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英国の批判的経済学教育論

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要旨  英国の「制度化された経済学教育」に対するオールタナティブとしての「批判的経済学教育」の動きを 報告した。ジャセク・ブラント(Jasec Brant)の近年の一連の研究は,批判的実在論に基づき,主流 派・新古典派経済学に基づく GCE の A- レベル試験(中等後期修了資格)の一元的スタンダード化を批判 するものである。しかし,DfE(英国・教育省)の要目は,バランスのとれた内容となっており,批判の 眼目は試験そのものにある。そして,こうした批判は,GCE の A- レベル試験の発足時から,1980 年代ま で繰り返されていた。2017 年実施状況を含め,精査していく必要がある。 キーワード:GCE の A- レベル試験,経済学教育,批判的実在論,対抗スタンダード化

Ⅰ.はじめに─烽火はいずこに

 本稿は,英国の「制度化された経済学教育」に対す るオールタナティブとしての「批判的経済学教育」の 動きを報告するものである。  「批判的経済学教育論」とは筆者が名付けたもので あり,本稿で紹介するジャセク・ブラント(Jasec Brant)らが文字通りの提唱をしているわけではない。 しかし,ブラントの批判の烽火は,まさに,現在の英 国経済学教育に対する全体的・全面的な批判であった。 ブラントは,英国経済教育の泰斗ピーター・デイビス とともに,シティズンシップ教育としての経済教育に も深く関わる具体的な教材開発,教員養成プログラム, カリキュラム開発などのユニークな取り組みをしてき た1)(Brant 2005, 2010)。  彼の問題意識は,英国の大学入試要件の経済学テス ト内容(GCE, General Certificate of Education, 中等 教育修了一般試験の A- レベル試験)が,新古典派経 済学カリキュラムによって「制度化」「一元化」され, 多様化を失うことへの危惧であった。その理論的根拠 を,批判的実在論にもとめ,基準化,スタンダード化 への対抗経済教育論を提唱したのである。基準化しよ うとする経済理論の根底を支える新古典派経済学への 対抗,批判の基盤は,ローソンやバスカーの批判的実 在論(ローソン 2003, Bhaskar, R. 1979; 1998))であ り,それに基づいて,彼独自の経済学教育論2)を展開 したのである。  当日発表では,ハワード・ギブソンが展開するホル クハイマーらの批判理論に基づいた経済教育論((Ha-ward Gibson))や,それがブレア労働党政権以来の 教育改革,金融経済教育への批判にあることに言及し た3)。その詳細を別稿にゆずることとする。それは, 先に示した経済学教育の「基準化・スタンダード化」 に焦点を合わせるためである。日本でも課題となって いる「参照基準問題」と軌を一にすると思われる英国 中等経済学教育内容「A- レベル経済学」への批判を 吟味することは,時宜を得ている。  なお,筆者は従来から用語「経済教育」を使用して きたにもかかわらず,本稿において「経済学教育」を 使用することとしたのは,訳語上の Economics Educa-tion への対応ではない。むしろ,本稿で扱うブラント の批判の眼目が,「経済学」にあるからである。教育 の手段としての経済学ではなく,経済学そのものの妥 当性を問うているのである。  叙述は次の通りすすめる。はじめに,英国の中等経

英国の批判的経済学教育論

-対抗スタンダード化の動向-

The Journal of Economic Education No.35, September, 2016

The Theory of Critical Economics Education in UK: Trends of Counter standardizations

Inose, Takenori

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済学教育転換の現状を概括する。次に,ジャセク・ブ ラントの経済学教育論を概括することによって,現在 の英国の学校経済教育カリキュラム,そして,その課 題を考察する。なお,発表当日に展開したハワード・ ギブソン,ドイツの Retzmann らの経済教育論の概要 は,別の機会に論じることとする。

Ⅱ.英国中等経済学教育の転換─新古典派

経済学へのスタンダード化

1.ブラントの憂鬱─変質か革新か  ブラントの危惧は,現在進められている英国のカリ キュラム4)と評価に関する教育改革である(Brant 2015: 11)。具体的には,2017 年から実施される GCE 試験内容の中等教育経済学での施行が,2015 年から 始まり,その内容如何では,単一の経済学(特に,彼 が批判する主流派の新古典派経済学)のみが試験とし て出題され定着しかねないことである。  ブラントが批判する現行の英国経済学内容とは,中 等教育後期の大学受験資格試験のための経済学内容で ある。英国の大学受験については教育制度が日本とは 異なり,複線的制度も含め複雑さをもつので,単純化 することをお許し願いたい。  そこで,改めて本稿で対象とする経済学・学習内容 とは,大学を受験するための資格,かつ,中等教育後 期の卒業終了試験として外部機関が作成する GCE の レベル試験に相応するもののことである。その A-レ ベ ル 試 験 の 経 済 学 の 内 容 は,GCE の 示 す 要 目 (specification)から確認することが可能で,教育省の HP5)によって示されている6)。要目の詳細は,論文末 に資料として付した。  ブラントが批判するのは,この GCE 試験内容の要 目・項目から推測される「制度化された経済学内容」 である。試験そのものは,民間団体 Edexcel,AQA (Assessment and Qualifications Alliance),OCR (Oxford Cambridge and RSA Examinations)が提供 しており,いずれもその内容は,ネット上で確認でき る。ちなみに,初等・中等前期の経済教育が,ナショ ナル・カリキュラム「個人,社会・健康,経済教育 (Personal,Social Health and Economic Education) 以下,PSHE」と「シティズンシップ」に盛り込まれ ているのとは対照的だ7)  さて,GCE の A- レベル試験の具体はどのように なっているのだろうか。 2.DfE経済学要目と外部機関詳述書─多元性と 開放性  2014 年に教育省から発表された GCE の A- レベル試 験 を 基 礎 付ける経 済 学 内 容 の 新「 要目(specifica-tion)」は,一見,変化がないように思えるが,重要な 変更があるとブラントは指摘する(Brant 2015: 10)。 すなわち,多元性と開放性,限定性の指示についてで ある。DfE 要目の「目標・目的」には次の項がある。 ・多様な概念を理解し,多様な文脈で活用できる能力 の開発 ・経済学者として思考する能力と探究的で,批判的, 深慮にあふれたアプローチの活用 ・経済行動が多様な観点から研究されうることの認識 (DfE 2014: 1)  ブラントは,「経済行動が多様な観点から研究され うることの認識」に着目しているものの,当然ながら, その前項 2 つも多様性や批判性を指摘したものだろう。  さらに,内容において次の部分を指摘する。 ・多様な状況の中で活用できる経済概念と理論に関す る理解力の育成と現実世界の現象を説明する際,自 らの価値や制約に関する批判的検討力の開発(DfE 2014: 2)  ブラントに言わせれば,これこそ,新古典派経済学 の限界を指摘するものだという。さらに,次に示す経 済モデルへの項目について言及する。 ・日常生活に影響を与える現在の経済問題や制度に関 する批判的な検討を通して,経済概念や理論を理解 する力の育成 ・経済モデルの限界を認識しながら,探究の経済モデ ルへの批判的アプローチを開発する ・需要供給モデルの仮定に気付くこと,多様な手法で そのメカニズムを説明すること,経済行動を記述, 予測,分析するためモデルを利用すること(Ibid)  ブラントは,以上の項目を受けて,「教師は,新古 典派経済学の基盤を保持しつつ,経済モデルを検証し, 抽象的演繹モデルよりむしろ,現実世界に経済学を基 礎付けることが許された」(Brant 2015: 12)とするの である。  実際,ブラントが指摘するように,限界理論,機会

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費用,賃金決定,インフレーション,所得循環などの 標準経済学の基本概念ですら,批判的に扱えと但し書 きされているというのである(Ibid)。さらに,モデ ルの限界に触れつつ,「教師は,経済モデルをより批 判的に教えることが要求され,代替的な概念化を探究 する一定の(教授)範囲が保持される」とする。  ここまでのブラントのロジックを確認すれば,新古 典派経済学に基づいたスタンダード化の危惧は,DfE の要目からは,注意深く否定されていることがわかる。 多様性,多元性,限定性,など,一元化や絶対化がな されないよう,繰り返し但し書きがなされているとい うのだ。  一方,試験を実施する機関は経済学の扱い方に関し て,どのような指示をしているだろうか。既に,前節 で Edexcel,AQA,OCR が提供していることを確認 したが,その一つ Edexcel(2015)の詳述書には次の ような記述がある。すなわち,経済学の性質 4 つであ る。第一の「社会科学としての経済学」では,「仮定 すること」「ceteris paribus 条件が一定であれば」,第 二の「実証経済学徒規範経済学」では,「経済的意思 決定及び政策に影響する価値判断の役割」,第三の 「自由市場経済,混合経済,指令経済」では,「アダム スミス,ハイエク,マルクスへの言及」,第四の「合 理的意思決定」では,「根本的仮定」である(Brant 2015: 13)。たしかに詳述書に,批判的かつバランス を推奨する表現がある。にもかかわらず,実際の,サ ンプル問題では,旧態依然の新古典派経済学の基盤を 踏襲しているとする。すなわち,ブラントは,少なく とも 2007 年の Edexcel の「最低賃金に対する言明」 に関する,規範経済か実証経済かを問う問題では,フ リードマン流の考え方の選択問題であり,生産可能曲 線を問う問題にも同様の見解を述べて批判している (Brant 2011: 122)。  DfE の要目と同様,実施機関の詳述書でも,新古典 派経済学への一元化が慎重に抑制される一方で,具体 的な問題や教師の実施場面では,旧態依然たる新古典 派経済学への一元化がなされているというのがブラン トの主張である。 3.ブラントの代案─現実と切り結び,仮定を 明示する  それでは,ブラント代替案の具体的事例は,どのよ うに展開されるのだろう。これには二つある。  第一に,現実と切り結ぶと言うこと。第二に,方法 論としての仮定を明示することである。  第一の,現実との切り結びについて,彼は,生徒が 経験する可能性がある給与支払いの事例から説明する。 すなわち生徒は,アルバイトを通して,給与支払いに は「出来高払い,時給,残業手当,ボーナス」がある ことを認識する。これによって,支払のシステム,働 く動機付け,雇用する企業のことが分かるとする (Brant 2015: 12)。ここで彼の強調したい点は,経験 から概念形成を図るべきであるということである。そ こで,経験学習の世界では人口に膾炙したコルブ Kolb(1984) の経験学習のサイクルを援用する。すな わち,具体的経験から,省察,抽象的概念形成,新た な状況での検証,そしてさらなる具体的経験へという サイクルである。  こうした教育の方法に関して,教師が「生徒のどの ような経験が,教育の場面で有意義なものとなるの か」と自問することへの答えになるとする。  しかし,14 歳から 19 歳の学生がもつ商業や産業に 関する経験は,当然のことながら,限定される。そこ で,現実のデータを活用しながら,経済問題を構成す る現実の事例研究や予想される事態が,取り組むべき ものとして幾分でも助けとなる(Brant 2015: 14)と いうのだ。  第二の方法論としての仮定の明示について,経済学 の多元的教授の立場から,次のように説明する。それ は,経済史の教授によってそれが可能となり,その学 習の後に,概念形成することを省察することだとする (Brant 2015: 14)。  最終的な結論として,ブラントは経済モデルの活用 方法について,具体的に,需要供給モデルを活用する 際の扱い方に言及する。  標準教科書に書かれている「需要供給法則」「価格 形成」の意味するところは,需要もしくは供給がシフ トすることを仮定することが合理的であるということ であり,しかし,現実世界では,これは,市場の性質 に依存するとし,しばしば,驚くほど硬直的であるこ とを指摘する。その事例は,(1)需要要因,(2)供給 要因に分け,(1)では,暑い日にアイスクリームの需 要が増えたとしても,パーラー,スーパー,カフェで は,通常どおり価格は変わらないこと。同様に,反対 の天候であっても価格は下がらないことを確認させる。 自動車に関しても,長期の需要の変動があっても,価 格は安定していることを告げる。供給要因に関しては, 特定の産業で賃金が下がれば,需要供給理論は,労働 供給が減ると予測させる。しかし,住宅ローンや家賃 の支払いを抱える労働者は,より多く働くかもしれな

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いとする(Brant 2015: 15)。  当然彼は,標準テキストが誤っているとするのでは なく,モデルが表す可能性と限界,そして,限定した 上での活用を主張しているのである。 4.ブラントの批判的実在論に基づく主張  ここで改めてブラントの経済学教育論の骨子を概括 すれば,新古典派経済学に基づく教育カリキュラム批 判である。その代替案として,ヴィゴツキーに連なる 社会構成主義と批判的実在論を基盤とした経済学教育 論を展開するものである。  その具体は,人口に膾炙したフリードマン批判,価 値中立性批判,科学的体系の静的受容教育システム批 判である。それによって,これまでのオールタナティ ブ経済学教育論の総合的展開を図る。  以上は批判的実在論に基づくものであり,近年の論 文で,同様の趣旨をくりかえし展開している(Brant 2011; 2015; 2015)。およそをまとめれば次のようにな るだろう。  近代主義の言説は,二つの原理的仮定から成り立っ ている。第一に,人間は原子論的自己中心性をもって いると考える(実証主義は,人間を矮小化する)。第 二に,世界は抽象的普遍性によって描かれる(科学の 実証哲学は,暗に不変の世界と還元主義の存在論を仮 定する)。これら二つの仮定は,経済学の内容と形式 に関して批判的実在論からの批判を受けることとなっ たとする。  そこで以下の展開をする。①経済学を理解するため に,存在論と認識論の双方が必要だ。②従来の経済学 は,個人的で社会的文脈が欠けている。③非現実的で 不確かな仮定に基づいた理論モデルの乱用によって特 徴付けられている。④還元主義の性質のために,伝統 的経済学は,社会構造と人間主体を位置づけない。⑤ 実証主義的仮定とモデルの乱用によって,経済学は世 界を閉鎖系とみている。⑥「他の条件が等しいなら ば」という条件を乱用しつつ,しかし,もちろん,現 実世界において,変数は同じはずはない。以上をふま え,現実世界は,仕組み・構造・主体の多元的な複雑 性を持つ開放系であるものとして経済学を見なそうと いうのだ。さらに有意義な理解のためには,政治的社 会的状況を考慮することが重要であるとする。  以上の論理を説明する上で,バスカーやローソンの 批判的実在論を援用し,経済モデル,新古典派経済学 の仮定などへの批判を代替するものとして,位置づけ る。当然のことながら,批判的実在論については,日 本でも多くの紹介分析がある。ローソンの批判的実在 論については,八木紀一郎・江頭進による翻訳や紹介 がなされており,バスカーについても式部の一連の翻 訳(バスカー 2006,2009)をはじめ,経済学,経営 学,社会学からの紹介,研究がある。特に経済学教育 に関連するもの(葛城 2006, 山本 2009, 伊賀 2012)を あげることができる8) 5.発足から 1980 年代までの A- レベル試験へ の批判─歴史は繰り返す?  前述した GCE,A- レベル試験への批判,危惧につ いては,既に 1970 年代に同様の批判が,GCS の評価 を巡ってなされていた。経済学の理論性・抽象性が, 現実社会と切り結んでいないという批判は,繰り返し なされてきたものであり,ブラントの批判は必ずしも 新たなものではないのかもしれない。  ブラントの中心が,批判的実在論による新古典派経 済学批判であったり,経済史や社会問題・社会政策を 扱えという主張も改めて新奇なものといえるわけでも ない9)。彼自身が主張の中で取り上げるマクロスキー は,日本でも,米国経済教育でも繰り返し,論じられ てきた。  この時期の A- レベル経済学試験についての批判と 評価については,福本邦行の論考がある。以下,福本 の論考からそれらを拾ってみる。論点は次の 2 点であ る。  第一に,1950 年代に発足した GCE の A- レベル試 験は,1970 年代に主流派経済学の内容に整備・制度 化されたこと。そこでは,客観テストが導入され,内 容についても抽象的で分析的内容に再構成された。  第二に,1950 年代の発足当初から批判があり,タ イムズ紙と,策定の中心にいたロビンズからの批判が あったこと。ロビンズは,経済学への稀少性定義を提 起者としてわれわれになじみ深い経済学者である。  以下,福本(1984; 1985)から引用する。  はじめに, ・経済学は純粋厳密な論理と,不消化な,ほとんど一 般化できない事実の不規則なつぎはぎ細工であるか ら,(経済学の学習は)判断力と経験が未熟な年少 者には困難で,いまだ獲得できていない素質を必要 とする。 ・経済学には,確実さはなく,ただなにがしかの論理 的な推論の連なりがあるにすぎない。前提やその妥 当性,さらには使用される概念の定義についてすら

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激しい議論がある。 ・単純化の弊害があり,ある程度の全くの虚偽は,つ ねに単純化の結果として避けられない。  ここでは,第一に,経済理論の非現実性の批判がな され,第二に,生徒の学習の困難性を,経済学の性格 のみならず,体系の一貫性,基礎概念の不確定性,理 論の非現実性が俎上に上ったといえる。  一方,ロビンズの批判とはどのようなものか。以下 に示すとおりである。 ・中等学校では経済学よりも,より基礎的な科目を学 習することが望ましい ・経済学が理論体系として教えられなければならない ならば,本質的に成人の科目である ・経済学のどのような単純な命題も,命題の体系全体 と,それが関連する現実の世界の双方について十分 な知識を持つ人でなければ,そこから読み取れそう にない想定の複合体全体に条件づけられているもの として理解されないならば,真実でなくなる傾向が 強い。  ここでも,現実の濃密な経験と理論的体系の全体 的・関連づけた把握が想定されているといえる。 ・子供達にこうした知識を持つことを期待することは 分別あることだろうか。そして,もし子供達が持た ないとすれば,われわれは子供達に適するように経 済学を単純化して教えるように努めることで,悪い 知的な習慣を教え込むという危険を冒しているので はないだろうか。  まさに,年少者には,社会法則の理解(ロビンズは, 自ら論じた稀少性の教授をなによりも含めている)は 難しいと考えているのだ。そして,なにより,彼の教 育経験からも言及する。 ・経済学の答案にほんのざっと目を通した人はだれし もこの危険がきわめて実際のものであることを否定 できないと私は考える。 ・概してとらわれなき心に与える印象は,はなはだ穏 やかならざるものがあると私はいいたい。表現は未 熟,内容は非現実的の感を抱くと私はいいたい。 ・このことは事態の本質に固有のように思われる。他 の科目では単純な事柄から始めて,難しいことは後 に残すことができる。この段階の経済学では,とに かく始めるためには,難しいことを手加減して述べ なければならない。  初学者,若年者への教育をロビンズがどの程度関与 したか,その文献的証拠は明らかではないが,経済学 理論の特性からの教授の困難性を述べていることは明 らかだ。福本は「分析的な経済学は強度の抽象と厳密 な論理により理論を構成するが,同時にそれは社会の 全体像におけるそれらの抽象や論理のもつ意義の認識 によって補完されるのでなければ十全なものとなりえ ない。理論の部分的な理解にも,理論の全体,さらに は理論の適用される社会についてのある程度の把握を 要件とすることが,年少者にとってこの科目の理解を 難しくしている。」と分析している。  これに関して,タイムズ紙への投稿へは「カリキュ ラム再編や新たなる課題へのサボタージュのための煙 幕論」という反論やロビンズの批判へは「検査者とし ての費用便益問題(つまり採点する上での自らの負 担)」と指摘された。さらに福本自身は,「社会人とな れば,問題は解決するのか」と問いかけている。  福本は,さらに,第 2 報で,制度や機構の記述的な 内容を問う出題とそれを推奨するロビンズから,演繹 的で厳密な論理体系による出題を是とすることによっ て,価値観によって多様な答えが可能となる歴史学派 の出題などを排したとする。  こうした A- レベル経済学試験への批判は,1980 年 代にもなされたという。すなわち,それは経済学のあ り方への批判であった。第一に,大学での経済原論の 引き写しで,比較体制論,経済発展論,経済学の他の 潮流に無関心であること,第二に,経済学を外見的に 不変な所与の知識の総体として無批判に生徒に提示さ れるため,生徒の批判的な見方が養われず,知的な発 展に十分貢献しえないこと,第三に,純粋理論に偏し て,現代の世界が 当面する重要な経済上の諸問題に ついての考慮が乏しいことの 3 点である(福本 1985: 185)。  さらに,もっと現代社会と世界の経済問題に取り組 むための分析用具を与えることを目指すべきであると する。その観点からは,過度の純粋理論,とくにミク ロ理論に偏っているから,現代世界の当面する経済問 題,南北問題,社会主義経済論,厚生経済学の基礎, ラディカル経済学を含むよう提言されたのである(福 本 1985: 186)。  こうした批判は,「過度に単純化された純粋理論偏

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重」,「重要な経済問題の除外」など,社会認識のため の経済学教育へのブラントの主張と重なっているので あり,ブラントの批判の根底は,A- レベル経済学試 験の早期から議論されていたといえるのだ10)

Ⅲ.おわりに─夢はいずこに

 以上,英国の「批判的経済教育論」の動きを報告し た。  現在進められている英国の中等経済学教育の転換が, GCE 要目に仮に示されているような開放的,多元的 な経済教育になるのか,新古典派経済学への一元化と なるのか,これらは具体的な検証が必要である。  残された課題は次の二点である。第一に,2017 年 に出題される A- レベル経済学試験の内容を吟味検討 することである。既に Edexcel をはじめ予備的な試験 の サ ン プ ル は 提 示 さ れ て い る(Pearson Edexcel 2014a)。ブラントはその一部から危惧を指摘したが, 全項目に亘っての検討ではないし,また,それが本試 験の実態とどの程度関連性を持つか,さだかではない。 その具体を検討すべきであり,2017 年実施以降に取 り組まれねばならない。第二に,現実の学校現場での 取り組みがどのようになされているのか,その実態が 明らかにされなくてはならない。ブラントも指摘する ように,DfE の要目や各試験期間の詳述書には,経済 学の多元性・開放性が謳われ,さらに,方法的な革新 も目指されていた。たとえどのような理想的なカリ キュラム構想があれ,「受験」という制約の下では, 現場での実践は変質せざるを得ないのではないか。ブ ラントの危惧を確認したいところである。

論文末資料

A- レベル試験の要目(specification)  以下,目標・内容・評価基準の順に説明する。  目標は,表 1 の通りである。  これらの目標は,いわゆる科学としての経済学の手 法のみならず,関心意欲態度,多様性への認識など, 基準化の一方で多様性を認めるものとなっている。次 に,「知識・理解・技能」を表 2 に示す。  表題は,「知識・理解・技能」となっており,経済 学の概念や理論が,命題形式で記述されている。全体 では,はじめに「要諦」として全体を概括している。 次に,育成したい概括的能力資質,さらに,それらを 表 1 A- レベル経済学の目標 経済学に関する A- レベルおよび AS(advanced subsidiary)レベルの要目は,生徒に次のことを促さね ばならない。 1 教科への興味関心の喚起 2 広範な社会経済環境の理解に関する経済学の貢献の 認識 3 多様な概念を理解し,多様な文脈で活用できる能力 の開発 4 経済学者として思考する能力と探究的で,批判的, 深慮にあふれたアプローチの活用 5 経済行動が多様な観点から研究されうることの認識 6 成人期及び就労期の課題,機会,責任のために備え るべき資質と態度とともに分析的,定量的技能を開 発すること (出典:英国教育省『中等教育修了一般資格 A/AS レベル経済 学内容』DfE(2014)GCE AS and A level subject content for economics) 表2 知識・理解・技能 経 済 学 要 目 の 要 諦 ・地域・国・グローバルな状況をふまえながら,ミ クロ経済学とマクロ経済学のバランスのとれた総 合したものを提供すること ・多様な状況の中で活用できる経済概念と理論に関 する理解力の育成と現実世界の現象を説明する際, 自らの価値や制約に関する批判的検討力の開発 敷衍したミクロ経済学とマクロ経済学の概括的内容が 示される。そして A- レベルの範囲が示され,最後に, どの程度の達成が必要か示されている。  ここで重要なことは,どの領域にも,ミクロ・マク ロ経済学が無自覚無批判に提示されているのではなく, 一定の限定をしつつ提示していることである。すなわ ち,冒頭の要諦では,「経済概念と理論に関する理解 力の育成と現実世界の現象を説明する際,自らの価値 や制約に関する批判的検討力の開発」をするとしてお り,価値観によるバイアスや制約への批判的能力が重 要であることを示している。また,資質能力では「経 済問題や制度に関する批判的な検討を通して,経済概 念や理論を理解する」ことや,「経済モデルの限界を 認識しながら,探求の経済モデルへの批判的アプロー チを開発する」としている。  表 3,表 4 はミクロ経済学とマクロ経済学の概念が 示されており,ブラントは,これらの内容に対して批 判しているのだが,「経済モデルの可能性と限界」を はじめとした「留保条件付き」の説明に留意したい。

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学習項目 細目 稀少性と選択 ・基本的経済問題 ・限界 ・機会費用 ・特化と交換 競争的市場のいか に機能するか ・資源の配分 ・経済主体の目的 ・需要・供給 ・弾力性 表3 経済的選択と市場 表4 国民経済とグローバル経済 学習項目 細目 生産,雇用,価格 の決定 ・所得,支出,生産の循環・総需要と総供給 金融部門 ・金融部門の役割と実体経済への影 響 ・金融規制 ・中央銀行の役割 経済政策の目的と マクロ経済パフォ ーマンスの指標 ・具体例:経済成長,雇用,インフ レーション,支出均衡,所得分配 と厚生 ・潜在的な政策対立とトレードオフ グローバル環境 ・国際経済 ・グローバリゼーション ・貿易政策と交渉 ・為替レートの変化 政策手段の適用 ・財政政策・金融政策・為替レート 政策・供給サイド政策の性質と影 響 (出典:英国教育省『中等教育修了一般資格 A/AS レベル経済 学内容』DfE(2014)GCE AS and A level subject content for economics) 育 成 し た い 資 質 ・ 能 力 ・日常生活に影響を与える現在の経済問題や制度に 関する批判的な検討を通して,経済概念や理論を 理解する力の育成 ・資料に示した技能を含め,多様な資料から適切な データを選択し,解釈し,利用する際に,分析 的・数理的な技能を育成する ・市場経済と政府の役割に関する長短を説明し,分 析し,評価する ・経済モデルの限界を認識しながら,探求の経済モ デルへの批判的アプローチを開発する 生 徒 の 取 り 組 む べ き 内 容 ・ミクロとマクロ経済の市場モデルの理解,現在の 経済行動を調査するためのモデルの活用,因果関 係を見いだすこと,モデルが全体として経済社会 にどのように光を当てるかを理解する力の育成 ・需要供給モデルの仮定に気付くこと,多様な手法 でそのメカニズムを説明すること,経済行動を記 述,予測,分析するためモデルを利用すること ・市場の利点とそれが失敗する理由の理解,個人・ 企業・政府にとって市場の失敗が意味することの 理解,政府の失敗の可能性についての認識 ・供給サイドもしくは需要サイドの政策が,なぜ, 経済社会を管理する適切な方法として見なされる のかを理解するために,総需要・総供給モデルと データを活用すること ・マクロ経済政策の考え得る影響の考慮,経済社会 を管理する際に,政府が直面する論争問題の認識, 異なるアプローチに対する論争,(経済政策)の 成功に対する基準の認識と効果の評価 ・文章,数式やグラフで表現された経済モデルを適 用し,評価する能力の育成,多様な資料から様々 なタイプのデータの評価,経済問題に対する考え うる解答の提起,正当化 A -レ ベ ル 要 目 ・金融部門の役割と影響の理解力の育成 ・マクロ経済政策の考え得る影響に関する仮定,関 連の認識 ・広範囲な状況での経済概念,理論,方法,モデル の適用と評価 基 準 ・学習項目と細目は,A- レベル要目の 60%を占めること ・太字の細目は,AS-レベル要目の60%を占めるこ と (出典:英国教育省『中等教育修了一般資格 A/AS レベル経済 学内容』DfE(2014)GCE AS and A level subject content for economics )左端枠の網掛け部分は筆者構成。 ・生産効率と配分効率 ・市場の相互作用 競争と市場支配力 ・企業の目的 ・資源配分の方法に関する市場構造 とその意味 ・企業の相互依存 労働市場 ・賃金決定 ・労働市場問題 ・政府の介入 市場の失敗と政府 の介入 ・外部性・市場支配力 ・情報の非対称性 ・政府の介入に関する代替的手段 ・政府の失敗 (出典:英国教育省『中等教育修了一般資格 A/AS レベル経済 学内容』DfE(2014)GCE AS and A level subject content for economics)

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註 1) 猪瀬は,ブラントと共に,2006 年に開催された韓国経済 教育学会の国際シンポジウム(ソウル大学)に招かれ, それぞれの国の経済教育の現状を述べた。米国からは, 昨年逝去したマイケル・ウォツが招請されていた。翌年, エストニアで開催された国際公民社会経済教育学会(IAC-SEE, International Association for Citizenship, Social, and Economics Education)でもまた,同じセッションで ブラントと同席する。猪瀬は,山岡道男と共に,中学生 用パーソナルファイナンスの調査結果を発表し,一方ブ ラントはシティズンシップ教育としての起業家教育を発 表していた。その発表に対してギブソンは,ブラントら の起業家教育を厳しく批判し,猪瀬らの調査についての 倫理的視点の欠如を批判した。この時期のブラントと現 在の論難者としてのブラントとでは余りの開きがあり, その思想的転換?を探るのは,興味深いところである。 2) ブラントは主としてバスカー(Bhaskar, R. 1979; 1998) に依拠している。 3) ギブソンの主張は,いわば「啓蒙の批判としての経済教 育論」 (Gibson 2009)である。現行の経済教育カリキュラ ムには,新自由主義の価値が埋め込まれていると批判し, 効率・合理のシステム化にホルクハイマーの道具主義的 理性批判とハーバーマスの考察を援用して,なんのため の経済教育なのか,そして,なんのためのシティズン シップ教育なのかと問いかけている。     彼の思想的基盤であるホルクハイマーらの批判理論にも とづき,数量還元批判,道具的理性論批判を展開する。 事実性の背後に,価値や目的が伏在することを指摘し (Gibson 2011: 73),道具的思考を支える哲学的社会的仮定 を検討する。価値に汚染されない人間の理性を仮定する 概念的問題を精査し,ウェーバーからホルクハイマーに よって適用されたモデルを適用することによって結論づ ける。     一方,具体的な義務教育レベルでの考察では,従来から の経済教育にある慈善活動は,多くのボランティアや寄 附行為をした学校を表彰していたのに,現行の経済教育 カリキュラムにはそれが欠如していると批判する。さら に,金融ケイパビリティ論に関しては,所与としての金 融化市場社会とグローバリゼーションを前提としたサバ イバルの強調と批判する。     そもそもギブソンのそれは,ブレア以降の教育改革を徹 底批判する高踏的経済教育論であり,教育カリキュラム としての具体的代替案は断片的なものになっている。そ の代替案には,シューマッハーのスモールイズビュー ティフル(懐かしい!)をはじめとした多様な代替的理 念思想の紹介があるものの,具体的な展開や教材に関し ては,オールタナティブな経済学を提唱する民間財団の 教材を推奨する (Gibson 2008: 73)のみであり,独自の展 開は見られない。 4) 近年の英国経済教育の動きは,バーミンガム大学のピー ター・デイビスの分析・紹介(Davies 2010)がある。初 等中等前期の一般的学校教育レベルでは,山根の一連の 研究(2006; 2012; 2013; 2014)により,1988 年のナショナ ル・カリキュラムから,現行カリキュラムにいたる,シ ティズンシップや「個人,社会・健康,経済教育(Person-al,Social Health and Economic Education, 以下,PSHE)」 の分析によって,金融教育をはじめとしたトピック(年 金,農業,税)に焦点を合わせた経済教育が紹介されて いる。しかし,「経済学教育」としての概説ではない。 5) 労働党政権と保守・自由党の連立政権で名称は変化して いるが,ここでは英国教育制度より,経済学教育内容を 扱うので,詳細には触れない。 6 ) DfE(2014)を参照のこと。 7 ) 金融教育関連の内容が「制度化された経済学教育」の範 囲に含まれるともいえるが,本稿の目的は,ブラントら の批判的経済教育であり,彼らの照準は,中等後期の標 準化された経済学教育内容である。 8) 2015 年に立命館大学産業社会学部で海外から批判的実在 論研究者の招聘講演があり,その記念論集が 2016 年に刊 行されている(立命館産業社会論集 , 51(4), 2016-03)。 9 ) 猪瀬は,1980 年代の米国経済教育協議会の教育スタン ダード(フレームワーク)について,理論教授か経済史 教授かについてのカリキュラム論争を分析している(猪 瀬 1998)。 10) この時代に,1973 年の王立経済学会,大学経済学教員連 盟,経済学協会の三学会合同委員会報告「中等学校にお ける経済学教育」によって,ブラントが批判すると同様 のモデルの限界性についての言及がある。「すべてのモデ ル,とくに通常初歩の経済学を教えるにあたって用いら れるモデルは,多少なりともより複雑な世界を単純化し たものである。単純化されたモデルが機能し,容易に把 握できるようにするためには,モデルには,ほとんどす べての場合,ある種の想定が組み込まれている。使用し ているモデルの基礎にある想定をつねに意識し,これら の想定と検討しようとしている特定の事例との聞の差異 が大きくて,論証を損なうかどうか判断しうることが, 訓練の行き届いた経済学者のだれしもが持たなければな らぬ必須の資質である。このようにモデルの特性,想定, 限界を意識することは,優れた教師が絶えず伝達しよう としている能力である。」(福本 1985) 文献 AQA.(2014a.)‘A-level economics specification’, http://www. aqa.org.uk/subjects/economics/as-and-a-level/econom-ics-2140

AQA.(2014b.)‘A-level economics specimen materials’, h t t p : / / w w w . a q a . o r g . u k / s u b j e c t s / e c o n o m i c s / as-and-a-level/economics-7135-7136/ supporting-re-sources/specimen-papers-and-mark-schemes.

Bhaskar, R. (1979)The Possibility of Naturalism. Brighton: Harvester Press. (式部信,『自然主義の可能性』晃洋書房 2006,) Bhaskar, R. (1998)Critical Realism. London: Routledge. (式 部信訳,『科学と実在論』法政大学出版局 2009,) 表5 附属資料(経済学の数量技能) 割合と比例の計算・利用・理解 パーセンテージとその変化の計算・利用・理解 平均・中央値・実質変位値の理解と利用 基本的なグラフの作成と解釈 各種指標数値の計算と解釈 費用・収入・利益(限界・平均・合計)の計算 名目単位から実質単位への変換計算 弾力性の計算と結果の解釈 文章・グラフ・数式で情報を解釈,適用,分析 (出典:英国教育省『中等教育修了一般資格 A/AS レベル経済 学内容』DfE(2014)GCE AS and A level subject content for eco-nomics)

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Brant, J. ‘The case for values in economics education’. Citizen-ship, Social and Economics Education 10(2/3): (2011) pp.117–28.

Brant, J.(2015)What’s Wrong with Secondary School Eco-nomics and How Teachers Can Make It Right - Method-ological Critique and Pedagogical Possibilities. The Jour-nal of Social Science Education, 14(4).

Brant, J. and Panjwani F.(2015) School Economics and the Aims of Education: Critique and Possibilities, Journal of Critical Realism 14, Iss. 3, 20, pp. 306-324

Davies, P. and Brant, J. (2005) Business, Economics and Enter-prise: Teaching School Subjects (London: Routledge). pp.11-19

Davies, P. & Durden, G.(2010)Economic Education in Schools and Universities in England, The Journal of Eco-nomic Education, 41(4), pp.413–424. Department of Education (DfE).(2014.)‘GCE AS and A level subject content for economics’, http://www.gov.uk/gov-ernment/uploads/system/uploads/attachment_data/ file/302106/A_level_economics_subject_content.pdf 福本邦行(1984) 「"A" level 経済学の展開」『大阪教育大学紀要  第Ⅴ部門 教科教育』32(2-3), pp.185-196. ──「'A' level 経済学の展開(第 2 報)」『大阪教育大学紀 要 第Ⅴ部門 教科教育』34(2),(1985)179-188. 猪瀬武則(1998)「米国経済教育のカリキュラム論争 : 全米経済 教育合同協議会の 1984 年版『フレームワーク』をめぐっ て」『社会科研究』49, pp.51-60 伊賀光屋 (2012)「批判的実在論の方法論 : アブダクションを用 いた構造的説明」『新潟大学教育学部研究紀要 . 人文・社 会科学編』 5(1), pp.37-48 勝野頼彦(2013)『諸外国における教育課程の基準(改訂版) -近年の動向を踏まえて-』国立教育政策研究所 葛城政明(2006)「批判的実在論による経済理論の可能性」『大 阪外国語大学論集』33, pp.27-39

Kolb, D.(1984) Experiential Learning: Experience as the Source of Learning and Development. Englewood Cliffs NJ: Prentice Hall. 宮島健次(2015)「イギリスの教育動向-初等・中等教育を中 心に 2014 年 3 月から 2015 年 2 月」『日英教育研究フォー ラム』19 号, pp.73-98. Pearson Edexcel.(2014a) Level 3 Advanced GCE in Econom-ics A (9EC0) Sample Assessment Materials. . Pearson Edexcel. (2014b) Level 3 Advanced GCE in Econom-ics A (9EC0) Specification, First certification 2017. ローソン, T(2003)(八木紀一郎監訳,江頭進・葛城政明訳 『経済学と実在』日本評論社 榊原研互(2008)「超越論的実在論の批判的検討─R. バスカー の所説を中心に」『三田商学研究』51(4), pp.43-57 山本泰三(2009)「実在論と抽象─T. ローソンの批判的実在 論の検討」『経済論集』179, pp.75-111 山根栄次(2014)「イギリスの学校における金融教育の現況」 栗原久編『「海外における金融経済教育の調査・研究」報 告書』日本証券業協会 (謝辞:本研究は,JSPS 科研費番号 26285203 の助成を受けた ものです。)

参照

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