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1 2. 細分化される医薬品市場関節リウマチ クローン病 潰瘍性大腸炎 乾癬など 幅広い自己免疫疾患の適応症をもつ抗 TNF 受容体抗体 ヒュミラ (HUMIRA) さらに抗がん剤では大腸がん 肺がん 腎細胞がん 卵巣がん 子宮がんなど多様な適応症をもつ抗 VEGF 受容体抗体 アバスチン (AVA

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シェア "1 2. 細分化される医薬品市場関節リウマチ クローン病 潰瘍性大腸炎 乾癬など 幅広い自己免疫疾患の適応症をもつ抗 TNF 受容体抗体 ヒュミラ (HUMIRA) さらに抗がん剤では大腸がん 肺がん 腎細胞がん 卵巣がん 子宮がんなど多様な適応症をもつ抗 VEGF 受容体抗体 アバスチン (AVA"

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S

D

D

ファーマセット・リサーチ株式会社*

三島 茂

製薬産業の将来像と DDS 研究

―事業開発を支援する立場からの提言―

Changes in the Global Pharmaceutical Industry and Growing Expectations for DDS technologies - from the standpoint of a business development service provider

The global pharmaceutical market was analyzed by monitoring companies’ financial results and aggregating product sales for each therapeutic categories. Cancer came to the top and autoimmune the second, while CVM dropped from the top to the third. Rapid growth was observed in the categories where pharmacological targets were newly identified for diseases with unmet medical needs. Launch of anti-PD1 products drastically changed treatment of lung cancer where antibody drugs were scarce. On the contrary, molecular-targeted drugs such as orally available CDK4 /6 inhibitors changed breast cancer treatment where antibody drugs were dominant. Also in autoimmune diseases, new pharmacological targets such as IL-1 7 A, IL-2 3 , and integrin were identified. Oral JAK inhibitors to treat rheumatoid arthritis, and new targets such as CD-3 8 , SLAMF7 , and HDAC in multiple sclerosis were good examples of innovative pharmacology targets.  グローバル企業の医療用医薬品を治療分野ごとに集計し、市場動向を分析した。売上規模は「がん」 が1 位、自己免疫疾患が2 位へとそれぞれ上昇し、数年前まで1 位だった循環代謝系は3 位へと低下 した。躍進したのはアンメットニーズの疾患に新たな薬効ターゲットが創出された領域である。これ まで抗体医薬が乏しかった市場に抗 PD-1 抗体が投入された肺がん、反対に抗体医薬が主流の市場に CDK4 /6 阻害剤など経口投与の分子標的薬が登場した乳がんといった治療分野が成長した。自己免 疫疾患においても IL-1 7 A、IL-2 3、インテグリンなど新たな薬効ターゲットが確立された。治療 分野としては JAK 阻害剤が注目される関節リウマチ、さらに CD-3 8、SLAMF7、HDAC といっ た新しい薬効ターゲットが注目される多発性硬化症などを取り上げる。 ShigeruMishima* Keywords: blockbuster drugs, segmentation of pharmaceutical market, R&D strategy, antibody drugs, molecular targets

*PharmaAssetResearchInc. アカデミア発 DDS 技術の実用化に向けて-提言-

1.はじめに

1―1.メガファーマの動向

 メガファーマと呼ばれる最大手のグローバル製薬

企業は、2012年から2014年まで3年間続いたパテ

ント・クリフの低迷から脱しつつある。最近5年間

(2012年~2016年)の株価上昇率は、アムジェン

(146%増)、バイエル(115%増)、リリー(104%増)、

ヤンセン(J&J グループ、99%増)が他社をリードし、

市場全体の上昇率78%(S&P指標)を上回った。抗

体医薬を中心にアンメット・メディカルニーズに焦

点をあてた新薬開発の成功が反映されている。

 年間売上が10億ドル(ビリオンダラー)を上回り、

ブロックバスターと呼ばれる医療用医薬品の数は

2016年に120品目を超えた。2012年の100品目前

後から20品目増加した。この増加もアンメットニー

ズの治療分野における新薬によるものであった。さ

らに20億ドルを超えるマルチビリオン製品に注目

すると、品目数は50前後で変わっていない。10億

ドル台の製品が50品目から70品目へと増加してメ

ガファーマの業績回復に貢献している様子が見え

る。

(2)

1―2.細分化される医薬品市場

 関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬

など、幅広い自己免疫疾患の適応症をもつ抗TNF

受容体抗体「ヒュミラ」

(HUMIRA)、さらに抗がん

剤では大腸がん、肺がん、腎細胞がん、卵巣がん、

子宮がんなど多様な適応症をもつ抗VEGF受容体

抗体「アバスチン」

(AVASTIN)、乳がんだけでなく

胃がんも適応症とする抗HER2抗体「ハーセプチン」

(HERCEPTIN)など、それぞれ1兆円前後の大市場

を実現した抗体医薬を第一世代とすると、第二世

代あるいは第三世代となる乳がん治療薬「パージェ

タ」

(PERJETA)、リンパ腫治療薬「GAZYVA」

(一

般名:オビヌツズマブ)、乾癬治療薬「コセンティク

ス」

(COSENTYX)といった最新の抗体医薬は適応

症が狭められ、さらに対象患者が治療歴や疾患段階

によって絞り込まれているため、売上規模は大幅に

縮小している。

 このように、個々の抗体医薬品の巨大市場は細分

化されていく方向にあると思われる。1つの1兆円

製品を5つの2 ,000億円製品が置き換えていくよう

に適応症が細分化され、患者ごとに最適化された多

数の新薬が登場することが期待される。

1―3.DDS 研究への期待

 低分子であっても、分子標的の抗がん剤や多発性

硬化症治療薬のように対象疾患を絞り込んで大型化

する製品も出てきた。昨年(2016年)、発売2年目

で2 ,000億円を超えた CDK4 /6阻害剤の乳がん治

療薬「イブランス」

(IBRANCE)が好例である。医学

の進歩と連携して対象疾患を精査し、コンパニオン

診断法(CoDx)を同時に開発しながら最適の対象患

者を絞り込むといった最先端の新薬開発は、国内の

大手製薬企業にとって最も遅れている分野である。

 DDS技術は医薬品の改良や差別化の道具として

重要であるだけでなく、細分化された新たな医療

ニーズを掘り起こす「疾患アプローチ」の切り口とし

ても有望である。疾患研究の初期段階にまで踏み込

んで DDS技術の応用機会を追求し、医療において

具体的な価値を生み出していくことが重要である。

 以下、グローバル製薬企業の現状を分析し、新薬

開発の将来動向を展望する。市場性の観点から最先

端の治療分野と薬効分野に焦点をあてた。読者には

関連性が低いと思われる部分が多いかもしれない

が、DDS技術が活躍する新しい領域を創出してい

ただく一助となれば幸いである。

2.グローバル製薬企業の動向

2―1.メガファーマの低迷

 メガファーマと呼ばれる米国6社(ファイザー、

メルク、ヤンセン、リリー、ブリストルマイヤー

ズ・スクイブ、アッヴィ)、スイス2社(ノバルティ

ス、ロシュ)、英国2社(グラクソ・スミスクライ

ン、アストラゼネカ)、フランス1社(サノフィ)、

ドイツ1社(バイエル)、以上12社の医療用医薬品

の合計は2011年がピークとなり、その後は2015

年まで4年連続の減少となった。メガファーマ12

社の業績が長期間にわたって低迷してきた背景に

は、ファイザーのコレステロール低下剤「リピトー

ル」

(LIPITOR、ピーク時売上高107億ドル)、ノ

バルティスの降圧剤「ディオバン」

(DIOVAN、60

億ドル)、メルクのぜんそく治療薬「シングレア」

(SINGULAIR、55億ドル)など、特許終了を迎えた

大型製品が激減し、「2012年問題」と呼ばれたパテ

ント・クリフ(特許の断崖)があった。

2―2.バイオテク企業の好調

 一方で、アムジェン、バイオジェン、ギリア

ド、セルジーンに代表されるバイオテク企業は順

調に成長していた。なかでもギリアドは2014年

の1年間で売上高が2 .3倍となり、売上ランキング

の9位に初登場し、さらに2015年は6位へと上昇

した。2014年は発売初年度から100億ドル(1兆

円)を超えた NS5 B ポリメラーゼ阻害剤の C型肝

炎治療薬「ソバルディ」

(SOVALDI)、2015年はソ

バルディに NS5 A阻害薬を配合した「ハーボニー」

(HARVONI)が貢献した。ハーボニー(130億ドル)

とソバルディの合計は190億ドルとなり、この2品

目だけで日本企業としては最大である武田薬品の医

療用医薬品売上高(1兆6 ,000億円)を大きく上回っ

た。ちなみに武田薬品の世界ランキングは2010年

から2012年にかけて11位となったのが最高で、現

(3)

在は17位まで低下している(表1)。

 また、2012年から5年間連続して製品ランキ

ングの首位にある抗TNFα受容体抗体ヒュミラは

2016年も15%増加して160億ドルに達し、1品目

で武田薬品に匹敵する売上規模となった。ヒュミラ

は関節リウマチだけでなく、潰瘍性大腸炎をはじめ、

最近も爪白癬症といったさまざまな自己免疫疾患の

適応症を追加しながら成長を続けている。このよう

に近年躍進している企業とその製品の土台には「抗

体医薬」と「アンメット・メディカルニーズ」がある。

2―3.売上高トップ5 0 製品の推移

2―3―1.アンメット・メディカルニーズ

 医療用医薬品の2016年グローバル売上高ランキ

ングを表2にまとめた。表中の網掛け文字は「適応

症・薬効」欄でアンメットニーズを対象とする医薬

品、「製品」欄では抗体医薬品(濃い網掛け)と抗体以

外のバイオ医薬品(薄い網掛け)である。トップ50

品目の半数23品目をバイオ医薬品が占め、さらに

その半数11品目が抗体医薬品であった。アンメッ

トニーズは32品目で6割以上を占めた。C型肝炎

治療薬ハーボニーや分子標的の白血病治療薬「グリ

ベック」

(GLIVEC/GLEEVEC)のように、低分子化

合物であってもアンメットニーズに焦点をあてて大

型化した製品が14品目あった。残るのはアンメッ

トニーズでも、バイオ医薬品でもなく、ニーズが

充足されて競合品がひしめく大市場で販売される

低分子医薬品である。糖尿病治療薬「ジャヌビア」

(JANUVIA)、抗ぜんそく薬「アドエア」

(ADAIR/

ADVAIR)、 コ レ ス テ ロ ー ル 低 下 剤「 ゼ チ ー ア 」

(ZETYA)、抗潰瘍剤「ネキシウム」

(NEXIUM)など、

7品目が該当する。表2「製品」欄では、

囲みで

示した。この分類構成はこの5年間で大きく変化し

ている。

2―3―2.低分子から高分子へ

 7年前(2010年)のトップ50製品リストを見ると、

抗体医薬7品目を含むバイオ医薬品は17品目で全

体の3分の1にとどまっていた。反対に7割近い33

表1 医療用医薬品売上高(企業別)の推移 企業 順位 医療用医薬品(単位:10億ドル、$ billion) 2011 2016 2021 2011 5年間 2016 5年間 2021 実績 実績 予想 実績 増減額 実績 増減額 予想 ファイザー 1 1 2 57 .7 -10 .2 47 .5 1 .4 48 .9 ノバルティス 2 2 3 44 .0 -1 .3 42 .7 4 .7 47 .4 ロシュ 4 3 1 37 .1 1 .3 38 .4 13.8 52 .2 メルク(MSD) 3 4 4 41 .3 -6 .1 35 .2 10.5 45 .7 ヤンセン(J&J) 8 5 5 24 .3 9 .2 33 .5 4 .3 37 .8

ギリアド n.a. 6 14 n.a. n.a. 30 .0 -7 .1 22 .9

サノフィ 6 7 6 35 .1 -6 .7 28 .4 6 .6 35 .0 グラクソ 5 8 10 35 .7 -7 .6 28 .1 -0 .9 27 .2 アッヴィー 13 9 9 17 .4 8 .1 25 .6 2 .1 27 .7 アストラゼネカ 7 10 11 33 .6 -10 .0 23 .6 1 .9 25 .5 テバ 12 11 16 18 .3 3 .6 21 .9 -4 .1 17 .8 アムジェン 14 12 8 15 .3 5 .6 20 .9 7 .5 28 .4 ブリストルマイヤーズ 10 13 7 21 .2 -1 .8 19 .4 13.9 33 .3 リリー 9 14 13 22 .6 -4 .5 18 .1 5 .7 23 .8 バイエル 15 15 12 13 .9 4 .1 18 .0 5 .9 23 .9 ノボ ノルディスク 17 16 15 12 .4 4 .2 16 .6 1 .4 18 .0 武田薬品 11 17 17 18 .9 -5 .2 13 .7 3 .3 17 .0 ベーリンガー 16 18 18 13 .2 0 .1 13 .3 1 .7 15 .0 アステラス 18 19 19 12 .1 -0 .5 11 .6 3 .4 15 .0 データ:各社決算資料からファーマセット・リサーチ集計および予想

(4)

表2 医療用医薬品―世界売上トップ5 0 順位 適応症・薬効 企業 製品 Sales $m Chg. Chg. 2015 2016 2015 2016 $m %yoy 1 1 関節リウマチ症 アッヴィ ヒュミラ 14 ,012 16 ,078 2 ,066 14 .7 2 2 C型肝炎 ギリアド ハーボニー 13 ,864 9 ,081 -4 ,783 -34 .5 3 3 悪性リンパ腫、RA ロシュ リツキサン 7 ,332 7 ,177 -155 -2 .1 10 4 多発性骨髄腫 セルジーン レブラミド 5 ,801 6 ,974 1 ,173 20 .2 7 5 関節リウマチ症 J&J レミケード 6 ,561 6 ,966 405 6 .2 5 6 大腸がん、肺がん ロシュ アバスチン 6 ,957 6 ,669 -288 -4 .1 6 7 乳がん /胃がん ロシュ ハーセプチン 6 ,805 6 ,668 -137 -2 .0 4 8 糖尿病 サノフィ ランタス 6 ,999 6 ,263 -736 -10 .5 9 9 糖尿病 MSD ジャヌビア 6 ,014 6 ,109 95 1 .6 13 10 関節リウマチ症 アムジェン エンブレル 5 ,364 5 ,965 601 11 .2 8 11 肺炎球菌ワクチン ファイザー プレベナー 6 ,245 5 ,718 -527 -8 .4 11 12 G-CSF アムジェン ノイポジン 5 ,764 5 ,413 -351 -6 .1 16 13 神経因性疼痛 ファイザー リリカ 4 ,839 4 ,966 127 2 .6 12 14 ぜんそく グラクソ アドエア 5 ,632 4 ,740 -892 -15 .8 18 15 多発性硬化症 テバ Copaxone 4 ,023 4 ,223 200 5 .0 14 16 C型肝炎 ギリアド ソバルディ 5 ,276 4 ,001 -1 ,275 -24 .2 21 17 多発性硬化症 バイオジェン テクフィデラ 3 ,638 3 ,968 330 9 .1 127 18 肺がん、膀胱がん BMS オプジーボ 942 3 ,774 2 ,832 300 .6 20 19 高脂血症 MSD ゼチーア 3 ,777 3 ,701 -76 -2 .0 22 20 HIV感染 ギリアド ツルバダ 3 ,459 3 ,566 107 3 .1 15 21 コレステロール AZN/塩野義 クレストール 5 ,017 3 ,401 -1 ,616 -32 .2 51 22 抗血液凝固 BMS エリキュース 1 ,860 3 ,343 1 ,483 79 .7 17 23 血液がん(CML) ノバルティス グリベック 4 ,658 3 ,323 -1 ,335 -28 .7 19 24 COPD/ ぜんそく ベーリンガー スピリーバ 3 ,943 3 ,283 -660 -16 .7 36 25 乾癬性疾患 J&J ステラーラ 2 ,474 3 ,232 758 30 .6 33 26 抗血液凝固 バイエル イクザレルト 2 ,499 3 ,209 710 28 .4 29 27 多発性硬化症 ノバルティス ギレニア 2 ,776 3 ,109 333 12 .0 23 28 ぜんそく アストラゼネカ シムビコート 3 ,394 2 ,989 -405 -11 .9 31 29 糖尿病 ノボ ビクトーザ 2 ,667 2 ,970 303 11 .4 26 30 糖尿病 ノボ ノボ・ラピッド 3 ,065 2 ,955 -110 -3 .6 24 31 関節リウマチ症 ファイザー エンブレル 3 ,333 2 ,909 -424 -12 .7 32 32 ヘモグロビン尿症 シャイアー ソリリス 2 ,591 2 ,843 252 9 .7 27 33 多発性硬化症 バイオジェン Avonex 2 ,969 2 ,795 -174 -5 .8 28 34 糖尿病 リリー ヒューマログ 2 ,842 2 ,769 -73 -2 .6 25 35 HIV感染 ギリアド アトリプラ 3 ,134 2 ,605 -529 -16 .9 30 36 糖尿病 ノボ レベミール 2 ,707 2 ,531 -176 -6 .5 38 37 ED治療薬 リリー シアリス 2 ,311 2 ,472 161 7 .0 101 38 HIV感染 GSK トリウメグ 1 ,117 2 ,360 1 ,243 111 .3 50 39 抗血液凝固 J&J イクザレルト 1 ,868 2 ,288 420 22 .5 35 40 肺がん リリー アリムタ 2 ,493 2 ,283 -210 -8 .4 49 41 関節リウマチ症 BMS オレンシア 1 ,885 2 ,265 380 20 .2 39 42 前立腺がん J&J ザイティガ 2 ,231 2 ,260 29 1 .3

54 43 向精神薬 J&J Invega Sustenna 1 ,830 2 ,214 384 21 .0

41 44 前立腺がん アステラス製薬 イクスタンジ 2 ,083 2 ,188 104 5 .0 46 45 子宮頸がんワクチン MSD ガーダシル 1 ,908 2 ,173 265 13 .9 141 46 乳がん ファイザー イブランス 723 2 ,135 1 ,412 195 .3 45 47 腎性貧血症 アムジェン アラネスプ 1 ,951 2 ,093 142 7 .3 34 48 消化器潰瘍 アストラゼネカ ネキシウム 2 ,496 2 ,032 -464 -18 .6 58 49 多動障害 シャイアー ビバンセ 1 ,722 2 ,014 292 16 .9 48 50 多発性硬化症 バイオジェン タイサブリ 1 ,886 1 ,964 78 4 .1 [凡 例] アンメットニーズ 日本企業 抗体医薬品 LOE バイオ医薬品 低分子医薬品 Source:PAR calc.(Fx)

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表3 治療分野別:主要製品の売上合計

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2011 2012 2013 2014 2015 2016

Globals sales($m) Share of market

Cancer 47 ,519 51,817 56 ,792 63 ,964 68 ,892 75 ,943 15 .9 % 17 .7 % 18 .6 % 19 .0 % 19 .7 % 21.3 % AutoimmuneAIdiesease 39 ,686 44 ,014 51,437 58 ,704 62 ,196 69 ,612 13 .3 % 15 .1% 16 .8 % 17 .4 % 17 .7 % 19 .5 % Cardiovascular & MetabolicCVM) 74 ,176 65 ,490 64 ,048 67 ,792 66 ,539 68 ,006 24 .9 % 22 .4 % 21.0 % 20 .1% 19 .0 % 19 .1% Infection 23 ,842 25 ,580 25 ,794 42 ,189 49 ,214 42 ,490 8 .0 % 8 .8 % 8 .4 % 12 .5 % 14 .0 % 11.9 % Respiratory 28 ,257 26 ,956 25 ,524 24 ,513 22 ,006 20 ,867 9 .5 % 9 .2 % 8 .4 % 7 .3 % 6 .3 % 5 .9 % Central nervous systemCNS) 27 ,480 20 ,611 21,699 19 ,072 21,230 19 ,455 9 .2 % 7 .1% 7 .1% 5 .7 % 6 .1% 5 .5 % Vaccine 11,470 12 ,442 13 ,187 13 ,657 15 ,699 16 ,581 3 .8 % 4 .3 % 4 .3 % 4 .1% 4 .5 % 4 .7 % Other biopharma 12 ,566 11,924 12 ,465 12 ,383 12 ,039 11,303 4 .2 % 4 .1% 4 .1% 3 .7 % 3 .4 % 3 .2 % Hormone /anti-hormone 6 ,267 6 ,640 6 ,426 6 ,478 5 ,955 5 ,987 2 .1% 2 .3 % 2 .1% 1.9 % 1.7 % 1.7 % Ophthalmic 5 ,025 4 ,802 5 ,237 5 ,806 5 ,404 5 ,361 1.7 % 1.6 % 1.7 % 1.7 % 1.5 % 1.5 % Classic market

NSAID, PPI, etc.) 8 ,933 8 ,714 8 ,671 8 ,039 5 ,034 4 ,329 3 .0 % 3 .0 % 2 .8 % 2 .4 % 1.4 % 1.2 %

Transplantation 3 ,234 3 ,169 3 ,800 3 ,927 4 ,043 3 ,709 1.1% 1.1% 1.2 % 1.2 % 1.2 % 1.0 % Skin, Mustle, Bone 3 ,075 3 ,309 3 ,599 3 ,242 3 ,257 3 ,591 1.0 % 1.1% 1.2 % 1.0 % 0 .9 % 1.0 % Urology 3 ,215 3 ,369 3 ,579 3 ,569 3 ,239 3 ,064 1.1% 1.2 % 1.2 % 1.1% 0 .9 % 0 .9 % Unmet needs, Orphan 2 ,190 2 ,295 2 ,429 2 ,330 4 ,625 4 ,833 0 .7 % 0 .8 % 0 .8 % 0 .7 % 1.3 % 1.4 %

Misc. 997 955 980 1,066 1,106 1,158 0 .3 % 0 .3 % 0 .3 % 0 .3 % 0 .3 % 0 .3 %

Total listed products 297 ,934 292 ,086 305 ,668 336 ,732 350 ,477 356 ,290 100 % 100 % 100 % 100 % 100 % 100 %

chg. %yoy 7 .5 -2.0 4 .7 10 .2 4 .1 1.7

品目が低分子化合物であり、そのなかには日本を

開発起源とするブロックバスター製品が8品目も

あった

1)

。現在はそれがゼロになりつつある。2010

年のトップ50リストにあった、武田薬品の糖尿病

治療薬「アクトス」

(ACTOS)、降圧剤「ブロプレス」

(一般名:カンデサルタン)、および前立腺がん治療

薬「リュープリン」

(LUPRON)、第一三共の降圧剤

「BENICAR」

(一般名:オルメサルタン)、および抗

菌剤「LEVAQUIN」

(一般名:レボフロキサシン)、

大塚製薬の向精神薬「エビリファイ」

(ABILIFY)、

エーザイのアルツハイマー型認知症治療薬「アリセ

プト」

(ARICEPT)、以上7品目はいずれも2016年

リストにはない。唯一残った塩野義製薬のコレステ

ロール低下剤「クレストール」

(CRESTOR)も2016

年に米国特許が終了し、2017年リストからは脱落

する見通しである。抗体医薬やアンメットニーズに

照準を合わせた研究開発に遅れた国内企業の現状が

このまま続けば、日本を起源とする新薬は世界トッ

プ50製品ランキングから消滅することになる。

3.医療用医薬品のグローバル市場

3―1.集計データの背景

 メガファーマ12社の「主要製品200品目」

(合計

2 ,500億ドル)および「その他製品」

(合計1 ,000億ド

ル)に加えて、アムジェン、ギリアドといった主要

なバイオテク企業、さらにベーリンガー・インゲル

ハイム、ノボ・ノルディスク、武田薬品などの「ビッ

グファーマ」企業を対象に主要製品100品目(合計

1 ,000億ドル)を集計した。全体としては企業数30

社、製品数300品目、合計売上高4 ,500億ドル(50

兆円)を調査対象とし、これを治療分野ごとに再集

計して市場モデルを作成した。

3―2.IMS データとの比較

 製薬業界において広く認知されている IMS デー

タの2017年6月時点の最新統計では、2015年のグ

ローバル市場規模を9 ,540億ドル(105兆円)として

いる。2016年は米国市場を中心に伸び率が4%前

後に鈍化しており、IMS ベースの市場規模は110

兆円前後になると予想される。弊社が主要企業の

(6)

決算から集計した50兆円とのあいだには60兆円の

開きがある。この差異の最大の要因は、リベートを

含む米国市場における流通費用25~30兆円(弊社推

定)である。さらに米国以外の流通費用なども勘案

すると、正味売上である企業決算ベースの世界市場

は70兆円前後と推定される。異論の余地はあるが、

弊社で集計した合計額は全体の70%、成長市場の

90%以上を捕捉していると考える。以下、グロー

バル医薬品市場の動向を治療分野別に概観する。

3―3.治療分野

 企業が決算発表で開示する個別の製品売上を治療

分野ごとに再集計した(表3、図1)。対象とした約

300品目の2016年合計は3 ,560億ドル(40兆円)、

対前年伸び率は1 .7%だった。ほぼ同一の製品構成

で集計した前年(2015年)合計の成長率4 .3%から

は大きく鈍化した。その最大の原因は後述する C型

肝炎(HCV)治療薬の減少である。現在、最大の治

療分野となっている「がん」は、2014年まで2位で

あったが2015年に循環代謝系(CVM)を抜いて1位

となった。市場シェアは、かつて25%を占めてい

た CVM が2015年に初めて20%を割り込み、19%

台に達した抗がん剤が僅差で逆転した。抗がん剤は

2016年に初めて7兆円を上回り、シェアは21%と

なった。CVM もわずかながら拡大し、2011年以

降のシェア低下に歯止めがかかったが、自己免疫疾

患(AI)が19%を超え、CVM を抜いて2位となった。

 図2のグラフは治療分野別の増減額を示してい

る。上段が昨年(2016)、下段が過去5年間(2011~

2015)の増減である。治療分野は左側から5年間の

増加額(下段)が大きい順に、上段と下段が同一の治

療分野となるように並んでいる。以下、記述を簡潔

にするために売上高は日本円で100億円以下を切り

捨て、為替レートは1ドル100円とする。

 前述したハーボニーとソバルディが2014年、

2015年の2年間で2兆円近く増加した。しかし、新

薬発売の予定に合わせてインターフェロンが中心の

従来治療を忌避していた待機患者が一巡し、患者

数が激減した。2016年はハーボニーとソバルディ

の2製品で6 ,000億円減少し、HCV領域全体は1兆

7 ,000億円へと27%減少した。

 最も大きく増加した治療分野は関節リウマチ、多

発性硬化症、潰瘍性大腸炎などの「自己免疫疾患」

であった。前年比12%(7 ,700億円)増加し、7兆

円となった。次に増加額が大きかった「がん」領域

は前年比10%(7 ,100億円)増加し、7兆6 ,000億

円となった。がん領域が全体に占めるシェアは初

めて20%を超えた。領域全体の拡大を牽引した

図1 治療分野別:主要製品の売上合計グラフ 160 140 120 100 80 60 40 20 0

Global Rx drug sales by therapeutic area

Cancer 75.9 141.5 autoimmune 69.6 75.7 CVM 68.0 86.9 infection 42.5 43.7 respiratory 20.9 19.5 CNS 17.4 15.8 vaccine 16.6 19.5 other biopharma 11.3 10.8 hormone 6.0 6.1 ophthalmic 5.4 6.2 2011 2016 2021E $ billion

(7)

PD―1阻害剤「オプジーボ」

(OPDIVO)の2016年売

上は2 ,800億円増加し、発売から2年で3 ,700億円

に達した。同じく PD―1阻害剤の「キートルーダ」

(KEYTRUDA)は1 ,400億円へと800億円増加し

た。

 CVM疾患は、かつては市場全体の25%を占め

る最大の治療分野であり、2011年には7兆円を超

えていた。しかし、それぞれ1兆円を超えていた

コレステロール低下剤リピトールと抗血小板薬「プ

ラビックス」

(PLAVIX)、ほかにもディオバン、ブ

ロプレス、「ミカルディス」

(MICARDIS)といっ

た ARB型降圧剤など、主要製品が相次いで特許

満了となり、大幅に縮小した。2015年にはシェ

アが20%を下回り、最大治療分野の座を抗がん剤

に譲っている。2016年はファクター Xa阻害剤の

抗血液凝固薬「エリキュース」

(ELIQUIS)が3 ,300

億円へと1 ,500億円増加、同じく「イグザレルト」

(XARELTO)が5 ,500億円へと1 ,200億円増加し、

CVM領域全体は前年比2%の増加に転じた。今後

はネプリライシン阻害剤の心不全治療薬「エントレ

スト」

(ENTRESTO)、抗PCSK9抗体の LDL コレ

ステロール低下薬「レパーサ」

(LEPATHA)および

「プラルエント」

(PRALUENTO)などの拡大が期待

されており、7兆円台を回復する見通しである。

4.主要製品と新薬開発の状況

 PD―1阻害による腫瘍免疫療法、チロシンキナー

ゼの一種である Januskinase(JAK)を標的とする関

節リウマチ治療といった最先端の医学の進歩ととも

に登場してきた新しい薬効分野の主役は、抗体医薬

と分子標的薬である。これらの新薬の治療分野は「が

ん」と「自己免疫疾患」に集中している。以下、特に

画期的な薬効メカニズムが登場しているがん領域と

自己免疫疾患領域の治療分野を詳細に見ていく。が

ん領域では、肺がん、乳がん、白血病、リンパ腫、

図2 治療分野別の増減額 上段:2 0 1 6 年 下段:過去5 年間(2 0 1 1 ~2 0 1 5) 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0 -2.0 -4.0 -6.0 -8.0

2016 increase/decrease by therapeutic area $ billion

* Cancer

HCV HIV

* autoimmune ophthalmicUMN, orphan respiratoryAlzheimer ’s classic psychotropic* CVS&M CNS, misc vaccine antibiotic transplantation hormone urology

skin, mustle, bone 0.0 0.0 -6.2 0.9 0.3 -0.0 -0.0 0.3 0.0 0.1 0.0 -0.3 -0.6 -0.3 0.2 -0.9 -0.4 -0.7 30.0 20.0 10.0 0.0 -10.0 2010-2015(5yr) * Cancer HCV HIV

* autoimmune ophthalmicUMN, orphan respiratoryAlzheimer ’s classic psychotropic* CVS&M CNS, misc vaccine antibiotic transplantation hormone urology

skin, mustle, bone 26.9 21.5 19.8 4.3 3.0 2.1 1.4 0.4 0.3 -7.7 -7.2 -0.6 -1.2 -1.3 -2.9 -3.3 -3.3 -4.2

(8)

骨髄腫といった治療分野で、PD―1、ALK、MEK、

CDK4 /6、PARP、mTOR、プロテアソームといっ

た新たな薬効分野の主要製品と新薬開発の動向を見

ていく。自己免疫疾患では、関節リウマチ、多発性

硬化症、乾癬、潰瘍性大腸炎といった治療分野で、

IL―6、JAK、IL―17、IL―23、インテグリンなどの

薬効分野を取り上げる。

4―1.がん

 がん領域全体の売上規模7兆6 ,000億円(2016

年)は前年比10%(7 ,000億円)増加した。増加金

額をがん種別の治療分野で見ると、肺がん(3 ,600

億円)、乳がん(1 ,400億円)、骨髄腫(1 ,200億円)、

リンパ腫・白血病(800億円)の増加が大きかった。

いずれも最近発売された新薬が急成長した分野であ

る(表4)。

4―1―1.肺がん

 肺がん(Lungcancer)の主要製品合計は、前年比

42%(3 ,600億円)増加して1兆2 ,000億円を超え

た。がん領域全体(7兆6 ,000億円)に占めるシェア

は16%へと3ポイント拡大し、骨髄腫(14%)を抜い

て、リンパ腫・白血病(21%)、乳がん(17%)に次

ぐ3位となった。製品別に見ると増加額のほとんど

は腫瘍免疫療法の PD―1(Programmedcelldeath1)

阻害剤のオプジーボ(2 ,500億円増、3 ,400億円)と

キートルーダ(800億円増、1400億円)によるもの

であった。オプジーボとキートルーダは悪性黒色

腫を適応症として2014年後半にほぼ同時に発売さ

れたが、効能追加した肺がんの承認に時間差(2015

年3月オプジーボ、同年10月キートルーダ)があり、

2016年売上では倍以上の差がつく結果となった。

 オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とキートルーダ

(一般名:ペンブロリズマブ)は PD―1に対する抗体

である。その後に承認された PD―1関連の製品、

「テ

センテリク」

(TECENTRIQ、一般名:アテゾリズ

マブ)、「BAVENCIO」

(一般名:アベルマブ)、およ

び「IMFINZI」

(一般名:ダーバルマブ)は、PD―1に

結合するリガンドである PD―L1に対する抗体であ

る。テセンテリクは2016年4月に尿路上皮がんで

初回承認され、2016年売上は100億円にとどまっ

た。同年10月に承認された肺がんの効能追加につ

いては今後の売上高に反映されると期待される。ア

ベルマブとダーバルマブも肺がん適応症の取得を目

指しており、いずれもフェーズⅢ段階の臨床試験を

進めている。

 肺がん市場では PD―1関連製品のほかにも「タ

グリッソ」

(400億円増、1 ,300億円)の増加が大き

かったが、同じ薬効(EGFR阻害)の先行品「タル

セバ」および「イレッサ」を置き換えている部分が

大きい。「ザーコリ」

(XALKORI)、「アレセンサ」

(ALECENSA)、ZYCADIA(一般名:セリチニブ)

といった ALK阻害剤が相次いで発売されたが、売

上高はいずれも1 ,000億円以下にとどまりそうであ

表4 治療分野別:主要製品の売上合計(がん) Therapeutic category 2012 2013 2014 2015 2016 2012 2013 2014 2015 2016

Cancer Global sales($m) Share of total

blood cancer(leukemia, lymphoma) 12 ,475 13 ,188 13 ,766 15 ,194 15 ,971 24 % 23 % 22 % 22 % 21% other blood cancer(MM, MDS,,,) 6 ,992 8 ,056 8 ,922 9 ,609 10 ,862 13 % 14 % 14 % 14 % 14 % breast cancer(BC) 7 ,924 8 ,771 10 ,393 11,767 13 ,221 15 % 15 % 16 % 17 % 17 % lung cancer(LC) 6 ,479 7 ,089 7 ,557 8 ,716 12 ,378 13 % 12 % 12 % 13 % 16 %

prostate cancer 5 ,203 5 ,976 7 ,227 7 ,893 8 ,084 10 % 11% 11% 11% 11%

colorectal cancer(CRC) 6 ,047 6 ,037 7 ,164 6 ,676 6 ,032 12 % 11% 11% 10 % 8 % cancer, other digestive organs 3 ,511 3 ,540 3 ,650 3 ,586 3 ,566 7 % 6 % 6 % 5 % 5 % genital/urological cancer 2 ,372 3 ,021 3 ,362 3 ,322 3 ,494 5 % 5 % 5 % 5 % 5 % other cancer(skin, NET, etc.) 815 1,114 1,923 2 ,129 2 ,334 2 % 2 % 3 % 3 % 3 % cancer(total) 51,817 56 ,792 63 ,964 68 ,892 75 ,943 100 % 100 % 100 % 100 % 100 %

(9)

表5 市場モデル:肺がん治療薬 Company Product 2015 2016 17 E 18 E 19 E 20 E 21 E Global sales($m) BMY OPDIVO(90 %) 848 3 ,397 6 ,541 8 ,966 10 ,297 10 ,908 11 ,167 Lilly ALIMTA 2 ,493 2 ,283 1 ,620 1 ,300 1 ,118 1 ,003 923 Roche Avastin(25 %) 1 ,739 1 ,667 1 ,643 1 ,574 1 ,462 1 ,316 1 ,202 Roche TARCEVA 1 ,229 1 ,007 890 799 726 667 617 Merck KEYTRUDA 566 1 ,402 2 ,804 3 ,976 4 ,857 5 ,412 5 ,412 Pfizer XALKORI 488 561 625 680 725 761 790 AZN IRESSA 543 513 510 454 302 234 194 Celgene ABRAXANE(50 %) 484 487 489 492 494 495 497 AZN TAGRISSO 19 423 1 ,269 2 ,538 3 ,807 4 ,759 5 ,354 Lilly CYRAMZA(40 %) 153 246 337 382 399 404 405 Roche ALECENSA 75 179 313 467 624 765 880 Roche TECENTRIQ(80 %) 0 123 755 2 ,195 3 ,784 5 ,154 6 ,087 Novartis ZYKADIA 79 91 119 145 167 184 198 Lilly PORTRAZZA 150 300 450 500 500

Novartis Tafinlar+Mekinist Filed 0 50 150 300 450

Pfizer avelumab III NDA review 45 90 135 150

Pfizer dacomitinib III III NDA review 100 300 600

Novartis capmatinib P3 100 300

BMY YERVOY+OPDIVO P1 b NDA review 150

AZN durvalumab III III NDA review 300

Boehringer GILOTRIF

Total 8 ,716 12 ,378 18 ,065 24 ,363 29 ,551 33 ,398 36 ,178

chg.%yoy 15 .3 42 .0 45 .9 34 .9 21 .3 13 .0 8 .3

表6 新薬開発の動向:肺がん治療薬

Approval Application / Desgination

2017

Zycadia (NVS, ALK+, 1 L mNSCLC) FDA 5 /26 KEYTRUDA (NSCLC-1 L/chemo, all PD-L1 ) FDA 5 /10

ALUNBRIG (Takeda, ALK+ NSCLC) FDA 4 /28 Zycadia (NVS, ALK+ NSCLC 1 L) sNDA BTD 2 /23 Alecensa (Roche, ALK+ 2 L NSCLC) FDA 2 /21 KEYTRUDA (NSCLC-1 L/chemo, all PD-L1 ) sBLA 1 /10

2016

KEYTRUDA (MRK, 1 L, high PD-L1 , mNSCLC) FDA 10 /24 veriaprib (AbbV, a/sqNSCLC) FDA Orphan 11 /4 Tecentriq (Roche, PD-L1 , NSCLC 2 /3 L) FDA 10 /18 Alecensa (ROG, ALK+ 1 L) BTD 10 /4

KEYTRUDA (MRK, +1 L) sBLA 9 /7 AFINITOR (NVS, non-functional GI/lung NET) FDA 2 /26

2015

Alecensa (ROG, alectinib, ALK+/LC) FDA 12 /14 Portrazza (LLY, necitumumab, sqNSCLC) FDA 11 /24 TAGRISSO (AZN, EGFR, NSCLC) FDA 11 /13

OPDIVO (BMY, mNSCLC, 2 nd line) FDA 10 /9 MPDL3280 A (ROG, lung) rolling filing KEYTRUDA (MRK, +Lung cancer) FDA 10 /2 alectinib (ROG/CHG, ALK+ NSCLC) NDA 9 /9 IRESSA (AZN, NSCLC 1 st line) FDA 7 /13 OPDIVO (BMY, non-Sq NSCLC, 2 nd line) sNDA 9 /2 ZYCADIA (NVS, ALK+ NSCLC) FDA 4 /29 , EMA 5 /8 KEYTRUDA (MRK, +NSCLC) NDA 4 /20

OPDIVO (BMY, PD-1 , SqNSCLC) FDA 3 /4

2014

CYRAMZA (LLY, +NSCLC, VEGFR2 ) FDA 12 /12 KEYTRUDA (MRK, PD-1 , melanoma) FDA- 9 /4 ALECENSA (ROG, ALK+LC) MHLW 7 /4 ZYCADIA (NVS, ALK+ NSCLC) FDA 4 /29

(10)

る。ALK遺伝子変異が観察されるのは肺がん患者

全体の3~5%程度と少ない。

 BRAF阻害剤と MEK阻害剤の併用治療は悪性黒

色腫を適応症として承認されているが、BRAF変異

陽性の肺がん患者を対象としたフェーズⅡ段階の臨

床試験で効果が確認され、効能追加を目指している。

4―1―2.乳がん

 乳がん(Breastcancer)の主要製品の合計は、毎

年10%台の拡大が続いている。最大製品のハーセ

プチンは胃がんにも使用されており、乳がんでの

売上高は全体の80%と推定した。乳がん市場では

5 ,000億円台で横ばいとなったが、後継品の「パー

ジ ェ タ 」

(PERJETA)が2013年 に 術 前 補 助 療 法

(neo―adjuvant)の追加効能を取得し、2014年1 ,000

億円、2015年1 ,500億円、2016年1 ,800億円と伸

びてきた。ハーセプチンのもう1つの後継品「カド

サイラ」

(KADCYLA)は、ハーセプチンに化学療法

剤をリンカー(接続分子)で組み合わせた抗体・薬物

複合体(ADC、Antibody-DrugConjugate)である。

 2016年に最も大きく伸びたのは、発売2年目で

2 ,100億円に達した「イブランス」

(IBRANCE、一

般名:パルボシクリブ)であった。同様の CDK4 /6

阻害剤として競合する KISQALI(一般名:リボシク

リブ)が本年(2017年)3月に承認されたほか、「ア

ベマシクリブ」

(abemaciclib)がフェーズⅢ試験で主

要評価項目とした無増悪生存期間(progressionfree

survival、PFS)を達成した。いずれも経口投与可能

な低分子化合物であり、PFS の中央値は2年を超え

ている。

 CDK4 /6阻害剤のほかにも乳がんを対象とす

る低分子の経口分子標的薬の開発が進んでいる。

PARP阻害剤では「LYNPARZA」

(一般名:オラパ

リブ)とベリパリブ(veliparib)がフェーズⅢ、タラ

ゾパリブ(talazoparib)がフェーズ II段階にある。現

在、販売されている PARP阻害剤は LYNPARZA

と「RUBRACA」

(一般名:ルカパリブ)の2品目だけ

であるが、承認されているのは「BRCA変異陽性の

進行性卵巣がん」の効能だけである。

 mTOR阻害剤「アフィニトール」

(AFINITOR)は、

2009年に腎細胞がん(renalcellcarcinoma、RCC)

を適応症として承認されたが、売上高は1 ,000億円

に達しなかった。乳がんの効能が追加された2012

年から売上が拡大し、昨年(2016年)は1 ,500億円

表7 市場モデル:乳がん治療薬 Company Product 2015 2016 17 E 18 E 19 E 20 E 21 E Global sales ($m) Roche HERCEPTIN (80 %) 5 ,444 5 ,334 5 ,549 5 ,795 5 ,753 5 ,547 5 ,476 Pfizer IBRANCE 723 2 ,135 3 ,551 4 ,451 4 ,867 5 ,017 5 ,065 Roche PERJETA 1 ,504 1 ,815 2 ,284 2 ,825 3 ,431 4 ,090 4 ,788 Roche Avastin (15 %) 1 ,044 1 ,000 986 944 877 789 721 Novartis AFINITOR (60 %) 964 910 876 862 857 856 858 Roche KADCYLA 800 817 886 963 1 ,049 1 ,142 1 ,243 Celgene ABRAXANE (50 %) 484 487 489 492 494 495 497 Eisai HARAVEN 332 312 296 284 273 265 257 AZN ARIMIDEX 250 232 221 215 211 209 208 Sanofi TAXOTERE 222 179 149 132 121 113 108

Novartis KIAQALI Approved 100 200 600 1 ,200 1 ,800

Lilly abemaciclib P3 , BTD P3 200 600 1 ,200 1 ,800 Merck KEYTRUDA P3 200 600 1 ,200 Pfizer MDV3800 P3 100 300 600 Roche tacelisib 50 150 Total 11 ,767 13 ,221 15 ,387 17 ,363 19 ,433 21 ,876 24 ,772 chg.%yoy 13 .2 12 .4 16 .4 12 .8 11 .9 12 .6 13 .2

(11)

に達した。その60%(900億円)を乳がん市場での

売上と推定する。

4―1―3.白血病およびリンパ腫

 主要製品の2016年売上合計は前年比5%(800億

円)増加し、1兆6 ,000億円となった。がん領域の

21%を占め、がん種別治療分野の規模としては最

大である。売上高1位の「リツキサン」

(RITUXAN、

一般名:リツキシマブ)は関節リウマチ治療薬と

しても使用されており、製品売上(7 ,200億円)の

70%をリンパ腫治療薬としての売上と推定した。

リツキサンは1997年に承認された初期の抗体医

薬であるが、依然として血液がん市場で首位の座

にある。リツキサンに ADCC(antibody-dependent

cell-mediatedcytotoxicity)活性を付与した後継品

の「GAZYVA」

(一般名:オビヌツズマブ)は、適

表8 新薬開発の動向:乳がん治療薬

Approval Application / Desgination

2017

IBRANCE (PFE, CDK4 /6 , HR+/HER2 - 1 L BC) FDA 3 /31 Zejula (TESARO, PARP, BRCA +/- OC) FDA 3 /27

Kisqali (NVS, abemaciclib, HR+/HER- BC) FDA 3 /13

2016

RUBRACA (Clovis, PARP, BRCA+ 3 L OC) FDA 12 /19 Avastin (Roche, VEGF, platinum sensitive OC) FDA 12 /7

2015

PERJETA (ROG, neoadjuvant BC) EC 7 /31

IBRANCE (PFE, palbociclib, HR+/HER- BC) FDA 2 /3

2014

LYNPARZA (AZN, BRCA+ OC) FDA 12 /19

olaparib (PARP, LYNPARZA, OC, AZN) CHMP(+) 10 /24 olaparib (AZN, PARP, OC) AC(-) 6 /25

AVASTIN (+CC) FDA 8 /15 , (+OC) EU 8 /6 palbociclib (CDK4 /6 -i, Pfizer) NDA-5 /16

表9 市場モデル:白血病・リンパ腫治療薬 Company Product 2015 2016 17 E 18 E 19 E 20 E 21 E Global sales ($m) Roche RITUXAN (70 %) 5 ,133 5 ,024 4 ,940 4 ,472 4 ,021 3 ,624 3 ,270 Novartis GLIVEC 4 ,658 3 ,323 2 ,912 2 ,716 2 ,616 2 ,566 2 ,540 AbbVie IMBRUVICA 759 1 ,832 3 ,221 4 ,346 5 ,106 5 ,551 5 ,794 BMY SPRYCEL 1 ,620 1 ,824 2 ,022 2 ,211 2 ,388 2 ,551 2 ,701 Novartis TASIGNA 1 ,632 1 ,739 1 ,895 2 ,035 2 ,160 2 ,270 2 ,366 Janssen IMBRUVICA 689 1 ,251 1 ,899 2 ,515 3 ,022 3 ,400 3 ,400 BMY OPDIVO (10 %) 94 377 727 996 1 ,144 1 ,212 1 ,241 Roche GAZYVA 381 322 290 262 237 216 197 Takeda ADCETRIS 228 278 308 325 334 339 341

AbbVie VENCLEXTA approved 60 180 360 540 600

Roche VENCLEXTA approved 60 180 360 540 600

Pfizer inotuzumab Registration 100 300 600 900 1 ,000

BMY OPDIVO P3 200 600 1 ,200

Bayer copanlisib III III 80 240 480

Novartis CTL019 P3 P3 50 150 300

Roche tacelisib P3 P3 50 150

Total 15 ,194 15 ,971 18 ,434 20 ,538 22 ,678 24 ,749 26 ,181

(12)

応症が慢性リンパ性白血病(Chroniclymphocytic

leukemia、CLL)だ け に 狭 ま り、 伸 び 悩 ん で い

る。リツキサンは1997年に非ホジキンリンパ腫

(non―Hodgkinlymphoma、NHL)を適応症として初

回承認され、2010年に CLL が追加された。PD―1

阻害剤はさまざまな固形がんでの承認が先行してき

たが初めて血液がんの適応症を取得した。オプジー

ボは昨年(2016年)5月、キートルーダは今年3月

にホジキンリンパ腫(ClassicHodgkinlymphoma、

cHL)の追加効能を取得した。

 フィラデルフィア染色体陽性の慢性骨髄性白血

病(Chronicmyelogenousleukemia、CML)と急

性リンパ性白血病(Acutelymphocyticleukemia、

ALL)に対する経口投与可能な特効薬として1998

年に登場した分子標的薬グリベックは、2015年

に特許満了となり、ピーク時4 ,700億円に達して

いた売上高は3 ,300億円へと減少した。グリベッ

ク耐性の白血病細胞に有効な次世代製品の「タシ

グナ」

(TASIGNA、1 ,700億円)と「スプリセル」

(SPRYCEL、1 ,800億円)が伸びている。

これまで開発の難度が高かった急性骨髄性白血病

(Acutemyeloidleukemia、AML)で新薬が承認

された。FDA は本年(2017年)4月に経口投与の

FLT3阻害剤「RYDAPT」

(一般名:ミドスタウリン)

を承認した。

4―1―4.多発性骨髄腫治療薬

 「 レ ブ ラ ミ ド 」

(REVLIMID)と「 ベ ル ケ イ ド 」

(VELCADE)は、ともに2009年に承認された。発

売はほぼ同時だったが2016年売上はレブラミドが

7 ,000億円、ベルケイドが2 ,300億円と大きな差が

ついた。サリドマイド誘導体で経口投与のレブラミ

ドに対し、プロテアソーム阻害剤のベルケイドは

注射薬であるため市場性に差がついたと考えられ

ている。武田薬品はベルケイドの後継品として経

口投与可能なプロテアソーム阻害剤「ニンラーロ」

(NINLARO)を2015年に発売した。

 「DARZAREX」

( 一 般 名: ダ ラ ツ ム マ ブ )は

CD―38を標的とする抗体医薬である。2015年に

前治療が無効となった場合の第4次療法(4 thline

表1 0 新薬開発の動向:血液がん治療薬

Approval Application / Desgination

2017

DARZALEX (JNJ, CD38 , MM 3 L) FDA 6 /16 CTL019 (NVS, CAR-T, r/r B-cell ALL) BLA 3 /29 Tasigna (NVS, treatment-free remission, CML) EU 6 /6 axicabtagene ciloleucel (Kite, CAR-T, NHL) BLA 3 /31 Rydapt (NVS, FLT3 +, AML) FDA 4 /28 CTL019 (NVS, CAR-T, r/r B-cell ALL) BLA 3 /29 KEYTRUDA (MRK, cHL 3 L) FDA 3 /14 , CHMP 3 /24 enecidenib (Celgene, IDH2 + AML) NDA 3 /1

inotuzumab (PFE, CD22 + ALL) BLA Priority 2 /21

2016

DARZALEX (Janssen, multiple myeloma, 2 L) 11 /21 OPDIVO (BMY, classical Hodgkin L.) FDA 5 /17

VENCLEXTA (AbbV, BCL-2 , r/r CLL) FDA 4 /11 BLINCYTO (AMGN, Ph- r/r ALL) sBLA 3 /1 IMBRUVICA (JNJ, CLL 1 st line) FDA 3 /4 venetoclax (w/Rituxan, r/r CLL, ROG/AbV) BTD 1 /20

2015

Empliciti (BMS/AbbV, MM 2 L on Revlimid) FDA 11 /30

IMBRUVICA (JNJ/AbbV, treatment-na?ve CLL) 9 /14 NINLARO (Takeda, MM 2 nd line) FDA 11 /21 elotuzumab (BMY/ABBV, MM 2 nd line) BLA 9 /1 DARZALEX (JNJ, CD38 , MM 4 th line) FDA 11 /16 ixazomib (TAK, m. myeloma) NDA 7 /15

daratumumab (JNJ, CD38 , MM) BLA 6 /5 FARYDAK (NVS, HDAC panobinostat, MM) FDA 2 /23 KYPROLIS (AMGN, +r/rMM) NDA/MMA 1 /27

2014

BLYNCYTO (AMGN, blinatumomab, ALL) FDA 12 /2

blinatumomab (AMGN, BiTE, ALL) BLA/MAA 10 /9 LBH589 (NVS, MM) FDA priority 6 /2

(13)

treatment)として承認された。その後、レブラミド

による基礎治療をベースとして追加投与する臨床試

験で効果が確認され、本年(2017年)6月に3次療法

が承認された。「Empliciti」

(一般名:エロツズマブ)

は、2015年に DARZAREX とほぼ同時に承認され

たが3次療法への格上げは実現していない。

4―2.自己免疫疾患

 関節リウマチ(Rheumatoidarthritis、RA)、多

発性硬化症(Multiplesclerosis、MS)、潰瘍性大

腸炎(Ulcerativecolitis、UC)などの自己免疫疾患

(Autoimmunedisease、AI)領域の売上合計は前年

比12%(7 ,700億円)増加してほぼ7兆円に達した。

関節リウマチ(RA)が最大の治療分野で全体の61%

を占めているが、この比率は5年前の69%から8ポ

イント低下した。次に大きい多発性硬化症(MS)の

領域シェアは31%前後で変わっていない。シェア

を上げているのは抗体医薬の新薬開発が進んできた

乾癬(Plaquepsoriasis、PsO)、潰瘍性大腸炎(UC)

などの、「その他の自己免疫疾患」である。合計は

6 ,000億円を超え、5年前(2012年)は1 % に過ぎな

かった領域シェアは9%へと拡大した。

4―2―1.関節リウマチ

 抗TNFα受容体抗体ヒュミラは、発売以来、毎

年の増加額が1 ,000億円を上回り、2013年には1

兆円を超えた。2016年は2 ,000億円増加して1兆

6 ,000億円に達する一方、特許期間が満了となり、

アムジェンの「AMJEVITA」などのバイオシミラー

製品が承認された。「レミケード」

(REMICADE)は、

すでにバイオシミラー製品の影響から売上高が減少

している。今後はヒュミラも減少に転じる見通しで

ある。

 抗IL―6受容体抗体「アクテムラ」

(ACTEMRA)の

2016年売上は、前年比12%増加して1 ,600億円を

超えた。本年(2017年)5月にはアクテムラに次いで

表1 1 市場モデル:多発性骨髄腫・骨髄異形成治療薬 Company Product 2015 2016 17 E 18 E 19 E 20 E 21 E Global sales ($m) Celgene REVLIMID 5 ,801 6 ,974 8 ,172 9 ,365 10 ,528 11 ,639 12 ,683 Janssen VELCADE 1 ,333 1 ,224 1 ,124 1 ,032 948 870 870 Takeda VELCADE 1 ,339 1 ,098 930 809 720 652 600 Celgene VIDAZA 591 608 623 636 648 658 666 Amgen KYPROLIS 512 692 922 1 ,154 1 ,347 1 ,495 1 ,608 Takeda NINLARO 33 267 800 1 ,600 2 ,400 3 ,000 3 ,375

Janssen DARZAREX Approved 100 300 600 900 1000

AbbVie EMPLICITI approved approved 100 300 600 900 1 ,000

Total 9 ,609 10 ,862 12 ,771 15 ,196 17 ,790 20 ,113 21 ,801

chg.%yoy 7 .7 13 .0 17 .6 19 .0 17 .1 13 .1 8 .4

表1 2 治療分野別:主要製品の売上合計(自己免疫疾患)

Therapeutic category 2012 2013 2014 2015 2016 2012 2013 2014 2015 2016

Autoimmune diseases Share of total

rheumatoid arthritis (RA) 30 ,172 33 ,827 37 ,376 38 ,959 42 ,659 69 % 66 % 64 % 63 % 61 % multiple sclerosis (MS) 13 ,235 15 ,878 18 ,716 19 ,438 20 ,657 30 % 31 % 32 % 31 % 30 % PsO, UC, other 607 1 ,733 2 ,612 3 ,799 6 ,296 1 % 3 % 4 % 6 % 9 % Autoimmune (AI) diesease 44 ,014 51 ,437 58 ,704 62 ,196 69 ,612 100 % 100 % 100 % 100 % 100 %

(14)

2番目の抗IL―6受容体抗体となる「サリルマブ」

(販

売名:KEVZARA)が承認された。IL―6リガンドを

標的とする抗IL―6抗体「シルクマブ」

(sirkumab)は

2016年9月に欧州における承認申請(MAA)を提出

した。

 JAK阻害剤「ゼルヤンツ」

(XELJANZ)の2016年

売上は、前年比77%増加して900億円を超えた。

低分子で経口投与可能な分子標的薬である。同様の

JAK阻害剤で RA を標的として開発中の「バリシチ

ニブ」

(barisitinib)は、欧州で2017年2月に承認さ

れた。しかし、米国では FDA の非承認通知(CRL)

が 発 行 さ れ た。JAK―1選 択 的 阻 害 を 標 榜 す る

ABT―494(一般名:upadacitinib)は、最終段階の

臨床試験において主要評価項目(primaryendpoint)

とした「ACR20値」および「疾患活動性低下」

(low

diseaseactivity)を 達 成 し た。 さ ら に「ACR 50

値」、「ACR70値」、および「臨床的寛解(clinical

remission)」を 含 む 二 次 的 評 価 項 目(secondary

表1 3 市場モデル:関節リウマチ治療薬 Company Product 2015 2016 17 E 18 E 19 E 20 E 21 E Global sales ($m) AbbVie HUMIRA 14 ,012 16 ,078 15 ,080 13 ,431 11 ,743 10 ,047 8 ,380 Janssen REMICADE 6 ,561 6 ,966 7 ,098 5 ,799 4 ,748 3 ,896 3 ,896 Merck REMICADE 1 ,794 1 ,268 896 633 448 316 317 Amgen ENBREL 5 ,364 5 ,965 6 ,517 7 ,041 5 ,651 4 ,534 3 ,680 Pfizer ENBREL 3 ,333 2 ,909 2 ,483 2 ,066 1 ,666 1 ,295 964 BMY ORENCIA 1 ,885 2 ,265 2 ,424 2 ,583 1 ,861 1 ,397 1 ,080 Roche ACTEMRA 1 ,490 1 ,668 1 ,887 2 ,061 2 ,196 2 ,296 2 ,370 Roche RITUXAN (20 %) 1 ,466 1 ,435 1 ,411 1 ,278 1 ,149 1 ,035 934 Janssen SIMPONI 1 ,328 1 ,745 2 ,211 2 ,712 3 ,235 3 ,766 3 ,766 UCB CIMZIA 1 ,202 1 ,432 1 ,601 1 ,732 1 ,832 1 ,906 1 ,960 Pfizer XELJANZ 523 927 1 ,293 1 ,553 1 ,711 1 ,176 854

Lilly barisitinib NDA 0 100 200 600 1 ,200 1 ,800

Sanofi sarilumab Filed CRL approved 100 300 600 900

GSK sirukumab III MAA 0 60 180 360 540

AbbVie ABT-494 P3 P3 0 0 150 450 900

Total 38 ,959 42 ,659 43 ,003 41 ,251 37 ,470 34 ,277 32 ,341

chg.%yoy 4 .2 9 .5 0 .8 -4.1 -9.2 -8.5 -5.6

表1 4 新薬開発の動向:関節リウマチ治療薬

Approval Application / Desgination

2017

Kevzara (Sanofi, IL-6 , RA) FDA 5 /22 baricitinib (LLY, JAK1 /2 , RA) FDA CRL 4 /14

Olumiant (LLY, JAK, RA) EU 2 /13

2016

baricitinib (Lilly, JAK inihibitor) CHMP+ 12 /16

sarilumab (Sanofi, IL-6 ) CRL 10 /28 ABP 501 (AMGN, BS-Humira) BLA 1 /25 AMJEVITA (BS>Humira, Amgen) FDA 9 /23 baricitinib (LLY, JAK1 /2 , RA) FDA/EMA 1 /19

2015

biosimilar (Enbrel, SANDOZ) BLS 10 /2 , MAA XELJANZ (PFE, +/11 mg QD) sNDA 7 /2 2014

(15)

endpoints)においても好成績をおさめている。本年

中に承認申請(NDA)を提出し、来年中に承認され

る見通しである。

4―2―2.多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)

 MS治療薬の2016年売上の合計は2兆円を超え

た。市場規模は RA(4兆2 ,000億円)に次いで大き

いものの、近年は横ばいに推移している。2013年

に発売された「テクフィデラ」

(TECFIDERA、一般

名:dimethylfumarate)が発売後3年で4 ,000億円

に達するなど、新薬の市場浸透は容易に見える。一

方で、これまで大市場を形成してきた「AVONEX」

( ピ ー ク 時3 , 000億 円 )、「REBIF」2 , 600億 円、

「BETAFEON」1 ,600億円といったインターフェ

ロン製品が落ち込んだ。TECFIDERA と同様に経

口投与で免疫調節効果が得られるスフィンゴシン

1―リン酸受容体機能的アンタゴニスト「ジレニア」

(GILENYA)の2016年売上は3 ,000億円を超えた

が、特許満了が迫っている。

 昨年(2016年)承認された「ZINBRYTA」

(一般名:

ダクリズマブ)は、T細胞表面の IL―2受容体を標的

とする。本年(2017年)承認された「OCREVUS」

(一

般名:オクレリズマブ)は、CD20陽性B細胞を標

的とする。これらの新薬が旧来製品を置き換える形

で市場規模は横ばいに推移すると予想される。

4―2―3.その他の自己免疫疾患(乾癬、潰瘍性大腸炎、他)

 「ステラーラ」

(STERALA)の2016年売上は、前

年比30%(800億円)増加して3 ,200億円となった。

関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)を除いた自

己免疫疾患を適応症とする医薬品としては最大と

なる。抗IL―23抗体であるステラーラは「尋常性乾

癬」

(plaquepsoriasis、PsO)を適応症として初回承

認され、その後「乾癬性関節炎」

(psoriaticarthritis、

PsA)と「クローン病」

(Crohn’sdisease、CD)が追

加された。

 武田薬品が開発した抗α4β7インテグリン抗体

「エンティビオ」

(ENTYVIO)は、クローン病と「潰

瘍性大腸炎」

(ulcerativecolitis、UC)を適応症とし

て承認され、2016年は発売3年目で1 ,400億円を

超えた。IL―17 A サイトカインに対する抗体コセン

ティクスの売上高は、発売2年目で1 ,100億円に達

した。現在承認されている適応症は PsO のみであ

るが、PsA と強直性脊椎炎(ankylosingspondylitis、

AS)に対する臨床試験が進んでいる。「トルツ」

(TALZ、一般名:イクセキズマブ)の適応症は PsO

のみで、初年度(2016年)売上は100億円台にとど

まった。TALZ はコセンティクス(抗IL―17 A サイ

トカイン抗体)と同じ細胞内シグナル経路を標的と

するが、IL―17 A受容体に対する抗体である。両製

品の臨床効果に差異が見られるかどうか注目され

表1 5 市場モデル:多発性硬化症治療薬 Company Product 2015 2016 17 E 18 E 19 E 20 E 21 E Global sales ($m) TEVA COPAXONE 4 ,023 4 ,223 4 ,433 4 ,653 4 ,885 5 ,127 5 ,127 Biogen TECFIDERA 3 ,638 3 ,968 4 ,407 4 ,728 4 ,956 5 ,113 5 ,221 Novartis GILENYA 2 ,776 3 ,109 3 ,491 3 ,199 1 ,825 1 ,070 656 Biogen AVONEX 2 ,969 2 ,795 2 ,688 2 ,569 2 ,439 2 ,296 2 ,142 Serono REBIF 1 ,995 1 ,908 1 ,825 1 ,745 1 ,669 1 ,596 1 ,526 Biogen TYSABRI 1 ,886 1 ,964 1 ,867 1 ,760 1 ,645 1 ,521 1 ,389 Sanofi AUBAGIO 967 1 ,419 1 ,768 1 ,474 1 ,258 1 ,100 986 Bayer BETAFERON 914 804 722 654 597 549 508 Sanofi LEMTRADA 270 466 653 800 915 1 ,012 1 ,107

AbbVie ZINBRYTA submitted approved 200 600 1 ,200 1 ,800 2 ,000

Roche ocrelizumab P3 review 200 600 1 ,200 1 ,800 2 ,000

Total 19 ,438 20 ,657 22 ,253 22 ,783 22 ,587 22 ,985 22 ,662

(16)

る。

 ヒュミラ、レミケード、エンブレルなど、第一世

代の RA治療薬は PsO、PsA、CD、さらに「潰瘍性

大腸炎」

(ulcerativecolitis、UC)の効能を追加しな

がら売上を拡大してきた。これらの RA治療薬に対

するバイオシミラー製品は追加効能も同時承認され

ており、急成長してきた自己免疫疾患市場の懸念材

料となっている。

5.まとめ

 最先端の薬効分野における製品と開発品の動向を

概観してきた。これらの新薬の治療分野は「がん」と

「自己免疫疾患」に集中しており、市場規模は3年前

(2014年)まで1位だった循環代謝系を抜いて、そ

れぞれ1位と2位になった。抗体医薬や分子標的薬

のように、「対象患者を絞り込んで有効率を高めた」

新薬には非常に高額な薬価が容認されている。

 医薬品市場は細分化され、患者数が少ない Small

market を標的とする Largemolecule(高分子のバ

イオ医薬品)を開発することが企業経営の基本戦略

となっている。5年前までは高血圧症、高脂血症、

胃潰瘍、情緒障害といった大市場(Largemarket)

が存在し、Smallmolecule(低分子化合物)の製品が

製薬企業の収益を支えていた。

 抗体医薬や分子標的薬を中心とした新薬開発のフ

表1 6 市場モデル:自己免疫疾患(RA および MS を除く)治療薬 Company Product 2015 2016 17 E 18 E 19 E 20 E 21 E Global sales ($m) Janssen STERALA 2 ,474 3 ,232 4 ,082 5 ,002 5 ,966 6 ,950 6 ,950 Takeda ENTYVIO 712 1 ,407 2 ,093 2 ,603 2 ,920 3 ,098 3 ,193 Novartis COSENTYX 261 1 ,128 2 ,256 3 ,384 4 ,230 4 ,759 5 ,056 GSK BENLYSTA 352 416 480 544 604 662 715 Lilly TALZ 0 113 373 786 1 ,239 1 ,609 1 ,855

Janssen guselkumab P3 NDA 150 450 900 1 ,350 1 ,500

Sanofi dupilumab III Filed 100 300 600 900 1 ,000

GSK sirukumab III III 30 90 180

Roche etrolizumab P3 P3 200

Total 3 ,799 6 ,296 9 ,534 13 ,068 16 ,490 19 ,417 20 ,649

chg.%yoy 45 .5 65 .7 51 .4 37 .1 26 .2 17 .8 6 .3

表1 7 新薬開発の動向:自己免疫疾患(RA を除く)治療薬

Approval Application / Desgination

2017

HUMIRA (AbbVie, +Fingernail Ps data) FDA 3 /30

OCREVUS (Roche, MS) FDA 3 /29 XELJANZ (PFE, PsA) sNDA 5 /3 Siliq (Valeant/AZ/Kirin, IL-17 , plaque Ps) FDA 2 /16

2016

STELARA (Janssen, +/Crohn's) FDA 9 /26 guselkumab (JNJ, IL23 , plaque Ps) BLA 11 /17 ZINBRYTA (AbbV, daclizumab, MS) FDA 5 /27 ocrelizumab (ROG, r p/p MS) MAA, NDA 6 /28 TALTZ (LLY, IL-17 A, plaque psoriasis) FDA 3 /22

COSENTYX (NVS, +/AS, PsA) FDA 1 /15

2015

XELJANZ (PFE, +plaque psoriasis) CRL 10 /14 STELARA (JNJ, +/Crohn's) FDA, EMA 11 /30 COSENTYX (NVS, secukinumab, psoriasis) FDA 1 /22 ixekizumab (LLY, psoriasis) NDA 2015 Q1

2014

SYLVANT (JNJ, IL-6 , Castleman's) EC 6 /5

(17)

ロンティアは「がん」や「自己免疫疾患」のほかにも、

循環代謝領域の家族性高コレステロール血症、神経

領域の片頭痛、他にもアレルギー、血友病など、幅

広い治療分野に広がってきた。共通するキーワード

は「アンメット・メディカルニーズ」である。グロー

バル企業では、医学的発見に即応して新たな薬理を

確立する、あるいは治療薬の対象を絞り込んで個別

化医療への切り口を探すといった「疾患アプローチ」

が成功をもたらしている。

6.おわりに

 国内の製薬企業は、1990年代から2000年代に

かけてアンジオテンシン受容体拮抗剤(高血圧)、ア

セチルコリン・エステラーゼ阻害剤(アルツハイマー

病)、PPARγアゴニスト(糖尿病)といった画期的

な新薬を開発し、グローバル市場で躍進した。しか

しバイオ医薬が全盛となった2010年代の開発競争

では後塵を拝する結果となっている。抗体技術の開

発に遅れをとった日本企業にとって、低分子化合物

でアンメットニーズの治療分野を開拓することが急

務である。

 「新世代の低分子医薬品」を開発するには、対象患

者を理論的に絞り込み、疾病メカニズムと有効な薬

理を同時に特定し、迅速かつ精緻な製剤デザインで

競合を上回る有効性を実現するといった一段と高次

元の集学的アプローチが必要となる。アカデミアか

らの起業、これを応援するベンチャーキャピタルや

日本医療研究開発機構(AMED)に代表される行政

支援など、これまで欧米に遅れていた創薬エコロ

ジー(生態系)のネットワークが急速に発展してき

た。これからの成果に注目したい。

文献  1)三島 茂ら ,PHARMTECHJAPAN,27(7),67-84(2011)

参照

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