Title
公共牧場における育成牛の損害防止に関する研究( 内容の要
旨 )
Author(s)
柳谷, 源悦
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第045号
Issue Date
1997-03-14
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2099
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏
名(国籍)
学
位
の種
類
学
位
記
番
号
学位授与年月
日学位授与
の要件
研究科及
び専攻
研究指導を受けた大学
学
位
論
文
題
目
審
査
委
貞
柳
谷
源
悦
(青森県)
博士(獣医学)
獣医博甲第45号
平成9年3月14日
学位規則第4条第1項該当
連合獣医学研究科
獣医学専攻
帯広畜産大学
公共牧場における育成牛の損害防止に関する
研究
主査
帯広畜産大学
副査
東京農工大学
副査
岐 阜
大 学
副査
岩
手
大 学
副査
帯広畜産大学
授
授
授
授
授
教
教
教
教
教
夫
宏
義
久
夫
恒
義
善
明
瀬
田脇
藤
田広
金
武
内
山
論
文
の内
容
の要
旨
酪農専業地帯における公共牧場の使命は、預託された育成年の健康を保ち、将来の牛乳 生産に役立つ乳牛になるような発育を促すことである。しかし、各公共牧場には育成牛の 発育を阻害する様々な要因が存在し、すべての育成年が預託した酪農家の期待通りの発育 を遂げているとは限らない。本研究は、個々の公共牧場に潜在する発育阻害要因を究明し、 その対策の有効性を検討することによって、公共牧場における育成年の損害防止に関する 今後の方針を探ることを目的とした。 冬期舎飼育成年を対象に、発育阻害要因を究明する目的で第二胃内金属性異物の状態と 増体重との関係について検討した。育成年78頭の第二胃内の金属性異物の存在率は 16.7%で、7.7%に金属性異物の第二胃壁への刺入が観察された。対象育成牛の1日当 り増体重(DG)を日本ホルスタイン登録協会の基準増体重を指標として基準以上群と基 準以下群の2群に区分して比較した結果、基準値以下群における第二胃金属異物刺入牛の 存在率は、基準以上群のそれの存在率より有意に高かった。したがって第二胃壁を穿孔あ るいは刺激する形状の鋭性金属異物は育成年の発育を阻害する要因の一つと考えられた。 入牧時の×線透視検査において、第二胃内に鋭性金属異物が観察された14頭の平均体 重は、第二胃内に砂粒のみが観察された45頭に比べて低い傾向にあった。これらの14頭 に、磁力の減衰の少ない稀土類マグネットをただちに投与した結果、入放後120日目の 測定では、日本ホルスタイン登録協会のDGの基準増体重以上の群におけるマグネット投t158-与年の存在率は、基準値以下におけるそれと比べて有意に高く、第二胃内に鋭性金属異物 が存在ぜずかつマグネットを投与しなかった45頭の発育に近づいた。この傾向は、入牧 時の検査で第二胃壁に金属異物の刺入が観察された群でも同様であった。この成練より、 第二胃内の鋭性金属異物によって発育が阻害されている育成牛の対策として、マグネット 投与は有効と判断された0公共牧場における育成年の血清α1酸性糖蛋白(α1AG)およ び血清シァル酸を飼育形態変化との関連において、経時的に測定した。入放後1カ月の α1AG値およぴシァル酸値は入牧前に比較して有意に高く、夏期放牧年では入放後2カ月 で入牧前の値に復した0冬期舎飼牛群では、夏期放牧年に比較しでα1AGは低値であった が同様の傾向かみられ、シァル酸はこれらの期間て変化がみられなかった。この成績から 特に夏期放牧育成年は入放後一定期間、飼育形態の変化によって免疫系に抑制的な影響を 受けているものと考えられたム この対策として、公共牧場の夏期放牧ホルスタイン育成年76頭に入牧前2週から生菌 飼料滞加物粉末を連日投与し、入牧時および入放後2週に飼料涼加物ペーストを各1回投 与して、放牧期間中の血液成分および発育を非投与牛(131頭)と比較した。投与群の α1AG値とシァル酸は入放後1カ月で、対照群より低値を示した。投与群の白血球数は入 放後も変化がみられなかったが、対照群では入放後2週以降低い値を持続した・血糖値は 両群とも入放後2カ月から低下した。投与群の遊離脂肪酸は入放後1カ月および2カ月で は対照群より低い値を示した。入放後1カ月までのDGは投与群が対照群より高かった。 投与群の入牧時平均体重は、正常発育範囲以下であったが、退牧時には正常範囲まで回復 した。以上の成績から、公共牧場に潜在している育成牛の発育阻害要因を明らかにするこ とは可能であり、的確な対策を実践することによって、公共牧場の預託期間中に正常発育 に復帰させる可能性があることを実証できた。また、本研究により、今後の公共牧場にお ける育成年の損害防止に必要なプログラムのモデルが得られた。