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会場までのアクセス 門司赤煉瓦プレイス ホームページより転載 6 月 27 日 ( 土 )11:30 より 門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館で受付を開始します 門司駅北口より徒歩 3 分です 北九州都市高速 大里 IC より車で 5 分 18:30 に門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館からめかり山荘の送迎

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第 6 回ひびき薬剤耐性菌シンポジウム

2009 年 6 月 27 日(土)12:00~18:30

門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館

19:00~24:00

国民宿舎めかり山荘

2009 年 6 月 28 日(日) 9:00~14:00

門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館

国民宿舎めかり山荘 〒801-0855 北九州市門司区門司 3270-8-3 めかり公園内 TEL 093-321-5538 門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館〒800-0063 北九州市門司区大里本町 3-11-1 TEL.093-372-0962 第 6 回学術集会会長 木戸直徳

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会場までのアクセス

6 月 27 日(土)11:30 より、門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館で受付を開始します。門司駅北口より徒歩 3 分です。北九州都市高速・大里ICより車で 5 分。 18:30 に門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館からめかり山荘の送迎バスがあります。 この時間が過ぎた場合には申し訳ありませんが、各自でお越しください。 門司港駅からタクシーで 10 分 1300 円ぐらいです。 2009 年 6 月 27 日(土) 12:00~ (11:30 受付開始) 2009 年 6 月 28 日(日) 9:05~14:00 (9:00 受付開始) 門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館〒800-0063 北九州市門司区大里本町 3-11-1 TEL.093-372-0962 国民宿舎めかり山荘 〒801-0855 北九州市門司区門司 3270-8-3 めかり公園内 TEL 093-321-5538 門司赤煉瓦プレイス ホームページより転載

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第 6 回ひびき薬剤耐性菌シンポジウムプログラム

タイムスケジュール

1 日目 6 月 27 日(土)

門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館

時間 プログラム 座長/司会 11:30~ 受付 セルフ受付(記名後、名札と部屋割りを取る) 12:00~ 開会の辞 総合司会 重高正行、芳賀由美 12:05~ L1 ランチョンセミナー 右田 忍 12:50~ 企業セミナー C1, C2 小川恵子 13:20~13:50 一般演題 G1, G2 村谷哲郎 13:50~14:35 L2 会長講演 大久保孔平 14:35~14:45 休憩 14:45~16:45 S1 シンポジウム 木戸直徳、吉村尚江 16:45~ 写真撮影および休憩 玉置ゆう子 17:00~18:10 L3 特別講演 村谷哲郎 18:30 国民宿舎めかり山荘へ移動 19:00~ 夕食/懇親会 大久保孔平 Free time 21:00~24:00 ナイトセミナー N1-N3 (めかり山荘) 有馬純徳、村谷哲郎

2 日目 6 月 28 日(日)

門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館

時間 プログラム 座長/司会 8:45 めかり山荘バス出発 9:00~ 開館 9:05~9:35 一般演題 G3, G4 重高正行 9:35~10:30 S2 第二回ひびき臨床微生物研 究会 サーベランス結果報告 村谷哲郎 10:30~10:40 休憩 10:40~11:25 企業セミナー C4-C6 大久保孔平 11:25~ 一般演題 G5,G6 本田雅久 11:55 弁当配布および休憩 12:10~1:00 L4 ランチョンセミナー 小林とも子 13:00~ 一般演題 G7,G8 木戸直徳 13:50 閉会の辞

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第6回ひびき薬剤耐性菌シンポジウム 抄録集

目次

会場までのアクセス p.1 タイムスケジュール p.2 第 6 回ひびき薬剤耐性菌シンポジウム開催にあたって p.5 参加者の皆様へ・発表者の方へ p.6 ランチョンセミナー1 座長 右田 忍 L1 キノロン系抗菌薬の特徴と使い分け -作用機序、耐性機序、体内動態- 村谷哲郎 p.7 企業セミナー 司会 小川恵子 C1 「敗血症検査 UP DATE」 シスメックス(株) 横山 僚 p.8 C2 「ESBL の 1 タイプと BD フェニックス TM システムのエキスパートルールについて」 日本ベクトン・ディッキンソン㈱ DS 学術 武沢敏行 p.9 一般演題1 座長 村谷哲郎 G1 尿中白血球数および尿中細菌数に関する尿試験紙、自動分析装置、ディップスライド 法、通常培養検査の比較 ㈱キューリン 小林とも子 p.10 G2 尿中有形成分分析装置 UF1000i による細菌検出パターンを用いた菌種推定に関す る検討 KKR 新小倉病院 生野陽子 p.11 L2 会長講演 座長 大久保孔平 「ICT活動を通じて学んだこと」 演者 木戸直徳 p.12 シンポジウム 「耐性菌事例と今後の対応」 司会 木戸直徳、吉村尚江 S1 シンポジウム企画の経緯 木戸直徳 p.13 S1-1 多剤耐性アシネトバクターによる病院関連感染事例 福岡大学附属病院 吉村尚江 p.14

S1-2 血液培養から検出された VCM 低感受性 Staphylococcus capitis subsp. Ureolyticus

綜合病院山口日赤病院 岩本孝子 p.15 S1-3 耐性菌日報を用いた感染対策 健和会大手町病院 春木義範 p.16 S1-4 当院で実施している多剤耐性緑膿菌をはじめとする緑膿菌への院内感染対策 九州がんセンター 川上洋子 p.17 S1-5 VITEK-2 AES で得られたデータと PCR との結果の食い違い 新日鐵八幡記念病院 検査部 厚地美幸 p.18 S1-6 当院で経験した MDRP 感染事例とその対策 KKR 新小倉病院 検査部 右田 忍 p.19 ひびき臨床微生物研究会招請講演 L3 「酵素としてのβ-lactamase -遺伝子検出結果と酵素検出の乖離-」 p.20

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N3 「いまさら聞けない、こんな事 Q&A 第 2 部 フリートーク形式」 一般演題2 座長 重高正行 G3 北部九州・山口地区において分離された肺炎球菌の薬剤感受性について 北九州市立医療センター 宿輪優子 p.24 G4 北部九州・山口地区において分離された大腸菌の感受性と耐性機序について 九州厚生年金病院 芳賀由美 p.25 第二回ひびき臨床微生物研究会 サーベイ 座長 村谷哲郎 S2 結果報告 木戸直徳 p.26 企業セミナー座長 薬師寺博子 (原三信病院) C4 「試験管培地よる腸内細菌同定の有用性」 栄研化学(株)営業統括部 マーケティング推進3部3課 中村 俊三 p.27 C5 「全自動細菌検査装置ライサス「RAISUS」における「クリンダマイシン(CLDM)誘導耐 性ブドウ球菌検出に関する検討」 日水製薬株式会社 マーケティング部 企画開発グループ 岩脇 研次 p.28 C6 「MicroScan の今後の開発計画」 シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティックス株式会社 甲斐 秀喜 p.29 一般演題3 座長 本田雅久 (産業医科大学病院) G5 当院における ESBL 産生菌の現状 大牟田天領病院 山﨑康一 p.28 G6 各種 MRSA スクリーニング培地の MRSA 検出に関する比較検討 ひびき臨床微生物研究会共同研究 (株)キューリン 美那元勇希 p.31 ランチョンセミナー2 座長 小林とも子

L4 「カルバペネム抗菌薬の特徴と使い分け -E. coli および K. pneumoniae における耐性

株の出現-」 村谷哲郎 p.32 一般演題4 座長 木戸直徳 G7 新たな PCR 技術(DPO)を応用した、髄膜炎及び下痢症の細菌検査システム 株式会社シージェン 金大榮 (Kim Daeyoung) p.33 G8 当院で実施している多剤耐性緑膿菌をはじめとする緑膿菌への院内感染対策 国立病院機構九州がんセンター臨床検査科 川上洋子 p.34 ひびき臨床微生物研究会第 2 回サーベイ 生データ p.36 ひびき臨床微生物研究会会員一覧 p.41 第6回ひびき薬剤耐性菌シンポジウム 学術集会会長 木戸直徳 プログラム委員 大久保孔平、小林とも子、美那元勇希、玉置ゆう子、犬塚幸枝、村田牧子、小川恵子、 重高正行

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第6回ひびき薬剤耐性菌シンポジウム開催にあたって

村谷哲郎 (ひびき臨床微生物研究会 会長) ひびき臨床微生物研究会の学術集会 「ひびき薬剤耐性菌シンポジウム」も第 6 回を迎え、参加者も 年々増加しており、皆様方のご協力感謝しております。開催日は原則として 6 月第 4 週としておりますが、 2011 年は日本化学療法学会総会 6 月第 4 週に札幌にて開催されますので 7 月にずれ込むと考えていま す。まったくの手作りの学術集会でありますが、年々修正を行い改善に取り組んでおります。参加者の皆様 のご意見をなるべく反映するようにしておりますので、今回も感想、ご意見などをお寄せください。 学術集会のスタイルも原則として変更はしておりません。会場は第 1 回めかり山荘大会議室で行いました が、会場が狭いため、第 2 回、第 3 回は、門司生涯学習センターで行いました。この会場は、多少狭いこと と、予約の確定が 1 ヶ月前という開催に危険が伴うことから、第 4 回は門司港レトロ観光物産館港ハウスで開 催いたしました。会場の窓にカーテンがないなど多少の問題点はありましたが、幸い?それほど天気が良く なかったため、スライドが見難いなどの支障はありませんでした。特に十分な広さがあり、場所も問題ありま せんでした。第 5 回は、和田学術集会会長のたっての希望で、門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館で開催 いたしました。門司駅からすぐであり、便利なところに位置しております。この会場は広さは十分でしたが、 その分スクリーンが小さく感じられました。本年も同様の場所での開催となりますので、今後対処が必要と考 えています。ナイトセミナーは例年通り、めかり山荘会議室で実施します。前回質問したいことがある方が多 かったようですので、今回は質問コーナーを中心に行うこととしました。 本会の大きな目的のひとつに会員同士の交流があります。普段研究会等で顔を合わせ、挨拶が出来る なかであっても、それ以上親しくなることはなかなか出来ないものですが、宿泊参加していただくことにより、 懇親会およびナイトセミナーで、これまで話をしなかったかととも気軽に話せるようになれることを期待してい ます。私も約 20 年前にこのような会があったことが現在の自分に役立っているので、皆さんにも同じ機会を 作れたらよいと考え、宿泊参加が得になるような設定を行っております。 本学術集会は経費節減のため原則として演者招聘などを行わず開催することとしておりますが、是非参 加者に聞いてもらいたい内容であるとの判断から、第 4 回には愛媛県立中央病院検査部の石丸美架先生 に認定試験の解説を行ってもらいました。石丸先生の講演内容は、現在でもこれから認定試験を受ける方 の参考資料となるでしょう。また、前回のシンポジウムで少し話させていただきましたが、タンパクと遺伝子に 関する話を東邦大学の石井先生にお願いしたところ快くお引き受けいただきましたので、ひびき臨床微生 物研究会の招聘として特別講演を組ませていただきました。参加者の皆様には、特に PCR に代表される遺 伝子検査の限界というものを理解していただけることを期待しおります。 また、毎年のことですが、本会の運営は、木戸直徳学術集会会長をはじめ、小田原改め玉置ゆう子会計、 プログラム委員の皆様の努力によるものであり、この場をかりて感謝を表します。

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参加者の皆さまへ 本学術集会は、全員参加でディスカッションを行いやすいフランクな会を目指しておりますので、カジュア ルな服装を原則とさせていただきます。ヨーロッパの学会のようなスーツ姿はめったにみないような会にした いと考えておりますので、企業の方も含めてご協力ください。しかし、スーツ禁止というわけではありません。 土曜日は軽食をご用意しますので、ご利用ください。 発表者の皆さまへ

機材は、Windows XP/Powerpoint 2000 を使用します。Windows Vista/Powerpoint 2007 も用意する予定 ですが、事前に御相談ください。 発表スライドは、6 月 27日(土)朝 7:00 までにメールでお送りください。5 Mb を超える場合には、分割して 送ってください。 会場に持参される場合には、発表の 30 分以上前を目安に USB フラッシュメモリーで持ってきてください。 CD の場合は、読み込めない場合があります。その他のメディアの場合は、事前にご相談ください。 当日、スライド修正は可能ですが、早めにお願いします。 一般演題 質疑応答を含めて1人 15 分以内です。通常の学会発表より時間はありますので、方法などを解説的にプ レゼンテーションしてください。時間が短い分には構いません。無理に長くする必要はありません。 企業セミナー 質疑応答を含めて 15 分ですが、調整可能ですので、厳密にこだわる必要はありません。 質問などをされる場合 質問のある方は、マイクのところに立って手を挙げてください。複数の場合は後ろに並んでください。 会費 完全事前登録制です。準備の都合がありますので、なるべく早くお申し込みください。 原則として当日参加費は集めません。受付に人を割かずに、全員が会に参加できるようにするためですの で、ご理解とご協力をお願いいたします。事前に下記口座へ振込みをお願いします。不明な点はメールで 事務局までお問い合わせください。 参加のみ ¥5,000 (ひびき臨床微生物研究会 個人正会員は ¥3,000) 宿泊参加 (夕食を含む) ¥12,000 (ひびき臨床微生物研究会 個人正会員は ¥10,000) 夕食まで参加(宿泊せず) ¥10,000 (ひびき臨床微生物研究会 個人正会員は ¥8,000) 参加費割引は、個人正会員のみとさせていただきます。ご了承ください。 西日本シティ銀行 二日市支店 普通口座番号 1703092 口 座 名 第 6 回ひびき薬剤耐性菌シンポジウム会計 小田原ゆう子 名札について 記名式といたします。ネームフォルダーは回収しますので、ご協力ください。領収書付きですが、他の書式

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1 日目 6 月 27 日(土)

門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館

ランチョンセミナー1

L1 キノロン系抗菌薬の特徴と使い分け -作用機序、耐性機序、体内動態-

産業医科大学医学部 村谷哲郎 現在キノロン系と称されている抗菌薬はその共通構造として、ピリドンカルボン酸骨格を有する(シノキサ シンを除く)。本邦では 1964 年にナリジクス酸が上市されて以来様々な改良がなされ、1984 年にフルオロキ ノロン骨格を有するノルフロキサシンが緑膿菌からブドウ球菌まで有効な強い抗菌力と広いスペクトルを有 する画期的な抗菌薬として登場した。このノルフロキサシンの構造を基に、抗菌力改善を実現したシプロフ ロキサシン、経口吸収、生物学的半減期を大幅に改善したオフロキサシンならびにその活性体レボフロキ サシンに至っている。さらに、レンサ球菌属への抗菌力改善を目指したいわゆるレスピラトリーキノロンとして、 トスフロキサシン、スパルフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、ガレノキサシンが抗菌力、 体内動態が改善され上市されてきた。別の方向性としては、安全性を重視し開発された静注用キノロンで あるパズフロキサシンは、1 回 500mg を静注投与可能とし、現在さらなる増量の試験が行われている。 抗菌薬の特徴として、抗菌力、抗菌スペクトルはもちろんであるが、ヒト細胞への移行性、有効性と相関 する体内動態指標、耐性株出現頻度、耐性機序ならびに交叉耐性の有無が挙げられる。通常感染症は細 胞外で起こっているため、ヒト細胞内への抗菌薬の移行性は関連しないが、細胞内侵入性の微生物(レジ オネラ、クラミジアなど)に対しては、ヒト細胞内への移行性が乏しい薬剤では作用することが出来ない。アミ ノグリコシド、βラクタムはほとんど移行せず、キノロン、マクロライド、テトラサイクリンは優れた移行性を持つ 薬剤である。また臨床的有効性と相関する体内動態指標に関する研究が盛んに行われ、アミノグリコシドは

Cmax、キノロンは AUC、βラクタムは Time above MIC ともっとも相関する事が報告されており、これらに基

づき最適な用法用量が考えられるようになってきた。耐性菌出現抑制という点からも用法用量の設定を考え るべきであり、副作用抑制という点ももちろん重要である。

キノロンの作用点は初期のころ DNA gyrase のみと考えられていたが、topoiomerase Ⅳの発見により、作 用機序および耐性機序に対する考え方は大幅に変わった。また、菌体内取り込み量に影響を与える influx, efflux にかかわる因子も明らかとなった。これらはすべて染色体 DNA の変異であり、耐性化は起こりにくい とされてきたが、Qnr に代表されるプラスミド性の耐性遺伝子も明らかとなってきた。現在キノロンの耐性化 はアジアを中心に著しく増加しており、淋菌は 1990 年には耐性菌は存在しなかったが、2000 年には 80% を越え、現在は使用してはいけない薬剤となっている。MRSA も同様であり、腸球菌では耐性率 40%に達 している。さらに大腸菌、肺炎球菌でも耐性株の増加が報告されており、尿路性器感染症、呼吸器感染症 など様々な領域で問題となっている。キノロンを中心に各種抗菌薬の抗菌力、抗菌スペクトルの比較、世界、

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企業セミナー1

C1

敗血症検査アップデート

シスメックス㈱ トータルソリューション部 横山 僚

1991 年に American College of Chest Physicians(ACCP)と Society of Critical Care Medicine(SCCM)の 合同カンファレンスにおいてセプシス(sepsis)が感染症に起因する全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome: SIRS)と定義された。しかしながら、2000 年以前は欧米でもセプシスの診 断が不確実で、セプシスに起因する死亡率は高率であった。

2002 年 10 月に欧米などの 11 学会が重症セプシスと敗血症性ショックの治療成績の向上し、今後5年間 で死亡率を 25%低下することを目的に Surviving Sepsis Campaign が設立され、2004 年 10 月に Surviving Sepsis Campaign guidelines(SSCG)が発表された。その後、日本集中治療医学会と日本救急医学会も加わ り,15 の国際学会の合同指針として、昨年改訂版となる SSCG2008 が発表されている。この SSCG2008 では, エビデンスの質による A(高)-D(低)の 4 段階評価に加え,ガイドライン作成委員の推奨度として 1(強い), 2(弱い)の 2 つに分類され,重症セプシスと敗血症性ショックの管理の推奨がまとめられている。 検査部門においてもセプシスの定義を十分に理解し,セプシスの診断基準を集中治療専門医以外の一 般医やコ・メディカルの共通認識とし,セプシス早期からの適切な治療をサポートすることが重要である。 本演題ではセプシスの早期診断のため、欧米で使用されている検査方法を紹介いたします。

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企業セミナー1 C2

ESBL の 1 タイプと BD フェニックス TM システムのエキスパートルールについて

日本ベクトン・ディッキンソン㈱ DS 学術 武沢敏行 BD フェニックス TM には、得られた結果をより臨床対応に則した解釈として提示する、BD エキスパートシス テムが搭載されている。 本システムは多くの定義されたルールに担われ、解釈はこれに則って行われる。 耐性菌検出/検知能にすぐれ、ESBL 産生菌に関しては、CLSI 基準対象菌種以外の菌種に関してもこれ を報告できる。 今回はその一例を紹介したい。

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一般演題1 G1

尿中白血球数および尿中細菌数に関する尿試験紙、自動分析装置、ディィップ

スライド法、通常培養検査の比較

ひびき臨床微生物研究会共同研究 (株)キューリン ひびき臨床微生物研究会 小林とも子、美那元勇希、村谷哲郎 【はじめに】尿路感染症の臨床試験では、欧米では各施設の細菌検査室で ASM 標準法にて培養検査を実 施している場合が多いが、日本国内では、ディップスライド法により、各施設で培養し菌数を判定後、集中 測定期間へ送付する方法が採用されている。頻度は不明であるが、細菌検査室での培養陽性、ディップス ライド法陰性という結果や両検査法で分離菌種が異なる事例も経験している。また、膿尿および細菌陽性 であるかどうかは、臨床試験に組み入れるかどうかを決めるうえで重要であるが、沈渣鏡検、グラム染色鏡 検、尿試験紙のエステラーゼ反応および亜硝酸反応試験が参考となる。また、原尿を使用した計算盤やフ ローサイトメトリーを原理とした白血球測定も有用な方法である。これらの測定法の相関を検討することを目 的として、本試験を実施した。 【検査方法】2008 年 7-8 月に細菌定量培養検査の依頼があった尿 208 検体を対象とした。尿中白血球数 は尿中有形成分分析装置 UF1000i(シスメックス)ならびに尿試験紙(ウロペーパーⅢ栄研 10)を用い、尿中 細菌数はウリカルト E(積水メディカル)と TSA, チョコレート寒天培地、ドリガルスキーBTB 寒天培地を用い た定量培養法を用いた。さらに尿試験紙の亜硝酸反応、UF1000i による細菌数、沈渣グラム染色鏡検によ る白血球数および細菌数についても検討した。 【結果】定量培養検査 104

cfu/ml 以上かつウリカルト E 104 cfu/ml 以上 97.2%(140/144)、103 cfu/ml 以下

かつ 103 cfu/ml 以下 98.4%(63/64)であった。尿試験紙亜硝酸反応は、培養 105 cfu/ml 以上の検体のうち 49.6%(60/121), 103および 104 cfu/ml で亜硝酸陽性となった検体は存在せず(0/38)、培養にて 102 cfu/ml および陰性であった検体のうち、それぞれ1株が陽性となった。これら 2 検体はグラム染色鏡検では細菌陽 性であった。尿中白血球数は UF1000i 陰性(<10/μL)試験紙陽性検体が 26.6%(8/30)存在し、試験紙陰 性、UF1000i 陽性検体 15.7%(28/178)存在したが、5-29/µL の 44 検体を除く明らかな差異のある検体では、 偽陽性 7.1% (1/14)、偽陰性 9.3% (14/150)であり、一致率は良好であった。 【考察】試験紙による尿中白血球数は尿試験紙偽陽性 0.96 %(2/208),尿試験紙偽陰性 6.7%(14/208)と、 とも にその率は低く、有用性は高いと考えられた。 定量培養検査 104 cfu/mL 以上で、ウリカルト E 陰性は 2.5% (4/160)であり、有用性は高いと考えられた。UF-1000i と定量培養検査と比較して、 UF-1000i 尿中細菌数が高 い傾向を示した。UF-1000i は塗抹鏡検との相関もよく、細菌陽性の有無の目安としての有用性は高いと考えら れた。亜硝酸反応は、定量培養 104 cfu/mL 以下の検体では陰性となり、105 cfu/ml 以上の検体の 49.6% (60/123)で陽性となった。培養陰性、亜硝酸反応陽性を示した 2 検体は、塗抹陽性であり、今回の試験では真の 偽陽性はないと考えられ、陽性の結果は有用性が高いと考えられた。

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一般演題1 G2

尿中有形成分分析装置 UF1000i による細菌検出パターンを用いた菌種推定に

関する検討

ひびき臨床微生物研究会共同研究 生野陽子 右田忍 小林とも子 村谷哲郎 尿検査の自動化の普及に伴い、精度・迅速性・操作性が向上してきた。従来、細菌と微細な尿中物質と の鑑別が困難とされていたが、尿中有形成分分析装置 UF-1000i(Sysmex 社)は、細胞成分の識別とは異 なる尿中細菌検出チャンネルを新たに設け検出できるように改良された。 測定原理は、ポリメチン系の蛍光色素で細菌中の核酸を特異的に染色し、フローサイトメトリー法により細 菌を検出する。細菌専用スキャッタグラム(BACT)は、横軸の蛍光強度による粒子の大きさ、縦軸の散乱光 強度による粒子の染まり具合を表している。菌種による BACT の出現パターンについて検討した。 【検討方法】14 菌種 52 株を、35 度 18 時間培養したコロニーから生理食塩水にマクファーランド 0.5 になる ように調整した菌液を用い、BACT 画面の原点を通る近似値の角度の平均値を求めた。BACT をプリントア ウトし、3名の技師で目視による近似値の平均値を求めた。

【結果】 Escherichia coli 8 株、Klebsiella pneumoniae 4 株、Klebsiella oxytoca 2 株、Citrobacter koseri 3 株 は、14度(13~16 度)。Pseudomonas aeruginosa4株、Acinetobacter baumanii 3 株、Acinetobacter lowfii 2 株は 7 度(5~10 度)。Staphylococcus aureus 6 株は 40 度(35 から 46 度)。Staphylococcus epidermidis 4

株、Staphylococcus saprophyticus 2 株は 47 度(55 から 60 度)。Streptococcus agalactiae 3 株は 31 度(30

~32 度)。Enterococcus faecalis 6 株、Enterococcus faecium 3 株は 42 度(38~45 度)。Neisseria gonorrhoeae 2 株は 9 度(8~10 度)であった。 腸内細菌は BACT では、約14度の近似値に検出された。腸内細菌より小型のグラム陰性非発酵菌は、 腸内細菌より低い角度の近似値上に検出された。球菌では、Staphylococcus aureus が原点に近い箇所で 球状に検出された。腸球菌は、さらに 50 度の角度で帯状に検出された。グラム染色による観察で、菌体が 一塊となり大きな菌体として検出されたと考える。 【まとめ】尿路感染症の診断は、主に症状と尿所見から行われ、尿所見では好中球と細菌により尿路感染と 診断される。UF-1000i の細菌専用スキャッタグラムの出現パターンを角度で検討すると、菌種により出現パ ターンに特徴を認めた。菌種を推定することが短時間で可能となり、迅速な対応の可能性が示唆された。

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第6回学術集会会長講演 L2

ICT活動を通じて学んだこと。 ~そしてこれから学び続けること。~

明徳会 佐藤第一病院 木戸直徳 病院における院内感染対策は、各種の多剤耐性菌の増加やその伝播拡散によってさらに困難なものと なり、そこに携わる関係者の責任や苦労も多くなっている。私は 2002 年より健和会・大手町病院の細菌室 で勤務する傍ら、ICT活動にも関わっていた。そこでは医師、看護師、専任の事務局を中心に各職種の感 染委員が病棟ラウンドや勉強会の開催、感染マニュアルの整備や院内感染防止の啓蒙活動を行っていた。 私は検査技師として医師・薬剤師と週 2 回の BSI ラウンドにノートパソコンを持参して病棟を回り、また耐性 菌日報の作成や病院の環境調査等も行った。大手町病院は感染委員会組織も整備され、ICT活動も積極 的に行われていたと思うが、600 床以上の病院であり、1000 人近い職員に標準予防策やマニュアル、教育 等を浸透させることは難しく、現在に至っても関係者の努力は続いている。 2008 年より私が勤務する佐藤第一病院は大分県宇佐市に在る病床数 130 床の県北部の中規模病院で ある。診療科目は内科・外科・脳神経外科・整形外科・麻酔科を中心に、特に回復期リハビリテーションに 力を入れている。職員数は約 200 名で、各職場から 1 名以上の委員が副院長を中心とした感染委員会を 月 1 回開催し、マニュアル整備や研修会等を行っている。活動の窓口となる事務局がないため、事例発生 時に効率的に活動するという点では問題が残るが、その都度職員各自が環境整備や研修会開催等の行 動力で補っている。 当院では 7 月からの DPC 導入により院内感染対策はさらに重要性を増していく。その中で最低限のマニ ュアルは必要であるが、それぞれの施設に見合った対応が望まれる。院内感染対策に携わっている人達 すべてに敬意を表し、若輩の私の報告が再考のきっかけになればと思う。

(14)

シンポジウム

耐性菌事例と今後の対応

S1

シンポジウム企画の経緯

明徳会 佐藤第一病院 木戸直徳 院内感染対策は病院や施設においてその重要性をさらに増している。DPC 導入等による在院日数の延 長は病院負担となるだけでなく、メディアを通してのイメージダウンにも繋がり、各施設にもたらす被害は計 り知れない。 感染対策に関連した多くの研修会や ICT 活動に関わる医療従事者の努力により、院内感染対策は進歩 を遂げている。しかし感染事例は報告され続け、多くは多剤耐性菌によるものであり、内容もますます多様 化している。 今回、本研究会の会員であり、各施設での院内感染対策において中心的な役割を果たしている 6 名の 方々に、パネリストとして事例報告をして頂く。規模の違いがあるので全てを参考にはできないが、「耐性菌 事例はどの様にして起きたのか?」、「その事例にどう対処し、今後どうするのか?」等を参加者全員で意見 交換できればと思う。 昨年、和田会長のもとで開催されたシンポジウムと同様な企画ではあるが、各施設が無くならない限り、 院内感染対策に無縁でいることはできない。院内感染の予防・早期発見・事後対応という点で再度、皆様 に問題提起できればと思い、このシンポジウムを企画した。

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シンポジウム

耐性菌事例と今後の対応

S1-1

多剤耐性アシネトバクターによる病院関連感染事例

福岡大学病院 吉村 尚江 【はじめに】アシネトバクターは、ブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌である。自然環境中に広く分布し、健常 人に対して病原性は弱い菌だが、易感染患者においては尿路感染、呼吸器感染、敗血症、外傷感染など の起因菌となることがある。近年、海外ではカルバペネム系や広域βラクタム系、アミノ配糖体、フルオロキ ノロン系などのほとんどの抗菌薬に耐性を示す多剤耐性アシネトバクター(MRAB)の病院関連感染の報告 がされている。当院で MRAB のアウトブレイクを経験したので報告する。 【経緯】平成 20 年 10 月 20 日救命センター入院患者の喀痰より、MRAB が検出(1例目)。個室管理の患 者であったり、感染対策室より接触感染予防を行うように病棟に連絡。しかし、11 月末には、新規保菌患者 を4名確認した。12 月 5 日より救命センターでは積極的 MRAB スクリーニング実施。同時に環境調査実施 するが、MRAB 検出せず。方法を変えて再度環境調査実施。数箇所から MRAB 検出。また、MRAB が検 出されていない患者のバイトブロックより MRAB を検出されたため、洗浄保管されているバイトブロックも調 査。保管バイトブロックより MRAB 検出。環境管理の見直し、バイトブロックの消毒および使用を見直した。 また、個室管理・接触予防を実施していた MRAB 保菌患者が転棟(形成外科)後、新規保菌患者を検出。 救命センター同様形成外科病棟の積極的 MRAB スクリーニング実施。形成外科病棟の環境調査実施。数 箇所から MRAB 検出。包交車より MRAB 検出されたため、包交車使用を見直した。複数の病棟にて MRAB 検出されたため、MRAB 検出患者は同一病棟(救命センター)にコホーティング実施。その後、新た な MRAB 患者検出されず、救命センター再開のためコホーティング病棟移動(形成外科病棟)。院内の MRAB の広がりを調査するため、全入院患者の MRAB クリーニング実施。救命センター再開にあたり、病 棟消毒・環境調査(100 箇所)実施。救命センター再開後も救命センターでの MRAB スクリーニング継続。 MRAB 保菌患者が数名と減少したため、病棟移動(7 階病棟)。現在、新規患者はない。 【まとめ】今回、環境調査より MRAB を検出し原因が究明され、感染制御部・安全管理部が中心となり病院 全体で取り組んだ結果アウトブレイクが鎮静化した。そして、検出初期段階での細菌検査室からの迅速な 結果連絡と情報共有の重要性を痛感した。また、環境調査関連検査および病院全体のスクリーニング検査 の院内実施を細菌検査室のみではなく、検査部全技師の協力によって行うことができた。

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シンポジウム

耐性菌事例と今後の対応

S1-2

血液培養か ら検出さ れた VCM 低感受性 Staphylococcus capitis subsp.

ureolyticus

綜合病院山口赤十字病院 岩本 孝子

Staphylococcus capitis subsp.ureolyticus(以下 S.capitis-ureo)をはじめとするコアグラーゼ陰性ブドウ球菌

(CNS)は、ヒトの皮膚・粘膜に常在する菌である。一般に、CNS の病原性は黄色ブドウ球菌より低く健常人 において通常問題とならないが血管カテーテル関連感染において CNS は主要な起因菌であり、時に心内 膜炎や髄膜炎に進展することもある。血液培養より CNS が検出された場合、その多くが汚染菌とされること が多いため、感染症か否かの鑑別が重要となってくる。 今回、血管カテーテル留置患者において、カテーテル先端培養と血液培養から S.capitis-ureo が検出さ れ、カテーテル抜去後に解熱したことよりカテーテル関連感染による敗血症と判断した。また、血液培養の 薬剤感受性が VCM 低感受性であったことから以下の項目について ICT が対応した。 1. 薬剤感受性再検査、その他の薬剤感受性方法での結果比較 2. 患者背景調査 3. 院内感染対策サーベイランス(JANIS)への報告→国立感染症研究所へ精査依頼 4. VRE スクリーニング検査実施 5. 臨床へ最終結果報告 6. 今後の院内職員研修会の課題 『抗菌薬の適正使用について』 ICT ラウンドの結果、本患者は TEIC が長期間投与されていることが判明した。その影響によりグリコペプ チド系抗菌薬(TEIC・VCM)の MIC 値が上昇したと考えられた。グリコペプチド耐性遺伝子は保有していな かったが、TDM を含めた抗菌薬の適正使用の必要性を痛感した事例であった。 微生物検査室は、分離菌情報をもとに院内での感染状況を最初に把握できる部署であることを忘れては いけない。臨床検査技師だからこそ気付く点を活かし、ICT メンバーの一員として臨床の場に出向いて活動 していきたいと考える。

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シンポジウム

耐性菌事例と今後の対応

S1-3

耐性菌日報を用いた感染対策活動について

健和会大手町病院 医療安全管理部 ○春木義範、諸永幸子(ICN) 臨床検査部細菌室 大久保孔平、永原千絵、河原みどり 【目的】当院は、市内の救急搬送数(14.1%)を占める急性期病院と、協力連携施設を持ち、地域に根ざし た医療活動を展開している、その為、当院を訪れる患者の感染に対するリスクも高く、医療を提供する場が 病院から在宅、長期療養施設へと移行している情勢とも絡まって「医療関連感染」が提起され、耐性菌管理 が感染対策上、大きな問題となっている。耐性菌検出の動向を調べ、結果をリアルタイムに対象部署へ返 し、対策の徹底を図る目的で「耐性菌日報」を作成してきた。その経過と活用状況、今後の課題について報 告する。 【方法】当院での基準で判定した耐性菌が検出された患者のフォロー培養検査の提出を、MRSA・緑膿菌: 2 回/週、ESBL:1 回/10 日と定義し実施した。結果を細菌システムから抽出し、一覧表にまとめ、全病棟へ配 布(特に重要な菌は赤字で警告)し、接触感染対策の開始・継続・終了を提示する。対策の遵守状況を病 棟ラウンドにて確認する。 【結果】院内で検出されている耐性菌の把握ができ、接触感染対策の開始の遅れや漏れが殆んどなくなっ た。特に、緑膿菌に関しては、2 剤耐性が検出されていることを提示し、多剤耐性緑膿菌の発症予防につな げる活動が出来ており、スタッフの耐性菌に対する知識の向上が図れている。 【考察】対策の実施状況の点検についてはラウンドにて行っているが、まだ十分なものとは言えず、病棟に よってその対策内容に温度差が生じている。また、検出数の把握や感染暴露予防に対策が留まっており、 耐性菌自体の減少に対する取り組みが遅れている。 【結論】耐性菌日報の分析を更に深め、活用方法について検討し、医師・コメディカルを含めた全職員が、 感染対策を遵守できる事が今後の活動課題である。

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シンポジウム

耐性菌事例と今後の対応

S1-4

当院で実施している多剤耐性緑膿菌をはじめとする緑膿菌への院内感染対策

国 立 病 院 機 構 九 州 がんセンター臨 床 検 査 科 川 上 洋 子 、大 島 悦 子 【はじめに】多 剤 耐 性 緑 膿 菌 (multi-drug resistant Pseudomonas aeruginosa;MDRP)は、①現 在 認 可 、承 認 されているほぼ全 ての抗 生 剤 の効 果 が期 待 できない。②病 院 環 境 、ヒト腸 管 内 に定 着 しやすく、一 旦 定 着 するとその除 去 が困 難 である。③免 疫 不 全 宿 主 に肺 炎 や敗 血 症 を発 症 した 場 合 、重 篤 化 しやすい。以 上 の理 由 より、医 療 施 設 内 で監 視 と対 策 が求 められている。 近 年 、当 センターにおいて MDRP のアウトブレイク事 例 、およびその分 離 率 の増 加 が確 認 され た。これらの事 例 を受 け、ICT で実 施 した対 策 と成 果 を報 告 する。 【経 過 】 (1)MDRP アウトブレイク事 例 A病 棟 入 院 中 の患 者 a(カテーテル尿 )より MDRP が分 離 された。その 1 ヵ月 後 、同 病 棟 入 院 中 の患 者 b(回 腸 導 管 尿 )と患 者 c(創 部 )から MDRP が分 離 された。患 者 a と b は泌 尿 器 科 、患 者 c は骨 軟 科 入 院 中 であった。 環 境 検 査 において洗 浄 後 の安 楽 尿 器 より MDRP が検 出 された。パルスフィールドの結 果 、患 者 aとc、尿 器 から分 離 された株 は同 一 株 の可 能 性 が示 唆 された。 以 上 より ICT では①接 触 予 防 策 の徹 底 の指 導 、②水 周 りの清 掃 手 順 見 直 し、③処 置 の順 番 の見 直 しを実 践 した。 これら対 策 後 にも泌 尿 器 科 所 属 の患 者 d(回 腸 導 管 尿 )、患 者 e(閉 鎖 性 膿 )、患 者 f(回 腸 導 管 尿 ・ドレーン)より MDRP が継 続 的 に分 離 され、終 息 は初 発 分 離 より 10 ヶ月 後 であった。 (2)MDRP 分 離 数 の増 加 (1)のアウトブレイク事 例 を受 けて MDRP 分 離 数 が 2004 年 2例 、2005 年 6件 、2006 年 4件 と増 加 し た 。 ま た 、 九 州 耐 性 菌 ネ ッ ト ワ ー ク の 集 計 で も 、 平 成 18 年 度 の 総 分 離 菌 数 に 対 す る Pseudomonas aeruginosa 分 離 率 は参 加 施 設 平 均 より低 かったものの、MDRP 分 離 率 は 3.5%と、 参 加 施 設 平 均 を上 回 っている現 状 が判 明 した。 この状 況 を受 け、ICT では①職 員 ・患 者 への啓 蒙 活 動 ・情 報 提 供 、②MDRP をはじめとする P. aeruginosa の監 視 体 制 の強 化 を実 施 した。 以 上 の活 動 の結 果 、2007 年 、2008 年 の MDRP 分 離 数 は共 に1例 と減 少 が認 められた。また 緑 膿 菌 の分 離 率 も減 少 が認 められた。

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シンポジウム

耐性菌事例と今後の対応

S1-5

VITEK-2 AES で得られたデータと PCR との相違

新日鐵八幡記念病院 厚地 美幸 【はじめに】当検査室における耐性菌 ESBL 検出は、VITEK-2 AES (Advanced Expert System:感受性検 査結果検証システム)で行っている。報告書に「ESBL 産生菌の疑いがあります。」のコメントを記載し、報告 をしている。医師から「コメントについて、“疑い”ということはどう解釈すれば、いいのですか?」との問いか けがあった。VITEK-2 AES が“ESBL”を検出した場合、当検査室では確認試験を行っておらず“ESBL の 疑いがあります。”と報告している。ESBL の確認試験を行わないことは、人的問題からやむを得ないとの判 断から、ICT においても了解を得ており、今後の結果の報告の仕方に関する方針を ICT に対して明確にす ることが細菌室の当面の課題である。問いかけを契機に「ESBL を確実に検出するには、どこまで検査をす るか。」について、ひびき臨床微生物研究会に相談した。今回当検査室の一定の基準を設定するために、 当院で検出した ESBL 産生疑い株について、AES・確認試験・PCR でどのような違いがあるかを比較検討し た。 【材料と方法】2008 年 2 月から 2009 年 3 月までに分離された菌株のMIC値が CTX≧2 ㎍/ml又は CAZ≧2 ㎍/ml の腸内細菌科の菌種、および AES で ESBL と判定された腸内細菌科の菌種を用いた。菌種の同定 および薬剤感受性測定はグラム陰性同定カード(GNB)、グラム陰性菌感受性カード(AST-NO34)を用い て、VITEK-2 AES で行った。確認試験は CVA 含有ディスクを用いて行うとともに、産業医科大学泌尿器科 で PCR を行った。

【結果】AES で ESBL と判定された 22 菌株の内訳は E. coli:12/22 株、P. mirabiilis:1/22 株、C. koseri:2/22 であった。E. coli では ESBL 産生株はAES/確認試験/PCR で 12/9/9 株であった。P. mirabilis では 1/1/1 株であった。C. koseriでは 2/2/2 株であった。AES と PCR の一致率は E. coli では 75%であった。P.

mirabilis、C. koseri では 100%であった。確認試験とPCRでは全菌種で一致した。CLSI で定義されている

菌種においては VITEK-2 AES では ESBL 偽陽性(25%)が認められた。偽陰性は認められなかった。偽 陽性と判定された株は、AES の表現型が ESBL/セファロスポリナーゼ,ESBL/セファロスポリナーゼ/獲得性 ペニシリナーゼと複数の表現型として表示される傾向にあった。その他の菌種において AES で ESBL と判 定された E. cloacae:3株、Cfreundii:2株、C. youngae:1株、E. aerogenes:1株はすべて、ESBL 産生株で

はなかった。

【結語】ESBL における AES と PCR の一致率は E.coliで 75%、P. mirabilis, C. koseri は 100%であった。 今後CLSIの定義している菌種に関しては確認試験を行わず、報告書に“ESBL 産生菌の疑いがあります。 院内感染に御注意ください”と。コメントを記載し、報告することとした。その他の菌種は“ESBL 産生菌の確 認中です”のコメントを記載して中間報告することにした。後日、ひびき臨床微生物研究会で PCR を行った 結果をコメントし、最終報告する。ICT との連携で当院の ESBL 産生菌検出法の一定基準の設定が確立で

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シンポジウム

耐性菌事例と今後の対応

S1-6

当院で経験した MDRP 感染事例とその対策

KKR 新小倉病院 臨床検査科 右田忍 生野陽子 外来で尿から MDRP を検出、入院した場合の院内感染対策の顛末を報告する。 【患者】68歳男性。平成 17 年 3 月脳梗塞疑いで他院受診後当院入院。入院中に腎結石を認め、他院にて 破砕した。8 月、脳梗塞の定期受診。尿培養で、Pseudomonas aeruginosa を 105個/ml 検出。薬剤感受性 は KB 法で、ABPC・PIPC・CTX・CAZ・CPR・CPDX・IPM・MEPM・AMK・ISO・MINO・CPFX・LVFX 全て阻 止円を認めず耐性。多剤耐性緑膿菌(MDRP)として報告。 【院内感染対策】当時は、薬剤耐性菌の管理は入院患者のみ対象としていた。MDRP を検出した患者は常 在菌化が推測され、また脳梗塞での再入院の可能性が高いので ICT で入院時の院内感染対策を検討し た。 ① 看護部:当院での MDRP の検出は過去になく、菌の存在の認識は皆無であった。看護部長の要請で、 病棟毎の研修会を以下の内容で実施した。 1) MDRP はほとんど全ての薬剤に耐性で治療が困難。 2) 長期入院、抗菌薬の長期投与、抗腫瘍薬・ステロイド薬投与、尿路カテーテル留置がリスクファクタ ーである。 3) 感染形式は、接触感染、院内の環境に棲みついた菌が頑固に棲息して色々なルートで定着する。 4) 湿潤箇所の消毒を徹底することが有効である。 ICT では、手洗いと尿の管理方法を再確認した。また、時間外・休日に入院した場合を想定して、1) カルテ表紙に MDRP 保菌者の可能性が高いことを記載、2)個室管理、3)マスク・ガウン使用を決め た。 ② 臨床検査科:平均検出数の 2SD の切り上げ値を病棟毎にサーベイランス値と設定し、緑膿菌の検出状 況を監視する。緑膿菌を検出したら MDRP でないか全例検査する。院内感染は全ての薬剤耐性菌が 対照であるが、MRSA を PFGE 検査することで院内感染対策を監視し、長期入院患者・易感染患者の 把握と迅速対応を心掛けている。 MDRP を検出した患者は、平成 18 年 1 月以降3回入退院を繰り返している。尿から継続して MDRP は 検出されるが、現在まで院内感染は認めていない。 【課題】平成 17 年から 3 年間が経過しようとしているが、医師や看護師の退職で当時のスタッフが少なくなり、 当時を知らない新人看護師が増加している。院内感染対策が曖昧になり、風化しないような院内感染対策

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ひびき臨床微生物研究会招請講演 L3

酵素としてのβ-lactamase -遺伝子検出結果と酵素検出結果の乖離-

東邦大学医学部微生物・感染症学講座 石井良和 一昔前、酵素学は生化学の主要研究分野のひとつであり、日本でも多くの研究者が酵素学的研究に 参画していた。β-lactamase に関する研究も、東京大学や群馬大学、微生物化学研究所などが世界をリー ドする研究を推進していた。しかし、新規抗菌薬の開発速度が鈍るとともに、日米におけるβ-lactamase に ついての酵素学的研究は衰退した。さらに、酵素学の衰退に追い討ちをかけたのが分子生物学的手法の 目覚しい進歩・発展であった。すなわち、PCR による遺伝子検出や DNA 塩基配列決定が迅速且つ安価で 行えるようになると、主要な研究機関や臨床検査室の研究者らもそれらの方法を取り入れ、耐性菌の薬剤 感受性と DNA 塩基配列だけを報告するに留まるようになってしまった。 遺伝子検出および DNA 塩基配列の決定が酵素の本質を見ることに繋がるのだろうか?DNA 塩基配 列を決定すれば、あるいはそのデータからアミノ酸配列を推察すれば酵素の基質特異性を知ることができ るのだろうか?答えは、「否」である。いくら分子生物学的手法が発達しても、現時点において酵素の特徴ま でその DNA 塩基配列から推察することはできないのである。 β-lactamase の酵素学的研究はヨーロッパの限られた研究室で続けられてきた。 酵素学的パラメータは、生化学の教科書にも記載があるように、ミカエリス・メンテン方 程式を変形することにより得られてきた。最近の、コンピュータの性能が飛躍的に向 上したことから酵素学的パラメータは、方程式の変形を基にして求めるのではなく、実験値を直接コンピュ ータに入力することで得ることが可能となった。このような状況の下、困難なのは、酵素の大量発現系の構 築と大量精製であろう。しかし、これらは開発された様々な分子生物学的手法や様々な市販のキットが解決 してくれる。 今のβ-lactamase に関する研究の多くは、「木を見て山を見ず」という状況である。今、分子生物学的 手法は誰でも手が届くようになり、さらにタンパク質の X-線結晶解析もその気にさえなれば手が届く時代に なった。これらの技術あるいはデータと酵素学的パラメータを組み合わせることができれば、精度が高く意 義深い結論を導き出すことができると考えている。今回は、いくつかのβ-lactamase の酵素学的パラメータ 算出の実際を提示し、パラメータの持つ真の意味を平易に解説する。さらに、分子生物学的手法の有する パワーや遺伝子の存在が細菌の耐性と直接結びつかない例についても紹介する。

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ナイトセミナー C3

改訂版JRS成人院内肺炎診療ガイドライン 2008

~各カルバペネム系薬の位置付けを中心に~

大日本住友製薬(株)学術企画部 末延 喜代子 2008 年 6 月 16 日に神戸で開催された「第 48 回日本呼吸器学会学術講演会」において、「改訂版JRS成 人院内肺炎診療ガイドライン 2008」が発表されました。 2002 年版ガイドラインに関する検証データが論文化され、これらのデータを基に、より予後と相関する因子 を選択し、新しいガイドラインの作成作業が行われました。前回のガイドラインが若干煩雑で使いにくい面も あったため、できるだけ簡便で実用性の高い治療指針になることを目標としています。この数年、抗 MRSA 薬をはじめとする抗菌薬の開発もあり、これらの使用についても一定の指針が示されています。 米国の院内肺炎ガイドラインは 2005 年に発表されていますが、このガイドラインの最も大きな特徴は 「de-escalation」という治療戦略を基本としている点です。これは、病歴から耐性菌関与の可能性を推定して、 耐性菌関与が疑われる院内肺炎では、広域スペクトラムを有する抗菌薬を救命のために積極的に投与し、 平行して行われる原因菌検査の結果を待って、2~3日後により狭域の照準を絞った抗菌薬に変更する、と いう治療戦略です。今回の改訂版JRSガイドラインでもこの「de-escalation」治療の考え方が具体的に導入さ れています。 その他の主な改定ポイントは、①新重症度分類 生命予後に重点を置いた重症度分類であり、生命予後予 測因子(5 項目 IROAD)と肺炎自体の重症を規定する因子(2 項目)より、病型を単純に3つの群に分類。 ②抗菌薬選択 系統が同じでも、製品毎にポテンシャル(抗菌力、耐性など)が異なるため、抗菌薬は系統 ではなく、製品名毎に推奨。PK-PD に基づいた十分量投与の考え方を積極的に取り入れ、推奨される用 法・用量を明記。「エビデンス」「ポテンシャル」「PK-PD に基づいた十分量」の観点から代表薬を抽出し明記 (それ以外は代替薬として推奨)。 今回は特に、改訂ポイント②抗菌薬選択について紹介させていただき、中でも各カルバペネム系薬の位置 付けについて、ガイドラインから抜粋する形で紹介させていただきます。

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ナイトセミナー N1

いまさら聞けない、こんな事 Q&A

海外の学会では、朝 7:00 ごろから、meet-the-expert と称して、簡単な講義に引き続き、そのあと会場からの free な質問に数名の専門家が答えるという session が組まれています。質問内容は非常に単純なものが多く、 調べればすぐわかるようなものがほとんどです。参加者も現場で実際に仕事をしている人たちで、何を聞い ても答えるというのが、この session の目的のようです。前回のシンポジウム終了後に、講演の内容でなく、日 常の検査などに関して、質問したいことがあったという方が数名いらっしゃいました。そこで、本会では、早 朝ではなく、ナイトセミナーで企画することにしました。第 1 部では、これまで寄せられた質問の中からいくつ か選んで、解説させていただきます。第 2 部では、今回寄せられた質問ならびに、その場での質問に分か る方が答えるというフリーディスカッション形式で進めたいと思います。この世界に入って短い方も含め、な んでも聞くことができるようなものにしたいと思っていますので、みなさん御参加ください。

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ナイトセミナー N2

認定臨床微生物検査技師制度試験について

北九州総合病院 有馬 純徳 認定臨床微生物検査技師制度において、平成 21 年 1 月現在 438 名が認定・登録され、また、ICMT(感 染制御認定臨床微生物検査技師)は 356 名が登録され、各現場で活躍されているものと思われる。 ひびき臨床微生物研究会では、認定臨床微生物検査技師取得を推奨しており、希望者に対して支援を 行っている。現在 8 名の会員が取得している。 感染管理の重要性は現場では浸透しつつあるが、保険点数その他での恩恵は全くないと言って良い。 院内感染対策は、感染管理担当者の目に見えない、数字では表せない日々の努力により維持されている とも言える。 認定臨床微生物検査技師についても、その資格が評価されている施設は数少ないが、資格取得のため に学ぶ臨床微生物学、感染管理等の知識は、いざと言う時の助けになるものと信じている。 skill up の為、院内の感染管理の牽引車を目指す為、認定臨床微生物検査技師資格取得に try してみま しょう。

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2 日目 6 月 28 日(日)

門司赤煉瓦プレイス赤煉瓦交流館

一般演題2 G3

北部九州・山口地区において分離された肺炎球菌の薬剤感受性について

ひびき臨床微生物研究会共同研究 北九州市立医療センター 宿輪優子 【目的】ひびき臨床微生物研究会では、北部九州および山口地区の多施設共同研究として、1999 年より、 ペニシリンなどの各種抗菌薬への耐性化が問題となっている Streptococcus pneumoniae について、薬剤感 受性および耐性機序の検討を行うことを目的として、菌株の収集を行っている。2009 年の収集は 11 回目の 収集に当たる。 【方法】毎年 1 月から 2 月の任意の 4 週間に臨床材料より分離された S. pneumoniae 全株を対象とした。調 査項目は、検体採取日、検査材料名、患者 ID、年齢、性別、入院外来の区分とした。MIC 測定培地は 5% 馬溶血血液加 CA-Mueller Hinton Broth を用い、測定薬剤は、β-lactam,キノロン系、Tetracycline 系、マク ロライド系など 23 薬剤とした。同一患者同一検体由来株は1株とした。2008 年は 68 施設 367 株、2009 年 は 80 施設 373 株が対象株となった。 【結果】2008 年の結果は、年齢分布は、15 歳未満 62.7%(230/367)、15-64 歳 11.7%(43/367)、65 歳以上 25.6%(94/367)であり、男女比は 196/171 であった。PSSP は 41.1%, PISP 39.8%, PRSP 19.1%であった。ま た、PCG および amoxicillin 耐性株(≧8μg/ml)は存在せず、4μg/ml を示す株がそれぞれ 1.1 および 0.3% 存在しただけであった。 LVFX 耐性株(≧8μg/ml)は、4.6% (24/367)存在し、65 歳以上では 14.9% (14/94) に達しており、入院患者に限定すると 21%(13/62)に達していた。GRNX は 1μg/ml ですべての株の発育 を阻止した。CFDN, CDTR, CFPN および FRPM 耐性株(≧2μg/ml)は、38.4, 2.2, 11.2 および 0.3%であり、 年齢による差異はほとんどみられなかった。CLDM, AZM, CAM の耐性率は 50%前後であったが、TEL 耐 性株は 1.1%であった。

【まとめ】 LVFX 耐性株は、2002 年以降全体の 5%、高齢者で 15%前後で推移している。現在 2009 年の データを集計中であり、集計が間に合えば報告したい。

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一般演題2 G4

北部九州・山口地区で分離された大腸菌の感受性および耐性機序について

-ひびき臨床微生物研究会共同研究- 九州厚生年金病院 芳賀由美 ひびき臨床微生物研究会 村谷哲郎、花村(李)静香、小林とも子、美那元勇希、後藤令子、池浦智恵子、 土居和剛、犬塚幸枝、村田牧子、中山麻衣、和田明子、本田雅久、篠崎久輝、厚地美幸、川上洋子、薬師 寺博子、重高正行、兵藤由紀江、横溝勝、小野周一 〔目的〕 大腸菌は尿路感染症や化膿創、髄膜炎、創傷感染、腹膜炎など種々の感染症の主要起炎菌で ある。大腸菌に感受性を有する抗菌薬は多数存在する。しかし近年各種耐性株が出現してきており、その 増加が問題となってきている。北部九州・山口地区での現状を明らかにすることを目的としてひびき臨床微 生物研究会多施設共同研究として実施した。 〔材料と方法〕 2008 年 4 月から 6 月の間に便を除く臨床材料より分離され、薬剤感受性の依頼のあった株 を対象とし、4 週間または 1 施設 30 株を最大収集対象とした。薬剤感受性は 25 薬剤について寒天平板希 釈法にて実施した。解析項目は施設病床数、年齢、入院外来区分、検査材料とした。 〔結果〕 会員施設のうち 6 病院、2 検査センターが本研究に参加し、同一患者同一検査材料由来の株を除 外し、大腸菌は、計 101 施設 913 株を調査対象株とした。CLSI の break point を超える耐性率は ABPC

60.4%、CPDX 22.0%、LVFX 46.7%、MINO 23.0%、FOM 1.2%、ST 合剤 31.2%であった。入院患者由来 株の病床数別感受性率において 20 から 300 床の施設から分離された株と 301 床以上の施設から分離さ れた株を比較すると ABPC、PIPC、LVFX、MINO、ST 合剤、GM、TOB で有意差を認め 301 床以上の施設 分離株の感受性率が高い結果となった。ESBL 産生株は 45 施設から分離され 913 株中 162 株で分離率は 17.7%であった。入院患者由来株では 27.0%(488 株中 132 株)、外来患者由来株では 7.1%で有意差が 認められた。 〔考察〕 一般に使用頻度の高いセフェム系やキノロン系薬剤に耐性を示す株が高頻度に分離された。薬 剤感受性の変遷に伴い、ガイドラインを含め、使用する薬剤および感受性測定を行う薬剤の変更を考慮す る必要があり、サーベイランスは重要であると考えられた。

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S2

第 2 回ひびき臨床微生物研究会サーベイ結果報告

木戸直徳、村田牧子 【方法】 菌株は 4 種類準備し、いずれも入院患者から分離されたものである。 A B C D 年齢 90 58 7 72 性別 女性 女性 女性 男性 材料 尿 静脈血 尿 喀痰 検体送付はチャコール含有スワブ、実施項目は培養同定・薬剤感受性検査である。なお、同一施設で複 数の参加者は順番をずらして発送した。24 名の参加者中 22 名より回答があった。 【同定結果】

A は MBL 産生 E. coli 22.7%(5/22)、ESBL 産生 E. coli 9.1%(2/22)、ESBL+MBL 産生 E.coli 45.5%(10/22)、 ESBL + Class C 産生 E. coli 13.6%(3/22)、E. coli 9.1%(2/22)であった。

B は ESBL 産生 E. coli 100%(22/22)であった。

C は Class C 産生 K. pneumoniae 36.4%(8/22)、ESBL 産生 K. pneumoniae 9.1%(2/22)、MBL 産生 K. pneumoniae 4.5%(1/22) 、 ESBL+MBL 産 生 K. pneumoniae 4.5%(1/22) 、 ESBL + Class C 産 生 K. pneumoniae 4.5%(1/22)、多剤耐性 K. pneumoniae 9.1%(2/22)、K. pneumoniae 31.8%(7/22)であった。

D は Class C 産生 K. pneumoniae 9.1%(2/22)、ESBL 産生 K. pneumoniae 9.1%(2/22)、MBL 産生 K. pneumoniae54.5%(12/22)、K. pneumoniae 27.3%(6/22)であった。

【薬剤感受性結果】

産業医大との乖離のあったものでは、A は CAZ の MIC 値≦8~16μg/ml(2/22,9.0%)、AZT の MIC 値 8 ~>16μg/ml(6/22,27.3%)であった。

B は CAZ の MIC 値 4~≦8μg/ml(5/22,22.7%)、AZT の MIC 値≦8~16μg/ml(5/22,22.7%)であった。 C は IPM の MIC 値 4μg/ml(3/22,13.6%)であった。

D は CTX の MIC 値≧32μg/ml(7/22,31.8%)、CAZ の MIC 値 4~≦8μg/ml(10/22,45.5%)、AZT の MIC

値>16μg/ml(1/22,4.5%)であった。

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企業セミナー2 C4

IKL、OIML、VP 半流動培地を用いた腸内細菌同定の有用性

栄研化学株式会社 マーケティング推進室第三部 中村 俊三 ■はじめに 現在、各種感染症の原因菌の同定は簡易検査キットや自動機器を用いた方法が普及しているが、運動 性やガス産生、糖分解試験項目の成績不一致から菌名が異なることがあるようである。今回、旧来より商品 化されている生化学的性状試験用の試験管培地である「IKL、OIML、VP 半流動培地の 3 種類」を用いた 腸内細菌同定の有用性について紹介する。 ■腸内細菌同定における 3 種類の試験管培地の有用性 1) 細菌同定の基本である生化学的性状試験法に則った試験管培地である。 本製品は細菌検査同定法の基本である生化学的性状検査法に則った方法であり、基本的な性状 が発現される。 2) 試験管培地 3 種類で、臨床で検出される腸内細菌の 96.2%が同定できる。 この 3 種類の試験管培地を用いることにより生化学的性状 10 項目を確認でき、臨床から検出される 腸内細菌の 96.2 %(27 種類)の菌種 を同定できる。 3) ガス産生や運動性の性状を確認でき、同定精度を向上させることができる。 本試験管培地 3 種類の培地を用いることにより、Shigella、Klebsiella、Citrobacter などの運動性およびガス産生の情報を得ることができる。 4)同定コストの削減ができる。 臨床で検出される腸内細菌の 96.2%を、本試験管培地 3 本(10 項目)の培養性状で同定できるので同 定検査を安価に行える。 ■まとめ 臨床細菌検査における同定検査は、感染症患者への有効な抗生剤選択と投与および院内感染対策上 の疫学調査などに必要な感染症原因菌を特定するために必須な検査項目である。今回、紹介した試験管 培地(IKL、OIML、VP 半流動培地)は、同定の基本である生化学的性状試験に則り、菌種決定に重要な 運動性やガス産生などの情報を得ることができる。 簡易同定キットが普及した現在でも性能やコスト面で有用な方法であることから、IKL、OIML、VP 半流動培 地の 3 種類の試験管培地の同定試験への導入を今一度提案する。

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企業セミナー2

C5

全自動細菌検査装置ライサス「RAISUS」におけるクリンダマイシン(CLDM)誘導

耐性ブドウ球菌検出に関する検討

日水製薬株式会社 マーケティング部 企画開発グループ 岩脇 研次 【目的】 CLSI2008 年版(M100S18)で、既存のディスク拡散法(D-zone test:D-test)に加え、微量液体希釈 法による Staphylococcus 属のクリンダマイシン(CLDM)誘導耐性菌検出方法が提案された。本方法に準じ た全自動細菌検査装置ライサスでの検出性能について検討したので報告する。

【材料と方法】 供試菌株は、当社保存の Staphylococcus 属 442 株(S. aureus 252 株、S. lugdunensis 20 株、

CNS 170 株)よりエリスロマイシン(EM)耐性、CLDM 感受性の Staphylococcus 属 74 株(S. aureus 43 株、 CNS 31 株)を検討対象とした。

対照法として用いた D-test の判定は、CLDM の阻止円が EM 側で平坦化する変形を認めた株を誘導耐 性陽性、変形を認めなかった株を陰性とした。ライサスでは、酸化還元指示薬、CLDM/EM 合剤=0.5/4(μ

g/ml)ウェルを含むパネルを作製し、ライサス 18 時間法ならびに迅速法にて、当該ウェルの発育を自動判

定した。

【結果】 S. aureus 43 株(MRSA 25 株、MSSA 18 株)の内、誘導耐性陽性 42 株(MRSA 24 株、MSSA 18 株)では、ライサス 18 時間法、迅速法ともに CLDM/EM=0.5/4(μg/ml)合剤ウェルの発育が認められ、誘 導耐性陰性 1 株(MRSA)では両法ともに同ウェルの発育を認めなかった。 CNS 31 株(MRCNS 28 株、MSCNS 3 株)の内、誘導耐性陽性 17 株(MRCNS 15 株、MSCNS 2 株)で はライサス 18 時間法、迅速法ともに CLDM/EM=0.5/4(μg/ml)合剤ウェルの発育が認められ、誘導耐性 陰性 14 株(MRCNS 13 株、MSCNS 1 株)では両法ともに同ウェルの発育を認めなかった。 以上から、本検討ではライサスによる CLDM 誘導耐性菌の検出に関し、感度・特異性ともに 100%である ことが確認された。 【考察】 EM 耐性、CLDM 感受性の Staphylococcus 属では、CLDM 誘導耐性菌と真の感受性菌との判別 が重要である。本耐性菌についても、D-test に代わり、他の耐性菌(ESBLs、MRSA、VRE、PRSP 等)の検 査と同様に、同一システム内の日常検査の中で容易かつ自動的に判別可能であることが示唆された。

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企業セミナー2 C7

MicroScan の今後の開発計画

シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティックス株式会社 甲斐 秀喜 1976 年に発売以来、マイクロスキャンシステムは、多くのお客様に愛用されてまいりました。 お客様のご要望や CLSI の改正に伴い、機器、試薬の改良や改善に取り組んできました。今回は、マイク ロスキャンシステムが開発に手がけております、試薬、ソフトウェア、機器について紹介させていただきます。 これからも、正確性を追及した同定・薬剤感受性検査を基盤とし患者様視点を重視した微生物検査の発展 に貢献していく予定です。 試薬: 酵母様真菌 Comb パネル 一般細菌検査様パネルの新薬搭載 ソフトウェア: 新バージョンについて 機器: 新しい機器コンセプトについて 今後も、皆様方のご意見を取り入れながら、新しい判定基準、新しい機能を搭載させていくことにより、更 に臨床に貢献できる検査機器、試薬を開発していきますので、皆様の参考になるご意見をよろしくお願い いたします。

参照

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