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廃棄物再生利用における環境影響評価について

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Academic year: 2021

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(1)

県内大気環境中の光化学オキシダントについて

“新指標による解析の試み”

福地哲郎 岡田守道 中村公生 黒木泰至

1)

Photochemical Oxidant in Atmospheric Environment of Miyazaki Prefecture

"Attempt to Analysis by New Barometer"

Tetsuroh FUKUCHI, Morimichi OKADA, Kimio NAKAMURA and Hiroyuki KUROKI

要旨

大気環境中の光化学オキシダント濃度の指標として「環境基準の達成状況」などを用いているが,長 期的な環境改善効果を適切に示す指標となっていないことが問題点として指摘されている.このため, 中央環境審議会において,光化学オキシダントの環境改善効果を適切に示すための指標について検討を 行い,平成26 年 8 月に中間取りまとめが行われた.今回,中間取りまとめで提案された指標を用いて, 県内大気環境中の光化学オキシダントの長期的な変動について解析を試み,これまでの指標との比較及 び考察を行うことで,「長期的な変動」を明らかにすることができた.県北部は県南部よりも高濃度になっ ているものの平成17 年度付近をピークにして改善傾向にあると考えられた.県南部では,平成 22 年度 までは,ほぼ横ばいであったが,以後改善傾向にあると考えられた. キーワード:大気汚染常時監視,光化学オキシダント

はじめに

大気環境中の光化学オキシダント(以下,「Ox」 という.)は,窒素酸化物や炭化水素が太陽の紫外 線を受けて化学反応を起こし発生する汚染物質 で,光化学スモッグの原因となる.九州地方にお いては,春先に高濃度となることがあり,微小粒 子状物質(PM2.5)とともに大陸からの越境汚染 が示唆されている1), 2).本県では,平成25 年度ま で過去10 年以上全測定局で環境基準(1 時間値が 0.06ppm 以下であること)を達成しておらず,全 国でも環境基準を達成しているのは毎年数局程度 である 3) これまで,Ox 濃度の指標として用いられてき た「環境基準の達成状況」,「注意報等の発令状況」 及び「昼間の日最高1 時間濃度の年平均値」につ いては,気象要因による年々変動が大きく,長期 的な環境改善効果を適切に示す指標となっていな いことが問題点として指摘されている.そこで, 中央環境審議会において,Ox の環境改善効果を 適切に示すための指標について,平成 26 年 8 月 に中間取りまとめが行われた4) 今回,中間取りまとめで提案された指標(以下, 「新指標」という.)を用いた県内大気環境中の Ox の長期的な変動について解析を試み,これま での指標との比較及び考察を行ったので,その結 果を報告する.

解析方法

1 解析対象 平成26 年度に Ox 測定を行っている 11 測定局 環境科学部 1)元 環境科学部

(2)

局(図1)を解析対象とした. 2 解析期間 平成7 年度から平成 26 年度までの 20 年間(日 南保健所は平成11 年度からの 16 年間,生目小学 校自排局は平成15 年度からの 11 年間)を解析期 間とした. 3 解析方法 1)これまでの指標 「環境基準の達成状況」,「注意報等の発令状況」 及び「昼間の日最高1 時間濃度の年平均値」をこ れまでの指標として解析を行った. 2)新指標 「8 時間値の日最高値の年間 99 パーセンタイ ル値」を新指標として解析を行った. 4 地域区分 光化学オキシダント注意報・警報の発令を行う 地域区分(図1)とした.

結果及び考察

1 これまでの指標による解析結果 「環境基準の達成状況」を「昼間の日最高1 時 別測定時間数」で解析を行った. 図2 に Ox の「昼間の日最高 1 時間値の濃度範 囲別測定局数」の経年変化を示す.全国では一般 環境大気測定局1,152 測定局中 341 測定局3)(平 成25 年度)で 0.12ppm 以上となったが,本県で 0.12ppm 以上となった測定局は平成 24 年度の 1 測定局(延岡商業高校)のみであり,全国的な傾 向と異なっていた.また,0.06ppm 以下の環境基 準を達成した測定局は平成26 年度の 1 測定局(生 目小学校自排局)のみであった.このため,残り の測定局が0.06ppm 以上 0.12ppm 以下の範囲に あり,長期的な変動は明確には見られなかった. 図3 に Ox の「昼間の濃度範囲別測定時間数」 の経年変化を示す.昼間(6 時から 20 時の 1 時間 値)の測定時間は9 測定局の合計で,46,419 時間 から 48,665 時間であった.9 割を超える時間で 0.06ppm 以下となっており,長期的な変動は明確 には見られなかった.これらの宮崎県の傾向は, 全国的な傾向と同様であった. 「注意報等の発令状況」については,本県では, これまで一度も光化学オキシダント注意報・警報 の発令事例がなく,長期的な変動を解析できな かった. 図4 に Ox の「昼間の日最高 1 時間値の年平均 値」の経年変化を示す.県南部(日南・串間地域, 都城・小林・えびの地域,宮崎地域)に比べて県 北部(延岡地域,日向地域,西都・児湯地域)で 高濃度となる傾向が見られた.年度間の変動幅が 大きく,長期的な変動については,平成 20 年度 ごろから低下傾向が見られる測定局があるものの 明確ではなかった. 2 新指標による解析結果 「8 時間値の日最高値の年間 99 パーセンタイ ル値」で3 通りの解析を行った. 図5 に Ox の「8 時間値の日最高値の年間 99 パー センタイル値」の経年変化を示す.図4 と同様に, 年度間の変動幅が大きく,長期的な変動について は,平成 20 年度ごろから低下傾向が見られる測 定局があるものの明確ではなかった. 図6 に Ox の「8 時間値の日最高値の年間 99 パー センタイル値の3 年移動平均の地域内最高値」の 図 1 解析対象とした測定局及び地域区分 延岡地域 日向地域 西都・児湯地域 宮崎地域 日南・串間地域 都城・小林・えびの地域

(3)

図 2 昼間の日最高 1 時間値の濃度範囲別測定局数 0 3 6 9 H 17 H 18 H 19 H 20 H 21 H 22 H 23 H 24 H 25 H 26 測 定 局 数 0.06ppm以下 0.06~0.12ppm未満 0.12ppm以上 H 17 18 H 19 H 20 H 21 H 22 H 23 H 24 H 25 H 26 H 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 H 17 H 18 H 19 H 20 H 21 H 22 H 23 H 24 H 25 H 26 測 定 時 間 数 0.06ppm以下 0.06~0.12ppm未満 0.12ppm以上 図 3 昼間の濃度範囲別測定時間数 H 17 18 H 19 H 20 H 21 H 22 H H 23 24 H 25 H 26 H 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 H 7 H 8 H 9 H 10 H 11 H 12 H 13 H 14 H 15 H 16 H 17 H 18 H 19 H 20 H 21 H 22 H 23 H 24 H 25 H 26 日南保健所 油津小学校 都城高専 生目小学校自排局 図 4 昼間の日最高 1 時間値の年平均値 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 O x [p p m ] 延岡商業高校 延岡保健所 大王谷小学校 細島公民館 高鍋町健康づくりセンター H 17 18 H 19 H 20 H 21 H 22 H 23 H 24 H 25 H 26 H H 16 H 15 H 14 H 13 H 12 H 11 H 10 H 9 H 8 H 7 県北部 県南部

(4)

0 0.02 0.04 0.06 0.08 O x [p p m ] 延岡商業高校 延岡保健所 大王谷小学校 細島公民館 高鍋町健康づくりセンター 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 H 7 H 8 H 9 H 10 H 11 H 12 H 13 H 14 H 15 H 16 H 17 H 18 H 19 H 20 H 21 H 22 H 23 H 24 H 25 H 26 日南保健所 油津小学校 都城高専 生目小学校自排局 H 17 18 H 19 H 20 H 21 H 22 H 23 H 24 H 25 H 26 H H 16 H 15 H 14 H 13 H 12 H 11 H 10 H 9 H 8 H 7 図 5 8 時間値の日最高値の年間 99 パーセンタイル値 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 H 7 | H… H 8 | H… H 9 | H… H 10 | H… H 11 | H… H 12 | H… H 13 | H… H 14 | H… H 15 | H… H 16 | H… H 17 | H… H 18 | H… H 19 | H… H 20 | H… H 21 | H… H 22 | H… H 23 | H… H 24 | H… 日南・串間地域 都城・小林・えびの地域 宮崎地域 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 O x [p p m ] 延岡地域 日向地域 西都・児湯地域 H 7 9 ~ H 8 10 ~ H 9 11 ~ H 10 12 ~ H 11 13 ~ H 12 14 ~ H 13 15 ~ H 14 16 ~ H 15 17 ~ H 16 18 ~ H 17 19 ~ H 18 20 ~ H 19 21 ~ H 20 22 ~ H 21 23 ~ H 22 24 ~ H 23 25 ~ H 24 26 ~ 図 6 8 時間値の日最高値の年間 99 パーセンタイル値の 3 年移動平均の地域内最高値 県北部 県南部 県北部 県南部

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経年変化を示す.県南部に比べて県北部で高濃度 となっており,特に,「平成10~12 年度」から「平 成 18~20 年度」にかけて日向地域及び西都・児 湯地域で高濃度となっていたことがわかった.県 北部は「平成20~22 年度」以降横ばいであった. 県南部は,「平成20~22 年度」まではほぼ横ばい であったが,日南・串間地域,特に宮崎地域で「平 成21~23 年度」以降,改善傾向が見られており, 「平成24~26 年度」に 0.06ppm を下回ったこと から,今後も環境基準達成が継続する可能性があ る. 図7 に Ox の「8 時間値の日最高値の年間 99 パー センタイル値の3 年移動平均が一定濃度以上とな る測定局比率」を示す.4 つの濃度区分のうち 0.075ppm 以上の測定局比率が「平成 21~23 年 度」以降,減少傾向となっており,今後,宮崎地 域以外でも環境基準を達成する可能性がある.以 上のように,「これまでの指標」による解析(図4) では明確ではなかった長期的な変化を「新指標」 による解析(図 7)では明確にとらえることがで きた.「新指標」は,「長期的な環境改善効果を適 切に示す指標」として活用できると考えられた.

まとめ

大気環境中のOx について,「新指標」を用い て長期的な環境改善効果を評価した.その結果, 「長期的な変動」を明らかにすることができた. 県北部は県南部よりも高濃度になっているものの 平成 17 年度付近をピークにして改善傾向にある と考えられた.県南部では,平成22 年度までは, ほぼ横ばいであったが,以後改善傾向にあると考 えられた. しかしながら,本県では3 月から 5 月にかけて 短時間であるが高濃度の Ox が観測されることも あり,また,大気汚染については,平成 24 年度 末のPM2.5の越境汚染報道等を契機に県民の関心 も高まっていることから,今後とも,監視を続け, Web ページ「みやざきの空」等での正確な情報提 供を行っていく必要がある.

謝辞

生目小学校自排局については,宮崎市環境部環 境保全課から提供を受けた測定結果により解析を 行った.深謝致します.

参考文献

1) 祝園秀樹,小玉義和:光化学オキシダントの挙 動解明に関する研究(C 型共同研究),宮崎県衛 生環境研究所所年報,17,65-68,(2005) 2) 福地哲郎,中村雅和,眞﨑浩成,岩切淳,森下 敏朗:平成24 年度における大気汚染物質高濃 度事例について,宮崎県衛生環境研究所所年 報,24,74-82,(2013) 3) 環境省:平成 25 年度大気汚染状況について 4) 環境省水・大気環境局大気環境課長通知:光化 学オキシダントの環境改善効果を適切に示す ための指標(中間とりまとめ)について,平成 26 年 9 月 26 日環水大大発第 1409262 号 0 20 40 60 80 100 H 7 | H 9 H 8 | H 10 H 9 | H 11 H 10 | H 12 H 11 | H 13 H 12 | H 14 H 13 | H 15 H 14 | H 16 H 15 | H 17 H 16 | H 18 H 17 | H 19 H 18 | H 20 H 19 | H 21 H 20 | H 22 H 21 | H 23 H 22 | H 24 H 23 | H 25 H 24 | H 26 測定局比率 [% ] 0.060ppm以上 0.075ppm以上 0.090ppm以上 0.100ppm以上 H 7 9 ~ H 8 10 ~ H 9 11 ~ H 10 12 ~ H 11 13 ~ H 12 14 ~ H 13 15 ~ H 14 16 ~ H 15 17 ~ H 16 18 ~ H 17 19 ~ H 18 20 ~ H 19 21 ~ H 20 22 ~ H 21 23 ~ H 22 24 ~ H 23 25 ~ H 24 26 ~ 図 7 8 時間値の日最高値の年間 99 パーセンタイル値の 3 年移動平均が 一定濃度以上となる測定局比率

参照

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