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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名

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Academic year: 2021

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(1)

((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名

山 本 直 子

審 査 委 員

主 査

荊 木 康 臣

副 査

早 川 誠 而

副 査

篠 田 雅 人

副 査

田 中 丸 重 美

副 査

鈴 木 賢 士

題 目

モンゴルの砂塵嵐と九州地方における黄砂現象に関する研究

審査結果の要旨(2,000字以内)

本研究は、エルニーニョ及びラニーニャ現象時に着目して、九州地方における黄砂観測日数の経年 変化の特徴を考察し、寒冷渦を含む上層寒気の強さ及び寒冷渦の発生頻度とゴビ砂漠付近の主にモン ゴルの砂塵嵐とそれに伴う九州地方の黄砂観測日数との関係を総観場に基づいて解析したものであ る。

本研究の成果は次の 4 つの部分から構成される。

1.近年の福岡を含む九州地方における黄砂観測日数の経年変化の特徴と黄砂観測日数の初日・終 日との関係をエルニーニョとラニーニャに関連づけて解析を行った。その結果、黄砂観測日数が多い

(少ない)ほど、終日-初日の値は大きく(小さく)なるという関係があることがわかった。冬から 春にかけてラニ-ニャ現象が起こっている年、もしくは南方振動指数が大きい正の値をとり続けるラ ニーニャ傾向の年は、黄砂観測日数と終日-初日が多く、初日も早い傾向があった。反対に、エルニ

-ニョ現象の年は、黄砂観測日数と終日-初日が少なく、初日も遅い傾向があった。2000 年以降では、

ラニ-ニャ傾向時の 2001 年とラニ-ニャ現象時の 2006 年、エルニ-ニョ現象時の 2003 年にその傾向 が顕著に見られた。

2.近年のゴビ砂漠付近の砂塵嵐観測日数について、モンゴルと中国・内蒙古自治区の砂塵嵐観測 日数の経年変化の特徴を比較しながらその特徴について解析を行った。ゴビ砂漠周辺のモンゴルと中 国・内蒙古自治区の各観測地点における砂塵嵐観測日数の経年変化は、中国・内蒙古自治区では増加 傾向も小さいのに対し、モンゴルでは 1996 年以降非常に増加しており圧倒的に多くなってきていた。

またウランバートルをはじめとするモンゴルの観測地点全域において、年間合計降水量は 1995 年以降 大きく減少しており、その翌年の 1996 年から砂塵嵐観測日数が増加してきた。96 年以降の砂塵嵐の 急増は、その前年度 95 年からの降水量減少が大きな要因の一つであることを示した。

(2)

3.エルニーニョ現象とラニーニャ現象が起こっている年に関係づけて、モンゴルのウランバート ルにおける 500hPa 等圧面高度から上層寒気が強さの違いと、それに伴って関連して起こる砂塵嵐観測 日数の特徴について総観場に基づいて解析を行った。1996~2006 年の期間の砂塵嵐観測日数は増加傾 向にあるが変動をしており、その要因は寒冷渦を含む上層寒気の強さの影響が大きいことがわかった。

冬~春にラニ-ニャ現象となった年は強い上層寒気を伴うことが多く砂塵嵐を増加させる傾向があ り、特に 2006 年に顕著に見られた。ウランバートルにおいて平均気温減率が 4.7℃/km 以上の大きい 年には砂塵嵐観測日数も多かった。強い上層寒気が入って気温減率が大きくなると、大気が成層不安 定な状態で不安定になりやすいために砂塵嵐の発生も多くなる傾向があることがわかった。また近年 の春 3~4 月にかけての九州地方の黄砂観測日数は、日本付近への総観規模擾乱の回数と関連があり、

冬~春にラニ-ニャ現象が発生した年は多く、エルニーニョの時は少ない傾向があった。春季の 500hPa 高度場・平年偏差図をモンゴルの砂塵嵐と九州地方の黄砂観測日数と対応させて総観場から検 討することによって、砂塵嵐・黄砂観測日数が多いラニーニャ現象時の 2006 年と砂塵嵐・黄砂観測日 数が少ないエルニーニョ現象時の 2003 年とに顕著な違いが表れれることを示した。

4.1997~2006 年の春 3~4 月の期間において、日本付近に黄砂がもたらされた時の主な総観規模 擾乱について、寒冷渦を中心に総観場から見た特徴を、気象的要因に基づいて各種天気図等を用いて 様々な面から解析を行った。九州地方における黄砂観測日数のうち、寒冷渦を伴う場合は全体の半数以 上を占め、特に 2005 年以降はほとんどが寒冷渦を伴う気圧配置によって黄砂が観測された。変動はあ るが近年増加する傾向にある黄砂観測日数と、寒冷渦発生頻度の増加とは関連があることが分かった。

また近年の春 3~4 月の九州地方の黄砂観測日数は、気圧配置の年度別合計つまり日本付近への総観規 模擾乱の回数と関連があり、冬~春にラニ-ニャ現象が発生した年は多く、エルニーニョ現象の時は 少ない傾向があった。

本研究によって、モンゴルの 1996 年以降の砂塵嵐急増は、その前年度以降からの降水量減少が大き な原因の一つであることを示した。96 年以降のモンゴルの砂塵嵐観測日数は増加しながらも増減して おり、これは春季の寒冷渦含む強い上層寒気が大きな要因となることが明らかとなった。またエルニ ーニョ及びラニーニャ時の上層寒気の強さの違いがモンゴルの砂塵嵐観測日数に影響を及ぼし、これ が九州地方の黄砂観測日数と関連があることが総観場からみて明らかにした。これらの研究は今後の 黄砂発生の予測に意義ある結果を有するものであり、本審査会は本論文を学位論文として十分価値が あるものと判定した。

参照

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