<貴社内限定でご活用下さい>
スマート・ゲートドライバカプラTLP5214
アプリケーションノート –応用編-
・ブランキング時間の設定と調整方法 ---
・C
BLANKを変えた時の代表波形 ---
・スイッチング時間の確認 ---
・ IGBT短絡判断電圧の調整 ---
・伝搬遅延時間とゲート容量、ゲート抵抗の関係 ---
・ソフトターンオフ時間の依存性 ---
・IGBTのスイッチング時に発生する
負電圧スパイクによるDESAT誤検出対策 ---
・バッファトランジスタの追加 ---
・外部ブランキング回路(R
B)による時間の調整方法 ---
・ LED信号の波形整形方法 ---
・ RESET機能 ---
・その他注意事項(バイパスコンデンサ、不使用端子の処理) ----
目次
p.03
p.05
p.06
p.07
p.08
p.09
p.10
p.11
p.12
p.16
p.17
p.18
ブランキング時間の設定と調整方法
V
CEV
GEI
FV
th(IGBT) DESAT端子電圧 ICHGをCBLANKに充電しDESAT端子 電圧の上昇時間を調整する。 tBLANK 過電流保護動作が 無効となる時間 過電流保護動作が 有効となる時間 IGBTの電圧を監視 (Di、R含む)C
BLANK VGE VCEI
CHG VLED VCLAMP VEE DESAT Vcc2 Rf 0.1μF P N VCLAMP DRIV E R UVL O SHIELD DESAT TLP5214 LED信号 コ ント ロー ラ IF VE Vout RDESAT 1μF 1μF RG Rpull 1μF TLP5214のLED入力電流(IF)をOFF→ONにすると出力端子(Vout)の電圧が上昇し、IGBTがターンオン動作を始めます。 同時に、外付けIGBTのコレクタ-エミッタ間電圧(VCE)をモニタする為にDESAT端子からブランキング容量充電電流ICHGが出力され、 DESAT端子電圧が上昇し始めます。IGBTのターンオン動作時においては、VCEがIGBTの短絡判断電圧Vth(IGBT)*以下になるまでの間、DESAT機能を働かせない必要が
あります。この時間をブランキング時間tBLANKと呼び、その時間はDESAT-VE端子間に挿入するコンデンサCBLANKの値で調整できます。
TLP5214ではDESAT端子電圧がDESATスレッショルド VDESAT=6.5V(標準値)に達すると、
IGBTのソフトターンオフ動作を開始します。tBLANKは、VCEがVth(IGBT)に達する
時間tthよりも長く、かつ、IGBTの短絡許容時間tscよりも短くなるように設定する 必要があります。 *Vth(IGBT):P.6参照 VDESAT≒6.5V
I
C VEt
th0 2 4 6 8 10 0 100 200 300
t
BLANK -C
BLANKC
BLANK(pF)
t
BLANK(
μ
s)
t
BLANKは以下のようにC
BLANK、V
DESAT、I
CHGにより計算できます。
t
BLANK=
C
BLANK× V
DESAT/ I
CHGここでV
DESAT、I
CHGは一定値で、それぞれ6.5V(標準値)、
240μA(標準値)です。
t
BLANKの計算例を示します。
C
BLANKとして100pFを使う場合、t
BLANKは次のように計算されま
す。
t
BLANK=
100x10
-12F x 6.5V / (240 x 10
-6)A
= 2.7 μs
C
BLANKとt
BLANKの
関係をグラフにすると以下のようになります。
V
CEI
C DESAT端子電圧I
F 過電流保護動作が 有効となる時間小
大
小
tBLANK 過電流保護動作が 無効となる時間大
C
BLANKを変えて
過電流保護が無効になる時間
を調整します。
VDESAT≒6.5VC
BLANKブランキング時間の設定と調整方法
C
BLANKを変えた時の代表波形
TLP5214 C
BLANK=100pF
TLP5214 C
BLANK=200pF
TLP5214のLEDをONさせ、DESAT端子、V
out端子をモニタした実際の波形を示します。
※測定波形は回路の浮遊容量や測定時のプローブ容量が含まれています。 t1 (遅れ時間)C
BLANKによってt
BLANKが変わることが確認できます。
左図はACPL-332JのDESAT端子電圧波形の例です。 この製品の場合、遅れ時間( t1)が含まれており、立ち上がり時の挙動は 弊社のTLP5214と異なっております。 置き換え検討の際には、十分留意の上、設計いただくようお願いいたします。※ご参考資料 (ACPL-332J)
tBLANK Ta=25℃ IF=10mA,VCC2=30V Rg=10Ω,Cg=25nF 1μs tBLANK 1μs Ta=25℃ IF=10mA,VCC2=30V Rg=10Ω,Cg=25nF Ta=25℃ IF=10mA,VCC2=30V Rg=10Ω,Cg=25nFGT30J341
スイッチング時間の確認
15V TLP5214のLEDをONしてIGBTがターンオンするまでのスイッチング時間が、tBLANK以下になっていることを確認します。 条件: TLP5214のtpLH + IGBTのtON*=スイッチング時間 < tBLANK *ここではtth≒tONとします。 tpLH: TLP5214のデータシートより 150ns(max) tON : IGBTのQg、TLP5214の出力電流IOから推定します。 計算式;ton = Qg/IOここで例としてIGBT GT30J341をVGE=15V,IO=1.5Aでスイッチングさせる場合、
データシートのVCE, VGE-Qg特性からQgは130nCなので tON=130nC/1.5A≒87ns 従って、スイッチング時間=150ns + 87ns =237ns < 2.7μs** (**tBLANK:P.3参照) が確認できました。 ただし、この条件を満たしていてもCBLANKが小さいとスイッチング時のノイズによる 誤動作等が起こる恐れがあります。そのため、先に説明したtBLANKとtscの関係を 満たす範囲でできる限り大きなCBLANKを使用することを推奨します。
V
CEI
C DESAT端子電圧I
FV
OI
O TLP5214のtpLH IGBTのtON tBLANK スイッチング時間 < tBLANKV
th(IGBT) VE VDESAT≒6.5V IGBTのスイッチング時間 よりもtBLANKが短い場合は 正常に動作しません。V
CE DESAT端子電圧I
FV
O VF × n Vcc2 P N TLP5214 VCLAMP VEE VO VDESAT CBLANK RG RPullDow n VE 正常動作中はDESATダイオードに順電流が流れ、IGBTの VCEを監視しています。ただし大電力のアプリケーションでは フリーホイールダイオードの逆回復スパイク電圧により、DESAT 電圧の誤検出を誘発します。この逆回復電流を最小化させる ために、寄生容量の小さいFRDを推奨します。IGBT短絡判断電圧の調整
V
th(IGBT) New Vth(IGBT) 100Ω ① ② ダイオード接続例TLP5214のVDESATは6.5V(標準値)ですが、使用するIGBTの安全動作領域を考慮して短絡判断電圧Vth(IGBT) を下げる必要がある
場合は、①DESATダイオードのVFによる電圧降下を利用する方法や、②ツェナーダイオードを使用する方法が挙げられます。
①の場合 New Vth(IGBT)=VDESAT-(n x VF + RDESAT x ICHG) n: ダイオードの数
②の場合 New Vth(IGBT)=VDESAT-(VF + Vz + RDESAT x ICHG) Vz: ツェナー電圧
計算例:方法①で、ダイオード(VF=0.4V@240μA)を3個、RDESATとして100Ωを使用した場合
New Vth(IGBT) = 6.5 – (3 x 0.4V + 100Ω x 240μA) ≒ 5.3 V
方法②ではツェナーダイオードを使用するため、短絡判断電圧
の微調整が可能です。使用するIGBTに応じて調整をお願いいたします。
VDESAT≒6.5VI
C VF × n 接続したダイオードの VFやVzにより、ターンオン 後のDESAT端子 電圧が変わります。0 50 100 150 200 10 20 30 40 50 tPL H / tPHL (n s) Cg (nF)
t
pLH/t
pHL- Cg
0 50 100 150 200 0 10 20 30 40 50 tPL H / tPHL (n s) Rg (Ω)t
pLH/t
pHL- Rg
VEE=0V Rg=10Ω VEE=0V Cg=25nF伝搬遅延時間とゲート容量、ゲート抵抗の関係
IF = 10 mA (P.G.) (f =10kHz, duty = 50%, tr = tf = 5ns 以下) tpLH tpHL tpLH tpHLソフトターンオフ時間の依存性
TLP5214のソフトターンオフ時間(t
DESAT(10%))は
ゲート抵抗Rg、ゲート容量Cg、出力電源電圧V
cc2に依存します。
ソフトターンオフ時間 0 2 4 6 8 100
10
20
30
40
50
tDE SA T (1 0 % ) (μ s) Cg (nF)t
DESAT(10%)– Cg
Vcc2=15V Vcc2=30V 0 2 4 610
20
30
40
50
tDE SA T (1 0 % ) ( μ s) Rg (Ω) tDESAT(10%) – Rg Vcc2=15V Vcc2=30V VEE=0V Rg=10Ω VCg=25nF EE=0VIGBTのスイッチング時に発生する負電圧スパイクによるDESAT誤検出対策
DESATが誤検出される原因の一つはDESAT端子の寄生ダイオードが順バイアスされて順電流が
流れることです。これはフリーホイールダイオードからくる逆回復スパイクによりDESATピンがグランド電
位以下に引かれて発生します。この負電圧スパイクは誘導性負荷やIGBT/FETのフリーホイールダ
イオードの逆回復スパイク等により発生します。
DESATの誤検出を防ぐため、ツェナーダイオードやショットキーバリアダイオードをDESAT-V
E間に
接続してください。 (選定される際には定格にご注意ください)
ツェナーダイオード(Vz=7~8V)はDESATピンを正の過電圧から保護し、
ショットキーバリアダイオードはDESAT端子の寄生ダイオードが順バイアスされるのを防ぎます。
TLP5214
負電源使用 RG 1uF 1uF 1uF 10Ω 25nF RB RDESAT DDESAT CBLANK P N製品名 絶対最大定格
パッケージ
NPN PNP VCEO IC PC
TTC3710B TTA1452B 80V 12A 30W TO-220SIS
バッファトランジスタの追加
TTA1452B TTC3710BTLP5214の出力電流は最大4Aですが、IGBTゲート駆動電流が不足する場合は
バッファトランジスタを使用することができます。
TLP5214が異常検出し、IGBTをソフトターンオフさせるためには、バッファトランジスタの入力か
らV
EEに
25nF
のキャパシタを接続し、Vout出力とNPN、PNP Trのベースの間に
10Ω
の抵抗を
接続してください。なお負電源を使う場合やアクティブミラークランプ機能を使用しないときは
V
CLAMP端子をV
EEに接続してください。
IGBTのゲート駆動電流が4A以上必要な場合は、 TTC3710B / TTA1452B などの弊社トランジスタをご検討ください。 またDESATダイオードを検討の場合は、下記ラインアップがございます。 パッケージ 製品名 絶対最大定格 電気的特性(最大値)VRRM(V) IF(AV) (A) VFM(V) @IFM(A) S-FLATTM CRF02 800 0.5 3.0 0.5 CRF03 600 0.7 2.0 0.7 M-FLATTM CMF05 1000 0.5 2.7 0.5 トランジスタラインアップ ダイオードラインアップ
TLP5214
RG 1uF 1uF 1uF 10Ω 25nF RB RDESAT DDESAT CBLANK P N外部ブランキング回路(R
B)による時間の調整方法
外部ブランキング回路の概念を示します。
この方法はTLP5214の出力V
OUTからDESATに対して追加の
外部抵抗(R
B)
を接続しています。
これによりR
Bを介してゲートドライバ・フォトカプラの出力からブランキングコンデンサC
BLANKを充電するための
電流(I
B)
を追加することができます。
C
BLANKへの充電電流をR
Bによってコントロールできるため、より自由度の高いブランキング時間の設定ができ
るようになります。 (なおVE-DESAT間にSBDが接続されていない場合は誤動作する可能性があります)
ブランキングコンデンサの電圧は次のように表すことができます。 VI=VOUT-VE=RB x i(t) +1/CBLANK∫(ICHG +i(t)dt)) i(t) = (VI/RB+ ICHG) exp(-t/(CBLANK x RB)) - ICHG VDESAT (t) = VI – RB x i(t)
= VI - (VI + RB x ICHG )exp (-t/(CBLANK x RB)) +RB x ICHG
tBLANK = - CBLANK x RB x log( 1- VDESAT/(VI+RB x ICHG) )
ここでCBLANK=300pF、RB=30kΩ、VOUT=17V、VEE=10 Vとすると
データシートより、VDESAT=6.5V、ICHG=0.25mA、を使って、
t = - 300x10-12 x 30x103x log(1-6.5/(17+30x103x250x10-6) = - 9000 x 10-9 x log (1-6.5/(17+7.5)) = -9 x10-6 x log (0.7346) = 2.774 x10-6 よって tBLANKは 2.8μs となります。 ICHG
I
BTLP5214
1uF 1uF 1uF 10Ω 25nFR
B RDESAT DDESAT CBLANK P N外部ブランキング回路(R
B)による時間の調整方法
R
Bを接続した場合の実測波形を下記に示します。
(条件 C
BLANK=100pF、R
B=30kΩ V
cc2=17V、V
EE=10V)
R
B=30kΩ
R
B=なし
1.2us 3.1usRBを接続しない場合のt
BLANKは3.1μsですが、
接続した場合は1.2μsと、R
Bを経由して流れるI
Bにより
ブランク時間が短くなっています。
これによりC
BLANKをより大きな値に設定しても、短絡保護時間を
超えない設計ができるようになります。
CBLANK = 100pF RB = 30kΩ IF VOUT DESAT FAULT IF VOUT DESAT FAULT測定回路
(tDESAT測定回路にRBを接続) 10V 17V SCOPE外部ブランキング回路(R
B)による時間の調整方法
C
BLANKの条件を変えた場合の実測波形を下記に示します。
(条件 R
B=30kΩ固定 C
BLANK=50~1000pF、 V
cc2=17V、V
EE=10V)
C
BLANK=100pF
CBLANK = 50~1000pF RB = 30kΩ固定C
BLANK=330pF
C
BLANK=680pF
0 2 4 6 8 10 0 200 400 600 800 1000 tBL A N K (μ s) CBLANK(pF) 実測値 計算値 IF VOUT DESAT FAULT IF VOUT DESAT FAULT IF VOUT DESAT FAULT 10V 17V SCOPE10V 17V SCOPE
外部ブランキング回路(R
B)による時間の調整方法
次にR
Bの条件を変えた場合の実測波形を下記に示します。(C
BLANK=330pF)
CBLANK = 330pF RB = 330~30kΩR
B=1kΩ
R
B=30kΩ
0 2 4 6 8 10 0 10000 20000 30000 tBL A N K (μ s) R (Ω) 実測値 計算値 IF VOUT DESAT FAULT IF VOUT DESAT FAULTRf 0.1μF DRI VE R SHIELD TLP5214 LED信号 コ ント ロー ラ IF
コントロール基板とモーター制御基板が離れている場合、TLP5214とCPU間の距離が長くなるため、
配線によるインダクタンス等の影響をうけて入力信号の傾きが変わる可能性があります。
LED信号の波形整形方法
74VHCV244FTそこでTLP5214の入力信号の波形整形を行うために、ヒステリシス機能付きBufferを入れる方法がありま
す。
LED電流制限抵抗 製品名 ファンクション VCC(opr) |IOH|/IOL tpd パッケージ74VHCV244FT Octal Schmitt Bus
Buffer