Title
進行前立腺癌に対する化学療法の治療効果 -- 尿中ポリアミ
ンからの検討( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
蓑島, 謙一
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1159号
Issue Date
1998-03-04
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15113
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 蓑 島 謙 一(岐阜県)
博
士(医学) 乙第1159 号平成10
年 3 月 4 日学位規則第4条第2項該当
進行前立腺癌に対する化学療法の治療効果一尿中ポリアミンからの検討
(主査)教授 河 田 華 道 (副査)教授森
秀 樹 教授清
島 満 論文内容の要旨 ポリアミンは細胞構成成分として生物界に広く存在し,核酸,蛋白合成の調節に関与しており,細胞増殖因子 として機能している。そのため,悪性腫瘍の非特異的マーカーとして検討され,診断的意義というよりもむしろ 治療効果モニタリングの指標としての有用性が期待されてきた。また,多くがホルモン依存性である前立腺癌に おける血清PSA(prostatespecificantigen)1は,内分泌療法の治療効果のモニタリングには極めて有用である が,化学療法の場合には必ずしも治療効果を反映するものではない。そこで申請者は,前立腺癌に対する化学療 法の治療効果を尿中ポリアミンを用いて検討し,尿中ポリアミン値が前立腺癌に対する化学療法の治療効果を予 測できるか否かについて検討した。 研究方法 県立岐阜病院にて診断された未治療進行前立脾癌10例,再燃前立腺癌州札前立腺全摘除術後の5例(対照群) に,Cisplatin,ifosfamideの併用による化学療法を行った。薬剤投与のscheduleは,原則として第1日目に cisplatinを100mg,ifosfamideを第1日目から5日目まで連日2gそれぞれ点滴静注した。 治療効果は.化学療法施行約1ケ月後に臨床評価を行い,原発巣の生検が可能であった9例では,組織学的効果 判定も行った。また化学療法開始前日と開始後連日24時間毎に,尿中ポリアミンの分別定量を行った。 尿中ポリアミンの測定は,24時間蓄尿した尿の一部を-20℃に保存したものを剛、,尿を前処理後イオン交換 樹脂に通し,2種類のアミン酸化酵素を加えて発生する過酸化水素を比色定量することにより,ジアミン,スペ ルミジンおよびスペルミンを分別定量した。 研究結果 化学療法の効果判定は,日本泌尿器科学会前立腺癌治療効果判定基準に沿って臨床効果判定お皐び組織学的効 果判定(原発巣)を行った。20例全例に行った臨床効果判定ではt血清PSAでは,COmplete response(CR)1 臥 partialresponse(PR)4一札 minor response(MR)2例,nO Change(NC)3例,prOgreSSive disease(PD)8例であり,原発巣では,MR7例,NC13例であり,骨病変では,NC6イ札 PD6例であった。臨床効果の 総合判定では,PR8例,NC3例,PD9例であった。病変がstableとなったNC以上を有効とした場合,11例か有 軌 9例が無効であった。組織学的効果判定(原発巣)では,癌細胞に変性が認められたもの(grade O-b)か3 例(PRl例,PDl例),nOn-Viableな癌細胞群が組織片で病巣全体の1/2未満のもの(gradel)が6例(PR2例, NC3例,PDl例),nOn-Viableな癌細胞群が組織片で病巣全体の1/2未満のもの(grade2)が1例(PRl例)で あった。臨床効果との比較では有効となるためにはgradel以上が必要と思われたが,骨病変組織の評価がない ために,臨床効果との不一致が認められた。 有効例では全例に,化学療法開始後24∼72時間以内に尿中スペルミジン値の上昇を認めた。一方尿中ジアミン 値,尿中スペルミン値には特徴的な変化は認められなかった。また無効例,対照例の尿中ポリアミン値には特徴 的な変化は認められなかった。
-183-そこで,化学療法開始前の値で化学療法開始後24∼72時間以内の最高値を除した値をposttreatment/pretrea tmentratioとして計算してみたところ,尿中スペルミジン値におけるposttreatment/pretreatment ratioに おいて.有効群が無効群,対照群に対して有意に高値を示した。 また,尿中スペルミジン値における対照群のposttreatment/pretreatmentratio値より得られた,mean+S D値の1.87をcut-Off値とし,有効例と無効例を比較したところ,1.87以上を示した10例全例が有効であり,1・87 未満の10例中1例のみが有効であり,無効例9例は全て1.87未満であった。 以上より,尿中ポリアミン分画の1つである尿中スペルミジン値におけるposttreatment/pretreatment ratioは.前立腺癌に対する化学療法の治療効果の早期予測の指標となり得ると考えられた。 論文審査の結果の要旨 申請者蓑島謙一は.前立腺癌患者の化学療法時の尿中ポリアミン測定を行い,前立腺癌の化学療法において尿 中ポリアミン凰特に尿中スペルミジン値において.化学療法開始前の値で化学療法開始後24∼72時間以内の最 高値を除した値のposttreatment/pretreatmentratioが,前立腺癌に対する化学療法の治療効果の早期予測の 指標となり得ることを明らかにした。 本研究の成果は.治療効果の早期予測が困難な前立腺癌化学療法において新知見を加えたものであり,泌尿器 科学の発展に少なからず寄与するものと認められる。 [主論文公表誌] 進行前立腺癌に対する化学療法の治療効果一尿中ポリアミンからの検討 平成10年発行 岐阜大学医紀 46(1):34∼40