) 9,749.8. 娯楽サービス(674) 1,442.7. 表4 経済波及効果の推計結果. 県内生産額 50,821(千円). 雇用者誘発数 5(人). 生産誘発額 19,681(千円). 雇用者誘発数 1(人). 生産誘発額 9,314(千円). 雇用者誘発数 1(人). 生産誘発額 78,816(千円). 雇用者誘発数 7(人). 直接効果 +一次波及. +二次波及. 直接効果. 一次波及効果. 二次波及効果. 表 5 経済波及効果の上位 10 部門. 部門分類 直接効果 第一次間接波及効果 第二次間接波及効果 合計. 宿泊業 28,776 0 13 28,789. 飲食サービス 9,750 316 549 10,615. 鉄道輸送 9,678 63 113 9,854. 商業 504 1,952 1,048 3,504. 住宅賃貸料(帰属家賃) 0 0 2,328 2,328. 運輸附帯サービス 0 1,915 115 2,030. 廃業物処理 0 1,810 40 1,850. 電力 0 1,638 200 1,838. 娯楽サービス 1,443 72 223 1,738. 金融・保険 0 998 624 1,622. 単位:千円. 第 5 章 推計結果の分析と評価. 5-1 分析 第 4 章で示した通り、横浜国立大学の入学試験に伴う経済波及効果は 7881.6 万円、うち直接効果は 5082.1. 万円である。直接効果に対しての波及効果の大きさを表す経済波及倍率(経済波及効果の合計/直接効果)は. 1.55 倍。受験生 1 人あたりの直接効果は 10196 円、同経済波及効果は 15800 円となる。. 経済波及効果が上位の 10 部門を以下の表に示す。. 部門別に見ると、県内での発生需要額が最大であった宿泊業が直接効果、合計の経済波及効果でも最大の割. 合を占めており、経済波及効果全体の 36.5%に及ぶ。一方で、宿泊業の第一次間接波及効果は 0 円であり、自. 産業からも他産業からも波及効果を受けていないことが分かる。. 5-2 弘前大学の研究事例との比較 「地方大学が地域に及ぼす経済効果分析 報告書」における弘前大学の研究事例では、同大学への訪問者の. べ 56 万 7543 人が青森県内にもたらす経済波及効果は 75 億 3300 万円(うち直接効果が 49 億 2500 万円)であ. る。. 研究で使われた数値、および青森県統計情報分析グループが公開している「産業連関表による波及効果分析. シート」を用いて入学試験来訪者のみ 3681 人による経済波及効果を推計すると、直接効果が 4194 万円、経. 済波及効果の合計が 6223 万円となり、経済波及倍率は 1.48 倍。受験生 1 人あたりの直接効果は 11393 円、. 同経済波及効果は 16905 円となる。なお、この推計に用いられた分析シートは 40 部門表のものである。. 本学の事例と比較すると、1 人あたりの経済効果や経済波及倍率に大きな違いは見られない。県内需要額に. おいては、本学と比較して宿泊費が少なく交通費が多い。これは、県内からの受験者が多く宿泊を伴わない受. 験者が多かった一方、県外から航空機を利用して青森県を訪問した受験者の航空輸送費が含まれているためだ. と考えられる。. 5-3 神奈川県、横浜市への経済波及効果分析事例との比較 5-3-1 神奈川県への観光客がもたらす経済波及効果との比較. 神奈川県観光客消費動向等調査報告書によると、2010 年の調査に基づく神奈川県の観光全体の経済効果は、. 直接効果 5790 億 9800 万円、二次波及効果までを含めた経済波及効果は 8834 億 1200 万円で経済波及倍率は. 1.52 倍となる。観光客の全数は 1 億 1613 万人で、1 人当たりの直接効果は 4986 円、経済波及効果は 7607 円. となり、1 人当たりの経済効果では受験生による経済効果の半分ほどの値である。同調査によると、観光客一. 人当たりの消費金額は、宿泊客で 27603 円、日帰り客で 4097 円となっており、受験生一人当たりの消費金額. (宿泊あり 25487 円、宿泊なし 1489 円)よりも高い値となっている。一方で、神奈川県の観光客の 9 割は日帰. り旅行客のため平均消費金額、一人当たりの直接効果、経済波及効果は低く抑えられていると考えられる。. 5-3-2 パシフィコ横浜がもたらす経済波及効果との比較. 横浜国際平和会議場(通称:パシフィコ横浜)の 2017 年度開催催事に伴う神奈川県への経済効果は、直接効. 果が 650 億円、経済波及効果が 950 億円で経済波及倍率は 1.46 倍となる。来場者数は 393 万人のため、1 人. 当たりの直接効果は 16539 円、経済波及効果は 24173 円。経済波及倍率は本学や弘前大学、神奈川県全体の. 事例と近い値が出ている一方、一人当たりの直接効果や経済波及効果では高い値が算出されている。これは、. 来場者の属性による影響が大きいと考えられる。同施設の催事には大規模な学会やコンサートが含まれる。こ. のような催事には遠方からの参加者も多く、宿泊費がかかる。また、学会に伴う会食やコンサートでのグッズ. 購入など、単価が高い支出が多いことが、高い一人当たりの経済効果につながっていると考えられる。. 5-3-3 横浜国立大学の大学祭がもたらす経済波及効果との比較. 同じく横浜国立大学で行われるイベントである大学祭の経済効果と比較する。. 大学祭が横浜市にもたらす経済波及効果は 3900 万円である。波及効果の対象とする地域の違いに留意する. 必要はあるが、1 日あたりの経済波及効果は 1300 万円、1 人あたりの経済波及効果は 2085 円になり、入学試. 験に伴う経済効果と比較して 3 分の 1 程度である。本学の大学祭は 18700 人を動員する一大イベントだが、. 地元の来場客が多い。宿泊客による需要増加がないことが、このような差を生み出していると考えられる。. 5-4 神奈川県の国公立大学の入学試験に伴う経済効果の考察 弘前大学および本学の事例より、以下が推察される。. ⅰ.受験生 1 人当たりの直接効果、経済波及効果は全国の国公立大学で似た値となる。. ⅱ.受験生 1 人当たりの直接効果は 10000 円から 11000 円程度、経済波及効果は 16000 円から 17000 円程. 度となる。. これらの点から、神奈川県の全国公立大学の受験生が県内にもたらす経済波及効果について考察する。. 県内の国公立大学は横浜国立大学、横浜市立大学、神奈川県立保健福祉大学の 3 校である。3 校それぞれの. 2018 年度から 2020 年度の受験者数の平均は 4984 人、2831 人、613 人となり、合計は 8428 人である。受験. 生 1 人当たりの直接効果を 10500 円、経済波及効果を 16500 円とすると、神奈川県内の国公立大学の受験生. による神奈川県内への直接効果は約 8849 万円、経済波及効果は約 1 億 3906 万円となる。. 第 6 章 総括. 本研究では、他大学の研究事例をもとに横浜国立大学の受験生による消費を算出し、経済波及効果の推計お. よび分析を行った。大都市圏に立地する大学の入学試験については初めての経済的分析であり、地域を比較し. ながら消費や経済波及の特性を明らかにできたことは大きな意義であった。. 第 5 章で示す通り、大学受験は受験生 1 人当たりの経済効果が比較的大きく、地域活性化の一端を担う力を. 秘めている。一方で、その大きい経済効果を生み出すには、宿泊を伴う受験者が大きな役割を担っていること. は明らかだ。大学の地域内競争、地域間競争がますます苛烈になるなかで地域外にまで魅力を発信していくこ. とは大学の今後の課題である。. 参考文献. 1 青森県企画政策部統計分析課統計情報分析グループ 「産業連関表による波及効果分析シート」. 2 秋田経済研究所(2013) 「国際教養大学が地域に及ぼす経済波及効果」,『あきた経済』2013 年 11 月号. 3 小副川忠明・居城琢・金丹・⾧谷部勇一(2006) 「平成 12 年横浜市産業連関表と大学の地域経済効果」,『産業. 連関』14 巻(2006)1 号, pp56-57. 4 神奈川県 統計センター 企画分析課 「平成 27(2015)年神奈川県経済波及効果分析ツール」. 5 財津俊貴・村田淳・居城琢(2019) 「横浜国立大学大学祭の経済効果」, 『横浜国立大学地域実践教育研究セン. ター地域課題実習・地域研究報』2019 年度, pp151-159. 6 寒河江雅彦(2014) 「確率変動を含む産業連関表分析に関する考察:金沢大学の地域経済波及効果の分析」『金. 沢大学経済論集』34 巻 2 号,pp347-400. 7 大学受験パスナビ 神奈川県立保健福祉大学. 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