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<教授就任講演>腰椎変性疾患に対する病態解明と低侵襲治療の開発(第164回山梨大学医学会例会) 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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i 第 164 回山梨大学医学会例会 日時:平成 21 年 12 月 1 日(火)午後 4 時∼ 5 時 会場:新臨床研究棟 2 階会議室

教授就任講演

腰椎変性疾患に対する病態解明と低侵襲治療の開発

波呂 浩孝

山梨大学 整形外科学

司会 有田  順教授

【要旨】整形外科には脊椎脊髄,関節外科,手の外科,骨軟部腫瘍,スポーツ,小児など多岐にわ たる分野があり,また,体幹・四肢と広域の守備範囲を有します。私は脊椎脊髄疾患を専門とし てきましたが,脊髄損傷や後縦靭帯骨化,脊髄腫瘍などでは四肢麻痺など重篤な機能障害あるい は生命の危機に直結し,その手術治療は極めて難易度が高いといえます。一方で,平成 19 年度の 厚生労働省国民生活基礎調査によると腰痛の有訴率は男性 1 位,女性 2 位と高頻度で,整形外科外 来で最も多い愁訴は腰痛です。 私は入局当初はスポーツ整形を目指していましたが,初期研修で脊椎脊髄外科手術のダイナ ミックさと術後の見違えるような ADL の改善に魅了され,専門を変更しました。研修中に,それ までまったく知られていなかった椎間板ヘルニア塊が自然退縮する現象の発見に関与し(Spine 1996, 1998),一方,ヘルニア手術検体の椎間板においてはマクロファージの浸潤,炎症性サイト

カイン・ MMP などが発現していることを見出しました(Spine 1996, 1997, J Spinal Disord 1999)。 そこでマウス椎間板とマクロファージの共培養モデルを開発し検討をすすめたところヘルニア基 質分解においては双方由来の MMP が関与することがわかりました(J Clin Invest 2000a, J Orthop Res

2002)。さらに米国 Vanderbilt 大学に留学し MMP ノックアウトマウスを用いて,ヘルニア分解に おいては TNF- α による MMP の誘導が必須であることを証明しました(J Clin Invest 2000b)。帰国 後は犬の椎間板ヘルニアモデルで椎間板への MMP 注入実験を行い,術後に速やかな歩行改善とヘ ルニア退縮を確認し(J Orthop Res 2005),ヘルニアに劇的な効果を示す MMP 治療の可能性を示す ことができました。臨床応用のため産学協同で recombinant MMP の創薬と薬剤注入手術用デバイ スの開発,特許取得を行い,2010 年から米国で臨床治験を開始します。この治療法が確立されれ ば局所麻酔下での外来手術が可能となり,患者さんの負担は著しく軽減されます。 私は各疾患に対する診断や高度な外科技能を駆使することと,未解決な病態を解明しそれを臨 床応用して患者さんに還元することを目標にしていきたいと思っております。

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