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O- もやもや病に対する直接頭蓋外内バイパス術後急性期の脳循環動態 :IMP-SPECT Graph Plot 法を用いた検討 国立病院機構仙台医療センター脳神経外科 2 東北大学大学院医学系研究科神経外科学分野 伊藤明 藤村幹 2 木村尚人 江面正幸 上之原広司 冨永悌二 O-2 PET との対比

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もやもや病に対する直接頭蓋外内バイパス術後 急性期の脳循環動態:IMP-SPECT Graph Plot 法を用いた検討 1国立病院機構 仙台医療センター 脳神経外科、 2東北大学大学院医学系研究科 神経外科学分野 ○伊藤 明1、藤村 幹2、木村 尚人1、江面 正幸1  上之原広司1、冨永 悌二1 【背景】脳虚血症状を有するもやもや病に対しては 頭蓋外内血行再建術が有効な治療法として確立され ている。一方、脳虚血ならびに過灌流症候群が潜在 的合併症として知られており、術後早期の脳循環動 態の評価が重要である。本疾患における術後急性期 脳血流 (CBF) 測定法としては IMP-SPECT ARG 法 がその高い定量性により汎用されているが、動脈血 採血を要することや被験者への侵襲性、手技の煩雑 さが問題点として指摘されている。動脈血採血を要 さない IMP-SPECT Graph Plot 法を用いて、もや もや病に対する STA-MCA バイパス術後急性期の CBF を評価したので報告する。

【方法】対象は STA-MCA バイパス術を施行され たもやもや病の 10 例(10 〜 55 歳)。術後は過灌 流予防の目的で厳格な血圧管理を行った(sBP < 130mmHg)。全例で IMP-SPECT Graph Plot 法を 用いて術前、術翌日、術後 7 日目に脳血流を評価し た。術側 MCA 領域を 3 領域(Frontal、Temporal、 Parietal)に分け、各領域の CBF を定量化した。 【結果】術後に神経症状を呈した症例はなかった。 術後の MRI/MRA で虚血性合併症が無いこととバ イパス血管の開存が全症例で確認された。術翌日の 吻合部領域の CBF は全症例で改善した(平均 42.7 か ら 48.0 ml/100g/min へ )。CBF の 変 化 率([ 術 後 CBF /術後 CBF]× 100)は術翌日(114.0%、 P=0.0035) と 7 日 目(114.5 %、P=0.0028) で そ れ ぞれ有意に増加した。全症例が術後 2 週間以内に合 併症無く退院した。 【結語】もやもや病に対する STA-MCA バイパス術 後急性期の脳循環動態の改善が IMP-SPECT Graph Plot 法にて確認された。 PET との対比による CT 脳血流測定法の検証: 主幹脳動脈狭窄・閉塞に伴う血管拡張に関連して 1秋田県立脳血管研究センター 放射線医学研究部、 2鳥取大 ○茨木 正信1、大村 知己1、松原 佳亮1  中村 和浩1、山口 博司1、梅津 篤司1  木下富美子1、篠原 祐樹2、木下 俊文1 【目的】CT では造影剤静注による CBF 測定が可能 だが,定量性に関し議論が残る。造影剤法は血管 成分の影響を受けることが示唆され,血管拡張が 強度な場合での妥当性は明らかでない。本研究で は CT 法の検証を目的として15O PET 測定との比 較を行い,特に脳血液量(CBV)との関連に着目 した。【方法】対象は当施設で PET および CT で の CBF 測定が行われた,広範な梗塞巣の無い片側 性の主幹脳動脈狭窄・閉塞症例(n=28)。CT 測定 では Aquilion ONE(東芝)を用い,造影剤静注後 の連続撮像データを得た。メーカー提供の解析ソフ トウェアを使用し,大血管除去処理の後,造影剤遅 延効果のない rSVD deconvolution 処理で CBF を 得た。15O PET 測定では Eminence-G(島津)を用 い,CBF,CBV,OEF,CMRO2 を得た。両手法の CBF,CBV マップを解剖学的標準化し,3D SRT テンプレートによる ROI 解析を行った。ROI は基 底核レベルから半卵円中心レベルの中大脳動脈領域 に制限し,片側半球あたり 56 個であった。各症例 に対し,患側健側 CBF 比< 0.90 の ROI を対象とし て半球平均 CBF 値,およびその患側健側 CBF 比を 計算した。【結果】各症例に対する解析では,両手 法の CBF 絶対値の相関係数は中央値で r=0.67 と当 施設の既報と同等であった。患側健側 CBF 比は有 意に CT で高値であった(CT 0.92 ± 0.07 vs. PET 0.84 ± 0.05; p < 0.001)。PET による患側健側 CBV 比の中央値(1.02)を基準に,症例を CBV 高値群(> 1.02),CBV 低値群(≦ 1.02)に分割した。CBV 低 値群では CBF 比に差はなかったが(CT 0.89 ± 0.07 vs. PET 0.85 ± 0.05; p=0.27),CBV 高値群では CT で高値であった(CT 0.96 ± 0.05 vs. 0.83 ± 0.05; p < 0.001)。【考察・結語】主幹脳動脈狭窄・閉塞症 例において高度な血管拡張を伴う場合,CT 法は患 側 CBF を過大評価し,虚血の程度を過小評価する 可能性がある。現状の CT 大血管除去処理に改善の 余地があることを示唆すると共に,造影剤法の限界 を示している。

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O1-3

内頚動脈/中大脳動脈閉塞時の患側健側脳循環 予備能の解析 自治医科大学附属さいたま医療センター 脳神経外 科 ○石川 眞実、伊古田雅史、山黒 友丘、加持 春菜、  海老原 彰、草鹿 元、田中 裕一 【目的】内頚動脈や中大脳動脈の閉塞後、ADL が 自立しているような症例では、周辺の領域から血 液供給をうけて脳梗塞が回避されている。この時、 側副血管からの血流を受けるが、対側からも血液 供給をうけることで、健側の脳血流も正常状態に 比べて低下し、予備能も低下してくる。患側健側 の脳循環予備能低下について解析、検討した。【方 法】当院を受診した内頚動脈または中大脳動脈の 閉塞で IMP-SPECT 検査を行った50例を対象と した。IMP-SPECT 検査は、2回分割投与による1 日法で、graph plot 法により行った。脳循環予備能 は、JET study に従って計算した。【結果】脳循環 予備能は、側脳室前角が入るスライス面での中大脳 動脈領域の IMP-SPECT 解析を行い、健側 46.3+/-28.3%, 患側 27.3+/-25.7% であった。回帰分析を行 うと、予備能は、Y( 患側 )=0.866X(健側)+22.671, R2:0.616 と相関関係があり、同領域の脳血流も、 Y( 患側 )=0.711X(健側)+13.815, R2:0.651 と相関関 係があった。また、血行再建術によりこれらは改善 傾向を示した。【まとめ】内頚動脈閉塞後、脳梗塞 を発症しない症例において、脳循環予備能は様々で あるが、健側の血流も患側にまわりその分脳循環予 備能は低下し、その程度は健側と患側に相関関係が あった。また、低下症例に血行再建術を行うと脳循 環予備能は改善傾向を示す。これらのことを検討す ると、脳循環予備能は脳血流が低下していない段階 の正常レベルがあり、これを常に保とうとするメカ ニズムが予想される。我々は、動物実験での CO の 血管収縮機構など、正常での脳血管反応性の調節に 関する研究を行ってきたが、今後、実際の臨床の場 における脳循環予備能維持のメカニズムについて課 題として検討してゆきたい。

O1-4

脳血流 SPECT 統計画像解析の血流低下部位検 出感度における吸収補正法の影響について 大阪大学大学院 医学系研究科 核医学講座 ○加藤 弘樹、下瀬川恵久、畑澤 順 近年では従来の SPECT 装置に代わって SPECT/ CT 装置の導入が進んでいる。SPECT/CT 装置で は、従来一般的に用いられてきた Chang 吸収補正 法に代わって CT を用いた吸収補正が可能である。 我々はこれまでに脳血流 SPECT 画像がその画像再 構成法とりわけ吸収補正法の違いよって大きな影響 を受けることを報告してきた。本研究では、脳血流 分布を異なる吸収補正法によって再構成し、得られ た SPECT 画像を比較検討することで、吸収補正法 が統計画像解析による脳血流低下部位の検出能に与 える影響を明らかにすることを目的とした。20 人 の健常者に対して I-123 定性脳血流 SPECT 施行し、 その収集データに関して Chang 法あるいは CT 吸 収補正法の 2 通りと 3D-OSEM 法を組み合わせで SPECT 画像を再構成することによって健常者デー タベースをそれぞれ作成した。さらに、慢性期脳梗 塞症例 11 例の脳血流 SPECT 収集データに対して も同じく 2 通りの方法で画像再構成を行った。作成 した 2 つの健常者データベースに関してカウント値 の個体間のばらつきを voxel 単位で比較した。また、 同一の方法で再構成した患者データと健常者データ ベースを組合せて SPM を用いた統計画像解析を行 い、血流欠損を呈していると考えられる梗塞巣に おける Z score を 2 種類の再構成法に関して比較し た。その結果、健常データベースにおいては CT 吸 収補正法を用いた場合に一部の領域で SPECT 値の 個体間のばらつきが相対的に小さくなることが明ら かになった。また、患者データを用いた解析の結果、 CT 吸収補正法を用いた場合では Chang 法を用いた 場合と比較して有意に Z score の絶対値が高いこと が明らかになった。CT 吸収補正法は Chang 法に比 して統計画像解析による局所脳血流低下部位検索の 感度を上昇させることができると考えられる。

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脳アミロイドアンギオパチーに合併した脳表ヘ モジデリン沈着症の画像所見の検討 1富山大学附属病院 神経内科、2富山大学 医学部  放射線診断・治療学 ○田口 芳治1、高嶋修太郎1、野口 京2  吉田 孝司1、小西 宏史1、温井 孝昌1  道具 伸浩1、林 智宏1、山本 真守1  田中耕太郎1 【目的】脳表ヘモジデリン沈着症(SS)はくも膜下 腔への持続的あるいは反復的な出血により脳表にヘ モジデリンが沈着する病態である。近年、MRI 検 査において磁化率変化に鋭敏なシークエンスの開発 により、脳アミロイドアンギオパチー(CAA)に 合併する SS の報告が散見されるが、その病態に ついては不明な点が多い。今回、当科で経験した CAA に合併した SS の画像所見の特徴を検討した。 【対象・方法】当科にて改訂版 Boston 診断基準に より臨床的に CAA と診断し頭部 MRI で SS が認め られた 4 例を対象とした。頭部 MRI は DWI、T1、 T2、FLAIR、T2*、SWI 画像が撮影され、SS の部位、 脳出血、微小出血、くも膜下出血、大脳白質病変 (FLAIR 画像で高信号域)の有無とそれぞれの関連 を検討した。また、99mTc-ECD 脳血流 SPECT を 施行し、脳血流所見についても検討した。【結果】 症例は男性 3 例、女性 1 例で、平均年齢 79 ± 6 歳(75 − 87 歳)、MMSE の中央値は 8 点(7-10 点)であっ た。SS は前頭葉、頭頂葉を中心に広範囲に大脳の 脳表に認められ、T2* では同定できない部位でも SWI では明瞭に同定された。微小出血は主に大脳 皮質・皮質下に認められ、皮質下出血や SS 部位の 近傍に散在していることが多かった。FLAIR 画像 では脳溝に高信号域が認められ、皮質型くも膜下出 血が示唆される症例や SS 部位に一致して皮質下に 高信号域を認める症例があった。99mTc-ECD 脳血 流 SPECT 所見では eZIS 解析でアルツハイマー型 認知症に一致した血流低下を認めた。【結語】CAA において SS を呈している症例では、大脳皮質下出 血や lobar microbleeds、クモ膜下出血など CAA に 関連した多彩な病変が認められた。また、SS の同 定には T2* に比べ SWI がより有用であった。 遷延性前兆を伴う片麻痺性片頭痛重積発作時に おける脳循環代謝の動的変化 1北里大学 医学部 神経内科学、2埼玉精神神経セ ンター 埼玉国際頭痛センター ○飯塚 高浩1、笠倉 至言1、金子淳太郎1  濱田 潤一1、西山 和利1、坂井 文彦2 【背景】我々は、ATP1A2 遺伝子の新規ヘテロ接 合性点変異 H916L を有する家族性片麻痺性片頭痛 (FHM2)の日本人家系において、計 8 回の遷延性 前兆を有する片麻痺性片頭痛重積発作の急性期に 局所脳血流を測定し、遷延性前兆の責任病巣に一致 して、局所脳血流が易罹患側で高率に増加すること を報告した(Iizuka et al. JNNP 2012; 83: 205-212)。 しかし、症候学的には同様な片麻痺性片頭痛重積発 作でありながら、3 回の発作では局所脳血流が低下 していた。この時点ではなぜ脳血流パターンが発作 毎に異なるのかは明らかではなかった。【目的】遷 延性前兆を有する片麻痺性片頭痛重積発作時の脳循 環代謝の動的変化を報告する。【方法】本家系の発 端者が、44 歳時、頭痛、嘔吐、せん妄、失語、右 片麻痺、右同名半盲を呈した片麻痺性片頭痛重積 発 作 に お い て、IMP-SPECT、FDG-PET、MRA、 Arterial Spine labeling (ASL)-MRI を経時的に実施 し、発作間欠期のデータと比較した。【成績】発症 10 時間後に実施した IMP-SPECT では左大脳半球 の局所脳血流は著明に低下していたが、発症 55 時 間、83 時間後に実施した ASL-MRI では、左大脳 半球の局所脳血流は後方優位に増加し、発症 80 時 間後に実施した FDG-PET でも同部の糖代謝は亢進 し、対側小脳半球の糖代謝も増加していた。神経徴 候がほぼ消退した第 9 病日には、IMP-SPECT およ び ASL-MRI 上左側頭葉後方の血流増加は残存して いたが、神経症候は第 10 病日には消失し、発作間 欠期には異常所見は消失していた。【結論】片麻痺 性片頭痛重積発作発症初期には、遷延性前兆の責任 病巣の局所脳血流は低下するが、その後ある時点で 急速に血流増加に転じ、同部の糖代謝も亢進するこ とが初めて確認された。初期の局所脳血流低下には 皮質拡延性抑制類似の病態が関与していると推測さ れるが、続発する持続性脳血流増加には、三叉神経・ 副交感神経反射も含めた三叉神経血管系の過度な活 性化が関与していると推測する。

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O2-3

けいれん発作後経時的イオマゼニール結合能評価 1広南病院 脳神経外科、2仙台医療センター 脳神 経外科、3東北大学 脳神経外科 ○井上 敬1、清水 宏明1、藤村 幹2、遠藤 英徳1  荻田 庄吾1、藤原 悟1、冨永 悌二3 [はじめに]イオマゼニールは中枢性ベンゾジアゼ ピン受容体に選択的に結合し、その脳内分布を反映 すると言われている。これまでてんかん発作焦点 同定に利用されていたが、今回けいれん発作後に 経時的にイオマゼニール(IMZ)SPECT を施行し たので報告する。[対象・方法]けいれん発作にて 入院し、経時的に IMZ SPECT を施行した 6 症例 を検討した。うち 2 例はけいれん重積状態であっ た。SPECT は GE 製 Infinia8 Hawkeye4 にて撮像 した。入院後 3 日以内およびその 1 週間後の 2 回撮 影を行った。[結果]入院中に全例けいれんは消失 した。重積状態で入院となった 2 例は注意障害な どの高次脳機能障害が残存した。初回 IMZ SPECT early image では全例高集積を認め、これは脳血 流量の増加を反映しているものと考えらえられた。 delayed image では全例で低集積であった。2 回目 IMZ SPECT delayed image では 4 例で低集積で あった領域は改善していたが、2 例では低集積のま まであった。入院中 MRI では同部位に新規病変は 認めなかったが、1 例では外来経過観察中に同部位 の萎縮を認めた。[考察]これまで IMZ 結合能の低 下は永続的な神経脱落を意味すると考えられていた が、けいれん急性期には一過性に低下することが 確認された。またその領域の一部は永続的な神経 細胞脱落を来たし、慢性期 MRI では脳萎縮所見を 呈すると考えられた。[結語]一部の症例では IMZ SPECT 低集積は回復しうると考えられた。経時的 に IMZ SPECT を施行することにより、不可逆的 な神経細胞脱落を予知しうると考えられた。

O2-4

脊髄小脳変性症の画像統計解析法を用いた脳血 流 SPECT の有用性の検討 1翠清会梶川病院 脳神経内科、2広島大学大学院  脳神経内科学、3近畿大学医学部附属病院 救急災 害センター・脳卒中センター ○大下 智彦1、上野 弘貴2、中村 毅2  高橋 哲也2、大槻 俊輔3、松本 昌泰2 <目的>脊髄小脳変性症の診断における画像統計解 析法を用いた脳血流 SPECT の有用性について明ら かにすることを目的とする。<対象> 1) 小脳失調 あるいはパーキンソニズムや麻痺によらない歩行 障害や起立性低血圧を主訴とし、2)2003 年 1 月〜 2009 年 12 月の期間中に脳血流 SPECT を施行し、3) 撮像時年齢が 56 歳〜 80 歳、4) 一年以上経過観察し 得た患者 36 例(年齢 56 歳 -78 歳、男性 16 例:女 性 20 例)、頭部 MRI にて橋や小脳に脳梗塞を有す る例は除外した。<方法>脳 123I-IMP SPECT を 撮像し、3D-SSP を用いて正常群のデータベースと 統計比較を行った。<結果> 1 年後の臨床診断にて、 多系統萎縮症 (MSA) や皮質性小脳萎縮症 (CCA) な どの脊髄小脳変性症と診断した例は 25 例であった。 全脳をリファレンスとした decrease 画像で小脳半 球の集積低下 (Z-score2 以上 ) を呈した例は 19 例(感 度 64%、特異度 72%)、小脳をリファレンスとした increase 画像で大脳全体の集積亢進パターン ( 小脳 の低下を示唆 ) を呈したのは 31 例であった(感度 88%、特異度 18%)。<考察>臨床で通常用いられ ている decrease 画像での小脳低下所見は感度が高 くなく、increase 画像(小脳リファレンス)での大 脳亢進所見もスクリーニングのために積極的に用い た方がよいと考える。

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ジスキネジアを呈するパーキンソン病における 被殻アデノシン A2A受容体密度− [11C]TMSX PET を用いた検討− 1日本医科大学 神経内科、2東京都健康長寿医療セ ンター 研究所 神経画像研究チーム、3東京慈恵 会医科大学附属青戸病院 神経内科、4日本医大千 葉北総病院 脳神経外科 ○三品 雅洋1、鈴木 正彦3、石井 賢二2  北村 伸1、長縄 美香2、木村 裕一2  橋本 昌也3、坂田 宗之2、織田 圭一2  豊原 潤2、小林 士郎4、片山 泰朗1  石渡 喜一2 【目的】アデノシンは、アデノシン3リン酸を介し て細胞のエネルギー代謝に関与し、細胞表面のアデ ノシン受容体を介して細胞機能の制御・調節する。 このうちアデノシン A2A受容体(A2AR)は、ドパ ミン D2受容体と相反する作用を有し、A2AR 拮抗 薬が新たな抗パーキンソン病薬として注目を集めて いる。剖検脳での検討では、大脳基底核の A2AR 密 度は、パーキンソン病で健常者と同等、ハンチント ン病で低下と報告されている。また別の報告では、 L-DOPA 誘発性ジスキネジアを有するパーキンソン 病で被殻の A2AR 密度が増加していた。私たちは、 A2AR リガンドの [11C]TMSX PET を用いて、未治 療パーキンソン病における被殻 A2AR 密度が重症側 で軽症側より左右差を是正する代償として低下、抗 パーキンソン病薬投与開始後には治療前より増加す ることを明らかにした。本研究では、ジスキネジ アを有するパーキンソン病における A2AR 密度につ いて検討した。【方法】対象は老年健常者 6 例、未 治療パーキンソン病 9 例(罹病期間 2.0 ± 1.2 年)、 PET 実施可能な軽度ジスキネジアを有するパーキ ンソン病 7 例(罹病期間 11.1 ± 7.2 年、levodopa equivalent dose = 548.9 ± 267.7 mg)。 [11C]TMSX PET を行い、被殻の [11C]TMSX 分布容積率(DVR) を算出した。PD 2 群では [11C]CFT PET・[11C]RAC PET を実施した。【成績】健常者(1.47 ± 0.11)と 未治療パーキンソン病(1.48 ± 0.10)の DVR は有 意差を認めなかったが、ジスキネジアを有するパー キンソン病(1.58 ± 0.15)の DVR は健常者より有 意に増加した(p < 0.05、Tukey-Kramer post hoc test)。【結論】[11C]TMSX PET でも、ジスキネジ アを有するパーキンソン病で被殻 A2AR 密度は増加 することが確認された。しかし、治療開始後ジスキ ネジアを有しない状態でも A2AR 密度が増加してい ることから、A2AR の増加は、ジスキネジアの直接 的な原因ではなく、何らかの代償を反映した現象な のかもしれない。 後大脳動脈病変を有する虚血型もやもや病にお ける長期予後の検証−小児例と成人例の比較− 岡山大学大学院 脳神経外科 ○菱川 朋人、徳永 浩司、杉生 憲志、伊達 勲 【目的】もやもや病において後大脳動脈 (posterior cerebral artery: PCA) の閉塞性変化は虚血重症化 の一因となる。虚血型もやもや病における後大脳動 脈 (PCA) の閉塞性病変と外科治療介入の長期予後 に与える影響について小児例と成人例を比較検証 した。【方法】1989 年以降当科で外科治療を行った 虚血型もやもや病連続 89 例 140 側を対象とした。 術前の PCA 病変の有無に基づき、小児 (15 歳以 下 )+PCA(+) を A 群:16 例、小児 +PCA(-) を B 群: 41 例、成人 +PCA(+) を C 群:12 例、成人 +PCA(-) を D 群:20 例に分類した。外科治療は ACA, MCA 領域を対象に direct bypass(D)、indirect bypass(I)、 combined(C) に分類した。初発時 modified Rankin Scale(mRS)、外科治療の種類、周術期虚血合併症、 慢性期脳卒中イベント発生、最終診察時 mRS につ いて検討した。【結果】初発時 mRS は中央値 (IQR) で A 群:0(0-1)、B 群:0(0-0)(P=0.05)、C 群:1(0-2.25)、D 群:0(0-0)(P=0.004)。成人 PCA 病変合併例 で有意に mRS の低下を認めた。外科治療の内訳は A 群:D0、I10、C6、B 群:D0、I25、C16、C 群: D2、I1、C9、D 群:D2、I1、C17。 観 察 期 間 は 中 央値 ( カ月 ) で A 群:58.5、B 群:47、C 群:61.5、 D 群:39。周術期脳梗塞発生率は A 群:12.5%、B 群: 12%、C 群:25%、D 群:20% で群間に有意差なし。 B 群で 3 例に慢性期脳梗塞の発生を認めた。最終診 察時 mRS は A 群:0.5(0-1)、B 群:0(0-0)(P=0.09)、C 群: 1(0-2)、D 群:0(0-1)(P=0.04) であり、成人 PCA 病変 合併例で有意に低値であったが、術前後の比較では いずれの群も有意差を認めなかった。【結論】初発 時 PCA 病変合併は虚血型成人例の予後規定因子と なる。PCA 病変合併例に対して再発予防の観点か ら ACA,MCA 領域を対象とした血行再建術は有用 と考えられる。

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O3-2

もやもや病患者の脳動脈における網羅的遺伝子 発現解析 京都大学大学院医学研究科 脳病態生理学講座 脳 神経外科学 ○土井 健人、高木 康志、高橋 淳(C)、  宮本 享 もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、両側性の 脳底部主幹動脈の狭窄又は閉塞と、その近傍の異常 な側副血行路(もやもや血管)を特徴とする、厚生 省難病指定疾患である。近年、約 10%存在する罹 患同胞家系に対する全ゲノム相関解析などにより、 疾患感受性遺伝子として RNF213 が同定されるな ど一定の研究成果がみられるものの、その病態につ いては未だ不明な点が多い。これまでに我々は、外 科的治療の際に微小ながら採取される脳動脈標本に 対して組織学的・分子生物学的検討を行い、もやも や病患者の脳動脈においては内膜肥厚・内弾性版 の変性・中膜の菲薄化が見られること、HIF-1 αや Endoglin、Caspase-3 を介した apoptosis などの関 与が見られることなどを報告してきた。今回、我々 は上記の手術標本から RNA を抽出し、マイクロア レイを用いた網羅的遺伝子解析を行ったので、若干 の文献的考察を加えて報告する。成人もやもや病患 者 6 名、対照として脳動脈瘤治療の一環としてバイ パス手術を施行した成人患者 2 名から採取した中大 脳動脈サンプルを、採取後に RNA later(Ambion) にて固定し、RNA queous-Micro Kit (Ambion) にて RNA を抽出。Agilent 社製 DNA マイクロアレイに て解析を行った。この研究は、もやもや病の病態解 明の手掛かりとなり得るものと考えられる。

O3-3

未破裂脳動脈瘤塞栓術後の脳浮腫 1日本大学 医学部 脳神経外科、2相模原協同病院 脳血管内治療科 ○須磨 健1、渋谷 肇2、朽名 伸夫1、高田 能行1  松崎 粛統1、吉野 篤緒1、片山 容一1 【目的】脳血管内治療における瘤内塞栓術の合併症 は脳梗塞や術中穿孔などがよく知られているがまれ に、動脈瘤周囲の脳浮腫も報告されている。そこ で未破裂脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術後の脳浮腫 について検討した。【対象と方法】2008 年 1 月から 2012 年 7 月までに当院および関連施設において未 破裂脳動脈瘤に対する瘤内塞栓術を行った 126 例の うち術後脳浮腫を認めた 3 例 (2.3%) に対して MRI を用いて検討した。なお全症例術前より抗血小板 剤を 2 剤投与した。【症例1】81 歳男性、症候性右 頸動脈狭窄に合併した長径 8.5mm、短径 4.5mm の 右内頸 - 後交通動脈瘤で側頭葉に埋没していた。頸 動脈ステント留置後に bare coil のみで瘤内塞栓を 行った。術後 5 日目の MRI で瘤内に血栓形成を認 め、follow up 中にコイル塊が変形したが再開通は 認めなかった。動脈瘤周囲に浮腫が出現し、2 年 8 ヵ月後に著明となったためステロイド投与を行っ た。【症例2】54 歳男性。前頭葉に埋没する長径 13.4mm の内頸動脈先端部動脈瘤を認めた。Bare coil で framing し hydrocoil を filling coil に約 30% 用いてステント併用コイル塞栓術を行った。ほぼ complete obliteration と な っ た が、 術 後 2 日 目 の MRI で動脈瘤周囲に著明な脳浮腫が出現し 7 日目 に浮腫部より出血した。【症例 3】68 歳男性。脳幹 を圧迫するような脳底動脈瘤に対して 10 年前に瘤 内塞栓術を行ったが再開通を認め、追加塞栓術を 行った。術後 6 日目の MRI で動脈瘤周囲に脳浮腫 と瘤内に血栓の増加がみられた。その後、瘤内の血 栓が減少するとともに浮腫も改善した。【結論】脳 動脈瘤内塞栓術後に発生する動脈瘤周囲の脳浮腫は 術後早期から発生する瘤内の血栓が関与しているこ とが示唆された。

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皮質−皮質下 Microbleeds の新生と脳卒中再発 市立釧路総合病院 脳神経外科 ○今泉 俊雄、小松 克也、稲村 茂、野村 達史 目 的: 皮 質 − 皮 質 下 の microbleeds(lobar MBs) は、アルツハイマー型認知症、皮質下脳内出血に 関連することが知られており、amyloid angiopathy に起因するとの報告が散見される。一方、深部の MBs は深部脳内出血、ラクナ梗塞、hypertensive microangiopathy に関連する。しかし、深部脳内出 血例に lobar MBs が合併することは、日常よく観 察される。新しく出現した lobar MBs と深部脳内 出血との関連について検討した。方法: 2004 年 4 月 -2009 年 10 月に脳卒中にて当科に入院した 1095 症例中、入院時と 8 − 24 ヶ月後の MRI の比較が 可能であった症例について、T2* 強調画像を用い MBs を観察し、deep MBs(深部および後頭蓋)と lobar MBs の2群に分けて、その数や新生について 検討した。また、lobar MBs 新生と脳卒中再発、深 部脳出血による再発を、Kaplan-Meier 法、log-rank test を用いて検討した。また、lobar MBs 新生に関 連する危険因子の検討を行った。結果: 508 例を、 44.1 ± 15.4 (8-71) ヶ月観察した。MRI の撮影間隔 は 14.6 ± 5.9 ヶ月で、508 例中 62 例に 139 の lobar MBs 新生を認めた。Lobar MBs 新生群 62 例(70.0 ± 9.9 歳、女性 26 例 ) と MBs 非新生群 446 例(68.6 ± 11.7 歳、女性 181 例)に分けて解析した。脳卒 中再発は、lobar MBs 新生群 15 例(年率 5.9%)に、 lobar MBs 非新生群 61 例(年率 3.5%)にみられ、 前者で有意に多かった(p=0.045)。Lobar MBs 新 生群 62 例中 5 例に深部脳内出血(年率 1.9%)が発 症し、非新生群(446 例中 10 例(年率 0.5%))に比 較し有意に高率であった(p=0.012)。単変量解析で は Lobar MBs 新生は deep MBs が多い例にみられ た。また、Lobar MBs 新生は、多変量解析では最 初の lobar MBs の存在、LDL コレステロール低値 などと関連したが、抗血小板剤、抗凝固剤との関連 はなかった。結論:脳卒中例では深部脳内出血と同 様の microangiopathy を基盤とする場合もあると考 えられた。 ラット局所脳虚血モデルにおける atorvastatin 後投与の脳保護作用の検討 日本医科大学 内科 神経・腎臓・膠原病リウマチ 部門 ○齊藤 智成、仁藤智香子、上田 雅之、稲葉 俊東、  神谷 文雄、片山 泰朗 【背景】Statin 前投与治療が脳虚血において脳保護 効果を示すことは報告されているが、同薬剤の虚 血後経口投与による有効性の報告は少ない。そこ で今回、我々はラット局所脳虚血モデルを用いて、 atorvastatin(ATV)の後投与が脳保護効果に及ぼ す影響について調べ、前投与治療との比較検討を 行った。【方法】脳虚血は suture モデルを用い、ラッ ト中大脳動脈を 90 分間閉塞後に再灌流させた。治 療群は、I:Vehicle(VV)群、II:ATV 前投与(AV)群、 III:ATV 後 投 与(VA) 群、VI 群:ATV 前 投 与 + 後投与(AA)群、の 4 群に分けた。ATV 前投与 および後投与は各々 7 日間の連続経口投与とした。 虚血再灌流 7 日後に神経徴候を評価後断頭し、脳切 片を作成し、HE 染色および免疫組織学的検討を行っ た。【結果】VV 群に比し、AV 群では有意な梗塞 体積の縮小を認めなかったが、VA 群および AA 群 では各々有意な梗塞体積の縮小効果を認めた(p < 0.05、p < 0.05)。また、AA 群でのみ有意な神経徴 候の改善効果を認めた(p < 0.05)。免疫組織学的 検討では、VV 群および AV 群で Iba-1、TNF- αと もに著明な発現上昇を認めたが、VA 群および AA 群では、皮質梗塞境界領域においてそれらの発現は 有意に抑制されていた。【結論】局所脳虚血モデル において、atorvastatin の虚血後投与により著明な 脳保護効果を認めた。Atorvastatin 前投与のみでは 虚血後の炎症抑制効果に乏しいのに対し、同薬剤の 後投与は炎症抑制に寄与すると考えられ、stain 治 療においては虚血後の継続投与が重要であることが 示唆された。

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O4-2

ラット一過性局所脳虚血モデルにおけるバルプ ロ酸の神経保護効果の検討 日本医科大学 神経内科 ○金丸 拓也、須田 智、斎藤 萌子、桂 研一郎、  片山 泰朗 【目的】バルプロ酸は症候性てんかんや統合失調症 治療薬として臨床使用され、基礎実験においても 様々な神経保護効果が報告されているが、脳虚血モ デルに対する報告は少ない。今回、ラット一過性局 所脳虚血モデルにおけるバルプロ酸の神経保護効果 について検討した。 【方法】8 週齢の雄性 SD ラット ( 体重 250 〜 300g) を用いて、血管内栓子法にて 90 分間の一過性中大 脳動脈閉塞モデルを作成した。バルプロ酸 (300mg/ kg) を虚血直後、虚血開始から 90 分後、270 分後に 腹腔内に単回投与した ( 各 n=6)。再灌流 24 時間後 に梗塞体積、神経徴候を評価するとともに、治療メ カニズムの検討のため、TUNEL、8-OHdG, 4-HNE、 MPO、Iba-1 の免疫組織化学的検討を行った。 【結果】虚血直後または虚血開始から 90 分後にバ ルプロ酸を投与した群は、vehicle 群と比較して有 意に梗塞体積の縮小および神経徴候の改善を認め たが、270 分後では改善を認めなかった。虚血直 後のバルプロ酸投与群において、虚血周辺領域で TUNEL 陽性細胞数、4-HNE 陽性細胞数、8-OhDG 陽性細胞数、MPO 陽性細胞数、Iba-1 陽性細胞数が vehicle 群と比較して有意に抑制されていた。 【結論】ラット一過性局所脳虚血モデルにおけるバ

ルプロ酸の therapeutic time window は虚血開始 90 分後から 270 分後の間にあると考えられた。バルプ ロ酸の神経保護効果は、抗酸化ストレス作用および 抗炎症作用に由来している事が示唆された。

O4-3

Ghrelin 投与におけるマウス脳虚血・再灌流負 荷時の NO と OH-代謝への影響 埼玉医科大学 神経内科 ○伊藤 康男、山里 将瑞、西岡 亮治、三宅 晃史、  佐々木貴浩、荒木 信夫 【目的】Ghrelin は成長ホルモン分泌促進因子受容体 (GHS-R) の内因性リガンドとして胃から発見された ペプチドホルモンである . 近年 Ghrelin が神経保護 作用を有することが明らかになってきたが,今回, 我々は Ghrelin 投与におけるマウス脳虚血・再灌流 負荷時の NO と OH-代謝への影響を検討した.【方 法】雄性 C57BL/6 マウスを用い , 虚血 30 分前に Ghrelin (14 μ mol/kg i.p) を投与した群 (pre-G 群, n=4) と 14 日間 Ghrelin (14 μ mol/kg i.p) を投与し た群 (2w-G 群,n=6) と非投与群 (Cont 群 , n=10) で 検討した . 左側線条体に微小透析プローブを刺入し

in vivo microdialysis を 施 行 し,NO2-と NO3-濃 度 は Griess 反応で測定した . また , 右側線条体に微小 透析プローブを刺入し in vivo microdialysis を施行 , ヒドロキシラジカルはサリチル酸をトラップした 2,3DHBA, 2,5DHBA 濃度とし測定した . 頭蓋骨上 レーザードップラー血流計で脳血流を測定した . 両 側総頸動脈をクリッピングし , 10 分間の前脳虚血 とした.【結果】血圧:全群間に有意差はなかった . 脳血流:全群間に有意差はなかった . NO2-濃度:全 群間に有意差はなかった . NO3-濃度:全群間に有意 差はなかった. 2,3DHBA濃度: pre-G群(90.1±5.62%; mean ± SD) が Cont 群 (99.5 ± 2.66) に比し , 脳虚血 時,再灌流後 60-120 分で有意に低値であった (p < 0.05).また2w-G群(88.6±5.66)がCont群(97.1±7.57) に比し , 再灌流後 100 分で有意に低値であった (p < 0.05).【結論】Ghrelin は脳虚血再灌流後のヒドロキ シラジカル産生を抑制したことから,脳保護作用が ある可能性が示唆された.

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ラット中大脳動脈閉塞モデルにおける nicergoline の脳保護効果の検討 日本医科大学 神経内科 ○仁藤智香子、斎藤 智成、稲葉 俊東、神谷 文雄、  上田 雅之、片山 泰朗 【目的】麦角アルカロイド誘導体である nicergoline は、脳梗塞後遺症に対し有用な脳循環代謝改善薬 として臨床使用されている。本研究では、ラット 中大脳動脈閉塞モデルを用いて、nicergoline の急 性期脳虚血における効果について検討した。【方 法】ラット中大脳動脈閉塞モデルを作成し、虚血前 7 日 間 nicergoline(10mg/kg/ 日 ) ま た は 同 用 量 の vehicle を連続経口投与した。虚血 24 時間後に神経 徴候および脳血流(CBF)を 7TMRI を用いて評価 後断頭し、TTC 染色にて梗塞・浮腫体積を評価し た。 【成績】 対照群に比し、nicergoline 群では有意 な梗塞および浮腫体積の縮小を認めた。梗塞体積 は、nicergoline 群 28.4 ± 14mm3、対照群 108.1 ± 27mm3 (p < 0.001)、浮腫体積は nicergoline 群 20.8 ± 13mm3、対照群 99.6 ± 31mm3 (p < 0.001) であっ た。神経学的評価では、姿勢異常および片麻痺とも に対照群に比し nicergoline 群で有意な改善を認め た(p < 0.01、p < 0.01)。 ま た、nicergoline 群 で は対照群に比し、CBF の有意な増加を認めた (p < 0.01)。【結論】急性期脳虚血において nicergoline は 著明な脳保護効果を有し、その作用発現には脳血流 増強作用が関与していると考えられた。 マウス脳虚血モデルに対する成長因子プログラ ニュリンの保護作用 1岐阜薬科大学 薬効解析学、2岐阜大学 医学部  脳神経外科 ○江頭 裕介1、杉谷 創1、鈴木悠起也1  三代 圭祐1、鶴間 一寛1、嶋澤 雅光1  吉村 紳一2、岩間 亨2、原 英彰1 【 背 景、 目 的 】 プ ロ グ ラ ニ ュ リ ン (Progranulin: PGRN) は、神経細胞を含む種々の体細胞で発現し ている成長因子であり、中枢神経系では PGRN 遺 伝子の変異による発現低下が前頭側頭型認知症の原 因として知られている。PGRN は抗炎症作用を有す ることが知られているが、中枢神経系の急性傷害に 対する効果は不明である。今回我々は、マウス脳梗 塞モデルを用い PGRN の神経保護作用を検討した。 【方法】マウス中大脳動脈閉塞による 2 時間虚血 -22 時間再灌流モデルを用いて虚血 2 時間後または 6 時 間後に PGRN (0.1, 0.3, 1.0 ng) を脳室内投与し、虚 血 24 時間後に脳梗塞体積および神経症状の評価を 行った。また、作用機序を明らかにするために、ウ エスタンブロット法により nuclear factor-kappa B (NF-kappaB)、matrix metalloproteinase-9 (MMP9)、 お よ び intracellular adhesion molecule 1 (ICAM1) 等の炎症関連因子の発現について検討した。【結果】 PGRN 投与群では対照群と比較して、虚血 2 時間後 の投与で用量依存的に脳梗塞体積、脳浮腫を減少さ せ (P < 0.01; Dunnett 検定 )、さらに神経症状も改 善した (P < 0.05; Wilcoxon 符号順位検定 )。一方、 虚血 6 時間後の投与では対照群と比較し梗塞体積に 明らかな差は認められなかったが、脳浮腫を減少さ せた (P < 0.05; t 検定 )。ウエスタンブロット法によ る検討では、PGRN 投与群は対照群と比較し、NF-kappaB のリン酸化、MMR9、および ICAM1 の発 現を抑制した ( いずれも P < 0.05; t 検定 )。【結語】 PGRN はマウス脳虚血 - 再灌流モデルにおいて急性 期における神経保護効果を示し、その機序は抗炎症 作用を介していることが考えられた。また、これら の結果は、PGRN が急性期脳梗塞における新たな治 療法となり得る可能性を示唆している。

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O5-1

脳虚血に関する顆粒球コロニー刺激因子の保護 作用 香川大学 医学部 脳神経生物学科 ○陸 豊、中村 丈洋、豊島 哲彦、劉 亜男、  板野 俊文

Our present study investigated the potential protective effects of G-CSF and its underlying mechanisms in global brain ischemia models. We examined the neuronal death, inflammatory reaction and neurogenesis in hippocampus 72 hours after transient forebrain ischemia and investigated functional deficits. G-CSF administration was performed 24 hours before ischemia intraperitoneally and continued once per day. Treatment with G-CSF at 25 μ g /kg or 50 μ g /kg significantly reduced the neuronal loss in CA1 area of hippocampus but not with a dosage at 10ug/kg. A single dose of G-CSF at 50 μ g/kg significantly decreased the level of TNF- α , the number of Iba1 positive cells and reduced loco motor activity 72 hours after transient forebrain ischemia. Furthermore, DCX-positive cells in dentate gyus of hippocampus increased in G-CSF treated group. Our findings indicated that G-CSF may reduce hippocampal neuronal cell death with dose-dependent, and attenuate sensorimotor deficits after transient forebrain ischemia. These neuroprotective effects of G-CSF may be linked with the inhibition of inflammatory reaction and the increased neurogenesis in hippocampus.

O5-2

ワルファリン誘発出血性脳梗塞に対するシロス タゾールの保護作用 1岐阜薬科大学 薬効解析学、2岐阜大学 医学部  脳神経外科 ○北庄司 輝1、三代 圭祐1、江頭 裕介2  石黒 光紀2、鶴間 一寛1、嶋澤 雅光1  原 英彰1 【目的】心房細動による心原性脳塞栓症は全脳梗塞 患者の約 2 割を占める。心房細動は高齢になるほど 発症しやすくなるため、高齢化社会の急激な進行に より今後さらに増加することが予測されている。現 在、非弁膜症性心房細動による脳梗塞再発予防の第 一選択薬としてワルファリンが臨床上広く利用され ているが、その副作用として脳出血の増悪が指摘さ れている。また、抗血小板薬であるシロスタゾール は、当研究室において、tPA 誘発脳出血に対する保 護作用および血管内皮細胞保護作用が報告されてい る。本研究では、ワルファリンによる出血性脳梗塞 に対するシロスタゾールの保護作用について検討し た。【方法】ワルファリンを経口投与した 4 週齡の 雄性 ddY マウスをペントバルビタール麻酔下で開 胸し、下大静脈から経時的に採血を行い、PT-INR (prothrombin time-international normalized ratio) を測定することによりワルファリンの投与時間を決 定した。ワルファリンをあらかじめ投与したマウス をナイロンフィラメント栓子により中大脳動脈 3 時 間虚血再灌流を行い、ワルファリンによる出血性脳 梗塞を作製した。また、シロスタゾール (1 または 3 mg/kg) は再灌流直後に腹腔内に投与した。その 後、虚血 24 時間後の脳梗塞体積および脳浮腫量を 2, 3, 5-triphenyl-tetrazolium chloride (TTC) 染色によ り、また脳出血量を hemoglobin assay により測定 した。【結果】ワルファリンは虚血再灌流後の脳浮 腫および脳出血量を増悪させた。シロスタゾール (3 mg/kg) は、そのワルファリンによる脳浮腫および 脳出血量の増悪を抑制した。一方、脳梗塞体積には 影響を及ぼさなかった。【結論】ワルファリン抗凝 固療法による脳出血リスクの増大をシロスタゾール が抑制し、ワルファリンコントロール中の心原性脳 卒中患者においてシロスタゾールを併用することに より、ワルファリンによる出血性脳梗塞の増悪を抑 制する可能性が示唆された。

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脳梗塞後神経細胞におけるスフィンゴシン代謝 の意義 1熊本大学医学部脳神経外科、2ロマリンダ大学医学 部生理学、3熊本大学大学院生命科学研究部生体機 能薬理学 ○長谷川 雄1、鈴木 秀謙2、植川 顕3  中川 隆志3、馬 明杰3、末田 大輔3  片山 哲治3、外山 研介3、鯉渕 信孝3  頼仲 方一3、河野 隆幸1、Zhang John2  光山 勝慶3、倉津 純一1 【目的】細胞膜構成成分の代謝産物であるスフィン ゴシンは、スフィンゴシンキナーゼ (SphK) により スフィンゴシン1リン酸(S1P)に代謝され、S1P が S1P receptor を修飾することで、数々の生理活 性を有することが知られている。以前我々は、脳梗 塞において S1P receptor-1 (S1P1) の活性化が神経 保護効果をもつことを報告した。今回神経細胞にお ける S1P1、SphK の脳梗塞後の発経時的変化や役 割について検討した。 【方法】ラット一過性中大脳動脈閉塞 (MCAO) モデ ルを作成し、手術前、MCAO6 時間後、24 時間後 の病側中大脳動脈灌流領域の S1P1 と SphK1、2 の 発現量や神経細胞における変化について、ウエスタ ンブロット、蛍光免疫染色、TUNEL 染色を用いて 検討した。さらに S1P receptor のアゴニストであ る FTY720 を MCAO 後に投与し、神経学的所見、 脳梗塞体積についても対象群と比較検討した。 【成績】病側中大脳動脈灌流領域の S1P1 と SphK1、 2 の発現量は手術前と比べ、MCAO24 時間後に有 意に減少した。神経細胞においては、それらの発現 は梗塞中心部では減少するものの梗塞辺縁部では保 持されていた。梗塞中心部であっても TUNEL 染色 陰性の S1P1 陽性の神経細胞をわずかに認めた。さ らに、MCAO によって引き起こされる神経学的欠 落症状と脳梗塞は、FTY720 投与による S1P1 の活 性化により各々改善を認めた。 【結論】スフィンゴシンの代謝経路は脳梗塞におい て修飾を受ける。またその活性化は、脳梗塞の急性 期において、神経細胞に対し保護的にはたらく。さ らに脳梗塞の慢性期においても、脳梗塞後生き残っ た神経細胞は、神経再生等重要な役割を担っている 可能性が示唆された。 発症前ロスバスタチン投与はクモ膜下出血後の 血液脳関門破綻を予防する 1熊本大学大学院 生命科学研究部 生体機能薬理学、 2熊本大学大学院 生命科学研究部 脳神経外科 ○植川 顕1、長谷川 雄2、馬 明杰1  中川 隆志1、末田 大輔1、片山 哲治1  外山 研介1、片岡恵一郎1、鯉渕 信孝1  頼仲 方一1、倉津 純一2、光山 勝慶1 【背景】クモ膜下出血後の早期脳損傷は予後に関わ る重要な病態であり、発症後早期から脳実質に炎症 を生じ、脳浮腫を起こすことで主要な臨床症状に関 連するとされている。また一方で、HMG-CoA 還元 酵素阻害薬であるスタチンは、抗炎症作用や神経保 護作用を持つことが報告されている。そこで本研究 では、強力な HMG-CoA 還元酵素阻害作用を持つ 水溶性スタチンであるロスバスタチンが抗炎症作用 にてクモ膜下出血後の早期脳損傷を改善するか検討 を行った。 【方法】オスの Sprague-Dawley ラットを、Sham 群、Vehicle 群、治療群(ロスバスタチン 1.0mg/ kg/day 及び 10mg/kg/day)の 4 群に振り分け、術 前 7 日前から術後の解剖日まで連日経口投与を行っ た。クモ膜下出血モデルを作成し、術中に脳血流を 2 次元レーザー血流計でモニターした。術 24 時間 後に神経所見を評価し、解剖後に脳浮腫・血液脳関 門破綻の評価のため脳水分含有量測定と IgG 染色 による血管外漏出の評価を行った。さらに、ウェス タンブロット・免疫染色で機序について検討を行っ た。 【結果】Vehicle 群ではクモ膜下出血により IgG の 血管外漏出を認め、24 時間後の脳水分含有量・は 著明に増加したが、治療群では IgG の血管外漏出 は少なく、脳水分含有量の増加は有意に抑制された (79.1% vs 78.7% , p < 0.05)。神経スコアは Vehicle 群では低下したが、治療群では保持された(14 vs 18 / 22 点 , p < 0.05)。TNF α、MMP-9 の発現は Sham 群に比べ Vehicle 群で著明に増加し、治療群 では有意に抑制された。また、Vehicle 群では神経 細胞での COX-2 の発現が増加したが、治療群では 有意に抑制された。 【 結 論 】 ロ ス バ ス タ チ ン は TNF α、MMP-9、 COX-2 などの炎症関連蛋白の発現を抑制すること により、くも膜下出血後の早期脳損傷による脳浮腫 と神経症状の悪化を予防した。

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O5-5

人 工 酸 素 運 搬 体 Liposome-encapsulated hemoglobin を用いた虚血再灌流傷害の治療戦略 1北海道大学大学院医学研究科 脳神経外科、2北海 道脳神経外科記念病院、3テルモ株式会社研究開発部 ○新保 大輔1、鐙谷 武雄2、七戸 秀夫1  中山 若樹1、数又 研1、宝金 清博1  石塚 隆伸3 【背景】t-PA 療法は、虚血再灌流傷害による脳浮腫、 症候性出血が問題となる場合がある。そのメカニズ に好中球由来の Matrix metalloproteinase-9 (MMP-9) による脳血液関門の破綻がある。【目的】ラット 一過性中大脳動脈閉塞(tMCAO)モデルで、再灌 流時に好中球の流入を抑制し、かつ酸素を供給す る目的で、好中球成分を持たない人工酸素運搬体 Liposome-encapsulated hemoglobin(LEH)を再開 通動脈に選択的に灌流し、虚血再灌流傷害の軽減が 図れるか検討した。【対象と方法】雄の SD ラット で糸栓子による tMCAO モデル(2 時間虚血)を作 成、再開通後に、(1) 単に再開通のみで通常の再灌 流をする群(通常再灌流群)、(2) 再開通内頚動脈よ り選択的に LEH を灌流する群(LEH 群)、(3)LEH の溶媒である生食を灌流する群(Vehicle 群)の 3 群で虚血再灌流傷害の程度を検討した。24 時間後 に神経症状を評価、TTC 染色で脳梗塞、脳浮腫の 範囲を評価した。MMP-9 の発現、活性酸素の産生 について抗 MMP-9 抗体、抗 4-HNE 抗体を用いて Western blotting で評価した。【結果】神経症状は LEH 群で通常再灌流群に対し有意に軽かった(p < 0.05)。脳梗塞、脳浮腫の範囲(共に健側比)は 通 常 再 灌 流 群:51.4%、121.8%、LEH 群:34.3%、 114%、Vehicle 群:49.6%、121.3% で、 脳 梗 塞(p < 0.01)、脳浮腫(p < 0.05)ともに LEH 群で通常 再灌流群に対して有意に小さかった。MMP-9 の発 現(p < 0.001)と活性酸素の産生(p < 0.05)も LEH 群で有意に抑制された。【結論】虚血再灌流状 態において、再灌流動脈からの LEH の選択的投与 は、MMP-9 の発現と活性酸素の産生を抑制し、虚 血再灌流傷害を軽減する可能性がある。 O6-1 高ホモシステイン血症を伴う脳梗塞の特徴 富山大学附属病院 神経内科 ○高嶋修太郎、田口 芳治、道具 伸浩、温井 孝昌、  平野 恒治、小西 宏史、吉田 幸司、林 智宏、  山本 真守、田中耕太郎 【背景・目的】高ホモシステイン(Hcy)血症は脳 梗塞の危険因子として知られているが,実臨床にお ける評価は十分とは言えない.そこで,高 Hcy 血 症を伴う脳梗塞の特徴を,画像所見を中心に検討す る.【対象・方法】2005 年 1 月から 2011 年 12 月ま でに当科で経験した高 Hcy 血症を伴う脳梗塞患者 6 例(49 〜 85 歳,平均 62.2 歳,男 : 女= 4:2)の臨 床像および頭部 MRI 所見を解析した.【結果】2 例 は片麻痺を主訴とし,脳梗塞を発症して受診した. 4 例は脳血管性パーキンソン症候群による歩行障害 を主訴に受診した.Hcy 値は 55.5 ± 23.2 μ mol/L で,葉酸低値が 3 例,VitB12 低値が 2 例であった. 悪性貧血の合併は 2 例のみで,うち 1 例は鉄欠乏性 貧血も合併し正球性であった.4 例では貧血の合併 はなかった.原因として,不規則な食生活が 5 例 で,うちアルコール多飲が 2 例,男の単身生活者が 2 例,うつ状態が 1 例であった.1 例は内因子抗体 が陽性であった.頭部 MRI では FLAIR 画像で全 例に多発性ラクナ梗塞を認めた.T2* を施行した 5 例中 4 例に多発性の microbleeds を認めた.MRA を施行した 5 例中 3 例では主幹動脈に狭窄病変は認 めなかった.フォリアミンRあるいはビタメジンR の投与で Hcy 値は正常化し,平均 2 年の経過観察 中脳梗塞の再発は認めていない.【結論】高 Hcy 血 症を伴う脳梗塞患者は,多発性ラクナ梗塞を呈し て脳血管性パーキンソン症候群を認めることが多 い.そして,microbleeds を認める頻度が高い.不 規則な食生活に起因することが多いが,必ずしも貧 血は伴わない.以上より,比較的若年者のラクナ梗 塞では Hcy の検索を行うことが肝要である.今後, MTHFR 遺伝子多型の検索を含めた多数例でのプロ スペクティブな検討が必要である.

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急性期脳梗塞例における血中終末糖化産物ペン トシジン値の臨床的意義 1国立循環器病研究センター 脳血管内科、2国立循 環器病研究センター 予防検診部 ○横田 千晶1、福田 真弓1、小久保喜弘2  豊田 一則1、峰松 一夫1 【背景と目的】加齢、高血糖、酸化ストレス下で産 生亢進する終末糖化産物 (AGE) は、糖尿病合併の 有無に関わらず、血管合併症進展や心血管疾患発 症に関連するとの報告がある。急性期脳梗塞例に おいて、AGE の一つであるペントシジン (PENT; pentosidine) の臨床的意義につき検討した。【対象 と方法】2008 年 8 月〜 2010 年 12 月に入院した急 性期脳梗塞 401 例 ( 男性 255 例、平均 73 歳 ) を前 向き登録した。発症 3 日以内に測定した PENT を 四分位に分け、臨床パラメーターを 4 群間で比較 した。【結果】病型はアテローム血栓性梗塞 58 例、 ラクナ梗塞 74 例、心原性脳塞栓症 133 例、その他 136 例であった。PENT の中央値はそれぞれ 123、 135、186、157 pmol/mL であり、アテローム血栓 性梗塞で有意に低かった (p < 0.001)。PENT 高値 は、単変量解析では、女性、加齢、喫煙習慣なし、 body mass index 低値、脂質異常症なし、脳卒中既 往、入院時拡張期血圧低値、入院時 NIHSS 高値、 推算糸球体濾過率 (eGFR) 低値と関連し、多変量解 析では、糖尿病(Exp( β );2.18,95% 信頼区間 ;1.15-4.13)、脂質異常症(0.35、0.20-0.63)、脳卒中既往 (2.28,1.32-3.94)、eGFR(0.97,0.95-0.98)と関連した。 3 ヶ月目までの心血管疾患事象 / 全死亡は 61 例(再 発 37 例、脳卒中死亡 5 例、脳外科手術 8 例、狭心 症 1 例、非心血管死亡 10 例)、転帰良好(modified Rankin Scale < 2)は 167 例であった。PENT 第 4 四分位群は、他の 3 群に比べて転帰良好例が有意に 少なかった。PENT4 群間で心血管疾患事象 / 全死 亡および脳卒中再発死亡のいずれも有意差はなかっ た(Kaplan Meier 法)。【結論】脳梗塞急性期の血 中 PENT 高値は転帰不良例が多いものの、短期的 な心血管事象や脳卒中再発死亡の指標ではなかっ た。 頚動脈プラーク不安定化における炎症性、抗炎 症性分子の作用に関する検討 1三重大学 医学部 神経内科、2三重大学 医学部 脳神経外科、3鈴鹿回生病院 脳神経外科、4国立病 院機構三重病院 臨床研究部 ○新堂 晃大1、種村 浩2、矢田健一郎1  朝倉 文夫2、当麻 直樹2、阪井田博司2  濱田 和秀3、藤澤 隆夫4、滝 和郎2  冨本 秀和1 【目的】ヒト生体内におけるプラーク不安定化の分 子機構を解明する。【対象】頚動脈アテローム硬化 症に対し頚動脈ステント留置術 (CAS) を施行した 患者 41 例。【方法】術前 MRI で plaque image を 用いでプラークを不安定、安定の 2 群に分類した。 術前動脈ライン、CAS 前後の狭窄部から血液を採 取し血清に分離した。CAS 施行時に回収した遠位 フィルターに付着した塞栓子を採取し、ゲル化の 後にパラフィン切片を作成した。血液サンプルで は IL-1 β、IL-6、IL-10、IFN γ、TNF α、MMP-9、E-selectin、ICAM-1、VCAM-1、アディポネクチ ンを ELISA マルチプレックスビーズアレイシステ ム (Luminex) で、また pentraxin 3 (PTX3) と高感 度 CRP (hsCRP) を ELISA 法で測定し、アルブミン 濃度で補正した。【結果】IL-6、E-selectin、PTX3、 hsCRP 値は不安定プラーク症例の狭窄部で有意に 上昇を認めた。IL-10 は不安定プラーク症例の狭窄 部で有意に低下を認めた。またアディポネクチン値 は不安定プラーク群での低下を認めた。【考察】症 候性プラークの CAS 後局所血中の IL-6 増加が報告 されている。今回の検討から (1) 不安定プラーク局 所 で IL-6 の み で な く、E-selectin、PTX3、hsCRP の産生と関連すること、(2) プラーク局所での IL-10 が安定プラークで関与すること、(3) 全身血管で増 加したアディポネクチンが障害部の接着分子の発現 を抑制し、プラークの不安定化に拮抗的に作用して いることが示唆された。

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O6-4

脳動静脈奇形摘出標本における STAT family protein の発現とその意義について 京都大学 脳神経外科 ○高木 康志、Mohamed. M Aziz、宮本 享 【背景】脳動静脈奇形は静的な病変ではなく、出 血、増大、再発などを呈する動的な病変である。こ れまでに我々は、血管壁の細胞死のメカニズム、 増殖能の検討など病変の病態を手術摘出標本を用 いて解析してきた。STAT family protein は転写 因子で、細胞の増殖、細胞死、分化などの局面で 重要な役割を行っていることが知られている。今 回、免疫組織学的手法を用いて脳動静脈奇形にお ける STAT family protein の役割を解析した。【方 法】24 症例から得られた 25 サンプルの脳動静脈奇 形手術摘出標本を対象とした。STAT 1, 3, 5, 6 とそ の phosphorylated form に対する抗体を用いて発現 を解析し、臨床所見との相関についても検討した。 【結果】STAT1 および STAT3 が脳動静脈奇形の ナイダス内皮および浸潤細胞に強く発現していた。 STAT1 では内皮で 59%、浸潤細胞で 55% の細胞が 核に染色を認め、また STAT3 では内皮で 83%、浸 潤細胞で 64% に核に染色を認め、これらの細胞で は STATs が活性化されていることが示唆された。 【結語】STAT family のうち STAT1 と STAT3 の

活性化が脳動静脈奇形の病態に関与している可能性 が示唆された。

O7-1

硬膜動静脈瘻における MRI-ASL 法の有用性 1札幌医科大学 医学部 脳神経外科学講座、2札幌 医科大学付属病院 放射線部 ○飯星 智史1、長濱 宏史2、原田 邦明2  宮田 圭1、杉野 寿哉1、鰐渕 昌彦1  三國 信啓1 【目的】MRI による脳循環動態の評価として、近 年造影剤を使用しない arterial spin-labeling (ASL) 法 の 撮 像 が 可 能 と な っ た。 当 施 設 で は Pseudo continuous ASL(PCASL) という手法を用いて実際 の臨床における脳循環を評価している。今回この撮 像法を利用し頭蓋内硬膜動静脈瘻塞栓術前後の効果 判定や静脈流出路の診断に有用であった 10 例を文 献的考察を加え報告する。【対象】対象は 2010 年 1 月から 2012 年 7 月まで当院で治療した頭蓋内硬膜 動静脈瘻患者 10 例(海綿静脈洞部 :6 例、横静脈洞部 :3 例、Anterior condylar confluence 部 :1 例 )。 平 均 年齢 70.2 歳。全例血管内治療を行い、8 例は根治が 得られ、2 例は現在経過観察中である。全例合併症 なく経過良好である。【考察】ASL 法は撮像時間が 短く、手間も少なく、緊急でも対応でき、被爆問題 がない点で有利であり、不利な点は定量性にややば らつきがある事とされる。硬膜動静脈瘻では様々な 静脈還流の流れを示し、特に頭蓋内静脈逆流を呈す る病態には注意が必要であり、早期診断、治療を要 する。ASL 法は血管撮影上の静脈うっ滞所見とも よく相関し、硬膜動静脈瘻の診断、治療前後の効果 判定には簡便できわめて有用なツールであると考え る。

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可逆性後頭葉白質脳症における MRI Arterial Spin-Label 画像による脳血流評価 1近畿大学 医学部 脳神経外科、2社会医療法人禎 心会病院 脳神経外科 ○久保田 尚1、真田 寧皓1、薮内 伴成2  吉岡 宏真1、岩倉 倫裕1、辻 潔1  奥田 武司1、布川 知史1、中野 直樹1  内山 卓也1、加藤 天美1 【目 的】造影剤を用いない脳血流評価の方法として MRI の arterial spin-labeling (ASL) 法による脳灌流 強調画像がある。今回我々は可逆性後頭葉白質脳 症 (posterior reversible encephalopathy syndrome: PRES) の症例から ASL 法の有用性と PRES の病態 について考察を行った .【症例・結果】 症例 1: 27 歳 女性 . 妊娠 32 週 . 頭痛で発症 . MRI T2 強調画像で 両側側頭後頭葉 , 左前頭葉に高信号域を認めた . 先 天性左内頚動脈欠損症が合併していた . ASL 法で脳 血流は左右差なく hypoperfusion であった . 症例 2: 38 歳 女性 . 分娩中に痙攣あり . MRI で基底核 , 脳 幹に高信号域を認めた . ASL 法は hypoperfusion で あった . 症例 3: 63 歳 女性 . 自己免疫疾患あり , 痙攣 で発症 . MRI で両側基底核 , 後頭葉に高信号域あり . ASL 法は両側後頭葉の hyperperfusion を認めた . 【考察】 ASL 法は脳組織に流入する動脈血を磁気的 labeling する非侵襲的な脳血流検査である . 特に妊 婦や腎不全患者など造影剤が使いにくい場合に有 用である . 撮像断面に到達するまでの時間により過 大・過小評価され診断には注意が必要である .PRES の 病 態 と し て vasoconstriction/hypoperfusion と hypertension/hyperperfusion 理 論 が 考 え ら れ る . PRES における脳血流評価は hypoperfusion/ hyperperfusion ともに報告があり , どちらの病態な のかは依然 controversial である . ASL 法の結果や 最近の報告で前者が主流となりつつあるが今後も検 討が必要である .【結語】PRES において非侵襲的 な ASL 法を用いた脳血流評価は有用であり , 今後 は経時的変化の評価にも役立つと考えられる . 頸動脈血行再建例における pulsed ASL 灌流画 像を用いた脳循環動態の評価 帯広厚生病院 脳神経外科 ○大瀧 雅文、津田 宏重、金 相年、木村 友亮、  金子 高久 【目的】磁化ラベリングされた血液そのものを内 因性トレーサーとし灌流画像を得る arterial spin labeling (ASL) は、3T MRI 装置の臨床への導入 により SNR が向上し、脳血管障害でダイナミック に変化する脳循環動態を ASL で把握することが 容易になってきた。頸動脈高度狭窄に対する血行 再建例で、pulsed ASL と SPECT の脳血流画像を 比較し、ASL による術前の脳循環動態の評価に加 え、血行再建後の過灌流の検出能を検討した。【方 法】対象は 2009 年 12 月以降に当科で血行再建を 行った頸部頸動脈の高度狭窄 25 例(CEA 21 例、 CAS 4 例)である。術前と術翌日に 2D-multiphase pulsed ASL と ARG 法 に よ る 123I -SPECT を 撮 影 し た。ASL の 撮 像 装 置 は Philips 社 製 Achieva 3.0T、single labeling で 6-7 slice、250msec の phase interval で 8 phase の灌流画像を得て、Look-Locker シーケンスにより読影した。【結果】術前評 価では、A: 正常血流動態 9 例、B: 脳血流は正常だが、 高度狭窄病変により灌流遅延を呈するもの 14 例、C: 脳血流の減少があり、さらに灌流が遅延するもの 2 例であった。術後は、A の 8 例で術前と同様の正常 灌流を呈し、B では 6 例で血行再建後に灌流は正常 化したが、他の 3 例では早期灌流を呈し、5 例では 変わらず遅延のままであった。C の 2 例では、ASL で術側の中大脳動脈領域に早期灌流と信号強度の上 昇があり特徴的であった。この 2 例では、SPECT 上健側比 30% 以上の局所脳血流の増加を術側の中 大脳動脈領域に認めた。一方、血行再建後に局所脳 血流が 10-20% 増加した例では、ASL の変化は様々 であった。【結論】pulsed ASL は、血行再建術前後 での脳循環動態の dynamic な変化を繰り返して明 瞭に描出でき、術後の過灌流の検出も可能である。 実臨床では、閉塞性病変があり transit time が延長 している例での評価や脳血流の定量化には課題が残 るが、ASL の非侵襲的脳血流測定法としての有用 性は今後ますます高まるものと考えられる。

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O7-4

ヘリウムを使用しないヒト脳研究用高温超伝導 3T-MRI 装置の開発 1京都大学 医学研究科附属 脳機能総合研究セン ター、2物質・材料研究機構、3京都大学大学院 理 学研究科、4クィーンズランド大学 情報電気工学科 ○浦山 慎一1、北口 仁2、武田 和行3  プール マイケル4、鈴木 崇士1、福山 秀直1 【背景・目的】マグネットの寒剤として使用されて いるヘリウムは天然資源で有り、年々高まる需要の ため価格高騰や枯渇の恐れがある。本研究では、Bi 系高温超伝導線材 Bi-2223 テープを用い、運転温度 20K で寒剤不要のヒト脳機能研究用 MRI 装置を開 発した。 【高温超伝導 MRI 開発】人は活動時に立位もしくは 座位であることを考慮し、垂直ボアを採用した。使 用した高温超伝導テープは、セラミックである高温 超伝導物質 Bi-2223 をコイルとして巻けるよう開発 されたものであり、総延長 44.6km、132 本の線材 を用いた。高温超伝導線材は 20K で超伝導状態を 保つテープ同士の接続手法が存在せず、接続部分が わずかな電気抵抗を持つため、超安定化電源を用い て一定電流を保つようにした。マグネットの冷却に は寒剤を使用せず、GM 型冷凍機による伝熱冷却の みとした。マグネット以外に、傾斜磁場コイル、ス ペクトロメータ、RF コイル、システムソフトウェ アなども独自に開発した。 【調整・評価実験】別途行った線材評価実験の結 果、転移温度は 30K となり、運転温度にまだ 10 度 の余裕があると推定された。1.5T 環境下で充分な 磁場均一度調整を行った結果、目標値である均一度 5ppm を達成した。電源駆動のために磁場安定度が 問題となるが、励磁後 24 時間連続して磁場計測を 行ったところ、励磁後 5 時間で 14ppm の変動があっ たものの、その後の磁場変動は 1ppm の範囲内に収 まり、MRI システムとして許容範囲であることを 確認した。現在のところ、スピンエコー法によるファ ントム画像撮像には成功している。

O7-5

TOF-MRA による脳主幹動脈閉塞症における脳 循環動態に関する検討 和昌会貞本病院 脳神経外科 ○伊賀瀬圭二、松原 一郎、貞本 和彦 【目的】 3D-TOF 法を用いた MR Angiography(TOF-MRA) は、主要脳血管を鋭敏に描出でき、脳血管 疾患のスクリーニングに有用である。しかしなが ら、閉塞性脳血管障害における側副血行路など、細 小血管の描出は難しく、脳血管撮影などの侵襲的な 検査に頼らざるを得ないのが現状である。今回我々 は、TOF-MRA における側副血行路の発達程度に より、脳循環動態の推定が可能か、脳血流検査と 比較して検討した。【対象と方法】 2011 年 7 月から 2012 年 6 月までの 1 年間に、3TMRI による TOF-MRA および定量脳血流 SPECT が施行できた片側 内頚または中大脳動脈閉塞症例 12 例を対象とした。 MRI 装置は、SIGNA HDxt(GE healthcare) を用い、 3D-TOF 法 で 撮 像 し た。MIP(maximum intensity projection) 画 像 を 元 に、MMA(middle meningeal artery) および STA(superficial temporal artery) の 発達度合いを、0-2 の 3 段階のスコアとして評価し た。脳血流検査は、Infinia3 (GE healthcare) を用い て、DTARG 法による IMP-SPECT を施行した。安 静時脳血流および脳血管反応性を測定し、MRA に おける側副血行のスコアと比較検討した。【結果】 病変側の安静時脳血流は、STA と MMA 双方の スコアともに、強い相関は認めなかった (R2=0.19、 0.23)。一方、ダイアモックス負荷後の病変側脳血 流 は、MMA の ス コ ア と 強 い 相 関 関 係 を 認 め た が (R2=0.43)、STA のスコアとの相関はなかった (R2=0.02)。更に、脳血管反応性においても、MMA のスコアと有意な相関が認められた (R2=0.35)。【結 論】 TOF-MRA における側副血行の評価を行うこと で、特に MMA の発達程度により、脳血管反応性 を推定できる可能性があり、日常臨床における応用 が期待される。

参照

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