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ラック型工具による歯車の冷間転造 : しめつけ係数と工具押し込み部の形

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Academic year: 2021

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(1)

1

9

7

フ ッ ク 型 工 具 に よ る 歯 車 の 冷 間 転 造

(しめつけ係数と工具押し込み部の形)

久 野 精 市 郎

C

o

l

d

-

R

o

l

l

i

n

g

o

f

Gears

by

Forming Racks

(Tight Factor and Tapered Design o

f

Tool Racks)

S

e

i

i

c

h

i

r

o

KUNO

転造工具の歯先はその押し込み位置に応じて素材の円ピッチとの差による力を受ける.この関係をしめ つけ係数と定義した.つぎに工具片の破損実験により,一歯当りの押し込み量としめつけ係数に関する安 全領域を求めた.また各押し込み位置で工具歯先に等しい力が加わるような,すなわちこの限界領域を満 足するラック工具の押し込み部分(テーパ部の歯先曲線)の形を求めた.

1

.

まえがき ラック型工具で歯車を転造する場合の工具押し込み部 の形については,詳細は明らかでない.まず,ラック型 工具で転造する場合のしめつけ係数の関係を求めた.つ ぎにこれとー歯当たりの押し込み量を変数とし,ラック 工具片による破損実験を試み,しめつけ係数と押し込み 量の関係を求め,その安全な領域を示した. また,乙の関係を満足する,すなわちしめつけ係数が 大きくなるほどー歯当たりの押し込み量が小さくなるよ うなラックの押し込み部分の歯先曲線の式を求め,その 計算例を示した.

2

.

しめつけ係数 ラック型工具による転造の際のくい込みに作用するラ ックの歯先の部分は,相手の歯底ピッチの大きさに応じ て,ピッチ線方向のしめつけ力を受ける.この力法ラッ クの歯先の位置が素材のピッチ円付近ではOになるが, それより歯底に近い部分ではピニオンの創成に伴なって 次第に大きくなる. 転造歯車の素材外径は製品外径より一般に小さしま たラックの押し込み部分で転造する場合は,すでに割り 切りされているので,歯底の径が素材外径よりピッチ円 になるまでのしめつけ量はさして問題にならない.また この部分ではラックの歯丈も正規の部分よく低く,丈夫 である. (b) 図

1

ラ ッ ク 工 具 と 素 材 図1でラックのテーパ部分(押し込み部分〕で転造す る場合の歯底円半径を rr=Oqとすれば

Y T~Y 2 coS e (1 + tαn8 tαns) =Y3 cos8 ( 1 担π8tαπβ)

'6s= (Y3 -Y2) sin8 tanβ Y T I 2 tan 8 tαη s 1

一五可{亡耳元言古

f

sin8 tanβ ~2YT tαπ28加 がβ 予言+tT=(2Yr

十五二石)

tα吋 土 2Y,(tan8十 担π'8加 がs) キ2Y T tαπ8 ただし ()=π/Z Z:ピニオンの歯数 s:ラックのテーパ角 したがって rrm=27rtan()+Re

-

(1) とし,この Reをラック型工具で転造する場合の工具の “しめつけ量"Tight Valueと名ずける.また単位ピッ チ当りのしめつけ量を Re/πm=R

H

H

.

.

.

.

.

H

. . 0 . .

H

....(2) とし,このRをラック型工具で転造する場合の工具の “しめつけ係数サ TightFactorと名ずける. ReまたはRが大きいほど,ラック工具の歯先には無理 な力が加わる.

(

1

)

より Reニ

π

m

l

1

3

tan

)

3) R = 1-

αt

サ一一一一一一一一ーイ

4)

3

.

実験方法 素材は SNC21 の焼ならし材で,硬度は Hv260~270で ある.その組成は表

UC

示す. 表

1

素 材 の 組 成

%

素材径 1C 1 Si

I

Mnl P

I

S

I

Cu

I

Ni 1 Cr

4ω(o

坤幻判。叫

o

2

3

3

4

耐 10

坤ぉ

│o

判。叫

oω010

吟印

33

(2)

198 久 野 精 市 郎 図

2

素 材 の 形 モジューJレは1, 1.25,

1

:

5, 2 ;歯数は各2種とし,歯 巾を 10 とした.乙れを図 2~C 示す形lと, 計算外径(1)の 値lζ旋削した. ラック工具の材質は SKD11 とし, ζ の形は図 3~乙,組 成は表 2~C 示す.

心 以

V

"

'

司 図

3

ラ ッ ク 工 具 表

2

工 具 の 組 成

%

C

Si1 Mn 1 p_1 S Cr _1

_

_

l

"

1

0 1

v

1

0

.

3410

o

1U'011

26 乙れを歯切り後9500より泊焼入れし ,1500焼戻しして 硬度をHRC58~60 とした.全歯丈は 2.25m で,歯末の 丈を1.25m ,歯元のたけを1mとした. 素材の各歯底円直径はつぎのようにした.基準の歯底 円直径をrro= (Z/2-1.25) mとすると最大しめつけ係 数は Z-2.5

R

冊 目 ,.=1

一一

-r-uhT

5

)

である Rn=Rmax:

n/4とし, n=1, 2, 3, 4とす る.との場合の各 Rn~こ対する転造途中の各歯底円半径 をrrnとすれば(2),(4)より 2y,..=m {π(1-f)cot

す+?一

(Z-2・5)

l

)

となる.との場合の各転造代はむ=0.2

02=0

.

4

os= 0.6

04=0.8

05

=1.

0

とした. 表

3

歯底円直径

2

rrnの値

│ 1

1

2

1

3

'

-

T

4

R/Rmax. 1 0.25 1 0.5

I

0.75

1_~_._cJ

1m I 40Z I39. 31 1 38. 71 1 38

3'7.50 5回 149 ぉ 148.721必 11147.50

m

l

竺 也

2138.37137 位 136.88 4回 149.141必 391 47. 63 1 46. 88 噌 日 12

ロ│鈎必

138.53137.64136.75

J二J_~出8.

45

55.146.65

75 2m

I-~1Z

1 40. 51 1 39. 34 1 38. 17137. 00 2

551 47. 37 1 46

1駆動歯車 2素材 3,工具 図

4

ピニオン型転造装置 旋削後の素材を図4のピニオン型転造装置で予転造 し, ζの歯みぞの両側に高さhのプリズムを入れ,その 両端をマイクロメータで測定して歯底の直径を 偶数歯 2Ym十

2

6'π =測定値一2h 奇数歯 2Ym+26'n = (測定値一2h)/C08

n~ー

2Z になるようにした. 1.油圧シリンダ 2;連動ラック 3.ピニオン 4‘転i宣素材 5工具 図

5

ラック型転造装置 これらの素材を図5のラック型転造装置に取り付け, 両側l乙2個の工具片を付け,とれを各々逆向きに油圧で 送り,それぞれ九の部分を転造して転造後の歯底円直径 を

2

rrnとした.転造には切削油は使用しなく,またその 線速度は 0.8m/min に,最大転造推力は 2.5t~ζ 調整し た.

(3)

199 ツック型工具による歯車の冷間転造 実験結果

4

.

γ、 ム )( ム × ム ム ム 1 m 50Z

b

o

¥

¥ 0

q

0.6 ム

1.0 × 企込

0.75 × 企込

0.5 × 乙込

0.25 × よ とh lm40Z ①

lム 1 1 ① 一一了i 0.6 i込

1.0 L:o込

0.75

自 民 間 同 ¥ 民 起 訴 猛 れ 一 円 γ 宏 ¥ ﹂ 0.5

0.25 1.0 0.8 0.4 0.2 1.0 0.8 0.4 0.2 1.25m 40Z × ム ム

1.0 X ム × ム × i込 ム ム ¥ 0

h

0.(;

0.75 × 企込

0.5 × t三h

0.25 ×

ε

斗 1.25m 32Z ① I

0

¥

I Iム 1 1 1

0.6 L:o込

1.0 t三込

0.75

E h M h ¥ 同 ﹄ 品 類 川 町 玄 一 ( γ 宏 、 ﹂ 0.5

0.25 十一ー一一寸←一-1.0 0.8 0.4 0.2 1。司 0.8 0.4 0.2 X × × ム

。¥ ¥ム

h

l目5m33Z 1.5m27Z L.

1.0 × 乙込 ム

1

0.75 × tとh と込

0.75

0.5 × よとh ¥ム

0

<

自 信 同 ¥M 円 近 判 細 川 何 千 台 や 宏 、 ﹂ 0.5

0.25 × 止斗

0.25 1.0 0.6 0.4 0.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2

¥

¥ 0 G 一一γ4 0.4 0.6 0.8 一樹当りの押し込み量 (mm)

¥

o ¥

¥ 0 ① 2m 25Z 2m 21Z ム ム

1.0 × と込

l

L.

0.75

0.75 L. × どL

0.5 ム

バ 百 足 同 ¥ 同 三 割 州 M 5 h -p n z J 0.5 ム 1.0

0.2 0.25 ム 02 0.4 OA 0.8 -~担当りの押し込み量 (mm) 1.0

0.25 0 :円滑に転造可能 ム . 工 具 の 部 に 損 傷 X' I共lこ非治な破損 R:転造途中のしめつけ係数 Rm=最大しめつけ係数 図

6

ラ ッ ク 工 具 の 破 損 状 況

(4)

Z テ ー パ 部 と 座 標 mZ-2y R=l一一一一一一tαητ7一一一一一一 一一一(1

J[m /,

J

I

E

外 十T A 1ラックのピッチ線 民 日 市 精 野 結果を図 6vこ示すa 実験は各項目について数回行い, そのうちで全て円滑に転造できたものを

0

,工具の一部 に損傷のみられたものをム,非常に破損の激しいものは ×印で示した.すなわち工具に異常がなく,転造が可能 な範囲は図の

O

印の部分で,安全範囲は斜線より下の領 域である. これは 1m40

,50Z ;

1

.

25m32

4

0

Z

;

1

.

5m27Zでは しめつけ係数

R

v

と対して R=-3.75 O .Rm日 +2,5Rm口 久

2

0

0

テーノf型のラック工具を 2個使用する場合のラックの単 位長さ当たりの高さは 2ii/刊 zZである園したがって dy 買C

R

五 = 詞

Z

(a-b

τ

ニ)

=C

(A-By)← (11) fこだし し

T

こがって S三五0.66-0.267τE一 一一一一一一一←ー (7) 4“ 官tax

1.5m 33Z ;

2

m2

,1

25Z

では

R=-3.75o

Rm

+3.25Rm

6

I Z

π¥

ζ

Jr

tany)

(

1

2

)

一 四 A B 2 2 b π

-" ← πmZ J[叫 771U

7 7

log (A-By)ニ 川 十

C

条件 (0,0) , (Xo, km) より A A X y = B i

1-

(A-

)

X 0

1

-

- -

-

-

-

(

1

3

)

となる. 転造の際にしめつけ係数が影響を及ぼすのはテーパの 部分の歯がピッチ線より先に出る部分,すなわち歯末の 部分である. ピッチ点付近では

R

=T

O

,歯底では

R=

R

m

a

x

.

であるから工具の歯先の部分の一歯当たりの押し 込み量5は一般に

ò~五 0.86-0.267 て旦一一一一一一 (8)

"

"

ただし, Xo ラックのピッチ線と歯先線との交点よりテ ーパ終了部までの長さ ,km ラックの歯末のたけ ()三五

α-6

u _-__-__-__v_!(_ ー ーイ9) ..LL.max.

(ラ立1

+

慣行

山 } 十 (14) A 2 k6 tan~子|

-

-

-

-

-

-

-

-Z士五五

1

3

-

1.I 江(α b)ハ Rma;;;. 各係数の値は

す=[(1十)

と表せる.ただし

a:

ラックの歯先がピッチ点に達し たときの押し込み量;a-b:ラックのテーパ部終了部分 でのー歯当りの押し込み量

5

.

テーパ部の形について ラックのピッチ線とテーパ線(押し込み部の歯先線) の交点を原点として図 7のように座標をとると,しめつ け係数R はつぎのように表せる, 、同 "I~ ~

1.35

1

.

3

3

1

.

2

9

1.

3

1

R!Ill!l' 最大しめつけ係数

0

.

1

3

1

"

2 0 ω

N

I

'

"

に え 0.11 0.07 E '"匂 0.05 Z π 2

2

t

a

50 45 イ 直 40 の 35 数、z, 数 布 市 F ' 什ι 。 持 泊 各 25 図

8

2

0

0

.

0

3

(5)

ラック型主具による歯車の冷間転造

2

0

1

( 1ゆ, (14)の計算に使用する各係数の値を図8に示す. ~ 0.3 h 日.1

お 却 1 日 一 一 = 一 一 一 = z h m h 0.2 l ω 2 C口 300 40C 日)0 ラックL具の押し込み部の長さ,:r;'nul/; (α) η

( 雲 氏 一 人 { Z~35 0.2 0.1 ラック工具の押し込み部の長さ ,X IIIII/) 、b! Y: (0,0), (xo,1.25m)を通る直線からの高さ (1):C=0.4

d=O.l (2):Cニ0.4

d=0.15 (3) : C=O.4, dニ0.2 (4):C=0.3, d=0.05 (5): C=0.3

d二 0.1 c 点

(

0

0

)

でのー歯当りの押し込み量 d:点(xo,1.25m)でのー歯当りの押し込み量 図

9

ラック工具の押し込み部の形(計算例)

6

.

計 算 例 図7において原点から z方向の最大長さをXoニ500と し, (13)式のyの値より点 (0,0)

(Xo, 1.25m) を通 る直線の高さ (y座擦の値)を引いた値をYとすれば Y=y-1.25mxjx 0 . 一一一一 一一一(1

と表せる,このXとYの関係を求めて図9lこ示した. ~ . 結 論 (1) ラック型工具で転造する場合の工具歯先にかかる力 の関係を歯数Z,転造途中の歯底円半径rrlζ対して

日一台

tan

Re=

πm

として表し, Rをしめつけ係数, Reをしめつけ量と名 ずけた. (2) Rと一歯当たりの押し込み量での工具に及ぼす各モ ジューノレ,歯数別の破損関係を求め,その安全範囲を 示した. 最大のしめつけ係数Rmax.に対し,素材の各歯底位 置でのー歯当たりの押し込み量B

o

~玉 0.66-0.27て旦ー

"'m口 である. (3) 一般に素材のピッチ線の部分 (R=T0)の部分の押 出し込み量 a,基準歯底部分(Rmax.の部分〕の押し込 み量a-bl乙対して,転造途中のー歯当たりの押し込

ι

み量は 話

α-6

ι

-H作1αx である. (4) ラックのピッチ線と歯先線との交点を原点とし,そ こからの長さをむ歯の高さをyとすれば,ラックの 押し込み部分の歯先曲線は y =

α(1

~ß- γ切) の形で表される. また,この式による計算例よりテーパ部分の形が明ら かになった. おわりに, ζの実験lこ際して工具の製作等で本学技 術員春日井一男氏のお世話になった.厚くお礼申し上 げます. また,この論文をまとめるにあたり,詳細な御検討 を頂き,貴重な御意見と御支援を賜れた東北大学の槌 川武男教授に心からお礼申し上げます. 参考文献 (1) 成瀬政男:歯車の明性加工,養賢堂, 1963.

参照

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