博 士 ( 水 産 科 学 ) 別 府 史 章
学 位 論 文 題 名
フ コ キ サ ン チ ン の 安 全 性 に 関 す る 研 究
―一般毒性および変異原性評価と生体内脂質代謝への影 響について―
学位論文内容の要旨
肥 満は 内 臓 脂 肪 の過 剰 な 蓄 積 によ り 、 イ ン スリ ン 抵 抗 性 を 誘発 す る と と もに 、 そ れ を 基盤 とし たu型 糖 尿 病 や動 脈 硬 化 症 など の 病 態 基 盤 とな る こ と が 知ら れ て い る 。一 方 、近 年食習 慣と糖 尿病な どの 生活 習 慣 病 との 因 果 関 係 が科 学 的 に 示 さ れる よ う に な り、 そ れ に 伴 い生 活 習慣 病の予 防や改 善を目 的と した 食 品 素 材の 探 索 研 究 が国 内 外 で 活 発 に行 わ れ て い る。 し か し な がら 、 食品 成分は 医薬品 とは異 なり 、摂 取 量 に 関す る 明 確 な 基準 が な い も の がほ と ん ど で あり 、 特 に 健 康食 品 やサ プリメ ントで は本来 の食 品中 に 含 ま れる 量 と 比 較 して 多 量 の 成 分 が長 期 間 に わ たっ て 摂 取 さ れる 危 険性 も考え られる 。その よう な場 合 、 化 合物 の 中 に は 急性 お よ び 慢 性 的な 毒 性 を 示 す成 分 に 加 え 、そ れ らの 症状が 明確に 表れる まで に時 間 を 要 する よ う な も の、 さ ら に は 毒 性的 な 症 状 は 見ら れ な い も のの 生 体内 の様々 な代謝 系に過 剰な 作用 を も た らし 、 健 康 状 態を 悪 化 さ せ る よう な 負 の 作 用も 懸 念 さ れ るた め 、安 全性に ついて は十分 な検 討が 必 要 で ある 。
フ コキ サ ン チ ン はワ カ メ 等 の 褐藻 類 に 特 徴 的に 含 ま れ る キ サン ト フ ィルで 、これ まで に抗肥 満効果 や 高 血 糖 改善 効 果 と い ´」 た 、生活 習慣病 予防 に対す る有効 性が報 告さ れてい る。こ れまで 報告さ れて いる 他 の 食 品成 分 と 比 較 して 作 用 が 強 い こと が 特 徴 で あり 、 機 能 性 食品 素 材と しての 開発が 世界中 で進 めら れ て い る。 し か し な がら 、 フ コ キ サ ンチ ン 自 体 は 非栄 養 素 で あ り、 生 体内 の代謝 にっい ては一 部報 告さ れ て い るが 、 食 品 素 材と し て の 安 全 性に つ い て は 未だ 詳 細 に 検 討さ れ てい ない。 特に、 フコキ サン チン は 強 い 体重 増 加 抑 制 作用 を 有 し て い るた め 、 そ の 作用 機 構 は 糖 や脂 質 代謝 に関す る生体 全体の ェネ ルギ ー 代 謝 系に 関 わ る こ とが 考 え ら れ る 。そ こ で 、 本 研究 で は フ コ キサ ン チン の食品 素材と しての 一般 的な 毒 性 評 価に 加 え 、 肥 満や 糖 尿 病 病 態 マウ ス と 健 常 マウ ス に お け る作 用 の違 いに注 目した 脂質代 謝系 機能 へ の 影 響 に つ い て 詳 細 に 評 価 す る こ と に よ り そ の 安 全 性 を 評 価 す る こ と を 目 的 と し た 。 第1章 で は ワ カ メか ら 抽 出 ・ 精製 し た フ コ キサ ン チ ン の 安全 性 を 一 般 的 な毒 性 試 験 に より 評 価した 。 単 回 投 与 試 験 で は 医 薬 品 の 毒 性 試 験 ガ イ ド ラ イ ン で 定 め ら れ る 、 物 理 的に 投 与 可 能 な最 大 限 度 量 の 2,000 mg/kgを 健 常なICRマ ウス に 投 与 し た。 そ の 結 果 、フ コ キ サ ン チン に よ る 急 性 毒性 は 認め られな か っ た 。 続 い て 、 反 復 投 与 試 験 で は ヒ 卜 介 入 試 験 の 報 告 を 参 考 に500 mg/kg、1000 mg/kgで30R間 投 与 し た 。そ の 結 果 、 体重 推 移 、 一 般 状態 、 剖 検 所 見に 異 常 は 認 めら れ なか った。 一方、 フコキ サン チン 投 与 に より 血 漿 中 の 総コ レ ス テ 口 ー ルに 有 意 な 上 昇が 認 め ら れ た。 こ れに ついて は作用 機序の 面か ら安 全 性 を 考察 す る 必 要 があ る と 考 え た 。遺 伝 毒 性 に つい て は 、 細 菌を 用 いた 復帰突 然変異 試験お よび マウ ス を 用 いた 小 核 試 験 を行 っ た 結 果 、 フコ キ サ ン チ ンお よ び そ の 代謝 物 によ る変異 原性が なく異 常所 見が 見 ら れ ない こ と か ら 毒性 学 的 に は 安 全で あ る と 結 論し た 。
第2章 で は 糖 尿 病 ′ 肥 満KK‑Ayマウ ス を 用 い て、 糖 、 脂 質 代謝 へ の 影 響 を検 討 し た 。 フ コキ サ ン チ ン 0.2% 含 有 飼 料 で4週 間 飼 育 し た結 果 、 こ れ まで と 同 様 に 体重 お よ び 白 色脂 肪 組 織(WAT)重 量 の増加 抑制 作 用 が 認め ら れ た 。 また 、 血 糖 値 の 改善 と と も に 、血 中 の イ ン スリ ン 濃度 に加え 、摂食 抑制や ェネ ルギ 一 代 謝 制御 機 能 を 持 つレ プ チ ン 濃 度 の有 意 な 低 下 が認 め ら れ た 。一 方 、イ ンスリ ンシグ ナルに 異常 のな い 健 常 なマ ウ ス に お いて は 血 糖 値 低 下が 認 め ら れ ない こ と が 明 らか に され ており 、イン スリン 抵抗 性の 改 善 に より 糖 代 謝 が 亢進 し た と 推 察 され る 。 よ っ て、 健 常 な 生 体に 対 する 過剰な 低血糖 を引き 起こ す危
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険 性 は ない と 考 え ら れ、 エ ネ ル ギ ー 成分 の 欠 乏 な どの 副 作 用 を引き 起こさ な1ゝもの と考え る。一 方、 フ コ キ サ ン チ ン 投 与 群 で はICRマ ウ ス と 同 様 に 血 中 の総 コ レ ス テ 口一 ル の 上 昇 が 認め ら れ た 。 また 、 肝 臓 脂 質 の脂 肪 酸 組 成 を分 析 し た 結 果 、飽 和 脂 肪 酸 含有 率 の 増 加、一 価不飽 和脂肪 酸の低 ・Fが認め られ 、 主 に 肝 臓 に お け る 脂 肪 酸 代謝 系 へ の 影 響が 示 さ れ た 。 以上 、 第1章 およ び 第2章 の結 果 よ り 、 生体 内 の コ レ ス テ口 ー ル 代 謝 と肝 臓 中 の 脂 肪 酸代 謝 に 及 ぼ すフ コ キ サ ン チン の 影 響 に つい て は、そ の作用 機構 の 解明 によ る安全 性への 考察が 必要で ある と考え た。
そ こで 、 第3章 ではICR、KK゜ ´ 紗 マウ ス 共 通 し て認 め ら れ た 総コ レ ス テ 口 一 ルの 上昇作 用に 関わる 作 用 機 構 の解 明 を 試 み た。 フ コ キ サ ン チン 群 で は 、 コレ ス テ 口 ー ル代 謝 の 中 心 的な 役 割をな す肝臓 にお い て 、 血 清巾 と は 反 対 にコ レ ス テ 口 ー ル量 の 有 意 な 低下 が 認 め ら れた 。 コ レ ス テ口 ー ル代謝 に関わ る各 種 因 子 の 発 現 量 を 検 討 し た 結 果 、 肝 細 胞 中 にHDLか らコ レ ス テ 口 ール を 選 択 的 に 取り 込 む ス カ ベン ジ ャ ー受 容体 (SR.B1) のタ ンバク 質発現 が有意 に低 ドして しゝる ことが わかっ た。 さらに ルポタ ンバク 質プ□
フ ァ イ ル の 解 析 を 行 っ た 結 果 、 フ コ キ サ ン チ ン 摂 取 群 で はHDL粒 子 の サ イ ズ が 増 大 し 、 そ のHDL画 分 に コ レス テ 口 ー ル が多 量 に 移 行 し てい る こ と が 示さ れ た 。 よ って 、 フ コ キ サン チ ンのコ レステ 口ー ル 上 昇 作 用 の 要 因 の 一 部 に 、SR.B1を 介 レ たHDL・ コ レ ス テ口 ー ル の 代 謝 への 影 響 が 示 され た 。 ヒ ト の HDL・ コ レス テ 口 ー ル 代 謝機 構 で は 、SR.B1に加 え 、 マ ウ スに は 見 ら れ な いch01esterylestertransfer proteinを 介 し たHDLと 他 の り ポ タ ン パ ク 質 問 で の コ レ ス テ 口 ー ル 転 送 シ ス テ ムが あ る 。 従 って 、 本 研 究 で マ ウ ス に対 し て 認 め られ たHDL.コ レ ス テ 口 一ル 代 謝 へ の 影響 に つ い て は 、ヒ ト に 近 い ウサ ギ な ど を 用 いて 詳 細 に 調 べる 必 要 が あ る 。ま た 、 食 品 素材 と レ て 広 く利 用 を 考 え る場 合 、高コ レステ 口ー ル 血 症 の ヒ ト ヘ の 利 用 に つ い て は 、 十 分 な 検 討 お よ び 注 意 が 必 要 で あ る と 考 え る 。 第4章 で は 、 肝 臓の 脂 肪 酸 組 成変 化 へ の 影 響に つ い て 、 その 制御 因子と して69位 不飽 和化酵 素(SCD1) に 注 目 し て 検 討 し た 。SCD1は 脂 肪酸 合 成 系 に お いて 中 心 的 な 役割 を 担 う と とも に 、 生 体 内の ェ ネ ル ギ 一 代 謝 制御 に 関 わ る レプ チ ン の タ ー ゲッ ト 因 子 で ある こ と が 知られ ている 。KK‐4′マ ウス の肝臓 におい て 、 フ コ キ サ ン チ ン 摂 取 群で はSCD1の 発 現 量 に 有意 な 低 下 が 認め ら れ た 。 それ に 伴 い 脂 肪酸 組 成 に お け る オ レ イ ン 酸′ ス テ ア ル ン酸 の 比 の 減 少 とWAT重 量の 減 少 、 さ らに は レ プ チ ン 濃度 の 低 下 に 強い 相 関 が 認 め ら れ た 。一 方 、 レ プ チン 産 生 を 欠 損 する 遺 伝 的 肥 満ob/obマ ウ ス に 対 して は 、 フ コ キサ ン チ ン に よ る 体 重 の 増 加 抑 制 作 用 は認 め ら れ な かっ た 。 そ の 際 、肝 臓 で のSCD1発 現 を介 し た オ レ イン 酸 含 有 率 の 低 ド が認 め ら れ ず 、フ コ キ サ ン チ ンに よ る こ れ らの 作 用 が レ プチ ン シ グ ナ ルを 介 してい ること が示 さ れ た 。 ま た 、 フ コ キ サ ン チ ン は 健 常 マ ウ ス で あ るC57BU6Jマ ウ ス のWATに お け る レ プ チ ン 遺 伝 子 の 発 現 に 対し て 影 響 を 及ば さ な い こ と が報 告 さ れ て いる 。 従 っ て 、肝 臓 の 脂 肪 酸組 成 の変化 がレプ チン 抵 抗 性 の 改善 に よ る 作 用で あ り 、 そ れ によ る 生 体 内 のエ ネ ル ギ ー 代謝 の 亢 進 がKK. 」紗 マウ スに対 するフ コ キ サ ン チ ン の体 重 増 加 抑 制作 用 の 分 子 機 構の 一 部 で あ ると 推 察 さ れ る。ICRマ ウス で は 体 重 推移 に 異 常 は 見 られ ず 、 フ コ キサ ン チ ン に よ る体 重 増 加 抑 制作 用 、 そ れ に伴 う 肝 臓 の 脂肪 酸 組成の 変化は 、レ プ チ ン シ グナ ル が 脆 弱 した 肥 満 病 態 に 対し て の み 発 現す る 効 果 で あり 、 健 常 な 生体 の ェネル ギー代 謝に 悪 影響 をも たらす 作用で はない ことが 示さ れた。
以 上、 フ コ キ サ ンチ ン が 肥 満 を基 盤 と す る 生活 習 慣 病 予 防 に有 効 で あ る とと も に、 高齢 社会と なった 現代 にお いて重 要性を 増す健 康維持 に有 望な食 品素材 である こと が示さ れた。
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学 位論文審査の要旨 主査 副査
副査 副査
教授 教授 教授 准教授
高橋是太郎 宮 下 和 夫 板 橋 豊 細 川 雅 史
学 位 論 文 題 名
フ コ キ サ ン チ ン の 安 全 性 に 関 す る 研 究
―一 般毒性 および変 異原性 評価と生 体内脂質代謝への影 響につ いて―
内臓 脂肪組織へ の過剰な 脂肪蓄積 により、 インスリ ン抵抗性、高血圧、炎 症 など が 誘 発さ れ、H 型 糖尿病や 動脈硬化症 のりスク が増大す る。これ に対 して 、近年、食 習慣と肥 満、糖尿 病や高血 圧などの 生活習慣 病との因果関係 が科 学的に解明 されるよ うになり 、生活習 慣病の予 防や改善 を目的とした食 品素 材の探索研 究も国内 外で活発 に行われ ている。 フコキサ ンチンはワカメ 等の 褐藻類に特 徴的に含 まれるキ サントフ ィルで、 これまで に抗肥満効果や 高 血糖 改 善 効果 と い った 、 生活 習 慣 病予 防 に対する 有効性が 報告され てい る。 その活性は 他の食品 由来成分 と比較し て強いこ とが特徴 であり、機能性 食品 素材へのフ コキサン チンの利 用が世界 中で進め られてい る。しかし、フ コキ サンチンを 含むワカ メや昆布 などの褐 藻類につ いての食 経験はあるもの の、 フコキサン チンを濃 縮した形 態あるい はフコキ サンチン そのものの安全 性に ついての知 見は少な い。フコ キサンチ ンは強い 体重増加 抑制作用を有し てお り、その作 用機構は 糖や脂質 を中心と する生体 全体のエ ネルギー代謝系 と深 く関わって いると推 測される 。そこで 、本研究 ではフコ キサンチンの食 品素 材としての 一般的な 毒性評価 に加え、 肥満や糖 尿病病態 マウスと健常マ ウス における作 用の違い に注目し た脂質代 謝系機能 への影響 を評価した。本 研究 で得られた 成果は以 下のよう に要約さ れる。
1 . ワカ メ か ら抽出・ 精製した フコキサン チンの安 全性を一 般的な毒 性試験 によ り 評 価す るため 、物理的 に投与可能 な最大限 度量( 2 , 000 mg/kg) を健 常な ICR マ ウス に投与し た。その 結果、フコ キサンチ ンによる 急性毒性 は認 めら れ な かっ た 。 続い て 、反 復 投 与試 験 ではヒト 介入試験 の報告を 参考に 500 mg/kg 、 1 , 000 mg/kg を 30 日間 マウスに 投与した が、体重推 移、一般 状 態、剖検 所見に異 常は認め られなか った。一 方、フコ キサンチン投与により 血漿中の 総コレス テ口ール の有意な 上昇が観 察された 。これについては作用 機序の面 から安全 性を考察 する必要 があると 考えられ た。遺伝毒性について は、細菌 を用いた 復帰突然 変異試験 およびマ ウスを用 いた小核試験を行い、
フコキサ ンチンお よびその 代謝物に よる変異 原性がな く、異常所見も見られ ないこと を示した 。以上よ り、フコ キサンチ ンは毒性 学的には安全であるこ とを明ら かにした 。
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2. フコキサンチンの糖尿病 / 肥満KK‑A マウスに対する体重および白色脂肪 組織(WAT) 重量の増加抑制作用を確認した。この際、血糖値と血中のインス リン濃度の改善に加え、摂食抑制やェネルギー代謝制御機能を持つレプチン 濃度の有意な低下の起こることも初めて見出した。また、フコキサンチンを 過剰摂取しても、健常な生体での体重減少、過度な脂肪減少、低血糖、エネ ル ギ ー 成 分 の 欠 乏 と い っ た 副 作 用 の な い こ と が 示 さ れ た 。 3. マウスで認められたフコキサンチン摂取による血清総コレステ口ール上 昇の関連因子について検討し、HDL からコレステ口ールを肝臓内に選択的に 取り込むスカベンジャー受容体 (SR −Bl )発現の低下、HDL 粒子サイズの増 大、HDL 画分へのコレステ口ールの移行亢進が、フコキサンチン投与で誘導 されることを見出した。したがって、フコキサンチンのコレステ口ール上昇 作用の要因として、SR ―Bl を介したHDL −コレステ口ールの代謝への影響が明 らかにされた。ただし、ヒトのHDL ―コレステ口ール代謝は、マウスとは異な る分子機構に基づぃているため、フコキサンチンによる血清総コレステ口ー ル増大作用については、ヒトに近いウサギなどを用いたさらなる検討が必要 と考えられた。
4. フコキサンチン摂取により、KK‑A yY ウスの肝臓において、脂肪酸合成 系において中心的な役割を果たす69 位不飽和化酵素(SCD1 )発現量の有意な 低下を見出した。また、本酵素の発現量減少、オレイン酸ノステアリン酸比 の減少、及びWAT 重量の減少と、フコキサンチン投与によるレプチン濃度の 低下に強い相関のあることを明らかにした。一方、レプチン産生の欠損した 遺伝的肥満ob/ob マウスに対しては、フコキサンチンによる体重の増加抑制 作用は認められず、さらには、肝臓でのSCD1 発現を介したオレイン酸含有率 の低下も認められないことを明らかにした。以上より、フコキサンチンによ るレプチン抵抗性の改善と、それに伴う生体内のェネルギー代謝の亢進が、
フコキサンチンの抗肥満・抗糖尿病作用の主な分子機構であることを示し た。
以上のように、本研究では、海藻由来力口テノイド、フコキサンチンの安 全性について、一般毒性試験、反復投与試験、復帰突然変異試験、小核試験 を用いて毒性のないことを明かにした。また、フコキサンチンの特徴的な機 能性がなぜ肥満及び高血糖状態のみで発揮され、正常マウスには影響を及ぼ さないかについて、レプチンシグナルの発現制御の観点から合理的に説明し た。これらの成果は、確かな科学的基盤に基づく水産物由来の安全な抗肥満 食品素材の創出に大きく寄与するものと考えられる。よって審査員一同は本 研究の申請者が博士(水産科学)の学位を授与される資格のあるものと判定 した。
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