5月13日
タイトル 「政治危機と私たちの選択」
~憲法と民主主義を守る~ 法政大学法学部教授 山口二郎さん
今、世界がアベ化(民主政治の劣化)しており、こんなにイヤな時代はない。
(アベ化とは・・・・・自己愛の強い幼児的リーダーが好き放題。批判に聞く耳を持たない。相手を逆恨み
し叩き潰す。そのために、嘘、いつわり、ねつ造何でも使う。嘘がバレても恥じない。事実とフィクション
の区別ができない。)
1.なぜ嫌な国になったか
●安保法制がとおり戦争ができる国になった。その特徴は、
① 政府が国民に事実を知らせない。 ② 嘘をついて国民を引っ張る ③ メディア抑圧 ④ 国民をいろんな仕掛けで束ねる。 (例)文化やスポーツを道具にして、国民に感動を押し付け束ねる。 (2020 年のオリンピックに向けー。明治維新150年!我が国の歴史を美化、日本に生まれて良かったキャン ペーンをはる) ⑤ 国民の生き方への一定の枠をはめる。 国が私的生活に口を出す。家庭教育支援法に注意 (良き家庭をつくれ!親は子供に対してどう対応すべきか。とくに女性、母親はどうあるべきかなど) ⇒親が愛情を持って育てれば問題はおこらない。=非科学的な話が根底にある。 女性は早く結婚して子供を産め!一方で、労働力が足りないから活躍もしろなど●説明責任の消失とかこつけの政治
① 国会軽視 説明しない安倍政治 (例)国会の審議に「読売新聞を読んでください」=日本の議会政治の歴史に残る大きな汚点! 昔の自民党はしっかりした。国会は国権の最高機関。国会で仕事をし、国会を死に場所とする覚悟を持っ ていた。与野党セットになって議会政治を支えていくという、ほこりや論敵に対する敬意を多くの政治家は持っ ていた。野党を小ばかにして、聞かれたことに答えない。見るに堪えない国会。 討議に対するニヒリズム(やっても無駄)・シニシズム(あざわらい)。 安倍総理は、自民党総裁しての発言を新聞で答えと総理大臣としての発言は国会でと、使い分けていると言 っているが、これはおかしい。議員内閣制の下では、自民党総裁と内閣総理大臣は一体である。安倍信三は 一人で、2つの役割を持っている。その2つを繋ぐのは、政治家という存在。政治家としての思いを国会で問わ れれば、政党としてであろうが政府としてであろうが、自らの信念・理念というものを語らなければいけない。 ② 美辞麗句の陰に隠れた人間軽視の政策 (例) 駆け付け警護・・南スーダンの平和にかこつけて自衛隊を出し戦争ができるようにする。 南スーダンの平和や現地の安全は口実。本当のねらいは自衛隊を海外に出し武器 使用を可能にする・武力行使を可能にすること。 ・オリンピックにかこつけて共謀罪が必要である。 ・働き方改革の美辞麗句⇒100 時間残業を可能にする。一定年収以上の労働者に残業代を払わない。●国家の私物化
公の観念がなくなっている 自分及び自分と親しい人達のために公の財産・公の力を使う。 ・森友学園問題の本質。お友達優遇政治がはびこっている。 ・公務員という憲法でいう全体の奉仕者ではなく、自民党という特定政党に奉仕する存在となりさがっ ている。このような役人たちが共謀罪という危険な道具を手にすると 共謀罪の危険性⇒反政府活動の弾圧への不安 (かつて治安維持法の下で、私有財産の否定・国体の偏向・・・・・漠然とした言葉で警察が権力を振る った。) 教育勅語の復活⇒国の為、公の為に貢献しろ・という教育⇒国民の批判を免れる最も良い方法
●政治の劣化(アベ化)が世界に広がっている
グローバリズムによる経済の変化 格差と貧困の広がり~普通の市民にとっての働く場の喪失・雇用の劣化 ⇒人々の不満・不安の高まり アメリカにおけるトップ1%の富裕層が国民全体の所得のどれくらいを取っているかのデーター 富の集中の2つのピーク1928年、2007年。そのあとに大恐慌が起こっている。 1929 年世界大恐慌、2008年リーマンショック 富の集中が過度に進めば、土地、株、その他の投機が必然的に進みバブルが膨らむ、バブルがはじけて大パ ニックがおこる。 経済の立て直し 20 世紀・・フランクリンルーズベルト大統領⇒ニューディール政策(平等を追及する政策) 労働者の権利の養護、公共投資による雇用の創出、社会保障制度の整理、農民への所 得補償等 21 世紀・・・オバマ⇒景気対策を行ったが、富の集中の歪んだ構造にはまで手をつけられず。 ↓ 雇用の劣化は止まらず生活不安・不満が広がる ↓ ポピュリストと呼ばれる政治家が支持 トランプ支持(フランスではルペン、イギリスではEU 離脱) ポピュリストが権力をとると、嘘、偽り、ねつ造何でもあり。メディアが批判できない。 トランプ勝利の意味・・・人間はみな平等であるという「建前」を否定する者の支持 女性、少数者、移民などに、平等の権利を認めたくない 建前の否定・⇔平等、個人の尊厳、政治的価値を否定することは、民主主義や文明を否定すること アメリカの建前 独立宣言・・・すべての人間は神によって平等に作られ、奪うことのできない権利を付与されている。その中 には、生命、自由、幸福の追求がある。(日本国憲法第13条人類普遍の原理) 民主主義の歴史は、建前を普遍化する歴史がある。19 世紀、20世紀と、女性、移民、黒人の戦い により、独立宣言の意味内容「すべての人間は平等・・・」を広げていった歴史。 「建前」に向けて現実を少しでも変えていくという歴史が民主主義の歴史だった
テコの支点が建前⇒建前を否定するのが、悪しき現実を喜ぶ人間
↓ 日本の憲法を考える重要な視点 ・保守派の評論家、作家など、憲法は無意味、人間は平等ではない・・・・憲法をあざ笑う
2.日本の危機的状現状
①政治の危機
権力の暴走と無責任 =明示的に禁止されていないことは、何をやってもよいという権力側の開き直り 自由と民主主義は決して強固ではない。 言葉の崩壊 言葉の意味を権力者が都合よく作り替える⇔民主政治の破壊・全体主義に繋がる ・積極的平和主義 ・南スーダンの現状は、「戦闘」ではなく「衝突」 ・詭弁とごまかしの重層化 ・オールウェイの新語法(1984 年という小説) ①戦争は平和②自由は隷属③無知は力・・・を刷り込まれる 言葉の意味を詮索しない、矛盾に気が付かない、矛盾を受け入れる⇔全体主義 なぜ言葉が大事か 政治家との約束は言葉・・・・・言葉の意味がなくなると約束を守っているかわからなくなる。 政治家に責任を問うときに、言葉の意味がきちんとしていなと 問えない。 権力の集中・権力の独占はいつまでも続く 議員内閣制という政治制度の問題・・・三権分立は絵に描いた餅 ・立法権と行政権は融合しやすい ・裁判所に対する内閣の大きな影響力 最高裁は期待できない 歯止めは、選挙における国民の意志表示と権力者の更迭 主権者として、独裁をとめるために、政権交代を起こすという意思表示をしないと、いつまでも続く。 覚悟を持って次の選挙で立ち向かう必要がある。②社会の危機
・人間の命や個人の尊厳を侮蔑する風潮 (障害者、外国人に対する差別といじめ) ・公的言論空間の劣化 テレビや活字メディア・・・・差別の言葉が飛び交っている ・殺伐とした雰囲気が社会に広がっている=1930 年代のドイツと重なる 社会不安の中で、個人が伝統的な職場、地域という共同体から離脱して、不安定でバラバラの状態 →バラバラの人たちが、どこかに安心を求めて、強い権威に惹かれていく。⇒ナチズムの台頭 ・自由⇒あまり自分を出さない、出すと浮くという雰囲気③経済の危機
・ 一人当たりの賃金の推移・・・賃金が下がり続けている ・ 企業の収益と勤労者所得の変化・・・・2000 年までは、会社が儲かれば給料も上がる 21 世紀・・・会社は儲かっても給料は下がる 給料が下がるから会社が儲かる ・ 大企業の内部留保・・・・・・・・・・・・・・・2015 年には、350兆円を超える状態 ・ 年代別貧困・・・・・・・前世代において貧困が広がっている ・ 相対的貧困率・・・・真ん中の所得の人(中位所得)の半分が相対的貧困ライン 日本はアメリカにつぐ2位(6人に1人は貧困)
3.それでも支持率が下がらないのはなぜか?
・恐怖と誇りの均衡 中国の軍事的膨張への危機、北朝鮮の核・ミサイルの危機 ・誇りを求める気分 バブルがはじけて25年・・・自分たちは優秀という誇りを取り戻したい ⇒強そうに見える指導者を求める 世の中こんなもの。他の国に比べればまだましという感覚、せっぱつまってはいない。
国民の社会満足度調査・・・・・見えない壁の実態
国を愛する気分が強いという人が増えている 社会全体の満足・・・・満足している人が増えている 満足していない人が減っている 日本の誇り・・・・・・・治安の良さ、 美しい自然、優れた文化、長い歴史と伝統・・・・・ が高まっている。 悪い方向に向かっている・・・財政、地域格差、防衛、景気、外交・・ 減っている とくに外交・・・対外的な脅威を煽ることによって、安倍首相の評価が上がっている。 民主政治の満足度・ 民意が政治に反映されているか・・・増えている⇒認識の視野範囲が狭いから満足できるのでは。
自分以外の問題に関心を示せない。大したことはない。何となしの現状満足。 沖縄、福島の冷たい視線はどこから来るのか。 比較的恵まれた状況の中で生活している人にとって、そうした問題を視野に入れない。 または、自分たちの良心を満たす程度にやる。それ以上の要求は、身勝手だ。 多数派の側が安心を確保するという心理構造プロクルステスのベッドより・・・・倒錯の心理
人間というのは、問題に向き合ってきちんとした対策をたてるのではなく、手持ちのできあいの材 料を使っ て、小さな解決策を作って、現実をそれにあわせていく。物事を解決したような気分になる。 例・・・プレクルステスノのベッド⇒福島原発で被害者に対する貧相な法制度、乏しい予算 ベッドに括り付けられている⇒福島原発事故の被災者 刀を振り上げて手足を切る⇒政治家、官僚ここまではやるけれど、そこから先は自己責任
安倍政治を支えている多くの人は、プロクルステスの側に立っている。
4.歯止めは、選挙における国民の意志表示・権力者の更迭!
主権者として、独裁を止めるために、政権交代を起こすという意志表示をしないと、いつまでもこの暴走は続く。覚 悟を持って次の選挙に立ち向かう必要がある。〔選挙で多数派を負かすことが唯一の解決策 政権を任せても良いという安心感をどう作り出すか。〕
①野党統一 候補者を一本化する。 ②「争点」を明確にする ③有力な政治家を立てる=保守層、労働組合、民進党、共産党、リベラルな無党派層の票を集める ④市民も参加する 労組を基盤とした革新政党、批判的意識を持つ無党派層、今の自民党政治に疑問を持つ良識的保守層をうま く合わせれば勝てる! 参議院選挙で与党が勝った理由(「朝日新聞」 安倍首相の政策が評価された。15% 野党に魅力がなかった。71% ちゃんとした選択肢をつくれば、人々の政治的選択を変えるチャンスはある。 〇32の1人区で野党統一候補を立て11の県で勝った。 〇沖縄や福島で勝った。 安倍政治の冷酷非道な政策が地域の人々に非常に大きな害を及ぼしている。そのことを住民も実感してい る。 〇東北甲信越の多くの県で勝った TPP と農業の問題・・・東北、新潟、長野あたりはもともと自民党にいたけれど、日本の政治を良くするために 自民党ではない勢力を立ち上げないといけない、政党再編の中で、野党に加わった有力な政治家が大勢いた。 小沢一郎(岩手)・・ 保守層、労働組合、民進党、共産党、リベラルな無党派層などが集まると勝てる。 野党統一 例 1人区・各党支持層の投票先(朝日新聞) 野党支持層⇒8~9割野党統一候補に投票した。 (共産党と組むと保守的な表が逃げるという民進党がいるがそれは間違い) 無党派層⇒過半数が野党統一候補に投票した。 ・政治に関して全く無関心 ・意識の高い無党派層・・・・受け皿が整ったら、野党に投票する。 政治に対して不満・批判を持っているけれど、特定の野党に支持する気になれない。新潟の知事選挙より ・争点を明確にする ・候補者を一本化する ・市民も参加し、投票率を上げていく。 このような条件が整えば勝てる 作戦として 労組を基盤とした革新政党、批判的意識を持つ無党派層、今の自民党政治に疑問を持つ良識的保守層 をうまく合わせれば勝てる。 新潟知事選の NHK の出口調査より 民進党支持層⇒8~9割が米山候補へ 連合に票を動かす力はない。 無党派層⇒2/3は米山候補