前著「柔道の乱取稽古における寝技の基本姿勢に関する 一考察」(文献1)では,長谷川繁夫(元岡山大学教授・ 中国四国学生柔道連盟会長)が「寝技の自然体」を提唱す るに至る経緯を概観し,固技錬磨のための寝技の乱取稽古 における基本姿勢と組み方に関する考察を行った。 長谷川は自著『寝技入門』序文において,以下とおり記 している。 最初私は寝技と立技とは真っ向から対立するもので あるという立場から考えようとしていたが,それは次 第に変化して,両者は一体的なものであり,ただ両者 の姿勢の違いだけによって,その闘いの様相が変わる に過ぎないのであるため,寝技と立技とを対応させる ことによって,両者の関係を容易に理解できる筈であ るという考えに変わったことである。 (長谷川繁夫『寝技入門』iv頁) 本稿は,基本姿勢から開始される寝技乱取の攻防に際し て重要となる基本動作について,長谷川の手法に倣い,固 技(寝技)と投技(立技)とを対比対応させて整理し記述 することにより,その特質を明確にし,固技(寝技)錬磨 の一助とするものである。
1.立ち姿勢と寝姿勢における自然体の比較
自然体とは,松本芳三著『柔道のコーチング』71頁にも とづき,長谷川が『寝技入門』(55-56頁より抜粋)で示し た以下の7条件によって特長づけられる体勢である。 1 自他による内外刺激に対して,瞬時に的確に反 応し得る出発姿勢である。 2 左右上下のあらゆる方向へ,心身自在的に活動 できる動的姿勢である。 3 均衡のとれた安定度の高い姿勢である。 4 少ない努力で姿勢が維持でき,疲労も少ない。 5 健康姿勢である。 6 柔道の目標に適った意志と,これに伴う情緒が 自然に表現された姿勢である。 要約:柔道の乱取稽古における寝技の攻防に際して,基本となる身体動作について整理し,固技錬磨のための稽古指針を 提示する。 キーワード:柔道,乱取,寝技,基本動作 7 組合った両者は全く同等であって,そのどちら の方も相手より有利または不利であってはならな い。 図1-1に示すのは,立ち姿勢において「右自然体」に組 んだ体勢である。両者は全く同じ姿勢をとっており,この 体勢を維持する限り,組み方による優劣は認められない。 図2-1は,長谷川が提唱した「寝技の自然体」の一例で ある。本稿では,図2-1のように,下にある者が上にある 者の右襟と右袖を掴んで引き込んだ体勢となり,上にある 者が右膝を立て左膝を畳に着けて体の安定を図ろうとする 体勢(「右踞姿」の姿勢)で双方が組み合っている状態を, 「寝技における右自然体」と仮称する。(図2-1とは左右を 逆にして,下にある者が上にある者の左襟と左袖を掴んで 引き込んだ体勢となり,上にある者が左膝を立て右膝を畳 に着けて体の安定を図ろうとする体勢(「左踞姿」の姿勢) で双方が組み合っている状態を,「寝技における左自然体」 と仮称する。) 寝技の自然体とは,図2-1の体勢から乱取稽古を始める 両者が,互いの姿勢は異なっているにもかかわらず,前述 した7番目の条件を満たすべく,対等の攻防を繰り広げる ことを「理想」とした組み方である。〔註:しかしながら「現 実」には,両者の姿勢が異なる以上,全く互角の力量同士 であれば,いずれか一方に有利または不利が生じるはずで あろう。〕 歴史的にみて〔参考:文献4,5〕,寝技の普及 発展に多大の貢献をした旧制高等学校専門学校で行われた 「高専柔道」と称される寝技の最大の特長は,図2-1の体勢 を寝技の基本姿勢として選択したことにある。したがって, この寝技の基本姿勢から展開される重要な身体操作を,寝 技の基本動作とみなすことができる。 図1-2の立ち姿勢は,図1-1の右自然体と似て非なる体勢 である。図1-1は正しい組み手・足の位置であるが,図1-2 で左方にある者は前に出すべき右足が後へ下がって左足が 前に出た姿勢となっている。このように誤った姿勢をとっ た場合,図1-3に示すように,相手の手の操作のみで,右前方へ容易に崩される。図1-2の体勢では両者の均衡は崩れ ており,図中の右の者が左の者に対して有利な状況にある。 図2-2も,図2-1に示した寝技の自然体とは似て非なる体 勢である。下にある者は,本稿でいう寝技における右自然 体に組んでいるが,上にある者は右膝を立てて左膝を着く べきところを,逆に左膝を立てて右膝を着いた姿勢となっ ている。上にある者がこのように姿勢を誤った場合,図 2-3に示すように左膝の裏を下にある者の右足首(甲側) によって掛け上げられるとともに右袖を前方へ引っ張られ ると,容易に体を返される。図1-2の立ち姿勢の場合と全 く同じように,図2-2の体勢では両者の均衡は崩れており, 下にある者が上にある者に対して有利な状況にある。 立ち姿勢・寝姿勢を問わず,柔道では自然体に正しく組 み合って体勢の均衡を維持することが,乱取稽古の基本と なることに差異はない。 図2-1の体勢を基本姿勢(自然体)とする寝技の乱取稽 古は,以下のようにして攻防を展開する。 寝技はこの基本姿勢から出発して上下の間で攻防が 開始される。上の者はまず下の者の脚を制してその動 きをとめ,これを越して前進しようとし,一方下の者 は腕(手)及び脚(足)を最大限に使って,相手を自 分の帯よりも上に前進させないようにし,併せて相手 を返すか,あるいは絞め,関節の逆などを狙う。これ が寝技の攻防なのである。 (長谷川繁夫『寝技入門』58頁) 次章より,寝技の基本姿勢から展開される攻防に際して 必要となる基本動作について整理する。 図1-1 右自然体で組み合った体勢 図1-2 誤った右自然体の体勢 図1-3 図1-2から左の者が崩された体勢 図2-1 寝技における右自然体で組み合った体勢 図2-2 寝技における誤った右自然体の体勢 図2-3 図2-2から上の者が崩された体勢
抑えつける,または図3-1bのように下の者の脚を腕で下 から掬うなどして,脚の防禦線を越えて相手の体幹(腰部 の近傍)へ接近しようとする。 これらの動作は,抑込技を中心に据えた上からの攻撃の ための「崩し」の段階とみなすことができる。 ⑵ 「作り」の段階:相手の体側に間合いを詰める 脚を制した「崩し」の動作に続き,図3-2に示すように, 速やかに下の者の体側(腰部から胸部あたりの横側)に位 置を取り,間合いを詰める。 この位置取りは,講道館柔道「乱取の形」のうちの「固 の形」で表現される「近間」からさらに相手との間合いを 詰めた体勢と同じ位置取りである。〔註:「固の形」では, 相手の脚を制するという過程を想定しているのではなく, 投技を掛けた後,投げられた(または体勢が崩れた)相手 の体側から固技に入ることを想定しているものと推測され る。なお,「固の形」に関する解説書として,例えば橋元 親著『写真でみる柔道の形』36-55頁がある。〕 この体勢に至ると,上にある者は固技(とりわけ抑込技) を直ちに仕掛けることが可能となり,「作り」の段階とみ なすことができる。 ⑶ 「掛け」の段階:固技に入る 下の者の体側に位置取った「作り」の動作に続き,固技 に入る「掛け」の段階に至る。ここでは,上の者が抑込 技である横四方固に入った体勢を一例として図3-3に示す。 下の者の体勢の変化に応じて,腕緘あるいは片十字絞など の関節技や絞技に入ることも可能である。
3.下にある者の基本動作――防禦と反撃
次に,下にある者の基本的な守り方および反撃の例を示 す。 ⑴ 相手の「崩し」に対処する:「脚回し」の動作 脚を制して寝技の自然体の体勢を崩そうと上から攻めて くる相手に対して,下にある者は自らの膝を中心として下 肢を回すように,下穿を握った相手の肘関節または肩関節 周辺を足先で抑えて,脚を制されることを先手で防ぎ,自 然体の体勢を保つようにする。 一般に,相手が図3-1aのように手で脚を上から抑えつけ ようとしてきた場合は下肢を下から上へ外向きに回し(「外 回し」,図4-1a),相手が図3-1bのように腕で脚を下から掬 図3-1a 上からの「崩し」(下の者の脚を上から押さえつける場合) 図3-1b 上からの「崩し」(下の者の脚を下から掬う場合) 図3-2 寝技における「作り」の体勢(脚を越えて体側に位置取る) 図3-3 寝技における「掛け」の体勢(横四方固に入った例)図4-1a 寝技における組み手争い 図4-1b 寝技における組み手争い (図3-1aから「外回し」による均衡維持) (図3-1bから「内回し」による均衡維持) 図4-2b 外向きの「横エビ」からの動作 図4-2a 内向きの「横エビ」からの動作 おうとしてきた場合は下肢を上から下へ内向きに回し(「内 回し」,図4-1b),相手に脚を制されることのないよう(相 手の腕の動きを足先で牽制して),体勢の均衡を図る。 これら「脚回し」の基本動作は,いわば「寝技における 組み手争い」に相当する。立ち姿勢において自己に優位な 体勢づくりを目指す組み手争いと同じく,寝技においても 上にある者の腕と下にある者の脚との間で,同じように組
を入れ込んでから仰向けの体勢に戻して正対し,寝技の自 然体への復帰を図る。 横への向きは2通りあり,一方は相手と向かい合う方向 (内向き),他方は相手に背を向ける方向(外向き)である。 内向きに横になった場合は,両手と上側にある膝とを使っ て相手の下腹あたりを押して間隙を広げながら(図4-2a), 下側にある膝を相手との間に滑り込ませるようにして入れ る。外向きに横になった場合は,上側にある脚を大きく旋 回するようにして相手との間に割り込ませる(図4-2b)。 なお,「横エビ」の動作から脚を相手との間に入れるこ とができず,相手の「作り」の体勢を阻止できなかった場 合は,一時的にうつ伏せ・腹這いの体勢(図4-3)をとって, 相手からの固技の「掛け」を回避する。レスリングの防禦 姿勢とは異なり,抑込技に加えて絞技・関節技をも防禦す る必要から,首を縮めて脇を締めたうつ伏せ・腹這いの体 勢となるため,その姿態から「カメ」とも称される。「カ メ」の体勢では反撃がしにくく,専守防衛となりがちであ り,いわば「寝技における自護体」の体勢に喩えてよいか もしれない。 立ち姿勢において自然体を本体として自護体を副次的体 勢とすることに同じく,寝姿勢においても「カメ」の体勢 は一時的なものに止めて,機を逃さずに「横エビ」の体勢 に戻し,さらには脚を入れて(図4-2aまたは図4-2b),相 手と正対した寝技の自然体へ復帰することが乱取稽古にお いて肝要である。 ⑶ 相手の「掛け」に対処する:固技からの抜け方 上から攻めてくる相手によって抑込技,絞技または関節 技に入られ,「掛け」の段階にまで至った場合,固技を極 められてしまう前に,下にある者がその技から抜け出るこ とは相当に困難である。 その抜け方は,掛けられた固技の特性に応じて個別に対 処しなければならず,一概に説明できない。ここでは,抑 込技である横四方固に入られた体勢(図3-3)からの抜け 方の一例を図4-4に示す。 抑え込んでいる相手の方を向くよう(内向き)に体を横 にし,下側にある方の手で相手の下腹あたりを押すととも に腰を引き(「横エビ」の動作),他方の手を相手の腋下に 差し込みながら肘を張る(かいなを返す)ようにして相手 の上体を浮かして間隙をつくり,相手に近い方の膝を曲げ 図4-3 「カメ」(うつ伏せ・腹這い)の防禦体勢 図5-1 図3-1aから上にある者が右膝で割り込んだ体勢 図4-4 図3-3(横四方固)からの抜け方の一例 図5-2 下からの「崩し」の体勢(反撃)
詰めようと重心を右前方に移動させながら右膝を畳に着い た瞬間(図5-1)は,上にある者にとって,ちょうど寝技 の右自然体において立てる膝を反対にした図2-2と同じよ うな不安定な体勢となっている。 下にある者は,図5-1から図5-2のように下からの「崩 し」の段階へ移行し,相手の左膝裏に右足の甲を引っ掛け て,畳に着いた相手の右膝を支点とするように右前方に回 転させながら返し,すぐさま相手の体側に位置取り(「作り」 の段階,図5-3),直ちに抑込技に入ることができる(「掛け」 の段階,図5-4は崩袈裟固に入った例)。
4.固技錬磨のための稽古指針
柔道創始者である嘉納治五郎が提唱した「自然体」や「崩 し・作り・掛け」といった重要な理念は,投技(立技)と 固技(寝技)の区別なく,柔道の特質を表現する基本用語 として使用することが可能である。実際に,長谷川は『寝 技入門』の中で,これらの理念に基づいて寝技を体系化し ており,本稿もその手法に依拠している。 岡野好太郎(元旧制第六高等学校・名古屋高等商業学校 師範)は,投技(立技)と固技(寝技)の表現が相通ずる ことを以下のように述べている。 寝技の表現のときに身体各部位の働く作用と,投技 の表現の折のそれとはたがいに相通ずるものがあり, これは決して別物とは考えられぬが,その表現の急所 の時間的な相違が,表現の際の意気込みを異にせしめ るのだということを,寝技を研究するにしたがって 悟ってきた。投技は全身の力を瞬間的に表現するもの で,寝技は連続的に表現するものである。 図5-3 「作り」の体勢(相手を返して体側に位置取る) 図5-4 「掛け」の体勢(崩袈裟固に入った例) (岡野好太郎『学生柔道の伝統』38-39頁) すなわち,投技(立技)と固技(寝技)とは別個の技術 体系として稽古するものではなく,一体不可分の技術体系 の下にあると普段から意識して同時に錬磨するべきもので あろう。 投技(立技)と固技(寝技)との関連からみた乱取稽古 の方法について,以下に興味を引く2つの挿話を引用する。 1つは,旧制第三高等学校師範であり,長谷川の恩師に当 たる栗原民雄(元大日本武徳会武道専門学校教授,1929年 御大礼記念天覧武道大会優勝者)の述懐である。 寝技には,上から攻める寝技と,下で守る寝技があ る。昔の高専の寝技は守りが完璧になってから攻める。 今やっている者は,上からは攻めるが,下になったら 守りが出来ていない。 私は23年,寝技を教えてきたが,寝技は守りから入っ たものは本当のもので,上から攻めるだけでは駄目だ という考えをもっている。(中略) 胡井君の寝技は防禦から入った完璧の寝技だが,僕 はどちらかというと攻めから入ったので,下になった ら逃げる方だ。 (長谷川繁夫『寝技入門』47頁所引, 「柔道タイムス」356号,昭和41年1月15日) 名実ともに日本一となった柔道家の謙虚な一面を窺わせ る言葉であるが,率直な意見の吐露と受け取ってよいであ ろう。ここに「胡井君」と言及されている胡井剛一は武道 専門学校出身であり,旧制同志社高等商業学校の師範とし て同校を第24回全国高等学校専門学校柔道優勝大会(1937 年)制覇へ導いた柔道家である。 もう1つの挿話は,旧制第四高等学校出身の作家井上靖 が,自伝的小説『北の海』の中で,登場人物のひとりであ る柔道部員に仮借した以下の科白である。〔註:この登場 人物は,井上の先輩である富田保次郎がモデルとされる。 小坂光之介(元旧制第四高等学校・名古屋大学師範)著『柔 道と私』116頁参照。原文は「井上靖君の思い出」,名大柔 道第22号:4-7頁,平成3年6月30日発行に掲載。〕 立技のできる奴が,立技を棄てて寝技専門になると, 本当に寝技の強い選手ができ上がる。(中略)俺はこ れまで立技なんか知らなくてもいい,寝技オンリーの 選手の方がむしろいいと思っていたが,いまは考えを 改めている。やはり少しでも立技ができる方がいい。 やはり立技の腰が必要なんだ。 (井上靖『北の海』379-380頁) 井上の記した「立技の腰」とは,立技の乱取稽古におい て自然体の姿勢から投技の攻防を繰り返すことによって培 われる体幹の筋力や全身の平衡性・協応性など,行動体力 全般に優れることと理解できる〔註:「行動体力」については,であるが,両者の見解が交差する地点に立つと,嘉納治五 郎が稽古方法の指針を以下のとおりとしたことに,新たな 意義を見出すことも可能であろう。 投を七分とすれば,抑と絞業と合して三分くらいの 割合で稽古をすべきである。なぜ投に重きを置くかと いうに,その百種の筋を働かせるため全身の発育の上 の利益あるのみならず,理論も高尚であって,面白く, かつ真剣勝負の時には,平素身体の変化の修行が大切 である。これがためには大いに利益がある。 (講道館監修『嘉納治五郎大系』第2巻301頁, 第三回柔道聯合勝負の前後における講話, 「国士」第二巻第九号,明治三十二年六月) 講道館において,投技の理論のほうを高尚であると評価 するにあたり,それと対比すべき固技の理論が当時いかな るものであったか,という問題については本稿では立ち入 らない。〔註:この問題の一部については,文献1を参照。〕 「全身の発育」「身体の変化の修行」にとって,立ち姿勢で 行われる投技の乱取稽古に利益があることは容易に推測で きる。「投を七分」として稽古することに,初心者とりわ け発育発達の途上にある若年者にとって十分な価値がある と判断してよい。 また,嘉納は初学者を念頭において,以下のように記し ている。 本当に上手になろうと思えば,目前の勝負に拘泥せ ず,正しい姿勢で正しい技を練習しながら,まず受身 に熟達することが,他日柔道の名手になり得る秘訣で あるということである。 そういう訳で,投技を練習する場合には,対手から 掛けられた技に対しては,体をかわしたり,引いたり して,それを避けることはよいが,力を入れて防ぐよ うなことは,初年級の間はあまりしないで,受身がよ く出来てから後にするがよい。しかし固技の練習の際 は,最初から防ぐ練習をしても差支ない。その防ぎ方 は,最初から教師より習おうとせず,各自に工夫する がよい。 (同前『嘉納治五郎大系』第3巻363頁, 『柔道教本上巻』三省堂発行,昭和六年九月) 検討すべきは,「三分くらいの割合」となる固技の稽古 方法の具体的な「工夫」である。嘉納や栗原が述べるよう 基本姿勢を容易に崩されることのないように,「力を入れ て防ぐ」のではなく,本稿においていくつか例示したよう な基本動作(寝技における組み手と体捌き)が,上にある 者と互角に競技するためには必須となる技術的「工夫」で ある。 初学者に対する固技錬磨のためには,立ち姿勢での乱取 稽古と全く同様にして,寝技乱取においても基本姿勢(自 然体)を出発点とし,まずは寝技の自然体に組み合った体 勢から展開される攻防の基本動作の習熟より始めることが, 稽古指針として適当であると結論する。 謝辞 本稿で使用した図の作成にあたり,前著(文献1)に引 き続いて,小島善雄氏と林稔大氏の協力を得た。 引用文献 岡本啓:柔道の乱取稽古における寝技の基本姿勢に関 する一考察,富山県立大学紀要 第26巻:9-18頁,2016 年 長谷川繁夫:寝技入門,岡柔会(研精堂印刷,岡山), 1993年 松本芳三:現代スポーツコーチ全集 柔道のコーチング (6版),大修館書店,1994年(初版1975年) 湯本修治:闘魂 高専柔道の回顧,読売新聞社,1967年 湯本修治:続・闘魂 高専柔道の回顧,日本繊維新聞社, 1972年 橋元親:写真でみる柔道の形(13版),大修館書店, 1988年(初版1971年) 岡野好太郎:学生柔道の伝統,黎明書房,1954年 井上靖:北の海(新潮文庫 い-7-26),新潮社,1980年 小坂光之介:柔道と私,木村元紀編・発行(ナウ出版工房, 名古屋),2005年 10)猪飼道夫:運動生理学入門(第12版),杏林書院, 1979年(初版1963年) 11)嘉納治五郎(講道館監修):嘉納治五郎大系(再版), 本の友社,2005年(初版1988年)