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距離アスベクト画像による複雑情景内の

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 武 口 智 行

学 位 論 文 題 名

距離アスベクト画像による複雑情景内の      物体認識に関する研究

学位論文内容の要旨

  人間は目からの入力情報により外界を理解することができ,その情報を元に外界に対し て行動を起こすことができる.この当たり前のことを機械にさせることは,1960年代の 口ポット研究の萌芽当初からの目標である.この機能を実現するには,外界をセンシング して得られる入カデータの中から,既知物体の探索及び位置姿勢の推定を行う物体認識技 術 が 必 要 で あ り , コ ン ピ ュ 一 夕 ビ ジ ョ ン 研 究 の 大 き な テ ー マ の ー つ で あ る .   その応用としては、ビンピッキングと呼ばれる固定ロボットアームによる山積みにされ た物体の掴み上げ,積荷の移載の自動化,航空写真からの建物や車の検出などがある.ま た近年では,2足歩行の実現などに代表される自律移動ロボットの研究が盛んになってお り,より汎用性の高い物体認識が期待されている.

  一方,物体認識の歴史を見ると決して満足な結果を得ていなぃ.初期の物体認識手法 を見ると,今と比ベセンサの性能は低く,コンピュータの処理速度も低速であったことか ら,対象とする問題を限定した認識手法の開発がなされていた.個々の積木の位置関係な どを理解するブロックワールド問題は,物体認識の初期段階における研究成果である.近 年では自由曲面形状を持つ物体に対しての取り組みがなされており,様々な入力・物体記 述・照合手法に基づぃた認識システムが提案されている.また,情景の問題設定も複雑化 しているものの,多くの物体を含み遮蔽が随所に発生している情景から既知の物体をすべ て探索し,その位置姿勢を推定する問題になると,単体で適用できる手法は多くない.

  ここで,より一般的な物体認識における問題設定として,1)扱う物体形状は自由曲面 からなる,2)カメラと認識対象となる情景との位置関係は任意である,3)認識対象とな る情景には既知・未知に関わらず複数の物体が同時に存在する,4)情景中に存在するす べての既知物体を認識し位置姿勢推定を行う,という4っを挙げる.問題設定を複雑にす るほど,一般には処理コストも大きくなる.また認識精度と処理コストもトレードオフの 関係にあるものが多い.よってここに挙げた複雑な問題をすべて解決し,処理コスト抑え た 認 識 シ ス テ ム が 実 現 で き た 際 に は , 広 範 囲 の 応 用 が 期 待 で き る .   そこで本論文では,「距離アスペクト画像」を用いる物体認識手法を提案し,上述した問 題を解決しつつ認識率が高く処理コストの低い物体認識システムの実現を目指した.距離 アスペクト画像とは,観測方向に依存しない3次元デー夕表現形式であり,3次元デ一夕 から作る2次元濃淡画像である.本手法では,まず入カデ一夕として距離データを用い,

登録モデルから距離アスペクト画像を複数枚作成して,デ一夕ベースを構成する.観測し た情景からは同様に距離アスベクト画像を作成する.物体の種別と位置姿勢推定は,3次

(2)

元データの直接照合ではなく,距離アスペクト画像どうしの画像照合によって行う.遮蔽 が発生し複数物体を含む複雑情景における問題は,距離アスペクト画像照合の問題に帰着 させ,そこにロバスト統計に基づく照合法を導入することによって解決する.しかも画像 照合は3次 元データ の直接照合より高速に行えるため,大きな高速化の可能性を持つ.

  また本論文では,距離アスペクト画像の作成方法を2種類提案している.曲率特徴を利 用する方法では,特徴点の観測方向に依存しない再現性を距離アスペクト画像照合が成功 する前提とする.特徴点の強い再現性が期待できる場合は,この方法によって高速な認識 が可能である.一方,強い再現性を期待できないボクセルを利用した場合でも,距離アス ペクト画像照合に基づく物体認識手法によって,複雑情景に対し高い認識率を有すること が可能であることを示す.さらに,学習・認識段階の様々な処理おいて高速化手法を導入 し,実データを用いた実験から有効性を示している.

  第1章では,研究の背景と位置付けを述べる.物体認識の研究は,問題に対して拘束条 件を付加することにより実現してきており,拘束を緩和することによって新たな問題が発 生 す る . そ こ で よ り 一 般 的 な 問 題 設 定 を 示 し 本 研 究 に お け る 目 的 と す る .   第2章では,物体認識研究をまとめる.まず物体認識研究を類別するための枠組みにつ いて,入カデ一夕,認識のためのデ一夕表現形式,扱う物体に付加する条件,情景に対す る条件,の観点でまとめ,さらにそれそれの特徴や種類に関して述べる.次に本研究で用 いる3次元デ一夕に関してまとめ,近年提案されている3次元データを用いた物体認識手 法を列挙し,本研究の位置付けを明確にする.

  第3章では,3次元の距離データを用いた物体認識に必要な,物体曲面の表現方法とし て「距離アスペクト画像」を提案する.ここでは第4章から第6章までに共通して用いら れる距離アスペクト画像の作成・照合手法を定式化する.また距離アスペクト画像を用い る物体認識の大まかな枠組みについて述べる.

  第4章では,第3章で述べた距離アスベクト画像の特徴点を利用した具体的作成方法と,

特徴点利用型距離アスペクト画像を用いた物体認識手法の流れを説明する,1方向から計 測した距離デ一夕をモデルとして複数登録し;位置や姿勢が任意で遮蔽や点の欠損がある 情景距離デ一夕に対して実験を行う.また複数物体を含む複雑情景に対する認識を行い,

本研究の有効性について検討する.

  第5章では,形状特徴に依存しない距離アスペクト画像の作成方法を提案する.第4章 のような曲率特徴点を用いず,空間分割して得られるボクセルを利用することによって物 体曲面を選ぱない手法としている.このボクセルを利用した距離アスペクト画像を用いる 物体認識手法の説明を行う.全周囲統合距離データをモデルとした,複数物体を合む複雑 情景に対する認識実験から本手法の有効性を検討する.またここでは遮蔽や複雑さを定量 化 す る こ と に よ っ て , 難 し い 情 景 に 対 す る 本 手 法 の 有 効 性 と 特 性 を 示 す .   第6章では,第5章で述べた手法の高速化について述べる.一般的に困難な問題設定に 対応する手法は処理が複雑になり,計算コストが大きくなる.ここでは高い認識率を実現 した本手法について,様々な処理手順における高速化手法を提案する.高速化手法を導入 し た 手 法 と 未 導 入 の 手 法 と の 比 較 実 験 に よ り , 高 速 化 の 効 果 を 検 証 す る .   第7章では,距離アスペクト画像照合における局所曲面照合間題について述べる.曲面 全体では誤認識である場合でも局所平面どうしでは照合が成功するため,点群全体を用い た検証処理と誤認識の回数が増加する可能性がある.ここでは距離アスベクト画像とその 照合方法を利用した計算コストの少ない,局所平面照合の検査による偽照合回避手法を提

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案し,実験から有効性を確認する.

  第8章は 本論 文の結論である.

(4)

学位論 文審査の 要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

小野里 土谷 島 金子

学 位 論 文 題 名

雅彦 武士 公脩 俊一

距離 アスベク ト画像 による複 雑情景内の      物体認識 に関す る研究

  事 前知 識と して 認識 した い物 体の 形状 を 与え た上 で, 外界 を計 測し て得 られ る入カデー タの 中か ら, 既知 物体 の探 索及 び位 置姿 勢 の推 定を 行う 物体 認識 技術 は, コン ピュータビ ジョ ン研 究の 大き なテ ーマ のー つで あり , その 応用 とし ては っビ ンピ ッキ ング と呼ばれる 固定 ロボ ヅト アー ムに よる 山積 みに され た 物体 の掴 み上 げ, 積荷 の移 載の 自動 化,航空写 真 か ら の 建 物 や 車 の検 出な どが ある .ま た近 年で は,2足歩 行の 実現 など に代 表さ れる 自 律移 動ロ ボッ トの 研究 が盛 んに なっ てお り ,扱 う形 状を 選ば なぃ ,物 体認 識を 行う上での 前 提 条 件 が 少 な ぃ , よ り 汎 用 性 の 高 い 物 体 認 識 が 期 待 さ れ て い る .   一 方, これ まで の物 体認 識手 法で は, 今 と比 ベセ ンサ の性 能は 低く ,コ ンピ ュータの処 理速 度も 低速 であ った こと から ,扱 う物 体 形状 や認 識対 象と なる 情景 に対 して ,問題を簡 単化 する 何ら かの 条件 を与 えな くて は認 識 処理 が行 えな いと いう ,条 件付 の認 識手法が多 く見 られ た. 近年 では 自由 曲面 形状 を持 つ 物体 に対 して の取 り組 みが なさ れて おり,同時 に複 雑な 情景 に対 して も認 識を 行う 試み が なさ れて いる が, 多く の物 体を 合み 遮蔽が随所 に 発 生 し て い る 情 景か ら既 知の 物体 をす べて 探索 し,6自由 度の 位置 姿勢 推定 を行 う手 法 は多 くな い. さら に, 自律 移動 ロボ ヅト な どで の応 用を 考え ,距 離セ ンサ と物 体との相対 距離 が必 ずし も一 致し なぃ こと によ って 生 じる ,距 離デ ー夕 間の 点密 度の 差に 対しても有 効な 手法 が求 めら れる .こ れら のよ うに 問 題設 定を 複雑 にす るほ ど, 一般 には 処理コスト も大 きく なり ,認 識精 度と 処理 コス トも ト レー ドオ フの 関係 にあ るも のが 多い .よってこ こに 挙げ た複 雑な 問題 をす べて 解決 し, 処 理コ スト 抑え た高 い認 識率 を有 する 認識システ ムが 実現 そき た際 には ,広 範囲 の応 用が 期 待で きる ・

  本 論文 では この 趣旨 に添 って ,「 距離 ア スベ クト 画像 」と 呼ば れる 新し い物 体曲面の表 現方 法, 及び 距離 アス ペク ト画 像の 画像 照 合に 基づ く物 体認 識, 位置 ・姿 勢推 定の方法を 提案 し, 上述 した 問題 を解 決し つつ 認識 率 が高 く処 理コ スト の低 い物 体認 識シ ステムの実 現 を 目 指 し て い る .距 離ア スベ クト 画像 とは ,観 測方 向に 依 存し ない3次 元デ 一夕 表現 形 式 で ,3次 元 デ ー タか ら作 る仮 説 的な 距離 画像 であ り, また 物体 認識 のシ ステ ムは ,入 カ と し て 距 離 デ ー タ を 用 い , 登 録 モ デ ル か ら 距 離ア スベ クト 画像 を複 数枚 作成 して デー タ

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ベースを構成し,観測した情景から同様に作成された距離アスペクト画像と,登録されて いるモデルの距離アスペクト画像との画像照合によって物体認識を行うものである.この 手法では,遮蔽が発生し複数物体を含む複雑情景における問題を,距離アスペクト画像照 合の問題に帰着させ,そこにロバスト統計に基づく照合法を導入することによって解決し ている.

  また本論文では,距離アスペクト画像の作成方法を2種類提案している.曲率特徴を利 用する方法では,特徴点の観測方向に依存しない再現性を距離アスペクト画像照合が成 功する前提とし,特徴点の強い再現性が期待できる場合は,この方法によって物体の種別 と位置・姿勢推定が可能であることを示し,また距離アスペクト画像の登録枚数削減方法 や,データベースの部分探索を行うことによる高速化によって,少ない処理コストでの3 次元デ一夕を用いた認識処理が可能であることを示している.

  一方,強い再現性を期待できないボクセルを利用した場合でも,距離アスペクト画像照 合に基づく物体認識手法によって,複雑情景に対し物体認識が可能であることを,また誤 認識の低減を目的とした解の検証処理を導入し,高い認識率を維持したまま,誤認識回数 が少ない手法であることを,実デ一夕を用いた実験から証明している.またここでは遮蔽 や複雑さという認識の困難度合いを示す値を情景中で定量化することによって,難しい 情景に対する本手法の有効性と特性を確認している.さらに,物体形状を選ぱなぃボク セルを利用した手法においては,学習・認識段階のにおいて様々な高速化手法を導入し,

高速化手法を導入した手法と未導入の手法との比較実験により,高速化の効果を実証して いる.

  これを要するに,著者は,距離デ一夕を用いた物体認識技術分野において,新しく効果 的な独自の手法を提案し,その実応用における可能性を実証したものであり,制御情報工 学に対して貢献するところ大なるものがある.よって著者は,北海道大学博士(工学)の 学位を授与される資格あるものと認める.

参照

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