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特集 ロシアの地域経済と沿ヴォルガ 図表 1 沿ヴォルガ連邦管区の位置と地域地図 面積 (1,000 km 2 ) 図表 2 沿ヴォルガ連邦管区とその諸地域の概要 人口 (2014 年初 1,000 人 ) 地域総生産 (2012 年 100 万ドル ) 1 人当たり地域総生産 (2012 年 ドル

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(1)

沿ヴォルガ連邦管区の経済概況

はじめに

この月報では、ロシアの地域経済情勢に関する特集をたびたび組んでいる。今号はその最

新版ということになるが、今回はロシアの地域経済全般を扱いつつ、特に沿ヴォルガ連邦管

区を重点的に取り上げることにした。

沿ヴォルガ連邦管区は、ロシアのハートランドとも言える重要エリアで、とりわけ加工産業の

集積度が高く、そこに日本企業との接点も生まれる。内陸に位置しているため、港から遠く、

外国企業が現地生産を行う上で、若干不利な面もある。それでも、このエリアがロシア随一

の製造業集積地であることを、押さえておいて損はないだろう。

ロシアNIS貿易会では、対ロシアビジネスにかかわる様々な調査・交流事業を実施している

が、今年度は特に沿ヴォルガ連邦管区を対象とした事業が多く、最近も当会スタッフが沿ヴ

ォルガ各地に出向いて情報収集や聞き取り調査を実施している。

当会では、会員企業の皆様向けの情報提供サービスの一環として、「ROTOBO月例報告

会」を定期開催しており、12月18日には「ロシア沿ヴォルガ地域の経済動向」と題する報告

会を催した。各種の事業に取り組む中で得られた知見を、会員の皆様に共有していただくべ

く、企画したものだった。

月報の今号の特集「ロシアの地域経済と沿ヴォルガ」では、12月の月例報告会での報告

内容を含め、沿ヴォルガ全体と、各地域につき、様々な角度から論じていきたい。まず、本

稿では沿ヴォルガ連邦管区の経済について概況を解説する。

(ロシアNIS経済研究所 部長 服部 倫卓)

*写真はニジニノヴゴロドのクレムリン付近から臨むヴォルガ川の風景。写真の左の方から支流のオカ 川が流れ、ヴォルガ川に流入している地点。なお、写真左手の後方に、かすかに教会堂が見えるが、 それに隣接して2018年FIFAワールドカップの会場となる新スタジアムが建設される予定。 INTRODUCTON

沿ヴォルガ連邦管区の経済概況

И ПОВОЛЖЬЕ

ロシアの地域経済と沿ヴォルガ

(2)

図表1 沿ヴォルガ連邦管区の位置と地域地図

図表2 沿ヴォルガ連邦管区とその諸地域の概要

面 積 (1,000 km2) 人 口 (2014 年初、 1,000人) 地域 総生産 (2012年、 100万ドル) 1人当たり 地域総生 産(2012 年、ドル) 中心都市 首  長 インターネット (上段が公式HP、 下段が投資誘致機関) 沿ヴォルガ連邦管区 1,037.0 29,739 254,620 8,547 ニジニノヴゴロド M.バビチ大統領全権代表 http://www.pfo.ru バシコルトスタン 共和国 142.9 4,070 37,144 9,143 ウファ R.ハミトフ大統領 http://www.bashkortostan.ru http://www.kr02.ru マリ・エル共和国 23.4 689 3,785 5,474 ヨシカルオラ L.マルケロフ首長 http://gov.mari.ruhttp://investinmariel.ru モルドヴィア共和国 26.1 812 4,264 5,187 サランスク V.ヴォルコフ首長 http://www.e-mordovia.ruhttp://www.investrm.ru タタルスタン共和国 67.8 3,838 46,248 12,130 カザン R.ミンニハノフ大統領 http://tatarstan.ruhttp://www.tida.tatarstan.ru

ウドムルト共和国 42.1 1,517 11,957 7,877 イジェフスク A.ソロヴィヨフ首長 http://www.udmurt.ruhttp://udminvest.ru

チュヴァシ共和国 18.3 1,240 6,985 5,610 チェボクサルィ M.イグナチェフ首長 http://www.cap.ruhttp://investchr.ru

ペルミ地方 160.2 2,636 28,890 10,973 ペルミ V.バサルギン知事 http://www.permkrai.ruhttp://www.investinperm.ru

キーロフ州 120.4 1,311 6,835 5,165 キーロフ N.ベルィフ知事 http://www.kirovreg.ru http://www.razvitie43.ru ニジェゴロド州 76.6 3,282 26,991 8,195 ニジニノヴゴロド V.シャンツェフ知事 http://government-nnov.ruhttp://www.mininvest.ru

オレンブルグ州 123.7 2,009 20,257 10,029 オレンブルグ Yu.ベレグ知事 http://www.orenburg-gov.ruhttp://www.orbinvest.ru

ペンザ州 43.4 1,361 7,735 5,635 ペンザ V.ボチカリョフ知事 http://www.penza.ruhttp://www.krpo.ru

サマラ州 53.6 3,211 30,306 9,430 サマラ N.メルクシキン知事 http://www.samregion.ru http://www.economy.samregion.ru サラトフ州 101.2 2,497 15,364 6,131 サラトフ V.ラダエフ知事 http://www.saratov.gov.ruhttp://www.invest.saratov.gov.ru

(3)

沿ヴォルガ連邦管区

ヴォルガ川沿岸地域全体を、ロシア語では「パヴ

ォルジエ(Поволжье)」と呼ぶ。「沿ヴォルガ連邦

管区(Приволжский федеральный округ)」は、

ほぼその中流域に該当する。今号で「沿ヴォルガ」

と呼ぶのは、基本的に沿ヴォルガ連邦管区のこと

である。

ロシアの連邦管区制度は2000年5月に制定され、

7管区(当時)のうちの1つとして沿ヴォルガ連邦管

区も設立された。沿ヴォルガ連邦管区は、6つの

民族系の共和国、1つの地方、7つの州と、計14

の地域から成る。大統領代表部は、ニジェゴロド州

ニジニノヴゴロド市に置かれており(今号の表紙の

写真参照)、ここがいわば沿ヴォルガ全体の首都

のようになっている。

ところで、少々込み入った話になるが、1990年

代まで、ロシアは「経済地区」というマクロリージョン

によって区切られていた。そして、「ヴォルガ・ヴャト

カ経済地区」のすべて、「沿ヴォルガ経済地区」の

一部、「ウラル経済地区」の一部を合体させる形で、

2000年に沿ヴォルガ連邦管区が誕生した。

バシコルトスタン共和国、ウドムルト共和国、ペル

ミ地方、オレンブルグ州などは、数十年にわたって

ウラル圏に属してきたので、今でもヴォルガよりもウ

ラル圏への帰属意識の方が強い面がある。このあ

たりの事情については、拙稿「『ウラル』を見る視点」

(『ロシアNIS調査月報』2010年8月号)で語ったこ

とがある。

現に、バシコルトスタン共和国、ウドムルト共和国、

ペルミ地方、オレンブルグ州は、今でも地域経済

協会「大ウラル」に加盟している。他方で、元々求

心力の低かった地域経済協会「大ヴォルガ」は、

2000年代の半ばに活動を停止してしまった。

また、ヴォルガ連邦管区の西寄りの諸地域がモ

スクワ時間を採っているのに対し、ウドムルト共和国

とサマラ州はモスクワより1時間早い「サマラ時間」

を、バシコルトスタン共和国、ペルミ地方、オレンブ

ルグ州はモスクワより2時間早い「エカテリンブルグ

時間」を採用している。それほど広大な連邦管区

でもないのに、1つの管区の中に2時間の時差があ

るわけだ。

こうしたことから、沿ヴォルガという枠組みは、一

体性や求心力は必ずしも強くないと判断できそうだ。

製造業が集積する沿ヴォルガ

タタルスタン共和国、バシコルトスタン共和国、ニ

ジェゴロド州、サマラ州、ペルミ州などは、全国的に

見ても屈指の経済力を誇る。こうした重要地域を

多く抱えているのが、沿ヴォルガの強みである。そ

の一方で、マリ・エル共和国、モルドヴィア共和国、

チュヴァシ共和国、ペンザ州などは、人口数も経

済規模もかなり小さい。重要地域とマイナー地域

が混在しているのも、沿ヴォルガの特徴である。

今号掲載の「ロシアの最新地域統計」という資料

をご覧いただくと、沿ヴォルガ連邦管区の経済・産

業上の特徴がお分かりいただけると思う。沿ヴォル

ガ が ロ シ ア 全 体 に 占 め る シ ェ ア は 、 人 口 で は

20.7%、地域総生産では15.8%である。そうした

中、製造業では21.7%、農業では23.9%と、実物

の商品を生産する面での寄与がきわめて大きい。

これこそが、沿ヴォルガの最大の特徴と言えよう。

製造業の中でも、石油精製および化学工業、ま

た自動車を含む機械産業の全国シェアは特に大

きい。2014年10月にM.バビチ沿ヴォルガ連邦管

区大統領全権代表が述べたところによると、ロシア

の自動車産業の約80%が同管区に集中している

ということである(http://goo.gl/sGKC1f これはも

ちろん乗用車生産だけでなく、商用車やコンポーネ

ントの生産も含んだ数字だろう)。

沿ヴォルガはまた、軍需産業の中心地でもある。

いつの時点の数字か不明だが、ロシアの軍需生産

の約3分の1が、また航空産業の65%が、沿ヴォ

ル ガ 連 邦 管 区 に 集 中 し て い る と い う こ と で あ る

(http://goo.gl/1Q3VDz)。これには、第二次世

界大戦時に、前線から内陸部に軍需工場が疎開

してきたことも関係しているだろう。

(4)

図表3 沿ヴォルガ各地域の5大企業

(数字は2012年の売上高、100万ルーブル)

バシコルトスタン共和国

1. バシネフチ(ОАО «АНК «Башнефть»)489,213 2. ガスプロムネフチ・サラヴァト(ОАО «Газпром нефтехим Салават»)153,626 3. ウファ・モーター生産合同(ОАО «Уфимское моторостроительное производственное объединение») 25,425 4. ウラル~シベリア石油パイプライン(ОАО «Урало‑Сибирские магистральные нефтепроводы имени Д.А. Черняева»)23,238 5. ベロレツク冶金コンビナート(ОАО «Белорецкий металлургический комбинат»)21,312

マリ・エル共和国

1. コンタクト(ОАО «Контакт»)1,334 2. マリグラジダンストロイ(ОАО «Маригражданстрой»)960 3. コピル工場(ОАО «Завод «Копир»)850 4. マルビオファルム(ОАО «Марбиофарм»)751 5. ヴォルガ電気機械工場(ОАО «Волжский электромеханический завод»)254

モルドヴィア共和国

1. モルドヴセメント(ОАО «Мордовцемент»)15,310 2. モルドヴィア売電会社(ОАО «Мордовская энергосбытовая компания»)4,445 3. レジノテフニカ(ОАО «Саранский завод «Резинотехника»)2,185 4. サランスク・チェプロトランス(ОАО «СаранскТеплоТранс»)1,868 5. ビオヒミク(ОАО «Биохимик»)1,446

タタルスタン共和国

1. タトネフチ(«Татнефть» имени В.Д. Шашина)344,563 2. TAIF-NK(ОАО «ТАИФ‑НК»)128,598 3. ニジネカムスクネフチェヒム(ОАО «Нижнекамскнефтехим»)125,247 4. KAMAZ(ОАО «КАМАЗ»)110,733 5. TAIF(ОАО «ТАИФ»)85,709

ウドムルト共和国

1. ウドムルトネフチ(ОАО «Удмуртнефть»)105,783 2. スペツガスアフトトランス(ДОАО «Спецгазавтотранс» открытого акционерного общества «Газпром») 15,321 3. チェペツキー機械工場(ОАО «Чепецкий механический завод»)11,167 4. ベルカムネフチ(ОАО «Белкамнефть»)8,794 5. ウドムルト石油会社(ОАО «Удмуртская нефтяная компания»)2,693

チュヴァシ共和国

1. チュヴァシ売電会社(ОАО «Чувашская энергосбытовая компания»)6,767 2. ヒムプロム(ОАО «Химпром»)5,759 3. チェボクサルィ工業トラクター工場(ОАО «Чебоксарский завод промышленных тракторов»)5,662 4. チェボクサルィ・ユニット工場(ОАО «Чебоксарский агрегатный завод»)4,147 5. エレクトロプリボール(ОАО «Электроприбор»)402

ペルミ地方

1. ウラルカリ(ОАО «Уралкалий»)110,116 2. 第9地域発電会社(ОАО «Территориальная генерирующая компания № 9»)47,052 3. 第5地域発電会社(ОАО «Территориальная генерирующая компания № 5»)23,102 4. 「化学肥料」社(ОАО «Минеральные удобрения»)11,329 5. モトヴィリハ工場(ОАО «Мотовилихинские заводы»)7,952

(5)

キーロフ州

1. キーロフ電力販売(ОАО «Кировэнергосбыт»)11,312 2. キーロフ非鉄金属加工工場(ОАО «Кировский завод по обработке цветных металлов»)6,173 3. レプセ(ОАО «Лепсе»)3,108 4. コムンエネルゴ(ОАО «Коммунэнерго»)1,463 5. ヤンターリ(ОАО «Янтарь»)272

ニジェゴロド州

1. ヴィクサ冶金工場(ОАО «Выксунский металлургический завод»)84,029 2. 上ヴォルガ石油パイプライン(ОАО«Верхневолжские магистральные нефтепроводы»)65,785 3. 中央・沿ヴォルガ地域間配電網会社(ОАО «Межрегиональная распределительная сетевая компания Центра и Приволжья»)59,889 4. ア ト ム エ ネ ル ゴ プ ロ エ ク ト ( ОАО НИЖЕГОРОДСКАЯ ИНЖИНИРИНГОВАЯ КОМПАНИЯ "АТОМ-ЭНЕРГОПРОЕКТ")38,684 5. ニジェゴロド売電会社(ОАО «Нижегородская сбытовая компания»)28,163

オレンブルグ州

1. オレンブルグネフチ(ОАО «Оренбургнефть»)218,523 2. ガイ採鉱・選鉱コンビナート(ОАО «Гайский горно‑обогатительный комбинат»)15,943 3. 南ウラル・ニッケル・コンビナート(ОАО «Южно-Уральский никелевый комбинат»)5,354 4. 南ウラル石油ガス(ОАО «Южуралнефтегаз»)3,648 5. ウラルエレクトロ(Медногорский электротехнический завод «Уралэлектро»)535

ペンザ州

1. ペンゼンスキー養鶏場(ОАО «Мясоптицекомбинат «Пензенский»)4,565 2. ペンゼンスキー乳製品コンビナート(ОАО «Молочный комбинат «Пензенский»)1,434 3. アトミス砂糖(ОАО «Атмис‑сахар»)1,048 4. ペンザガジジカーツィヤ(ОАО «Пензагазификация»)1,015 5. ペンザ・コンプレッサー工場(ОАО «Пензенский завод компрессорного машиностроения»)427

サマラ州

1. AvtoVAZ(ОАО «АВТОВАЗ»)183,217 2. サマラネフチェガス(ОАО «Самаранефтегаз»)113,439 3. ヴォルガ地域発電会社(ОАО «Волжская территориальная генерирующая компания»)52,961 4. サマラエネルゴ(ОАО «Самараэнерго»)35,868 5. クイヴィシェフアゾト(ОАО «КуйбышевАзот»)28,350

サラトフ州

1. ヴォルガ地域間配電会社(ОАО «Межрегиональная распределительная сетевая компания Волги») 45,764 2. サラトフ石油製品(ОАО «Саратовнефтепродукт»)17,496 3. サラトフエネルゴ(ОАО «Саратовэнерго» 14,732 4. サラトフネフチェガス(ОАО «Саратовнефтегаз»)10,522 5. ガス採掘研究・設計所(ОАО «ВНИПИгаздобыча»)9,493

ウリヤノフスク州

1. ウリヤノフスク自動車工場(ОАО «Ульяновский автомобильный завод»)27,931 2. ウリヤノフスク機械工場(ОАО «Ульяновский механический завод»)11,414 3. ウリヤノフスクエネルゴ(ОАО «Ульяновскэнерго»)10,166 4. ウリヤノフスクネフチ(ОАО «Ульяновскнефть»)5,199

5.

国 立 原 子 炉 研 究 所 (ОАО «Государственный научный центр — Научно‑исследовательский институт атомных реакторов»)459 (出所)http://nn.dk.ru/wiki/reyting-krupneyshikh-kompaniy

(6)

図表4 地域総生産の実質水準の推移(2000年=100)

図表3には、2012年の売上高にもとづいた各地

域の5大企業の情報を掲載した。各地域の特徴が

よく表れているのとともに、地域によって経済の規

模が大きく異なることが浮き彫りとなる。

経済パフォーマンスと投資プロジェクト

ロシア全体と、沿ヴォルガ連邦管区、そしてヴォ

ルガ各地域の地域総生産は、図表4に見るように

推移している(地域はこの間の成長幅が大きかっ

た順に並べた)。2000年から2012年にかけて、ロ

シア全体の地域総生産(注:GDPと完全にイコール

ではない)が81%成長したのに対し、沿ヴォルガ連

邦管区の成長率は74%に留まっており、国全体か

ら若干立ち遅れている。ロシア平均を上回る成長

を見せているのは、バシコルトスタン、タタルスタン

など、石油精製・化学工業主導の地域である。サ

マラ州、ウリヤノフスク州、ウドムルトなど、機械工業

主体の地域は、パフォーマンスがやや振るわない。

ロシア連邦政府は2011年2月7日付の政府指令

で、「2020年までの沿ヴォルガ連邦管区の社会・

経済発展戦略」を採択している。この戦略では、

2020年の沿ヴォルガ連邦管区の地域総生産を、

2009年比で95%成長させることがうたわれていた。

ただし、ロシア政府の政策文書の常で、実効性の

ほどは未知数だ。

2013年11月11日付の沿ヴォルガ連邦管区大

統領全権代表指令によって、「とりわけ意義の大き

い投資プロジェクトの一覧」と称するリストが制定さ

れる動きがあった。それを整理したのが図表5であ

る。このリストに載ることで、何か具体的なメリットが

得られるかどうかは不明だが、連邦管区からお墨

付きを得たステータスの高いプロジェクトという位置

付けは可能だろう。

一 方、先日ロシアの週 刊誌『エク スペルト』が

「2025年までのロシア50大投資プロジェクト」という

資料を発表し、当会ではそれを『ロシアNIS経済速

報』2014年12月15日号で紹介した。図表6は、そ

の中から沿ヴォルガ連邦管区にかかわるプロジェク

トを抜き出したものである。これに見るように、今日

のロシアにとって最大のプロジェクトは、モスクワとタ

タルスタン共和国のカザンを結ぶ高速鉄道であり、

沿線に当たるニジェゴロド州やチュヴァシ共和国も

含め、大きな経済効果が期待されている。

2018年のFIFAワールドカップ・ロシア大会の11の

開催都市のうち、最大の4都市が沿ヴォルガ管区

に所在している(カザン、サランスク、ニジニノヴゴロ

ド、サマラ)。沿ヴォルガは今後、大きく変貌していく

可能性がある。

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 ロシア全体 100 106 112 120 129 139 151 163 172 159 167 176 181 沿ヴォルガ連邦管区 100 107 110 117 124 130 140 153 161 148 157 167 174 バシコルトスタン共和国 100 108 111 121 129 138 150 164 177 175 184 199 208 タタルスタン共和国 100 111 115 124 130 137 149 165 177 171 179 189 199 モルドヴィア共和国 100 107 116 131 133 141 158 175 182 170 178 195 199 マリ・エル共和国 100 104 103 113 122 124 139 150 158 158 167 177 194 サラトフ州 100 103 109 119 129 137 144 156 169 165 169 182 193 オレンブルグ州 100 101 106 120 132 139 149 164 168 161 168 177 181 ペンザ州 100 105 107 112 119 120 129 150 162 154 157 169 181 ニジェゴロド州 100 109 115 121 126 134 145 158 161 142 153 163 169 チュヴァシ共和国 100 106 109 116 126 130 144 161 168 138 143 153 162 ウリヤノフスク州 100 100 108 111 116 121 132 145 148 137 144 155 159 ペルミ地方 100 108 103 108 110 114 125 135 142 130 139 151 152 サマラ州 100 107 111 116 126 129 137 148 153 123 134 142 149 ウドムルト共和国 100 106 105 112 114 119 124 129 133 125 130 137 141 キーロフ州 100 99 99 101 106 107 113 119 123 112 117 123 125

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図表5 沿ヴォルガ連邦管区のとりわけ意義の大きい投資プロジェクトの一覧

(沿ヴォルガ連邦管区ロシア連邦大統領全権代表の2013年11月11日付指令によって承認)

モルドヴィア共和国

 「テクノパーク・モルドヴィア」の創設。

タタルスタン共和国

 オレフィン複合施設、ポリオレフィン生産の立ち上げ(公開型株式会社「ニジネカムスクネフチェヒム」)  メンデレエフ市におけるアンモニア、メタノール、尿素のプラントの建設(公開型株式会社「アンモニア」)  ニジネカムスク市における製油所、石化工場の建設(公開型株式会社「タトネフチ」)  アブラナの加工工場の建設(公開型株式会社「ネフィス・ビオプロドゥクト」)  メチルクロルシラン生産プラントの建設(公開型株式会社「カザン合成ゴム工場」)

ウドムルト共和国

 近代的な合板生産の組織(有限会社「ウヴァドレヴ・ホールディング」)

ニジェゴロド州

 クストヴォ市における年産33万tのポリ塩化ビニル生産プラントの建設(公開型株式会社「ルスヴィニル」)→ 2014年9月に稼働

オレンブルグ州

 ソリイレツク市のリクリエーション・保養施設の発展(有限会社「ソリイレツク・クロルト」)

サマラ州

 ソリイレツク市のリクリエーション・保養施設の発展(有限会社「ソリイレツク・クロルト」)  エネルギー効率の高いシクロヘキサン生産プラントの建設(公開型株式会社「クイブィシェフアゾト」)  クルモチ国際空港の新ターミナルの建設とインフラ・通信設備の改修(公開型株式会社「サマラ州開発公社」)

図表6 「2025年までのロシア50大投資プロジェクト」に登場する沿ヴォルガ関連案件

(出所)『エクスペルト』2014年10月20~26日号。当会の『ロシアNIS経済速報』2014年12月15日号参照。 順位 プロジェクト 投資家 (事業主体) 稼働時期 投資額 (10億 ルーブル) プロジェクトの概要とその効果 1 モスクワ~カザン間高速鉄道 ロシア鉄道 2018年 以降 1,400 モスクワ~カザン間の移動時間が半分に 短縮。エカテリンブルグまで延伸予定。 12 ポリマー工場(サマラ州ノヴォクイ ブィシェフスク市) ロスネフチとSANORS の合弁事業 2020年 290 エチレン生産工場の建設、輸入代替。 20 次世代の長距離爆撃機の生産 国防省、国防発注局 2016~ 2018年 170 爆撃機の更新。 22 MS-21旅客機の開発 合同航空機生産コー ポレーション 2016~ 2018年 164 高度な現地化を伴う短中距離旅客機の 生産。 38 タリツァ・カリ・プロジェクト(ペルミ 地方) アクロン 2021年 68 年産200万tのカリ資源基盤の創設。 42 化学コンプレクス「アンモニア」(タ タルスタン共和国) タタルスタン共和国行 政府、対外経済銀行 2015年 54 アンモニア、メタノール、尿素、硝酸アン モニウム生産施設の建設。 44 鋼管生産・製鋼工場(ペルミ地方 チュソヴォイ市) 合同冶金会社 2018年 50 年間50万tの油井向け継目無鋼管、100 万tの粗鋼の生産。 50 ニジニノヴゴロにおける機械工場 とキーロフにおけるロケット工場 アルマズ・アンテイ 2015年 34 新たな防空システムの量産。

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