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Microsoft PowerPoint 名古屋大学講義第1回

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Academic year: 2021

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名古屋大学理学部生命理学科集中講義 「霊長類の採食生態: 適応と進化」 第1回 イントロダクション 京都大学霊長類研究所 半谷吾郎 • 生態学の目指すもの • 進化のメカニズム: 苦味受容体を例に • なぜ霊長類を研究するのか ボルネオ島のオランウータン

生態学: 個体以上のレベルの生物学

• 行動生態学: 個体レベルの生態学 • 個体群生態学: 個体群レベルの生態学 • 群集生態学: 群集レベルの生態学 • 生態系生態学: 生態系レベルの生態学 「生物の生活の法則をその環境との関係で解き 明かす科学」(「生態学入門」日本生態学会 (編)2004)

生態学の視座 1:

表現型の機能と進化 (ボトムアップ)

• なぜその表現型 (行動、形態、生活史パラ メータ)はその環境の下で進化したのか? • その形質は、その環境の下で生存するのに、 もしくは子孫の数を最大化するのに最適なの か?

生態学の視座 2:

個体群、群集、生態系の構造の維持

(トップダウン)

• 個体群密度はどのように維持され、どのよう なメカニズムで変動するのか? • なぜ多くの種が共存できるのか? • 一次生産、物質循環のような生態系機能は、 どのように維持されているのか?

生態学の視座 3:

保全生態学(応用科学)

• 生物多様性を脅かしている生態学的要因の 特定 • 生物多様性の危機を緩和するための生態学 的な方法の提案

講義の概要

• 第1回(10/31 10:30-12:00) イントロダクション • 第2回(10/31 13:30-15:00) 霊長類の食性の 多様性 • 第3回(11/1 10:30-12:00) 狩猟肉食行動とヒト の食性の進化 • 第4回(11/1 13:30-15:00) 霊長類が生態系で 果たす役割

(2)

名古屋大学理学部生命理学科集中講義 「霊長類の採食生態: 適応と進化」 第1回 イントロダクション 京都大学霊長類研究所 半谷吾郎 • 生態学の目指すもの • 進化のメカニズム: 苦味受容体を例に • なぜ霊長類を研究するのか ウガンダのクロシロコロブス

生物進化の条件①-変異

生物の集団の

中に、いろいろ

な性質を持つ

個体がいる

生物進化の条件②-遺伝

親の持っている性質が子に伝わる

生物進化の条件③-選択(淘

汰)

個体の持つ性質によって、子供を残す数が違う

生物進化の仕組み

第1世代 50% 第2世代 67% 第3世代 80% 1頭が平均2頭の子供を残す 1頭が平均1頭の子供を残す

生物進化の仕組み

0% 20% 40% 60% 80% 100% 1 7 13 19 25 31 37 43 49 55 61 67 73 世代

A

B

二つの性質の間で子供を

残す割合に5%差があった場合

(3)

遺伝子配列 ATGAAAGCAAGCGCTAATTAA http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2005/050720/index.html アミノ酸配列 開始 リシン アラニン セリン アラニン アスパラギン 終了 行動 社会構造、個体群動態、種間関係、 生態系機能、、、、 生理機能・形態 http://www.kzknan.info/sinkei.html たんぱく質 酵素: 特有の化学変化の触媒 生体を構成するたんぱく質(コラーゲンなど) 物質の伝達にかかわるたんぱく質 抗体(免疫反応を引き起こす) 遺伝子・細胞・個体レベルからみたニホンザルの苦味感覚 京都大学霊長類研究所・大学院生の鈴木南美さんの修士論文 ご本人よりスライドの提供を受けました

N. Suzuki, T. Sugawara, A. Matsui, Y. Go, H. Hirai, and H. Imai (2010) Identification of non-taster Japanese macaques for a specific bitter taste. Primates

51, 285-289

遺伝子から生態までつなげられるのか?

TAS2R: 苦味受容体の多重遺伝子族 (ヒトで25種類、チンパンジーで25-28種類) 1 3 4 5 7 8 9 10 13 14 16 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 60 PTC + シニグリン + + カフェイン + + + + + キニーネ + + + + + + + + +

(Meyerhof et al., 2010 Chem Senses. )

25種類の hTAS2R遺伝子に対応する苦味物質 PTC シニグリン ヒトの苦味受容体 : Orphan receptor シニグリンはアブラナ科の 植物に含まれる

ニホンザルとアカゲザルで

TAS2R38

多型

を調査

ニホンザル:12地域 268個体 アカゲザル:2地域20 個体 2 10 19 164 243 349 368 607 704 812 886 969 A T C G G C T G A G T G C B . . . . . . . . . C . . C . . . . . . G . . A . D . G . . . . . . . . . . E . G . . . . G . . A . F . G A . . . . G . . A . G . . . T . . G . . A . H . G . . . C . G A . A . I . . . . . . . . . . T J . . . . . . A . . . . . K C . . . . . . . C . . L . G A . . . . . . . . . M . . . T . . . . . . . . TAS2R38 (1002 bp) 2 10 19 164 243 349 368 607704 812 886 969 ニホンザルでは12箇所に多型部位があり、13のハプロタイプがあった TAS2R38 の多型 (* 赤: 非同義置換; 青: 同義置換) 開始コドンに突然変異: 機能に影響? KKZ JGD HGC THM SHG KII MNO ARY WKA SHD TKO KOS TAS2R38 ハプロタイプの分布 Kタイプは、紀伊集団だけに見られる

(4)

G‐gust PLC  β2 DAG IP3 IP3 Internal  Ca2+Stores Ca2+ ion Cell depolarization Neurotransmitters release β γ

苦味物質のシグナル伝達

Ca2+ Ca2+ 苦味物質 苦味物質が苦味受容体に結合 細胞内のCa2+濃度上昇 Ca2+ Ca2+

TAS2R38 haplotype A/B/K 

TAS2R38  培養細胞 遺伝子導入 TAS2R38 の遺伝子導入: 細胞レベルでの反応を実験的に調べる Ca2+ Ca2+ Ca2+ Ca2+ Ca2+ Ca2+ Ca2+ Ca2+ Ca2+ Ca2+ Ca2+ Ca2+ 苦味物質 PTC シニグリン (HEK 293 T cell) ハプロタイプA, B: Ca2+濃度上昇 ⇒ PTCに対して反応あり ハプロタイプK : Ca2+濃度変化せず ⇒ PTCに対して反応なし PTC添加後の時間 (秒) 細胞内 Ca 2+ 濃度 TAS2R38 機能アッセイ PTC添加 (1mM) PTC溶液に浸したリンゴをサルに与える 行動実験: TAS2R38 遺伝子の違いによる差異 開始コドン正常(ATG/ATG) 開始コドン正常(ATG/ATG) PTC溶液に浸したリンゴをサルに与える 行動実験: TAS2R38 遺伝子の違いによる差異 開始コドン異常(ACG/ACG) コント ロール PTC (**P < 0.01, *P<0.05, Student’s t test) リンゴを食べる割合 AB AB DF AB KK KK KK 個体番号 ** ** ** TAS2R38 遺伝子型 ** 行動実験: TAS2R38 遺伝子の違いによる差異 苦い 苦くない 開始コドン正常 開始コドン異常

(5)

紀伊地方での TAS2R38ハプロタイプの分布 0k 3k ・グルコシノレート群: アブラナ科に含まれる TAS2R38を活性化させる自然に存在する物質 ・リモニン: 柑橘類に含まれる シニグリン

(Meyerhof et al., 2010 Chem Senses. )

遺伝子・細胞・個体レベルからみたニホンザルの苦味感覚

京都大学霊長類研究所・大学院生の鈴木南美さんの修士論文 ご本人よりスライドの提供を受けました

N. Suzuki, T. Sugawara, A. Matsui, Y. Go, H. Hirai, and H. Imai (2010) Identification of non-taster Japanese macaques for a specific bitter taste. Primates 51, 285-289

遺伝子から生態までつなげられるのか?

遺伝子から生態までつなげるために • 紀伊地方だけ特別な植物がある? • それを食べられるかどうかが生存に重要?? • ほかの苦味物質なら・・・??? 難しそうだ

バーバリマカク

• 北アフリカの モロッコ・アル ジェリアの山 岳地帯に生 息 • 北アフリカ唯 一の霊長類 • アジア以外に 生息する唯 一のマカク

霊長類の分布

(6)

モロッコ、中アトラス山脈の針葉樹林 モロッコ・中アトラス山脈のカシ林

森林の樹木多様性は、北アフリカより

日本のほうが高い

地域 植生 調査面積 (ha) 種数 多様度 屋久島, 280 m 常緑広葉樹林 0.25 30 2.68 屋久島, 600 m 常緑広葉樹林 0.25 18 2.04 屋久島, 1050 m 針葉樹・常緑広葉樹林 0.25 21 2.27 幸島 常緑広葉樹林 0.63 56 3.03 志賀高原 落葉樹林 0.22 48 2.97 室生 落葉樹林 0.16 22 1.89 アルジェリア、Akfadou 常緑広葉樹林 0.5 4 0.71 アルジェリア、Djurdjura 針葉樹・常緑広葉樹林 0.5 10 1.87 多様度: Shannon-Weinerの多様度指数。 日本は各樹木種の基底面積、北アフリカは被度をもとに計算。 胸高直径5cm以上のみ。 Hanya et al. (2011)

ニホンザルとバーバリマカクの食性

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 屋久島・ヤクスギ林 屋久島海岸部 金華山 Akfadou Djurdjura 果実 種子 花 葉 その他繊維性食物 キノコ、地衣類 動物 その他 調査が12ヶ月以上にわたり、採食時間によって各品目の割合が示されている場合のみ。 Hanya et al. (2011)

縮合タンニン含有量

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012 屋久島 中アトラス 非食物 食物 屋久島では、全体として縮合タンニンの含有量が低く、サルはその中でも含有量の低 い葉を選択的に採食しているのに対し、中アトラスは全体的に縮合タンニンの含有量 が高く、サルは含有量に関わらず食物として選択している Hanya et al. (2011)

タンニン

• フェノール環を持ち、たんぱく質な どと結合して難溶性の塩を形成す る物質 • 植物に普遍的に存在し、動物に 食べられないための「防御物質」 としてはたらく • 「渋み」として感じる http://ja.wikipedia.org/wiki/

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名古屋大学理学部生命理学科集中講義 「霊長類の採食生態: 適応と進化」 第1回 イントロダクション 京都大学霊長類研究所 半谷吾郎 • 生態学の目指すもの • 進化のメカニズム: 苦味受容体を例に • なぜ霊長類を研究するのか ボルネオ島のブタオザル

霊長類の分類

原猿

新世界ザル

旧世界ザル

ヒトと類人猿

ヒトと類人猿はいつ分かれたのか?

テナガザル類 オランウータン ゴリラ チンパンジー ボノボ (ピグミーチンパンジー) ヒト 霊長類を研究する目的1: ヒトを理解するために霊長類を研究する • 霊長類はヒトに最も近い生物である • ヒトは霊長類に含まれる • ヒトの本性を理解するには、ヒトの進化の道筋 を明らかにすることが欠かせない • 行動や社会性のように、化石に証拠が残らな いものの進化を明らかにするには、近縁種との 比較が唯一の方法となる • 大きな脳、複雑な社会行動、狩猟肉食行 動、文化的行動など、ヒトに特徴的に発達 した特徴は、ほかの霊長類にも見られるこ とがある • それらの特徴が、自然環境で霊長類の生 存や繁殖にどのように役に立っているかを 明らかにすることで、ヒトの独特な特徴が 進化した環境要因を明らかにできる 「霊長類を研究する目的1: ヒトを理解するために霊長類を研究する • 霊長類は、陸上でもっとも生物多様性の高い生 態系である熱帯雨林を中心に分布し、そこで植 物の生産活動のほとんどが行われる樹上を自由 に利用できる数少ない大型動物である • 霊長類は、果実・葉・花・昆虫・キノコなど、多様な 食物を食べるため、さまざまな生物と強いつなが りを持つ、生態系ネットワークの要になっている (かもしれない) 霊長類を研究する目的2: 生態系を理解するために霊長類を研究する

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生物進化につい ての補足 1. 世代による生 物の「変化」は、 「進化」だけで起こ るわけではない >>寿命の長い 霊長類では特に 重要 http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2182.html

生物進化についての補足

2. 親から子に伝わるものは、遺伝

子だけではない

採食行動 • 生きるために必須の行動、適応的意義が 明確 • 生物の持つさまざまな形質に影響する(単 純な遺伝子によるコントロールから、複雑 な社会的伝達によるものまで) • 社会性や、知能の進化など、ヒトを含めた 霊長類独自の進化の基盤!!(地味に・・・) • 食べることを通じて、ほかの多くの生物と 関係を持つ

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