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東京女子医科大学々会第22回総会抄録及追加討論
1. 新旧疑固剤(Hedulin)を使用せる2臨床例 (演)(三神内科)小 林博 子 (眼科)渡 辺 ヒ ・ 私達は,最近町勢動脈を触れない所謂脈無し病を2 例経験し,これに対し新抗凝固剤Hedulinを使用し 良好なる経験を得たのでここに報告する。 脈無し病は,明治41年高安氏が「奇異なる網膜申心 血管の変化の1例」として,始めてその特有な眼症状 を述べ,その後,主として眼科方面で高安病として注 目されてきたが,昭和23年清水,佐野両氏により詳細 に報告され,脈無し病として提唱されるようになっ た。本病は即興早起始部乃至分岐部及び鎖骨下動脈等 に血栓形成を起し,その末稽部に血行障害を起すた め,脈搏の触知不能,特有な眼症状及び頸動脈洞反射 充進という3主徴をあらわしてくるもので,私達の経 験した1例も18才の女子で,定型的な「清水」の脈無 し病と思われる。初めは我国に特有な疾患とされてい たが,他方外国に於ても,耳蝉動脈を触れない症例が 報告され,Pulseless diseaseとの名称もみられるよ うになった。1946年,Frφrigにより始めてその臨床 像が紹介され,大動脈弓症候群としての概念が示唆さ れたが,1953年Ross及びMcKusickの綜説により それが確立された。即り大動脈弓からの各分枝起始部 或はその近くに於て,各種原因により起る血管内腔径 の狭窄及び閉鎖の各組合せによる症候群と説明されて いる。私達の他の1例は27才の女子で,大動脈瘤があ り,大動脈弓症候群の1例と思われた。 以上2例に対し,その成因に大きく関係する血栓形 成という事を考慮し,近来著しく進歩してきている抗 擬固剤に着目し,Hedulin(Phenylindandione)を使 用した所,前症例は擁骨動脈は触知しえないが,眼底 所見及び一般症状の好転をみ,更に後症例に満ては擁 骨動脈を触れ,筒眼底所見及び一般臨床症状の軽快を 示したので報告する。 2.溺死に関する研究 特に臓器内プランクトンについて(第1報) (法医)田 村 リ ツ 海,河川及び湖沼等の水中において死体を発見した 場合,これが溺死したものであるか或は死後,水中に 投ぜられたものであるか(死因は溺死ではない)を決 定することは法医学上極めて重要な問題であるにもか かわらず,解剖所見のみからは屡々その解決が困難で ある場合に遭遇する。溺死の場合には水中にても呼吸 運動が持続するために溺水が気管を通じて肺の毛細血 管から血中に入り,全身を循環することが考えられて いたが,溺:水と共に微浮遊生物(プランクトン)も毛 細管壁を通過して循環系に導入きれ,全身の諸臓器に 分布することが近年長崎大学友永教授により発表さ れ,水中死体の死因が溺死か否かの問題に対し解決の 鍵が与えられるようになった。そこで私も実際に溺死 したと思われる死体の諸臓器からプランクトンを証明 したが,東京都内に於て発生した溺死々体についてこ の方面に関する研究は殆ど無く,更に本問題に関して は種々の観点に立って筒一層,詳細に亘る研究の必要 性を感じ本研究に着手した。即ち東京都内の海,河川 及び池等で発生した溺死々体10例の脳,肺,肝,心, 腎,脾及び骨髄(大腿骨)を採取し,発煙硝酸,濃硫 酸及び過酸化水素水にて壊潤し,その沈渣中に発見さ れるプランクbンの検出状態を顕微鏡検査し,更に溺 水を現場より採取顕鏡し,プランクトンの種類,量及 び大きさ等から溺死及び臓器内プランクトンの相関々 係について調査した。更に実検約に溺死させた家兎の 諸臓器についても同様に検索し,同時に溺水をも採取 して両者を共に観察したのでこれら諸成績から得た知 見につき報告する。 3.癌の骨転移について(演)(整形外科)和知英男
栗 原 文 子,榊 多鶴子 我々の教室に於て,癌の骨転位を来した10例にっ き,経過観察,考察を行い報告します。癌は骨に原発 するものでなく必ず他の内臓々器に原発巣が存し,本 症例では,胃,乳房,卵巣,肺,甲状腺,特等にみら れました。 骨転移部位は,大腿骨に多く,特に大転子よりやや 末稽部に多く,しばしば病的骨折により発見されまし た。次に脊椎,骨盤,上腕骨,肋骨等にも多く見られ ました。 診断は,年令,既往歴,Vントゲン写真によるが, 鑑別すべき疾患中特に好発部位臨床症状等類似し,鑑 別困難である多発性骨髄腫について述べ,最後に:文献 的考察をしたと思います。 質 問 (三神内科)三 神 美 秘 癌の骨転移の場合血液像に類白」血病様反応(Leuka− moid Reaktion)がよく見られるが,只今報告された 10例の血液像にかかる変化のあったものはなかった か。 一一 54 一一55 応 答 森 崎 直:木 血液像にLeukaemieの様な所見はみとめられませ んでした。 4. 網膜内活動電位と網膜活動電位の発生部位に 関して (演)(生理) 田 沢 美 禰 山 中 妙 子 網膜活動電位の発生部位及び発生機序に関し富田等 が微/」、電極を用いた結果を報告したがSvestichin等 の反駁あり,更に超微小電極を使用し網膜活動電位の 総ての因子は両極細胞層よ.り発生するものと前回同様 な結果を得,最近決定的な報告をしたところである が,私達は冨田の新たに老案せるベンシノレ型電極を使 用し,食用蛙の剥離又は非剥離網膜の内境界海軍或は 視細胞塩払より電極を挿入し,網膜活動電位と網膜内 活動電位の比較検討を行うと共に,agingによる影 響,strychniエ}eの作用により局所反応を消失せしめ た場合をも同時に観察し,本質約に冨田等と同様な結 果を得たので報告する。 5. 毛髪の研究 (1) 頭髪表面像(Z)電子顕擢改鏡lk勺観察 (皮膚)細 木 梅 子 毛髪表面隊についてはSaxinger, Lodemon, Schr6− der等の研究があり,我国でも前原,杉下,大矢等の Sump法による毛心皮像の観察が報告されているが今 回電子顕微鏡レプi)力法により,正常毛髪(自然毛, コっレドパーマ毛髪,電髪)病的毛髪(縮毛,円形脱 毛症蒲ヒ糠性脱毛症,コールドパーマ脱毛症)及びコ ールドパーマ液による実験毛髪等,総計108枚の写真 を観察したので報告した。 正常毛髪像においては,立入差著しく分類は困難と 思われる。成入の毛小皮には長軸に沿い微細な線状の 条紋を認めた。 コールドパーマ毛髪,電髪にも著変はないが,コー ノレドパーマ液による実験では高度の破壊像が見られ た。 6.毛包の組織化学的研究(第1報) (解剖)八十田敏男 毛包中に見出せるDNA, RNA,ア2レカリホスフ ァタ山里,SH基, SS基について成熟モルモットを 用いて組織化学的にその局在性を検索した。 DNAは毛母基細胞,毛皮質,内根鞘の核形質に強 い染色性を示した。その他各層中の核形質も陽性を示 したが染色性の程度は異るものであった。 RNAは毛皮質及び毛母基細胞の形質中に強い染色 性を呈し,毛髄及び毛乳頭には見出せない。 アルカリホスファターゼ毛乳頭に強い反応を呈し, 次いで外根鞘及び毛母基細胞にも陽性に現われる。 SH基の反応を呈する部位は毛包中央部の毛皮質で あり,上方に向っては急劇に消失し,下方では漸減す る,毛髄に於いても染色性を呈するが,皮質より拡散 されたものと思われる。 SS基は充分角質化した毛皮質に顕著な反応を呈す る。 質 問 (生化学)松 村 義 寛 SH基の毛髪一部にのみ検出される理由は? 応 答 (解剖)八十田敏男 組織学的にはそこにしかみられない,理由は不明で す。
追加 (生化学)松村義寛
毛髪そのものはケラチンが主成分ですから当然SS が陽性にならねばならいと思うが如何,もしSSがS Hと部位を異にし発現が証明せられたとしてもその意 義は必ずしも存在したSSのすべてを検出しているの ではないと考.ヲぎるを得ない。ケラチンは水不溶であ るから溶離したとは考えられない。 7. クロロマイセチン耐惟腸チフス菌の電子顕微 鏡的研究 (細菌) 小 林 千 鶴 先にCM耐性腸チフス菌では鞭毛を認めない事を染 色及び培養により証朋したが,今回は電子顕微鏡によ りこれを確認した。即ち腸チフス菌原株と耐性株の8 ∼14痔間培養について,菌浮游液をコnジオン膜をは ったシ・一“トメッシュにのせて乾燥し,これを電子顕微 鏡で観察した結果,原図では周囲多毛症の鞭毛を多数 認めたのに対して耐性株では全く鞭毛を認める事が出 来なかった。又菌体内の構造については,原表では電 子線を一様に透過する均一な像がみられたのに対し て,耐性株では所々に電子線透過度の不平等な箇所が あり,菌体1つ1つについても電子線の透過度を異に するものが混在していた。この耐性株の菌体内構造の 不均一に関しては培養時聞,シャドウの条件など種々 に変えて検討してみたのでその結果についても併せて 報告する。(本号43頁参照) 8.瓜NAH誘導体の臨床(第■報)INAH・Pyruvic acid Hydrazon(1.P.)及び
其のカルシウム塩(1.P.C.) (海上寮療養所)中沢喜美子 結核の化学療法剤として現在INAHは広く一般に使 用されその効果についても目覚ましいものがあるが, 近年更ICh.層の治療効果を望んでINAHの誘導体の研 究が盛んに行われている。私達は先にIHMSについ て報告したが,其の後LP.及び1.P.C.を使用する 機会を得たので一応御参考の為に報告する。症例は31 例で,症状は比較的軽度の8例を除き全てが混合型肺 結核と考えて良く,排菌状態も23例は菌陽性を示して