横浜市近郊に生育する孟宗竹の材料特性
Material Characteristics of Bamboo in Yokohama City Area吉田 競人,飯塚 真次 YOSHIDA Keito,IIZUKA Shinji
1. 序 横浜市は2009年に開港150 周年という大 きな節目を迎え、これを祝する記念イベントが進 行中である。このプロジェクトにおいては記念式 典と海側のベイサイドステージと丘側のヒルサ イドステージの2 つのイベントが計画されてい る。このうちヒルサイドステージの会場づくりに あたっては、地球環境を考え環境負荷を少なくす ることがテーマとなっている。そのための材料と して、会場周辺にみられる竹が考えられている。 というのも、現在日本の多くの竹林は需要が少な いために放置竹林となりそれが森の荒廃を引き 起こすという悪循環に陥っている。これを解消す るための方法として、竹が建築構造物に利用され、 竹の需要が増加すると地産地消のシステムが構 築できさらには森の保全が可能となりうる。この 目的のために今回竹の基本的な材料特性を把握 する実験をおこなったのでその報告をおこなう。 主たる実験目的は横浜市小机周辺の竹林から伐 採した孟宗竹の基本的な材料特性すなわち、曲げ、 圧縮せん断、引張、割裂についての材料強度の把 握である。 2. 実験概要 実験を開始する前に、竹の直径や重量などの諸 形状の測定をおこなった。試験体については、部 位、節、劣化の要素をパラメータとし試験体を製 作し、曲げ試験、せん断試験、引張試験と割裂試 験を行った。試験体試料はJIS Z 2101 (木 材の試験方法)に準じるものとし、経年変化によ る強度への影響としてそれぞれ3,6 ヶ月を想定 した。加力装置はAUTOGRAPH (AG-10TB) およびTensilon である。 3. 実験 3.1 諸形状計測 加力実験に際し、竹孟宗竹の高さと円周を測定 した結果を図-1 に示す。横軸が高さを示し、縦軸 が円周をしめしている。この結果から一定の割合 で円周が減少しているといえる。この関係はほぼ 以下の近似式で表現される。
b
x
y
=
−
0
.
02
+
ここにy
:孟宗竹の円周(mm)x
:孟宗竹の当該高さ(mm)b
:孟宗竹根元の円周(mm) である。 孟宗竹の高さと節間長さを測定した結果を図 -2 に示す。横軸が節間番号を示し、縦軸が節間 長さをしめしている。節間長は上に向かうにつれ て長くなるが節番号が30 前後を境に長さが短く なる。また、節間の最大長は350mm のものが多 くみられる。 図-1 孟宗竹の高さと円周関係 図-2 孟宗竹の高さと節間長さ関係3.2 曲げ試験 実験による諸係数は以下の計算式から算出した。 曲げ強度 ) ( P 2 / 4 N mm l b = Ζ σ 曲げ比例限度 ) ( P 2 / 4 N mm l p p b = Ζ σ 曲げヤング係数 ) ( I 2 3 / 48 y N mm l pp p b Δ Δ = Ε
P
:最大荷重(N
)
p
Δ
:比例域における上限荷重と下限荷重との差l
:スパン(mm
)
y
Δ
:Δ
p
に対するスパン中央のたわみ(mm
)
Ζ
:断面係数(
mm
3)
Ι
:断面2次モーメント(
mm
4)
pP
:比例限度荷重(
N
)
曲げ試験で使用する試験体の形状および寸法 を表-1 示す。試験体数は 23 体で行った。加力は 集中荷重とし、スパンの中央に加えた。荷重面は 樹皮側として荷重を加える荷重点はめり込みが 多いので、図-3 のようにゆるやかな曲面とし、 支点には鋼板を挟んで局部圧縮を防ぐ。平均荷重 速度は毎分3mm とした。 B H 全長 曲げ強度 平均 曲げ強度 曲げ 比例限度 平均曲げ 比例限度 曲げ ヤング係数 平均曲げ ヤング係数 含水率 試験体 [mm] [mm] [N/mm2] [N/mm2] [N/mm2] [N/mm2] [N/mm2] [N/mm2] [%] B1B 10.00 5.00 119.7 198.2 116.1 1.73E+04 14.2 B2B 10.65 5.10 120.9 211.9 128.6 1.67E+04 14.1 3 ヶ 月 B3B 9.80 4.70 120.7 201.9 204.0 128.8 124.5 1.78E+04 1.73E+04 14.0 B4B 10.05 9.40 120.9 136.3 83.8 1.34E+04 13.6 B5B 10.00 8.85 121.4 116.6 77.4 1.47E+04 13.5 根 元 6 ヶ 月 B6B 10.00 9.80 121.9 116.7 123.2 79.6 80.3 1.42E+04 1.41E+04 13.5 B1T 9.75 4.60 121.3 192.6 127.8 1.70E+04 14.0 B2T 10.05 5.00 120.9 172.9 115.1 1.71E+04 14.1 3 ヶ 月 B3T 9.90 5.05 120.6 205.2 190.3 112.3 118.4 1.78E+04 1.73E+04 14.4 B4T 10.00 6.60 122.2 148.6 100.2 1.82E+04 13.6 B5T 9.90 6.65 121.0 151.5 100.4 1.69E+04 13.5 節 間 先 端 6 ヶ 月 B6T 10.00 5.40 120.2 201.7 167.3 119.7 106.8 2.29E+04 1.93E+04 14.1 B1BN 10.00 5.85 121.5 127.3 78.6 1.02E+04 13.9 B2BN 10.15 6.60 121.5 104.5 73.5 9.67E+03 14.3 3 ヶ 月 B3BN 9.95 7.40 122.2 110.5 114.1 48.4 66.9 4.76E+03 8.21E+03 14.3 B4BN 9.75 9.75 120.7 136.2 87.1 1.16E+04 13.3 B5BN 9.65 8.35 118.6 131.4 84.1 1.33E+04 13.5 根 元 6 ヶ 月 B6BN 10.00 10.55 120.3 138.3 135.3 96.5 89.2 1.09E+04 1.19E+04 13.5 B1TN 10.00 6.45 121.6 167.6 96.3 1.24E+04 14.2 B2TN 10.15 5.65 122.1 179.2 100.6 1.38E+04 13.9 3 ヶ 月 B3TN 9.90 6.90 122.6 119.8 155.6 69.1 88.7 9.46E+03 1.19E+04 14.1 B4TN 10.00 6.60 122.3 182.9 110.9 2.26E+04 13.8 節 有 先 端 6 ヶ 月 B5TN 9.85 6.65 121.0 156.3 169.6 99.9 105.4 1.64E+04 1.95E+04 13.8 表-1 試験体形状及び実験結果 図-3 曲げ試験形体状 T 2 T 1 L1 L2 T3 L3 L3.3 せん断試験 せん断強度は実験結果を基に以下の式より求 めた。 せん断強度
)
(
P
2/ mm
N
Α
=
τ
P
=最大荷重(
N
)
A
=せん断面積(
mm
2)
せん断試験で使用する試験体の形状は図-4 の ように腰かけの形状に加工した。寸法及び実験結 果を表-2 に示す。試験体数は 24 体で行う。荷 重速度は毎分1mm とした。 断面積 荷重 変位量 応力度 平均応力度 重量[g] 含水率 試験体 [mm2] [N] [mm] [N/mm2] [N/mm2] 前 後 [%] SH1B 105.6 1518.1 1.81 14.38 2.193 1.932 13.5 SH2B 100.8 1324.4 1.57 13.14 2.049 1.804 13.6 3 カ 月 SH3B 107.4 1584.3 1.97 14.76 14.09 2.198 1.935 13.6 SH4B 92.8 1485.0 1.85 16.00 2.041 1.809 12.8 SH5B 99.0 1597.8 1.69 16.14 2.146 1.901 12.9 根 元 6 カ 月 SH6B 99.0 1395.5 1.82 15.58 15.91 1.892 1.677 12.8 SH1T 63.0 1020.2 1.56 16.19 1.529 1.338 14.2 SH2T 65.4 998.2 1.56 15.27 1.453 1.274 14.1 3 カ 月 SH3T 83.8 1118.3 1.71 13.34 14.93 1.506 1.319 14.1 SH4T 59.0 1184.6 1.32 19.76 1.397 1.244 12.3 SH5T 66.8 1188.2 1.26 17.80 1.692 1.500 12.7 節 無 先 端 6 カ 月 SH6T 64.4 1203.0 1.24 18.69 18.75 1.542 1.369 12.6 SH1BN 139.3 1822.2 2.02 13.08 2.862 2.434 17.6 SH2BN 139.1 1704.5 2.02 12.26 2.878 2.437 18.1 3 カ 月 SH3BN 125.2 1667.7 1.97 13.32 12.89 2.757 2.341 17.8 SH4BN 120.3 1478.9 1.73 12.29 2.383 2.107 13.1 SH5BN 133.5 1803.8 1.34 13.52 2.867 2.325 23.3 根 元 6 カ 月 SH6BN 128.9 1709.4 1.83 13.27 13.03 2.791 2.468 13.1 SH1TN 112.6 1368.5 1.84 12.16 2.437 2.079 17.2 SH2TN 112.0 1589.2 1.98 14.19 2.442 2.125 14.9 3 カ 月 SH3TN 105.8 1503.4 2.09 14.21 13.52 2.453 2.117 15.9 SH4TN 101.8 1637.0 1.64 16.09 2.392 2.033 17.6 SH5TN 110.1 1736.4 1.53 15.77 2.458 2.125 15.7 節 有 先 端 6 カ 月 SH6TN 110.1 1442.1 1.65 13.60 15.15 2.858 2.286 25.0H
B
1
B
2
図-4 せん断試験形体状 表-2 せん断試験体形状及び実験結果3.4 引張試験 以下の式より引張強度・引張比例限度・引張ヤ ング係数を求める。 引張強度 2
/
tN mm
σ
=
Α
P
(
)
引張比例限度 2/
p tpN mm
σ
=
Α
P
(
)
引張ヤング係数)
(
N
/ mm
2l
pl
tΔ
Α
Δ
=
Ε
P
:最大荷重(
N
)
A
:中央部断面積(
mm
2)
pP
:比例限度荷重(
N
)
p
Δ
:比例域での上限と下限荷重との差(
N
)
l
:標点距離(
mm
)
l
Δ
:Δ
p
に対する変位(伸び)(
mm
)
引張試験で使用する試験体の形状は図-5 に示 すとおりである。試験体数は24 体で行った。引 張速度は毎分1mm とする。測定は破断までおこ ない、そのときの荷重と、荷重に対する変位量(伸 び)の測定をおこなった。実験結果は表-3 のと おりである。 断 面 積 応 力 度 応 力 度平 均 引 張 ヤ ング 係 数 平 均 含水率 試験体名 ( m m 2 ) (N/mm2) (N/mm2) ( N / m m2) ( % ) T1B 34.14 254.8 11.7 T2B 33.17 200.8 11.6 3 カ 月 T3B 42.41 150.0 201.8 4.65E+02 11.5 T4B 36.00 228.3 17.6 T5B 38.48 187.1 12.7 根 元 6 カ 月 T6B 35.38 154.3 189.9 3.45E+02 12.5 T1T 34.31 206.3 11.7 T2T 36.90 187.0 12.2 3 カ 月 T3T 43.92 184.4 192.6 3.66E+02 12.1 T4T 26.97 255.8 11.8 T5T 24.57 197.8 12.2 節 無 先 端 6 カ 月 T6T 22.72 221.8 225.2 4.57E+02 11.6 T1BN 25.92 143.5 11.3 T2BN 35.11 135.0 12.0 3 カ 月 T3BN 26.67 135.0 137.8 3.32E+02 11.8 T4BN 27.52 294.3 12.3 T5BN 21.32 261.7 12.3 根 元 6 カ 月 T6BN 23.60 231.4 262.5 4.58E+02 12.6 T1TN 36.28 150.5 11.3 T2TN 30.54 121.8 12.0 3 カ 月 T3TN 27.50 124.4 132.2 3.32E+02 11.8 T4TN 26.66 168.8 45.4 T5TN 29.75 125.0 11.9 節 有 先 端 6 カ 月 T6TN 32.45 123.9 139.2 2.88E+02 12.0 表-3 引張試験体形状及び実験結果 図-5 引張試験形体状 B1B2 B3 D1D 2 D3 1 5153.5 圧縮試験 圧縮強度・圧縮比例限度・圧縮ヤング係数を以 下の式より求める。 圧縮強度 2
/
cN mm
σ
=
P
(
)
A
圧縮比例限度 2/
p cpN mm
σ
=
P
(
)
A
圧縮ヤング係数)
(
A
=
N
/ mm
2l
pl
cΔ
Δ
Ε
P
:最大荷重(
N
)
A
:中央部断面積(
mm
2)
pP
:比例限度荷重(
N
)
p
Δ
:比例域での上限と下限荷重との差l
:標点距離(
mm
)
l
Δ
:Δ
p
に対する変位(伸び)(
mm
)
圧縮試験で使用する試験体形状は図-6 のと おりである。試験体の断面積および高さは表-4 に示すとおりである。試験体数は24 体とし、試 験体は鋼製平板の間にはさんで荷重を加えて行 う。結果は表-4 のとおりである。 断面積 高さ 応力度 圧縮 ヤング係数 含水率 試験体 [mm2] [mm] [N/mm2] [N/mm2] [%] C1B 96.0 19.7 55.7 1.90E+03 15.3 C2B 108.2 20.0 52.3 1.74E+03 14.4 3 ヶ 月 C3B 110.6 20.0 52.3 2.22E+03 14.5 C5B 109.8 20.1 52.0 1.93E+03 13.3 C6B 108.2 20.0 55.9 1.83E+03 13.0 根 元 6 ヶ 月 C7B 107.7 20.1 53.0 2.06E+03 13.4 C1T 73.8 20.1 55.4 2.97E+03 16.7 C2T 76.4 20.0 56.1 2.88E+03 16.4 3 ヶ 月 C3T 74.9 20.0 57.9 2.84E+03 14.9 C4T 77.3 20.1 64.7 5.19E+03 13.6 C5T 77.4 20.0 55.6 1.92E+03 13.5 節 無 先 端 6 ヶ 月 C6T 71.4 20.1 55.1 3.07E+03 13.5 C1BN 120.0 20.5 46.4 3.17E+03 22.0 C2BN 116.0 20.0 43.1 2.07E+03 21.3 3 ヶ 月 C3BN 122.8 19.9 42.2 1.53E+03 17.8 C4BN 107.5 20.5 52.8 8.95E+02 13.3 C5BN 116.5 20.1 54.8 1.10E+03 13.0 根 元 6 ヶ 月 C6BN 122.9 20.0 51.5 9.08E+02 13.3 C1TN 92.3 20.0 54.7 3.65E+03 16.0 C2TN 91.6 20.0 56.4 3.77E+03 16.3 3 ヶ 月 C3TN 93.0 20.0 49.3 3.44E+03 17.1 C4TN 93.7 19.9 52.7 3.44E+03 13.4 C5TN 89.5 20.1 54.7 2.95E+03 13.7 節 有 先 端 6 ヶ 月 C6TN 80.8 20.0 58.6 4.15E+03 13.2 表-4 圧縮試験体形状及び実験結果 図-6 圧縮試験形体状B
2
B
1
D
1
H
D
2
3.6 割裂試験 竹は繊維と直角方向の引き裂き力によって繊維 方向に沿って割れやすい性質を(割裂性)を有し ている。この強度を測定するために以下の方法で 割裂抵抗を測定する。 / / P A N cm = 割 裂 抵 抗 ( k ) : P 最 大 荷 重 ( k N ) : t 割 裂 面 の 幅 ( c m ) 圧縮試験で使用する試験体の形状は図-7 の とおりである。形状寸法と実験結果は表-5 に示 す通りで試験体数は8 体とした。試験体加力方法 は試験体を繊維方向に配置し、円孔に2 個の半円 形状の治具を差し込み上下方向に加力を行った。 実際の実験の加力方法は写真-1 に、破壊状況は 写真-2 示すとおりである。試験体 SP3T および SP4T は加力に不具合が生じたためデータとして の採用はしなかった。 3.7 実大曲げ試験 曲げ試験用に行った試験は加力試験のために 部分的に断面を平滑にする必要がある。このため に断面欠損が生じる。実際に断面欠損のないまま に加力を行い、曲げ強さ、ヤング係数を把握する ことを目的として実験を行った。 I :断面 2 次モーメント (mm4) D :外径 (mm) 表-5 割裂試験体形状及び実験結果 標点 距離 厚み 応力度 含水 率 試験体 [mm] [mm] [N/mm] [%] SP1B 48.20 9.25 81.66 14.19 3 カ 月 SP2B 48.15 8.95 83.85 14.26 SP3B 47.70 8.90 76.96 10.89 根 元 6 ヶ 月 SP4B 48.00 9.25 70.76 10.60 SP1T 48.30 6.40 93.50 14.00 3 カ 月 SP2T 47.95 6.20 90.98 13.86 SP3T 48.20 6.30 14.18 節 無 先 端 6 ヶ 月 SP4T 47.60 6.50 12.60 図-7 割裂試験形体状 写真-1 割裂試験加力状況 写真-2 割裂試験破壊状況 I=(π/64)×{D4-(D-2t)4} σ=F×L×(D/2)/(6×I) E=23×F×L /(1296×σ×I)
Φ
L
T
B
l
σ :最大曲げ応力度 (N/mm2) E :曲げヤング係数 (N/mm2) F :最大荷重 (N) L :スパン (mm) δ :最大たわみ量 (mm) t :平均厚さ (mm) 試験体形状は表-6 に示すとおりである。加力試 験方法は図-8 に示すように 4 点支持とした。試 験結果の一覧は表-7 に掲げるとおりである。ま た、実験状況の写真を写真-3 から 6 に掲げる。 図-8 実大加力試験装置 変位計 試験体 荷重 載荷梁 ロードセル ピン支点 表-6 実大試験体形状 径(mm) 厚み(mm) 縦 横 上 下 左 右 右 141.0 129.0 16.4 14.4 14.9 15.0 B1 左 106.0 111.0 10.0 9.0 8.8 8.2 右 101.0 108.0 8.9 7.8 8.4 8.0 B2 左 79.0 76.0 7.1 8.0 7.4 7.1 右 90.0 7.15 8.4 8.1 11.2 7.9 E1 左 120.0 119.0 13.5 11.4 13.3 14.8 右 79.0 7.15 7.3 6.5 6.3 6.0 E2 左 54.0 56.0 5.0 5.4 5.5 4.9 表-7 実大試験結果 最大曲げ応力度 σ 曲げヤング係数 E 試験体 (N/mm2) (N/mm2) B1 76.8 1.51E+04 B2 61.2 1.48E+04 E1 71.8 1.32E+04 E2 77.3 1.60E+04 写真-5 E1 試験体最終変形状況 写真-4 B2 試験体破壊状況 写真-3 B1 試験体破壊状況 写真-6 E2 試験体最終変形状況
4 まとめ 実験を通して得られた結果は以下のとおりで ある。 4.1 竹諸形状特性 4.1.1 竹重量 竹は時間とともに重量が減少する。伐採直後の 重量としては、投影面積あたり、平均267N/m2、 長さあたり24.5N/m であった。この値は時間と ともに減少し、それぞれ199N/m2、19.6N/m と ほぼ20%程度の減少となった。また、太い物ほ ど重い傾向があるが、設計に当たっては、対象と なる孟宗竹の直径が125mm 以内であれば、投影 面積あたり350N/m2、あるいは長さあたり40N/m とすれば安全な設計が可能と考えられる。 4.1.2 孟宗竹の高さと円周の関係 孟宗竹の高さと円周の関係はほぼ以下の近似 式で表現される。
b
x
y
=
−
0
.
02
+
ここにy
:孟宗竹の円周(mm)x
:孟宗竹の当該高さ(mm)b
:孟宗竹根元の円周(mm) 4.1.3 節間と高さ 節間と高さについては、節番号が30 前後(番 号は下から上に向かう。)までは長くなるがそれ を境に長さが短くなる。また、節間の最大長は 350mm のものが多くみられる。 4.2 曲げ強度 曲げ強度は根元が先端よりも強い強度を有す る傾向が見られたが、節を有する場合は逆に先端 の方が強い傾向があった。経年変化による影響は、 節なしの箇所は、劣化するのに対し、節有りでは 強度が増した。3 ヶ月平均の値は 114~204N/mm2 と非常に変動が多きいものとなった。また、6 ヶ 月平均での値は123~169 N/mm2となった。竹を 丸の状態で使用する場合は、節が支点となるため に123.2 N/mm2が最低値と考えられる。 4.2.1 曲げヤング係数 ヤング係数は、節がない場合では、根元と先端 の値は等しく、3 ヶ月 1.73E+03 N/mm2となった。 6 ヶ月平均では、根元での値は減少したが先端で は高い値を示した。これに対し、節を有する場合 は経年とともに高い値を示した。節間の場合の3 ヶ月平均の値は1.41E+04~1.93E+04 N/mm2 と なった。 4.3 せん断試験 せん断応力度については、先端部が根元部より も強度がある。 伐採3 ヶ月後よりも 6 ヶ月後の方が大きな強度 を示した。 伐採3 ヶ月での平均せん断応力度は 12.89~14.93 N/mm2 、伐採後6 ヶ月時点では 13.03~18.75 N/mm2 であった。 4.4 引張試験 4.4.1 引張応力度 節無部分における破断応力度は経年に対して、 根元では-6%先端では 19%増となった。破断応力 度は189~223 N/mm2と鉄鋼の約半分の値を示し た。 節を含む試験体は伐採後3 ヶ月強度が節無し比 較し低い値となったが、伐採後6 ヶ月強度は節無 しの試験体を凌ぐ値の試験体もあった。 引張応力度としては節無し部の最低値189.9 N/mm2 を想定できる。 4.4.2 引張ヤング係数 節無しの試験体は経年の影響によりばらつき 3.32E+02~4.65E+02 N/mm2となった。 ばらつきは、節無しでは、根元では6 ヵ月後の ヤング係数が減少するのに対し、先端においては 逆に増大する結果となった。節を有する場合は逆 の傾向を示した。 節無しのヤング係数は3.45E+02~4.58E+65 N/mm2となった。 4.5 圧縮試験 4.5.1 圧縮強度 圧縮強度については、竹の位置(根元、先端)、 節の有無、経年の影響は顕著には見られなかった。 その値は、低いもので43.9 N/mm2、大きいもの でも58.5 と 60 N/mm2を超えることはなかった。 設計用としては節無しの部分を想定し、53.4 N/mm2程度を想定できる。 4.5.2 ヤング係数 節無し試験体根元部分のヤング係数は経年の影 響が少ない。 節無し先端部分は経年変化の影響により、増大し ている。 節無し部ヤング係数の最大は3.39E+03 N/mm2、 最小が1.94E+02 N/mm2と大きく変化した。4.6 割裂強度 節無しでの割裂強度は経年変化により5%程 度の減少が見られた。先端部分の値が大きく92.4 N/mm2となった。根元部分の値は6 ヶ月で 73.9 N/mm2となった。 節無し試験体根元部分のヤング係数は経年の 影響が少ないが節無し先端部分は経年変化の影 響により、増大している。節無し部ヤング係数 の最大は 3.39E+03 N/mm2、最小が 1.94E+02 N/mm2と大きく変化した。 4.7 実大試験結果 実大実験により得られた応力度とヤング係数 は表-8 のとおりである。この結果は実大試験 の場合、試験片による結果と比較し非常に低い 値となることを示している。これは、試験片を 用いた実験の場合、試験片を作成するさい、支 点でのめり込みを防ぐために竹の内側を平らに したためにより生じた誤差のほか、丸のままの 試験体と裁断した場合では、応力分布が異なる ためである。(図-9 参照)このため、使用状態 に応じた設計応力を用いる必要がある。
図-9: Bending moments in full culms and in split bamboo’s (ISO N315 より) 曲げ試験 (kN/㎠) せん断試験 (kN/㎠) 引張試験 (kN/㎠) 圧縮試験 (kN/㎠) 試験機関 曲げ強さ 曲げヤング 係数 せん断応力 度 引 張 強 さ 引 張 ヤ ン グ係数 圧縮強さ 圧 縮 ヤ ン グ係数 東京大学*1)
12.2
840 1.2
大分大学*2)14.4
1250 17.6
7.8
Washington State Univ.*3)10.5
0.8
9.9
4.4
Univ. Aachen *4) (推奨値)7.6
1800 0.9
15.0
3.9
本実験(試験片)19.0
1730 1.29
13.2
33.2
4.4 226
本実験(実大)6.1
1320
表-8 実大試験体形状 最大曲げ応力度 σ(N/mm2) 曲げヤング係数 E (N/mm2) 試験体 実大実験 表7 試験片 結果表1 (*1) 実大実験 表7 試験片 結果表1 (*1) B1(根元) 76.8 204.0 1.51E+04 E+04 1.73 B2(先端) 61.2 190.3 1.48E+04 E+04 1.73E1(根元) 71.8 204.0 1.32E+04 E+04 1.73
E2(先端) 77.3 190.3 1.60E+04 E+04 1.73 *1:3 ヶ月経過の試験体(節無し)平均の値とした。
4.8 既往データとの比較 実験結果の比較として既往の研究結果との比 較をおこなったものを表9 に掲げる。この表の 試験結果は、試験体の場所や形状がそれぞれ異 なることにより得られたデータである。非常に ばらつきがあるため、最低の値を使用するほか 参考文献 [1] 「東京大学農学部演習林報告 第 36 号」、 昭和23 年 12 月 PP134~PP186 [2] 大分大学福祉環境工学科木質構造研究室 HP
[3] International Code Council Evaluation Service (ICC-ES), “Mechanical Properties of Bamboo”, April 12, 2002
[4] Institute for Structural Design Dr.-Ing. Evelin Rottke Reiffmuseum Schinkelst.1 52062 Aachen
安全率を考慮して使用する必要がある。 Univ. Aachen *4) による一連の竹に関する 実験を通して、許容応力度として表-10 の値を 推奨している。このほかICBO*8)では設計用の 安全係数としてヤング率は1.0 それ以外の曲げ、 引張、圧縮とせん断には2.25 が使用されている。 [5] 北原覚一著「木材物理」,森北出版、1972 年11 月 30 日
[6] “ Bamboo Structural Design”, International Standard Design ISO/TC 165/N313, N314, N315 [7] 「愛知万国博覧会に構築するリフトアップ 式工法による竹構造物の研究」、中部大学工学部 建築学科、平成16 年度第 1 種 卒業研究 [8] ICBO Evaluation Service, Inc.,
“ACCEPTANCE CRITERIA FOR STRUCTURAL BAMBOO”, AC162, March 2000
表10 許容設計応力(ICBO Evaluation Service) 曲げ強さ (kN/㎠) ヤング係数 (kN/㎠) 圧縮強さ (kN/㎠) せん断応力度 (kN/㎠) 引張強さ (kN/㎠) 竹(POLE) 2.07 1617 0.802 0.144 1.53