学生によるポスターセッション「教育デザイン」
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(2) 学生によるポスターセッション. 日本人学習 者の 英 語 学習における語 用論 的 意 識 の調 査 教 育 デ ザインコース 英 語 領 域 大 野 仁 寛 コミュニケーションのための英語能力は文法能力とテ. 的な説明を行なっている部分はほとんどなかった。他の. クスト能力からなる organizational competence と、こ. 教科書の発話行為ごとの分析も続けながら今後は英語. とばの正しい用法や機能を司る能力、社会言語学的能. 教員を目指す大学生以外の大学生、高校生を対象に同. 力からなる pragmatic competence ( 語用論的能力 ) か. 様に意 識 の 調. ら構成されている。本研究は現在の英語教育において. 査と指 導 の 効. 語用論的能力の指導を行うことの必要性を示すことを目. 果 を 検 証、 ま. 的とし、その第一歩として英語教員を目指す大学生の語. た実 際 に指 導. 用論的意識の調査と意識高揚をねらった指導の効果の. を 行 なって い. 検証を行った。実験では英語教員を目指す大学生でも、. る教 員の 授 業. 文法的な間違いに対する意識に比べ語用論的な不適切. に 対 する意 識. さに対する意識がはるかに低いことが明らかになった。. 調 査 を 行 い、. 現在のカリキュラムを大きく変えることなく指導の可能. 語用論 的 能 力. 性を探るため、1 回 5 分で指導を行ったところ、高い指. の育成 を 組み. 導効果と効果の維持が確認された。今後は、参加者の. 込 んだ 教 育を. ことばの産出についても調査をしていく予定である。. デ ザインした. 今後の展望として、高等学校 OC1 の教科書を分析し. い。. たところ、語用論的に適切なことばの用法に関する明示. 児童期の対人関係の移り変わりについて 特別支援・臨床心理コース 臨床心理学専修 植松 夕佳 本研究は,児童期の対人関係を心理的居場所感とい. によって定義がまちまちである。さらに,居場所という. う概念で捉えた上で,中学生と比較検討し,心理的居. 言葉は個人によって捉え方が異なるため,調査時には 「居. 場所感と精神的健康度の関係を明らかにすることを目的. 場所」という言葉を使わずに心理的居場所感について. とするものである。当日は,以下の内容についてパワー. 定義する必要がある。. ポイント(16 頁)を用いて発表を行った。. 以上のことを踏まえたうえで,①小中学生の心理的. 【要旨】本研究では,小学生および中学生の対人関係パ. 居場所感の発達に伴う変化を,対人関係と「役に立って. ターンを,対象との安定した関係性に着目し,心理的居. いると思えること」の2つの視点から明らかにすること,. 場所感という観点から検討していく。. ②心理的居場所感と精神的健康度の関連を明らかにす. 「居場所」という言葉は,本来は「居る場所」という. ること,③両親に対する心理的居場所感と友人に対す. 物理的な場所を表す意味を持つものであるが,その一. る心理的居場所感の相違を明らかにすることの 3 点を. 方で「心の居場所」と表現されるように,心理的概念を. 本研究の目的とする。. 指し示す意味でも日常的に用いられている。. 調査は集団質問紙法によって実施予定であり,本調. 居場所に関する研究の課題としては,1990 年代以降. 査は 2012 年夏頃を予定している。学校臨床実習(教育. 事例研究は数多く行われているが,子どもの居場所そ. インターン)では,公立小学校にて学習活動のサポート. のものの研究は少ないという現状が挙げられる。また,. を行いながら,児童の友人関係や教師との関係につい. 居場所の実証的研究においては,心理的な側面を含め. て観察を行っていく予定である。. た「居場所」の定義はいまだ統一されておらず,研究者. 78.
(3) 生涯にわたる美術鑑賞を子ども時代から育む意義 教育デザインコース 美術領域 椎野 由希子 この研究では「人間と発達」と「教育環境」の二つを主. 今後の活動では、ボランティア活動を継続的に続けなが. 軸とし、生涯教育という観点から美術鑑賞を考えるというも. ら他館の活動にも参加することで、多角的に考察を行って. のです。その為に、美術館での鑑賞活動に参加するという. いきます。また、自身が企画したワークショップを開催し、. 研究方法を用いました。美術館の鑑賞活動の中でも美術館. 子どもたちの鑑賞にどのような影響があるかを検証すること. と鑑賞者を繋ぐボランティア活動に着目し、その活動に参. も計画しています。. 加することを選びました。 今回のポスターセッションでは教育インターンでの活動 報告と、今後の活動計画の発表を行いました。 教育インターンでは、美術館のボランティア活動に参加し、 美術館と鑑賞者を繋ぐボランティアの役割とあり方について 実践・観察・考察を行っています。ボランティアが介入する ことで、鑑賞者にどのような変化があるか、また、介入者が 居ることで鑑賞するという行為がどのように変化するのかを 観察し、そこからボランティアのあり方を考えます。 さらに、活動に参加した造形ワークショップや生涯学習 プログラムを通して、その活動が美術館での教育にどのよう な変化をもたらしているのか、どのようなプログラムが有効 なのかを考察していきます。. 理科教育における自己調整学習の構想 教育デザインコース 理科領域 高井 英俊 本研究は、子どもの「学習における自律性」を育成する. 図り,その中で教師が適切に評価・支援を行うことによ. ためにはどのような支援が必要なのか、理科授業を通し. り、 「自己調整学習」が成立するということである。この. て分析,検討するものである。 「学習における自律性」の育. ような学習活動を行い、学習状況に応じて動機づけを. 成において、近年、 「自己調整学習」の概念を取り上げる。. 図っていくことで,子どもは見通しを持ちながら学習を. 子どもたちを自己調整学習へ取り組ませるためには、彼. 進めることができる。それにより、 「学習における自律性」. らを動機づける必要がある。Paris とTurner は、学習へ. が育成されるのである。. の動機づけが求める学習の質により異なることを明ら. 本研究では、以上の視点をもとに、理科授業の実践. かにし、このような動機づけを「Situated Motivation」と. の中で「学習における自律性」を育成するためには,具. 称し、4 つの特徴を示した。その 4 つの特徴は,授業. 体的にどのような支援が必要なのかを検討した。. デザインの視点で考えると、子どもたちを Collaborate, Choice,Challenge ,Control の 4 つの活動に取り組ま せることである。この 4 つの活動に取り組ませることで、 子どもを学習へと動機づけることができる。 「自己調整学習」は、プロジェクト・ベース学習、協 同的学習、パフォーマンス評価の 3 つの要素から成り 立っていることも、彼らは示している。子どもたちが自ら の計画の下でお互いに考えを交流させながら問題解決を. 教育デザイン研究 第 3 号 79.
(4) 学生によるポスターセッション. 日本の伝統音楽の教習法 教育デザインコース 音楽領域 シュムコー,コリーン 本研究は、日本の伝統音楽、とくに長唄の合奏(三. か、 そしてそれに従うかを含め、 すべてのパートを学ぶ。. 味線と囃子と唄)の巧みな息の合せ方を、その演奏の. この長唄の合奏のように誰もがリーダーとそれに従う役. 教習法の分析から明らかにし、そしてこの教習法を学校. とを務める関係は、学校教育にも活かせるのではないか。. 教育へ応用する可能性を考察するものである。. 長唄の合奏が、言葉を使わずとも、良いコミュニケーショ. 長唄の合奏ではリーダー(指揮者)が一人ではなく、. ンを計る、そのヒントを与えてくれるものと考えている。. どの楽器も曲の部分によってリーダーとなりうる。ある 楽器がリーダーとなるとき、他の楽器はみなその楽器に 従う。重要なのはいつ自分がリーダーとなるか、いつ誰 に従わなければならないかを知ることである。 このリーダーの役割の理解に役立つのが、 教習法の「唱 歌」 (楽器の音韻唱法) と「初めの曲」 (練習曲は存在せず、 代表的な曲を順に学ぶ)である。唱歌を通して学ぶのは、 みずからのパートだけでなく、他の楽器とあわせるタイミ ングや全体の拍子である。 そして初めの曲を通して実際に 合奏へ挑戦することで、 ただ自分のパートを正しく演奏す るだけでなく、 合奏の様式や型(特定の旋律のパターンや 演奏方法) を体得し、 最終的にはいつ誰がリーダーになる. 家庭科教育に関する中学生の実態と意識 ~食生活と衣生活を中心に~ 教育デザインコース 家政領域 館野 裕美 本研究の目的は、中学校1年生の家庭及び学校生活. を持たせながら基本調理の実習を行い、知識、技能を. の実態、食生活領域を学習する前と後の生活技能の実. 深める学習を進めていきたい。. 態や家庭科に対する意識の変化を調査し、授業に役立 てていくことである。 技能テストや実習など機会がないと包丁や針を扱う ことも家庭内で少なくなってきているが、アンケート調 査から家庭科を役に立たない、嫌だと感じている生徒 でも上手くできるようになりたいという向上意欲はあり、 衣生活領域に対する苦手意識と調理に関する関心の高 さが推察できた。また、家庭科が役に立たないと感じ ている男子の半数以上が普段手伝いを全くしていない こともわかり、女子よりも男子に圧倒的に苦手意識が高 いことがわかった。 今後の研究指針としては、子どもたちがアンケート調 査で基本的な調理技能、包丁の扱いや肉や魚を扱う調 理に大変高い関心を示していたので、勤務先の 1 年生 を対象に食領域の授業を実践し、 「食べること」に興味. 80.
(5) 「高等学校における教材用ロボットの研究・開発」 教育デザインコース 技術領域 須田 孝之 はじめに. に関する知識に加え、微分積分をはじめとする数学的. コンピュータによって制御された機器はエアコン・自. 知識が求められる。しかし、高校の場合、フィードバッ. 動車などすでに身の回りにあふれている。一方で、制御. ク制御の学習が、カリキュラムの関係で必要とされる数. ソフトウェア技術者の絶対量が不足している。工業高校. 学的知識の学習に先行してしまう問題がある。そこで、. でも以前より制御に関する授業・実習が行われていたが、. この問題をクリアするために企業や大学でも使用されて. 技術の高度化やプログラミング技術の欠如等から、実際. いる MATLAB・SIMULINK などのツールを使 い、LEGO. に行われている制御技術(特にフィードバック)の理解・. 社の Mindstorms を制御対象とした制御を指導する教. 習得が難しくなってきている。. 員向けの教材開発を行おうと考える。. 制御とは. 進捗状況と今後の予定. 制御とは「ある物を目的に適合するように、対象となっ. 現在、MATLAB・SIMULINK の調査・研究を行い、自. ているものに所要の操作を加えるもの」である。制御は. 律2輪走行車を用いた実習を行っている。今後、これら. シーケンス制御とフィードバック制御に分けられる。後. のツールに関する調査・研究を進め、LEGO を用い制御. 者はエアコンの温度調節の様に自動的に出力値と目標. を教える工業高校教員・中学技術科教員向けの実習教. 値を一致させる制御である。. 材の研究開発を行う予定である。. 研究方針 本研究ではフィードバック制御に関する教材の研究・ 開発を行う。フィードバック制御の学習では、制御技術. 練習船における船員養成のための教育環境デザイン 教育デザインコース 心理学領域 坂 利明 【目的】 船員教育の現場においては、船を運航するための知. データを作成した。 【結果と考察】. 識や技能を習得させることはもとより「船員の資質」と. 実践場面における他者との協同作業といった社会的. 呼ばれる、幅広い能力を習得させることへの期待が高. な振る舞いの学習が見られた。これは具体的な実践の. まっている。ここでいう船員の資質には社会文化的側. 中での学習の特徴 ( 動機、課題の集合的構成、正統的. 面が含まれている。本研究では商船船員を志す学生を. 周辺参加など ) である。また、実践的な活動とそれに伴. 対象とした練習船において、これらの資質を涵養するた. う新たな機能を体験することの意義が見られた。. めの教育環境デザインについて検討することを目的とす る。 【理論と先行研究】. 【今後の展開】 このようなデータをさらに収集、分析するとともに、 こうした具体的な実践場面における学習の特徴を積極. 本研究は、社会文化的アプローチに基づき分析、検. 的に応用した教育環境のデザインを構想できる研究へ. 討を行う。以下に筆者が先行して行った練習船実習にお. 展開する。具体的には、すでに観察データを取得した. ける認知的道具の役割に関する研究の概要を示す。. 機関室整備実習の分析を行う。機関室という先行研究. 【方法】. よりさらに長期間、広域空間、多人数という複雑なチー. 独立行政法人航海訓練所の練習船で行われた海上技. ムの社会文化的メカニズムを明らかにする。また、新人. 術短期大学校の学生を対象とする航海実習の実践場面. 機関士が教育実践の集団に参加していく過程を分析し、. を観察し、記録したビデオ映像をもとに主な活動につ. プロとしての学習過程からも練習船実習および学校教育. いて実習生と教官等の行動や会話を文字に起こし分析. への応用可能性について検討を試みる。. 教育デザイン研究 第 3 号 81.
(6) 学生によるポスターセッション. 大学入試国語に関する言説研究 ―戦後大学入試『現代文』を観点として― 教育デザインコース 国語領域 山村 亮仁 本研究では、現代における試験観を、フランスの社. ラークル化していく過程を明らかにしていきたい。. 会学者ジャン・ボードリヤールの「シミュラークル」とい. ところで、試験がシミュラークルとなっていると想定さ. う概念で説明した。 「シミュラークル」とは、 「実在を伴. れる現代でも、試験はその影響力を失ってはいないとい. わない記号の総称」であり、ポストモダンの消費社会. う事実が、いくつかの先行研究によって明らかにされて. においては、いかなる現実にも先行して存在するものと. いる。しかし、これからの試験は、大衆の主体的介入. されている。. によって改善すること. 前述のような観点に立つと、現代の試験が大衆によっ. ができると筆者は考. て消費される様は、大衆が生産の代替物としての貨幣. える(右図参照)。. を消費する過程と似ている(下図参照)。. 本研究では、大学. つまり、 教育と立. 入 試 国 語「 現 代 文 」. 身出世が結びついて. がシミュラークル化していく過程を実証し、教育評価に. いた時代から、試験. 資する試験理論について考察するという二点を研究の. の登場により、試験. ゴールとする。なお、教育インターンでは、現在、神奈. に受かるということだ. 川県立横浜緑ヶ丘高等学校と構大樹氏の協力のもと、. けが目的となる時代へと移り変わってきたということで. テストと国語教育が接合した授業を構想、実施中であ. ある。本研究では受験参考書をはじめとする、試験に. る。. 関する大衆側の言説を中心に追って行き、試験がシミュ. 日本語を母語としない児童生徒への学習支援について 教育デザインコース 日本語教育領域 飯室 智恵美 本研究は、外国につながる子どもの学習支援を目的と. かし、そのような学校は少数で特別だ。変な日本語を. し、日本語教育の面からできる支援を考えるきっかけと. しゃべると言って笑われたり、文化の違いやコミュニケー. なることを目的とした。. ション不足のために、けんかになったりする現状がある。. 取り組みとして、横浜市立飯田北小学校で教育インター. そして、日本語のつまずきにより教科学習に参加しきれ. ンを行っている。対象となる外国につながる子どもたち. ないでいる。日本語教育の面からのアプローチとして、. は、全児童 192 名のうちの約 4 分の 1 に相当する。飯田. まずは「どこでつまずいているのか」を見つけ、把握す. 北小学校がある泉区上飯田地区はインドシナ難民や中国. ることが必要となってくる。. 帰国者、そしてその家族などが多数生活している。その. 今回、外国につながる子どもの現状を知らなかった. ため、地域内の小・中学校は様々な問題を抱えている。. 方から、発表が聞けて良かったという感想をいただいた。. インターンでは、母学級、国際教室に入り、主に学習. また、他領域の方と算数文章題に苦戦する子どもについ. をサポートしている。夏休みの勉強会では教材作成と当. て話す中、新しい視点を見つけることができた。文章. 日の学習補助を行った。子どもたちと過ごしていると突. 題の内容を理解する過程で、子どもは自分の経験に置. 然、 「先生、なに人?」と聞かれることがある。聞いた子. き換えているという。外国につながる子どもが文章題に. どもは、 「私は日本とベトナム」と言う。子どもが自分の. あることを日本語で経験していない場合、それを理解す. 国について考えることができ、また、人に話すことがで. るのは難しいということになるだろう。今後は、今回い. きるのは、外国につながる子どもが多数在籍する飯田. ただいたフィードバックを生かし、研究へとつなげてい. 北小学校の特徴であり、良いところだと私は考える。し. きたい。. 82.
(7) 特別支援学校における「特色ある新しい学校経営」 特別支援・臨床心理コース 特別支援教育専修 藤本 武 1 研究目的. (2) 学校経営における企業マネジメントの検討として、. 特別支援教育は、障害のある児童生徒一人ひとりの. ①戦略行動 ( 外部資源活用 )、②組織構造 ( フラット型・. 教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や. マトリクス組織 )、③会計システム ( 公費・私費 )、④人. 学習上の困難を改善・克服するため、適切な指導及び. 事システム ( 人事権や教職員定数 )、⑤総括教諭制度. 必要な支援を行うものである。しかし、近年、学校を. ( ミドルマネージャー )、⑥人的資源 ( 専門職との協働 )、. 取り巻く環境は大きく変化し、教育ニーズも多様化して. ⑦キャリア教育の推進、⑧授業改善の方略について考. いる。そのニーズを応えるためには、企業と同様に、学. える。. 校の顧客である児童・生徒・保護者・地域住民のニーズ. (3) 海外における特別支援学校、オルタナティブ教育. を把握していかなければならない。. ( チャータースクール、マグネットスクールなど)のマネー. 今後は、従来の教育界の発想にとらわれず、企業的. ジメントシステムを調査する。. な経営システムを取り入れた『自律型学校経営』を確立. 3 まとめ. していく必要がある。そのためには、斬新で組織的な. 企業マネジメントの発想や手法を、より具体的に活用. 学校経営の充実・改善や、 予算編成等の抜本的な改革等、. した「特色ある学校経営」について検証する。. 『学校組織マネジメント』が必要である。 2 研究内容 (1) 企業マネジメントから、①マネージメント・サイクル、 ②人的資源、③組織づくりについて考える。. 若手教師の力量形成を図る校内授業研究のあり方 教育デザインコース 臨床教育領域 佐藤 由紀 1.研究の動機と背景. 3.研究方法. 近年神奈川県においては、新任教職員の大量採用に. 若手教師を対象に、どのように力量が形成されたか. 伴い、若手教師が増えてきている。これら若手教師の. 等について、半構造化面接を行うとともに、校内授業研. 確かな力量形成を図ることは、現在の教育現場におけ. 究の取り組みの現状について調査を行う。. る喫緊の課題である。. また、教職員を対象に、校内授業研究を通してどのよ. そこで、これまで教師の力量形成に大きな役割を果た. うに力量が形成されてきたか等について、アンケート調. してきた校内授業研究を、若手教師の力量形成の場と. 査を行う。. して焦点化した取り組みを行う事によって、課題の解決. 4.これまでの取り組みと今後の取り組み. につなげることができるのではないかと考えた。. 本研究に関わる先行研究を精読し、数多くの知見を. 2.研究の目的. 得るとともに、神奈川県の教員採用に関わる様々な資. 本研究は、小学校における若手教師の力量形成を図る. 料収集を行ってきた。また、 「教育インターン」においては、. 校内授業研究のあり方を明らかにすることを目的とする。. 若手教師による授業研究や事前・事後検討会等の参観. 初任校での最初の数年間の過ごし方が、その教師の. を行い、VTRや授業記録等によるデータの集積を行っ. 生涯の授業観を形成し、方向付けると言われている。. てきた。. 初任者研修で教師としての基本的な知識や技能を身に. 今後は、これまでの取り組みを継続していくとともに、. 付けた若手教師が、より実践的な力量を向上させること. 今年度中にアンケートの作成と予備調査を実施し、研. ができるような校内授業研究を目指す。. 究計画全体の再検討も行っていきたい。. 教育デザイン研究 第 3 号 83.
(8) 学生によるポスターセッション. 授業づくりにおける教科内容研究と授業分析の有機的な関連に関する研究 ―附属学校との学的連携を基軸として― 教育デザインコース 社会科領域グループ 1 本研究の目的. 授業者は自身のルソー研究の蓄積に基づき、中国にお. 今日、社会科教育研究・実践において教材開発・教. ける教育を題材に自由とは何かについて追究させた。. 授方法等での進展が著しい一方で、教科内容研究や学 びをとらえる評価研究は十分な発展をしていない。本研. 3 成果と課題. 究の目的はそうした課題を社会領域7名の院生による集. 上記2(1) では単なる内容研究に留まらず、横浜小学. 団研究として、かつ附属学校の実践研究と大学の学問. 校教員の授業づくりに資する学的な蓄積と教科書記述. 研究との学術的な回路を解明することでもある。. の関連及び先行実践の事例研究のあり方についての検 討が進められている。(2) ではプロトコール分析におけ. 2 研究のアプローチ. る分節化と参与観察を組み合わせているが、分析手法. (1) 教科内容研究と先行実践分析、(2) 授業分析、(3). の習得という点で課題が大きく残っている。(3) では受. 実践に着手した。(1) では附属横浜小学校と同横浜中学. 講生の関心や意欲を一定程度保障することができたが、. 校との連携に焦点づけて、両校の研究発表会での単元 設定と連動させて行っている。(2) では9月より定点的. 「思考・判断・表現」に焦点づけた授業改善策の構築が 今後の課題となっている。. に、同発表会での抽出児候補者(10 名程度)の学び分 析を附属教員との共同研究で取り組んでいる。(3) では 中国人留学生である金月が今年度横浜国立大学オープ ンキャンパスで高校生 25 名に実施した(高校・倫理)。. 学校運営協議会制度とその運用実態について―横浜市に焦点をあてて― 教育デザインコース 教育学領域 増田 妙子 本研究の目的は、横浜市における学校運営協議会の制. 事例分析では、今年で 4 年目を迎える横浜市立 A 小学校. 度的特徴をあげ、その運用実態を解明することである。. 学校運営協議会の運用について、主に学校運営協議会の位. 制度研究においては、地方教育行政法及び、横浜市学校. 置づけと、構成員間の関係に着目しながら分析を行った。. 運営協議会設置規則について検討した。その際、足立区. 横浜市立 A 小学校における学校運営協議会は、①学. 学校運営協議会規則との比較を試みた。運用実態につい. 校運営を積極的に補佐していく機関として機能している。. ては、横浜市立 A 小学校において事例研究を行った。. ②学校長含む学校側の構成員と、保護者、地域の構成員. まず、学校運営協議会制度化への国の動向を年表によっ. の間には信頼関係が築かれていることが明らかとなった。. て整理し、その上で、国と横浜市の学校運営協議会の設. リーダーシップの点においては、学校長と、初代 PTA. 置趣旨、権限、組織図の比較を行った。これらにより、. 会長である協議会会長がリーダーシップをとっている。そ. 横浜市における特徴として、下部組織の存在が想定されて. のため、若い委員や新任の委員は発言の機会が少ないこ. いることを示した。. とを課題として示した。. 次に、地教行法第 47 条の 5 の学校運営協議会に関す. 本発表は中間であるため、多面的に事例をとらえながら、. る内容に触れ、横浜市学校運営協議会設置規則と足立区. 引き続き事例研究を進めると共に、制度導入の根本を確. 学校運営協議会規則の比較を行った。これにより、横浜. 認しながら制度研究を進めていく必要が 必要がある。. 市学校運営協議会においては、人事権については必ず校 長を通すこととしていることから、人事に関して校長の権 限が強化されていることを示した。. 84.
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