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0歳児をめぐる協働のゆくえ―養育観およびアクターの変遷に着目して―

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Academic year: 2021

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0歳児をめぐる協働のゆくえ一養育観およびアクターの変遷に着目して- 人間教育専攻 現代教育課題総合コース 平岡深愛 1.問題の所在 1.57 ショック以降、産育環境改善に向けた研 究や議論は活発化し、2000 年代には研究件数が 一気に増加した。2010 年代もその数は増え続け、 2019(令和元)年10 月から幼児教育・保育の 無償化にともない0 歳児保育の一部が無償化 されたことも相まって、今後も当該分野の研究 耗裁侖は活発に続くことが予想される。一方で、 これだけ活発に研究や議勧g成されているにも 関わらず、今日の0 歳児および彼らの養育者を 取り巻く環境は厳しさを増している。 主に家庭で0 歳児を育てる人々は「孤育て」 「ワンオぺ育児」と呼ばれる一人での養育に悩 み、家庭と仕事を両立しようとする人々は「保 活」の厳しさに晒されている。 他方で、そうした声をあげる養育者らに対し 「生んだのはあなた」と国会議員が発言する(産 経ニュース2016)など、「子育ての大変さは万 人が把握しているところで、それを知った上で 産むと決めたのだから養育者は社会に助けを求 めるべきではない」 とする姿勢、いわゆる自己 責任論も台頭している。 このように、0 歳児養育の負担が養育者、と りわけ保護者らに集中するような構造はいつど のようにして形成されたのか、またその解決に 向けて今後求められていることは何か、これら を探ることが本論文の目的である。 よって、日本および各専門分野の0 歳児に対 する「養育観」がどのように変化してきたのか、 指導教員:谷村千絵 またそこにはどのような「アクター」が関わっ てきたのかを調査し、可視化することを試みた。 2.日本における0 歳児養育観の変遷 本論文においては、日本における時代区分を 「近代以前」から「現代後期」の5 区分と定義 した上で検証を行った。 近代以前においては階層ごと様々な0 歳児養 育が行われていた一方で、母子の絆は重視され ていなかったのに対し、近代以降になると社会 の西洋化とともに「母親」を0 歳児養育の重要 なアクターと捉える動きが興り、現代における 「母幽転舌」によって、0 歳児と母親をH本と みなす思想が築かれた。 また現代後期においては、社会における家族 の不在化および0 歳児の不在化が進展していた。 3.関係者における0 歳児養育観の変遷 0 歳児養育に関わっている専門分野を「医療 分野」「保育教育分野」「生活支援分野」「養育行 政関係者」と区分し、専門職化までの流れや今 日における養成課程、業務内容について検証を 行った。 各分野は0 歳児養育の目的を異にしており、 医療分野は児童虐待防止、保育教育分野は子ど もの最善の利益の実現、生活支援分野は生活の 向上、養育行政関係者は社会環境の整備を目指 していることが明らかとなり、それぞれのアク ターが業務を進める上では、非関係者を排除す

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る構造が築かれていることが分かった。 4. 0 歳児をとりまくアクターの変遷 上記の検証から分かった、日本における0 歳 児養育をめぐるアクターの変遷について、モデ ル図を用いて考察した。 近代以前のモデルは「周縁モデル」、近代前期 は「空間モデル(家・地域型)」、近代後期は「空 間モデル(家族・地域・専門施設型)」、現代前 期は「専門性モデル(母親・家族中心)」、現代 後期は「専門性モデル(母陛・保護者中心およ び行政媒介型)」であることが分かった。 さらにアクターの役割決定過程は「場面依存 型」と附旨力依存型」の大きく二つに分類でき、 近代までの日本が場面依存型の0 歳児養育を行 っていた一方で、現代の日本においては、能力 依存型の0 歳児養育が展開されていることが明 らかとなった。 5.結論 現代の0 歳児をめぐる協働において保護者に 養育負担が集中する構造が生み出された時期は、 養育が場面依存型から能力依存型へと転換され、 保護者を支えるセーフティネットとなっていた 拡大家族や地域のコミュニティが少数派となっ た「現代後期」であることが分かった。 また、 この構造の形成には(①嫁族観や生き方 などの価値観の多様化に国や社会が対応しきれ ていないこと締廿度面)、②「親」という属性に 過剰な期待を寄せる「親神話」の構造が形成さ れていること(文化面)、③(本来ならぱ保護 者と社会の橋渡しを担うはずの)専門家集団が 協働の形態についてミスリードしており、現代 の社会構造に適した情報共有の在り方が議論さ れていないこと(清報の在り方)、という3 つの 要素が関わっていた。 さらに、これらを解消する上で●一人一人が どのような社会や0 歳児養育を望むのか、多様 な人々と対話する機会を意識約にもつこと、● 親となった者だけでなく全てのアクターが養育 について学べる機会を保障すること、e専門家 は能力依存型の社会構造と対峙するのではなく、 自らの専門性を他分野や級の人々と共有し活 用することでその機能を生かしつつ、必要に応 じて保護者と社会、保護者と行政の橋渡し役を 担うこと、などが求められていた。 6.成果と課題 本論文では今日に至るまでの各分野における 0 歳児に関わる先行研究を整理し、その変遷を モデル化および年表化したことで、多分野で共 有可能な本機且みを提示できた。 この成果を現場実践にも応用可能なものにす るため、今後は各分野におけるインタビュー調 査や参与観察などを行っていきたい。さらに、 他国における0 歳児をめぐる協働と比較すると どのような知見が得られるのかについても、今 後調査していきたい。 また、各専門分野における専門職養成課程の 歴史および法的根拠や、実際のカリキュラム、 教材等に関しては、データが不足しているため 今後の資料収集が課題となる。 本論文で述べたように、研究で得た知見を 様々なアクターに伝えていくことや、伝える際 には相手の理解が促されるような工夫や言葉選 びをすることが求められている。今後、様々な 機会を通し、本論文の成果や課題を多くの人々 と共有していきたい。

参照

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