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頭蓋顔面形成におけるDlx5の役割

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Academic year: 2021

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[課程-2] 審査の結果の要旨 ⽒名 清⽔ 美希 本研究は、頭蓋顔⾯の背腹軸に沿った領域性の決定において中⼼的な役割を果たしているDlx 転写因⼦の 1 つであるDlx5の必要⼗分性を明らかにするために、Dlx5を神経堤細胞特異的に 異所性発現させたマウスを作成し、その形態や遺伝⼦の発現変動を⾒ることにより、下記の結 果を得ている。

1. Rosa領域にCAG-flox-Dlx5配列を相同組換えで挿⼊することによりRosaCAG-flox-Dlx5/+マウス

を作成し、Wnt1::Creマウスと交配して得た NCC-Dlx5マウス(Dlx5を神経堤細胞特異的に 異所性に発現するマウス)の形態を観察した。外⾒は⼝蓋裂や洞⽑の列の乱れが観察され、 ⾻軟⾻染⾊からは上顎要素の⾻格が下顎様に変形していることから、上顎が下顎化してるこ とが考えられた。⼀⽅で、⾻軟⾻染⾊の観察から上顎要素の⾻格も⼀部残存していることが 確認された。以上のことから、上顎の下顎化は部分的であることが⽰された。 2. さらに⾻軟⾻染⾊の観察から、頭蓋冠の⼤泉⾨において⾻の過形成や軟⾻の過形成を認めた。 Dlx5は、⾻や軟⾻の形成促進因⼦としての機能があることが現在までにin vitroの実験から ⽰されている。NCC-Dlx5マウスにおいて、in vivoでDlx5の⾻・軟⾻の形成促進因⼦とし ての機能することを⽰した。

3. Dlx5の下流遺伝⼦の発現を Whole-mount in situ hybridization によって検討した。上顎⼸・ 下顎⼸・第 2 鰓⼸の全てで発現するDlx2の発現は変化しないが、下顎⼸マーカーである GoosecoidやHand2などの遺伝⼦は NCC-Dlx5マウスの上顎⼸でも発現がみられた。この ことから NCC-Dlx5マウスの上顎⼸において、異所性のDlx5の発現により下顎の遺伝⼦プ ログラムが誘導されたことが⽰された。 4. Microarray によって遺伝⼦の発現変動を網羅的に解析した。コントロールの上顎⼸と NCC-Dlx5マウスの上顎⼸の遺伝⼦発現を⽐較すると、NCC-Dlx5マウスの上顎⼸において 下顎のマーカー遺伝⼦の発現が上昇し、また上顎のマーカー遺伝⼦の発現は多少の減少は⾒ られるがコントロールと変わらない程度の発現が⾒られた。このことから、NCC-Dlx5マウ スの上顎⼸において上顎プログラムが変わらず動き続け、さらに下顎プログラムも動いてい るという状況ができていることが明らかとなった。以上のことから、NCC-Dlx5マウスの上 顎の下顎化が部分的であるのは、上顎プログラムも下顎プログラムも機能していることによ ると考えた。また、EdnraEdn1/+マウスとの⽐較により、エンドセリンシグナルの下流に上顎

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プログラムを抑制する経路が別に存在することを強く⽰唆した。 5. 本研究でおこなった microarray の結果と所属研究室で以前⾏われたDlx5/6 KO マウスの microarray の結果を⽐較すると、予想通り NCC-Dlx5マウスの上顎⼸で発現上昇する遺伝 ⼦はDlx5/6 KO マウスの下顎で発現低下する遺伝⼦とほぼ⼀致する⼀⽅で、NCC-Dlx5マ ウスの上顎級で発現低下する遺伝⼦はDlx5/6 KO マウスの下顎で発現上昇する遺伝⼦はほ ぼ⼀致しなかった。このことから、領域によってDlx5による遺伝⼦の発現制御は変化する ことが⽰唆された。 6. さらに、以前所属研究室で⽰されていた、頭尾軸に沿った領域性を決定するHoxと背腹軸 に沿った領域性を決定するDlxのクロストークについても検討した。NCC-Hoxa2マウスの microarray の結果を⽤いて NCC-Dlx5マウスとDlx5/6 KO マウスの結果と⽐較することに より、Dlx5とHoxa2がクロストークし、共通する下流遺伝⼦の発現を制御することを⽰し た。 以上、本論⽂は背腹軸に沿った領域性の決定においてDlx5が背側(上顎)を腹側(下顎)化す るためには上顎プログラムを抑制するシグナルが必要であることを⽰し、さらにEdnraEdn1/+ マウスとの⽐較からエンドセリンシグナルの下流にDlx5/6のシグナル以外の上顎プログラ ムを抑制するシグナルが存在する可能性を⽰した。また、所属研究室において⽰されていた DlxとHoxのクロストークについてもそれを⽀持する知⾒を得た。したがって、学位の授与 に値するものと考えられる。

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