土の塑性変形安定度
山田宣良・白神浩一・藤井広志*・渡辺秀則**ON THE MECHANICAL STABILITY OF SOIL
TO PLASTIC DEFORMATION
NoriyoshiYAMADA,KohichiSHIRAGA,HiroshiFuJII
and HidenoriWATANABE
At present,meChanicalproperties of soilis decided by both triangular soil Classification chart system and plasticity chart usedin unified soilclassification
SyStem
In this paper,in addition to above−mentioned methods,the autherstried todecide the mechanicalstability of soilto plastic deformation,and propose a new method which is based on unconfined compressive strength and water Ietention characteristic of soilat LL and PL moisturelevel
As results of experiments using5kinds of soilsin Kagawa prefecture and kaolin, next4factors combinedwith unified soilclassification system prove more available to decide the mechanicalstability of soilto plastic deformation
(1)Strength variation:difference ofuncon董inedcompressivestrengthbetweenLLand PL
(2)Strength gradient:the value o董strength variation divided by the plastic index (Pl)
(3)Compression moisture variation:Change of pF−mOisture characteristic before and after soil compression
(4)Remolding moisture variation:Change of pF−mOisture characteristic before and after soilremolding キーワード:土の工学的分類,−軸圧縮強度,pF特性,塑性変形 緒 ロ ー・般に細粒土は,含水量の減少に伴って液体から固体までその状態が変化するが,液体と固体と の中間で水分を適度に含み,外力が加わると変形して,力を除いても変形が残留する状態(塑性) を示す水分範囲について,土壌・土質の分野では上限を液性限界(LL),下限を塑性限界(PL),両 者の差を塑性指数(PI)と定義している(l) そのうちLLを横軸に,PIを縦軸にプロットした図で,細粒土の分類基準に利用されているのが塑 性図であり,統一土質分頼法に利用されて,土の工学的分類による建設分野での土の量的な取扱い に不可欠な判断基準となっている(2) *鹿島建設 **村本建設
香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 56 現在では,このように土のLL,PLなどのコンシステンシ・−の測定値によって土の性質が判定さ れており,それ自体は非常に有意義なことではあるが,これらの数値は420/上mふるいでふるい分 けられた細粒土を対象にしており,しかもすべて含水比のみで表示され,力学的要素に乏しいのが 欠点ではないかと考える たとえば,従来PIは.LLとPLとの水分差で表示されていたが,それと同時にLL時,PL時の原土の 力学性およびその差,外力が加わったときの保水性の変化などを加えて士の塑性領域の性質を表示 することによって,さらに実用性の向上が期待できよう.それによって,耕転や土木施工等,土に 外力を加えた場合の塑性変形安定度が得られ,より合理的な作業計画が設定できるものと考える 供試試料の物理的性質
実験には香川県下の5種類の土(五色台A土,五色台B士,由良山土,堂ケ平土,鬼無土)と原
料粘土(カオリン)を供試した.それらの試料の物理性測定項目としては,土粒子の密度,粒度 (砂分,シルト分,粘士分),コソシステンシー(LL,PL,PI)の7項目を対象としたその結果 を土の工学的分類法にもとずいて図示すると図−1のとおりである 塑性図 命 令 者 帝 砂分(%) 図−1 供試土の工学的分類この図からわかるように,粒度をもとにした三角座標から判定すれば,カオリン,五色台A土, 由良山土,五色台B土が細粒土(F)に,また堂ケ平土,鬼無土は砂質士(SF)に属する コソシステンシ1−・をもとにした塑性図から判定すると,五色台A土はC’Hに,五色台B土とカオ リンはMHに,鬼無土,堂ケ平土,由良山士はMLに属する。ただし鬼無土,堂ケ平土は砂質土であ るので,分類上はそれぞれSC,SMとなる これら6種頬の試料のうち,カオリンを除く5種類の試料はA線または破線の付近にプロットさ れ,分類上C(粘土)とM(シルり の中間的性質をもつ士であることがわかる 現在行われている土の工学的分類においてほ,前述した三角座標および塑性図による分類をもと にして,せん断抵抗や変形抵抗などの6項目にわたる土の力学的性質を推定しているが(3),今回の ように,多くの試料が中間的位置にプロットされる場合,測定値のわずかな変動によっても異なる 結果となるので,その意味からも,土の粒度やコンシステンシーと同時に,力学的性質を実測して おくことが必要に.なるものと考える 塑性変形安定度に関する実験 1一軸圧縮試験の結果と考察 一朝圧縮試験ほ側方拘束のない状態での土の圧縮強度を求める試験であり,粘性土地盤の支持力 計算や斜面の安定計算に応用されている ここでほ」乳乾試料と練り返し試料をLLおよびPLの水分に調整して成形し,JIS A1216に準拠し て−・軸圧縮強度を求めたu その結果は表−1に示すとおりである. 表−1 試料の一朝圧縮強度 (風乾試料) (A) (B) (練返試料) (B) 含水比 ̄度塑性指数
一朝圧縮強度強度差B/A
(%) (105pa)(105p往)(10−2) 五色台A土 105.2 0.094 0088 462 2。044 59.0 1、95 330 0‖961 0.873 1.48 0.052 0五色台B土 57.5 39り2
0い291 18一3 0239 1.30 0、194 0.194 1.06 0小276 0191由良山土 29。5 23.5
0654 6.0 0.378 6.31 0。、325 0い134 223 0097堂ヶ平土 35.4
0 0,216 68 0.119 1.75 0一.065 0.065 0.95 0、095 0鬼 無 土 46.0 28.6
0て26 17.4 0.631 3り63 0い380 0い380 2い18 カ オリ ン 573 0,614 0.065 468 0。767 105 0‖153 1.46 0.316 0。251 2、39香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 58 表−1における強度差は,水分がPLの時の−・軸圧縮強度から,LLの時のそれをさし引いた値で あり,強度勾配は強度差を塑性指数で除した値である−(いずれも筆者らの提案) この表からは.,つぎのことがわかる ①小 一・般に水分がLLの時の−・軸圧縮強度は,PLのときの値よりはるかに小さく,ほとんどゼロ に近い ②.練り返しによって一朝圧縮強度が低下する(鋭敏比)ばかりでなく,強度差とそれに伴う強 度勾配も減少する傾向がある ③.強度勾配は塑性指数の大小とは必ずしも対応しておらず,コソシステンシー・とは異なる尺度 に基ずいた士の判定基準となる可能性がある これらのうちで①と②とは,土の構造性との関連性で理解できる..すなわち,−・般に粘土はLLの 測定時のように多量の水分を含んだ状態で練り返しを行うと骨格構造が破壊され,強度が極端に小 さくなるが,砂分やシルト分を含む試料の場合や,練り返しを行わない測定の場合には,土の構造 性に起因する強度が発現しているものと考えられる ③の強度勾配は,水分の変化に伴う一朝圧縮強度の変化を表す指数であり,筆者らはこの値が土 の塑性変形安定度の指標として有意義なものとなると考える.具体的には,強度勾配が大きい時に は士の水分変化に伴う強度の変化が大きいことを示し,作業の難易度が水分によって大幅に変動す る土であることがわかる. したがって,③の趣旨を生かせば,強度勾配と塑性指数とを併用することがより合理的な方法と いえる.とくに練り返し土の測定値は,現地の土との適合性が高い数億を提供するものと期待でき る pF試験の結果と考察 pF試験は土の水分保持特性を知るうえで重要な試験であり,吸引法,遠心法,加圧板法,蒸気圧 法,サイクロメー・タ法など多くの方法が実施されているが,ここでは迅速かつ簡便に潜果が得られ る遠心法を選定した. 試料としては標準試料の他に,自然含水比状態の土に100KPa程度の応力を加えて圧縮したも の,同程度の応力で練り返したものの合計3種類を供試しトISFT151に準拠して測定を行った.そ の結果は表−2に示すとおりである 表−2における圧縮水分変化率ならびに繰返水分変化率は,PF2(粘性土ではLLに近い)∼pF 3(粘性土でほPLに近い)の間の圧縮試料と練り返し試料との水分変化量および標準試料に対する 比率を表しており,この値が1.0に近いほど,その土の塑性領域における圧縮および練り返しの影 響が小さいことを示している 表−2からほつぎのことがわかる ①.圧縮によって試料の保水性は低下し,飽和水分量には著しい差を生じるが,高pFになると標 準試料と同程度の水分量となる
②,練り返しを行うと,飽和状態の水分量は標準より少なくなるが,それ以外ではむしろ同一
pF値での水分量が多くなっている ③小 圧縮水分変化率は標準の0.48∼0..85倍となり仁圧縮により保水性はかなり減少するが,練返 水分変化率ほ088∼1.38で,試料によって保水性の変化が異なる傾向を示す ④.五色台B土は仁圧縮,繰り返しの影響を最も大きく受け,逆に由良山土はその影響が最も小 さい試料である これらの結果のうちでとくに③と④は,圧縮水分変化率ならびに繰返水分変化率が,単なるコン表−2 pF特性の変化 五色台A土 五色台B土 由良山土堂ヶ平土 鬼 無 土 カオリ ン 標準 126.3% 587% 5臥0% 784% 48.1% 1003% pFO 圧縮 79.9% 328% 369% 55,3% 24い2% 547% 練返 117.2% 53.8% 348% 63−4% 35.2% 82.6% 標準 892% 31.5% 27り4% 42い6% 23.2% 59.2% pF20 圧緬 716% 272% 25.4% 40.6% 186% 46.2% 練返 978% 374% 27.6% 46.0% 26り7% 59.9% 標準 73‖9% 27,6% 22,0% 353% 1臥9% 52.1% pF25 圧縮 65.5% 25.8% 21.2% 361% 16.3% 440% 練返 88い0% 32.6% 23小2% 37‖7% 23.1% 52‖7% 標準 58.3% 25小0% 17小0% 30.0% 15′5% 42.8% pF30 圧縮 54.5% 24小1% 16小6% 30.4% 141% 38.3% 練返 69い3% 2臥4% 17.1% 31小6% 19“1% 45り8% 標準 437% 220% 117% 24.2% 11.9% 24‖5% pF35 圧縮 43。7% 21り5% 11‖7% 24▲6% 11.6% 24‖2% 練返 51‖9% 242% 10.7% 246% 14小1% 27.2% 圧縮水分変化率 17.1% 3.1% 臥8% 10−2% 45% 7.9% (pF2∼3) (0.、55) (048) (0。85) (b.81) (0小58) (0.48) 練返水分変化率 28小5% 90% 10′−5% 144% 7.6% 14。1% (pF2∼3) (0い92) (1。38) (1.01) (1.14) (0‖99) (088) システンシー とは異なる尺度の因子となりうるものであることを示しているものと考える ま と め 本論文で得られた実験の結果をまとめてみると表−3のように.なる この表における判定基準ほ相対的な値を用いており,大,中,小ほ6種類の試料の中での比較で ある 表−3からわかるように,堂ケ平士は強度,水分ともに塑性変形安定度が高く,五色台A土はと もに中位の安定度をもっている.五色台B土は強度の安定度が高く,水分の安定度が低いのに対し て,由良山土は逆に強度の安定度が低く,水分の安定度が高い 五色台B土と由良山土は,それぞれMHとMLとに分類されるので,その意味ではLLの影響が現 れている可能性がある 鬼無土とカオリンはともに明白な傾向に乏しいが,両者とも繰り返しによって強度の安定性ほ低 くなるのに対して,水分の安定性は高くなっており,その意味では練り返しの影響を受けやすい土 といえよう
香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 義一3 各試料の塑性変形安定度 60 強度勾配 水分変化率 塑性変形安定度 分 類 風乾 練返 圧縮 練返 強度 水分 五色台A土 C’‡Ⅰ 中 中 中 中 中 中 五色台B土 MH 小 小 大 大 高 低 由良山土 MIJ 大 大 小 小 低 高 堂ヶ平土 SM 小 小 小 中 高 高 鬼 無 土 SC 中 大 中 小 やや低 やや高 カ オリ ン′ MH 小 大 大 中 (練返により変化) また,五色台B土とカオレリンとはともにMHに属しているにもかかわらず,塑性変形安定度がか なり異なっていることもわかる 以上のことから,従来から行われてきた土の工学的分棋(三角座標と塑性図とを用いた分類)に 加えて,LLとPLとの間の土の強度勾配,ならびに外力を加えた場合の水分変化率から判定した 「塑性変形安定度」の概念を導入することにより,力学性をも考慮したより合理的な設計指標が得 られることが確認できたものと考える 要 約 現在,土の工学的分類では,三角座標および塑性図をもとにして士の力学的性質を判定 してこいる.本論文では,これに加えてLL時,PL時の−−軸圧縮強度ならびに水分保持特性 をもとにして∴土の塑性変形安定度の判定を試みた 香川県下5種煩の土とカオリンとを供試して実験を行った結果,次の4因子と従来の土 の工学的分摂とを組み合わせることが有意義であることが判明した (1)強度差:水分がLL時とPL時のときの一朝圧縮強度の差 (2)強度勾配:強度差の億をPIで険した数個 (3)圧縮水分変化率:土を圧縮した時のpF一水分特性の変化 極)練返水分変化率:士を練返した時のpF−水分特性の変化