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高圧水蒸気処理による丸竹の完全平板展開法の開発とその応用

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Academic year: 2021

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Title

高圧水蒸気処理による丸竹の完全平板展開法の開発とその

応用( 内容と審査の要旨(Summary) )

Author(s)

薩如拉

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第587号

Issue Date

2012-06-29

Type

博士論文

Version

none

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/47970

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本個)籍) 学

の 種

学 位 記 番 号

学位授与年月

学位授与の要件

研究科及び専攻

研究指導を受けた大学

論 文 題 目

査 委 員 会

如 泣

(中華人民共和国)

博士(農学)

農博甲第587号

平成24年6月29日

学位規則第3条第1項該当

連合農学研究科

生物資源科学専攻

岐阜大学

高圧水蒸気処理による丸竹の完全平板展開法の

開発とその応用 主査

静岡大学

教 授 副査

岐阜大学

授 副査

静岡大学

准教授

副査

岐阜大学

准教授

彦 彦一三 滋 光 陽

木 橋 島 谷 鈴 棚 小

論 文 の 内

旨 本学位論文は竹の有効利用法の開発をめざして、丸竹の周方向への圧縮による丸竹サ イズの規格化とこ中庄縮丸竹を用いた平板展開法の開発を行い、平板展開竹の各種物性測 定を行うとともに、この応用として平板展開竹とスギ板材との複合化や平板展開竹を用い た3次元成型加工について技術陣発を行ったものである。 竹は非常に成長の早い植物であり、一般の樹木が成木になるのに数十年かかるのに対し て、竹はわずか3∼5年で成木となる。また毎年新たなタケノコを多数発生することによ り計然更新が容易であり、古くなった竹を計画的に伐採し使用することで一定の蓄積量を 維持したまま活用することができる持続可能な資源.である。しかし近年、建築様式の変化 やプラスチックの普及で竹製品の利用が減少し、その結果、荒れるままに放置された竹林 が増大し、近隣の森林や畑に侵入して農家や林業者に被害を及ぼしており、資源や環境問 題から竹の有効利用法の開発が急務となっている。しかし、竹は肉厚の薄い円筒状であり、 直径や肉厚も各個体間で相違し、また一本の竹においても下部から上部まで太さや肉厚が 不均質な材料であるため、有効利用が困難である。これを解決するために本論文は下記の 3つの華、即ち、第1章として竹の円周方向圧縮による規格化と平板展開法の開発、第2 章として平板展開竹の材質の評価、さらに第3章として平板展開竹の利用法の確立を目指 して、スギ材との複合化および平板展開竹の3次元成型加工技術の開発を行ったものであ る。 まず第1章は丸竹の平板展開法の開発である。竹材を平板に展開することはこれまで多 くの研究者によって試みられているが、いずれも丸竹を木口面で半割や3等分に分割し、 外皮や内皮さらに節などを取り除いた状態での展開が試みられており、展開成功率も大変 悪い。本論文はこれらの方法とは全く異なった発想により、平額展開法を開発したもので

(3)

ある。はじめに丸竹を周方向へ予備圧縮し、竹の内皮側組織に延伸できる余裕を与えてお き、外皮側の伸びを押さえながら平板に展開したものであり、非常にユニークな発想で行 われている。200-350m皿に切断した194本の3・5年生のマダケ(円周240・275m)を各円 周の長さで3区分に分類し、120、130、140および150℃の高圧水蒸気でそれぞれ20分 および30分の2条件で軟化し、新たに開発した横型庄入装置を用いて外周を徐々に絞り 込みながら内周220m皿のパイプ内に圧入した。この圧入の成功率から圧縮時の最適軟化

卑件は140℃・30分処型であると決定した。また圧箱率19%以内であれば一定サイズのパ

イプ内への圧入により竹材の円周方向への圧縮による直径の規格化ができることを明らか にし、建築材として利用できる可能性を示している。 次に得られた圧縮丸竹に軸方向に沿って-か所割れ目を入れ、温水(70・80℃)中で加 熱しながら平板状に展開した。予備展開された竹材をステンレス製の治具にはさみ、プレ スによって完全に平板に展開している。竹材の周方向圧縮の成功率および平板展開時の成 功率により、竹の平板展開の最適圧縮率は14%・19%であることを明らかにした。即ち、 圧箱丸竹の外径が未圧縮竹の内径よりも小さくすることで、展開時に要求される内周の伸 びを満たすことができ、平板展瀾を容易に実現できたものと考えられる。本研究により、 竹の内外皮をつけ'たままで、高い成功率での完全平板展開に成功している。また若付きの 丸竹も同様に周方向の圧縮や平板展開に成功しており、このことは将来、長尺の竹の平壌 展開が可能であることを示唆するものである。 第2章は平板展開竹材の形状固定処理条件の確立と物性の軌定を行っている。平衣展開 竹の形状固定条件として160,170,180,190℃の高圧水蒸気でそれぞれ1、2、4、8、16分 処理を行い、もっとも寸法安定性の高い処理条件として160℃・16分及び190℃・8分の高 圧水蒸気処理であることを明らかにした。しかし三点曲げ試験の結果、高温で処理するこ とによって、曲げ強度の低下が大きくなる償向が確認されたことから、平板展開竹材の最 適固定条件は160℃・16分の高圧水蒸気処理であると断定した。繊維方向の曲げ強度は内 皮曲げが外皮曲げよりも高いが、樺雅量直方向の曲げ試験においては外皮曲げの方が2倍 程度高くなる結果となった。また、平板展開竹材の表面硬度はスギ材の4.5倖の値を示し た。以上より、平板展開竹材はその表面硬度を利用した表面被覆材として有効活用できる ことを明らかにした。 第3章はこれら平板展開竹の有効利用法の開発について取りまとめたものである。前章 で平板展開竹材の外皮面および内皮面の密度差に起因する反りが観察されたことより、平 板展開竹を他材料と複合化し、その欠点を補う必要性がある。本章では平板展開竹をスギ と複合化し、その複合材の寸法安定性と物性の測定を行った。レゾルシノール接着剤を用 い、未固定平板展開竹および固定処理平板展開竹とスギ材のそれぞれ繊維平向複合材およ び繊維直交複合材を製作し、寸法安定性試験および種々の方向での3点曲げ試験を行った。 未固定平板展開竹・スギの複合材が竹の回復や収縮により変形するのに対して、固定処理平 板展開竹・杉の複合材は安定しており、吸湿乾燥お-よび吸水乾燥や煮沸乾燥の過程において も乾燥状態での寸法変化はほとんど見られなかった。三点曲げ試験では、詭雄方向複合材 のスギ側圧縮曲げ試験が破壊に至る変位が大きかったが、曲げ破♯強度は繊維直交複合材 が優れていた。いずれの複合材でも固定処理平板展開竹を用いた複合材の曲げ強度におけ る若干低下が.見られたが、変位とヤング率はほぼ同程度であった。 また平板展開竹を用いてトレー状の三次元成形加工について検討している。平板展開竹 を元の丸竹の方向に戻しながら行った3次元成型加工では破顔することなく成形加工する ことができたが、内皮側がさらに外側に反るような変形を伴う3次元成形加工においては

(4)

この部分で破壊が生じやすく成形は困難であった。そこで平板展開竹の外皮を除去し、繊 維と垂直方向にさらに圧縮を加えることによって、このような3次元成型加工も可能とな ることを明らかにした。 このように本論文は新規開発した横圧入方式による丸竹の周方向への圧縮と圧縮丸竹材 を内外皮や節をつけたままでの完全平板展開に成功しており、このことは長尺の竹材の圧 縮および平板展開が可能であることを示唆している。また竹外皮の高い表面硬度を有効に 活用する方法として、また平板展開竹の内外皮の密度差が大きいための湿度変化によるそ りの防止策として、スギ材との複合化によるフローリング材の開発を行い、さらに竹の3 次元成型加工に成功しており、未利用竹資源の有効活用法の開発を成し遂げたものである。 審

結 果 の

本研究は竹の有効利用法の開発をめざして、丸竹の平板展開法の開発を行い、平板

展開竹の各種物性測定、ならびに平板展開竹とスギ板材との複合化や平板展開竹を用

いた3次元成型加工について技術頗発を行ったものである。

竹は非常に成長の早い植物であり、樹木は成木になるのが数十年かかるのに対し

て、竹はわずか3年で成木となる。また毎年新たなタケノコを多数発生することに

ょり自然更新が容易であり、古くなった竹を計画的に伐採し使用することで一定の蓄

積量を維持したまま活用することができる持続可能な資源である。建築様式の変化や

プラスチックの普及で竹製品の利用が減少し、その結果、荒れるままに放置された竹

林が増大し、近隣の森林や畑に侵入して農家や林業者に被害を及ぼしており、資源や

環境問題から竹の有効利用法の開発が急務である。竹材の利用における最も大きな障

壁はその形状である。すなわち竹材は肉厚の薄い中空の円筒状であり、直径や肉厚も

各個体間で相違しており、また一本の竹材においても下部から上部まで不均質な材料

であるため、有効利用.が困難である。

本論文は丸竹の円周方向圧縮による規格化と平板展開法の開発を行い、平板展開竹

の材質の評価と利用法の確立を目指して、スギ材との複合化および平板展開竹の3

次元成型加工技術の開発を行ったものであり、主に3つの牽から構成されている。

まず第1章は丸竹の平板展開法の開発である。竹材を平掛こ展開することはこれ

まで多くの研究者によって試みられているが、いずれも丸竹を木口面で半割や3等

分に分割し、外皮や内皮さらに節などを取り除いた状態での展開が試みられており、

展開成功率も大変悪い。本論文はこれらの方法とは全く異なった発想により、平板展

開法を開発したものである。はじめに丸竹を周方向へ予備圧縮し、竹の内皮側組織に

延伸できる余裕を与えておき、外皮側の伸びを押さえながら平板に展開したものであ

り、非常にユニークな発想で行われている。200・350mmに切断した194本の3・5年

生のマダケ(円周240-275m)を各円周の長さで3区分に分類し、120、130、140

および150℃の高圧水蒸気でそれぞれ20分および30分の2条件で軟化し、新たに

開発した横型庄入装置を用いて外周を徐々に絞り込みながら内周220mmのパイプ

内に庄入した。この圧入の成功率から圧縮時の最適軟化条件は140℃-30分処理であ

ると決定した。また圧縮率19%以内であれば一定サイズのパイプ内への圧入により

竹材の円周方向への圧縮による直径の規格化ができることを明らかにし、建築材とし

て利用できる可能性を示した。

(5)

次に得られた圧縮丸竹に軸方向に沿って-か所割れ目を入れ、温水(70-80℃)中

で加熱しながら平板状に展開した。予備展開された竹材をステンレス製の治具にはさ

み、プレスによって完全に平板に展開した。竹材の周方向圧縮の成功率および平板展

開時の成功率により、竹の平板展開の最適圧縮率は14%一19%であることを明らかに

した。即ち、圧縮丸竹の外径が未圧縮竹の内径よりも′トさくすることで、展開時に要

求される内周の伸びを満たすことができ、平板展開を容易に実現できたものと考えら

れる。本研究により、竹の外皮及び内皮をつけたままで、高い成功率での完全平板展

開に成功した。また節付きの丸竹も同様に周方向の圧縮や平板展開に成功している。

このことは将来、長尺の竹の平板展開が可能であることを示唆するものである。

第2章は平板展開竹材の形状固定処理条件の確立およびこれらの物性の測定を行

った。平板展開竹の固定条件として160,170,180,190℃の高圧水蒸気でそれぞれ1、

2、4、8、16分処理を行い、もっとも寸法安定性のよい条件として160℃-16分及び

190℃一8分の高圧水蒸気処理であることを明らかにした。しかし三点曲げ試験の結

果、高温で処理することによって、曲げ強度の低下が大きくなる傾向が確認されたこ

とから、平板展開竹材の最適固定条件は160℃-16分の高圧水蒸気処理であると断定

した。繊維方向の曲げ強度は内皮曲げが外皮曲げよりも高いが、繊維垂直方向の曲げ

試験においては外皮曲げの方が2倍程度高くなる結果となった。また、平板展開竹

材の表面硬度はスギ材の4.5借の値を示した。以上より、平板展開竹材はその表面硬

度を利用した表面被覆材として有効活用できることを明らかにした。

第3章はこれら平板展開竹の有効利用法の開発について取りまとめたものである。

前車で平板展開竹材の外皮面および内皮面の密度差に起因する反りが観察されたこ

とより、平板展開竹を他材料と複合化し、その欠点を補う必要性がある。本章では平

板展開竹をスギと複合化し、その複合材の寸法安定性と物性の測定を行った。レゾル

シノール接着剤を用い、未固定平板展開竹および固定処理平板展開竹とスギ材のそれ

ぞれ繊維平向複合材および繊維直交複合材を製作し、寸法安定性試験および種々の方

向での3点曲げ試験を行った。未固定平板展開竹一スギの複合材が竹の回復や収縮に

より変形するのに対して、固定処理平板展開竹一杉の複合材は安定しており、吸湿乾

燥および吸水乾燥や煮沸乾燥の過程においても乾燥状態での寸法変化はほとんど見

られなかった。三点曲げ試験では、繊維方向複合材のスギ側圧縮曲げ試験が破壊に至

る変位が大きかったが、曲げ破壊強度は繊維直交複合材が優れていた。いずれの複合

材でも固定処理平板展開竹を用いた複合材の曲げ強度における若干低下が見られた

が、変位とヤング率はほぼ同程度であった。

また平板展開竹を用いてトレー状の三次元成形加工について検討した。平板展開竹

を元の丸竹の方向に戻しながら行った3次元成型加工では破壊することなく成形加

工することができたが、内皮側がさらに外側に反るような変形を伴う3次元成形加

工においてはこの部分で破壊が生じ成形は困難であった。そこで平板展開竹の外皮を

除去し、繊維と垂直方向にさらに圧縮を加えることによって、このような3次元成

型加工も可能であることを明らかにした。

このように本論文は新規開発した横圧入方式による丸竹の周方向への圧縮と圧縮

丸竹材を外皮や内皮、さらには節をつけたままで完全に平板展開することに成功し

た。またスギ材との複合化によるフローリング材の開発や竹の3次元成型加工など

への応用について検討しており、研究手法も独創的で優れているとともに、未利用竹

資源の有効活用法の開発を成し遂げたものであり、本論文は竹材に新たな付加価値を

(6)

つけた研究として、高く評価できるものである。

本研究に関連してこれまで種々の学会で発表しているが、どの学会においても常に

高い評価を得ており、またこの技術を用いて実用化に向けて研究開発が進められつつ

ある。

本論文について審査委員会で慎重審議した結果、本論文は岐阜大学大学院連合農学研

究科の学位論文として充分価値のあるものと認めた。

【基礎となる学術論文】

・薩如拉、中村晋平、曹谷耕三、棚橋光彦:高圧水蒸気処理による丸竹の新規平板展開

法の開発、木材学会誌、inpress.

・薩如拉、中村晋平、曹谷耕三、棚橋光彦:高圧水蒸気処理による完全平板展開竹の物

性、木材学会誌、hpress.

【既発表論文】

・Sarula,S.NAknmu∫a,K.「わshitani,M.Thnahashi.ConceptofUsingBiomas畠 BoardsforGreeningDesert・InternationalSymposiumonWbodScienceand

Tbchnology2008.P7-02(proceedings415・416).Hatbin,China・2008年9月

・S.Nakamura,S.F山血mura,SiawYSakai,Ⅹ∴M血eno,Sar山a,M.恥nabasb・ DevelopmentofThree-DimensionalMoldingMethodofWbodⅥ氾eer$・The InternationalUnionofMaterialResearchSocietiesInternationalConferencein

Asia2008.HP・15.Nagoya,Japan,2008年12月

【受賞歴】

・前野和也,中村晋平,二村伸一,薩如拉,田原聡恵,棚橋光彦.「日本エネルギー学会バ

イオマス部会ポスター賞」、2009年1月

・田原聡恵,中村晋平,薩如拉,前野和也,棚橋光彦.「第59回日本木材学会大会優秀ポ

スター粁」、2009年3月

参照

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