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雄ラットの発情雌臭に対する選好性とその受容機構

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『諸病源候論』における皮膚病の概念

鈴木 格 要旨 皮膚は体の全表面を覆う器官で様々な病変を呈する。古典文献の皮膚病記載は多く、それら多彩な情報と現代皮膚科 学における皮膚病の概念との間に共通点や差異を見出すことができれば、診断面、治療面ともに有益な情報が得られる と考える。今回はまとまった記載のある『諸病源候論』を対象とし、現代皮膚科学の発疹と比較検討を試みた。その結 果、皮膚病に関する記載が 13 諸候 165 症候に認められ、現代皮膚科学の発疹学、湿疹三角にいう紅班から膿性水疱 形成までの病勢の強い時期に当てはまるものがほとんどであった。また内容を陰陽症候別に分類した結果、ほとん どの病が陽性症候を示していた。また皮膚にあらわれる変化は視認が可能であることや、陽性の病変は変化が速く認識 しやすいことから、多くの古典文献に記載があると考えられた。 Ⅰ.はじめに 皮膚は体の全表面を覆う器官であるだけでなく、全 身の保護と体温の調節、代謝の調節、栄養の貯蔵、刺 激の感受などをつかさどるとされる 1)。皮膚は常に多 くの刺激にさらされるため様々な病変を呈するが、こ れらを総称して発疹1)という。 東洋医学では「気血」や「陰陽」、「五行」といった 生理観によって、皮膚と五臓六腑、皮膚と全身状態の 相関性を重視しており、古典文献に皮膚の所見や皮膚 病の記載が数多く残っている。また、東洋医学的治療 法において、皮膚から直接得られる情報の臨床的価値 は高い。皮膚に診察の重点をおいた古代医学の観点と、 現代皮膚科学の観点を比較対照し、共通点や差異を見 出すことができれば有益な情報が得られると考える。 今回は皮膚病についてまとまった記載のある『諸病源 候論』を対象とし解析を試みた。 Ⅱ.方法 1.対象文献 『諸病源候論』は隋代(610 年)巣元方の著である。 全 50 巻、67 門(諸候)に分かれ、内容は総計 1739 論 (症候)の内科,外科,産婦人科,小児科,五官科(耳鼻咽 喉科及眼科),皮膚科などの各科疾患に及ぶ2)(図 1)。 図 1『諸病源候論』章構成(例.31 巻 53 門 丹毒病諸候) 今回は『諸病源候論—校釈』3)および訳本2)を対象文 献とした。 2.『諸病源候論』の調査 『諸病源候論』の皮膚病または皮膚に関する記載を 以下の方法で調査した。 (1)諸候名、症候名の抽出 皮膚関連の語句の有無を条件とし、諸候名、症候名 を調べ、皮膚関連語句があれば一連の記載を抜き出し た。 なお、今回は小児病と婦人病、および呪術的、迷信 的な記載は除外した。 (2)皮膚病を示す文字の検索 諸候、症候名に条件が該当しない場合でも、文中に 皮膚関連語句が登場する機会は多い。文章全体におい て文字検索を行い、該当部の属する症候名から一連の 記載を抜き出した。具体的には、皮、膚、肌、腠理な どの一般的な語句や文字に加えて、皮膚や皮膚病を示 す文字を漢字辞書4)であらかじめ調べ、「疒」と「皮」 の項から選別して対象語句に加えた。 3.記載の要約と解析基準の策定 調査結果は膨大な量になるため、諸侯の記載内容を 要約して、以下の方法で評価を試みた。 (1)現代発疹学の観点から(湿疹三角のステージ分類) 発疹が発展する段階、反応の強さの程度、治癒の過 程1)を現す「湿疹三角」(図 2)の概念を用いて、記載 内容が発疹または湿疹のどのステージを表す概念なの かを検討した。『皮膚病アトラス』7)と『あたらしい皮 膚科学』8)を参照した。 (2)古代医学の観点から(陰陽症候分類) 記載内容を望診と切診の要点5,6)(表 1)を根拠とし 丹毒病諸候 丹候 白丹候 黒丹候 赤丹候 症状 症状 症状 症状

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31 て、「色」「形状」「発生部位」「病因」の 4 つの評価基 準に分類した。 図 2.湿疹三角(皮膚病アトラス7)参照) 表1.望診と切診の要点 望診 ・「望んでこれを知るを神という」5) ・「望診とは、光沢、形態、五色、身体各部位など を、尐し離れたところから観察をして証を判断す る方法である。」6) 切診 ・「切脈してこれを知るを巧という」5) ・「切診とは、患者に触れて診察する方法である。 触診では圧痛、抵抗、硬結、陥下、膨隆、乾燥、 寒熱などの反応を虚実に分ける。」6) 表 2.陰陽症候分類 色 形状 発生 部位 病因 (病勢) 色味 寒熱 陽 赤 熱 隆起 熱 強 陰 白 寒 陥凹 寒 弱 ※本表は陰陽の概念6)を参考に筆者が作成した Ⅲ.結果 1.皮膚関連語句を含む諸候名、症候名 諸候名に皮膚関連語句を含むもの、諸候名に皮膚 関連語句を含まないが皮膚病に関係する内容が記載 されているもの合わせて 13 諸候あり、これらを原因 別に分類できるもの、特定の部位に発生した病とし て分類できるもの、個別の症状や病状で分類できる ものの 3 つに分類(表 3)することができた。 一方、これら諸侯に関する症候名では、「瘤候」や 「癬候」等 165 症候の記載を認めた。 表 3.13 諸候分類 原因別分類 風病諸候・解散病諸候 傷寒病諸候・時気病諸候 特定病床別分類 面体病諸候・四肢病諸候 症状別分類 癭瘤等病諸候・丹毒病諸候 癰疽病諸候・丁瘡病諸候 腫病諸候・瘘 病 諸 候・瘡病諸候 (1)原因別分類について 後にのべてるように(表5)、原因別分類の諸侯の 症候は、現代皮膚科学における紅班から膿性水疱な ど湿疹三角の前半部にあたるものが多数であり、こ れは湿疹三角の最も症状の重い膿疱までの経過を現 していることからも陽性の症状であると考えられる。 発生部位についても全身もしくは記載がないことか らも特定の部位に発生する病ではなく、皮膚の浅い 部分に発生する皮膚病であると考えられる。このこ とから、風病や傷寒病などの外因が作用して発生し た皮膚病は陽の性質に基づいた発生部位、症状をき たすと考えられる。 (2)特定病症別分類について 特定病症とは特定の場所に起こる特定の症状につ いての記載であり、諸候名に記載されている部位に 発生した病が集まっている。症候名は細かい発生部 位と病の形状を示しており、現代皮膚科学でも同じ 事を示している。「面疱候」とは顔面部にできる疱疹 のことで、皮膚科学では面皰または痤瘡と考えられ る。「蛇身候」は皮膚表面が蛇皮の様になることで、 現代では魚鱗癬や苔癬化と考えられる。「代指候」と は別名「代甲」であることからも指先の爪甲が剝脱 し生え変わることを意味しており、現代でいう瘭疽 の発生から末期までの過程と考えられる。「手足逆臚 候」は手足の臚(皮膚)が逆さに剝げることで現代 のさかむけと考えられる。「肉裂候」は名の通り肉が 裂けることから現代の亀裂を意味していると考えら れる。「手足発胝候」は手足にできた胼胝のことであ る。このように古代から現代まで似たような表現が 使われている。 (3)症状別分類について 症状別分類に所属している諸侯の症候は細かく分け られており、その文字自体が症状を表すものとして分 類する事が可能であった。その事からも症状を細かく 観察、研究していたと考えられる。

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32 2.皮膚病を示す文字 皮膚病を示す文字は漢字辞書に 56 文字あり、その中 で『諸病源候論』に記載を認めた「疥」「疹」「肬」な ど 24 文字の意味を表 4 に示した。 表4.『諸病源候論』記載の为な皮膚病文字 漢字 意味 A 疥 病気の名。疥癬虫が皮膚に寄生し、炎症を起 して、ひどくかゆくなる。 B 疹(𤺋) はしか。皮膚にできる小さな吹き出物。 C 疣(肬) いぼ。皮膚の表面が小さくふくれたもの。 D 痂 かさぶた。できものや傷が治るに従って、そ の上にかぶさるかたい皮。 E 疽 かさ。悪性の腫れもの。膿を持って根が深く かさなり、なおりにくい。癰の一種。 F 疱(皰) 皮膚にできる水泡に似たできもの。顔にでき る吹き出物。にきび。 G 疵 きず。ぎざぎざした、きず。病気。欠点。あ やまち。 H 痤 でこぼこした小さい腫れ物。また、にきび。 病気の名。皮膚感染症。疥癬。こぶ状にふく れたできもの。 I 痣 ほくろ。あざ。皮膚にしるしを残すほくろ。 J 瘃 しもやけ。凍傷。凍瘡。 K 瘑 皮膚のできもの。 L 瘍 かさ。皮膚がもちあがる、できもの。特に、 頭にできるできもの。つぶれる。ただれる。 M 瘡 かさ。できもの。はれもの。きず。きずあと。 N 瘙 病気の名。皮膚感染症の一つで、疥癬虫の寄 生によって起こる。激しいかゆみがある。か ゆくてたまらない。 O 瘤 こぶ。しこり。 P 瘭 皮膚の表面が浮きあがってうむ。また、うん で、皮膚がぶよぶよと浮きあがるできもの。 Q 瘻(瘘) 首にできるぐりぐり。瘰癧の類。連なって生 じて治らない腫れもの。 R 癜 なまず。病気の名。皮膚病の一つで、膚に色 素がたまって、白色や褐色のまだらができ る。 S 癘 病気の名。ハンセン病。えやみ。はやりやま い。 T 癢 かゆい。皮膚がむずむずしてかゆい。 U 癤 ねぶと。はれものの一種。癰の小さいもの。 V 癩 病気の名。ハンセン病。 W 癬 ぜにがさ。病気の名。皮膚感染症の一つで、 小さい点をばらまいたようにできるできも の。たむし。ひぜん。 X 癰(癕) はれもの。中にうみをふくんで、出口のふさ がった悪性のはれもの。よう。 3.諸症候と発疹ステージとの対比 「諸病源候論」における皮膚病について行った今回 の調査結果の要約を①諸候名、②症候名、③発疹分類 (湿疹三角のステージ分類および発疹学に基づいた形 状、病名)、④陰陽論症候分類の順に並べ、文末の表 5 に示した。発疹分類は、記載内容の特に色や形状から、 筆者が判断して分類した。陰陽症候分類においても、 それぞれの記載の示す寒熱の度合や病の順逆、病勢等 を判断し、各諸候の中でより陽性の強い症候を上に、 より陰性の強い症候を下に並べた。また、該当する項 目について記載のない部分は網掛けとした。 なお、疽候の記載は、さらに細かく分けられた 33 の 病状を述べているため、それぞれ症候として扱った。 また「癩」または「癘」の記載については、現代医学 でのハンセン病にあたることからここでは割愛した。 Ⅳ.考察 記載内容を発疹学、陰陽症候分類の観点で比較検討 の上、考察を述べる。 1.色について 東洋医学では色を青赤黄白黒の五色に分類し、かつ 五臓に配当しているが「色は明堂に見る」9)の示すよう に、明堂(鼻)に色が現れるとは、鼻が色の変化を表 しやすいことを意味する。顔面は「人の頭は諸陽の会 なり。諸の陰脈は皆な頚、胸の中に至って還り、独り 諸陽の脈のみ皆な上りて頭、耳に至る。故に面をして 寒さに耐えしむるなり。」5)に述べられているとおり、 「諸陽の会」であって身体で最も陽性が強い部位であ る。皮膚は体の表面を为るという点で、顔面と同じく 陽の性質が強いため、皮膚に現れる色も五臓の状態を 反映する。陰陽論では陽は赤で熱を、陰は白で寒を意 味するが、全ての邪気はその性質、働き、作用する場 所によって色の変化を起すこととなる。 『諸病源候論』では皮膚の色を青、赤、黄、白、黒、 その他、それらが混ざった色や様々な色に変化するも のなどの記載があった。これらを陰陽論、五行説の観 点で以下のように考察した。 (1)赤 皮膚が赤いものは全 165 病候中 52 病候に記載がある。 「黄と赤は熱と為す」9)とされ、赤色は熱を意味する。 発疹学で分類すると紅班であり、丘疹、膨疹である。 紅班とは毛細血管の拡張であり、拡張が強すぎれば炎 症となる。炎症が限局したものであれば皮膚病の初期 段階といえるが、全身に広がる症状となると生命に危 険を及ぼす重篤な状態である可能性が高い。「癰疽病諸 候・疽候」の中の兌疽では尾骨に発生した化膿性の皮 膚症状が全身に広がり死に至る病と述べられている。 また「丹毒病諸候・丹候」も手、足、顔にできた紅班

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33 から始まり、全身に広がって死ぬ病とされる12)。現代 医学では陰部の細菌性感染症や真菌感染症による化膿 性炎症はあるが、全身に広がるという点で黄色ブドウ 球菌等の感染による表在性の化膿性炎症だけでなく、 より強い菌の感染症や、免疫性の問題などを含む可能 性もある。 (2)白 「白は寒と為す」9)とあり、東洋医学では寒邪が気血 の流れを阻害するためであるとされる。「癭瘤等病諸 候・白癜候」には気血が不和で皮膚の色が白変すると 述べられている。発疹学では局所の貧血や色素脱失が あれば局所は蒼白となりうる。ここで言う気血の不足 と局所的貧血による白色は同じ意味であると考えられ る。 また、「瘡病諸候・白頭瘡候」にあるように膿疱でも 頭部が白く見える事もある。膿疱は寒邪が気血を局部 に滞らせ熱化したため発生する。そのため病変の初期 には熱を含んで、赤色を現す事もあると考えられる。 (3)黒 黒色を生ずる「丹毒病諸候・黒丹候」は熱が重いも のであると記載されている。「癰疽病諸候・癘疽」では 黒色に変化すると死に至ると記載されており、全文中 に発病初期に黒色を呈する疾患がないことからも、黒 色は病状が重いもの、もしくはある程度時間が経過し た後に発生するものと考えられる。「瘡病諸候・凍爛腫 瘡候」にも最初は赤色を呈するが、寒の極まった結果 壊死すると記載されており、この段階で黒色を表すと 考えられる。 皮膚が黒くなることを発疹学で分類すると壊疽、壊 疽性丘疹、壊疽性痂皮、色素沈着などが考えられるが、 現代でも古代でも重い病を表す色であるといえる。 (4)青 青色についての記載を筋疽に認めるが、これは肝が 筋を为り、肝の色は青という五行説の考えから青色と 表現していると考えられる。血流障害やうっ血、紫斑 などを深い部の病変として捉えた場合、これはまさに 筋の問題であり、丁瘡候での一つの反応に示すとおり 皮膚に青色を呈することがあるものと思われる。 一方、発疹学の視点から考えると青色は、色素班で 真皮深部のメラニン沈着によって起こりうるが、『諸病 源候論』には記載がなく、病候として捉えていないこ とがわかる。 (5)黄 「雌丁瘡候」に瘡頭部が黄色であるという記載と、 「牛丁瘡候」や「魚齊丁瘡候」には黄色を呈するもの は滲出液の色という記載はあるが、他に黄色の記載は 認められなかった。また「黄病諸候」において黄疸を 述べているが、皮膚病ではないので結果からは除外し た。しかし、因黄発痢候などで瘀熱が脾胃にあること などから脾との結びつきが強いと考えられる。脾は黄 色をつかさどるため、五行説に従っているといえる。 また、白色で述べた膿疱も膿の状態や強弱等で鬱熱し て黄色を呈することもある。 (6)その他 色が混在するものや変化する症状は、「丁瘡病諸候・ 丁瘡候」にあるように増悪、緩解を繰り返す経過をあ らわしているものと考えた。湿疹三角でも発症初期に 皮膚の紅班を現す事からはじまり、水疱や湿疹等の状 態に応じて、様々な色の変化を起すものと考えられる。 2.形状について 『諸病源候論』の症候名は、見た目や形状を表して いるものがほとんどで、古代医学の臨床において、分 類上意義のあるものと思われる。以下、代表的なもの として表 4 から抜き出す。瘡(M)は、「皮膚にできる ものの総称」9)である。また瘻および瘘(Q)は字解か らも連なったできもの、疽(E)は上へ上へとかさなる できもの、癰(X)は囲んでふさがっているできもので ある。これらは解字、意味からもわかるように重い症 状についての記載であり、「癰疽病症候」で死に至る 病症として扱われ、繰り返し登場する文字である。一 方で瘍(L)のようにびらんや潰瘍などの記載は尐ない。 この点を考えると、古代では排膿の是非を、病の順逆 を判断し、患者の生死を分ける診断基準としていた可 能性がある。逆に排膿することができれば治癒する症 候であって治療の目安であるともいえる。現代でも湿 疹三角の膿疱期が発疹の病勢の頂点であり、その後の 経過として排膿、吸収することで治癒に向かうという 点では共通しているが、抗生物質の存在しなかった時 代の症候観察として非常に高い臨床的価値があるもの と思われる。 3.発生部位について 人体を陰陽で分けると、「皮毛(表)、上半身、四肢、 背部」は陽であり、「筋(裏)、下半身、体幹、腹部」 は陰に属する。つまり皮膚病とは表(陽)を病むこと であり、陽の部位に発生しやすい。表 5 からも体幹に 比べると四肢に発生するものが多くある。また、「癰疽 病諸候・疽候」には病が全身に広がると重篤な状態と なると記載がある。古代と現代では衛生状態の違いか

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34 ら一概に比較はできないが、現代も同様に病が全身に 広がった場合は重篤である。 4.病因について 皮膚病の病因で、最も多かったのは風邪であり 79 候 に関係していた。風邪の性質は遊走性11)であり、皮毛 に作用して腠理の開閉を狂わせ、開いた腠理から様々 な外邪が侵入し症状をきたす。たとえば「邪気ガ皮膚 ニ客リ、復タ風寒ニ相テ折ラレレバ則チ風瘙隠疹ヲ引 キ起コス」2)とあることからも理解できる。また、病因 の項目をみても、風熱、風寒という組み合わせで、風 邪に熱邪や寒邪、湿邪等が合わさって外邪となる場合 がほとんどであることからも、風邪と皮膚病の関係は 深いと考えられる。 一方で、漆瘡の記載のように漆に接触することで発 病することや、癩(V)、疥(A)、癬(W)の多くに虫が 存在していることが述べられており、この時代から風 寒暑湿燥の邪以外の具体的な病因を捉えていたのでは ないかと考えられる。現代医学では接触性皮膚炎とは、 環境物質が外から皮膚に接触、付着して起こる皮膚炎 (湿疹反応)であり、一次性のものとアレルギー性の ものがある 7)。症状は腫脹、丘疹、紅班、びらん、鱗 屑などである。漆に接触することで瘡が出現すること から、古代においてもある種のアレルギー性疾患の存 在が認識されていたと考えられる。現代ではアレルギ ー疾患は一般的だが、『諸病源候論』中の多彩な皮膚病 の中で、接触源が明らかな皮膚過敏症はこの記載のみ である。 Ⅴ.結論 今回の調査により以下のことが明らかになった。 1.『諸病源候論』皮膚病関連 13 諸候 165 症候の記 載は、現代皮膚科学の発疹学、湿疹三角にいう紅班 から膿性水疱形成までの病勢の強い時期に当てはま るものがほとんどであった。 2.数多くの皮膚病の記載が確認できたが、ほとんどの 病が陽性(赤、腫脹、有膿、表、四肢末端、風邪、熱 邪、寒邪による熱)を示していた。 3.皮膚にあらわれる変化は視認が可能であることや、 陽性の病変は変化が速く認識しやすいことから、多く の古典文献に記載があると考えられた。 Ⅵ.謝辞 今回、橋本厳先生のご指導のもと、この研究を行な うことができたことを心から感謝いたします。また、 卒業論文執筆にあたり、ご教授いただきました先生方 ならびに学友に深くお礼を申し上げます。 Ⅶ.文献 1)伊藤正男,井村裕夫,高久史麿:医学書院 医学事典. 株式会社医学書院.2003:2069 2)牟田光一郎訳:校釈 諸病源候論.㈱緑書房.1989. 3)諸病源候論校釈.第 2 版.南京中医学院.人民衛生 出版社.2009 4)藤堂明保,松本照,武田晃,加納善光:漢字源.改訂第 4版.株式会社学習研究社.2007. 5)遠藤了一:難経入門.改訂版.経絡治療学会.2008. 6)日本鍼灸医学 経絡治療・基礎編.増補改訂版.経 絡治療学会.2008. 7)西山茂夫:皮膚病アトラス.第 5 版.株式会社文光 堂.2005. 8)清水宏著:あたらしい皮膚科学.株式会社中山書店. 2006. 9)家本誠一:黄帝内経霊枢訳注 第 2 巻.株式会社医 道の日本社.2008. 10)鎌田正,米山寅太郎:新漢語林.大修館書店.2004. 11)家本誠一:黄帝内経素問訳注 第 2 巻.株式会社医 道の日本社.2009:459. 12)槇佐知子:医心方 巻十七 皮膚病篇.筑摩書房. 2007:ⅱ-ⅲ,3

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35 色 形状 発生部位 病因 丘疹,膨疹,蕁麻疹 赤 隠疹→瘡(きずあと),痒痛あり 皮膚が虚弱+風邪<寒邪による熱 丘疹,膨疹,蕁麻疹 白 隠疹→瘡(きずあと),痒痛あり 皮膚が虚弱+風邪>寒邪による熱 ※風□□候 丘疹,結節 麻粒〜豆粒大のできもの        →瘡(きずあと) 陽気の虚弱+風邪→身体内の熱気 丘疹,膨疹 赤 赤疹 邪気が皮膚に客る+風寒湿邪 丘疹,膨疹 白 白疹 邪気が皮膚に客る+鬱熱と風気が争う 解散癰腫候 薬疹 癰腫 石薬を服用→熱を生じる→六腑が和し ない+風邪 解散発瘡候 薬疹 瘡瘍 石薬を服用+風熱邪→風邪と熱邪が血 脈を傷害 水疱,漿液性丘疹→膿疱 赤,白 疱瘡,登豆の様,瘡頭部に漿液→白色 の膿疱 風寒邪+熱邪 膿疱,壊疽性丘疹 暗紫色 疱瘡,根を持つ 風寒邪+熱邪 傷寒斑瘡候 紅班,丘疹,蕁麻疹 赤 班瘡隠疹 全身 風寒邪+熱邪 水疱,膿疱 赤,白 根部が赤く頭部が白い漿液を有する, 疱瘡(登豆) 寒邪+表虚裏実+熱邪(軽い) 壊疽性丘疹 紫黒色 疱瘡(登豆) 全身 寒邪+表虚裏実+熱邪(重い) 時気発班候 紅班 赤 班疹 熱邪が表虚に乗じて皮膚に出る 面疱候 膿疱,面皰 白 米粒大の疱疹 顔面 風熱邪 蛇身候 魚鱗癬,苔癬化 皮膚表面が粗糙で鱗甲がある 皮膚表面 血気の運行が痞渋 代指候 膿疱,瘭疽 赤 赤く腫れ→化膿→爪甲が剝脱 指先→爪の辺縁 熱邪→気が渋滞 手足逆臚候 さかむけ 皮膚が剝げる→逆さまに巻く 手足の爪甲の際 風邪→血気の不和 肉裂候 亀裂 皮肉の開裂 衝撃を受けた部位 腠理の虚+風邪→血気と相搏つ 手足発胝候 胼胝 丸っこい繭のような形,皮膚は粗糙と なって厚い 手掌,足底 長期間の圧迫や摩擦 瘤候 結節,腫瘤,嚢腫 瘤(梅子、李子大)が次第に増大 皮下 鼠乳候 丘疹,結節,伝染性疣贅 小さなできもの(鼠の乳頭みたい) 身体,顔面 皮膚が風邪にうたれる 疣目候 結節,尋常性疣贅 結節(表面突出),数は様々,硬く粗 い 手,足 風邪が皮膚筋肉をうつ 赤疵候 紅班 赤 皮膚の色が手掌、銅銭大に異なる 顔面,身体 風邪が皮膚をうつ→血気が不和 黒痣候 色素沈着,紫斑 黒 痣,疵痂を生じる 風邪が血気をうつ 癧瘍候 白班,色素斑,色素沈着 白,黒 丸い斑点(連なる場合あり),色はま だら 頚部,前胸部,腋 窩 風邪が皮膚をうつ→血気が不和 白癜候 白班,色素脱失,尋常性白 班 白 皮膚の色が白変 顔面,頚項,身体 風邪が皮膚をうつ→血気が不和 発疹学,現代皮膚病 陰陽症候分類 諸候名 症候名 解散諸病 1.原因別分類 傷寒諸病 時気病諸候 風瘙隠軫生瘡候 風瘙身体隠軫候 傷寒登豆瘡候 時気疱瘡候 風病諸候 ※疒+咅  疒+畾 2.特定病症別分類 面体病諸候 四肢病諸候 3.症状別分類 癭瘤等病諸候 表5 .諸症 候別 発疹 ス テ ー ジ と 陰陽 症候 分類

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36 色 形状 発生部位 病因 丹候 紅班→膿疱→潰瘍,丹毒  皮膚感染症,蜂窩織炎 赤 手掌大にまっ赤→疽→潰爛 →膿血が出る,疼痛あり 手,足,腹部 風熱邪 黒丹候 紅班(黒ずむ),膨疹 黒 腫れる 熱邪(熱毒が重い)+風寒邪 赤丹候 (茱萸丹) 丘疹性紅班 赤 皮疹が腫起(ゴマ粒大~銅銭大 鶏肌の様) 風邪(風毒がかなり重い) 天灶火丹候 紅班,膨疹 赤 発赤,腫脹 両側の大腻内側 →外陰部 風熱邪 廃灶火丹候 紅班,血管拡張 赤 皮膚の色が赤い 足背部 風熱邪 室火丹候 索状紅班,血栓性静脈炎 赤 手指大の長さ二三寸の大きさに発赤 腓腹筋部 風熱邪 石火丹候 丘疹,痤疱 青黒い 粟粒位の顆粒が突起 全身 風熱邪 白丹候 小紅班(赤味が尐ない) 白 微 か に 腫 れ る ( 風 疹 の 様 ) , 痒 痛 あ り 局部 熱邪(熱毒は軽い)+風寒邪 丹軫候 膨疹,蕁麻疹 変化なし 隠疹(相連なる),掻痒感あり 風熱邪 悪核腫候 結節,嚢腫→瘻孔 核が生じて累々として連なる(梅, 李,豆粒大)→瘘,死亡することあり 身体各所(皮下) 風邪+熱邪 腫有膿使潰候 膿疱 癰腫(膿あり) 熱邪→血が化す 風毒腫侯 丘疹,膿疱 赤 発赤、腫部の頂点に膿庖 局所 風腫候 水疱→膿性水疱、血疱→潰 爛 正常 水腫(ころころふくれてる,広く腫れ る)→膿血、潰爛,生命の危険あり 四肢,胸背,頭項 風邪が肌裏に侵入→寒に抑圧→風邪が 気肉の間に壅滞→湿気が積聚 腫核候 結節,腫瘤,嚢腫 浮腫→核を形成 浮腫+風寒邪→気血が凝滞 悪脈候 丘疹,血管拡張 赤 高く盛り上がる(一カ所に集まる)→ 瘘 皮膚表面 風邪→血が瘀結 悪肉候 結節,腫瘤 赤 贅肉が出現(小豆大→牛馬の乳頭 大),だんだん大きくなる 身体 風邪→血が瘀積 気腫候 結節,嚢腫 正常 頭頂部がない癰腫( 虚腫) ,疼痛あり 風邪が気分をうつ 嚢腫 正常 腫脹(空気をふくらませた様) 風邪と血が壅結 丘疹 赤 腫脹(頭部と根部があり) 寒邪と血が壅結 丘疹→膿疱 腫脹(頭部なし)→化膿 熱邪と血が壅結 膨疹,結節,嚢腫 冷:腫れ→按摩鍼灸を施すとさらに腫 れる,疼痛あり 臀膊部,背部 風邪が血気と相搏つ 膨疹,紅皮症 赤 熱:腫れが移動( 手掌大,盤子大) 疼痛あり 背部,腹部 風邪が血気と相搏つ 遊腫候 膨疹 青,赤 黄,白 遊走性の浮腫,皮膚状が尐し光って反 射する 卒風腫候 膨疹,アレルギー性膨疹 変化なし 浮腫,掻痒感あり 局所 腠理が虚し+風邪が侵襲 雄丁瘡候 壊疽性丘疹,痂皮膿痂疹 黒,赤 瘡頭は黒,周辺は赤,銅銭大の穴の 瘡,黒い瘡蓋あり,粟粒大の赤色顆 粒,周辺に漿液を含む赤色水疱 風邪が肌肉に侵入 雌丁瘡候 水疱,膿疱,痤瘡 黄,黒,赤 瘡頭は黄,内部は黒,周りは赤,周囲 は疱疹(銅銭大の穴),疱疹内に漿 液,腫脹 風邪が肌肉に侵入 諸候名 腫病諸候 症候名 丁瘡病諸候 丹毒病諸候 流腫候 諸腫候 発疹学,現代皮膚病 陰陽症候分類

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37 色 形状 発生部位 病因 牛丁瘡候 漿液性丘疹,痤瘡 黒,正常 →黄,赤 黒,周辺は正常→黄,赤,瘡頭は高く 腫れ黒い→破ると黄水→呉茱萸の実の 様 風邪が肌肉に侵入 魚齊丁瘡候 漿液性丘疹,痤瘡 黒,黄 瘡頭が黒、破ると黄水→瘡口周辺に漿 液が浮く,細長い 風邪が肌肉に侵入 赤根丁瘡候 丘疹,結節,腫瘤 赤 赤小豆の様で鴨の卵大,根部が赤 腋下 風邪が肌肉に侵入 紫色火赤丁瘡候 丘疹,結節 赤紫 瘡色が赤紫色 風邪が肌肉に侵入 湿疹丘疹 風疹様→掻破→浸出液流出→瘡腫 湿疹丘疹 魚眼様突起→潰爛→瘡(口は小さく深 い) 壊疽性丘疹,痤瘡 瘡頭が黒く堅く陥凹 膿疱 瘡頭が青白色で腫れて堅実 不明 瘡頭が豆渣色 丘疹 瘡頭が明るい紅色 痤瘡,壊疽性丘疹 瘡頭内に黒い脈絡 漿液性丘疹 瘡頭が赤紅色で浮腫 膿疱 瘡頭が黄色で光沢 不明 瘡頭が金箔色 丘疹 瘡頭が呉茱萸色 結節,嚢腫 瘡頭が石榴の様 丁瘡腫候 結節,嚢腫 丁瘡が腫れたもの 丁瘡+熱邪+寒邪→血気が壅滞 丁腫候 丘疹,膨隆 赤 丁瘡、腫脹で根がない 丁瘡久不差候 びらん,潰瘍 膿汁が流れ、瘡頭が平ら、または陥凹 丁瘡+寒邪 丘疹→膿疱 皮膚は薄くなり光沢あり,膿腫,死亡 することあり 丘疹→膿疱 癤 ( 1 〜 2 寸 ) 丘疹→膿疱 癰 ( 2 〜 5 寸 ) 丘疹→膿疱 癰 疽 ( 5 寸 〜 1 尺 ) 丘疹→膿疱 竟 体 癰 ( 1 〜 3 尺 ) 石癰候 膿疱,結節 堅い癰腫→化膿,軽い疼痛あり 寒気が肌肉侵襲→血気が壅結積集→化 熱 附骨癰腫候 結節,腫瘤,嚢腫 一面を覆う様に腫れる(面積広) 頭部なし,皮膚は薄く光沢がある 骨の近く 体内が熱盛→風冷の気が肌肉に侵入→ 熱気とうつ 久癰候 びらん,潰瘍→瘻孔 癰腫が破れる、慢性化→瘘管 癰腫が破れた後に熱毒+風寒邪 疽候 苔癬化→膿腫→潰瘍 外表の皮膚は堅厚→膿形成→糜爛 肌肉の深層 陽気が蘊積→瘀熱→寒熱が不消散,五 臓の不調 夭疽 膿疱 赤黒 腫れが大きい疽 頚部→腋窩 熱邪 脳鑠疽 膿疱 変化なし 疽,疼痛あり 頚項部 熱邪が留積 疵疽 丘疹,痤疱 赤黒 疽,患部が赤黒い 肩,上腕部 寒邪,熱邪 米疽 丘疹,化膿性汗腺炎 赤 発赤して硬い疽 腋窩 寒邪,熱邪 井疽 結節,膿疱 大豆大の疽,非治療で死亡 胸部 寒邪,熱邪 癰候 様々 丁瘡病諸候 症候名 発疹学,現代皮膚病 陰陽症候分類 諸候名 丁瘡候 癰疽病諸候 風邪が肌肉に侵入 寒邪+鬱熱→熱が優勢,六腑の不和 全身 肌肉の浅い層

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38 色 形状 発生部位 病因 甘疽 結節,腫瘤,膿疱 楮実や栝萎実大の疽 胸背部 寒邪,熱邪 改訾 丘疹,帯状疱疹 瘡に肉息(小豆や麻子や黍米粒大) 脇肋部 寒邪,熱邪 兌疽 結節,腫瘤,膿疱 赤 硬大の疽→全身化膿,非治療で死亡 尾骨部→全身 寒邪,熱邪 疵疽 結節,腫瘤,膿疱 黒 大疽→化膿,非排膿で死亡 膝 寒邪,熱邪 兎噛疽 丘疹 赤 赤く腫れる,非治療で死亡 足 𦙾 部 寒邪,熱邪 走緩 膿疱 変化なし 疽,非治療で死亡 足踝部 寒邪,熱邪 四淫 膿疱 疽,非治療で死亡 足の上下 寒邪,熱邪 癘疽 膿疱,痤瘡 黒 疽,黒色に変化すると死に至る 小指→足傍部 寒邪,熱邪 脱疽 膿疱 赤黒 疽,切断しないと死亡 足趾 寒邪,熱邪 釘疽 痤瘡 肉上に硬く根が深い疽(釘様),死亡 することあり 両側の上腕部 悪毒の邪→瘀血が内外留滞→栄衛が不 通暢 鋒疽 膿疱 赤黒,青 瘡,膿色が青,非排膿で死亡 心兪,肩甲部 →背部 寒邪,熱邪 陰疽 結節,膿疱 患部が硬くなる,未治療だと死亡 会陰部,大腻内側 寒邪,熱邪 刺疽 丘疹,膿疱 赤 山椒の種子大の発疹,非排膿で死亡 背部の肺兪,肝兪 寒邪,熱邪 龍疽 膿疱 赤,黒 青黒 疽,上方は赤、下方は黒または青黒, 非排膿で死亡 背部の胃兪,腎兪 寒邪,熱邪 首疽 膿疱 疽、腫れ,非排膿で死亡 背部 寒邪,熱邪 侠栄疽 膿疱 赤,白 疽,非排膿で死亡 脇肋部 両肘の先端部 寒邪,熱邪 勇疽 膿疱 赤,黒,白 伏兎の様,非排膿で死亡 股部→足太陰経 寒邪,熱邪 ※□疽 膿疱 赤黒 発赤、白膿は尐ない,非排膿で死亡 足部、足底部 寒邪,熱邪 衝疽 膿疱 疽,非排膿で死亡 小腹 寒邪,熱邪 敦疽 膿疱,痤瘡 黒 腫れる,非排膿で死亡 手足の五指頭 寒邪,熱邪 疥疽 膿疱 疽,死亡することあり 腋窩部,両臀部 両手掌部 寒邪,熱邪 筋疽 膿疱 青 疽 脊背の両辺の大筋 寒邪,熱邪 蚤疽 膿疱 変化なし 疽→腋窩に癰,非排膿で死亡 手足五指頭→腋窩 寒邪,熱邪 熛疽候 膿疱,急性化膿性感染症 赤,黒 青,白 黒い点(粟粒、梅李の種大),硬い 核,死亡することあり,疼痛あり 手指,五臓の兪穴 毒邪が経絡に侵入→気血が痞渋 行疽候 膿疱 瘡が豆粒、銅銭大があちこちに往来 全身,顔面 寒熱邪が血気と相搏つ 杼疽候 膿疱,痤瘡 黒 膿が出て癰の様,非排膿で死亡 頚項部,両側耳下 寒湿邪が気血を相うつ 附骨疽候 膿疱,膨疹 ふくれたような腫れ 大関節間 風邪→関節に侵入→熱と相搏つ→冷湿 を感受、風熱が内伏 癰発背候 膿疱 赤 腫れて皮膚が薄く光沢がある,背部に 発赤、腫脹があり,白い頭頂部を有す る,根がある 背部,六腑の兪穴 六腑の不和→腠理が虚→寒邪で血脈が 傷される→血脈は壅塞、結集 陳乾疽 膨疹,局面 腫脹 両臀部 寒邪,熱邪 標叔疽 水疱,嚢腫 水が貯留してるように腫れる 背部 寒邪,熱邪 発疹学,現代皮膚病 諸候名 症候名 癰疽病諸候 ※疒+旁 陰陽症候分類

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39 色 形状 発生部位 病因 疽発背候 結節,膿疱,嚢胞 赤黒,青 皮膚が厚い結腫,化膿,非排膿で死亡 背部(諸臓兪穴) 五臓の不和→腠理は虚→寒邪が血を搏 つ→血脈は壅塞、結集 痤癤候 結節→瘻孔 腫 塊 は 梅 , 李 種 子 大 → 化 膿 → 慢 性 化 す ると瘘管 耳下,頚部,腋窩 部 風寒湿邪が血を搏つ→邪気が結聚 水疽候 水疱 腫脹之状態は物に包んだ水のよう 死亡する 手,足,身体上の 数カ所 寒湿の邪気→津液をうつ→湿気が偏盛 肘疽候 膿疱 肘部に疽 肘 寒湿邪が肌肉を侵襲→血気を傷す 久疽候 膿疱→瘻孔 疽→瘘管→虫を生ず 身体の重要でない 部分 寒気→血気が渋滞 風疽候 膿疱 瘡腫が反復して治らない 風湿邪が気と相搏つ 石疽候 嚢腫,膿疱 疽→皮膚は厚くなる,痤癤,石の様に 硬い 疽+寒邪 禽疽候 苔癬 数十カ所に麻疹様の発疹→融合→硬い 腫塊,死亡することあり 寒湿邪が肌肉に侵入 赤弛 膿疱 疽,非治療で死亡 大腻内側部 寒邪,熱邪 兌疽(股脛疽) 膿疱 ほとんど変化ない,膿が深く骨の近く にある,非治療で死亡 大腻の外側部 寒邪,熱邪 倉疽 膿疱 疽,非治療で死亡 寒邪が内臓に深く侵入 緩疽候(肉食 疽) 腫瘤→潰瘍 正常→紫暗 色→青黒 腫塊(手掌、桃李大)→腐爛→潰れて 膿が出る,死亡することあり 寒邪→気血が壅結 癰瘻候 膿疱→瘻孔 癰が化膿して潰破→膿汁がつきない 虫あり→瘻孔 內 瘻候 結節,痤瘡 黒 硬結の中に膿,長期間存在 石瘻候 結節,腫瘤→瘻孔 梅李種子大で石の様に堅い,膿破→瘘 風瘻候 膿疱→潰瘍→瘻孔 赤 腫脹→皮剝離、分泌物が流出→根深く 瘡腫が潰れる→瘻,掻痒感あり 風邪が経脈に侵入→血気が結聚 鞠瘻候 結節,腫瘤→瘻孔 石桃ほどの瘤→膿が出て瘡→瘻が菊花 状に変形 橛瘻候 結節,腫瘤→瘻孔 瘡が横に広がって楔の頭部の様 杏子の様,瘻孔から出血 虫瘻候 瘻孔 瘡内に虫 花瘻候 瘻孔 反花瘡が慢性化→瘻孔,虫 反花瘡の慢性化 冷瘻候 結節→瘻孔 瘡→瘘、膿汁がつきない 瘡+風寒邪 頭面身體諸瘡候 水疱,膿疱,疱疹 初期は顆粒状の疱疹→水疱→膿疱 頭部顔面身体 風湿邪+熱邪 熱瘡候 水疱→膿性水疱 血疱→びらん 黄 瘡頂部に漿液が貯留→黄色液流出 膿血,痒痛 風邪+熱→皮膚に留滞し鬱結 疥候:大疥 膿疱 赤 疥瘡内に膿,発赤,虫,痒痛 手足→全身 風熱邪 疥候:水疥 水疱,膿疱 疥瘡頂部に膿漿,虫,痒痛 手足→全身 風熱邪 反花瘡候 結節→びらん→潰瘍,一種 の皮膚癌 米粒大の瘡→掻き出血→悪肉が拡大 →根、膿汁あり、開花の形,掻痒 風邪と血気が相搏つ 白頭瘡候 丘疹,疱疹,膿疱 白,赤 大疥に似る,瘡頭部は白色で化膿 瘡の周辺は発赤,掻痒感あり 全身 体質が虚弱+風熱を感受 発疹学,現代皮膚病 陰陽症候分類 瘡病諸候 諸候名 症候名 癰疽病諸候 瘻病諸候

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40 色 形状 発生部位 病因 晦瘡候 膿疱 白 瘡頭部に白色の膿 両側,小児に多い 軽い:気泡の様,粟粒大が多発 重い:気泡の様,皮膚に瘡瘍 瘑 瘡候 丘疹,滲出性湿疹,亀裂 瘡→黄色の滲出液,亀裂→虫 手,足 風湿邪→邪気と血気が結集 疥候:馬疥 丘疹 皮肉が突出,根基がある,虫,痒痛 手足→全身 風熱邪 疥候:乾疥 痂皮,掻破痕,皮膚炎 乾いた瘡痂,小さい湿疹,滲出液がに じむ,虫,痒痛 手足→全身 風熱邪 疽瘡候 湿疹丘疹,疥癬 左右対称に発生で粟粒状,虫 黄色の汁,掻痒 四肢の関節,足股 部 風邪が侵入→血気の運行に影響 査疽候 湿疹丘疹 赤 発疹→赤く腫れて滲出液,虫,痒痛 局所 風邪が侵襲して血気を傷す 棖疽候 丘疹,滲出性紅班 疽範囲が次第に広がる,慢性化で虫 諸瘡+風湿邪 月食瘡侯 膿痂疹 瘡(反復感染)→瘘病,虫 両耳,鼻部 前後陰部附近 湿熱の蘊蒸 侵淫瘡候 湿疹丘疹 小さい瘡→汁が滲み出て皮膚浸潤       →拡散 全身 心経に風熱邪 瘡建候(瘡根) 結節,丘疹,リンパ節腫大 赤 発赤腫脹,瘡附近に結聚,瘰癧様 身体 瘡+熱邪 王爛瘡候 水疱→びらん,天疱瘡 化膿性皮膚炎 赤 麻子大水疱→潰爛→滲出液 風湿邪→裏熱と相搏つ 無名瘡候 結節,腫瘤 悪瘡 風熱邪が血気を侵犯する 猪灰瘡候 痤瘡,瘻孔,慢性濃膿皮症 表面は赤黒 辺縁部は青 瘡孔→深さは大豆大,中央は開裂 陥凹 臀部 風熱邪が血気を侵犯する 鴈瘡候 漿液性丘疹,結節 湿疹丘疹 湿癬や癧瘍のよう,瘡の面積は広い 四肢→全身 毒瘡候 丘疹,びらん 小水疱潰瘍,化膿性感染症 紫黒色 疥に似る→一晩経過で紫黒色変化 手指関節,手指端 風邪と気が相搏つ→熱毒 瘡悪肉候 丘疹,結節,潰瘍 悪肉ができる,瘡の周囲が盛りあがる 瘡+熱邪 軽い:顔面が腫れる,掻くと拡散 紅班→粟粒様の瘡,掻痒 重い:瘡(麻子、小豆、棗、杏大) →化膿,掻痒 集瘡候 湿疹丘疹 一カ所に十数個の瘡が集まる 頚部 衣服で摩擦 鳥啄瘡候 疱疹状小水疱 四周が盛りあがって中央は空いて低 い,鳥が啄いたあとの様 側脇部 風湿邪が血気を傷す 摂領瘡候 接触性皮膚炎 癬と同じよう 耳部の辺縁 風湿邪が血気を傷す 鶏督瘡候 不明 鶏の糞のよう 腰部のまわり 風湿邪が血気を傷す 断耳瘡候 亀裂 瘡,耳朶が爛れて切れる 風塵が皮膚に入る 新婦瘡候 不明 蠼螋尿瘡のよう,掻痒感あり 全身 皮膚に風邪が散逸 土風瘡候 わずかに隆起する小紅班 風疹様,瘡頭がつぶれている 緩解を繰り返す 腰部 風湿邪が血気を傷する 逸風瘡候 丘疹,びらん,小水疱 癬疥の様 足 𦙾 部 風湿邪が血気を損傷→血気中に実熱 甑帯瘡候 疱疹,膨疹 甑帯の様 風湿邪が皮膚に侵襲→血気を傷する 諸候名 症候名 発疹学,現代皮膚病 風熱邪が皮膚を搏つ 一次性接触皮膚炎 うるし皮膚炎 漆瘡候 瘡病諸候 夏日沸爛瘡候 疱疹,水疱,びらん,汗疹 赤 全身 漆毒 陰陽症候分類

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41 色 形状 発生部位 病因   兎齧瘡候    (血実瘡) 丘疹,血管腫 黒 疽,瘡が兎が咬んだあとの様 瘡+寒邪 血瘡候 丘疹,血性水疱,丘疹状血 管拡張 瘡口から出血 風湿邪が血気を傷す 露敗瘡候 痂皮,びらん 赤 瘡の表面はくすんだ黒,瘡痂瘡口内部 の筋肉は切断された様 頚項部の周囲 風湿邪が血気を傷す 蜂窠瘡候 結節,びらん,小水疱 瘡の中に多くの小孔 風寒邪 断咽瘡候 びらん 皮膚が損傷 顔面,身体 風湿邪が侵襲して血気を傷す 不痛瘡候 結節 諸瘡→悪肉を生じる 風湿邪が侵襲して血気を傷す 甜瘡候 痂皮→滲出性湿疹,脂漏性 皮膚炎 浸出液が付着→拡散した所に瘡 頑疽候 膨疹→掻破痕 隠疹を掻くと瘡形成,掻痒 諸瘡+風寒邪 甲疽候 鱗屑,痂皮 赤 瘡皮が厚い,魚鱗の様で剝離 →滲出液が流出,虫,痒痛 冷瘡候 結節→瘻孔 慢性化した頑固な瘡 風湿邪 円癬候 紅班,貨幣状湿疹,白癬 皮疹は円形,隆起,境界が明確,虫, 痒痛 風湿邪+寒湿邪→血気と相搏つ 雀眼癬候 疱疹,体癬 白 小さい皮疹,虫あり,掻痒 風湿邪+寒湿邪→血気と相搏つ 癬候 滲出性紅班,局面 赤 銅銭大の隠疹→境界を有した円形皮疹 →虫,汁が出る,掻 風湿邪 乾癬候 角化型白癬,尋常性乾癬 境界ははっきり,皮膚枯燥,白い落 屑,虫 風寒邪→血気を損傷 湿癬候 滲出性紅班,局面 白 境界がある,浸潤が拡大 浸出液が多く→糜爛→瘡,虫,掻痒 風邪と気が相搏つ 風癬侯 局面,白癬 皮疹は円状で辺縁が鮮明,虫 風寒邪→血気を損傷 白癬候 斑状類乾癬 白 皮損が浅く広い 風邪と気が相搏つ 凍爛腫瘡候 凍傷 赤 発赤腫脹→潰爛→壊死→脱落 局所 寒邪→皮膚が損傷→気が凝滞 陰陽症候分類 瘡病諸候 諸候名 症候名 発疹学,現代皮膚病

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