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ぎ酸および酢酸環境下で発生する銅の腐食形態の電気化学的手法による再現

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Academic year: 2021

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1.緒言 ぎ酸や酢酸などのカルボン酸環境下において、銅には 蟻の巣状腐食と呼ばれる局部腐食が発生する場合があ り、これまでにも蟻の巣状腐食に関する研究報告が多数 なされている1)〜15).ぎ酸や酢酸などのカルボン酸環境 下で生じる銅の蟻の巣状腐食は、カルボン酸の種類に. よって腐食形態が異なることが知られている16)〜 18). ぎ酸雰囲気下では、微細孔が不規則に枝分かれしながら 深さ方向に進行するいわゆる典型的な蟻の巣状の形態に なる.しかしながら、酢酸雰囲気下では枝分かれが少な く、半球状の食孔になる場合が多い.著者らは既往の研 究において、酢酸雰囲気下で生じる半球状食孔内部に は、スポンジ状に侵食された銅組織が残存し、その隙間 を亜酸化銅が埋める特異な形態であることを報告した19). さらに著者らは、ぎ酸銅および酢酸銅溶液中に銅管を浸. [ 論 文 ]. ぎ酸および酢酸環境下で発生する銅の腐食形態の 電気化学的手法による再現. 室蘭工業大学 もの創造系領域 准教授・博士(工学)� 境 昌 宏 室蘭工業大学 機械航空創造系学科 学部生� 平 川 拓 利. 株式会社UACJ R&Dセンター 第二研究部 博士(工学)� 京 良 彦 株式会社UACJ R&Dセンター 第二研究部 室長・博士(工学)� 大 谷 良 行. NJT銅管株式会社(旧;株式会社UACJ銅管)伸銅所 技術管理部 主査� 河 野 浩 三. Reproduction�for�Corrosion�Morphology�of�Copper�in�Formic�and�Acetic�Acid� Environment�by�Electrochemical�Methods. � College�of�Design�and�Manufacturing�Technology,�Muroran�Institute�of�Technology,�Associate�Professor,�Dr.�Eng.� �Masahiro�Sakai � Department�of�Mechanical,�Aerospace�and�Materials�Engineering,�Muroran�Institute�of�Technology,� � Undergraduate�Student� �Takuto�Hirakawa � Research�Department�II,�UACJ�Corporation,�Dr.�Eng.� �Yoshihiko�Kyo � Research�Department�II,�UACJ�Corporation,�Manager,�Ph.�D.�(Eng.)� �Yoshiyuki�Oya � Production�Technology�Department,�NJT�Copper�Tube�Corporation,�Manager� �Kozo�Kawano. (Received�March�19,�2020�;�Accepted�April�8,�2020). An�electrochemical�approach�to�reproduce�the�corrosion�morphology�of�copper�in�formic�and�acetic�acid� environment�was�examined.�Anodic�polarization�measurement�and�potentiostatic�polarized�test�for�a�phos- phorous�deoxidized�copper�(PDC)�tube�in�1000�ppm�copper�formate�and�copper�acetate�aqueous�solutions� were�conducted�to�investigate�the�electrochemical�behavior�of�the�PDC�tube�in�the�solution�containing�both� copper�and�carboxylate�ions.�The�anodic�polarization�curve�of�the�PDC�tube�in�copper�acetate�solution�has� an�inflection�point�of�the�current�density�at�about�700�mV�vs.�Ag/AgCl.�Many�hemispherical�pits�occurred� on�the�PDC�tubes�after�the�anodic�polarization�test�in�copper�acetate�solution.�The�hemispherical�pits�were� also�observed�on�the�PDC�tubes�after�the�potentiostatic�polarized�test�in�copper�acetate�solution,�whereas� the�branched�pits�occurred�on�the�PDC�tubes�after�the�potentiostatic�polarized�test�in�copper�formate�solu- tion.�Hemispherical�pits�occurred�in�copper�acetate�solution�and�branched�pits�occurred�in�copper�formate� solution�by�these�electrochemical�methods�have�characteristics�similar�to�the�form�of�corrosion�in�acetic�acid� and�formic�acid�environment�respectively.. Keywords: ant nest corrosion, copper tube, carboxylic acid, copper formate, copper acetate, anodic polarization measurement, potentiostatic polarized test. *. *〒050-8585 北海道室蘭市水元町27-1 Tel:0143-46-5377 Fax:0143-46-5377 E-mail:[email protected]–it.ac.jp. 銅と銅合金 第59巻1号(2020) Journal of Japan Institute of Copper Vol.59 No.1 (2020). −130−. 漬することで、それぞれ枝分かれ食孔、半球状食孔とぎ 酸および酢酸雰囲気下で生じる腐食を再現できることも 報告した20).このように、カルボン酸の種類によって腐 食形態が異なることは実験でも確認されているが、その メカニズムについては明らかになっていない.メカニズ ム解明のためには、腐食の再現が重要であるが、比較的 短期間で蟻の巣状腐食が再現可能なぎ酸銅や酢酸銅溶液 中に銅管を浸漬する方法でも、腐食形態が明らかになる まで腐食が進展するには約1カ月を有する.電気化学的 に腐食を加速することで、実際に生じる腐食を短時間で 再現することができれば、ぎ酸や酢酸などのカルボン酸 の種類や濃度、溶液のpHなどのパラメータを変えて多 数の実験を行うことが可能になるため、メカニズム解明 の一助となり得る.著者らは既往の研究20)において、 酢酸銅溶液中でりん脱酸銅管のアノード分極測定を行う と、試験後の表面に肉眼でも観察が容易な食孔が多数発 生することを報告しているが、その腐食形態については 詳細に調べていない.本研究では、ぎ酸銅および酢酸銅 溶液中でりん脱酸銅管のアノード分極曲線測定ならびに 定電位保持試験を行い、ぎ酸および酢酸環境下で発生す る腐食形態を電気化学試験で再現可能か検証した.. 2.実験方法 2.1 供試材および試験水 供試材には内面溝付きのりん脱酸銅管(JIS�H3300� C1220、P含有量0.028%)を用いた.寸法はφ=7�mm、t =0.29�mm、L=100�mmである.試験面4.4�cm2と端子 接続部以外はシリコーン樹脂で被覆した.試料は試験に 供する前に表面をアセトン脱脂し、イオン交換水による 洗浄を行った.試験水はぎ酸銅(Ⅱ)四水和物(Cu (HCOO)2・4H2O、和光純薬(株)製)、および酢酸銅(Ⅱ) 一水和物(Cu(CH3COO)2・H2O、和光純薬(株)製)を、 それぞれ結晶水を加味しない状態のCu(HCOO)2、Cu (CH3COO)2が1000�ppmとなるようにイオン交換水に溶 解して作製した.さらに、試薬特級のぎ酸(HCOOH、 和光純薬(株)製)および酢酸(CH3COOH、和光純薬 (株)製)をイオン交換水に溶解してそれぞれ600�ppmぎ 酸溶液、650�ppm酢酸溶液も作製した.これらぎ酸およ び酢酸溶液の濃度は、上述した1000�ppmぎ酸銅および 酢酸銅溶液中にそれぞれ存在するHCOO−、CH3COO−の モル濃度とぎ酸および酢酸溶液中に存在するHCOO−、 CH3COO−のモル濃度とが一致するように設定した.. 2.2 電気化学試験 分極曲線の測定は、ポテンシオスタット(北斗電工(株) 製、HZ–5000)を用いた動電位法により行った.参照電 極には飽和KCl中Ag/AgCl電極(以下、SSE電極と呼び、 特に断りがない限り本文中の電位はSSE電極を基準とす る)を、対極には白金を用いた.自然電位を30分間測定 し、その後+2000�mVまでアノード方向に掃引した.掃 引速度は0.05、0.1、0.5�mV/sの3水準で実施した.ただし、 ぎ酸および酢酸溶液中では0.05�mV/sのみで行った. 定電位保持試験は、分極曲線測定と同様のポテンシオ. スタット、参照電極、対極を用いて、自然電位を30分 間測定後、Table 1に示す印加電位、保持時間で定電位 保持を行った.分極曲線測定、定電位保持試験いずれも 室温、大気開放、液撹拌状態で実施した.分極曲線およ び定電位保持試験後の試料は光学顕微鏡を用いて表面観 察を行った.その後、希硫酸中で超音波洗浄することで 腐食生成物を除去した.腐食生成物除去後の試料表面を 再び光学顕微鏡で観察し、腐食発生状況を調べた.洗浄 後表面の光学顕微鏡観察から、孔食が確認された箇所を 切り出し、樹脂埋め後に耐水研磨紙およびアルミナ懸濁 液を用いて断面を研磨した.研磨後、光学顕微鏡で断面 観察を行った.一部の試料では、腐食生成物を除去せず に樹脂埋めし、断面観察を行った.. 3.実験結果および考察 3.1 分極曲線. Fig. 1に1000�ppmぎ酸銅および酢酸銅溶液中におけ るりん脱酸銅管の分極曲線を示す.Fig. 1にはぎ酸およ び酢酸溶液中でのりん脱酸銅管の分極曲線もあわせて示 した.ぎ酸銅およびぎ酸溶液中でのアノード分極曲線 は、掃引速度によらず約100�mVの自然電位からいずれ も単調に電流が増大した.酢酸銅溶液中での分極曲線は 約170�mVの自然電位から途中、屈曲点を経て電流値は 増大した.掃引速度0.05、0.1�mV/sのときに、400�mV 付近に小さな屈曲が現れ、700〜800�mVに大きな屈曲が 現れた.特に後者の屈曲点では電流密度値が約一桁減少 した.分極測定時の試料表面その場観察によれば、ぎ酸 銅の方は電位が上昇するにつれ表面が茶褐色に変色する のみであるが、酢酸銅の方は700�mV付近の屈曲点まで は茶褐色に変色するが、屈曲点を超えると茶褐色が薄く なった.このことから、酢酸銅溶液中で出現する屈曲は 酸化皮膜の形成とその溶解に対応しているものと思われ. Table�1 �Test� solutions,� applied� potential� and� holding� time� for� potentiostatic�polarized�test.. 24 96. 300 24 24 48 96. 500 24 600 24. formic acid HCOOH 600 400 24. 800 24. 1000 3 1500 3. acetic acid CH3COOH. 650 800 24. solution concentration / ppm. applied potential / mV vs. SSE. holding time / h. copper acetate Cu(CH3COO)2. copper formate Cu(HCOO)2. 1000. 200. 400. 1000. 銅と銅合金 第59巻1号(2020) Journal of Japan Institute of Copper Vol.59 No.1 (2020). −131−. る20).酢酸溶液中では屈曲点は見られず、ぎ酸溶液と同 様に単調に増大するのみであった.. Fig. 2にアノード分極曲線測定後の試料断面を示す. 試験水がぎ酸銅溶液の場合、表面全体が不規則に溶解 し、掃引速度が遅いほど溶解が進行していることが分か る.試験水が酢酸銅溶液の場合、半球状の食孔が発生し、 掃引速度が遅いほど食孔径は大きくなっている.ぎ酸、 酢酸溶液中では、いずれも全面溶解により一様な減肉が 生じていた.酢酸銅溶液を用いた場合にのみ半球状の局 部腐食が発生することが判明したが、この半球状食孔 は、腐食生成物を除去した後の試料の断面において観察 されたものである.この半球状食孔についてさらに調べ るため、酢酸銅溶液中、掃引速度0.05�mV/sでアノード 分極曲線を測定した後の試料を、腐食生成物を除去せず に表面、および断面観察を行った.Fig. 3に表面観察結 果を示す.試料表面に直径約0.1�mmの孔が多数存在し ていることが分かる.孔の周囲に黄土色に変色している 部分が存在するが、希硫酸中で超音波洗浄するとこの黄 土色変色部は脱落し、その箇所はFig. 2中、酢酸銅0.05� mV/sの断面に示すような半球状の食孔となった.Fig. 3 で見られるような多数の孔は掃引速度0.05、0.1�mV/sの ときに観察されたが、掃引速度0.5�mV/sでは観察され なかった.Fig. 1(b)の分極曲線の結果と合わせて考え ると、アノード分極曲線に電流値が急減する屈曲点が出. 現した際にのみFig. 3に示すような多数の孔が発生する ことが分かった.Fig. 3に示す孔の一つを断面観察した 結果をFig. 4に示す.Fig. 2中、酢酸銅0.05�mV/sの断 面と同様に半球状食孔が生じているが、Fig. 2と異なり 半球状食孔内部は空洞ではなく、光学顕微鏡で灰色に観 察される粒子状の物質が詰まっていることが分かる.灰 色の粒子状物質を子細に観察すると(Fig. 4右図)、スポ ンジ状に侵食された銅の隙間に亜酸化銅(Cu2O)と推定 される灰色の腐食生成物が詰まっている構造であるよう に思われる.この構造は、緒言でも述べたように、酢酸 気相中に長期間暴露した場合に発生する腐食にも見られ る19)ことから、酢酸銅溶液中でアノード分極を行うこ とで、酢酸気相中で発生する半球状の腐食形態を再現で きることが分かった.酢酸銅溶液中でのアノード分極測 定後の銅管に、半球状食孔が生成するその詳細なメカニ ズムについては不明なため、酢酸銅濃度や溶液中の溶存 酸素濃度などのパラメータを変化させ、今後その理由を 調べていく予定である.. 3.2 定電位保持試験 Fig. 5に定電位保持試験時の電流密度経時変化を示 す.試験水がぎ酸銅およびぎ酸溶液の場合、電流密度値 は試験開始直後に急増し、その後は試験期間中ほぼ一定 の値で推移した.また、ぎ酸銅溶液中では印加電位が高 いほど電流密度値は大きくなり、印加電位200�mVのと き約120�µA/cm2、600�mVのとき約750�µA/cm2の電流. Fig.�1 �Anodic� polarization� curves� for� the�PDC� tube� in�(a)�copper� formate�and�(b)�copper�acetate�solutions.. Cu(HCOO)2. s/ V. m 5.0. Cu(CH3COO)2. s/ V. m 1.0 s/. V m 50.0. HCOOH CH3COOH. s/ V. m 50.0 0.3mm. Fig.�2 �Cross�sectional�observation�of�specimens�after�anodic�polarization� test.. 銅と銅合金 第59巻1号(2020) Journal of Japan Institute of Copper Vol.59 No.1 (2020). −132−. が流れた.一方、試験水が酢酸銅の場合、電流密度値は 時間の経過とともに上昇し続ける傾向を示した.800� mVで24時間保持した場合、 電流密度値は線形的に増加 し、 24時間後には約650�µA/cm2を示した.1500�mVで 3時間保持した場合は、 試験開始直後に約470�µA/cm2 まで急増し、 その後約650�µA/cm2まで線形的に増加し た.なお、酢酸溶液では、酢酸銅溶液の場合と異なり試 験期間中ほぼ一定の電流が流れ続けた.Fig. 5に示すよ うに、試験水がぎ酸銅と酢酸銅とでは、定電位保持試験 時に流れる電流挙動に大きな違いが見られた.ぎ酸銅の 場合はほぼ一定の電流で推移するが、これはぎ酸銅溶液 中では酸化皮膜の形成速度と腐食の進行速度とがつり合 い、ほぼ一定の速度で腐食が進行するためと思われる. 一方、酢酸銅溶液中では、Fig. 1(b)の分極曲線のとこ ろで述べたように、一度形成した酸化皮膜が屈曲点の電 位を超えたあたりから溶解する挙動を示す.今回、酢酸 銅溶液中での定電位保持試験では、Fig. 1(b)の分極曲 線の屈曲電位より高い電位を試料に印加した.このた め、酢酸銅溶液中では、定電位保持試験中も安定な酸化 皮膜形成が行われず、腐食の進行が継続して生じたた め、電流値が上昇し続けたものと思われる.. Fig. 6にぎ酸銅およびぎ酸溶液中で定電位保持試験を 行った試料の断面観察結果を示す.Fig. 6に示す断面は 全て腐食生成物を除去せずに観察したものである.試験 水がぎ酸銅溶液の場合、Fig. 6最下段左に示すように、 枝分かれした食孔が深さ方向に進展する腐食形態となっ た.枝分かれ食孔内部には、光学顕微鏡観察で灰色に見 える腐食生成物が詰まっており、この腐食生成物は亜酸 化銅(Cu2O)と推定される21).食孔の深さは印加電位に かかわらず、いずれも約40〜50�µmであるが、印加電位 が高くなるにつれて食孔の数が増えていることが分か. る.試験水がぎ酸溶液の場合、ぎ酸銅で見られたような 枝分かれ食孔は観察されず、全面が一様に溶解している のみであった. 保持時間の影響を調べるため、印加電位200�mVで96. 時間、ならびに印加電位400�mVで48時間および96時間 の定電位保持を実施した.これらの定電位保持終了後の 試料断面を、24時間保持終了後の試料断面と合わせて Fig. 7に示す.Fig. 7より、保持時間が長くなるにつれ て枝分かれした食孔が深さ方向に進展していることが分 かる.印加電位200�mVの場合、保持時間が24時間では 食孔深さは約40�µmであったが、96時間保持すると食孔 深さは約110�µmとなった.印加電位400�mVの場合も保 持時間の増加とともに食孔は深くなり、保持時間24、 48、96時間でそれぞれ約50、80、120�µmとなった.Fig. 6、7より、ぎ酸銅溶液中の定電位保持試験においては、 印加電位を高くすることで発生する食孔の数が増え、保 持時間を長くすることで食孔の深さが深くなることが分 かる.. Fig. 8に酢酸銅および酢酸溶液中で定電位保持試験を 行った試料の断面観察結果を示す.Fig. 8に示す断面観 察も、Fig. 6と同様に、試験終了後の試料の腐食生成物 を除去せずに実施したものである.酢酸銅溶液中で定電 位保持した場合、印加電位、保持時間の違いにかかわら ず、いずれも半球状の食孔が生じていることが分かる. ただし、印加電位1000�mVで3時間保持した試料に発生 した食孔は、径、深さともに10�µm未満と小さかった. 印加電位1500�mVで3時間保持した試料には、径が約. 0.5mm2 mm. Fig.�3 �Specimen�surface�after�anodic�polarization�measurement�at�0.05� mV/s�in�1000�ppm�copper�acetate�solution.. Fig.�5 �Current�density–time�curves� for�potentiostatic�polarized�tests� in� (a)�copper�formate�and�(b)�copper�acetate�solution.. 50 μm0.3mm. Fig.�4 �Cross�sectional�observation�of�specimen�after�anodic�polarization� measurement�at�0.05�mV/s� in�1000�ppm�copper�acetate�solution� without�removing�corrosion�products.. 銅と銅合金 第59巻1号(2020) Journal of Japan Institute of Copper Vol.59 No.1 (2020). −133−. 170�µm、深さ約100�µmの食孔が観察された.印加電位 800�mVで24時間保持した試料には、径が約300�µm、深 さ約80�µmの食孔が観察された.印加電位1500、800� mVで発生した半球状食孔内部には、Fig. 4と同様に、 スポンジ状に腐食した銅とそのすき間を埋める亜酸化銅 と思われる腐食生成物が確認された.試験水が酢酸にな ると、酢酸銅の場合のような半球状食孔は見られず、 Fig. 6に示すぎ酸溶液のときと同様、全面が一様に溶解 しているのみであった.. Fig. 6およびFig. 8より、ぎ酸銅および酢酸銅溶液を用 いて定電位保持を行うと、それぞれ枝分かれ食孔および 半球状食孔が発生することが分かった.Fig. 6に示すよう な枝分かれ食孔は、ぎ酸雰囲気中に銅管を暴露した際に 発生する蟻の巣状腐食と同様な形態である.また、Fig. 8に示す半球状食孔、しかもその内部にスポンジ状に腐 食した銅と亜酸化銅と思われる腐食生成物が詰まってい る腐食孔は、酢酸雰囲気中に銅管を暴露した際に発生す る半球状食孔と内部構造も含めて同様のものである19). 以上より、ぎ酸銅および酢酸銅溶液中において、銅管を 自然電位よりも貴な電位で一定時間保持することで、ぎ 酸や酢酸環境下で発生する蟻の巣状腐食を短時間で再現 できることが判明した.. 4.結言 ぎ酸や酢酸環境下で発生する蟻の巣状腐食を電気化学 試験により再現するため、ぎ酸銅および酢酸銅溶液中に. おいてりん脱酸銅管のアノード分極曲線測定ならびに定 電位保持試験を行った.以下に得られた結果を示す. (1)�ぎ酸銅溶液中でのアノード分極曲線は電位の上昇と. ともに電流が単調に増加するのに対し、酢酸銅溶液 中でのアノード分極曲線には、電位上昇途中に電流 が急減する屈曲点が出現した.. (2)�ぎ酸銅溶液中でアノード分極曲線を測定した後の試 料は、表面全体が不規則に溶解していた.一方、酢 酸銅溶液の場合は掃引速度が0.05、0.1�mV/sのとき に半球状の食孔が発生した.半球状食孔内部にはス ポンジ状に侵食された銅とそのすき間に亜酸化銅と 思われる腐食生成物が存在していた.. (3)�定電位保持試験時の電流値は、試験水がぎ酸銅溶液 の場合は一定で推移するのに対し、酢酸銅溶液の場 合は上昇し続ける傾向を示した.. (4)�定電位保持試験後の試料には、ぎ酸銅溶液の場合は. 200 mV. 300 mV. 400 mV. 500 mV. 600 mV. HCOOH, 400 mV. 0.3mm. 50μm. Fig.�6 �Cross� sectional� observation� of� specimens� after� potentiostatic� polarized�tests�in�copper�formate�and�formic�acid�solutions.. 200 mV. 24 h. 400 mV. 48 h. 96 h. 0.3mm. Fig.�7 �Cross� sectional� observation� of� specimens� after� potentiostatic� polarized�tests� in�copper� formate�solution� for�24,�48,�96�h�at�200� and�400�mV.. 1000 mV, 3 h 1500 mV, 3 h. 800 mV, 24 h CH3COOH, 800 mV, 24 h. 0.3mm. Fig.�8 �Cross� sectional� observation� of� specimens� after� potentiostatic� polarized�test�in�copper�acetate�and�acetic�acid�solutions.. 銅と銅合金 第59巻1号(2020) Journal of Japan Institute of Copper Vol.59 No.1 (2020). −134−. 枝分かれした食孔が多数発生した.一方、酢酸銅溶 液の場合は分極曲線測定後の試料と同様に半球状食 孔が発生した.. (5)�今回の電気化学的手法により発生したぎ酸銅溶液を 用いた場合の枝分かれ食孔、および酢酸銅溶液を用 いた場合の半球状食孔は、それぞれぎ酸、酢酸環境 下で発生する腐食形態と同様の形状であり、電気化 学的手法により短期間で腐食形態を再現できる可能 性が示唆された.. 謝辞 本研究は日本銅学会平成30年度研究助成金による研 究である.. 参考文献 � 1)�山内重徳,永田公二,佐藤史郎,下野三樹雄:伸銅. 技術研究会誌,22(1983),132–140. � 2)�能登谷武紀,浜元隆夫,河野浩三:防食技術,37 (1988),110–111.. � 3)�能登谷武紀,浜元隆夫:伸銅技術研究会誌,29(1990), 109–116.. � 4)�宮一晋,瓦井久勝,松岡宏昌:材料,42(1993), 917–922.. � 5)�宮藤元久,尾﨑良一,土屋昭則,黒田太郎,源堅樹: 伸銅技術研究会誌,34(1995),159–167.. � 6)�能登谷武紀:材料と環境,46(1997),281. � 7)�能登谷武紀,河野浩三:伸銅技術研究会誌,37(1998), 27–33.. � 8)�E.Cano,J.Simancas,J.L.Polo,C.L.Torres,J.M. Bastidas�and�J.Alcolea:Materials�and�Corrosion, 50(1999),103–110.. � 9)�上田健一郎,磯部剛:伸銅技術研究会誌,39(2000), 187–191.. 10)�J.M.Bastidas,A.Lopez–Delgado,E.Cano,J.L. Polo�and�F.A.Lopez:Journal�of�the�Electrochemical� Society,147(2000),999–1005.. 11)�境昌宏,松平博人,世利修美,天野猶太,平松伸也, 小栗りえ,原和彦:銅と銅合金,46(2007),221– 225.. 12)�宮一普:材料と環境,61(2012),438–442. 13)�境昌宏,中川翔太:材料と環境,63(2014),333–. 336. 14)�K.Chandra,V.Kain,P.S.Shetty�and�R.Kishan:. 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