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目 次

モデリング,イメージ ,ビデオフィード バックによる学習効果の比較:大場渉,武田守弘( 広島大学大学 院),関矢寛史( 広島大学) 3 麓信義先生のコ メント . . . . 4 競技力向上のためのメンタルトレーニングのあり方:伊藤 友記( 岐阜県イベント・スポーツ振興事業団 ス ポーツ科学トレーニングセンター ) 9 コメント:平田智秋 . . . 10 把握動作に及ぼす錯視の影響:兄井彰( 福岡教育大学) 13 「把握動作に及ぼす錯視の影響」に対するコメント:慶応義塾大學政策・メデ ィア研究科  伊藤納奈 17 コメント:広島大学大学院  武田守弘. . . 19 打者の眼球運動と視覚運動制御:加藤貴昭( 慶應義塾大学大学院) 21 松尾先生のコメント . . . 23 吉田先生のコメント . . . 25 歩行における視覚情報処理の役割を考慮し た環境改善の提案:伊藤納奈( 慶應義塾大学大学院) 27 コメント:荒木雅信 . . . 28 コメント:兄井彰. . . 29 両手協応課題を効率的に習得するための学習スト ラテジーと学習スケジュール:筒井清次郎( 愛知教育大 学) 32 橋詰先生( 大阪大学)から戴いたコメント . . . 34 ストレス条件下の的当てにおける運動の協応性の低下について:樋口貴広( 東北大学大学院文学研究科) 36 大場渉さんからのコメント . . . 36 熟練者のチェロ演奏動作の分析 ∼近位と遠位の協調動作の観点から∼:植野 研・古川 康一 (慶應義塾大学大学院 政策・メディ ア研究科) 39 門田さんからのコメント . . . 42 山西さんからのコメント . . . 43 打球動作の非線形ダイナミクス:山本裕二( 名古屋大学) 45 戸松彩花( 奈良女子大学)さんからのコメントとリプライ . . . 47 運動の多様性はいかにし て生まれるか:工藤和俊( 東京大学  総合文化研究科  身体運動科学教室) 49 コメント:山本裕二( 名古屋大学) . . . 50

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2 コメント:阿部正史( 大阪大学大学院人間科学研究科). . . 51 動作の習熟に伴い力(ト ルク )の利用方法はどの様に変化するのか?:門田浩二( 大阪大学大学院人間科学 研究科)・松尾知之・橋詰謙( 大阪大学健康体育部)・手塚一志(ベータエンド ルフィン ) 53 門田さんへのコメント:関矢寛史 . . . 55 特別講演「逆問題とし ての運動学習」:調枝孝治先生( 広島大学総合科学部) 59 橋詰謙先生からのコメント . . . 59 麓信義先生からのコメント . . . 59 松尾知之先生からのコ メント . . . 60 吉田茂先生からのコメント . . . 61 筒井清次郎先生からのコメント . . . 61 山本裕二先生からのコ メント . . . 62 平田智秋先生からのコ メント . . . 62 工藤和俊先生からのコ メント . . . 62 兄井彰先生からのコメント . . . 63 荒木雅信先生からのコ メント . . . 64 Reminder Feedback が運動学習に及ぼす影響:渋谷賢(東京学芸大学連合大学院) 65 筒井先生からのコメントと渋谷のリプライ . . . 67 樋口さんからのコメントと渋谷のリプライ . . . 68 リズミカルな反復運動における個人間の協応特性  –主従的な個人間協応–:山西正記(広島大学教育学部 研究生) 70 植野さんのコ メント . . . 73 山西さんへのコメント :平田智秋. . . 74 バスケット ボールにおけるチームの秩序状態をあらわす指標:橋本晃啓(広島修道大学) 77 橋本先生の発表へのコ メント:工藤和俊 . . . 81 「橋本先生へのコメント 」:田島  誠 . . . 82 テニスのサービス予測における手掛かりが反応の早さと正確性に及ぼす影響:武田守弘,大場渉 (広島大学 大学院)関矢寛史,坂手照憲( 広島大学) 85 奥村基生さんのコメントと武田のリプライ . . . 87 加藤貴昭さんのコメントと武田のリプライ . . . 88 潜在及び顕在学習様式における知覚トレーニングの効果:関矢寛史( 広島大学総合科学部) 91 木島さんからのコメントと関矢のリプライ . . . 92 渋谷さんからのコメントと関矢のリプライ . . . 93

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モデ リング,イメージ,ビデオフィード バックによる学習効果の比較 3

モデリング,イメージ,ビデオフィード バックによる学習効果の比較

大場渉,武田守弘( 広島大学大学院),関矢寛史( 広島大学)

目的

モデ リング,イメージリハーサル,ビデオフィー ド バックが運動学習過程に及ぼす相互作用について 検討する.その際に,キャッチし た成功回数のみな らず,動作分析を用いて学習過程における方略につ いても検討する.

方法

1. 被験者 18-23 歳までの大学生 72 名(男性 32 名, 女性 40 名) 2. 実験課題 剣玉の「ふりけん」 3. 実験手続き プ リテスト  10 試行 習得段階  150 試行( 50 試行毎に 1-2 分の休憩) ポストテスト  10 試行 計 1 日 170 試行× 3 日間( 連続) 4. 実験群 1)モデ リング群(M);観察 → 試行 2)イメージ群( I);イメージ → 試行 3)ビデオフィードバック群( V);試行 → ビデオ FB 4)統制群( Cont);試行 5)M+I 群;観察 → イメージ → 試行 6)M+V 群;観察 → 試行 → ビデオ FB 7)I+V 群;イメージ → 試行 → ビデオ FB 8)M+I+V 群;観察 → イメージ → 試行 → ビデ オ FB 5. 分析方法 1.被験者の上下肢 8ヶ所(頭頂,頚椎,右肩峰,肘 関節回転中心,尺骨突起,小転子,肘関節回転 中心,右外果)に反射マーカーを貼り付け,右 側方よりデジタルカメラにてプ リ,ポストテス トを撮影した.撮影したビデオ画像を毎秒 60 コ マでコンピューターに取り込み,画像解析ソフ ト WinAnalyze で各測定点をデジタイズし,首, 肘,手首,膝の各関節角度を算出した. 2.各プ リ,ポストテストにおける成功キャッチ回 数,ならびに習得段階での成功キャッチ回数に ついて,性( 2)×実験群( 8)×テスト( 2)× 日数( 3)の 4 要因分散分析を行った.

結果

別ページ参照

考察

考察と言うよりは感想に近いのですが,実験前の 予想では,モデリング>フィードバック>イメージに なるのではないかと想定していました.つまり,モ デリングが関与している群( M 群,M+I 群,M+V 群,M+I+V 群)が良く,イメージ群は統制群と同 じようにほとんど 向上しないのではないかと考えて いました.なぜならば,イメージを用いたトレーニ ングは学習段階が進んだ状態の時に効果が見られる, つまり,学習初期状態ではイメージトレーニングの 効果が少ないと考えていたからです.しかしながら, イメージ群が最も向上したことについて考えてみる と,女性のほとんどは,3 日間を通しても成功数が 「0」となることがほとんどで,比較のしようがなかっ たことが考えられます.また,実験開始( 1 日目の プ リテスト )で被験者間の統制をとっていなかった ことも考えられます.そこで,動作分析から比較を していけば,そういった問題を解決することができ るかもしれませんが,まだ各群男女 1 名ずつしか分 析が終わっていないため,動作解析からは判断する ことはできません. 動作解析にからの考察については,正直にいって 何を言っていいのか分かりません.研究会中にも指 摘されましたように,各関節の協応状態をどのよう に表せれるのかが勉強不足のためできません.ただ, 剣玉を剣先に入れるための条件を考えてみると,途 中で引っ張ることによって球に回転を与えることと, 膝を曲げることによって少しでも長い時間,つまり 十分な回転を与えるたに球穴をよくみることが大事 となってくることが考えられます.そういったとこ ろから,例えば ,手首を返し たとき( 剣先 to リス ト to 肘で手首関節角度を算出しているので,この場 合,最も角度が小さいとき )の球の回転角度や剣先 に球が当たる瞬間( 最終フレーム)の膝関節角度を 比較していけばいいのでは,と考えています.とり あえずは,全員分のデジタイズを終了することが先 なので来年の研究会までには終了させたいと思って います.

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名人 NECK 60 80 100 120 140 160 180 200 1 5 9 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) 1st 2nd 3rd 4th 5th 名人 ELBOW 30 50 70 90 110 130 150 170 190 1 5 9 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) 1st 2nd 3rd 4th 5th 名人 WRIST 100 120 140 160 180 200 220 1 5 9 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) 1st 2nd 3rd 4th 5th 名人 KNEE 80 100 120 140 160 180 200 1 5 9 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) 1st 2nd 3rd 4th 5th 図1: 各関節角度の変化(名人).上から首, 肘,手首,膝の順

麓信義先生のコメント

剣玉の学習に対して、イメージ練習や、モデル観 察、VTRフィード バックがど のような影響を与え るかを見る意欲的な研究ではあるが 、あまりにも多 くの変数を一度に導入してし まったので 、結果が曖 昧になってし まっている。上記条件を複数与えた場 合の実験は、個々のファクターの影響を見極めた上 で追加すべきではなかったかと思われる。そうすれ ば 、各群20名の4群構成の実験が可能で、有意な 群間差が検出できたかも知れない。 さらに、この種の実験は、課題がど ういうものか を正確に捉えた後で、行うべきである。その意味で は、名人の動作分析が大切であり、何人かの名人を 分析して、その共通部分、あるいは 、重要と思われ る動作を抽出し 、その部分の動きが学習によりど う M (male) NECK 60 80 100 120 140 160 180 200 15913 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-2nd M (male) ELBOW 30 50 70 90 110 130 150 170 190 15913 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-M (male) WRIST 100 120 140 160 180 200 220 15913 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-M (male) KNEE 80 100 120 140 160 180 200 15913 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-2nd M (female) NECK 60 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-2nd M (female) ELBOW 30 50 70 90 110 130 150 170 190 15913 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-2nd M (female) WRIST 100 120 140 160 180 200 220 15913 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-M (female) KNEE 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-図2: 各関節角度の変化( モデリング群).上から 首,肘,手首,膝の順( 左半分:男性被験者, 右半分:女性被験者) 変化したかをみるのが 、回り道でも早いのではない だろうか。 そこでまず、振り剣課題の原理を考えてみると、 穴を下方に向けさせるための動作が重要となる。構 えた姿勢から、握り手を静止させたままで球を離せ ば 、球は振り子運動をし 、穴の方向は常に紐の延長 方向である。静止させたままでは、途中から球が引 き返してきてしまうので 、張りの張力を失わないよ うにしながら握り手で勢いをつけるのが普通である。 しかし 、それだけでは、穴の位置はやはり紐の延長 線上にしかないので 、握り手の上に球が来たとき 、 球は紐の方向、つまり真上を向いてし まう。 途中で引っ張ることによって、球に回転を与える のであるが 、紐の延長線上に穴があっては 、回転せ ずに回転中心である握り手の方へ引き寄せられてし まう。そこで 、少し動いた段階で斜め前方に動いて いる球と平行な方向に握り手を動かせば 、球は斜め 前方にほぼ無回転で移動するので 、紐の方向と穴の 方向が少しずれる。その時、握った手の手首を曲げ て紐方向の力を素早く加えると、球の力の加わる方 向が球の重心から少しずれているので 、回転運動を 始める。この回転運動は、振り子状態で動いている 時の球の回転速度より速いので 、球が振られて上死 点に達する時に、球の穴が下に来る( 半回転よけい にまわる)。 名人の17フレーム付近の膝曲げが 1、35フレー ム付近の手首曲げが 2に相当すると思われる(図6)。

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モデ リング,イメージ,ビデオフィード バックによる学習効果の比較 5 I (male) NECK 60 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-I (male) ELBOW 30 50 70 90 110 130 150 170 190 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-I (male) WRST-IST 100 120 140 160 180 200 220 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-I (male) KNEE 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-2nd I (female) NECK 60 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-I (female) ELBOW 30 50 70 90 110 130 150 170 190 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-I (female) WRST-IST 100 120 140 160 180 200 220 15913 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-I (female) KNEE 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th PO ST-1st PO ST-図3: 各関節の角度の変化( イメージ群).上から 首,肘,手首,膝の順( 左半分:男性被験者, 右半分:女性被験者) その後、45−49フレームまで膝を伸ばして球 をむかえに行き、最後は膝を曲げて球との相対速度 を小さくして穴を突くための微調整をしている。 膝の曲げ動作を除くと、50フレーム以降ほとん ど 変化がないことは、名人の場合、球の軌跡がほと んど 一定であり、膝以外を用いた大きな調整は必要 なかったことを示している。一方、練習群では、軌 跡が一定でないため、肘の関節を使って最終調整を していることが 、肘関節の変化図から読みとれる。 この動作の場合、球の軌跡を一定にする技術とそ れに突き刺す技術に分けられ 、球の軌跡の再現性に は、重心軌跡の再現性と球の回転速度の再現性とい うサブ カテゴ リーが考えられる。このような動作の 分析を通して、学習の指標を決めることが大切と考 える。 大道は、テニスのストロークに関して、初心者は 動作開始時に再現性があり、紋切り型に反応するの に対して、上級者はインパクト直前の動作の再現性 が高いというデータを出している。有名な Bootsma らの卓球の実験もインパクト直前の再現性が高いと いう意味では 、同じ指摘である。剣玉では、テニス のストロークと違い、球出しも自分で行うので 、球 の軌跡を一定にするためには、動作開始時の動作の 再現性が高い必要があり、途中( 球を軽く手前に引 く動作後)は、一定のリラックスの後、突き刺し寸 前での動作の再現性( 球の位置は毎回少しずつ異な るので、球の穴の位置に対する相対的位置の再現性) V (male) NECK 60 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th V (male) ELBOW 30 50 70 90 110 130 150 170 190 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th V (male) WRIST 100 120 140 160 180 200 220 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th V (male) KNEE 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th V (female) NECK 60 80 100 120 140 160 180 200 15913 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th V (female) ELBOW 30 50 70 90 110 130 150 170 190 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th V (female) WRIST 100 120 140 160 180 200 220 15913 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th V (female) KNEE 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th 図4: 各関節の角度の変化(ビデオフィード バック 群).上から首,肘,手首,膝の順( 左半分: 男性被験者,右半分:女性被験者) が高い必要がある。 名人芸の分析から 、動作学習の仮説を作り、各練 習条件がどのような要素を強化するか人ついて仮説 を立て、再度、シンプルな条件でチャレンジすると よいのではないか。 パフォーマンスの指標についても、成功失敗だけ ではなく、軌跡がある限度内かど うか、球の穴が下 を向いているかど うかなど 、いくつか考えられる。 軌跡がよくても穴が下を向かないと成功できないの で、垂直に引っ張って穴( お皿でもよい)に入れる 動作か、振ってお皿に入れる動作を被験者の課題に した方が 、学ぶことが単純で、分析もしやすいかも 知れない。 回してお皿に入れる動作でも、単に回せば 、遠心 力で一周してし まい、皿にはのらないので 、回して いるどこかで紐を引っ張り、球を回転中心までふわっ と持ってくる動作が必要になる。この動作は、球の 回転の程度をも調節する必要はないので 、易しい動 作であり、それだけ課題が単純になる。この動作を 研究対象する方がよいと思われる。 最後に、パフォーマンスの統計分析は、各条件あ りなしの3要因分散分析を行うのが正当ではないか と思われる。皿にのせる課題であれば 、できたでき ないではなく、皿の中心と再接近時の球の中心の水 平座標上の距離を画像分析から求めて連続数として パフォーマンスを決定することも可能となる。剣先 への球のせは剣玉の醍醐味ではあるが 、研究課題と

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Cont (male) NECK 60 80 100 120 140 160 180 200 1 5 9 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 77 81 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th

Cont (male) ELBOW 30 50 70 90 110 130 150 170 190 1 5 9 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 77 81 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th

Cnot (male) WRIST 100 120 140 160 180 200 220 1 5 9 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 77 81 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th

Cont (male) KNEE 80 100 120 140 160 180 200 1 59 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 69 73 77 81 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th

Cont (female) NECK 60 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th

Cont (female) ELBOW 30 50 70 90 110 130 150 170 190 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th

Cont (female) WRIST 100 120 140 160 180 200 220 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th

Cont (female) KNEE 80 100 120 140 160 180 200 159 13 17 21 25 29 33 37 41 45 49 53 57 61 65 frames an g le s (° ) PRE-1st PRE-2nd PRE-3rd PRE-4th PRE-5th POST-1st POST-2nd POST-3rd POST-4th POST-5th 図5: 各関節の角度の変化(統制群).上から首,肘, 手首,膝の順(左半分:男性被験者,右半分: 女性被験者)

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6: 膝曲げと手首曲げのタイミング しては 、もっと単純な課題の方がよいかも知れない。

文献

Bootsma, R.J. & Wieringen,P.C.W. (1990) Tim-ing an attackTim-ing forehand drive in table tennis. Journal of Experimental Psychology:Human Per-ception and Performance,16,21-29.

大道等 (1983)  動作の再現性を記述する:スキル の判定資料として、体育の科学、33,554-558.

麓先生のコメント に対するリプライ

剣玉の振り剣技術を解説していただき,ありがと うございます.先生が言われているとおり,この振り 剣課題には,玉を安定して回転させるスキルと穴に 剣先を差し込むスキルの 2 のスキルがあり,それぞ れのスキルについて分析することによって,まず第 一段階としての考察が可能になったかもしれません. あくまで第一段階としたのは,やはり振り剣課題 の最終的な目標は「穴に剣先を刺す」ことなのです から,2 つのスキルの統合性(? )みたいなものこ そが最終的な評価の対象になるのではないでしょう か?ただし ,実験手順として,初めのご指摘とも関 連してきますが,予備的な実験として,実験群条件 をもっとシンプルにして実験を行い,「ど ういった観 点から考察していくのか?」,「ど ういったことで評 価していくのか?」といったことを示してから,核 心にせまるべきであったと思います. 2つ目のコメントとして,「何人かの名人を分析す る必要があったのでは?」とありますが,今回撮影 した名人は日本剣玉協会が定めるランクは 8 段であ り,これはただ単に各級や段ごとに指定される課題 ができるだけではなれず,指導者としての資質を兼 ねて初めてなれるものであり,この名人が重要であ ると言われたことや行っていることこそが,振り剣 技能を分析する上で重要なこととなってくると考え ました(もちろん,広島に名人がほとんどいないと いうこともありますが・・・). 2つ目以降のコメントは,「ど う分析するか?」とい うことですが,これについては共同研究者である関 矢先生と相談して再チャレンジしてみたいと思いま す.やはり「振り剣課題」を分析していく上で,玉 の回転という項目は最重要項目になってくることを 考えると,3 次元で分析するほうがよいのではない かと思います.その際のヒントとなるコメントをい ただき,ありがとうございました.

伊藤友記先生のコメント

大場さんの実験の目的は 、“ 運動を学習する際に は「お手本を見てやるといい(MD )」、「 イメージ トレーニングをやるといい(IT )」、「自分の動き が実際にど うなっているのか見てみるといい(VF B)」と言われている。さらにMD,IT,VFB の効果を最大限に生かすために 、それらうまく組み 合わせてやっていくことが効果的な学習につながる のではないか 、ということを検討してみたかった ” と解釈しましたがそれでよろしいですか。それを検 討したかったとすると 、ど うも実験条件の設定が今 ひとつピンと来ません。各条件とも、実試行数は同 じで 、1 日にテスト試行 20 回、練習試行 150 回で すね。それを 3 日。何が違うかと言うと 、実試行練 習の他にやる「心的作業」が違う。問題はここです。 「心的作業」の「量」が違うのか「質」が違うのかが わからないというところです。「量」も違うし「質」 も違うとすれば 、それらを比較することってできる

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モデ リング,イメージ,ビデオフィード バックによる学習効果の比較 7 んでしょうか・・・。大場さんの実験計画から、「モデ リングによる効果」、「 イメージトレーニングによる 効果」、「ビデオFBによる効果」を抽出することが できるのでしょうか。独立に抽出できないものにつ いて相互作用を検討することって可能なのでしょう か。この辺りが私の引っかかっている点です。「量」 を同じにすれば「質」 による影響を測ることができ るでしょうし 、「質」が同じであれば「量」による影 響を測ることができます。大場さんの実験条件設定 を眺めてみると、「心的作業」の「量」を変えている ように思えます。だとするならば 、その「質」は同 じでないといけないことになります。しかし 実際に は「質」の違うものを足しあわせて「量」を変えて いるように思えるのですが・・・。表現が抽象的です みません。 例えが適当でないかもしれませんが 、「炭水化物、 脂肪、蛋白質の摂取が体重増加に及ぼす相互作用に ついて検討する」のに 、それらの総摂取量を一定に して摂取の仕方の組み合わせを変えて比較してみる、 という計画を立てるとし ます。そうすると、 1.炭水化物 300 g+水 100 g 2.脂肪 300 g+水 100 g 3.蛋白質 300 g+水 100 g 4.水 100 g 5.炭水化物 150 g+脂肪 150 g+水 100 g 6.炭水化物 150 g+蛋白質 150 g+水 100 g 7.脂肪 150 g+蛋白質 150 g+水 100 g 8.炭水化物 100 g+脂肪 100 g+蛋白質 100 g+ 水 100 g 大場さんの実験条件は、 1.モデルを見てからやる 2.試行をイメージしてからやる 3.やってから自分の動きを見る 4.ただひたすらやる 5.モデルを見て、イメージしてからやる 6.モデルを見て、やってから自分の動きを見る 7.試行をイメージして、やってから自分の動きを 見る 8.モデルを見て、イメージして、やってから自分 の動きを見る 上の計画と大場さんの計画は同じなのかなあ・・・。 なぜ違和感があるのでしょう・・・。MD,IM,V Fそれらは全て内的表象が関係していますよね。M Dに関わる情報には動作の系列であるとか 、実際の 動きに関する視覚的イメージや筋感覚的イメージな どが介在しますね。IMは当然、視覚的イメージや 筋感覚的イメージそのものを指していますね。VF によって行われることは本人さんの内的な表象( イ メージ )と客観的に提示される映像との比較ですね。 ですからまず、MD,IM,VFの効果そのものを 独立して比較できるものなのかというのが私の疑問 です。独立して比較できるものでないと、相互作用 も比較できないと思うのですが・・・。違うかなあ・・・。 すみません 、直感的な意見で。 大場さんは、モデリングが関与している群(M 群、 M+I群、M+V 群、M+I+V 群)が良く、イメージ 群は統制群と同じ様にほとんど 向上しないことを予 想されたとのことですが 、その根拠は何ですか。ま た、モデ リング関与群の 4 群の効果の順番はどのよ うになると予想されていたのですか?予想として一 番丁寧な心的作業を行なう M+I+V 群が一番いいと 予想し たとしても、次に来るのは M+I 群と M+V 群ではど ちらなのでし ょう。私には予想がつきませ ん。結果ではイメージ群が最も向上したそうですが、 考察で述べられているように、個人差の影響が大き かったのではないでしょうか。仮に試行前の入念なイ メージ想起が効果的だったとするならば 、彼らが描 いたイメージは実際どのようなものだったのでしょ うね。M+I 群が描いたであろう事前に観察したモデ ル以上に効果的なモデルをイメージしていたことに なりますから。 さて最後にボールの回転角度の算出についてです。 ど ういうことを聞かれているのかはわかりませんが、 計算方法ということであれば共同研究者の井上さん におまかせでしたので、お聞きいただければと思い ます。方法としては 、糸とボールの接点がわかるよ うにビニールテープを糸に貼り付けました。それを 目印にして、ボールのトップとボトムをデジタイズ しました。横からの 2 次元画像処理でしたから、ボー ルの回転によっては糸とボールの接点が隠れてしま うこともありましたが 、そこは心眼デジタイズです (笑)。基本的にボールのトップをデジタイズすれば 、 ボールの直径からボトムのポイントを計算すること が出来ると思いますが 、ボトムも接点から一番遠い ところを意識して目ジタイズしました。一応穴がわ かりやすいように 、穴の周りを黒く塗りつぶしてお きましたが。そして、回転角度は鉛直線を 0 度とし て、そこからの回転角度を算出しました。穴が真上 を向いた時が 180 度です。ちょうど自分の方を向い た時が 270 度。振り剣を成功裏に実行するためには、 270度を超えないと無理だと言うのが昨年の発表で 述べたことです。僕がわかっていることはこれだけ です。全くご質問の意図をはきちがえていましたら ごめんなさい。 以上です。

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伊藤友記先生のコメント に対するリプライ

私のレベルを考え,わかりやすい例まで提示して 説明していただき,ありがとうございます.確かに 友記先生のいわれている「心的作業の量あるいは質」 については,各実験群において統一されていないか もしれません.しかしながら,心的作業の量を統一 することはできるのでしょうか?個人内で心的作業 の量を統一することは可能かもしれませんが,今回 の実験条件のようなグループ 間においては統一する ことが可能であるとは思えません.確かに心的作業 の質については統一することが可能であり,ご指摘 のとおり,視覚的イメージ(外的イメージ )で統一し なければいけなかったのではないかと思います.今 回の実験では試行間インターバルを統一することで, 身体的作業の質を統一しようと考えていましたので, そのことはご 理解してください. 次に「モデ リングが関与した実験群が良い成績を 残すのでは?」と考えた根拠についてですが,それ は外的イメージと内的イメージとの関係にあります. 運動イメージについて,熟練者は外的イメージより も内的イメージを多用しており,初心者は内的イメー ジよりも外的イメージを多用していることは過去に 報告されています.それは初心者が外的イメージの ほうが描きやすく,それはフォームの特徴やパター ンなどに注意が向くからである.特に「振り剣」課題 は,初めてやる,あるいはみた被験者がほとんどで あり,ストラテジーとして,まずフォームをおさえ, それから筋感覚的なことおさえようとすることは容 易に考えられ,ましてや,今回の実験でのイメージ が関与する群については内的イメージで描くよう教 示していたため,上記のような考察を考えました. さて,ボールの回転をど う算出すればいいのかに ついてのアド バイスありがとうござ いました.やは りといった感じで,目ジタイズを利用されているこ とを知って安心し ました.回転運動を解析していく ためには,やはり 2 次元解析では制限があり,3 次元 解析で行なうべきであったのかと思っています.その 前に,解析できるような画像を撮影できていなかっ たことに問題があると思いますが・・・.

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運動学習カウンセラー 9

競技力向上のためのメンタルトレーニングのあり方

伊藤 友記

岐阜県イベント ・スポーツ振興事業団 スポーツ科学トレーニングセンター 私が所属している岐阜県スポーツ科学トレーニ ングセンターには,私を含め二名のメンタル部門の 専門員が常勤で配置されています.ここで行われて いるメンタルトレーニング(以下MT)の形式は,大 きく分けて 2 通りあります.一つは,センターを訪 れた選手に対し ,全身持久力や筋力の測定を行う基 本測定スケジュールに伴って 30 分の個別面接を行 う形式,もう一つは 1ヶ月に一度とか 2 週間に一度 という頻度で 40∼50 分の個別面接を継続的に行っ ていく形式です.いずれも基本的に個別に対応した カウンセリングをベースにしたサポートを行ってお り,選手個々の状態や課題に対応しながらMTを進 め(たいと思っ)ています.MT というと,世間一 般の(そして私自身も)イメージとしては「 リラク セーション技法」や「 イメージトレーニング 」といっ た技法の習得や,「ゴールセッティング 」,「ポジティ ブシンキング 」といった思考パターンや認知の仕方 の変換などを,知的に理解して行っていくというイ メージがあるような気がします.ですから選手との 対話( カウンセリング )をベースとし た方法に対し ては,「これのどこがトレーニングなの?」という印 象を与えることがあるという点は否めません. 例えばある選手が「試合であがっちゃうんです.」 と言ったとすれば,MT を指導する側の一つの立場 としては,「ああ,そうなんですか.じゃあ,リラク セーションの技法をやってみましょうか.」と言って, 自立訓練法なりバイオフィード バックトレーニング なりを行わせる( 処方する)という方法があるかと 思います.あるいはもっと極端な場合には「はい,そ こに寝て!」と催眠療法が始まる.「選手が訴える『症 状』を緩和すべく即座に『処方』する.」という立場 で,これは選手の根本的な問題を見抜いての「施術」 であれば,大変有効なことであるし,選手からの「先 生のおかげです!ありがとうございました!」とい う感謝の言葉をいただけることになるかと思います. さて,一方では選手の言うことに傾聴し ,とことん ついていくという立場というか,「選手のそばにいる」 とか「選手と共にいる」とかいう立場があるかと思 います(「あるようです」と言った方が正確だな). 臨床心理を専門にやってる人が言うカウンセラーと しての立場と言っておきましょうか.その中でも特 に「 非指示的(この言葉も古いらしい)」とか「 来 談者中心」とか,「パーソンセンタード アプローチ 」 だとかいった立場になるのかもしれませんが.その 立場からすると,「試合であがっちゃう」ということ も,そのことについてとことん色んな話を聞いてつ いていって,一緒に悩んで,そばにいて,本人さん の「人間的成熟」の過程を共有していくうちに,そ の選手が「あがっちゃう」ことだって,いつのまに か緩和されていく,というようなことが起こるのだ そうです. さてさて,これら両極(と言っていいのかわかり ませんが )の立場で実際の効果をあげるには,ど ち らも相当に訓練を積んで,ある意味名人の域に達し ないといけないように思えてし まいます.おそらく 皆さんもその両極の誰かをイメージされておられる かと思いますが….「そうか.よっしゃ,ここが問題 やな!ほな,こうしたれ!」という眼力もないし ,「と ことんそばにいまっせ,聞きまっせ」という器もな い.さて困ったちゃんです. まあ,選手の話を聞いていることはとても面白い というか,感心させられることが多々あります.セ ンターを訪れる選手の多くは,全国大会に行くこと は少なくとも当たり前という連中なので,競技レベ ルはそこそこに高いです.高校生がほとんどですが. 毎日練習,年間 360 日くらいは練習に明け暮れてる なんていう連中の話を聞くと,実施歴こそ長いが( 11 年間),バスケット選手としては鳴かず飛ばずだっ た私には到底理解できない話が出てきます.彼らの 「あがっちゃうんです」に対して,「あがりまくって た」自分の言葉が響くわけありません.そうなると, もうとことん聞くしかないかなあということになっ てきます.そうすると監督に対する不満だの,家族 の期待に応える使命感だの,練習ばかりで会えない 彼女の話だのが出てきます.全国に行く,あるいは しかも全国での優勝を現実目標として掲げる彼らに とっては,「当たり前」の次元が違います.少なくと も三流バスケットマンだった私とは.そういう彼ら に対して,技法のレクチャーだの,「ポジティブに考 えよう」だのはなかなか心に響かないという気がし ています.知的に理解できる部分での試みは彼らは おそらくしていますから. そんなわけで,今回の研究会では「競技力向上の ためのメンタルトレーニングのあり方」とはどういっ

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たものかということを,皆さんのお知恵を拝借した かったというのが本音です.ですが,単なる職場紹 介になってし まいましたね.まあ,何もかんも中途 半端だから,あっちふらふら,こっちふらふらと中々 前に進めない自分がいるわけですけれども….やは り,自分の専門は運動学習ですから,その知見をと ことん生かす方向で選手と接していければいいので しょうね.というか,それしかないはずなのですけ ど .でも中々そうもしきれないのは運動学習への探 求心や,専門意識も中途半端だからなのだなあ…. なんだか報告書にはふさわし くない内容になって しまいました.職場紹介( 宣伝?)などという甘え た発表をしたことをお許し下さい.飲み会の席でも 言いましたがこの研究会は自分にとってとても刺激 的で,そして温かい場所です.皆さんとお会いして とても癒され励まされ元気をもらって職場に帰って 来ることが出来ました.って,別に病んでたわけで はありませんが.来年は実験データを持って研究会 に参加するぞ!あ,そうです,今回の研究会でどな たかが言ってくださいました,カウンセリング・マ インド を持った運動学習研究者を称して「運動学習 カウンセラー」.とってもいい響きです.気に入りま した.少なくとも今の職場の契約期間にはこの「運 動学習カウンセラー」を目指して頑張りたいと思い ます.ありがとうございました.

コメント :平田智秋

伊藤先生から原稿を頂いたメールに「コメンテー タがいないので,平田君コメントくれませんか」と ありましたので,感想を書きます; 一昨日,つくばスポーツサイエンスセミナーなる 催しが開かれまして,「シド ニーオリンピックを語る」 というタイトルで,筑波大関係のオリンピック経験 者のお話を伺う機会がありました.特に印象に残っ たのは,あがった場面を的確に表現する言葉を選手 が持っていること,そして練習に対する考え方です. まず「あがり」のお話から.柔道 63 Kg 級の前田 桂子選手は,「試合が始まっても,スタンド から自分 の試合を見ている感じがした.自分の息遣いだけが 聞こえて,他人が試合をしているようだった.( スコ アボード では )自分のポ イントだけが見えていて , よっしゃ,と思っていたが,実は相手のポイントの 方が多くて負けていた.」など ,試合中の心の動きを 克明に話していました.またあの加藤沢男先生( 体 操競技)は,「試合では自分が持ったことのない視覚 を持っちゃう.注意点が定まらず,客席を見たら目 が床に戻ってこない.だから試合中は上( スタンド のこと )を見ちゃダ メ.また目が魚眼レンズになっ て,あん馬が小さく見えたりする.試合で欲をかく とその分プレッシャーになってあがる」とおっしゃっ ていました.トップアスリートは試合中,これほど 詳細に自分の意識を分析しているのか,と感銘を受 けました.自己分析を綿密にできる人がトップまで 登り詰めるのかもしれません.彼らにしか知りえな い独特の世界について,施術,もし くは傾聴するこ とは大変な仕事だなぁと,つくづく感じ ます. また,加藤先生がお話された練習方法も心に残り ました.陸上競技のメダ リストは自己ベストの9割 の記録を出しているそうですが,体操競技では練習 の7割,発揮できれば御の字だそうです.その流れ で,練習の大切さを力説されていました.「今の選手 は窮地に立たされたことがない,失敗したことがな い経験は仇(あだ )になる,失敗から成功にもって 行く工夫を練習の中ですべきだ.やはり練習しかな い」など .先生は,わざわざ 失敗する練習もして,そ れから成功練習へと持っていったそうです.そこま で練習して,さらに「結果に対する諦めがつくかど うか」,この態度が実力発揮を左右するそうです.ま た「試合ってど ういうものなのか,考えたことがあ るのか?」などの言葉も手元のメモにあります.古 式ゆかしい精神論,なのかもしれませんが,平成の 怠け者である私にも説得力がありました. このような話を聞くと,「できなかったことができ るようになる」だけが練習ではなく,大試合に対す る心構えや,窮地( 失敗)を跳ね返す心意気づくり までを練習というのだなぁ,と感じました.既存の 行動療法,臨床的なマインド のみならず,運動制御 と学習からの視点をもった,「運動学習カウンセラー」 としてのご 活躍をお祈りいたし ます.

コメント

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平田さんコメントありがとうござ いました.無理 を言ってすんませんでした. オリンピック経験者が,あがった場面を的確に表 現する言葉を持っていること,練習に対する考え方, 取り組み方が示唆に富んでいること,なるほどなあ と思いました.少なくとも「自己分析を綿密にでき ること」が「トップまで登り詰める」ための必要条 件だとするならば,「自己分析できるようになる」力 をつけることは MT の目的の一つとなるでしょうね. あと,平田さんが聞いたと言う加藤先生の話の中で, 「わざわざ失敗する練習もして…」というくだりがあ りましたが,この「わざわざ 」というところが一体 どんな風に失敗するのだろうかと思いました.「成功 を目指して遂行するが,結果として失敗の経験をす る」ということではなく,「意図的に失敗の経験をす る」とはど ういうことなのだろうかということです.

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運動学習カウンセラー 11 失敗を意図して失敗できたとすれば ,それは「意図 した運動を遂行できた 」という点では「 成功試行」 ですからねえ.要は多様な経験を積んでおく( 積極 的エラーですね )ということなのでしょうね.当時, 加藤先生が「多様性練習」云々などという概念を知っ てか知らずかはわかりませんが,やはりトップに立 つ現場の選手は独特の感性で最先端を走っているの だという気がしますね.科学はそれを後追いしてい くのかな.そういう意味ではフィールドで何が起こっ ているのか,選手は何をしているのかということを じっくりと観察し ,見取り,聞き取るところから選 手のサポートも運動学習研究も始まるような気がし ますね. トレセンの仕事に就いて 7ヶ月が経ちますが,自分 ができる選手へのサポートは何か,したいサポート は何かということを日々考えています.どんな形で あれ,選手と接してサポートをする際には,選手あ るいは選手を取り巻く環境を知ることから始まると 思います.自分が選手を知ろうとする際には,その ための枠組みがいると思います.ど ういった枠の中 で選手をサポートしていくのか.ど ういうスタンス で接していくのかといった枠組みです.正直に言っ て,「トレセンのMTはカウンセリングの立場をベー スにした心理面のサポートをしています」というパ ンフレットに縛られていることも事実です.なので, 「カウンセラーにならんといかんのかなあ…」という 思いの中で,もがいてし まっています.例えば ,「い わゆるカウンセラー」というのはクライアントと決 められた空間で( 面接室),決められた時間( 一般 に一回 50 分程度 ),一定の料金の下でカウンセリ ングを行うようです.そして,その時間や空間以外 ではクライアントの日常生活に関わったりしないと いうのが基本姿勢らしいのです.(「そんなことはな いよ」と専門家の方からのお声も聞こえてくるかと も思いますが )それをスポーツ場面に当てはめると, 選手の練習や試合を見に行って観察するというのも 安易に行うべきではないということになってしまい ます.うーん,困った.選手が自分の行動や,周囲で 起こっていること全てを語れれば別ですが,顕在的 に観察される事実に気づいていないことだって沢山 あるはずで,それを指摘したら一発で問題症状が消 えることだってあるような気がし ます.認知行動療 法的な立場になるのかな.そうなると,やはり第三 者として行動観察もしてみたいという気持ちになる わけです.というわけで,やはり自分は「いわゆる カウンセラー」ではないので,やりたいようにやっ てみよう,選手の練習や試合も可能な限り見に行っ てみよう,という姿勢( 枠組み)でやって行きたい なあという思いを漠然と抱き始めている今日この頃 です.「カウンセリング・マインド 」を備えることは 日頃から目指しながら.

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把握動作に及ぼす錯視の影響 13

把握動作に及ぼす錯視の影響

兄井彰( 福岡教育大学)

最近,神経科学や実験心理学の領域で,幾何学的錯 視図形を用いた把握動作( prehension )の実験が数多 く行われている.その初期の研究では,錯視事態で提 示した対象の大きさや長さについて,知覚的判断を 行わせると強力な錯視の影響が見られるのに対して, 手を伸ばしたり( reaching ),掴んだり( grasping )す る動作では,影響が見られず(小さく),物理的な大 きさや長さに基づいて動作が行われることを見出し ている( Aglioti, DeSouza & Goodale,1995; Mack, Heuer, Villardi, & Chambers, 1985).この現象は, 知覚のため視覚情報と運動のための視覚情報が脳内 で別々に処理されているという仮説に基づいて解釈 される.この脳内の視覚情報が分離して処理されると いう仮説は,2つの視覚システム仮説( two-visual-systemhypothesis; TVS仮説, Trevarthen, 1968 ) と呼ばれ,知覚( 認知)のための視覚情報と運動の ための視覚情報は,異なる処理がなされるというも のである( Table 1).この仮説を支持する研究が, 実験心理学( Bridgeman, Kirch & Sperling, 1981; Bridgeman, Lewis, Heit & Nagle, 1979),神経心理 学( Goodale & Milner, 1992 ),生理学( Ungerleider & Mishkin, 1982)で盛んに行われている( 詳し く は,Bridgeman, 1996; Jeannerod, 1997; Rossetti, Y. 1998を参照).

この仮説によれば,脳内の視覚情報処理には,対象 認識(知覚,認知)における形態視系と空間視系が存 在し,前者は腹側ストリーム( ventral stream; What 系)と呼ばれ,対象の形態や色,テクスチャーが処 理され ,後者は,背側スト リーム( dorsal stream; Where/How系)と呼ばれ,対象の位置や運動に関 す情報が処理される.

この仮説を,行動実験的に実証しようとしたもの

1: A ‘Rosetta stone’ of terms for the two

branches of the visual system

Terms

Focal Ambient C. Trevarthen Experiential Action M. Goodale Cognitive Motor B. Bridgeman Cognitive Sensorimotor J. Paillard Explicit Implicit L. Weiskrantz Object Spatial M. Mishkin Overt Covert K. Rayner

が,錯視図形を用いた把握動作の研究である(Table 2).もし ,これらの研究で,知覚的判断に錯視の効 果が見られ,動作に影響が見られないと,TVS 仮説 が支持されることとなる. これらの研究結果を示した Table 2 を一覧すると, TVS仮説を支持するものと支持しないものの両方が 見られる.このことから,2つの脳内の処理がそれぞ れ別々に行われているのではなく, 相互に関係しなが ら行われている可能性が考えられる.さらに,TVS 仮説自体を想定せず,実験条件の違いにより知覚と 運動の解離現象を説明することも可能である( Franz & Gegenfurtner, 2000; Mon-Williams & Bull, 2000; Vishton, Rea, Cutting & Nunez, 1999).

そこで,これらの実験の詳細な条件を吟味する必 要がある.その基準として, 1錯視の種類, 2課題, 3 動作特性,4刺激の提示,5刺激の比較,6視覚的 フィード バックの有無, 7錯視の効果を取り上げる. 錯視の種類とし ては , Tichener 円対比錯視や M¨uller-Lyer錯視, Ponzo 錯視, Sander 平行四辺形 錯視,Judd 錯視,垂直-水平錯視が用いられており, 全てが対象の大きさ・長さに関する錯視である.こ れらの錯視は,最適図形条件下で,錯視量が 10 %以 上を示す( M¨uller-Lyer錯視では最大 30 %)強力な 知覚的歪みをもたらし ,錯視と動作の関係を検討す るために妥当な図形であると考えられる. 課題では ,運動に関わるものとし て ,把握動作 ( prehension )における到達動作( reaching/pointing ) と把持動作( grasping )を取り上げた研究が大半を 占めている.また matching と mimed grasping とい う運動課題も見られる.両者とも,実際に対象を把 持するのではなく,対象の大きさ(長さ)を,親指と 人差し指を開いた距離でマッチングさせる課題であ るが,前者は,刺激対象が提示された中でマッチング を行わせるのに対して,後者は対象が取り除かれた 後,マッチングを行わせたものである.この両課題で は,錯視の影響が見られるとする研究が多い.これ は,マッチングを行う際に,一時的に対象の大きさの 情報が記憶に保持され,その情報を処理する過程が 必要で,通常の把持動作とは異なる視覚処理が関与 していることによると考えられている(Westwood, Chapman& Roy, 2000).その他,prediction-motion 課題(速度見越し課題)や interceptive-action(錯視 図形上を動くターゲットが一定の位置に来るタイミ ングに合わせて,カーソルをその位置に動かす課題)

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把握動作に及ぼす錯視の影響 15 など ,タイミング一致課題にも錯視の影響が見られ るようであるが,研究例は数少ない. 動作特性としては,把握の空間的な調整( 大きさ や距離)を問題にしたものがほとんどであるが,先 にあげたタイミング一致や力量調節を取り上げた研 究も見られる.把持動作における力量調節には,錯 視の影響が大きく見られるようである.これは,力 量発揮の予期制御は,以前の経験を基にした対象に 対する知識( 対象の表面が金属質で,一定の大きさ は典型的に重たいなどの知識)が関与しているため であると考えられている( Jackson & Shew, 2000 ).

次に,刺激の提示条件としては,動作中に,ター ゲットとなる対象を見ることができる条件( 感覚誘 導条件)と照明が消されたり,閉眼で行われたりと, 対象が見えない条件(記憶駆動条件)に大別できる. ここでも,錯視の影響は,対象の情報を一時的に保持 しなくてはならない記憶駆動条件下での動作に見ら れ,感覚誘導条件においては,オンラインで対象の空 間情報が腹側ストリーム( ventral stream; What 系) で処理されため,影響が小さいと考えられている. また,刺激対象としての錯視図形が,単体で1つ だけ提示される( 絶対的提示)条件と,2つ以上の 錯視図形が提示される(相対的提示)条件が見られ る.相対的提示条件では,刺激間の比較が必要とな り,多くの研究で,過大視錯視図形と過小視錯視図 形が提示されている.この相対的提示条件で,知覚 的判断を行わせると両図形の錯視量が加算されるた めに,絶対的提示条件よりも錯視の影響が大きくな る.しかし ,動作においては,両図形を比較した後, 1つの図形にのみに注意を向け,その図形に動作を 行うことから最終的には絶対的提示条件と変わらな くなる.そのため相対的提示条件下では,動作課題 において知覚的判断よりも錯視の効果が小さくなる と考えられる. さらに,運動中の視覚フィード バック情報がある ( closed-loop )条件と無い( open-loop )条件で錯視 の影響が異なると考えられている.把握動作が,事前 にプログラミングされ,バリスティックな運動である といっても,動作中の自分の手が見える closed-loop 条件では,手を近づけて対象を握る途中で,運動の 視覚的な制御が行われ,動作に錯視の影響が現れな いと考えられる.さらに,closed-loop 条件で動作を 繰り返すと,フィード バック情報により動作が学習 され,対象の物理的な特性に応じた正しい反応を行 うことができるようになる.そのため,動作への錯 視の影響を検討するためには open-loop 条件で実験 を行うことが妥当であろう.しかし ,closed-loop 条 件でも動作に錯視の影響が見られるため,一概に視 覚のオンライン制御と運動学習が,動作への視覚の 影響を低減させるものではないとも考えられる. 以上のように,TVS 仮説を検討するために設定さ れた条件や知覚と運動の解離を実験条件の違いから 説明しようとして設定された条件などが見られ,数 多くの要因がこの解離現象には関与していると考え られる. また,TVS 仮説を説明するためには,錯視を用い る実験では限界があるという指摘がある( DeLucia, Tresilian & Meyer, 2000). TVS 仮説には,2つの バージョンが考えられる.1つは,強力にこの仮説 の前提を守る立場で,もう1つは控えめに2つの視 覚情報処理系を想定する立場である.前者は,視知 覚に用いられる視覚システムと,視覚制御される動 作のために用いられる視覚システムは,それぞれ独 立しており,情報処理はそれどれ個別に行われると いうものである.それに比べ後者は,両視覚システ ムの存在は認めながらも,それそれの情報処理はあ る程度,同じ方法で行われ ,最終的には各情報処理 間で相互作用が行われることを認める立場である. もし ,錯視を用いた実験で,動作に錯視の影響が まったく見られない場合,2つの視覚システムが独 立しているとする TVS 仮説が支持される.しかし , 動作に少しでも錯視の影響が見られた場合,2つの 視覚システムが完全に独立しているとする TVS 仮 説を棄却することはできるが,2つの視覚システム の相互作用を認める TVS 仮説を棄却することも,支 持することもできない( 他の要因が関与している可 能性が否定できないため ). しかし ,行動実験的にも,神経心理学的,生理学 的な知見から,2つの視覚情報処理の流れが脳内で 存在することが支持されており,2つの視覚システ ムが存在することは確かであろう.このように考え ると,この2つの視覚システムが,それぞれ独立し て情報を処理しているのではなく,相互作用しなが ら一定の視覚情報をそれぞれが処理しているとする 仮説の方が合理的であると思われる.このように考 えると,今後,知覚的判断に用いられる意識的な視 覚システムと運動に関する無意識的な視覚システム が,どのように交互作用しているのかを検討する必 要がある.そのためには,ここで取り上げた実験条 件を洗練させ,その上で,錯視が知覚的判断や動作 にどのような影響を与えるか( 与えないか )を検討 することが得策であると考えられる.

引用文献

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「把握動作に及ぼす錯視の影響」に対する

コメント

慶応義塾大學政策・メディア研究科  伊藤

納奈

兄井先生の多数の研究紹介について大変興味深く 聞かせていただきました。TVS 仮説という、二つの 視覚情報の処理経路についての仮説があることは知 りませんでした。私は、中心視と周辺視という網膜 の部位の違いによる情報が動作に及ぼす影響をにつ いて研究したいと考えていますが 、これは情報処理 内容の違う網膜上の視細胞( rod と cone )の分布の 違いから視覚情報の差異化がおこり、それが歩行等 の運動にどのように影響しているのかということか ら考えるものです。この感覚器の機能の違いよる情 報の違いとそれによっておこる行為をあわせて 、視 覚のシステムとして考えたいと思っています。この 中心視・周辺視の考え方と、脳内での神経経路の違い による TVS という視覚システムとは、何らかの関連 があるのでしょうか、それとも全く別なものなので しょうか?資料の中の table1 に、2 つの視覚系につい ての用語の比較がありますが、これを見ると、focal-Ambient, Object-Spatial, Overt-Covert等、中心視 と周辺視との比較に非常に近いものも含まれている のが 、大変面白いと思います。この 2 つのシステム について 、B.Bridgeman は、神経学の組織として言 及しているものもあれば 、行動要素として言及して いるものもあるが 、全てに共通するのは 、空間的・ 無意識的な運動システムと、意味的・少なくとも一 部は意識的な知覚の基礎を形成するものという区別 だと書いています。この conscious / unconscious と いう区別と運動/知覚が対応しているという考え方 は面白いと思いますが 、なかなか理解するのが難し いところだと思っています。 今回ご紹介されたこの仮説を検証する数々の論文 とある意味非常に良く似た論文で 、Barbara Sivak and Christine L.MacKenzieによる Peripheraland Central Vision in Prehensionという、錯視図形では なく、木製のシリンダー状の物を見た時の把握動作 についての研究があります。これは把握動作の実験 を中心視と周辺視の役割によるという観点から行っ ているものです。この論文を最近読んだので、それ と比較して気が付いたことを述べたいと思います。 1. 行為の分節化の問題 この論文では、把握動作( prehension )を手の開き と閉じ( grasping )、また腕の伸ばし行為( reaching ) における腕の速さとにわけ、それぞれの動作につい て 2 つの視野を制限した実験を行い、分析していま す。同じ視野条件(通常視野・視野制限なし )でも、 見ている時の手の広がりぐ あいは物の大きさによっ て影響され 、また腕の速さは物の動きの速さに影響 されることがわかり、分節化された行為ががそれぞ れ違った視覚情報から影響をうけるとし ています。 これを先ほど の conscious/unconscious とで考えて みると、物の大きさを捉える(この論文では中心視 で捉える)のは意識的な見方であるけれども、手の 広がりという行為に影響しており、視点が向いてい ない、より無意識的な周辺視による視覚情報で把握 する物の動きについては腕の速さが関係するように、 行為によって影響される情報が違うのではないかと 思われます。 2. 視覚情報の違いの問題 手の開きと閉じという行為に関しては 、手が目の 周辺視範囲にある伸ばし 始めの時期から開始されて いるにもかかわらず、中心視での物の特徴について の視覚情報が影響する、つまり同じ行為に 、違った 視覚情報( 意識的な情報と無意識的な情報)が相互 に影響するとしています。これらのことを考えると、 脳内の処理経路までは確認できませんが 、少なくと も conscious/unconscious の両方の情報が 、様々な かたちで運動に影響すると考えられるのではないか と思います。 3. 錯視について 知覚的判断と運動制御の問題にこの錯視がとりあ げられ、このように多数の実験が行われていることは 知りませんでした。錯視図形を見ると、J. J. Gibson が言うように、知覚者は絶対的な距離や大きさを知 覚するのではなく、周囲との相対的な関係の中から、 距離や大きさを知覚するのだということが実感とし てわかります。ご 紹介いただいた一連の研究では 、 この錯視図形は知覚のための視覚情報という位置付

図 1: 岐阜県スポーツ科学トレーニングセンター,メンタルトレーニング部門の資料
表 1: A ‘Rosetta stone’ of terms for the two branches of the visual system
図 1: The root mean square relative to goal (90 degree relative phase) for  partici-pants in the four strategies groups in Experiment 1
図 4: The root mean square relative to goal (90 degree relative phase) for  partic-ipants in the five strategies groups in Experiment 4
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参照

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