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迅速計数法の開発に関する研究 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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     博士(水産科学)大坪雅史 学位論文題名

螢光励sitzt ハイブリダイゼーション法を応用した 環境および食品試料からの腸内細菌の

迅速計数法の開発に関する研究 学位論文内容の要旨

   食品や飲用水の衛生指標として、汚染指標細菌および糞便汚染指標細菌の計数 がなされる。大腸菌群は最も一般的な汚染指標細菌であるが、乳糖発酵性の無芽 胞グラム陰性細菌を意味する公衆衛生上の用語であり、分類学的に充分に定義さ れたものではない。また、Salmonella や Shige ぬのような腸管由来病原菌に代 表される乳糖非発酵性の腸内細菌科に属する細菌(腸内細菌)は大腸菌群として 検出されず、衛生検査上の問題点として指摘されている。従って、分類学上明確 に位置付けられ、かつ乳糖非発酵性腸内細菌を検出できる点で、腸内細菌が大腸 菌群よりも汚染指標細菌として有用であることが指摘されており、さらに、これ らの衛生指標細菌の迅速な検査法が求められている。

   そこで本研究では、食品や環境水試料中の腸内細菌の検査結果が一日の勤務時 間内で判定できる測定法の開発を目的に、16SrRNA を標的とする螢光血血 U ハ イプリダイゼーション(FISH )技術を応用し、生きている腸内細菌の検出・定量 法について検討した。

   第一章では、腸内細菌に特異的なプローブを作製した。初めに、GenBank /

EMBL / DDBJ デ ー夕 ―ベー スよ り入 手し た関連 細菌 の16SrDNA 塩 基配 列の多

重アライメント結果から、腸内細菌検出用プ口ーブとしてプ口ーブB とプローブ

D を設計した。次に、各腸内細菌検出用プローブを用い、腸内細菌のみを検出す

るためのFISH の温度条件を検討した。その結果、プローブB は高い特異性を示

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す温度条件が見出せず腸内細菌検出用プ口ーブとして適さなかったが、プロープ Dでは60℃の反応温度で高い特異性が認められた。よって腸内細菌検出用プロー プとしてプ口ーブDを採択した。

  次に、プローブDを用いたFISHによる腸内細菌の検出精度について検討した。

腸内細菌科77株、腸内細菌科に属さない細菌34株の計111の供試菌株に対して     ■1■I・ ・ ・ ■I■ ・ ・ ・ ■ ・ ■ ・ ・ 一 ・ 一 ■1・ 一 ・ 一 一 一 プ口ープDを用いたFISHを実施し、検出スベクトルを調べた。その結果、腸内 細菌の検出率は97%であり、プロープDを用いるFISHは腸内細菌をほぽ正確に 検出できることが明らかとなった。

  第二章では、プローブDを用いるFISH技術を用い食品や環境中における生き ている腸内細菌の迅速な検出・定量法について検討した。開発目標値として、検 出限界 は、食品に おいては100CFU/g、環境水試料においては1CFU/mlとし、

検出時間は一日での勤務時間内(8時間)とした。

  初めに、濾過によルメンプランフィルター(直径13 mm、ポアサイズ0.4 lutm) 上に捕捉した食品試料懸濁液中の細菌を培養せずに直接FISHにより検出するこ と(直接的FISH)を試みた。しかし、生イカ外套膜を試料に用いたところ、固 定化処理した試料懸濁液の最大濾過量は試料0.0025g相当量であり、また、螢光 顕微鏡観察において、FISHシグナルを有する細菌細胞と螢光ノイズとを充分に 区別するために、倍率は1000倍とする必要が生じた。この条件で一標本にっき 30の顕微鏡視野を観察した場合、フィルター面積、試料濾過量ならびに顕微鏡視 野面積の関係で検出限界は3.6xl04 cells/gとなり、この値は目標の検出限界より 360倍低いものであった。従って、直接的FISHによる腸内細菌の検出方法を、

実 際 の 食 品 試 料 の 細 菌 検 査 へ 応 用 す る こ と は 難 し い と 判 断 さ れ た 。   目的とする検出感度を得るためには食品や環境試料のFISH標本を倍率100倍 下で螢光顕微鏡観察する必要が示唆されたため、培養併用FISH (FISHFC)を検討 した。はじめに、FISH工程の短縮化を試み、工夕ノール固定処理およびハイブ リダイゼーション反応の最小時間を検討し、それぞれ5分に短縮することができ た 。 こ の こ と に よ り 、FISH工 程 を1時 間 以 内 と す る こ と が で き た 。   次に、供試食品試料(イクラ、生イカ外套膜、すり身、鳥ひき肉)の10倍希     ―1420―

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釈 液の 最 大 濾過 量 は、 い ず れも 食 品O.Olg相当 量 で あっ た ため 、食品試 料0.01g を 濾 過 し た メ ン プ ラ ン フ ィ ル タ ー に つ い てFISHFCに よる 腸 内 細菌 の 定量 性 に つ いて検討 した。E.coガ を添加し たイクラ の10倍希釈 懸濁液を試 料に用い 、培養 法 で 計 数 し たEcめ 数 と 比 較 し た 。FISHFCに よ る 測 定 は 、O−200ce11s/ 試 料 O.01gの範囲においてE印ガの培養計数結果と高い相関が認められたくy〓O.9014x, r=O.9724)。

  さ ら に 、FISHFC法 が環 境 水や 食 品 中に 存 在す る 腸 内細 菌 の測定 に適用可 能で あ るか 否 か を検 討 した 。 ま ず、 環 境 水試 料 (河 川 水 試料 :3検体、 海水試料 :1 検体)1mlに対して 各種細菌 数測定(n=5)を実 施した結果、河川試料において大 腸菌群数と腸内細菌数(gross)は有意差がなくくp冫0.05)、またFISHFC計数値と腸 内細菌数(net冫には有意差が認められなかったくp冫O.05)。一方、海水試料では、

FISHFC計数値は、腸内細菌数(net)より高かったが(pくO.05)、大腸菌群数とは有 意差が認められなかった(p冫O.05)。次に、食品試料として鳥ひき肉O.01gを用い、

「 殺菌 前 」 と「 殺 菌後 」 のFISHFC計 数 値と 各 種培 地 を 用い た培 養計数値 を測定 したと ころ、殺 菌前ではFISHFC計数値と 腸内細菌 数(net冫には有意差が認められ ずくp冫O.05)、ま た殺菌後においてもFISHFC計数値は、培養計数値と同様、腸内 細 菌は検出 されなか った。以 上のこと から、河 川および海 水中の多 くの腸内 細菌 は6‐ ガラ ク ト シダ ー ゼ陽 性 の 可能性 があった こと、海水 中の多く の腸内細 菌が VRBG寒 天 培 地 ( 腸 内 細 菌 用 寒 天 培 地 ) 上 で の 生 育がCC寒 天 培 地( 大 腸菌 群 用 寒 天 培 地 ) で の 生 育 よ り も 困 難 な 生 理 状 態 に あ っ た こ と が 推 察 さ れ た 。   VRBG寒 天 培 地 を 用い る 腸 内細 菌 測定 法 は 、結 果 判定 に4日 間 を要 す 。ま た 、 海 水 試 料 に はVRBG培 地 で 増 殖 が 困 難 な 状 態 の 腸 内細 菌 が含 ま れ てい る 可能 性 が あ る 。 こ れ に 対 し 、 プ 口 ー ブDを 用 い るFISHFC法 は 、 食 品 又 は 環 境 水 試 料 中 の培 養 可 能な 腸 内細 菌 の みを7時間 以内に検 出し、その 数を正確 に定量で きる こ とが 強 く 示さ れ た。 故 に 、こ の手 法は、1日 の勤務時間 内での食 品衛生や 水質 の評価に役立つものと判断された。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

田島 吉水 猪上 澤辺

研一     守 徳雄 智雄

     学 位 論 文 題 名

螢 光 励 sztu ハ イブ リダ イゼ ーシ ョン j を 応 用し た 環境および食品 試料からの腸内細菌の

迅速計 数法の開発に関する研究

  近 年 、 病 原 性 腸 内 細 菌 に よ る 農 産 物 お よ び 水 産 物 の 食 中 毒事 故 例 が相 次 ぎ 、迅 速 で 精 度 の 高 い 衛 生 指 標 細 菌 検 査 法 が 求 め ら れ て い る 。 本 論 文 は 、16S rRNAを 標 的 と す る 螢 光 血 釘 ぬ ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン(FISH)技 術 を 応 用 し 、 生 き て い る 腸 内 細 菌 を 迅 速 か つ 高 い 精 度 で 検 出 お よ び 定 量 す る 手 法 の開 発 を 行っ た も の で あ る 。 特 に 評 価 さ れ る 成 果 は 以 下 の 通 り で あ る 。

1. GenBank/EMBL/DDBJデ ー 夕 ― ベ ー ス よ り 入 手 し た 関 連 細 菌 の16S rDNA   塩 基 配 列 の 多 重 ア ラ イ メ ン ト を 行 い 、2種 類 の 腸 内 細 菌 検 出 用 プ ロ ー ブ ( プ ロ   ー ブ B( 5 ‑GAAGCCACGCCTCAAGGGCACAA‑3 ) お よ び プ ロ ー ブ D     (5 ‑TGCTCTCGCGAGGTCGCTTCTCTT‑3 ) を 設 計 し た 。 こ れ ら の プ 口 ー ブ   を 用 い 、 腸 内 細 菌 を 検 出 す る た め の ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョン の 温 度条 件 を 検討   し た 。 プ ロ ー ブBで は 腸 内 細 菌 を 特 異 検 出 す る 至 適 反 応 温 度 を 見 い だ せ な か っ   た が 、 プ ロ ー ブDで は60°Cで 反 応 さ せ る こ と に よ り 、 腸 内 細 菌 検 出 用 プ ロ ー   ブ と し て 適 切 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。

2. 供 試 細 菌111株 ( 腸 内 細 菌74種77株 、 腸 内 細 菌 科 に 属 さ な い 細 菌 34種34   株 ) に 対 し て プ 口 ー ブDを 用 い たFISHを 行 い 、 検 出 ス ペ ク ト ル を 検 討 し た 。   75株 の 腸 内 細 菌 に 本 プ ロ ー ブ は 反 応 し 、 そ の 検 出 率 は97% で あっ た 。 一方 、 腸   内 細 菌 科 以 外 の 供 試 細 菌 に は プ ロ ー ブDは 反 応 し な か っ た 。 従 っ て 、 プ ロ ー ブ   Dを 用 い るFISHは 腸 内 細 菌 を ほ ぼ 正 確 に 検 出 で き る こ と を 明 ら か に し た 。 3. 食 品 お よ び 環 境 試 料 で は 、 自 家 螢光 を 生 じる 粒 状 物が 多 く 、こ れ ら 試料 に 混 在

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  して いる 腸内 細菌 を直 接FISHで 正確 に検出 する こと は困 難で あっ た。 この場   合、 異物 と細 菌細 胞を 区別 する ため には1000倍 の倍 率で 螢光 顕微 鏡観 察する   必要 があ った 。この観察条件下では腸内細菌の検出限界は低下し、直接的FISH   法を細菌検査として適用できなかった。そこで、腸内細菌の短時間培養を行い、

  食品 およ び環 境試料に混入している生きている腸内細菌を迅速に検出し、高い   検出 限界 を有 する 培養 併用FISH法を 開発し た。 本法 は、 試料 懸濁 液を メンブ   ラン フイ ルタ ーに より 濾過 し、 フイ ルター 上に捕集された細菌を6時間培養し   生 じ た 微 小 集 落 を 、 プ 口 ー ブDを 用 い たFISHに よ り 、観 察倍 率100倍 下で特   異 検 出 す る こ と で 、 顕 微 鏡 下 で の 計 数 限 界 を 高 め た 手 法 で あ る 。 4. 培 養 併 用FISH法 を衛 生 検査 に利 用す るた めに は、FISH反応 時間 の迅 速化が   必要 とな った 。そこで、細菌細胞の固定時間とハイブリダイゼーション反応時   間の 短縮 化を 検討 し、 それ それ5分間 で充 分であることを明らかにした。この   こ と に よ り 、FISH反 応 時間 を1時 間に 短縮 化し た。 また 、大 腸菌 を添 加した   イク ラ試 料を 用い て培 養併 用FISHの 定量性 を培 養法 と比 較し たと ころ 、培養   併用FISH法は 培養 法の 計数 値と 高い 相関(0.9014X,r:ニ0.9724)を示 すこと   を明 らか にし た。 従っ て、 本法 によ り、食 品で は100 CFU/g、環 境水 試料で   は1 CFU/mlま での 生き てい る腸 内細 菌の 混入 を7時 間で 計数 でき るこ とを明   らかにした。

5.培 養併 用FISH法が 環境 水や 食品 に存 在す る腸内細菌の測定に適用可能である   か 否 か を 検 討 し た 。 ま ず 、 河 川 水 試 料3検 体(n=5)lmlに 対 し てVRBG寒 天   培地 を用 いる 腸内細菌の培養計数を行った結果、いずれの試料とも、培養併用   FISH法と計数値に有意な差は認められなかった(p冫O.05)。.また、食品試料とし   て鳥ひき肉O.Olgを供試し、殺菌前後の試料(n=5)の腸内細菌数の変化を培養   併 用FISH法 とVRBG寒 天 培 地 を 用 い る 培 養 計 数 法に よ り 測定 した とこ ろ、殺   菌前 では 培養 併用FISH法と 平板 培養 法によ る計 数値 に有 意な 差は 認め られな   かった(p冫0.05)。また、殺菌後の試料からは、両計数法によっても、腸内細菌   は検出されなかった。

  以 上 の成 果 は 、 プ 口 ー ブDを 用 い る培 養併 用FISH法 が1日の 勤務時 間内 で、

食品・水産物の衛生検査および河川水・海水浴場の水質検査に応用できることを 示すものである。また、本手法は水産物あるいは沿岸環境からの種々のヒト病原 性細菌の迅速計数にも応用が期待される。このことは水産科学に貢献するところ 大であることから、審査員一同は本論文が博士(水産科学)の学位論文として充 分な 内容 を有 するも のと 判定 した 。

参照

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