主要な研究成果
背 景
当所では、分散型電源の導入拡大に対応し、円滑な導入とエネルギーの有効利用を支援する需要地系統を提
案している。これらを実現するための主要な技術の一つとして需要家間のエネルギー需給制御や電力品質の維
持等を自律的に行う需給インターフェイス(需給 IF)を提案してきた。需給 IF は、個々の需要家の分電盤近
くなどに設置し、需要家内のエネルギー利用状況を把握しながら、電気料金や系統状態などの外部からの情報
を元に需要家・供給者双方にメリットが得られるように分散型電源や負荷を制御し、アンシラリーサービスの
提供やエネルギーマネージメントを行う。これまでに、低圧系統を統括する低圧系統管理システムと需要家端
に設置される需給 IF を用いて、分散型電源を含む低圧系統の運用手法に関する基本設計を行ってきた。本技
術の確立のためには、実証試験により有効性を検証する必要がある。
目 的
需給 IF の上記のような基本性能を検証するためのパイロット機を開発し、赤城試験センターの需要地系統
ハイブリッド実証試験設備により、アンシラリーサービス技術のとしての電圧上昇抑制機能および高圧系統異
常時の停電回避機能について実証・評価する。
主な成果
(1)需給 IF パイロット機の開発
図 1 に示す機能・構成を持つ需給 IF パイロット機ならびにその実証設備を開発し、分散型電源を活用した
種々のエネルギーマネージメント技術およびアンシラリーサービス技術について実証、評価できるようにした。
(2)逆潮流時の電圧上昇抑制機能の検証
逆潮流時の需要家端電圧上昇を抑制するため、各需給 IF からの情報に基づき、低圧系統管理システムが
需要家間の分散型電源の有効電力と力率をリアルタイムで協調制御する手法を導入した。実証試験の結果、
現状の各インバータ単独での制御で問題となる分散型電源出力制御特性の違いや、連系位置の違いによる制
御量のばらつきを低減でき、有効電力出力の低下や需要家間での格差を小さくできることを検証した。今回
のケースでは有効電力の出力抑制を低圧系統全体で 12 %程度低減できることを確認した。(図 2)
(3)高圧系統異常時の低圧需要家への停電回避機能の検証
従来の連系用インバータに小容量蓄電池と半導体開閉器を付加することにより、瞬低・瞬断など高圧系統
異常時に、個々の低圧需要家を無瞬断で独立運転に移行するシステムを開発した。実証試験の結果、高圧系
統瞬低時に需要家負荷への影響を回避できることを検証した。(図 3)
今後の展開
今回パイロット機を用いて低圧系統単独で検証した手法を赤城試験センターの需要地系統ハイブリッド実証
試験設備の運用管理システムとリンクさせ、需要地系統全体での試験を実施する。また、低圧系統単位での独
立運転機能を開発すると共に需要家種別に応じた需給 IF を開発する。
主報告者 狛江研究所 システム技術研究所 需要家システム領域 主任研究員 浅利 真宏
関連報告書 「需給インターフェイスシステム(その 1)─需給インターフェイスによる低圧系統運用管
理手法の開発─」、電力中央研究所報告: T02045(2003 年 4 月)
「需給インターフェイスによる低圧系統アンシラリーサービス技術の実証─電圧上昇抑制制
御と系統事故時の停電回避─」電力中央研究所報告: R04021(2005 年 4 月)
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需給インターフェイスのパイロット機の開発
─需要地系統における基本機能の検証─
B.総合エネルギーサービスの創出
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図1 開発した需給インターフェイスパイロット機と実証設備
(a)試験回路 (a)系統点電流
(b)電圧上昇抑制制御 (b)需要家負荷電流
(電圧低下70%、継続時間720ms)
図2 逆潮流時の電圧上昇抑制制御 図3 需要家独立運転による停電回避
(高圧側電圧低下時)
低圧系統
管理システム
・低圧系統管理
需要家4
需給IF
パイロット機
・需要家パワコン制御
・エネルギーマネージメント
半導体開閉器
分散型
電源 蓄電池 負荷
需要家
需要家パワーコンディショナ
・分散電源管理
・電力品質管理
需要家1 需要家2 需要家3
需 要 家 1 ∼ 3 の
内 部 は 需 要 家 4
と同様の構成
低圧模擬
線路
・低圧幹線模擬
低圧
開閉器
・事故遮断
高圧
柱上 Tr
統
系
圧
低
系統
#1 #2 #3 #4
地中引込
ケーブル
高圧側
低 圧 開 閉
器(#0)
低圧模擬線路
0.103+j0.052
変圧器
低圧系統
管理システム
-75
-50
-25
0
25
時間(ms)
需要家連系点電流(A)
瞬低発生後約20ms(1サイクル)
で連系点遮断
瞬低回復後
約2秒で再連系
-20
-15
-10
-5
0
5
10
-1500 -500 500 1500 2500 3500
-1500 -500 500 1500 2500 3500
時間(ms)
需要家負荷電流(A)
インバータモード切替(電流
→電圧)による供給継続
電流モード
で再連系
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
#0 #1 #2 #3 #4
地点
有効・無効電力制御量
(W,Var)
202
204
206
208
210
212
214
電圧(V)
電圧
(提案手法)
電圧
(従来制御)
有効電力
(提案手法) 有効電力
(従来制御)
無効電力
(提案手法)
従来制御は
末端の有効
電力抑制
低圧系統全体で
有効電力12%増加