児童の攻撃性から正負感情への因果関係に媒介する共感の影響
学 校 教 育 専 攻 人間形成コース 勝 間 理 沙 キーグ---f":ダ豪雪低IE
貨選ぎ銃共感佐 はじめに 現代では,少年犯罪の凶悪化や低年齢化,学 校現場では,児童生徒におけるいじめの陰湿化, 不登校,学級崩壊,非行などの様々な問題が取 り沙汰されている.これらの問題に深く関連し ている要因として,個人の特性である攻撃性が 重要な位置を占めていると考えられる.実際, これまで攻撃性と児童の様々な適応・健康上の 問題との関連性の研究は多くなされてきた.そ の中でも特に関連性の高さが確認されているも の に , 抑 う つ が あ る (Kazdin et a1., 1983; Quigg1e et a1., 1992; 武田, 2000) .しかし, 抑うつ症状とその他の内在的問題,特に不安と の 弁 別 性 の 問 題 が 指 摘 さ れ て き た (C1ark&
Watson, 1991).この問題を解消し,その概念 の弁別のために,正負感情の測定が有効な判断 基準となることが分かつてきている.さらに 攻撃性から抑うつなどの適応・健康上の問題へ の因果関係において,それらの変容しにくい性 質を考慮、し,悪影響を緩和する上で,より介入, 操作しやすい変数として,共感性を導入し,具 体的なアプローチを検討していく必要があると 考える. そこで,児童における攻撃性から適応・健康 上の問題を反映している正負感情への因果関係 に媒介する共感性の影響を調べることを目的と した.その際,攻撃性の適正化,予防していく ためには,早い段階での介入の重要性が示唆さ 指 導 教 員 山 崎 勝 之 れているため,対象を児童においた.また,攻 撃性を細分化し,それぞれの特徴に沿ったアプ ローチ方法が考えられることから,攻撃性を 3 タイプに分類して測定した. 研 究 1 目的 本邦において未開発である日本語版児童用正 負感情尺度の作成を行い,その信頼性と妥当性 の検討を行った. 方 法 調査対象者 岡山,鹿児島県下の公立小学校 4"-'6年生で,本調査 1 763名(男子 378 名,女子 385名),本調査n:
103名(男子 55 名,女子48名),本調査匝:328名(男子 171 名,女子 157名)であった. 調 査 材 料 お よ び 手 続 き 米 国 版 正 負 感 情 尺 度 (Laurentet al,. 1999) の訳出作業を行い作 成した日本語版児童用正負感情L
本調査皿で は,妥当性の検討のために,児童用抑うつ尺度 である日本版DepressionSelf-Rating Scale for Children : DSRSC (村田ら 1996),児童用 不 安 尺 度 で あ る 日 本 版State-Trait Anxiety Inventory for Chilp-ren : STAIC (曽我, 1983) の中の特性不安尺度 (A-Traitscale) を加え, 用いた. 結果および考察 慎重な訳出の作業を経て,信頼性においては, 高い内的整合性と再検査法による安定性が確認-4-された.また,妥当性においては,確証的因子 分析による因子的妥当性を確認し,一方で、,構 成概念妥当性として, Clark & Watson (1991) の3要因モデルを基準とし,抑うっと不安に共 通の要素である負感情,抑うつに特有の正感情 の低下を確認し,収束的・弁別的妥当性を検証 することが出来た.よって,信頼性,妥当性と もに優れた,本邦では初の日本語版児童用正負 感情を完成することが出来た. 研 究 2 目的 攻撃性と正負感情の因果関係およびそれらの 媒介過程としての共感性の機能について検討す ることを目的とした. 方 法 調 査 対 象 者 鹿 児 島 県 下 の 公 立 小 学 校 の