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各種環境下における金属の腐食生成物

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各種環境下における金属の腐食生成物‥・……‥‥‥・t…‥‥‥…‥…・…・…59

高圧ドラム形ボイラにおける管内腐食・‥‥…‥…‥‥…‥‥……・‥‥……・65

水冷却発電機の腐食‥‥・‥…・……‥………‥…‥・‥‥‥・‥‥‥………‥‥…・69

酸性河川水による鋼材の腐食‥……‥………‥…‥………‥………‥76

高流速水中におけるポンプ材料の接触腐食…‥……‥…‥…‥…‥‥……80

廃棄物焼却炉における高温腐食…‥‥………・……‥……‥…‥……‥…‥86

(2)

U・D・C・d20.193=〔dd9.1+るd9.3+dd9.71

各種環境下における金属の腐食生成物

Corrosion

Productsin

Various

Environments

西

隆*

Masa亡aka Kasai

正*

Yasumasa Furutani

夫**

Kazuo Tanno

樹**

NatsukiKawasbima

治**

Osamu Asai

各種の機器につきまとう腐食と防食の問題を検討するために,主要金属材料である鉄,銅およびアルミニウ ムの腐食生成物と,その生成条件について調べた。生成物を熱力学抑・こ検討するとともに,一部,実験室で合 成し,生成条件を確認した。

l.緒

口 火力,悦子九 水力および化学プラントをはじめとする多くの機 器において,腐食と防食の問題は装置の除守,運転上きわめて重要 である。これらの個々の装置はその構造,使用環境,材質などがそ れぞれ異なっており,したがってそこで問題となる腐食もきわめて 多岐にわたっている。また,腐食の起こる条件ほ,いくつかの因子 が重なって成り立つ場合が多く,前履歴が原因する場合もあり,こ れらのすべてを予測して,研究を事前iこ進めておくことは,きわめ て困難である。 そこで,腐食生成物の形態とその生成条件の範閉を明らかにして おくことにより,ある程度,腐食環境を系統的に分類することがで き,腐食現象の解明に利用できるものと考え,装置の主要構成材料 である鉄,銅およぴアルミニウムとその合金について,その腐食生 成物の形態と生成条件について検討した。

2.鉄の腐食生成物

鉄の腐食生成物には多くの種類があり,それらは環境条件で止め られた過程を経て,生成することが知られている(1)。鉄一水系の25 ℃における電位-pH図として,Pourbaix氏(2)は図=a)(b)を, Cbarlot氏(8)は図l(c)を示し,Townsendl毛(i)は200℃の図を 図l(d)のように示している。 酸化剤を含まない中性の水中で(・rま,鉄は水と反応してFe(OH)2 を作る(図l(a))。しかし,温度が高い場合や,不純物が存在する と,溶液中でシッコール反応を起こして,難溶性のFe804に変わる (図l(b))。 酸化剤がわずかに存在する場合には,Fe(OH)3が生成し(図1 (a)),2価のFe(OH)2と次式のように反応して,Fe。04が生成す る(図l(b))。 2Fe(OH)8+Fe(0托)2=Fe804+4H20………(1) 酸化剤の補給がじゅうぶんであれば,Fe304皮膜はさらに酸化さ れて,Fe208に変化し,(図1(b))金属上の酸化物は層状構造を示す。 これらの反応過程ほ,実際にはさらiこ複雑であり,図=c)の Cbarlotf毛の示した電位-pH図にこねいては,反応の中間で生成する 準安定な緑青色酸化物(鉄の緑青(ろくしょう))が,Fe804の安定領 域にだぶって記入されている。 Townsend氏の示した200℃の図l(d)によれば,常温の図に比

べて,鉄酸(HFeO2 ̄)の安定領域が広がっている。

Bernal民ら(5)は,図2に示すように,横軸に酸化一還元度を,縦 軸に水和度を目盛ったグラフ上に,鉄の酸化物,水酸化物を記入し, * 日立製作所日立研究所 **日立製作所日立研究所工学博士 (己壁 固 月 (月 1 0 (〕カ 0 1.6 ぎ 0月 世 固 0 -0.8 Fe3I 100 10 ̄石(moJ〃) Fe(■OH)ま Fe(OH)2 1.6 0.8 -0.8 Fe20。 10010 ̄6(moJ/′J) Fe3十 Fe2+ Fe HFeOz「 6 10 14 pH (a) 1012(moJ/J)

斗ミ

Fe(0Ii)3 、、、凝昏 Fe 6 pH (e)

隼亘

10 14 1.6 0.8 〈む 0 eヨ+ 6 pH (も) Fe 10 ̄6(m占J/J) Fe2十 e F HFeO2 ̄ 10 14 Fe203 4 0 6 pH ㈹ 図1 Fe-H20系の電位-pH図 それらを結ぶ横道変換経路と生成条件を示している。グラフ上で, 上方にあるものほど水和度が高く,右へいくはど酸化度が高い。図 の中央付近に記入されているgreen rustI,Ⅱi・ま,Charlot氏のい う緑青色酸化物であり,Fe(OH)OFe(OH)2の組成式で示される六 方晶形の結晶である。通常,green ruStⅡには,ハロゲソまたは 硫酸イオンなどのアニオソが含まれ,OH基の一部がこれらで置き 換えられている。 Fe(OH)2は鉄イオンが水中で加水分解した状態でのみ得られる ものである。α一FeOOHはFe(OH)3をpH12∼13で120℃に保つ ことにより生成する(6)。β-FeOO亡=まハロゲンイオンが共存する溶 液中で,まず,塩化鉄(Ⅲ)が生じ,これが段階的に加水分解して生成 する(7)。7`-FeOOHは鉄(Ⅱ)塩の部分中和で生じた塩基性の鉄(Ⅲ) を空気酸化することにより得られ,途中,前述のgreenrustを経 由する。∂-FeOOIiはFe(OH)2をpH13付近に保ち,酸素を強く吹 き込むか,またほpH8.5付近で過酸化水素を用いて急速に酸化した 場合に生成する。 上述のような条件で生成した各種のオキシ水酸化鉄(FeOOH)ほ 図2の変換経路に従えば,大気中にさらすか,あるいは加熱するこ

(3)

1028

0Ⅹidation 亡○コdh勺含り勺 ‖n O kSS一l F亡CD IF亡 ”5) hn Fe FeO Fe+++ O Fe十++Fe十十+ grモモO【 hn 0.2 `rv耶Il Fe】0. 蒜、 ̄--一二 F亡廿l oh 「 Fe++I(OH2)

l

さ鞋ノ

FeOOH / 0.5 0,67 1,0 ◇:酸素の六方′てツキング構造 a:空気中に放置 ロ:酸素の立方パッキング構造 e:アルカリ性=その他の構造 も:加熱 -:相組成の範囲 n:窒素ふん国気または真空中 -:構成庶子の再編成による梓造変化 0:酸化 ′:構成原子の再編成をともなわない構造変化 r:還元 ・・一:溶液からの生成 Ⅹ:過剰 図2 鉄酸化物/水酸化物系の構造変換 蓑1 α一,β-,r-FeOOHの水熱処理結果 100 150 1 200 1 250 げ-FeOOH α-FeOOH β-FeOOH r-FeOOH β-FeOOH (Fe304) Fe304 (α-FeOOH) α-FeOOIi (α-Fe203) α-Fe203 (Fe304) Fe304 (α-Fe203) α-FeOOH (α-Fe203) 〝-Fe203 (Fe304) Fe304 (α-Fe203) α-Fe203 α-Fe203 (Fe301) Fe30▲ (α-Fe203) とにより,α-またはr-Fe203に変化する。しかし,この図では, 変態温度が明らかではないので,α-,β-,γ-FeOOHを合成し,100 ∼250℃で100時間の水熱処理を施すことにより,変化の状態を検 討した。測定結果は表1に示すとおりで,()内に記した成分は微 量成分である。α-FeOOHほ250℃でα-Fe20きに変化する。150℃ で微量のα-Fe203が検出されたが,この温度付近からわずかではあ るが,脱水縮合反応が起こり始めているのであろう。β一FeOOHは 150℃でα-Fe203に変わった。r-FeOOHは100℃の水熱処理によ り,マグネタイト(Fe304)に変化した。図2からi・も r-Fe203が生 成すべきであるが,Fe304と判定されたのはr-Fe203と酸素の格子 に関してまったく同じであるからである。 次に,実際の腐食生成物と図2とを対比した応用例を示すことに する。 〔例1〕都市郊外に2年間暴露(ばくろ)した軟鋼の腐食生成物 軟鋼試験片を日立市郊外の大気暴露試験場において,2年間放置 した。腐食生成物の外観は黒褐(かっ)色であり,粒子径は比較的大 きかった。生成物からはⅩ繰回折と赤外吸収スペクトル分析とによ って,α-FeOOHとr-FeOOHとが検出された。なお,α-FeOOHと r-FeOOHの生成量はほぼ等量であった。最終生成物に〔〕を付 け,生成経路を示した。 Fe→Fe(OH)3--->〔α一FeOOH〕 ‥(2) Fe一一一ナgreen ruSt→〔r-FeOOIi〕‥…‥ .‥(3) 〔例2〕海岸地帯で約30年間使用した軟鋼の腐食生成物 試料は日立市内の岸壁から約10メートル離れた地点の,屋外に約 ⅤOL.52 N0.11 1970 酸化皮膜 金 幽 図3 海岸地帯で30年間暴露した 軟鋼の腐食生成物の断面 図4 300℃の純水中で生成した Fe304結晶 30年間暴露されていた実験装置から採取したものである。腐食生 成物の断面は,図3に示すように,多重な層状構造を示し,全層の 厚さは0.5∼3.Ommであった。各層の境界は赤褐色あるいは黄褐色 であり,密着性が低くて,ハク離しやすい。生成物の組成をⅩ線回 折および赤外吸収スペクトルで調べた結果,Fe304,α-Fe208,α-FeOOH,r-FeOOH,β-FeOOHが検出された。生成経路は次のよ うに考えることができる。 Fe→greenruSt一〔r-FeOOIi〕 Fe一→Fe(OH)3一〔α一FeOOH〕

F。竺F。C13

→〔β-F。00H〕 空気中で長時間放匠 →〔Fe304〕 ‥‥‥.(4)

空気中で長時間放置卜α-Fe203

..(5) 〔例3〕ボイラの中和防錆(せい)処理皮膜 高圧ボイラにおいてほ,建設後運転にはいる前に,スケール除去 のための酸洗いを行なう。その後,酸の中和洗浄とともに,保護皮 膜の形成による防錆効果を目的として,アルカリ溶液による中和防 錆処理が行なわれる。処理液に炭酸ナトリウム,亜硝酸ナトリウム 溶液などが用いられるが,処理温度によって防錆効果に差が生じる。

F。竺〔γ-F。00H〕竺塑壬〔F。304〕……‥…‥‥(6)

r-FeOOHは鉄の不働態皮膜の主体をなすものであるが,Fe304 のほうがち密であり,防錆効果が高いので,処理温度ほ100℃以上 に高める必要がある。 〔例4〕ボイラの高圧給水加熱器スケール 温度120∼250℃で運転されていた高圧給水加熱器の側板あるい は管端部に赤褐色のスケールが多量に付着していた。スケールのⅩ 繰回折によって,α-Fe203,Fe304およぴCuが検出された。生成経 路は次のように考えられる。

F。生彗F。(OH)3空堅竺竺〔α一F。203〕…‖‖‥….…(7)

F。里甥F。(0Ii)2空塑竺〔F。304〕

.…(8) 〔例5〕高温水中における鉄の腐食生成物(8) 温度300℃の高温純水中で生成した鉄の腐食生成物は,図4に示

(4)

各種環境下における金属の腐食生成物

1029 表2 銅 の 腐 食 生 成 物 α-Fe203 金属 Fe30一 図5 ボイラ氷壁管内部スケールに生じた α-Fe203の模型図 1.6 12 0月 ぎ 0.4 皇l 帥 0 】0.4 -0.8 -1.2 、、、(02) (H20)、、--、 cu++、、--C110

、「Cu(OH)

T-、、 1 1 1 1 1 1 1 1 1 l 、1、 CuOz▲】 Cu 化 合 物 l鉱 物 名 1色 結晶形 生成する環境 Cu20 L Cuprite CuO 】Tenorite α-Cu2S Chalcocite CuCO3・Cu(OH)2 Malacbite 2CuCO3・Cu(OH)2 1Azurite CuSO4・3Cu(OH)2 Brocbantite CuSO4・2Cu(OH)2 Antlerite r-CuC12・3Cu(OH)2 Paratacamite ∂-CuC12・3Cu(0Ii)2 Atacamite Cu(NO3)2・3Cu(OH)2 Gerbardtite 赤 黒 黒 暗線 三圭三 日 緑 緑 鮮録 暗線 等軸 単斜 斜方 単斜 単斜 単斜 斜方 六方 斜方 斜方 大気中,淡水中 高温酸化,アルカリ溶液 硫化物を含む大気中 大気中,汲水中 大気中,淡水中 SO2,SO3を含む大気中 (工業地帯など) SO2,SO3 を含む大気中 ____+:王墓些墾を宣塩化物を含む大気中,海水中+ __j車重L塵星な_宣し________一一塩化物を含む大気中,海水中 + 垂堅L,塵旦班し________ 窒素酸化物を含む大気中 (放電を起こす場所など) 0 2 4 6 8 10 1・2 14 pH 図6 Cu-H20系の電位-pH図 すような正八面体のFe304である。その時の反応式は次のとおりで ある。 3Fe+4H20一〔Fe304〕+4H2‥ …….(9) 高温の水中では,酸素の溶解量が低く,また,上式に見るように, Fe304の生成反応が水素発生反応であるので,さらに酸化の進んだ Fe203の生成は困難である。 〔例6〕火力発電プラントのボイラ水壁管内部スケール 平均温度誕0℃,圧力200kg/cm2,溶存酸素5ppb以下のボイラ 水壁管に,図5の模型図に示すような,α-Fe20。とFe304の腐食生 成物が発生していた。例5で調べたように,ボイラ内でほFe304が 生成し,α-Fe203は生成しがたい。このことから,α-Fe203の生成 原因としては,ボイラの停止時に侵入した酸素によって,水壁管が 腐食し,停止時に生成したα一FeOOHが次の運転時の高温条件で脱 水縮合して,α-Fe203に変化したものと考えられる。反応経路は次 のとおりである。

F。里α-F。00H一里堅聖〔α-F。208〕‥…….…(10)

運 Fe-- 【-転 時 一〔Fe304〕….‥…‥…‥……(11)

3.銅の腐食生成物

3.1大気中における銅の腐食生成物 鍋を大気中に放置しておくと,表面に緑青色の錯(さび)が発生す ることはよく知られている(9) ̄(11)。これを一般にパティナ(patiTla) と総称している。

清浄な大気中に銅を暴露すると,湿分が金属面に結露して,きわ

めて短時間のうちに酸化第一銅の一次皮膜が生成する。たとえば, ェメリー研摩したのち脱脂した銅板を温水洗浄後,空気中に放置す

ると,放置後30秒ですでに酸化第一銅の皮膜が70∼90Åの厚さに

生成していることがカソード電解還元法により測定された。同じ銅

板をデシケ一夕中に1∼5日間放置したものでも90∼100Åのほぼ

一定の皮膜厚さが測定されている。 この一次皮膜からは空気中の含有成分により表2のようないろい ろのパティナ(patina)が生成する。 清浄な空気と見られる大阪府のLU間部で,約4年間運転した圧縮 空気系統の砲金製タンク内壁から採取した腐食生成物からはⅩ繰回 折で塩基性炭酸銅(CuCOa・Cu(OH)2)が検出された。これはこの系 統でほ空気の圧縮,開放が繰り返され,金属表面は常にぬれた状態 を保ち,空気中の成分が溶け込みやすかったためと考えられる。一 方,同装置の組立工場内で,1∼20kg/cm2の圧縮,開放を1年間繰 り返したタンク内からほ,塩基性炭酸銅とともに酸化第一銅と数量 の塩基性硫酸銅が検出された。なお,同工場は都市としては比較的 清浄な空気環境に属するはうである。 メッキエ場や重工業都市のようなSO2を含む環境では,硫酸銅と 炭酸銅の混合した組成のパティナが生成する。たとえば,メッキ工 場の酸洗場に300日間放置した試験片,ならびに川崎市内で屋外暴 露していた銅製の銘板から採取したパティナから,CuSO4・3Cu (OH)2のブロカンタイト,CuSO4・2Cu(OH)2のアンテライトおよ び微量のα-Cu2Sのカルコサイトが検出された。硫酸イオソの分析 値は0.7∼2.5%であり,ブロカンタイトとして予想される21%に比 べ著しく低い値である。 海岸地帯では,海塩粒子に含まれる塩素イオソが酸化第一銅に作 用して,塩基性の塩化銅を生成する。日立市内の岸壁から約7メー トレ離れた位置に2年間暴露したアルミニウム黄銅の空気冷却管表 面から採取したパティナからi・も Cu2(OH)8Cl(パラタカマイト)の Ⅹ線回折パターンが得られた。化学分析の結果では塩素は約10% 含まれていた。 海岸から50m離れた高台に1年間暴露した銅試験片のパティナ からは,Cu20と少量のCu2(OH)8Cl(パラタカマイり および CuClが検出された。しかし,塩素の分析結果は1%程度であり,岸 壁に置かれたものに比べて,腐食量とともに海塩の影響が著しく低 かった。塩素を含んだパティナは,このはかにも塩酸ミストを含ん だり,吸湿して塩酸を生成する環境において見られる。塩化水素を 発生する実験装置の近傍にあった銅チューブのパティナからは Cu2(OH)3ClのパラタカマイトとCu20の酸化第一銅が検出された。 リソ青銅に銀メッキを施した車両用補助リレーの電気接点部に,

使用期間5年間で緑白色のパティナが付着した。Ⅹ線回折により,

塩基性硝酸銅(Cu(NO3)2・3Cu(OH)2)が検出された。また,送電線 用の空気しゃ断器の銅合金サポートに,多量の薄緑色の塩基性硝酸 銅が生成した例がある。この2例とも,隣接の継電器に異常があっ て,接点間に連続的にスパークが飛び,空気中の窒素が酸化されて 酸化窒素を生じ,銅と反応していたためである。 3.2 水溶液中における銅の腐食生成物 常温付近の中性水溶液中では図d(12)の電位一pH図より予想され

(5)

1030 1.0 仇8 0.6 ぎ 0.4 単 0.2 肘 0 -0.2 -0.▲ -0.6 1.0 0.8 0.6 ぎ 0・4 車 0.2 樹 0 -0.2 -0.4 -0.6 日 立 評 論 ココ Z U Cu(Nfり署+ Cu(NH3)言+ C岨(NH3)2+ Cu 7 8 9 10111213 pH (1)仝アンモニア濃度1M CuO2H CuO Cu(NH。)2+ Cu Cu20 Cn2十 Cロ(NH3)・十 9 10 111213 pH (3)全アンモニア濃度10-2M 1.0 0.8 6 ・4-2 ∧U O O (ヒ車 紺 0 -02 -0.4  ̄-0.6 1.0 ∩乃 〈カ ム‥ り山 (U O O O (己卓 (U ウん ▲‖

騨∵0

一 ー0.6 +㌔空)コU ゴ之 戸U 器喜)コU Cu2十 Cu(NH。)三十 Cu(Nlり2+ Cu C咄H▼ CnO 9 10 111213 pH (2)全アンモニア濃度10-1M CuO2Hニ Cu2+ CuO Cu(NH。)⊥ Cu /Cu(NH3)2+ Cu20 pH (4)仝アンモニア濃度10 ̄3M(実線) および10 ̄`M(点線) 図7 Cu-NH3-H20系の電位-pIiダイヤグラム 図8 汚染海水によって腐食したアルミ黄銅管の断面(×50) るようにCu20が生成するが(13),温度が高くなるiこ従いCuOの割合 が多くなり,80℃程度ではCuOが主成分となる(14)。 水中に第3成分が存在すると,その濃度に応じて影響を受け,た とえば,0・01MのCl ̄を含む酸性液中でほCuClが生成するとされ ている(15)。 火力発電プラントでi・ま,通常,ポイラ,給水加熱器などの鋼材を 保護するために,給水にアンモニアを添加してpHを高めているが, 復水器,インタクーラおよぴアフタクーラでは,蒸気が凝縮するに 従ってアンモニアが濃縮され,たとえば,復水器入口の濃度0.1∼ 1ppmがアフタクーラドレンでは500ppmにも達することがあり, アンモニアの濃度に従って腐食生成物は異なることが予想される。 これを検討したのが図7の電位-pH図で,アンモニア濃度が10 ̄3モ ル(1・7ppm)では,腐食生成物はCu-H20系の場合と同じく,酸化 第一銅または酸化第二銅であるが,アンモニア濃度が高くなるに従 い,銅アンミソ結体の生成する領域が広がり,溶解作用が激しくな ることが予想される。これらは実測結果とも一致Lており,そのた めアンモニア濃度によって,使用する材質が使い分けされている。 近年,汚染海水による復水器管の腐食がしばしば起こっており, 腐食はおもにケン気性のバクテリアによって生成するイオウイオン とアンモニアイオンによるものである。図8は汚染海水によって腐 食したアルミニウム黄銅の例であり,表面に付着していた黒褐色の ⅤOL.52 N0.11 1970 表3 銅の高温酸化生成物のⅩ繰回折による検出物 温 度(℃) 生 成 空気中・4 時間 Cu20≫CuO? Cu20>CuO Cu20∼CuO Cu20∼CuO CuO∼Cu20 (N250容十021容) ガス中・4時間 Cu20≫CuO Cu20≫CuO Cu20 TぐK) 400 800 1200 0 5 【 (息○∈\芯U+).じつ 0 0 、〈Cu20〉 てCu ぐ、-d 盲芯しぎ山ぎ、 4 8 12 一 一 図9 Cu-0系のT一』GO状態同 席衆生成物からは,Ⅹ線回折では酸化第一銅が,定量分析ではS--が3∼4プg,NH4+が0.2%検出された。 3・3 高温酸化による銅の腐食生成物 銅を空気中で加熱すると,酸化第一銅を内層に,酸化第二銅を外 層とした,2層構造の酸化皮膜が生成する。温度200∼l,000℃の間 で4時間保持したときの生成皮膜のⅩ線回折結果を示したのが表3 である。空気中では外層側の酸化第二銅の生成する割合が,温度と ともに増大する。しかし,窒素と酸素の容積比が50対1の低酸素分 圧のふん閃気中では,第二銅の生成する割合ほ,空気中に比べて著 しく低く,温度1,000℃の場合には,まったく検出されなかった。 高温で,酸化第一銅と第二銅の生成する割合は,ふん囲気の酸素 分圧によって変わり,反応式ほ次のように苦かれる。 4Cu+02=2Cu三0… ....(12) 2Cu20+02=4CuO‥… ‥.…(13) 上式の平衡状態は温度(T)と標準自由エネルギー変化(』GO)の関 数で表わされ,銅,酸化第一銅および酸化第二銅の安定領域をグラ フ上に措くことができる(16)。銅一酸素系のT-』GO状態図は図9に 示すとおりである。この図によると,温度1,0000K,酸素圧1atmの ふん開気におかれた銅は,a,b,C,dで示されるようなCuO-Cu20-Cuの層状構造をとり,a,b,C点の各境界における酸素分圧は,お のおの,1,5×10 ̄4,2×10 ̄11atmである。温度が上界するに従い, 酸化第二銅の解離酸素圧が増大するので,低級酸化物のほうが安定 となる。表3に示した低酸素分圧で高温ほど,酸化第二鍋が生成し がたいことをよく説明している。

4・アルミ=ウムの腐食生成物

4.1空気中における腐食生成物 アルミニウムを電解研摩すると,銀白色に輝いた金属光沢をもつ 表面が得られるが,室内に放置しておくと,まもなく,表面に酸化 皮帳が生成して,鈍い銀白色の面に戻るのが観察される。このとき

の皮膜の厚さほ20∼100Åといわれている(17)。皮膜は無定形のアル

ミナ,r-A1203または空気中の湿分によって水和した形のA1203・ nH20ともいわれているが明確ではない(18)(19)。 高温の空気中で生成する皮膜も,ごく薄く,しかもち密である。 温度400℃で8時間,または450℃で4時間加熱することにより生

(6)

成した酸化物から,r-A1203の明りょうなⅩ線回折パターンが得ら れた。 4.2 70Dc以下の水中における腐食生成物 一般に,水中におけるアルミニウムの腐食は局部電池の作用によ るため,アルミニウムの純度が高いはど,腐食量ほ少ない(20)。しか しノ,純水を用いた場合には,高純度アルミニウムは粒界に蓄積した 水素ガスの作用によって,粒界腐食のような外観を塁して,急激iこ 崩壊することが知られている(21卜(23)。 水中におけるアルミニウムの腐食生成物ほ70∼80℃を境にして, その上下温度域で異なった形態を示す。低温側のpH7以下の弱酸 性水中でほ,ギブサイト(α-A1208・3H20)が生成する(24〉。 pH7∼9.5の範囲では,はじめに擬べ-マイトが生成し,その上 に多結晶ベーマイト(α-A1203・H20)ができ,さらに時間の経過とと もにバイアライト(β【A1203・3H20)が生じて全面をおおうに至るこ とが観察される。 図10は非晶質の水和物でおおわれたアルミニウム表面に,バイア ライト(β-A1203・3H20)結晶が成長していくようすを示す走査形電 子顕微鏡写真である。(a)は70℃の純水中に30分間保持したもの で,白く見える丸形の突起がバイアライト結晶の核である。(b)ほ 70℃で4時間保持したものであり,結晶ほ成長しているが,核の数ほ 増加していない。バイアライト結晶の生成iこ関して二つの説がある。 一つは最初に生成したべ-マイトがより安定なバイアライトに変態 するという変態説と(25),もう一つほべ-マイトの溶解度がバイア ライトより高いため,溶出したAlO2 ̄が/ミイアライト結晶上に析出 するとする溶解析出説とである(26)。走査形電子顕微鏡による観察 では,バイアライト結晶の核の数が増加していないこと,結晶の成 長が平面的であるよりも立体的であること,途中にイオン交換樹脂 床を設けた循環流水中では静止水中に比べてバイアライトの生長が 遅いこと,などの理由で溶解析Hl説が妥当であるように思われる.。 アルミニウムー水系の電位-pH図は図1】に示すとおりである。破 線ほ水素および酸素極の電位であり,1気圧のもとで水が安定に存 在するのは,破線でほさまれた領域内におし、てであるから,アルミ ニムウ金属は自然状態でほ水中に安定に存在することはできない。 もし,存在させようとするならば,人為的に電位を下げてやらねば ならない。 (a)浸法時間30分 (b)浸渋時間4時間 図10 70℃の純水中におけるバイアライト結晶の成長 (a)浸潰時間1時間

各種環境下における金属の腐食生成物

1031 4.3 800c以上の水,蒸気中における腐食生成物 70∼80℃を境界とした高温側では,べ-マイト(α一A1203・H20)が 検出される。Altenpohl氏は(27),酸に対する溶解度の差を利用して, ベーマイト皮膜を内外の二層に分けた。外層は反応の初期に多く生 じ,含水量が25∼45%で,2ないし3水和物に相当する。内層は時 間の経過とともに増大し,含水量も少なく,Ⅹ線回折パターンは外 層より明りょうであるとしている。 Hart民ら(28)は酸化皮膜の成長の様子を電子顕微鏡によって詳細 に検討した。250℃および350℃の水中にアルミニウムを浸せきす ると,皮膜は金属の不均一性によって,まだらに発生し,突起や扇 状の薄板,ホイスカなどが生成する。突起の断面は二層構造で,内 層はガラス質のような微細な結晶であり,外層ほ溶液からの再結晶 によってできたと見られるじゅうぷんに成長したベーマイト皮膜で ある。 水の臨界温度に近いところで長時間放置した場合に,べ-マイト 皮膜中にジアスポア(β-A120s・H20)が生成することが認められて いる(2B)(29)。 図12ほ温度200℃の純水中で生成したアルミニウムの腐食生成 物の走査形電子顕微鏡写真である。(a)ほ1時間保持したもので, 結晶は微細であり,電子線の回折像はブロードで不明確である。 (b)ほ8時間,(c)は72時間保持したものであり,表面はベーマイ トの結晶でおおわれ,電子線の回折像はシャープである。 400℃以上の高温蒸気中でほコラソダム(α-A1208)が生成する。 金属との密着性は悪く,ハク離しやすい粗雑な皮膜であるために, 保護皮膜としての性質に欠ける。たとえば,400℃,20kg/cm2の 過熱蒸気中では0.1mmのアルミニウム箔(ハク)は30分間以内に崩 1.2 0.8 0.4 0 ぎ ー0・4 凹 -0.8 -1.2 -1.6 -2.0 -2.4 、-、+H20) (Hz)、、、一 山++ナ AJ 、、、(02) (H20)、、、、、、 AJO2 ̄ 、 、 -2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 A B C D pH ギブサイト(α-Al203・3Ii20) パイアライト(β-A1203・3H20) ベーマイト(α-A1203・H20) 無定形水酸化アルミ(Al(OH)3) 図11Al-H20系の電位-pH図 (b)浸漬時間8時間 図12 200℃の純水中におけるべ-マイト結晶の成長 (c)浸溝時間72時間

(7)

1032

10,000 ∧U O O l 0 0 (N6U\澄)只 出 トite 203-脚 lnU 5 ・・・・13 Gi A ハu Diaspore β-AJ20。-H20 / e 20

ノダ芸

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血q m叱 〇 一 C α  ̄0 100 200 300 400 500 600 温 度ぐC) 図13 A120a-H20系の状態図 壊し,コランダムの粉体に変化した。 Ervin氏ら(30)は,図13に示すA1203-H20系の状態図を作り,ギ ブサイト,べ-マイト,ジアスポア,コランダムの安定領域を示し ている。一点鎖線は水の気液相線である。ギブサイトとべ-マイト の境界温度が高いことを除くと,実験結果とはぼ一致している。

5.結

白 鉄,鍋およぴアルミニウムの腐食生成物の形態とその生成条件に ついて検討した。熱力学的に予想される生成物と,実際に生じた生 成物とはほぼ一致し,環境条件から,生成物をある程度予測するこ とのできることがわかった。 本研究を進めるにあたり,ご指導とご助言をいただいた北海道大 学永山教授ならびに研究にご協力いただいた日立製作所日立研究所 小川,庄司,鈴木,伊藤,府山の諸氏に厚くお礼を申し上げる。 (1) (2) (3) (4) (5) O 1 2 3 4 5 (16) (17) (18) (19) (20) (21) 22 23 24 5 6 7 00 9 0 2 2 2 2 2 3 ⅤOL.52 N0.11 1970 参 芳 文 献 永山:防食技術,17,弘8(昭43) M・Pourbaix:Atlas of ElectrochemicalEquilibriain AqueousSolution,307(1966Pergamon Pr.) G・Charlot,曽根,田中訳:シヤルロー定性分析化学Ⅱ, 245(1958共立出版) H・E.Townsend,Jr.:Corr.Science,10,343(1970) J・且Bernal,D.R.Dasgupta,A.L.Mackay:Clay Mine-ralBulltein,3,15(1959) 信岡,阿度:大工試季報,け,160(1966) 青山:理化学研究所報告,3d,256(1960) 浅井:電気化学,35,638(1967) H・H.Ublig:CorrosionandCorrosionControl,146(1963 John Wiley&SonsInc.) H.J.Meyer:Werksto庁e u∴Korrosion,15,653(19糾) W.Wiederholt:ibid,15,633(1964) M.Pourbaix:CEBELCOR,10l,23(1962) M.F.Obrecbt:Corrosion,18,189t(1962) 丹野,岩崎,渡辺,川島:日立評論52,1037(昭45-11)

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参照

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