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アンモニウムチタニルサルフエートについて 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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アンモニウムチタニルサルフエートについて

Ammonium Titanyl sulfate

SadaoTaki

 The rate of crystallization of ammonium titanyl sulfate depended on the concentration of t’ hydr・・h1・ri・a・id・・d t・mp・・ature.1・f・a−red・p・・tra・f m・n・hyd・at・, dihyd。ate and th。i, d・hyd「at・d・nes we・e investig・ted・The stru・ture・f amm・ni・m tit・nyl sulfate was discussed.

1 緒

言  チタニウム塩類は一般に加水分解を受け易く、不溶 性の塩が多くその合成が困難である。硫酸塩の如きは その種類多く、実験条件のわずかな差により異つた結 晶形態の化合物となり、また普通酸化チタソから出発 して合成されるので長時間を要し、途中で難溶性化合 物に移行して合成に失敗することもまれではない。反 応は多く加熱下で行われるので加水分解を防ぐため に、また酸化チタソの溶解に大過剰の酸を必要とする ために研究はおおむね高温で酸濃度の高い条件下で析 出する結晶について行われることになる。  著者らの提唱したアソモニウムチタニルサルフエー ト合成法1・2)によればきわめて容易に結晶性のよいチ タニウム塩を、高純度、高攻率に得ることができる。 かつ、アソモニウムチタニルサルフエートはかなり大 きな溶解度をもつている。この化合物については著者 がルチル単結晶の製造原料として適していることを明 らかにし3),それに関連して研究を進めたにとどまり その性状にはなお不明の点が多い。その後得られた結 果およびこれまでに得られた結果に基づき結晶構造の 推察を行つた結果について報告する。アソモニウムチ タニルサルフエートには一水塩と二水塩が存在するが 以FこれをそれぞれATS・1およびATS・llと略記 する。 2 アンモニウムチタニルサルフエート  晶出速度と瞳酸濃度および温度との関係 水を加えた粘い油状の四塩化チタソに濃硫酸を加え ると盛んに発泡して塩化水素を発生する。しばらくし て硫安飽和溶液を加えてかきまぜると透明な液体とな り、ATSが徐徐に析出し、毬には釜体が固つてしま う。ところが、濃厚な溶液から結晶を析出させるので ’ 硫安溶液を加えるとただちに結晶が析出して泥状のろ   過困難な微畑結晶になつたり、逆に非常に高い過飽和   状態にあるにかかわらず数日たつても僅か結晶が析出   するにすぎないことがある。晶出に関し検討した結   果、晶出速度が塩酸濃度および温度に影響されること   を見出した。

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 実 験方 法  水を加えた四塩化チタソ(Tio2として34.1%,Cl として36・4%のTiおよびC1を含む)209に当量の 濃硫酸を加える。HCI含有量の異なつた溶液を作る ため、これをそのまま、あるいは100,80および60 °Cの各温度に5時間加熱して後、所走温度の。恒温槽 に入れる。定温になつたら同温度の当量の硫安(濃度 は10°C飽和水溶液)を加えよく混合する。たえずふ りまぜながら混合後液に白濁が認められた時閲および 結晶が析出して全体が固まり晶出完了とみなされるに 要した時間を測定した。硫安溶液を混合した際、混合 液の一部を採取してClの分析を行つた。 実験結果および考察  結果を第1表に示す。この種の実験は各種の条件に 左右されてばらつきの多い結果となり易いが、本実験 では比較的再現性もよく系統的な結果を得ることがで きた。しかし、塩酸濃度のもつとも高い場合には例外 的に混合と同時に結晶が析出したり、逆に晶出が非常 に長時間にわたり観察を中止したこともあつた。  塩酸濃度が高い場合あるいは温度が高い場合には一 水塩が析出しており、同一形態の結晶では晶出完了時 間は塩酸濃度が低いほど、また温度が高いほど小さく なつている。すなわち、晶出速度は塩酸濃度が低いほ ど、温度が高いほど大きい。実験範囲では塩酸濃度が 高くなれば溶解度は減少するので過飽和度が大きくな り晶出し易いはずであるのに、実験結果ぱこの逆で塩 酸が晶出を妨げていることになる。

(2)

昭和33年6月

山梨大学工学部研究報告

第 9 号

Table 1.,Crystall ization of ammonium  titany・1 sulfate.

竃器簾鞠結晶形

20 0 10 10 30 2 10 10 10 25 27 30 2.351 ATS.皿 3.94 ATS.H 5.25 ATS・ll

20「450

 1 15  2.60 20  3.97 22 4.95 2S l 5.15、   U.56

ATS・H

ATS・H

ATS・H

ATS・ll ATS・1     3‘ 11     5‘ 18

40  20170

   12・…・4・ 50         2.68iATS・ll t微量ATS・1 …4.。dATS.L少量ATS.、 i5.02 ATS.1,少量ATS・ll i12・261 ATS’1 5  45  2・74 10 ,  50   3.92 8  65  5.72 40   180  10.29 ATS・I ATS・I ATS・I ATS・1 60 3 3 10 35 12.7ii ATS.1 4。|3.6。l ATS.1        

6015.43・ATS・1

 結晶の晶出速度は結晶核の肇生速度と核からの成長 速度との和として與えられるが、何れがどの程度に塩 酸濃度の影響を受けているかはわからない。白濁時間 の長い場合には結晶析出完It時聞も長くなつている。 白濁が認められるのは多数の核が発生し、それがある 程度の大きさに成長した状態であるので、これだけで 速断できないが、下記の事実からすれば核発生速度の 目安になると思われる。硫酸を加えた四塩化チタソを 100°Cで加熱、して、できるだけ塩化水素を追い旦}し、 濃塩酸を添加した硫安溶液を加えて所定の塩酸濃度に した実験では、混合と同時に白濁する。このことから 四塩化チタソと硫酸の混合物中の塩酸により核発生が 妨げられることは明らかである。四塩化チタソに硫酸 を加えたものは非常に粘く、生売物が如何なるものか 不明であるが、TiとClとの結合が相当残つていて、 ただちに硫安と反応してATSになり得ない状態にあ り、塩化水素を追い出すにつれてC1との結合がなく なつてATSを生成し易い状態になるものと思われ る。  得られた結晶の大きさは塩酸濃度が高いほど小さい 傾向にあり、結晶の成長速度も塩酸により妨げられる ものと思われる。温度が高いと晶出速度が大きくなつ

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   Nているが・得輪た結晶は温度が高いほど大きく・成 長速慶が高温ほど1だきいこどに起因しているのは当然 のことである。(非常に高い過飽和状態からの晶当で 温度による過飽和度の変化は無視できる。) 2 アンモニウムチタニルサルフエートの 赤外吸牧スペクトル  赤外線分光光度計によるATSのNaCl領域におけ る吸牧スペクトルを第1図に示す。試料はNujolぺ _スrとした。ATSの合成は既報の方法1溜)に従い・ 吸引ろ過後アルコールで洗いζその臭のなくなるまで 風乾した。脱水試料は、ATS・1を2200Cに加熱し て無水物となし、ATS・11では150および220°Cに 加熱してそれぞれ・分子腕水物および無水物を得た。  ATS・1とその無水物、 ATS・llとその一一.fi子脱 水物の吸政スペクトルはそれぞれ全く同一一一一であつた。 一水塩の水および二水塩の低温で腕水する水はプロF ソの核磁気共鳴吸牧によれば結晶格子の中に固定され ておらず全くfreeな状態にあり4)、 X線的にも腕水に よる変化は認められない。ところが二水塩の残りの一・ 分子を脱水すると12.4uの吸牧が消失し・9∼10μの 吸牧に変化が生ずる。この原因を明らかにするために 吸牧帯の帰属を試みた.これまでに多くの化合物の吸 政スペクトルが観察されているのでそれらを参照して 行つた。複雑な構造の化合物であり吸政帯が相互に重 なつて厳密を欠く点もあるがほぼ妥当と思われる。次 にその結果を列記する。(単位はμ)

 ATS・I

v(N−H)・3.10,3・23 δ(N−H)・6・08・7・07 J・iS==O) :8.05,8・67,8・86,  v(S−−0) :10∼10・6 δ(S=・O):]5付近  v(Ti−0):9・28・9・44・9・73  ATS・1[ y(N−H):3.10,3.23   δ(N−H):6・09・7 v(S=0) :8・08,8.70,8・84 〃(S−O) :10∼10・7 δ(S=0):15付近  v(Ti−0):9・29・9・44・9・81  ATS・II無水物 ltiN−H):3.16,3.25,4・27 δ(N−H):6・11,7・10 v(S==0) :8.14,8.80     〃(S−O) :10・3 δ(S ==・ O) :ユ5.O        v(Ti−0):9・66  金属錯塩の赤外吸牧に関する研究によれば、水分子 が金属に配位し、かつ強い水素結合が存在する場合に は700∼10凹cm−1に吸牧帯が存在する5)。12.4uの吸 牧帯はATS・llの高温で脱水する水分子による’もの で、上記の状熊に相当するとも考えられる。しかるに プロ1・ソの核磁気共鳴吸政によれば4)、この水分子の

(3)

アソモニウムチタニルサルフエートについて /ee

͡80

言6。

這。

ATS・1

ATぷ1伽勺W血

!00 90 60 タo 20 o 1ρθ 80 6e 亭o

20

2

午 6 8     to 〆晒ム〆(i’“) t2 /チ 0 Fig.1. Infra−re d spectra of ammonium titanyl sulfate. Hは振動しているか、 あるいはひつか\り乍ら廻転 していて、水素結合の存在を考えることは無理であ る。H20型の基のRockingによる吸牧がこの付近に 現れることはよく知られており、脱水により12・4μの 吸牧帯が消失し、かつTi−0結合の伸縮振動による 吸牧が変化することと核磁気共鳴吸牧の結果を合せ考 えると、水がTiに配位しRockingの状態にあると 結論できる。したがつて、ATS・1およびATS・1[[ はそれぞれ(NH,)2〔Tio(SO4)2〕H20および(NH4)2・ 〔Tio(SO4)2H2 0〕H,Oと記すのが適当である。 3 アンモニウムチタニルサルフエート   の結晶構造  ATSの構造は複雑で明らかにすることは容易でな いが、これまでの研究結果より若干の推察を行つてみ たい。一水塩と二水塩はX線廻折、溶解度、熱分解、 その他の物理性においても全く異つた挙動を示し、異 つた構造を考えねばならない。ATS・[[1を脱水して

45

もATS・1に転移することなく、無水物においても 一水塩と異つた構造で、さらに別な過程をへて脱硫安 することは興味あることである。  ATSを溶解する場・合、二水塩はふつう取扱う可溶 性塩と同じ程度に室温で速やかに溶解するに反し、一 水塩はきわめて溶解速度が遅い。また一水塩は針状晶 として得られる。そこで一水塩では一Ti−O−Ti−O 一の長い鎖状構造が考えられる。−Ti−O−Ti−0一 のchainはTiOSO4.H20にみられるが、この場合

SO4は全部一個のTiのみに配位せず他のchainの

Tiにも配位していてchainを相互に結びつけている 形になつているe)。これがこの化合物が長時間加熱し てようやく酸に溶解する原因になつているのであろ う。したがつて、ATS・1では       SO4  SO4        1i    ll     −O−Ti−0−Ti−        ll    ll       SO4  SO4 の如き構造、あるいは一部のSO4が架橋構造をとつ・

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昭和33年6月

山梨大学工学部研究報告

第  9 号 ている構造をしていて、 その間にNH4+が位置し、 さらに水分子が自由に出入できる程度の隙間にH20 が入つていると思われる。  ATS・Hでは結晶状態からして一Ti−O−Ti−O 一の鎖状構造は考えられない。塩酸中でSO4とClと の交換がATS・1より起り難いことおよび一水塩よ り低温で硫安が逸出し始めることなどから、Tiに0

と一分子のH20とが配位し、かかるTiとTiの間

を二個のSO4が結びつけて少数個連つた構造が妥当 と思われる。この骨格の間にNH4+が位置し、更に 大きな隙間に残りの一分子のH20が入つているので あろう。  なお、ATSの熱分解の際に、一水塩ではTiOSO4 と(NH 4)2SO4の比が4:1、二水塩では4:3.2:1 および4:1の組成の化合物をへてTiOSO4になる7) ことは結晶構造を決定する上に考慮すべきことであ る。

  4 線    括

 ATSの晶出速度を検討し、塩酸濃度が高いほど、 また温度が低いほど速度が小さいことを明らかにし た。  ATSおよびその腕水物の赤外吸牧スペクトルを観 察し、その吸牧帯の帰属を行い、二水塩の高温で脱水 する水はTiに配位していることを結論した。  これまでに得た結果よりATSの結晶構造に関し若 干の考察を加えた。  終りに、赤外吸牧スペク{トルの帰属に関して有益な 助言を頂いた畏友、大阪市立工業研究所、村田弘博士 に謝意を表する。 文 献 1)滝、国富、工化57,534(1954) 2)滝、工化59,1288(1956) 3)滝、工化59,ユ289(1956) 4)S.Taki, Naturwiss.45,10(1958) 5)藤田、中本、小林、{譜塩化学討論会       1956年10月 6)G.Lundgren, Arkiv f6r Kemi 10,397       (1956) 7)滝、人:1:鉱物討論会、1957年11月

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