Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
Dr.Kのペリオゼミナール 歯周病原細菌はどこから来て
どこへ行くのか 終わらない戦い「病原体」vs「免疫」
(Part2)
Author(s)
石原, 和幸
Journal
デンタルハイジーン, 28(6): 525-530
URL
http://hdl.handle.net/10130/2531
Right
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本
」
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「
免疫」
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石原和幸
東京歯科大学微生物学講座 連絡先 -〒26ト8502干葉市美浜区真砂1-2-2事件 は現場で起 こっているんだ !
「事件 は会議室で起 こっているん じゃない,現場で起 こってい るんだ !」 というセ リフをご存 じの方 も多いことで しょう. こ のような問題は,決定を下す部分が 目ざしていることと,実際 に仕事 をする部分が 目ざしていることとが違 って きて しまって いるようなときに起 こ ります.組織が複雑になればなるほ どこ のような問題が起 こ り,現場のス トレスは募 ってい きます(「院 長は何 もわかっていない !」 といった感覚 もこれに近いのか も しれません)
.
さて,前 回解説 した 「獲得免疫」は,指令 をだすヘルパーT
細胞のような細胞がいる一方,抗体 を産生 して病原体 を排 除す る細胞がいるとい うように,役割分担がなされた組織です. 前 回お話 しした 「自然免疫」, また,獲得免疫 のなかの 「体 液性免疫」に続いて,今回は獲得免疫の うち細胞が中心的な役 割 を果たす 「細胞性免疫」の話か ら始め ます.獲得免疫のスナイパ ー
「キラー細胞」
前 回お話 しした ように,
「抗体」 は,病原体 に結合 してその 定着 を防 ぎ, ミサイルの ように破壊 して くれる頼 もしい武器で した.ただ, ウイルスのように, 自分の核酸 を細胞のなかに送 り込み,細胞の中で増殖する病原体 に対 し,抗体 は, この よう な病原体 を攻撃 しようと思 って も,細胞質膜 を通 り抜 けて細胞 の中に入ってい くことがで きません.そのため,細胞が病原体 によって占領 されて しまった場合 は,その珊胞を破壊す る必要 \-1J '-I_
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キラーT細胞つこ
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がん細胞 嘉妄蒜晶 獲得免疫は,複数の細胞が協力して, 侵入してきた病原体を排除する デンタル ハイジーン ●第28巻第6号 ●2008年6月525
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樹状細胞 マクロファージ ∼ 図1 細胞性免疫 を中心とした 「獲得」免疫のメカニズム がでて きます. また,がん細胞になって しまったような細胞 は,増 え る前 に破壊 しな くてはいけません. この ように,細胞 を壊す ことによって防御するのが,キラー (細胞 傷害性)T
細胞です.ヘルパーT
細胞(
Th
ュ
)
が 「病原体 (抗原:
:
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)
」
を認識す る と,キ ラーT
細胞 を活性化 させ ます.活性化 したキラーT
細胞 は,細胞 に穴 を開ける 「パーフォリン」 という物質 を産生す る ことによって ウイルス感染細胞やがん細胞 の破壊 を引 き起 こ します (図 1). これによ り,がん細胞 を処分 し,抗体がウイルスを攻撃で き るようにします. キラーT
細胞による攻撃 は,細胞 を破壊するとい う点では,前回の 「自然免疫」 についての解説のなかでお話 しした 「ナチ ュラルキラー 細胞 (NK細胞)」 と非常 によく似ていますが,異 なっている点は,キ ラーT
細胞は自分の攻撃す る対象 を決めているということです.この "決めている" という点が,獲得免疫の特徴 なのです. ヘルパーT細胞,キ ラー T細胞,B細胞 は,最初 は担 当す る対象 が決 まっていませんが,侵入 して きた病原体 (抗原) を,それぞれが もっている受容体で "認識"す ると,それを "記憶" し,それ以降は その認識 した病原体 (抗原)のみに対す る専 門の細胞にな り,ほかの 病原体 には反応 しな くな ります.そ して,その病原体が再び侵入 して くると,その病原体 をすばや く認識 し,効率的に追い出 して くれ ます. そのため,1度かかったことのある病原体が2度 目に入 って くると, それを記憶 している細胞が速やかにこれを処理 し,症状が出ない,つ '抗原 :体内に侵入 してきた病原体 など,自分 ではない輿物 の こ と526
デンタル ハイジーン 第28巻第 6号 :2008年 6月終 わ ら な い 戦 い 「病 原体 」 vs 「免 疫 」 part2 キラーT細胞 Tbl 抗原提示 〉 IL-1 Th2 ′ l I; ・・ I 〟 ー 響 蕎 TNFα マクロファージ
7
「 ヘルパーT
細胞 / ヽ がん細胞 ノ ウイルス感染細胞 ・ ・/' _ :__′ -. 細胞内書生細菌≡
≡元
= 図2 サイ トカインによる細胞間のコミュニケーション ま り2度はかか らない とい うことにな ります.自分が担 当す る病原体 を記憶 し て,それに対す る専 門職 となった細胞が体 内に配備 された時点で,その病原体 か ら守 られることにな ります.細胞の コミュニケー シ ョンをつか さどる
「
サイ トカイ ン」
「自然免疫」
「獲得免疫」 は,多種 の細胞の協力 によって機能 してい ます. こ れをコン トロールす るためには,おのおのの細胞 間で何 らかの調節 を行 う必要 が あ ります.調節 のための情報伝 達 をつか さどる物質が,
「サイ トカイ ン」 で す.細胞 は,このサイ トカイ ンとよばれる物質 を出 して,お互いにコ ミュニケー シ ョンをと ります.図2に示す ように,獲得免疫 の細胞 間の調節 もサ イ トカイ ンによって行われてい ます. た とえば,病原体 を会食 した樹 状細胞 は, イ ンター ロイキ ン (以下,IL)-1 とい うサ イ トカイ ンを出 してヘ ルパーT細胞 を活性化 します (図2). また, 樹状細胞 は,病原体 を認識す るとTNFαとい うサ イ トカイ ンを出 します.これ らのサイ トカイ ンは種 々の防御細胞 を呼 び集め,炎症 を引 き起 こします.ヘル パー T細胞 (Th2)は,IL4,5,6を産生 して抗体 の産生 を誘導 します. また ヘルパーT細胞 (Thュ)は,IL-2によってキラーT細胞 を活性化 します. 防御の初期 の段 階で病原体 を追い出す炎症反応 を起 こすIL-1,TNFα,IL-6 な どのサイ トカイ ンを 「炎症性サ イ トカイ ン」 とよび ます.生体細胞 は, これ らのサ イ トカイ ンをは じめ とす る多数のサイ トカイ ンによって細胞 間の コ ミュ ニケー シ ョンをとることによってそれぞれの機能 を果た してい ます.サ イ トカ デンタル ハイジーン :第 28巻第6号 ●2008年6月5
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イ ンは近 くの細胞 どうしの調節 を行 うのみな らず,血液中に入 り離れた細胞 に も影響 を与 えます.サイ トカイ ンによるネ ッ トワークは,私たちがほかの人 と 協力 して何か をするとき,相手 と自分が近い ときには会話で,相手が遠い場合 は電話 などによって連絡 を取 り合いなが ら行 うのに似ています.