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高速駆動柔軟ロボットアームの状態推定と

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 星 野 洋 平

    

  

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学 位 論 文 題 名

高速駆動柔軟ロボットアームの状態推定と

    

振動制御に関する研究

.学位論文内容の要旨

  近年,工業応用分野にとどまらず,様々な場面にロボッ卜が進出し,一般の人々にもロポッ卜が身近 になりつっある,産業用ロボットの構造としてはアーム型のものが一般的である.これらでは,各関節 間 の動 力学 的な 干 渉や 非線 形性 を無 視 して ,各関節 を単純な1入力1出力系として 扱い,目標軌道 に追従させる方法が取られている,しかしながら,ロボットの動作が高速化すると動力学的な干渉や非 線形性の影響が大きくなり無視することができなくなる.また,動力学的な干渉や非線形性を積極的に 利用する研究も行われている.このようなロボットは自由度よりもアクチュエータの数が少なぃ劣駆動マ ニピュレータと呼ぱれ,ロボットに存在する非線形性や関節聞に生じる動力学的な干渉を利用すること で非駆動関節を駆動する.

  軽量,低エネルギー消費という観点から,ロボッ卜マニピュレータの課題のーっは軽量化である,弾 性による振動 の発生を避け,高精度の位 置決めを行うために,各リンクや関節の摺動部は頑健な構造 がとられる.このためロボット本体の重量が増加し,可搬重量は非常に小さぃ,アームを軽量化するた めには剛性を犠牲にする必要があり,ロボットマニピュレータは柔軟マニピュレータとならざるを得なぃ,

この場合,リ ンクの振動や静的変形が無 視できず,剛体マニピュレータと比べて位置決めの精度を低 下させてしま う.柔軟マニピュレータの 振動制御に関する研究は多いが,高速動作する柔軟マニピュ レータに関す る研究は少なぃ,柔軟リン クの振動を抑制するためには,振動の状態量を推定し状態フ イードバックが行われる場合が多い.状態フイードバックを行うためにはすべての状態量を知る必要が あるが,すべ ての状態量を検出すること は多くの場合困難である.そこで制御対象の出カから状態推 定を行うことが必要となる.高速動作するロボットアームでは,低速で動作する場合と比べて,非線形 性や関節問に 生じる動力学的な干渉の影 響が大きくなる,非線形性や 干渉の影響を補償する機能を 持たなぃ状態推定器(オブザーバ)の推定精度は低下するため,推定された状態量をフイードバックし ても,期待す る制御性能は得られなぃ. 正確な状態推定を行うためには,不確かさや外乱を積極的に 推定器に加え ,実際のモデルの挙動との 差異を小さくする必要がある.そのため状態推定がロバス卜 であるために はオブザーバに未知の外乱 や不確かさを再現するための 機能を組み込む必要がある,

  本研究では,ゴルフスイングロボットを一種の柔軟リンクを有する高速動作柔軟アームと考え,状態 フイードバックによってダウンスイング後の制動時に生じる衝撃や振動を抑制した,スイングロボットの モデルには,手首関節を非駆動関節とし,スイング動作を行うためにゴルフクラブの弾性とアーム型ロ ボットが有する非線形性および動力学的な干渉を利用するというゴルフスイングロボットモデルを採用

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した. このモデルでは,クラブのスイング時において,非駆動関節の駆動カとして,非線形性や動力学 的な干 渉を利用する.そのため,制 御対象を線形化する手法を用いることができなぃという特徴を持 ち,一般的なオブザーバを用いた状態の推定は困難となる.ここでは,応答が高速という意味ではなく,

アーム の回転角速度が大きいという意味でアームを高速に駆動することになり,遠心カやコリオリカ等 に起因 する非線形性が低周波数領域において大きくなると考えることができる.そこで,特に低周波数 領域に おける状態推定の性能を改善 するために,オブザーパを ,実システムの出カを目標値とする1 型サー ボ系として構成した.安定性 を考慮した結果,このオブザーバは推定誤差に対する積分器をシ ステムに組み込んだ形となった.実験およびシミュレーションを行い,このようなオブザーパを用いるこ とによって,より正確な推定値を得ることができ,柔軟リンクの振動を抑制できることを示した.さらに,

ポールをインパク卜した場合についての検討も行っている,ボールをインパク卜した場合,柔軟リンク先 端への 入カはインパルス入力状の入 カとなり,高次モードを励振する.この場合スピルオーバーを起 こす可 能性があるが,このオブザーバは,センサ出カに対するローパスフイルタの性質を持ち,スピル オーバーを抑制しているものと考えられる,

  本論文は全5章で構成されている.以下に各章の概要を示す.

  第1章で は, 従来 の 研究 と本 研究 の 位置 づけ なら びに 意 義さ らに 各章 の概要について述 べた,

  第2章 では対象とする問題の数学モデルを導出した.ゴルフスイングロボッ卜を一種の柔軟リンクを 有する 高速動作柔軟アームと考え,ゴルフロボットの詳細な数学モデルを構築した.ゴルフクラプをオ イラー ーベルヌーイはりとしてモデル化し,固有振動モードを用いて運動方程式を展開することにより 状態方 程式を導出した.ここでは,クラブ^ッドの重心がシャフトの軸上に存在しなぃために生ずる,

曲げとねじれの連成を考慮している.

  第3章で は制 御系 に ついて述べた ,正確に状態推定を行うと 同時に,制御対象に入カされ た外乱 を 推定 す る状 態推 定器 につ い て述 べ, 簡単 なモ デルを用いて 状態推定および外乱推定の精 度に関 する考察を行った.さらに,ゴルフロボットについて,テイクバック動作,ダウンスイング終了後の制動動 作のた めの制御器を構築した.これ らは状態推定器によって得られた状態量を状態フイードバックす ることで実現し,柔軟リンク(ゴルフクラブ)の振動を抑制する.

  第4章 では,はじめに実験装置の構成を示した,次に実験モード解析により柔軟リンク(ゴルフクラ ブ)の 固有振動数および固有振動モードを求め,柔軟リンクのヤング率等のパラメータを同定したー第 3章で設計した制御系を適用し,ゴルフスイングロボットのシミュレーションおよび実験を行った.シミュ レーシ ョンにより,同一次元オブザーバと比較して,本研究で導入した状態推定器がパラメータ変動に 対して もよルロバス卜であることを示した,さらに高速動作中においても正確な状態量の推定値が得ら れ る こと を確 認し た .ま た, スイ ング 動 作を 評価 する 評 価関 数を 導入 し, ボ ール を確 実に イン パ クト す るた めに 最適 なフ イ ード フォ ワー ドト ルク計画を調 べた,最後に実験により外乱 状態オ ブザーバを用いた振動制御の有効性を示した.

  第5章は結論であり,本研究を通じて得られた成果を取りまとめた.

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

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主査

  

教 授

  

小林 幸徳 副査   教授   佐々木一彰 副査   教授   鍵和田忠男 副査

  

教 授

  

成田 吉弘

学 位 論 文 題 名

高速駆動柔軟ロボットアームの状態推定と

    

振動制御に関する研究

  

アーム型ロボットは,産業用ロボットとして広く用いられている.これらでは,弾性による 振動の発生を避け,高精度の位置決めを行うために,各リンクや関節の摺動部は頑健な構造が とられる.一方,低コスト,低エネルギー消費という観点から,ロボットアームの課題のーつ は軽量化である,アームを軽量化すると剛性が低下し,ロポットアームは柔軟な構造となる.

この場合,アームの振動や変形が無視できず,剛体アームと比べて位置決めの精度が低下する,

また,アーム型ロボットの動作が高速化すると,動力学的な干渉や非線形性の影響が大きくな る.状態フイードバックによって柔軟アームの振動を抑制するためには,すべての状態量を知 る必要があるが,すべての状態量を検出することは多くの場合困難である.そこで制御対象の 出カから状態推定を行うことが必要となる.高速動作するロボットアームの状態推定に,動力 学的な干渉や非線形性の影響を補償する機能を持たない状態推定器(オブザーバ)を用いた場 合,その推定精度は不十分であり,期待する制御性能は得られない.正確な状態推定を行うた めには,オブ ザーバに未知の外乱や不確かさを再現するための機能を持たせる必要がある,

  

本論文では,柔軟リンクを有する高速動作柔軟ロポットアームであるゴルフスイング口ボッ トの状態フイードバック制御において,動力学的な干渉や非線形性の影響を補償する機能を有 するオブザーバを提案している.本研究で用いるスイングロボットでは,手首関節を非駆動関 節とし,スイング動作を行うためにゴルフクラブの弾性とアーム型ロボットが有する非線形性 および動力学的な干渉を利用している.そのため,制御対象を線形化する手法を用いることが できず,一般的なオブザーバを用いた状態推定は困難となる.ここでは,応答が高速という意 味ではなく,アームの回転角速度が大きいという意味でアームを高速に駆動することになり,

遠心カやコリオリカ等に起因する非線形性が低周波数領域において大きくなる.そこで,特に 低周波数領域における状態推定の性能を改善するために,オブザーバを実システムの出カを目 標値とする1 型サーボ系として構成している.その結果,このオブザーバは推定誤差に対する

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積分器をシステムに組み込んだ形となっている.本論文では,実験およびシミュレーションを 行い,提案するオブザーバを用いることによって,正確な状態推定値を得ることができ,柔軟 アームの振動抑制において有用であること示している.さらに,ボールをインパクトした場合 についての検討も行っている.ボールをインパクトした場合,ゴルフクラブ先端への入カはイ ンパルス状となり,高次モードを励振する.この場合スピルオーバーを起こす可能性があるが,

このオブザーバは,センサ出カに対するローパスフイルタの性質を持ち,スピルオーバーの抑 制にも寄与している.

  

本論文は以下の全5 章で構成されている.

  

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章 で は , 従 来 の 研 究 と 本 研 究 の 位 置 づ け な ら び に 意 義 に つ い て 述 べ て い る .

  

第2 章では対象とするゴルフロボットの詳細な数学モデルを構築し,固有振動モードを用い て運動方程式を級数展開することにより状態方程式を導出している.ここでは,クラブ^ッド の重心がシャフトの軸上 に存在しないために生ずる,曲げとねじれの連成を考慮している.

  

第3 章では制御系について述べている.正確に状態推定を行うと同時に,制御対象に入カさ れた外乱を推定する機能を有する状態推定器について述べ,簡単なモデルを用いて状態推定お よび外乱推定の精度に関する考察を行っている.そして,ゴルフロボットについて,テイクバ ック動作とダウンスイング終了後の制動動作のための制御器を,状態推定器によって得られた 状態量を状態フイードバックすることで実現している.

  

第4 章ではシミュレーションと実験の比較ならびに考察を行っている,シミュレーションに より,同一次元オブザーバと比較して,本研究で導入した状態推定器がパラメータ変動に対し てもロバストであることを示し,さらに高速動作中においても正確な状態量の推定値が得られ ることを確認している.そして,ゴルフロボットを用いた実験により提案する状態推定器の有 効性を確認するとともに,シミュレーションとの比較・考察によってその特性を明らかにして いる.

  

5

章 は 結 論 で あ り , 本 研 究 を 通 じ て 得 ら れ た 成 果 を 取 り ま と め て い る .

  

これを要するに,著者は,高速駆動柔軟ロポットアームの振動制御において,動力学的な干 渉や非線形性の影響を補償する機能を有する状態推定器を提案し,その有用性に関して有益な 知見を得たものであり,機械工学および制御工学の進歩に貢献するところ大なるものがある,

よ っ て 著 者 は , 北 海道 大学 博士 (工 学 )の 学位 を授 与さ れる 資格 ある もの と認 める .

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参照

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