Japanese JournalofPsychology in Teaching and Learning,2016,12,1-9
問題と目的
小学校で学習する割合概念は,小数,分数,比例と いった有理数の下位概念の1つであり,中学校で学習 する有理数へとつながっていく重要な概念である。し かし,割合概念は小学校の算数の中で,子どもにとっ て理解することがきわめて困難な概念の1つである (Kieren,1988;中村,2008;Lamon,2007)。割合の難しさに 関する研究としては,これまでにも数学教育の観点か ら数多くの研究が行われている(Hart,1988;石田・神田, 2008;Keiren,1983,1988,1993;中村,2008;渡辺,2011;Smart, 1980)。例えば,石田・神田(2008)は,割合の文章問題 から,関係図や線分図を読んだり描いたりする力が十 分でないと述べている。Kieren(1983)は,割合の理解 には,比や単位量といった複数の下位概念を統合する ための記号化や手続きを習得することが必要であるた め,割合概念は困難であることを指摘している。割合 概念は,子どもにとって理解することがきわめて困難 な概念であるといえよう。ただし,こうした割合概念 の理解の困難性に関する研究は,実践経験の中から引 き出された考えや,あるいは数学的な論理構造を背景 にしており,子どもの思考や知識といった認識構造か らの研究ではない。 子どもの思考や知識から見た割合概念の検討につい ては,その重要性は考えられていながらも,今までほ とんど研究されてこなかった(Lamon,2007)。しかし, 最近になって,割合概念に関する認知心理学的な研究 が続々と報告されるようになってきた(Jitendraet.al., 2009;Jitendraetal.,2011;吉田・河野,1999;栗山,2007;栗山, 2011;栗山,2013;吉田・河野・横田,2000)。そこでは,子 どもの知識や思考という視点からの研究が展開され, 主に2つの視点からの研究が展開され,いくつかの注 目すべき結果が得られている。第1に,子どもはイン フォーマルな知識が極めて豊かであることが示されて いる。インフォーマルな知識とは,非公式的に獲得し た知識であり,日常の活動をとおして教科内容に関連 する知識を子どもが獲得したものである(Bruer,1993)。 研究からは,学習する以前の子どもが日常生活の中で 割合の基本となる意味を獲得しており,また%を量と いう点から理解していることが明らかにされている (栗山,2011;吉田・河野,1999;吉田・河野・横田,2000)。さ らに,子どもは割合を学習していないにも関わらず, インフォーマルな知識を利用して割合の第2用法に対 応する問題さえも解決することができることが示され ている(栗山,2011;吉田・河野・横田,2000)。第2に,子 1原著論文
割合概念の学習における認知的障害
―等全体のインフォーマルな知識に着目して―
本研究の目的は,全体の大きさは同一であるという割合の等全体についてのインフォーマルな知識を明らかに することであった。参加者は,割合を学習していない4年生が58名と5年生が57名,割合を学習している6年生 69名であった。等全体には2種類の問題があった。1つは, 基準量が同じである問題で,もう一つは,割合の基 準量が異なる問題であった。基準量が同じか異なる問題において,比較量と割合の大きさを比較することが求め られた。その結果,基準量が同じか異なる問題のいずれにおいても比較量の大きさの判断の成績は高かった。し かし,基準量が異なる問題において割合の大きさの判断の成績は低かった。このことから,子どもはインフォー マルに等全体の比較量については理解していることが示唆された。 [キーワード]割合概念,認知的障害,インフォーマルな知識,等全体 [著者連絡先]栗山 和広 kur[email protected]
栗 山 和 広
(愛知教育大学)
吉 田 甫
どもが割合を新しく学習するさいに何が子どもにとっ て実際に困難な内容(認知的障害)になるかを具体的に明 らかにしていることである。そうした認知的障害の例 としては,第1に,割合の構成要素である,基準量, 比較量,割合の同定の困難さ,第2に基準量,比較量 といった用語と全体と部分という子どもの既有知識と の不一致が指摘されている(栗山,2007;吉田・河野,1999)。 本研究では,子どもの視点から,割合の認知的障害 について,今まで全く明らかにされてこなかった点に ついてさらに検討する。割合の認知的障害としては, 構成要素の同定の困難さが大きなバリアとなっている ことが明らかにされている(吉田・河野,1999;吉田・河 野・横田,2000;栗山,2011)。認知的障害については,分 数に関する研究からきわめて示唆的な研究結果が報告 されている。Yoshida& Sawano(2002)は,分数概念の 獲得を妨害している認知的障害としての等全体の存在 を指摘している。分数の等全体とは,2つ以上の分数 の大きさを比較するさいに,全体としての分数の大き さは同一であるという概念である。さらに,この等全 体の概念を獲得することにより,通常は通分という手 続きを獲得することで始めて大きさの比較が可能とな る異分母の分数の大きさを,理解できることが明らか にされている。割合と分数は有理数の下位概念であ り,広義の概念としては,2つの量から1つの概念を 引き出すという関係性を持つ類似した概念である (Kieren,1988)。割合における等全体とは,2つ以上の 割合の大きさを比較する際に,比較するそれぞれの割 合の全体の大きさは同一であるという概念,つまり比 較すべき割合の全体は1(百分率では100%)である。こ れを等全体と定義する。割合の大きさを比較する際 に,基準量が同じ場合と異なる場合がある。いずれに しても,全体は1または100%とみなすので割合の大 きさを比較することができる。 このように割合と分数を考察すると,分数概念で見 出された等全体という認知的障害が,割合概念におい ても同様に認知的障害になっているのではないかと予 想される。この予想は,全国学力調査(2009)の6年生 の算数Bにおける割合に関する問題(3つの変数の全体量 は異なるが比較量は同じで,その割合を問う問題)の正答率 は,わずか18%であるという結果からも示唆される。 基準量が異なる問題であるが,比較量が同一なので等 全体という概念を獲得していれば容易に答えることの できる問題であるが,等全体が獲得されていないと極 めて困難な問題になると予想され,実際にきわめて正 答率は低くなっている。 さて,子どもは割合に関して豊かなインフォーマル な知識を獲得していることは既に指摘したが,等全体 に関わるインフォーマルな知識は全く獲得されていな いのであろうか。等全体の背景にある基本的な概念 は,計数の5つの原理(Gelman & Gallistel,1978)で指摘さ れている抽象性の概念と類似している。抽象性の原理 とは,1つの全体は形や大きさがどんなに変化しても 「1」という抽象性が引き出される原理を示す。等全体 の概念は,基本的には,この原理が割合という概念に お い て 形 を 変 え た も の で あ る と 考 え ら れ る。イ ン フォーマルに獲得しているかもしれないという証拠 は,すでに報告されている。栗山(2011)は,大きさの 異なるカップに入れる100%の水の量について,割合 を学習する前の子どもに尋ねたところ,4年生でも7 割の子どもが正答することを見出した。この問題は, 等全体の概念を反映した問題であるが,割合を学習す る2年前の子どもがこの種の問題を充分に理解できて いたのである。こうして,等全体の概念については, 割合を学習する以前の子どもも,インフォーマルにあ る程度獲得していることが予想される。 そこで,本研究では主に2つの目的を検討する。第 1に,割合を学習する以前の子どもがインフォーマル に割合の等全体をどの程度理解しているか,また等全 体の中でもどのような等全体に困難性をもっているか を検討する。そのために,割合概念を学習する前の4 年生と5年生,割合を学習後の6年生を対象にしてこ の目的を検討する。この目的を検討するために,2つ もしくは3つの全体を比較するさいに基準量が同じ問 題と基準量が異なる問題を設定し,比較量や割合の大 小の判断を求める課題として提示する。基準量が同じ 問題であれば,子どもは比較量を求める第2用法をイ ンフォーマルに解決できることが既に明らかにされて いるので(栗山,2011;吉田・河野,1999),インフォーマ ルに解決することができるという仮説が引き出され る。しかし,基準量が異なる問題であれば,割合の量 の大小の判断を求める問題は,割合の第1用法と同じ 思考が要求されるので,インフォーマルに解決するこ とは難しいことが予想される。 第2に,割合を学習した後の6年生に,等全体の概 念の獲得と,割合の公式の理解や構成要素の同定には どのような関連があるかについて検討する。ここで は,割合を学習後に,等全体の概念を獲得している子 どもは,割合概念の理解が深化しており,公式の選択 や割合の構成要素の同定の理解が容易であろうと予想 される。 教授学習心理学研究 第12巻 第1号 2
方法
1.参加者 地方の中都市のA小学校の4年生58名,5年生57 名,6年生69名が本研究に参加した。4年生と5年生 は割合について学習していなかった。6年生は調査を 行う9ヶ月前に割合について学習していた。 2.材料 問題は,全部で7問,2枚の用紙に調査用紙として 配布された。最後の問い【7】と【8】だけが,6年 生に対して実施された。問題【1】~【3】は,イン フォーマルな知識を調査する問題である。問題【4】 ~【6】は等全体概念の問題,問題【7】は割合の3 用法の理解を調べる問題であり,【8】は割合の要素の 同定に関わる問題である。 【1】%の比較による割合の意味的理解問題。値引きに なった%をもとに,値段の大小比較ができるかど うかを調べる。(問題)かずや君は,ほしいシャツ がデパートで割引になったので買おうと思ってい ます。Aデパートでは30%引きで売っています。 Bデパートでは20%引きで売っています。AとB のデパートではどちらが安く買えますか。 【2】基準量が変われば割合の示す量も変わるという全 体としての1の概念についての理解であり,等全 体の基本となる意味を理解しているか否かを調べ る。(問題)アとイのコップに水を100%入れたとき に,コップのどこまで水がくるか,それぞれえん ぴつで線を引きましょう。 【3】全体に占める部分の割合を円グラフとして提示し たときに,全体を100%として捉えて,全体―部分 の関係として占める値を量としての%で判断でき るかを調べる問題3問(例:50%,25%,75%)。 【4】2つの基準量が異なっている場合,等全体の概念 を反映させて比較量の大小を判断する。(問題)あ る大きな公園の来園者数を2年連続で調べたとこ ろ,1年目は2,700人,2年目は3,300人でした。 年れい別に来園者を調べると2年とも来園者の 25%が0才~12才の子どもでした。次の問に答え ましょう。①1年目と2年目の来園者数はおなじ ですか,それとも違いますか。②1年目と2年目 の来園者数をもとにした子どものわり合は同じで すか,それともちがいますか。③1年目と2年目 の子どもの人数について次の3つの文のどれが正 しいでしょうか。(ア)1年目の人数が2年目の人 数より多い。(イ)1年目の人数が2年目より少な い。(ウ)1年目も2年目も人数は同じである。 【5】全体は最初から一致しており,比較量の違いだけ で判断するグラフ問題。4年生と5年生は%の量 的意味に関してインフォーマルにもっている知識 から,割合概念が未学習でも%の大小判断ができ ると考えられる。(問題)花子さんは,毎月決まっ た金がくのおこづかいを,文ぼう具代とおやつ代 に使っています。8月から10月の残ったお金につ いて,あてはまる記号を選びましょう。(ア)8月 が一番多い (イ)9月が一番多い (ウ)10月が 一番多い 【6】全体が一致していない問題であり,2つの基準量 が異なっている場合,等全体の概念を反映させて 割合の量の大小を判断できるかどうかのグラフ問 題。グラフにより視覚的に基にする量と比べる量 がわかる問題で,比べる量が同じ値であっても, 基にする量が異なると,100%の示す量が違うと いう知識を適用できるかどうかの問題。(問題)あ る小学校では,3年ごとに図書館の本の数と種類 を記録しています。2010年は,全部で5,300さつ, 3 割合概念の学習における認知的障害 ―等全体のインフォーマルな知識に着目して―㸦 㸧㸣 㸦 㸧㸣
㸦 㸧㸣
Figure 1 【3】の問題例 Figure 2 【5】の問題例2013年には全部で6,900さつでした。そのうち物 語の本の数は,2010年と2013年で同じでした。で は,図書館にしめる物語の本の%についていえる のは,次のうちどれでしょう。(あ)2010年の方が 大きい (い)2013年の方が大きい (う)2010年 と2013年が同じである。 【7】3用法において使用する式の選択問題3問。第1 用法,第2用法,第3用法の問題で適切な式の選 択を求める問題(例:75個のあめ玉のうち,40%がいち ご味です。いちご味のあめ玉は何個ですか。答えを求める 式を次の中から選びましょう。)。 【8】3用法の要素の同定問題3問。第1用法,第2用 法,第3用法の文章題について各要素をそれぞれ 同定できるかを調べる問題(例:次の問題中の(ア) ~(ウ)は,基にする量,比べる量,割合のどれを表してい ますか。コスモスが420本(ア)さいています。そのうち60 本(イ)が赤色です。 赤色のコスモスは全体の何%でしょ う。この問題は(ウ)を求める問題です。)。 3.手続き 問題は一斉形式で実施した。テストではなく調査な ので,緊張しないで全ての問題に答えるように教示し た。調査者と学級担任が二人で調査を実施した。解答 時間は問題【1】~【6】に解答した4年生と5年生 は20分,問題【1】~【8】に解答した6年生は25分 であった。4年生と5年生については,「割合」「もと にした」という言葉の概念に質問があった場合,それ ぞれ「%」,「全体のうち」という言葉であることを説 明した。
結果と考察
1.割合のインフォーマルな知識の問題への反応 %の比較による割合の意味的理解―問題【1】への 反応 4年生が95%,5年生が95%,6年生が87%と高い 正答率であった。学年間の差について検定したところ 有意な差は認められなかった(χ2=3.53,df=2,n.s.)。量 的な値引きについて,子どもは基にする量であるほし いシャツの値引きが,20%と30%では,30%の値引き が大きいと判断したと考えられる。量的な値引きの意 味については,インフォーマルに理解していることが 示された。 全体としての1の概念についての理解―問題【2】 への反応 4年生が74%,5年生が82%,6年生が84%であっ た。学年間の差について検定したところ有意な差は認 められなかった(χ2=0.96,df=2,n.s.)。基準量が異なる 時,その100%の割合が示す量は異なることの意味に ついてインフォーマルに理解していると考えられる。 全体を100%として,全体―部分の関係として%で 教授学習心理学研究 第12巻 第1号 4 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 㸰㸮㸯㸮ᖺ 㸰㸮㸯㸱ᖺ ≀ㄒ Ṕྐ ㎡ ࡑࡢ Figure 3 【6】の問題例 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 50% 25% 75% ṇ ⟅ ⋡ 㸣 㸲ᖺ⏕ 㸳ᖺ⏕ 㸴ᖺ⏕ Figure 4 割合の大きさの量についての各学年毎の正答率表す理解―問題【3】への反応 正答率をFigure 4に示した。全体を100%として, 部分―全体の関係として占める値を%で表せるかにつ いての問題である。割合を未学習の4年生や5年生に おいても,全ての問題で5割以上の正答率であること から,インフォーマルに割合の量的知識を獲得してい ることが考えられる。これらのことから,子どもは, 割合の意味,割合の大きさについての量的理解,基準 量が変われば割合の示す量も変わる,ということをイ ンフォーマルに獲得していることが示された。 2.等全体概念への反応 2つの基準量が異なっている場合に等全体の概念を 反映させての比較量の大小判断―問題【4】への反応 正答率をFigure 5に示した。小問①については,学 年間の差について検定したところ有意差は見られな かった(χ(2)=0.2 84,n.s.)。小問②については,学年間 の差について検定したところ有意差がみられた(χ(2)2 =13.29,p<.01)。小問③については,学年間の差につ いて検定したところ有意差は見られなかった(χ(2)=2 1.94,n.s.)。基準量が異なり,割合が同じ時の比較量の 大きさの大小判断については,子どもはインフォーマ ルに理解していることが示された。 基準量は同じ場合の比較量の理解―問題【5】の反 応 4年生74.1%,5年生75.4%,6年生75.4%であっ た。学年間の差について検定したところ有意差は見ら れなかった(χ(2)= 0.2 03,n.s.)。基準量が同じであり, 比較量の判断についての問題では,どの学年とも7割 以上の高い正答率を示したことから,基準量が同じ場 合において等全体の概念は理解できると考えられる。 基準量が異なる場合で,等全体の概念を反映させて の割合の大小判断―問題【6】への反応 4年生1.7%,5年生7%,6年生18.8%であった。 割合の量についての問題の正答率はかなり低い。学年 間の差について検定したところ有意差が見られた(χ2 (2)=18.0,p<.01)。割合を学習した6年生においても, 18.8%と低い正答率であった。基準量が異なる問題の 解決はかなり困難であることが示された。 3用法において使用する式の選択―問題【7】への 反応 各 用 法 の 公 式 の 選 択 の 正 答 率 は,第 1 用 法 が 52.2%,第2用法が47.8%,第3用法が34.8%であっ た。用法ごとの差について検定したところ有意差は見 られなかった(χ(2)=4.2 56,n.s.)。 3用法の要素の同定の理解―問題【8】への反応 割合の構成要素の同定の正答率について,ア,イ, ウのそれぞれの完全正答のみを正答として分析した。 第 1 用 法 の 正 答 率 は56.5%,第 2 用 法 の 正 答 率 は 43.5%,第3用法の正答率は30.45%であった。用法 ごとの差について検定したところ有意差がみられた (χ(2)=9.2 55,p<.01)。 3.等全体概念における関連 ここでは,等全体の理解と割合の公式や構成要素の 同定とは,どのような関連があるかについて検討した。 a.等全体概念の問題における各学年の反応 等全体概念の問題【4】③,【5】,【6】それぞれ の問題の反応について,4年生,5年生,6年生の反 応を正誤というパターンから分析したところ,6つの パターンが見られた。Table 1に6つのパターンの学 年間の違いを示した。正答は○,誤りは×で示してあ る。 例えば,パターン1は,問題【4】③,【5】, 【6】に対して,正,正,正と反応した子どもである。 Table 1を見ると,パターン2が各学年とも多い。こ れは,問題【4】③,【5】の理解は容易であるが, 【6】の理解が困難であることを示している。各学年と も,基準量が同じか異なるかに関わらず,比較量につ 5 割合概念の学習における認知的障害 ―等全体のインフォーマルな知識に着目して― 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 ձ ղ ճ ṇ ⟅ ⋡ 㸣 㸲ᖺ⏕ 㸳ᖺ⏕ 㸴ᖺ⏕ Figure 5 全体が異なっているときの比較量の判断問題 Table 1 各学年ごとのパターンの人数:( )は割合 6年生 5年生 4年生 12(0.17) 2(0.03) 0(0.00) パターン1 ○・○・○ 24(0.34) 24(0.43) 29(0.50) パターン2 ○・○・× 8(0.11) 5(0.09) 10(0.17) パターン3 ○・×・× 1(0.01) 2(0.03) 1(0.01) パターン4 ×・○・○ 14(0.20) 15(0.26) 14(0.24) パターン5 ×・○・× 10(0.14) 9(0.16) 4(0.07) パターン6 ×・×・×
いての判断に比べて,割合の量の判断は困難であるこ とを示している。次に,パターン5が各学年とも多く 見られるが,これは基準量が同じ場合において比較量 の理解は容易であることを示唆している。パターン6 をみると,各学年とも2割以下である。等全体の概念 についてのインフォーマルな知識を全く獲得していな い子どもは少ないことが示唆される。 b.等全体概念と割合の式の選択の関連 最初に,基準量が異なる問題【4】③と【7】との 関連を調べた。問題【4】③で正解の子どもを正解群, 不正解の子どもを不正解群とした。正解群の【7】の 得点は1.5点(SD=1.09),不正解群は1.0点(SD=.76) であった。正解群の得点が不正解群より有意に高い傾 向があった(t(67)=1.96,p<.10)。次に,基準量が同じ 問題【5】と【7】との関連を調べた。正解群の【7】 の得点は1.5点(SD=.94),不正解群は1.0点(SD=1.06) であり,正解群と不正解群の2群の得点において有意 差は見られなかった(t(67)=1.10,n.s.)。次に,基準量が 異なる問題【6】と【7】との関連を調べた。正解群 の【7】の得点は2.2点(SD=1.16),不正解群は1.1点 (SD=.90)であり,正解群の得点が有意に高かった(t(67) =3.70,p<.001)。割合概念における等全体の概念と公 式選択問題において関連のあることが示唆された。 c.等全体概念と構成要素の同定の関連 等全体概念の問題【4】③,問題【5】,問題【6】 と,3用法の構成要素の問題【8】との関連について 検討した。基準量が異なる問題【4】③において,正 答した子どもを正解群,不正解の子どもを不正解群に 分類した。正解群と不正解群について,3用法の問題 【8】のア,イ,ウそれぞれにおいて,基にする量, 比べる量,割合の3つとも正答した場合に1点とし た。各問の総合合計点を人数で割った値を求めたとこ ろ,正解群の平均値は1.5点(SD=1.14),不正解群の平 均値は1.0点(SD=.82)であった。2群の平均値の差を 検定したところ正解群が有意に高かった(t(67)=2.14, p<.05)。次に,基準量が同じ問題【5】において,3 用法の構成要素の問題【8】との関連について検討し た。正解群の平均値は1.5点(SD=1.02),不正解群の平 均値は0.8点(SD=1.07)で,正解群が不正解群より有 意に高かった(t(67)=2.21,p<.05)。基準量が異なる問 題【6】において,3用法の構成要素の問題【8】と の関連について検討した。正解群の平均値は2.2点(SD =.80),不正解群の平均値は1.1点(SD=1.02)で,正解 群が不正解群より有意に高かった(t(67)=3.45,p<. 001)。 こうして,等全体概念の問題【4】③,問題【5】, 問題【6】の問題で正答した子どもは,3用法の構成 要素の正答率が高いことから,等全体概念の獲得と構 成要素の同定に関連のあることが示唆された。
総合考察
本研究は,割合概念における等全体の概念を,割合 を学習していない子どもがインフォーマルに獲得して いるか,またどのような場合に等全体の獲得が困難で あるかについて検討することが目的であった。 最初に,割合を学習する前の子どもについて,割合 概念のインフォーマルな知識を,どの程度獲得してい るかについて検討した。割合の意味,割合の量的理解 について,割合を学習する以前の4年生や5年生もか なり高い正答率を示し,インフォーマルに獲得してい ることが示された。 次に,等全体の概念を,子どもはインフォーマルな 知識としてどの程度獲得しているかについて検討し た。その結果,基準量が異なり割合は同じタイプの問 題で,比較量を判断する問題【4】③では,各学年と も正答率は5割程度であった。また,基準量が同じ で,割合は異なる時の比較量を判断する問題【5】で は,4年生と5年生は割合についての学習をしていな いにもかかわらず,7割以上の高い正答率であった。 このことから,等全体の概念において,基準量が同じ か異なるかに関わらず比較量を求めることは,割合を 学習する前からインフォーマルに半数以上の子どもは 理解していることが示された。子どもがインフォーマ ルに理解しているといえる基準については,一般的に 子どもがインフォーマルな知識を獲得していないなら ば0%に近いことが考えられ,等全体についての5割 以上の正答率は高く,インフォーマルな知識を獲得し ていると考えられる。こうしたことは,Table 1のパ ターン2や部分的にパターン5からも示唆されてお り,仮説とも一致している。また,吉田(1999)や栗山 (2007)において,割合の第2用法の比較量を求める問 題はインフォーマルにかなり理解しているということ とも一致している。 さらに,等全体概念の理解はどのような場合に困難 であるかについて検討した。基準量が異なり,割合の 量を判断する問題【6】では,割合を学習する以前の 4年生と5年生の正答率はそれぞれ1.7%,7%で あった。さらに,割合をフォーマルに学習した6年生 においても正答率は18.8%と極めて低かった。このこ とは,割合の第1用法はインフォーマルに解決するこ 教授学習心理学研究 第12巻 第1号 6とは難しいということとも一致しており,Table 1の パターン2からも示唆される。これらのことから,基 準量が異なるときに割合を理解することは,割合の学 習を終えている6年生でさえも著しく困難であること は明らかである。この問題は,基準量は異なるが比較 量が同一であり,等全体の概念を獲得している子ども であれば,このタイプの問題はきわめて容易な問題で あると予想されるが,そうでない子どもにとってはき わめて困難な問題となることが明らかにされた。尚, 6年生は公的に割合を学習しており,フォーマルに割 合を解決すると考えられるが,吉田・河野・横田(2000) では,割合の学習後も2割程度の子どもはインフォー マルに解決していることが見られたことから,6年生 でも少数ではあるがインフォーマルな方略を用いて解 決した子どもがいると考えられる。本研究では,割合 概念の認知的障害について検討することが目的の一つ であったが,基準量が異なるときの等全体が子どもの 認知的障害であることが明確になった。 また,割合を学習した6年生に,等全体概念と公式 の選択問題や割合の3用法の構成要素の同定の正答率 についての関連を検討した。基準量が異なる問題【6】 と公式の選択問題【7】の関連や,問題【6】と3用 法の問題【8】の関連がみられることから,基準量が 異なる場合についての等全体の理解と,公式の選択や 3用法の構成要素の正しい理解との関連性が示され た。このことから,等全体における基準量が異なる場 合について理解できるかどうかが,公式の選択や3用 法の構成要素の同定への理解,ひいては割合の概念的 理解と関連のあることが示唆された。 現行の算数のカリキュラムでは,この等全体という 概念は,学習目標としては設定されていない(啓林館, 2014)。実践現場では,このことに少し触れる教師もい るが,学習目標となっていないために,深く学習する 機会はないと言える。つまり,子どもが等全体という 概念を獲得する機会そのものが少ない。そのことが, 割合を学習した6年生において,基準量が異なる問題 における割合の量の判断の理解の困難さをもたらして いると考えられる。また,3用法の構成要素の同定と 等全体の概念との間に強い関連があるという結果から も,割合の概念的理解を深化させるには,等全体の概 念を組み込んだ指導が重要であると考えられる。 今後の課題として,本研究では,等全体について, グラフ形式の問題を用いて検討しているが,その他の 言語形式や表形式でも検討することが必要であろう。 さらに,従来から行われてきた数学の論理体系を容易 な内容から難しい内容へと構成するカリキュラムとは 異なる,子どものインフォーマルな知識や等全体の認 知的障害を取り入れた新しいカリキュラム構成を用い た授業実践の検討が必要である。Yoshida& Sawano (2002)は,分数について,教科書のカリキュラムに基 づいて指導した子どもより,認知的障害への対応を組 み込んだ新しいカリキュラムに基づいて指導した子ど もの方が,分数の概念的理解の成績は2倍以上も高い こ と を 示 し て い る。 割 合 概 念 に 関 し て も,イ ン フォーマルな知識である量からの指導を中心にするこ とや,等全体の認知的障害である割合の構成要素を線 分図からではなく量的な図から指導すること,基準量 が異なる等全体の指導,を取り入れた新しいカリキュ ラム構成による授業開発は,我が国だけでなく海外で も全く実践されていない。これからの21世紀型学習ス キルでは,既存のカリキュラムとは異なる子どもの思 考や発見能力を取り入れた新しいカリキュラム構成が 重要な課題の一つとなっており,今後検討されるべき 重要なことであると考えられる。
引用文献
Br
ue
r
,
J
.
T.
(
1993)
Sc
hool
s
f
or
t
hought
.
Ca
mbr
i
dge
:
MI
T
Pr
e
s
s
.
松田文子・森敏昭(訳)1997 授業 が変わる:認知心理学と教育実践が手を結ぶとき 北大路書房Ge
l
ma
n,
R.
,
&
Ga
l
l
i
s
t
e
l
,
C.
(
1978)
.
The
c
hi
l
d’
s
unde
r
-s
t
andi
ng
of
numbe
r
.
Ca
mbr
i
dge
,
MA:
Ha
r
v
a
r
d
Uni
v
e
r
s
i
t
y
Pr
e
s
s
.
Ha
r
t
K.
(
1988)
.
Ra
t
i
o
a
nd
pr
opor
t
i
on.
I
n
J
.
Hi
e
be
r
t
&
M.
J
,
Be
hr
(
Eds
.
)
,
Numbe
r
c
onc
e
pt
s
and
ope
r
at
i
ons
i
n t
he
mi
ddl
e
gr
ade
r
s
(
pp.
198-
219)
.
Hi
l
l
s
da
l
e
,
NJ
:
La
wr
e
nc
e
.
石田淳一・神田恵子 (2008).5学年「割合」単元にお ける関係図や線分図をかいたり,よんだりする指 導に関する研究 科学教育研究,32(3),153- 163.(
I
s
hi
da
,
J
.
,
&
Ka
nda
,
K.
(
2008)
Te
a
c
hi
ng
of
a
r
e
l
a
t
i
on f
i
gur
e
a
nd a
l
i
ne
f
i
gur
e
t
o s
ol
v
e
pr
opor
t
i
on pr
obl
e
m f
or
5 gr
a
de
r
s
.
J
our
nal
of
Sc
i
e
nc
e
Educ
at
i
on
i
n
J
apan,
32 (3),
153-
163.
)
J
i
t
e
ndr
a
,
A.
K.
,
St
a
r
,
J
.
,
St
a
r
os
t
a
,
K.
,
Le
h,
J
.
,
Sood,
S.
,
Ca
s
ki
e
,
G.
,
Hughe
s
,
C.
,
& Ma
c
k,
T.
(
2009)
.
I
mpr
o
vi
ng s
t
ude
nt
s
’
l
e
a
r
ni
ng of
r
a
t
i
o a
nd
pr
opor
t
i
on
pr
obl
e
m
s
ol
vi
ng:
The
r
ol
e
of
s
c
he
ma
-ba
s
e
d i
ns
t
r
uc
t
i
on.
Cont
e
mpor
ar
y
Educ
at
i
onal
Ps
y
c
hol
ogy
,
34(3),
250-
264.
7 割合概念の学習における認知的障害
J
i
t
e
ndr
a
,
A.
K.
,
St
a
r
,
J
.
R.
,
&
Rodr
i
gue
z
,
M.
,
Li
nde
l
l
,
M.
& Some
ki
,
F
.
(
2011)
.
I
mpr
o
vi
ng s
t
ude
nt
s
’
pr
opor
t
i
ona
l
t
hi
nki
ng us
i
ng s
c
he
ma
-
ba
s
e
d
i
ns
t
r
uc
t
i
on.
Le
ar
ni
ng
and
I
ns
t
r
uc
t
i
on,
21,
731-745.
Ki
e
r
e
n,
T.
E.
(
1983)
.
Pa
r
t
i
t
i
oni
ng
e
qui
v
a
l
e
nc
e
a
nd
t
he
c
ons
t
r
uc
t
i
on of
r
a
t
i
ona
l
numbe
r
i
de
a
s
.
I
n
W.
Zwe
ng,
T.
Gr
e
e
n,
J
.
Ki
l
pa
t
r
i
c
k,
H.
Pol
i
a
k,
&
M.
Suyda
m
(
Eds
.
)
,
Pr
oc
e
e
di
ngs
of
t
he
Four
t
h
I
nt
e
r
nat
i
onal
Congr
e
s
s
of
Mat
he
mat
i
c
s
Educ
at
i
on
(
pp.
506-
508)
.
Bos
t
on:
Bi
r
kha
us
e
r
.
Ki
e
r
e
n,
T.
E.
(
1988)
.
Pe
r
s
ona
l
kno
wl
e
dge
of
r
a
t
i
ona
l
numbe
r
s
:
I
t
s
i
nt
ui
t
i
v
e
a
nd
f
or
ma
l
de
v
e
l
opme
nt
.
I
n J
.
A.
Hi
e
be
r
t
& M.
J
.
Be
hr
(
Eds
.
)
,
Numbe
r
c
onc
e
pt
s
and
ope
r
at
i
ons
i
n
t
he
mi
ddl
e
gr
ade
s
(
pp.
162-
181)
.
Re
s
t
on,
VA:
La
wr
e
nc
e
Er
l
ba
um.
Ki
e
r
e
n,
T.
E.
(
1993)
.
Ra
t
i
ona
l
a
nd
f
r
a
c
t
i
ona
l
umbe
r
s
:
Fr
om
quot
i
e
nt
f
i
e
l
ds
t
o
r
e
c
ur
s
i
v
e
unde
r
s
t
a
ndi
ng.
I
n
T.
P
.
Ca
r
pe
nt
e
r
,
E.
Fe
nne
ma
&
T.
A.
Rombe
r
g
(
Eds
.
)
,
Rat
i
onal
numbe
r
s
:
An
i
nt
e
gr
at
i
on
of
r
e
s
e
ar
c
h (
pp.
49-
84)
.
Hi
l
l
s
da
l
e
,
NJ
:
La
wr
e
nc
e
Er
l
ba
um.
国立教育政策研究所 (2009).平成21年度全国学力・ 学習状況調査報告書. 栗山和広 (2007).割合概念における構成要素の同定 九 州 保 健 福 祉 大 学 研 究 紀 要,8,9-14.(
Kur
i
ya
ma
,
K.
(
2007)
.
Chi
l
dr
e
n’
s
di
f
f
i
c
ul
t
y i
n
i
de
nt
i
f
yi
ng unde
r
l
yi
ng c
onc
e
pt
s
c
onc
e
r
ni
ng
r
a
t
i
o
c
onc
e
pt
s
.
J
our
nal
of
Ky
us
hu
Uni
v
e
r
s
i
t
y
of
He
al
t
h
and
We
l
f
ar
e
,
8,
9-
14.
)
栗山和広 (2012).割合の学習以前に子どもがもつイ ンフォーマルな知識 愛知教育大学研究報告, 61,83-88.
(
Kur
i
ya
ma
,
K.
(
2012)
.
I
nf
or
ma
l
kno
wl
e
dge
a
c
qui
r
e
d
by
c
hi
l
dr
e
n
be
f
or
e
l
e
a
r
ni
ng
r
a
t
i
os
.
Bul
l
e
t
i
n
of
Ai
c
hi
Uni
v
e
r
s
i
t
y
of
Educ
at
i
on.
61
,
83-
88.
)
栗山和広 (2013).子どもの思考に基づいたカリキュ ラム構成による教授介入:割合概念の場合 科学 研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報 告書.1-6. 啓林館 (2014).わくわく算数5下 指導書.La
mon,
S.
J
.
(
2007)
.
Ra
t
i
ona
l
numbe
r
s
a
nd
pr
opor
t
i
ona
l
r
e
a
s
oni
ng.
I
n F
.
K.
Le
s
t
e
r
,
J
r
.
(
Ed.
)
,
Se
c
ond
handbook
of
r
e
s
e
ar
c
h
on
mat
he
mat
i
c
s
t
e
ac
hi
ng
and l
e
ar
ni
ng (
pp.
629-
667)
.
Cha
r
l
ot
t
e
,
NC:
I
nf
or
ma
t
i
on
Age
Publ
i
s
hi
ng.
中村亨史 (2008).割合概念の理解における児童の思 考の様相:ノート記述の分析をとおして 日本数 学教育学会誌,90(4),2-10.
Sma
r
t
,
J
.
R.
(
1980)
.
The
t
e
a
c
hi
ng
of
pe
r
c
e
nt
pr
obl
e
ms
.
Sc
hool
Sc
i
e
nc
e
and
Mat
he
mat
i
c
s
,
80,
187-
192.
渡辺敏 (2011).児童が潜在的に持っている割合の見 方を生かした導入についての研究 日本数学教育 学会誌,93(2),11-21.
吉田甫・河野康男 (1999).割合における構成要素の 同定の困難性と問題解決 宮崎大学教育文化学部 紀要 教育科学,1,1-9.
(
Yos
hi
da
,
H.
&
Ka
wa
no,
Y.
(
1999)
.
Chi
l
dr
e
n’
s
di
f
f
i
c
ul
t
y i
n i
de
nt
i
f
yi
ng
unde
r
l
i
ng
c
onc
e
pt
s
c
onc
e
r
ni
ng
r
a
t
i
o
a
nd
t
he
i
r
s
ol
vi
ng r
a
t
i
o c
onc
e
pt
s
wor
d pr
obl
e
ms
.
Me
mor
i
e
s
of
t
he
Fac
ul
t
y
of
Educ
at
i
on and
Cul
t
ur
e
,
Uni
v
e
r
s
i
t
y
of
Mi
y
az
ak
i
.
Educ
at
i
on.
1,
1-9.
)
吉田甫・河野康男・横田浩 (2000).割合概念の解決 におけるインフォーマルな知識の利用と解決方略 の分析 宮崎大学教育文化学部紀要 教育科学 2,123-133.
(
Yos
hi
da
,
H.
,
Ka
wa
no,
Y.
,
&
Yokot
a
,
H.
(
2000)
.
A ut
i
l
i
z
a
t
i
on of
i
nf
or
ma
l
kno
wl
e
dge
a
nd
a
na
l
ys
e
s
of
s
t
r
a
t
e
gi
e
s
i
n
s
ol
vi
ng
r
a
t
i
o pr
obl
e
ms
.
Me
mor
i
e
s
of
t
he
Fac
ul
t
y
of
Educ
at
i
on
and
Cul
t
ur
e
,
Uni
v
e
r
s
i
t
y
of
Mi
y
az
ak
i
.
Educ
at
i
on.
2,
123-
133.
)
Yos
hi
da
,
H.
& Sa
wa
no,
K.
(
2002)
.
Ov
e
r
c
omi
ng
c
ogni
t
i
v
e
obs
t
a
c
l
e
s
i
n
l
e
a
r
ni
ng
f
r
a
c
t
i
ons
:
Equa
l
pa
r
t
i
t
i
oni
ng a
nd e
qua
l
-
whol
e
.
J
apane
s
e
Ps
y
c
hol
ogi
c
al
Re
as
e
ar
c
h,
44,
183-
195.
付 記
本研究は平成26-28年度日本学術振興会科学研究費 補助金「基盤研究(C):課題番号26380879,研究代表 者:栗山和広」及び「公文教育研究会からの研究費補 助」の援助を受けて行われた。 (2015.7.6受稿,2016.4.18受理) 教授学習心理学研究 第12巻 第1号 89 割合概念の学習における認知的障害
―等全体のインフォーマルな知識に着目して―
Cogni
t
i
v
e
Ba
r
r
i
e
r
i
n
Le
a
r
ni
ng
Ra
t
i
o
Conc
e
pt
s
:
On
Chi
l
dr
e
n’
s
I
nf
or
ma
l
Knowl
e
dge
of
Equa
l
-
Whol
e
Kuri
yama,
Ka
z
uhi
r
o
(AichiUniversity ofEducation)Yos
hi
da,
Ha
j
i
me
(Ritsumeikan University)Thepurposeofthepresentstudy wasto clarify informalknowledgeon equal-wholewhich magnitudeofwholeswasthe samesizeforallratios.Participantsin thisstudy were58 studentsin the4th gradesand 57 studentsin the5th gradeswho had notstadied ratiosyet,and 69 studentsin the6th gradewho had learned ratiosalready.Thereweretwo kindsof problemsin Equal-whole,theproblemsin which thebasequantitieswerethesame,and thosewhich thebasequantities weredifferent.Thechildren wereasked to comparethemagnitudesofthecomparison quantity and theratiosin the problemswith sameand differentofbaseamounts.Theresultsshowed thatthejudgmentofmagnitudesofcomparison quantity showed superiorperformanceirrespectiveofthetypeofproblem,whereastheproblemsforthejudgmentofratios showed low performancein theproblemswith differentbasequantities.Itwassuggested thatchildren acquired informal knowledgeofcomparison quantity in theequal-wholethrough experienceofeveryday life.