兵法諸流と武者言葉集との関係についての試論 : 甲州流諸派の武者言葉集について ; 2
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(2) (2)343 勇 雄 田 島. 一予先 年 粗 註 ル 疋夫 ノ業 モ不 知 成 行 ニョリ是 ヲ シ ラ シ メ ンタ メ ニ其 類 ヲ寄 テ集 之其 趣 ヲ伝 語 ス ル ノ便 リ ト ス 然 ル 一. ヲ加 フト 云 ト モ未 夕全 カ ラ ス 其 後 図 解 巻数七箇 ヲ作 テ猶 是 ヲ得 知 ス ル ノ助 ト ス ル也 今 年有 故 其 私 解 ヲ改 メ作 シ軍. 詞 軍 容 撲 功 兵 器 武 功 ノ註 詞 全 ク成 就 スト イ ヘト モ兵 法 ノ 始 終 ヲ尽 ス ニア ラ ス 唯 疋夫 之 抄 ヲ解 ス ル而 巳 有 沢武 貞 ま た 版 文 に は 次 のよ う にあ る。. 二月 上 旬 右 軍 詞 之 巻 私 解 者 元 禄 十 二巳卯歳 稿 之 今 歳 正 徳 四 甲午年 悉 令 改 正 増 補 之 処 也 一. 、 な お コニ月 上 旬 ﹂のあ と に ﹁桃 水 子 ﹂ と 附 記 す る 一本 も あ る。 桃 水 子 は武 貞 の号 であ る。 つま り 永 貞 が ﹁軍 詞 之 巻 ﹂. 、 に修 正 を施 し た の は 元 禄 二年 で あ り 、 そ の十 年 後 の元 禄 十 二年 に武 貞 が そ れ に対 す る ﹁私 解 ﹂ の素 稿 を 作 成 し 更 に. 、 約 十 五 年 後 の正 徳 四 年 に 素 稿 を 改 正 増 補 し た と い う の で ぁ る 。 今 は 素 稿 の所 在 は 明 ら か でな いの で 素 稿 か ら 修 正 、 稿 への変 遷 は 明 ら か に す る こと が出 来 な い。 な お 、 武 貞 は元禄 十 二 年 に ﹁私 解 ﹂ の素 稿 を 作 成 し たあ と で ﹁図 解 ﹂ 、 を 順 次 作 成 し た。 ﹂れ は 改 稿 し な か った よ う で あ る。 と こ ろ で ﹃図 解 ﹄ 七 巻 の著 述 年 次 を 家 蔵 本 を中 心 に示 せ ば 次 の , 岩 瀬 文庫本 ︶ 右 軍 詞 之 巻 図 解 前者 宝 永 四 丁亥冬 作 之 桃 水 子 ︵. 如 く であ る。. 右 軍 詞 之 巻 図 解 後者 宝 永 四 丁亥冬 作 之 桃 水 子 右 軍 容 撲 功 二巻 之 図 解 者 宝 永 四 丁亥冬 作 之 桃 水 子 右 兵 器 之 巻 図 解 上 者 従 宝 永 四 丁亥冬 到 干宝 永 五 成子初 春 作 之 右 武 功 之 図 解 者 宝 永 五 成子作 之 桃 水 子 右 図 解 歴 武功之巻︶者 宝 永 丁亥冬 如 筆 之 宝 永 成子夏 終 之 者 也 於 加 陽 有 沢 武 貞 作. 、 宝 永 四 年 の冬 か ら宝 永 五年 に か け て完 成 さ れ た こと が知 ら れ る。 管 見 の. 、 兵 器 之 巻 ﹂ と が前 後 お ﹁疋 夫 之 抄 ﹂ は 五 巻 であ り、 そ れ に対 す る ﹁図 解 ﹂ が 七 巻 であ る が そ れ は ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ と ﹁ よ び 上 下 に分 れ る た め であ る。 こ の七 巻 は.
(3) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論. 342(3). 範 囲 で は 、 これ ら に つ いて は改 正増 補 さ れ たも の のあ る こと を 知 ら な い。 そ の こと は な か った の であ ろ と思 わ れ る。 う 次 に 武 貞 は ﹁私 解 ﹂ の素 稿 を作 成 し 、 改 稿 を完 成 し た。 改 稿 を完 成 し た正 徳 四 年 よ り 二 十 余 年 後 享 保 二 十 一年 ︵ 元 文 元 年 ︶ に 置 夫之抄軍詞之巻 備 行 営 秘 解 を著 述 し た。 そ の販 文 に次 の如 く述 べ る。君 岡久夫氏蔵旧海軍大学本によこ 右 匹 夫 之 抄 備 行 営 秘 解 軍詞之巻之始メ也 一 冊 ハ享 保 廿 一丙辰年 初 夏 五 日 二始 ”筆 7 同 月 六 日 ・七 日 ・八 日 ・九 日 o十 日 ・ 十 二 日 ・十 四 日 ・十 五 日 ・十 六 日 ・十 七 日 ・十 八 日 o十 九 日 ・廿 日 ・十 一日 ・廿 二 日 ・廿 三 日 o廿 四 ・廿五 日 日 ・. 廿 六 日 ・廿 七 日 ・廿 九 日 ・五 日朔 日 ・三 日 ・三 日迄 廿 五 箇 日 一時 半 刻 ノ間 二筆 ヲ採 テ 解 之 者 也 。 有 沢 武 詐 ﹁ 一. 貞 述作 ス. っま り享 保 廿 一年 の四 月 五 日 に筆 を 起 し 、 五月 二 日 に完 了 し た。 途 中 数 日 間 事 に当 ら ぬ 日 が あ った が 廿 五 日 間 で 完. 了 し た こと にな る と いう わ け であ る。 お そ ら く ﹁私 解 ﹂ を も と に講 述 す る こと 廿余 年 に 及 ん だ た め 、 そ の間 に感 得 す. る こと が多 く 、 一気 に そ れ ら を書 き お ろ し た のであ ろ う。 さ て 、 以 上 の ﹁疋夫 之抄 軍 詞 之 巻 ﹂ ﹁ 軍 詞 之 巻 図 解 ﹂ ﹁軍 詞. 之 巻 私 解 ﹂ 冠 夫之抄軍詞之巻備 行 営 秘 解 ﹂ の四書 に つき 、 そ れ ら の記 述 内 容 の大 略 を知 る た め例 示 す れ ば 次 の如 く に な る。 も っと も ﹁図 解 ﹂ は そ の性 質 上 図 解 を 中 心 と す る た め 、 こ れ を 省 略 す る。 政 下引用文の句読占等 は島里. 口 軍詞之巻︱ ︱ 夫兵法 ノ教其事繁 フシテ其 品多 シ。 是 ヲ導 ク諸流事理本末 ノ弁見聞 スル ニ暇 ナ シ。 。兵 卜云 ハ士 ヲサ シテ云。孫 子 日兵者国 之大事 ● 私解︱︱ ﹁疋夫之抄序。 夫兵法 ノ教﹂ 死生之地存亡之道也。不可不察也 ト 云 々。兵 ハ器械 ニアラ ス。執 之者 ヲ云。凡 人 タ ル衣食住 ノ三 カ ケテ ハ生 ヲ養 ヒカタシ。然 ル ニ農 ハ田 ヲ ヘシ カ 蚕 ヲヤシナヒ テ衣食 ヲ調 工、エ ハ其 器 ヲ コシラ ヘ家 ヲ作 テ居 ヲ安 クシ、商 ハ其 間 二有 テ器 ヲ農人 二配 り食 ヲエ人 ニア ヘ タ テ事 ヲ調 ル也。 是 ヲ天下 ノ三宝 卜云。 士 ハ其 業無 シテ三民 二長 タ ル所以 ハ能 三民 ヲ守護 シテ邪悪 ノ者 ヲ征罰 シテ太 ト 平 ナス 人也。其士 役 ノ ノ中 二主将士 ノ三段 アリ。其 ノ命 ヲ出 ス ハ主也。其命 ヲウ ケテ施 ス ハ将 ナ リ。其令 二随 テ行 ハ士也。故 二士 ハ英 雄也。英雄 ノ心 ヲト ル ハ主 将 ノ法 ナ リトイ ヘリ。主将士各其道 ニカナ フトキ ハ国家易 ク其道 ニタカウトキ ハ危 シ。 依 テ兵 ハ死 存 生 亡ノ カ ヽル所国 之大事 卜云 ナリ。其兵法 ノ教 ヲ知 ル士 ノ当然也。.
(4) (4)34」 勇 雄 田 島. 今兵 法 諸 流多 フシ テ書 ヲ ア ラ ヮ シ伝 ヲヒ ロク シ テ モ猶 不 足 ノ事 多 ク其 道 ヲ全 ウ セ 其 事 繁 フシ テ其 品多 シ﹂。 ﹁. ント スルト. 。 。 キ ハ五 百 年 来 天下 ノ治 乱 ヲ考 ヘサ レ ハ能 ハ知 カ タ シ 故 二事 多 シト也 ト シ偽謀 。 ﹁是 ヲ導 ク ノ諸 流 事 理 本 末 ノ弁 見 聞 ス ル ニ暇 ナ シ﹂兵 ヲ談 ス ル ニ至 テ或 ハ軍 配 ヲ貴 ト ミ軍器 ヲ作 り或 ハ兵 術 ヲ専. シ 大本 立 ヲ旨 ト シ テ大 本国 家 太 平 ノ法 タ ル事 ヲ不 知 ト シ テ其 理 ヲ以 テ本 ト ス ル ノ教 ハ天 文術 数 兵 器計 謀 ハ皆 兵 法 ノ枝 葉 ニ テ 。 ム者 ハ其 本 ヲ テ後 用 之 二利 アリ ト ス。 或 ハ仁義 ノ説 ヲ交 へ語 ノ其 末 葉 ヲ軽 ン ス ル者 亦 多 シ 或 ハ又兵 ノ要 沈 冷 シ テ末 葉 二泥 。 見 尽 シ聞 尽 ス ニ 不 知 。 其 本 源 ヲ貴 ト ム者 ハ其 業 ヲ不 勉 。 故 二本 末 差 別 セ ルト テ是 ヲ 一ツ ニツラ ヌキ教 ヘント ス ルアリ 依 テ. 暇 ナ シ ト云 々。 。 事 。 此 兵 武 ノ器 ヲ採 テ業 ヲ身 二係 ル ニョ ル。 故 二士 ヲ兵 卜云 兵 序。 ﹁疋夫 晟 許 ﹄ ︼﹄ 年げ ﹁一ほ 弓 ” ″リ 知 嘲 新 罐 利副詞 、 、 、 ︵兵 器 鉾 ヲ初 ト シ テ刀弓 矢 二到 ル迄也 。 其 軍器 ヲ採 テ世 ヲ修 ム 二 ズレ ノ 兵 ノ工 ノノ 。 。 卜 事也 。 凡 ソ 卜 ル ハ士 也 。 依 テ孫 子 之 発 端 ニモ兵 者 国 之 大 事 死生 之 地存 亡 之 道 也 不可 不 察也 卜云 々 然 ハ兵 法 云 ハ士 法 云 。 。 ヲ 人 ル者 今 一世 界 ノ万 国 有 ト イ ヘト モ衣 食 住 ノ三 ツ聞 テ ハ生 ヲ養 ヒ難 シ 然 ル ニ農 ハ田 ヲ耕 シ テ食 ヲ調 フル 農 婦 ハ蚕 養 タ 人 与 工配 剥 テ事 テ織 事 ヲナ シ衣 ヲ調 ル。 エ ハ其 器 ヲ杵 工家 ヲ作 テ居 ヲ安 ク シ商 ハ其 間 二有 テ器 ヲ農 人 二与 工配 り衣 食 ヲエ 二 シ 。 テ 不 レ耕 シ テ ヲ調 ル也 。 大 農 大 工 大 商 是 ヲ天 下 ノ三 大 宝 卜云 士 ハ三 民 ノ業 無 シ テ其 三民 ノ長 ト ナ ル所 以 ハ能 三 民 ヲ守 護 。 五等 アリ。 食 シ不 レエ シ テ居 ス ル。 不 レ商 シ テ世 二交 ル ノ邪悪 ノ者 ヲ征 罰 シ大 平 ト ナ スノ役 人也 其 士 ノ中 ニ ハ主 将 士 歩卒 ノ 民 ヲ主 卜云。 主 ハ其 初 メ智 勇 相 備 テ自 ヅ カ ラ諸 人 ノ方 ョリ崇 敬 シテ三 民 ノ業 ヲ止 サ セ テ其 人 二万 事 ヲ伺尋 ネ其 下 知 二三 随 フ 。 ト 。 主 ハ又不 正者 ヲ征 伐 シ テ国 家 ヲ安 泰 ナ ラ シ ム ル也 。 其 主 ノ徳 篤 ケ レバ子孫 二及 テ世 々ノ主 卜仰 グ 主 ニモ高 下有 ベシ 将 。 ハ其 主 ノ命 ヲ受 テ下 二施 ス ノ役 人。 将 ニモ段 々階 級有 テ諸 将 諸 頭 諸 奉 行 諸 役 人等 ハ皆 是将 卜云 ノ内 也 士 ハ其 初 メ農 業 ヲ勤 、武業 ヲ 。 卜 メ事 ア ル時 ハ鎌鍬 ヲ棄 テ兵 具 ヲ採 テ邪 悪 ノ者 ヲ征 伐 ス ル ニ自 ヅ カ ラ兵 事 ヲ好 ム者 アリ嫌 フ者 アリ 嫌 フ者 ハ農 成 り 、 、 。 好 ミ智 謀 学 オ 等 ア ル者 ハ士 卜成 テ士 農 一致タリ ンガ 次第 二分 レテ別 二士 ノ境 界 分 レタ リ 士 ノ内 ヨリ将 卜成 主 ト モ成 者 ア 。 。 。 リ。 歩 ハ士 ノ境 界 立 ト キ ハ 一等卑 キ者 歩 卜云 一類 立也 卒 ト ハ今 云 足軽 以 下 ノ軽 卒 士 家 一種 ヲ立 ルト キ ハ又無 テ不 レ叶事也 。 、 、 上 代 農 ョリ兵 ヲ勤 メ シ ト キ モ大 農 ハ士 卜成 中 農 ハ歩 卜成 小 農 ハ卒 卜成 タ ル余 風 ニテ士歩卒 卜成 ヌ ル也 然 ハ主 将 士歩卒 , 。英 ハ智万人 一 、 。 勝ルZム也。雄 ハ 一 ノ五 等 ト ハイ ヘト モ約 テ云 バ主 将 士 ノ三 ツ 猶 約″ど 云 バ士也 故 二四 民 卜云 ト キ ノ士 ハ英雄 也 。 、 勝ルZム也。主 将 士各 其 道 二叶 フト キ ハ国 家 易 ク 其 道 二違 フト キ ハ国 家 危 シ 依 テ兵 ハ死 生 存 亡 ノ係 ル所 国 之大 事 ト 勇万人 一 一.
(5) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論 34θ (5). 云 ハ是也。故 二其 ノ兵法ノ教 ヲ知 ルガ士 ノ当然也。. o今兵法 ノ説者諸 流多 シテ各 言物 ヲ顕 シ伝 ヲ弘 クシテ モ猶不 足 ノ事多 ク其道 ヲ全 クセ ント スルト 其 事繁 フシテ其 品多 シ﹂ ﹁ キ ハ天下古今 ノ治乱 ノ事蹟 ヲ知 ヲ以 テ不 ”考 ヘハ知難 シ。 近 クテ五百年来 ノ興廃 ヲ不 知 シテ ハ不 叶也。 依 テ事品多 シト也。タ ト ヘバ士 卜云 テ モ古今来 成来 ル所 ヲ知、当時 治世 ノ心得 ナ クテ ハ心落着 セザ ル也。夫 々ノ役儀 ヲ勤 ル者 モ又其 々如比。依 之 レ 武貞 別 二十役之抄 ヲ作 テ弁 レ之。猶其書 二便 テ人 々勤 ル所 ノ当然 ヲバ可 レ知 レ之也。 。兵 ヲ談 ズ ル ニ至 テ或 ハ軍配 ヲ貴 ミ或 ハ軍器ヲ作 ル事 ヲノ三百、或 ハ兵 ﹁ 是 ヲ導 ク ノ諸流、事 理本来 ノ弁見聞 スル ニ暇ナ シ﹂ 術 ヲ専 ト シ、或 ハ偽謀 ヲ旨 トンア大本国家太平 ノ法 タ ル事 ヲ不知 シテ其無 用 ノ詞 ヲ費 ス。 其 レ理 ヲ以 テ本 ト スルノ教 ハ術 ハ志 ニ 随 フト云 ヲ本 ト シテ先我 ヵ性理 ヲ磨 キ仁義 ノ説 ヲ交 工語 テ天文術数兵器計謀等 ハ皆 兵法 ノ末葉 ニシテ、 其本立トキ ハ末葉 ハ自 ヅカラ成 卜教 ユルアリ。 亦事 ハ業也。或 ハ兵 ノ用沈冷 シテ只末葉 二而巳泥 ム者 ハ其 大体 ヲ不 レ知、 偽術娩謀 ニノミカ ヽハツテ. 月 日 ヲ費 シ実 理 ヲ不知或 ハ本 源 ヲノミ云者其 事業 ヲ不 レ勉。 彼 モ是 モ当然 ヲ失 フトナリ。 故 二其 本末 ノ差別 セルヲ思 ヒテ事 理 ヲ 一致 二貫 キ教 ント スル者 アリ。依 テ見 尽 シ聞尽 ス ニ暇 ナ シト云 々。 タト ヘバ賢聖 ノ書 ヲ学文 スル者 ハ理 ヲ先 二教 ル也。 理 心裏 二徹 スレ ハ末葉 ノ諸般 ハ不レ教 シテ格物致 知 卜立 ル也。或 弓・鉄砲 等 ノ業 ハ勝負 ノ理 ハ不知 ト モ先其業 ヲ修行 剣術・ レ珊 ・ キ シ其 功 積 テ自 ツカラ其 勝負 卜理 ヲ知事、事先 ニテ理跡也。 又御馬 ノ法 ヲ修行 シ習 ハ手術 ノ持様乗下 ノ法 ヲ習 テ騎乗 スレ ハ其. ヲ不 レ知者 ヨリ ハ能。 二三度 乗 タル者 ハ亦其 ヨリ宜 ク、 情 ヲ出 シテ修行 スレ ハ其 修行 稽古 スル ニ随 ツテ其 稽古 ノ位程充 二其 業 モ理 モ通 ズ ル也。其位 々々程 々ノ事理 一致 二通 ズ ル也。 是 ニテ事 理本末 一致 ノ訳 ヲ知 ベキ也。 兵法 ハ唯本元 ヲ知 テ当然 二不 迷 ノ趣 キ ヲ修行 スベキ也。. 引 用 は そ れ ぞ れ の書 の冒 頭 部 分 であ る。 言 って み れ ば 開 講 に当 た って教 授 者 が開 口 一番 に述 べる部 分 で、 教 授 者 の. 学 的 姿 勢 を ま ず 述 べ る と いう 箇 所 であ る。 そ の箇 所 に お いて 、 父有 沢永 貞 の兵 学 思 想 と 子有 沢 武貞 の兵 学 思 想 と の相. 違 と いう 点 を ま ず 感 じ さ せ ら れ る。 と いう のは永 貞 の兵 学 思 想 は そ の ﹁ 学度量分間 ヲ 枢 蜜 要 論 ﹂ に述 べ る よ う に、 ヨ ︵. 明 ニシ テ兵 法 実 学 ヲ委 フセ ン事 ヲ思 ニア﹂ る わ け で、 そ の兵 法 実 学 は城 築 、陣 営 の測 量 や座 備 行 列 の実 技 に関 す る も. の であ る。 そ う いう 観 点 に 立 って軍 詞 が論 じ ら れ る。 そ れ に対 し て武 貞 の兵 学 で は ﹁ 兵 法 卜云 ハ士 法 卜云 事 ﹂ で、 そ. れ は 武 士 の人 間 観 の根 源 を 尋 ね る学 問 であ る。 思 想 と し て の兵 法 学 であ る と いう こと が でき る。 そ れ はす でに 山 鹿 素.
(6) (6)339 勇 雄 田 島. 行 の兵 学 に お いて み ら れ た も の であ る。 素 行 の意 図 す る と こ ろ は. 、 日常 の学 習 を 通 じ て修 身 斉 家 治 国 平 天 下 を 目 ざ す. ほ素 兵 学 ﹂ であ る と考 え ら れ て いる。 聖 学 ﹂ であ り ﹁ 実 践 的 な 学 問 を 樹 立 す る こ と に あ り、 具 体 的 に は そ れ が素 行 の ﹁. 。 そ れ に対 し. 、 行 の儒 学 は ﹁武 教 的 儒 教 ﹂ と も 言 わ れ る よ う に兵 学 と 儒 学 と が統 一的 に包 括 さ れ て いた。 そ の素 行 に学 ん だ永 貞 は. そ の兵 学 の樹 立 に当 た って そ の実 技 的 側 面 に よ り深 い興 味 を 持 ち よ り多 く学 ん だ と いう こと が でき よ う. 武 貞 は 修 身 斉 家 治 国 平 天 下 の実 践 的 側 面 に よ り 深 い共 鳴 を持 つに至 った と いう こ と が でき る かも 知 れ な い。 そ れ は 武. 貞 が士 の道 を 説 く も のと し て ﹁十 役 之抄 ﹂ を 著 し た と いう 点 に お いて明 ら か であ る。. 備 行 営 秘 解 ﹂ と の間 に は あ る種 の変 遷 が見 ら れ る。 も っと も 質 的 相 違 は見 ら れ な いと 武 貞 の解 釈 にも ﹁私 解 ﹂ と ﹁. 士 ヲサ シ テ云 ﹂ と言 い、 ﹁秘 解 ﹂ では〓 ︵ト ハ兵 器 一 言 って も よ いかも 知 れ な い。 た と え ば 、 兵 に つ いて ﹁私 解 ﹂ で は ﹁. 武 ノ器 ヲ採 ﹂る 人 を さ し ﹁ 故 二士 ヲ兵 卜云 ﹂ と し た り 、 士 に つ いて ﹁私 解 ﹂ で は主 将 ノ事 ﹂ と 言 いな が ら結 局 そ の 〓 ︵. 士 に三 分 類 す る が 、﹁秘 解 ﹂で は主 将 士 歩 卒 に 五 分 類 を し つ つも 、終 極的 に は 三 分 類 に復 帰 し た りす る こと にそ れ が見. 、 武 貞 も ま ず 永 貞 の樹 立 し た兵 学 の実 学. 、 将 に も ﹁段 々階 級 ﹂ が あ る と し た り す る. 、 ら れ る。 し か し そ う は言 っても 、 そ の主 も 、 当 初 は智 勇 相 備 わ って いた た め主 と 仰 が れ たも のな の であ り そ の主 の 徳 が篤 け れ ば そ の子 孫 に及 ん でも 世 々に主 と 仰 が れ る に至 る と 解 説 し た り く だ り な ど に視 点 の変 化 を 見 る こと が で き る。 そ のよ う な 武 貞 の実 践 的 側 面 も 、 そ れ は 武 貞 の晩 年 に お け る到 達 点 であ り. 的 側 面 への理 解 か ら 出 発 し た と いう こと が で き る かも 知 れ な い。 そ の実 学 的 側 面 の解 説 を ﹁図 解 ﹂ に お いて見 る こと. 凡 例 ﹂ に よ って示 さ れ て いる。 そ れを 挙 げ れ ば 次 の如 く であ る。 が でき る。 ﹁ 図 解 ﹂の各 巻 の要 旨 は ﹁. 陰陽進退 ノヮカチ ハ木形 ヲ盤 ニノセテ 〓 一 凡例 軍詞 ノ巻初 ハ備 立行 列陣取ノ事 ナ リ。是 ハ大図 人形 ノ象 画 ヲ以 テ委 シ。 前︶ ﹃ 軍詞之巻﹄ 知之。 愛 ニ ハ只其略図 ノミ城取 二至 テ無際 限挙 ル所 ノ名目図 之。︵ 凡例 軍詞 ノ巻 過半 ハ城取 二付 テノ図 ナ リ。 夫城築 ハ戦国早成 ノ砦塞等 。当時太平 ノ諸国 ノ居城畳年造作 ヲ加 工土居 ヲ石.
(7) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ い ての試論 θ38(71. 垣トスルノ如 クナラ ス。今図 スル処 ハ其普請造作 ト モ ニ大 概中分 ヨリ念 ノ入タ ル方 ナリ。 戦争 ノ日急築 ノ城営如此 ヲナ ス ニ 到 ラズト イ ヘト モ其 矩 ノ極 ル処 ヲ知 テ以 テ地理 ノ変化 二随 テ無 用 ノ人カ ヲ尽 ス マシキ為 ノ習 ナ ルモノナ レ ハ悉図之。猶地形 ノ品節縄張 ノ応変 ハ事繁 ケ レ ハ略レ之。 其末 軍詞 六軍八陣 ノ品等暁 シカタキ ハ粗図 ヲ加 ヱ出 ス。︵ ﹃ 軍詞之巻﹄ 後︶. 几例 軍容 之巻 ハ図 二作 ルモノ少 ナシ。大概暁 シカタキ モノ図之 。就中大小勝敗主客攻守 之法 二到 テ図 ス ヘキ ノョシナ シ。 略之。︵ ﹃ 軍容 之巻し 几例 撰功 之巻 ハ闘乱 ノ筋且勇臆だデ珊スルモノナレハ図 スル事 モ猶少ナシ。鎗場七段 ノ働等大概 ノ矩 ヲ図 ス。名撰功之巻し 几例 兵器 ノ巻初 釜 ハ 具之品節ナリ。六具 卜云 モノ故 実流 々 二依 テ著別有 之也。其用方ヲシ一 7ンメンタメ 古器 ノ様 子 モ少 々加 尤 モ之 テ当時 ノ兵器 ヲ知 ノ便 リト ス。亀兵器之巻し. 几例 武功 之巻 ハ別 テ図 シカタシ。巻中秘 スル品 ハ略 シテ不図之。斥 候之巻 二到 テ地形 ノ事等普知所 ハ略之。粗図 スルモ ノ モ有之。︵ ﹃ 武功 之巻し. 右 の凡 例 に よ って各 巻 の内 容 の要 点 や著 述 意 図 等 を 知 る こと が でき る。 ﹁ 図 解 ﹂ は要 す る に附 図 に よ る解 説 であ り 、. 視 覚 的 教 材 用 具 であ り 、 これ の存 在 によ り事 柄 に よ って は極 め て理 解 を 便 にす る特 色 が あ る。 勿 論 事 柄 に よ って は図. 示 に困 難 を き わ め る も のも あ る。 ﹁ 撲 功 之 巻 ﹂の如 き は少 量 に と ど ま る し 、 反 面 兵 器 の如 き は図 解 を 便 と す る点 が大 き. ぐ 、 事 実 そ の図 解 は 二巻 に わ た って いる。 ﹁ 図 解 ﹂は 、辞 句 に よ る解 説 書 と し て の ﹁私 解 ﹂ の後 に著 述 さ れ た。 教 授 上. の参 考 資 料 と し て ﹁私 解 ﹂ がま ず著 述 さ れ た の であ ろ う が 、 口頭 に よ る解 説 のみ では 理 解 に困 難 を き たす こと が多 い. であ ろう か ら 、 そ のた め視 覚 的 教 材 用具 と し て ﹁図 解 ﹂ が著 述 さ れ た のであ ろ う。 ﹁ 図 解 ﹂は そ のよ う に本 来 視 覚 的 教. 材 用 具 な の で、 図 を 主 と し て解 説 は き わ め て僅 か であ る。 た と え ば ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ では 、 堀 に つ いて種 々 の堀 を図 示 し 、. そ れ ら に ﹁水 堀 ﹂ ﹁ 涸 堀 ﹂ ﹁堀 内 道 ﹂ ﹁ 障 子 堀 ﹂ ﹁立 堀 ﹂ ﹁ 捨 堀 ﹂な ど と 種 類 名 を挙 げ る に と ど め て全 く解 説 を施 さな い。 た だ堀 の作 り 方 に つ いて 、 そ の図 示 の外 に次 の解 説 を 添 え る。 これ は稀 な例 であ る。. 城 ノ方 ヲナ ルク城外 ヲ急 二堀 ヘシ。図 ノ格合 ニス ヘシ。 堀幅 十間 二深 サ四間 ハカリ ニシテ此格合 二穿 テ其 土 ヲ以 テ敷八 間. 二高 サ三間 ノ土居 ヲ築 ク ニ少 シ余 ルナリ。但四季 、 日伝。至 テ堀幅広 クト モ深 サ ハ様 子 ニヨル ヘシ。.
(8) (8)337. 私解﹂ 兵器 之 巻 図解﹂ の如 く文章形式 によ る解 説を多 く持 つも のも あ る。 これは頭注 に﹁ も っとも 、稀 には家蔵 の ﹁. 私解 ﹂に類 す る解説 の多 聞書 ﹂ の実体 は明らか でな いが、﹁ を多 く引用 し、本 文部 に ﹁ 聞書 ﹂ を多 く引用す る。 こ の ﹁. 私解 ﹂ に基 づ いて行 な った講義 の間書 であ るかも知 れな い。 ただしそ のような伝書 の存在 い点 からす ると、武貞 が ﹁. 聞書﹂ は これと は全 く異 り、簡略 な メモ的 に ついて確 認 す る ことは できな か った。 現在金 沢市 立図書館 に蔵 さ れる ﹁ 記 述 を持 つも のにす ぎな い。. 国 ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ を 中 心 に し て. 有 沢派兵 法 学 の体系 の中 では、軍詞 は平侍 たる 疋夫 の心得 る べき兵 学中 の 一部 門 とし て位 置 づけられた。 そ のこと. 武教全書 ﹂ にお いて 小勇 之 巻 ﹂ に納 めら れ、平 士 の教養 と さ れ た。 そ のことは山鹿 素行 の ﹁ ついて主 と し て論 じ る ﹁. 武者 詞 の巻﹂ は平 士 の戦闘行動 に 軍鑑挙要 ﹂ にお いても ﹁ は有 沢派独特 の方法 と いう わけ ではな い。 既述 のよう に ﹁. 小身 の士 軍詞 之事 ﹂ の項 で説 かれる。 これ は以後 の各 種武者 言葉集 にお いても 一貫 し て いる こと も 同様 で、 そ れ は ﹁. 撲功 之巻 ﹂ に当 たる のであ ろう。 ま た永貞 の子武貞 はそ の著 ﹁疋夫之抄 私解﹂ で次 のよう に 之善悪 ﹂ を説 くも のが ﹁. 其働 軍容之巻﹂ に当 たり ﹁ 軍中 ノ常 法﹂を説 くも のが ﹁ こ のうち ﹁ 戦 陣 ノ名 目﹂を説 くも のが ﹁軍詞之巻 ﹂ に当 たり ﹁. 士トシテ戦陣 ノ名目軍中 ノ常法其働之善悪不知之而何 ヲカ勤何 ヲカ為 ン。. 軍詞 之巻 ﹂ の序相当 で次 のよう に述 べる。 あ る。 そ のこと に ついては、有 沢永貞 は ﹁. 撲功 之巻﹂ の三巻 であ り、あと の二巻 が追加 で 軍容 之巻 ﹂ ﹁ 軍詞 之 巻 ﹂ ﹁ は、正編 と追 加 と の二部 に分 かれ、正編 は ﹁. 武功 之巻﹂ の五巻 の中 の 一部 であ る。 そ の﹁疋夫之抄 ﹂ 器 之巻 ﹂ ﹁ 撲功 之巻 ﹂ 〓︵ を構成 す る ﹁軍詞 之巻﹂ ﹁ 軍容 之巻 ﹂ ﹁. 、 と思 われる。 有 沢永貞 の体系 にお いては、 ﹁軍詞 之巻 ﹂ は 疋夫 を対象 とする ﹁疋夫之抄 ﹂ の 一部分 であ り ﹁疋夫之抄 ﹂. 田. 勇 雄 島.
(9) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論. 336(9). 述 べて いる。. 軍詞軍容撰功 ノ三巻 ハ全体甲州流ノ古法ヲ以テ書之。其事 ノ不足 二於テ且別家 ノ書 ヲ以補之迄也。故 二其真理ヲ尋問トキ. ハ皆古法 ヲ以知之。追加 ノ如キ ハ不然。古法 二依事少 ニシテ武功 ノ書 ヲ集テ永貞私記 スル所ナ レハ追加トス。奥書 二述 ル 如 ク其品際限ナク其事 ノ是非決 スヘカラサレハ唯見聞 スル所 二随 フ也。依テ コレヲ追加トス。. ﹁ 軍詞 軍容撲 功 ﹂ の三巻 は甲州流 の古法 を基準 にし て書 き、足 りな いと ころを別家 の書 で補 った。 それ でこれらを. 正編 とす る。 し た が って こ の三巻 は典拠 がし っかりし て いる。 と ころが続 く 二巻 は、永貞 が私見をも と にし て書 いた. も のな ので典拠 とす べきも のはな い。 それ でこれは追 加 とす る のであ る。 そう いう のであ ろう。﹁ 甲州流 ノ古法﹂とは. おそらく ﹁甲陽 軍 鑑﹂を さす のであ ろう。﹁ 別家 ノ書 ﹂と は明ら か でな いが、甲州流 の 一派北条 氏長 ら の著 述をさす か、. あ る いは他流 の著 述 をも含 めて言う のであ ろう か。 と にかく ﹁疋夫之抄﹂中 の五巻 の中 に正編 の扱 いを受 ける三巻 と. 追加 の扱 いを受 け る 三巻 の違 いのあ る ことは明ら か であ る。 そ のことは内容上 の相違 とも関連 す る。 つま り、軍詞 に 関連 する のは正編 の三巻 であ り、追 加 の二巻 は そ れと は直接 の関係 を持 たな い。. ﹁ 軍詞之巻﹂ の内 容 は二部 に分類 され、第 一部 では兵 学 用語 が備定 ・行列 ・営法 ・城取 ・武者分 ・制法 の六項 に分. 類 され、それら が更 に若千 に下位分類 され、それぞれ に兵学 用語 が列挙 されると いう方式 を取 る。 第 二部 ではあらた. め て項目名 とし て ﹁軍詞﹂ を設け、以下 に兵学 用語 や戦場詞 を中 心 にし てそれを文章形式 で解説 す ると いう方式 を取 。 ﹁軍詞 之巻 ﹂ がそ のよう な内容 を持 つこと は記述 し た。 る宍後述 ︶. ﹁軍鑑挙要﹂ の武者 言葉集 では分類 概念 とし て の項 目名 を定 めず逐次列挙 す ると いう方法 を取 って いたが、﹁ 軍詞之. 巻﹂ では項目名 を定 めて、関連 の単 語 をそ の項 目名 のも とに 一括 し てある。 要門流 の ﹁武者 言葉大概﹂ のごとき は、. 項 目名 を定 めるも のと定 めな いも のとを混在さ せ てお り、十分 には体系的 でな いし、 そ の後 の武者言葉集 にも分類不. 十分 のも のが多 いが、 こ の点 では ﹁軍詞之巻﹂ はすぐ れ て いる。有 沢永貞 の体系 的思考 法 の感得 されると ころである。.
(10) (lθ )335. 勇 雄 田 島. 、 そ れ ら は ﹁軍容 之. 次 に、 ﹁ 軍 詞 之 巻 ﹂の内 容 、即 ち 永 貞 の認 め る軍 詞 の範 囲 が兵 法 学 用語 の中 でも か な り限 定 さ れ たも の であ る こと が 、 、 、 、 、 知 ら れ る。﹁軍 鑑 挙 要 ﹂と の比 較 か ら 言 え ば 陣 の備 え や 城 の構 造 の 一般 論 戦 場 への行 軍 途 中 の宿 泊 地 の布 陣 兵 器 、 軍 鑑 挙 要 ﹂は戦 場 への 戦 闘 のた め の約 束 事 、 戦 闘 要 員 ま でを ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ は 軍 詞 の主 た る も のと す る。 そ れ に対 し ﹁ 、 、 、 、 主戦 ・ 行 軍 に関 す るも のを 欠 く が 、 戦 闘 行 為 に関 す るも のを多 く 含 め る。 即 ち戦 闘 論 一般 夜 戦 物 見 伏 見 攻 守 ︵. 、勝 敗 、高 名 不 覚 、 軍礼 関 係 な ど に関 す るも の が含 ま れ る。 ﹁ 軍 詞 之 巻 ﹂では そ れ ら を 除 外 し 客戦 ︶. 、 撰 功 之 巻 ﹂等 に納 め てあ る。 通 常 、 軍 詞 や武 者 言 葉 の語 に よ って理 解 さ れ る よ う な 事 柄 のう ち 主 と し て戦 闘 行 巻﹂﹁. 為 以 前 に関 す る も の、 戦 闘 のた め の前 提 的 行 動 に限 り 、 そ れを 表 現 す る兵 学 用語 を ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ こと にそ の第 一部 に 納 め た と言 って よ い であ ろ う。 ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ の内 容 の大 綱 及 び そ れ の記 述 法 の二 ・三 を 示 せ ば次 の如 く であ る。. 三箇 之大本 手 分 手配 手組. 備定 二之備 陰 陽 奇正 o懸待 三之備 天 人 地 備押 之作法. 行列 頭奉行 ハ先 二乗 。 先 ヲ右ト シ右 ヲ先 ト ス。 一行二行 ハ道 ノ広狭 二随 フ。 早静行止 ハ太鼓 ヲ以 テ定 。 道悪 ク ハ作 テ押 。.
(11) 兵法 諸流 と武者言葉 集 との関係 につ いての試論. 334(11). 一日 二押 道 積 。 家 中 旗 本 旗 ノ押 様 。 陣 取作 法. 営法. 陣 場 奉 行 之事 小 屋 刻 人 数 配 諸 役 者 置様 虎 口明様 篠 垣 蹴 出 外 張 掻 上 ﹂ 遅土居 張 番 カギ ・物聞 ・ 本 箸 捨等 陣 払備 右 座 備 ・行 列 ・陣 取 、戦陣 三之備 卜云。 古 今 定 理 之 軍法 也 。 城取. 城 三様 平城 山城 平 山城 ン 縄 張 ・虎 口 ・門 o馬 出 ・郭 ・横矢 t設 鶏 o土居 ・堀 ・屏 高 下 ・櫓 o橋 o三 段之 堅 固 ・城 品 々 侍 大 将 武者大将. 武者 分 足軽 大 将 六奉 行 武者 奉 行 二人 御 旗奉 行 持鑓 奉 行 二人 制法 太 鼓 螺 鐘 拠 旗 集 或纏 ・円居 馬 験 守 旗 見 せ旗 軍詞 一勅 ヲ蒙 テ朝敵 ヲ退 治 二行 ヲ節 度 使 卜 云。 征 伐 ト モ追 討 ト モ進 発 ト モ発 向 ト モ云。 一公 方 官 領 之 出 陣 ヲ ハ御 動 座 卜云。.
(12) (12)333 勇 雄 田 島. 。 味 方 ノ人 数 ハ幾 手 二備 タ ルト云。 敵 ノ人衆 幾 キ レ ニ備 タ ルト云 。 味 方 ノ手 負 ヲ ハ射 サ セ タ ル ・突 セタ ル ・切 セ タ ル上 ム 。 御 馬 イ テ マイ レ ・ ツ レテ マイ レト 云。 引 テ マイ レト云 ヘカ ラ ス. 、 事 に あ る も のを承 け たも の な お こ れ ら のう ち ﹁軍 詞 ﹂ と あ る のは 山 鹿 素 行 の ﹁武 教 全 書 ﹂ の ﹁小 身 の士 軍 詞 之 ﹂ 、 し た か と思 わ れ るも の で、 であ る。﹁ 軍 詞 之 巻 ﹂に は そ れ ら が五 十 二 項 目 挙 げ てあ る が そ のう ち 十 六項 目 は永 貞 の増 補 枢蜜 じ る よ う な も のが多 い。﹁ ば 他 は ﹁武 教 全 書 ﹂ に載 る。 そ の十 六項 目 も ﹁武 教 全 書 ﹂ の解 説 を 発 展 さ せ れ 自 然 に生 ヽ 、 こ のよ う な こと が あ っ. で 要 論 ﹂ に よ れ ば 、 永 貞 は 寛 文 二年 に叔 父関 屋 政 春 を 経 て ﹁武 教 全 書 ﹂ を相 伝 さ れ て いる の. 感 を持 つ ﹁軍 詞 ﹂ の項 の存 す る ても 不 自 然 で はな い。 こ の こ と に よ って ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ の中 に全 巻 の傾 向 と は や や違 和 述 は解 消 さ れ る わ け であ る。 な. 、 これ は ﹁ 出 陣 ヨリ合 戦 終 ル迄 ﹂ の巻 であ る。 二 ・三. 、 武 貞 は これ ら が ﹁武 教 全 書 ﹂ に基 づ く も のであ る こと を 知 ら な か った よ う であ る。. こ と への疑 念 は解 消 さ れ る。 軍 詞 の実 体 に は若 千 曖 昧 な 要 素 が感 じ ら れ る と の私 の既. お 、 ﹁私 解 ﹂ を 検 す る に. ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ の記 述 内 容 と の関 連 か ら ﹁軍 容 之 巻 ﹂ に 及 べ ば 例 示 す れ ば 次 の如 く で あ る。. 出陣 ヨリ合戦 終 ル迄陣 中 作法 。 一諸侍各 寄親組頭備 頭 ノ下知 ヲ守 り万事 少 モ違背有 間敷 事 リ 。 敷 り立城 へ取寄巻 ホグ シ 一陣中備押 ョリ合戦 終 ル迄貝太鼓 二随 フ ヘシ 押行押留 り或 急 キ或静 マリ人数 ヲ揃 へ備 ヲ立居 下 。 懸 ル時守 返 ス時 何 モ太鼓 ヲ以 テ ス。 紛 レナキ様 二大鼓 ノ打様 ハ物 頭 ョリ言渡 ス事 ト ル 。 一敵 ノ首討 取時 児文有 。業 尽有生 雖放不 生 故宿人殿 同生 仏果 卜三反 トナ フルモノ 言伝 也 。 。 一今 日合戦 日暮 明 日首 実検有 之時 ハ各討 取首 二札 ヲ付 ル 札 ノ杵様付様 ノ事 小迫合大 合戦様子丼勝 軍負 軍 ノ事 屋等 ヲ焼或 ハ夜中 二如此 ノ働 ヲ 小迫合卜言 ハ両方トモ ニ本大将 ハ不出 シテ侍大将足軽大将互 ノ境ロ ニ出合或 ハ敵 ノ宿 城根小.
(13) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論 θ32(13). ナ スヲ夜討夜込卜言也 。或 ハ能場 ニテ馬 ヲ入乗 込乗 切ナト言動 アリ。所 二依 テ伏 ヲ設 テ敵 ヲ引懸半途 ヲ討。 是 ヲ察 シ是 ヲ. 防等 ノ小 サキ武功 ハ皆 小迫合 ニアル手段也。亦国持大将対陣 之内 一手 二手場中 二出 テ迫合 ヲナ シ城責 ニ ハ虎 口際 ニテ押 込. 押 出 シ日之内 二幾度 モセリ合事有 テ勝 テ モ負 テ モ二三町 ノ内 ヲ追 返 シ或 引取 テ十廿三四十程宛互 二討 レテ勝負 ヲ争 フ如 キ. ノ業 ヲサ シテ小迫合 卜定 メ勝負 ハ人 ノ多 ク討 レタ ル方 ヲ負 ト ス。 惣 テ戦 ノ勢 ヒ ハ唯 一二人 ノ勝負 モカチ タ ル方 二其 イキヲ ヒ ヲ増 トイ ヘト モ小迫合 一両度 ノ勝敗 ハ本大将 ノ競 ヒ後 レト ハサ ノミナ ラサ ルモノ也。事 ニヨルトイ ヘト モ大 概如此。大 合戦 卜云 ハ ︵ 略︶. 敵 国 へ働 入 卜我国 へ敵 ヲ引請 ルト様 々ノ品有 之。 先敵国 へ働 入 ノ刻肝陣 ノ次第陣中 ノ作法 ハ初 二書 力如 シ。 猶其事 ヲ言 ン. 客戦 ・主 戦 ニ先 其国 ノ案内 ヲ聞山川切所険難 ノ地利 ヲ考其身 ノ手柄 ヲ陣前 ヨリエ夫 ス ヘシ。 城責籠 城. 重 貝ル ニハ時 ニョルトイ ヘト モ先敵 城 ヲ去 ル事 二三里 ニシテ陣付仕卒 何 レモ腰兵 糧二人 敵 ノ居城或 ハ枝 城 ニテ モ永 ク囲 ン一 略︶ 前 アテ仕度 シテサキ ヘ物 見 ヲ進 メ地利 ヲ見朝卯辰 ノ刻 二押寄虎 口 々々ヲ押 ヘテ繰懸 リ ニ取寄其後 ニテ陣 小屋 ヲ掛 ル也 ︵. 出 陣 ヨリ合 戦 終 ル迄 ﹂ の こと であ り 、 そ れ は ﹁軍 鑑 挙 要 ﹂ の武 者 言 葉 集 に は そ れ に ﹁軍 容 之 巻 ﹂ に述 べる こ と は ﹁. 、 、 関 す る単 語 が あ り、﹁ 軍 詞 之 巻 ﹂には欠 け て いたも の の 一部 であ る。 そ う いう 意 味 でも ま た 一般 の解 釈 でも これ ら. 軍詞 は 軍 詞 に納 め るも の であ り 、 そ の点 これ は ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ の延 長 と 考 え る こと も でき る が、 そ れ を 弁 別 す る点 に 、﹁. 之 巻 ﹂ の特 徴 があ る と いう こ と も でき る。 事 実 、﹁ 軍 詞 之 巻 ﹂と ﹁軍 容 之 巻 ﹂ と に は、 そ の記 述 方 法 に根 本 的 な 相 違 が. 認 め ら れ る。 そ れ は ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ で は単 に兵 学 用 語 を列 挙 す る に と ど め る と いう 方 法 を 取 り 、 委 細 は講 義 の際 の解 説. に ま か せ た の であ ろう と思 わ れ る方 法 を 取 って いる。 そ れ に対 し ﹁軍 容 之 巻 ﹂ の内 容 は主 と し て戦 闘 行 為 に関 す るも. の であ る が 、 そ の記 述 方 法 は そ れら に関 す る 用 語 を 列 挙 す る も の で は な く 、 ま ず 戦闘 行 為 に伴 う各 種 の作 法 、 も し く. は各 人 の心 得 と か部 下 に対 す る 注意 事 項 と か を 細 か く箇 条 書 に し て示 す。 そ の点 に本 巻 の目 的 が あ る と 言 え そ う であ. る。 ま た 、 小 迫 合 と は ど う いう も のか、 ど んな 場 合 があ りう る か な ど を 文 章 形 式 で説 明 し 、 そ の行 間 に各 種 の兵 学 用.
(14) (14)3θ 」. 、 語 を駆使 す ると いう方法 を取 る。 用語 を列挙 す る ことを主目的 と せず 、各 種 の戦闘情 況 を理解 せし め て 諸侍 の行 動. 基 準 を理解 せし める のを目的 とす る。 そ の解 説 の際 文脈 にかな った兵 学用語 は提 示す るが、関連 す る用語 が多 数 あ る. 場合 も 、 そ れ ら は捨 てて用 いる ことを しな い。 こ の方法 は客戦 、主 戦 や城責 、篭城 の項 でも同様 に取 られ て いる。 し. た が って ﹁軍容 之巻 ﹂ に納 めら れ る兵 学 用語 は各 類 の代表的 なも のに限られ、そ の他 は省略 されると いう こと にな っ て いる。. 次 に ﹁撰 功 之 巻 ﹂ は功 名 の種 類 を 解 説 す る も の で、 これも 武 者 言 葉 集 の中 に含 め ら れ る こと の多 いも の であ る。﹁撲. 。 功 之 巻 ﹂ の解 説 は ﹁軍 容 之 巻 ﹂ と 同 様 に解 説 文 の中 に功 名 関 係 の兵 学 用語 を 点 在 さ せ る と いう 方 法 を 取 って いる た. 、 臆 病 者 軽 薄 働 之 事 ﹂の項 で は 首 の種 類 名 に つ と え ば 、﹁七 段 之 手 柄 ﹂の項 で は 一番 鑓 の各 項 に つき 精 し い解 説 を 添 え ﹁. 一 いて解 説 を 添 え て あ る が、 そ れ は も と も と そ れ が功 名 の軽 重 の判 定 に関 す る た め であ る。 他 は簡 略 に記 述 さ れ る。. け る実 検 使 の重 責 に つ いて述 べ る こと が あ る。 即 ち 戦 闘 の際 味 方 の勝 敗 に か か わ ら ず. 、 体 、 戦 闘 のあ と で功 名 の軽 重 に応 じ て 正 当 に賞 罰 を 与 え る こと は兵 家 の最 重 要 事 であ り ﹁疋夫 之 抄 ﹂に は 武 田家 に お 、 戦 闘 行 為 に全 く参 加 せず 客 観. 的 に観 戦 す る こ と に よ って味 方 の功 名 の軽 重 を 客 観 的 に判定 す る 役 者 の存 在 を 述 べ て いる。 撲 功 と いう こと は そ れ ほ. モ進出 ルトキ ハ其備 鍛先 ニナ リ敵 味方 ノ間 七八間 ナラテナシ。其時弓 鉄砲 ニアタリ深手 ヲ負或 ハ死 スル者 ヲ進出討 ヲ場中. 敵 味方 ノ間二 町程 二近 ョレ ハ早互 二鉄砲 迫合初 ル也 。此時心懸 次第 諸 侍長柄 ヲ越出 ヘシ。 猶敵合近 ョリ 一町 ノ内 二成 トキ c ハ早弓 足軽 モ矢 ヲ放 スモノ也。 其 間三十間斗 ニモ詰寄 ルトキ ハ足軽 ハ早侍 ノ跡 卜成也 此時勇者次第味方 ヲ離 五間 モ十間. 合戦初 ル相 色鑓 高名 ノ次第 並位定 之事. 撰 功 之 巻 ﹂ の項 目 や本 文 の 一部 を挙 げ る。 す る も の で は な いと思 わ れ る。 次 に ﹁. 軍詞 之 巻 ﹂のご と く術 語 を 挙 げ る こと を 目 的 と は す る が 、 た ま た ま 必 要 上 そ う す る ま で で あ って 、 永 貞 の意 図 で は 、﹁. ど の重 要 性 と 客 観 性 と を持 つべ き こと を 含 め て説 か れ たも の で あ ろ う。 し た が って そ こ では兵 学 用 語 が解 説 さ れ た り. 田. 勇 雄 島.
(15) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論 33θ (15). 高 名 卜言 。 担 猶 近 ク成 テ鑓 ヲ入初 ル ヲ 一番 鑓 卜言。 続 テ ニ番 鑓 アリ。 此 時 日比 ノ得 道 具弓 鉄砲 等 ヲ以 テ右 鑓 ニツ ツキ ヨリ. 打射 出 スヲ鑓 脇 卜言。鑓 ノ合 ウチ ニ手 負 死 人 ア ル ヲ其 首 ヲ討 取 ヲ鑓 下 卜言 。 〓 一 ノ鑓 々下 ノ高 名 過 レ ハ早 何 方 ソ崩 色 付 テ. ママ. 一番 首或 ハ甲付 高 名 卜号 シ抜 群 ト ス ル穿 備 ノ後 ヨリ崩 ル ル モ ノナ リ。 其 時敵 ヲ討 ヲ崩際 ノ高 名 卜言 。 担此 後 懸 之 追 首也 。 撃 甲州 流 ニ ハ無 之 事 。 ︵ 略︶ 右 七段 之手 柄 委 細 批 判事. 番 鑓 一場中 勝 負高 名 一鑓 下 一崩 際 一鑓 脇 一組 討 一生 捕 一敵 ノ雑 人等 討 所 ナ キ者 ハ家 来 ツ ヽ 一 一番 鑓 一一一 カ ハ生 捕 テ然 ル ヘキ事 一鼻 一験 一能 侍者 頭 ヲ討 事 一大 将 ヲ撃 事 一家 衆 翻 者 一守 返際 一打 留 ノ高 名. 味 方 勝 テ敵 ヲ追 時 働 之 事 味 方 退 返合時 働 之 事 一小 返 一 一手 守 返 ノ事 一惣 返 ノ事. 手 負 之批 判 ︵ 略︶. 略︶ 仇討 ︵. 一 一番 衆 一先 二進 屏 下 二付 事 一虎 口際 迫 合 一能 仕 退 事 一能 引 退 事 一味 方 ヲ助 ル事 一指 物 ヲ落 シ取 テ帰 ル事. 城責手柄之事. 略︶ 武道不 知 不 覚 之事 ︵ 略 ︶ 悪 気 臆 病 之 事 ︵. 奪 首 一味 方 討 一作 首 作 武 辺 一狭 鑓. 一大 将 二付 事 一大 将 二馬 借 事 一後 駆 ノ事 一後 ロノ高 名 一道 具 ヲ拾 事. 味 方惣 敗 軍 之 後 手 柄 之 事 不覚之 働. 臆病者軽薄働之事 一病首 一女首 一拾首 生得臆病者形儀事 ︵ 略︶ 放討 ︵ 略︶. 以 上 ﹁軍 詞 之 巻 ・軍 容 之 巻 ・撲功 之巻 ﹂ の二部 が ﹁疋夫之抄﹂ の正編 に当 たるも のである。. 武者言葉集 ﹂ と の関係 を項 目名 を中心 に形式本位 に比較 す ると そ の正 編 三 巻 の所 載 事 項 に ついて、﹁ 軍鑑挙要﹂の ﹁.
(16) (16)329 勇 雄 田 島. 両 者 は ほ ぼ相 対 応 す る関 係 にあ る こと が知 ら れ る。 し か し ﹁疋夫 之 抄 ﹂ に つ いて各 巻 の著 述 意 図 を中 心 に し て検 討 す. 、 軍 容 ・撲 功 と. る と 、各 巻 が そ れ ぞ れ 異 な る意 図 のも と に著 作 さ れ て いる こと が分 か る。 即 ち純 粋 に兵 学 用 語 の採 集 分 類 を 意 図 し た. のは ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ の み であ り、他 の巻 で は 軍 詞 は副 次 的 に記 述 さ れ る にす ぎ ない 。 軍 詞 と いう こと が. 並 立 さ れ る よ う な 位 置 を ﹁疋夫 之 抄 ﹂ に お いて与 え ら れ て いる。﹁疋 夫 之抄 ﹂は本 来 小 身 の侍 に対 し て侍 と し て の教 養. 。 を 説 く も の であ り 、 そ の こと は ﹁私 解 ﹂ に ﹁右 軍 詞 之 巻 ハ其 名 ロ ヲ挙 テ知 シ ム ル為 也 ﹂ と あ る こと に よ って知 ら れ る. 、術 語体系 中. そ の ﹁軍 詞 之 巻 の存 在 は 、兵 学 上 の術 語 教 育 を媒 介 に し た言 語 教 育 が 一つ の座 席 を 与 え ら れ て いた こと を 意 味 す る ﹂ 、 軍詞 之 巻 ﹂に挙 げ ら も のと思 わ れ る。 別 の面 か ら言 え ば 、 平 侍 に対 す る兵 学 上 の指 導 が ﹁疋夫 之 抄 ﹂ の範 囲 であ り ﹁ 。 れ る 軍 詞 に つ いて そ の学 的 知 識 に通 じ る こと が平 侍 の兵 学 上 の教 育 の全 て と考 え ら れ た の では な か ろう か 有 沢 派 に. お いて も 、兵 法 学 は指 揮 者 階 級 の学 問 と考 え ら れ て いた の で は あ る ま いか と 考 え ら れ る の であ る。. ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ の各 項 に配 置 さ れ た術 語 は 、 そ れ ぞ れ の意 味 分 野 に お け る術 語 体 系 と の関 係 で考 え る と. 、 城 郭 に関 す る事 項 は彼 の得 意 中 の得 意 であ り 、 そ れ に関. 。 の多 く の術 語 が欠 落 し て お り、 そ れ 自 体 決 し て十 分 な 語 彙 表 を 備 え て いる と は言 いが た い た と え ば城 郭 用 語 に お い て そ の こと が言 え る。 有 沢 永 貞 は 早 く か ら城 取 り を 研 究 し. 城 取奥 秘 九箇 条 疎 註 ﹂ ﹁城 取 奥 秘 城 取奥 秘 九 箇 条 ﹂ ﹁ 城 取 離 格 間答 ﹂ ﹁ 城 取 品節 抄 ﹂ ﹁城 取 本 元 抄 ﹂ ﹁ 連 す る 著 述 に は 、﹁. 平 山 城 之 図 ﹂ ﹁甲陽 軍 鑑 疋 夫 之 抄 五 城 之 図 ﹂ 等 の多 数 を 数 え る。 そ れ ほ ど の専 問 家 で 城 図 ﹂ ﹁諸 国 城 図 附 録 ﹂ ﹁ 口解 ﹂ ﹁. 、 あ る にも か か わ ら ず ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ に採 用 し た城 郭 関 係 用 語 を 北 条 流 の遠 山 信 景 が ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ の再 編 以 前 に公 刊 し. 、︺ 早な る語 彙. 、 今我 わ れ が不 備 と思 わ れ る よ う な 形. 、 永 貞 が 元禄 二年 に本 書 を再 検 討 し た際 、 そ の つも り でさ え あ れ ば既 刊. 承 応 二 年 刊 ︶と比 較 す れ ば 、語 彙 量 に お いても 関 連 語 の意 味 分 野 に お いても不 備 な点 を多 く持 って い た ﹁士 鑑 用 法 ﹂ ︵ る こと に気 付 か さ れ る。 そ れ ら の不 備 な 点 は. の ﹁士 鑑 用 法 ﹂ を契 機 に し て でも 十 分 改 稿 し え た はず であ る。 にも か か わ ら ず. 、 。 のま ま 、 残 置 し た の であ ろ う のに は 、 そ れ な り の意 図 のあ った こと と思 わ れ る 即 ち 永 貞 に と って は.
(17) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論. 328(17). 量 の増大 とか項 目数 の増 加 とかが軍詞 の指 導 に ついて の最大目標 ではな か った のであ ろう。 それら のこと に つ いては 城取 り に関 す る各 種 の指導 に際 して十分 になしう ると考 え た こと であ ろう。. 軍詞 の指導 に ついて永貞 が何を意 図 し た か、それ に ついて永貞 は述 べな い。 が、武貞 の ﹁ 私解﹂ の解説 がそ れ に つ. いて恰 好 の資料 を提 供 し て いる。既述 し た よう に、﹁ 天下 ノ軍 サ コト バ ニシテ通 用 ノ詞 ナリ。私 ノ軍法 ニテ諸国 二不 知. コト バ ハ用 ル ニ不 足﹂ と規定 して いる。 軍詞 の定義 にあ た って、﹁ 天下 ノ軍 サ コト バ﹂であ る ことと、﹁ 通 用 ノ詞 ﹂であ. る ことと の二 つの条 件 を挙 げ て いる。 ﹁ 天下 ノ軍 サ コト バ﹂である こととは、幕 府 の御 用兵学 とし て の甲 州流 の兵 学. 用語 を さす のであ る べく、 それは ﹁ 私 の軍法 ニテ諸国 二不 知 コト バ﹂とし て の、他 流 の兵 学 用語 で 一般的 に使 用 さ れ て. いると は必ず しも言 えな いような用語 に対 す るも のであ る べく、同時 にそれ は軍詞 におけ る標準語意識 、 もしく は学術. 用語 とし て の兵 法 用語 の基 準意識 のよう なも のを持 つも のであろう こと に ついては既述 し た。更 に ﹁ 私解 ﹂ に述 べる. 疋夫 之抄 ﹂ の正編 三巻 が ﹁甲州 流 ノ古法 ヲ以 テ書 ﹂ かれ、足 りな いも のは ﹁ よう に、﹁ 別家 ノ書 ヲ以補﹂われると いう 手続 によ って いる ことも そ れを権威 づけ るも のとし て考 えられたかも知 れな い。. 永貞 の意 図 し たと思 わ れる軍詞は、兵 学 用語 のうち、戦場 における戦闘 以前 の行 動 に関 す る術語 に限定 され るし、. そ れらも古典 に典拠 を有 す るも のに限定 さ れる。 おそらく永貞 はそれら の術 語 こそ が兵法学 一般 に通 じ る学術 語 たる. にふさわし いも のであ ると考 えたのではあ るま いか。 も っとも永貞 はそ のこと に ついては述 べて いな いが。 も っとも. ﹁ 私解 ﹂中巻 の ﹁ 屋敷 構﹂ の解説 に見ら れ るよう に、﹁ 軍詞﹂は特定 の視座 から判定 されたも のではあろう。 即 ち、居. 宅 とし て の ﹁ 館 ﹂ は堀 な ど構 え てあ るが、 それを ﹁ 急難 ヲ辟 ルノ便 リト﹂ と解 す る立場 から これを ﹁ 軍詞屋敷 構 ﹂ と. 称す る。﹁ 館 ﹂を兵 学 用語 から除 き、﹁ 屋敷 構 ﹂を兵学 用語 に加 える。 ま た ﹁堀﹂ に つき これを ﹁ 水堀 ・洞堀 ・障 子 堀 ・ 立堀 ・捨 堀﹂ な ど の用語 に分類 する。 そ こにも ﹁軍詞﹂ の性格 が見ら れる。. 武貞 は少 し違 う。 少 な くとも武貞 は、永貞 が ﹁軍詞之巻﹂ の中 に素行 の著 述 に由来 す る ﹁ 軍詞﹂ の項 を添付 し た こ.
(18) (18)327 勇 雄 田 島. と に つ いて の永 貞 の意 図 を 知 ら な か ったも のと思 わ れ る。 と いう のは ﹁私 解 ﹂ に お け る ﹁軍 詞 ﹂ の項 の解 説 に次 のよ. 武 教 全 書 ﹂ の当 該 項 の こと に は触 れな いか ら であ る。 う に述 べ、 以 下 の項 に も 素 行 の ﹁ 軍詞. 是 ヨリ末 二書所 ノ軍詞 甲州流 ニモ限 ラ ス天下通 用 ノ詞也。 惣 テ軍サ詞 ヲシラザ レ ハ縦 へ二三度働 キ アリテモ殊外弓矢 ノ作 法 不案 内 二見 ヱテ不 宜 モノト云々。 結要本 ニモ此事 ヲ述 タ リ。. 武 貞 は こ の ﹁軍 詞 ﹂ を ﹁軍 サ詞 ﹂ と解 し 、 ﹁甲 州 流 二限 ラ ス天 下 通 用 ノ詞 也 ﹂ と解 説 し た。 こ の解 説 は ﹁私 解 ﹂ の. 軍 詞 之 巻 ﹂に つ いて ﹁天 下 ノ軍 サ コト バ ニシ テ通 用 ノ詞 ナ リ﹂ と 解 説 し た見 地 と も 共 通 のも のであ る。 し て 冒 頭 で 、﹁. み る と 、 武 貞 に お いて は ﹁軍 詞 ﹂ は ﹁軍 サ 詞 ﹂ であ り 、 自 流 の軍 詞 は ﹁当 時 江 戸 ノ御 軍 法 モ皆 甲 州 流 ナ ル ユ ヘ ニ天 下. 悉 是 ヲ用 ル多 シ﹂、即 ち 甲 州 流 が幕 府 の御 用 兵 学 と な った た め他 流 も 甲州 流 兵 学 の用 語 を 使 用 し 、 そ の結 果 甲 州 流 の兵. 学 用 語 は 天 下 通 用 の兵 学 用 語 にな った の で あ る 、 と いう こ と にな る。 し か し 永 貞 は 軍 詞 を 六項 目 に分 類 し て そ れ ら に. 武 教 全 書 ﹂ に基 づ く ﹁軍 詞 ﹂ そ の他 を 挙 げ る。 永 貞 に と って は ﹁軍 詞 ﹂ 等 は参 所 属 す る 用 語 を 挙 げ 、 後 半 に素 行 の ﹁. 考 資 料 に 過 ぎ な か った の であ ろう。 素 行 は ﹁小 身 の士 軍礼 品 々﹂ に関連 し て ﹁軍 詞 ﹂ を 挙 げ た。 永 貞 には素 行 の立 場. が 理 解 さ れ て いた で あ ろ う。 し た が って実 地 の教 授 上 でそ れ を ど のよう に運 用 し た か は 明 ら か でな いが、永 貞 自 身 の. 軍 詞 に つ いて の解 釈 を つき く ず す ほ ど の重 みを そ れ に与 え な か った であ ろ う こと は容 易 に考 え ら れ る。 要 す る に 、 軍. 兵法 ト 詞 と いう 語 の把 握 に つ いて永 貞 と武 貞 と に は岨 師 が あ った の であ ろ う。 そ れ は 、兵 法 実 学 を旨 と す る永貞 と 、﹁. 云 ワ士 法 卜 云 事 也 ﹂ と す る 武 貞 と の思 考 上 の差 違 に由 来 す る も の であ ろう。 そ れ は単 に個 人 の体 質 的 相 違 と いう こ と. だ け に関 連 す る こと で は な く 、時 代 の思 潮 の変 遷 にも 関 連 す る こと な のであ る かも 知 れ な い。. 永 貞 の兵 学 体 系 に お け る ﹁軍 詞 之 巻 ﹂ の位 置 づ け は ど う な る の であ ろう か。﹁ 軍 詞 之 巻 ﹂に お け る術 語 は そ れ ぞ れ の. 語 彙 分 野 の中 で占 め る座 席 が量 的 に は決 し て十 分 な も の で は な い。 永貞 は 軍 詞 を 六 種 の語 彙 分 野 に分 類 す る。 こ れ を.
(19) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ い ての試論. 326(19). 六種 の語彙 体系 に分類 す ると理解するなら、 そ れぞれ の語彙 体系 を小数 の術語 で代表 さ せるにとどめて いるわけ であ り、そ れは決 し て語彙 の充 実 による術語教育 の充実 を所期す るも のとは言 えな い。 永貞 の意図 はそ のことにはな か っ. たわけであろヽ 永貞 は有 沢派兵 学 の体系 を樹 立 し た人 であ る。 フ。 部分的充実 には本来 興味を持 体系 的思考法 には長 じ るが、. たな か った であ ろう。 おそら く永貞 の意図 は、 甲州流学徒 に対 し言語的観点 からそ の兵法学 の優越性 に対 す る自覚 を迫. ること にあ った のであ ろう。 私解 ﹂の冒 頭 におけ る辞句 によって知ら れる。 即 ち ﹁ 私 ノ軍法 ニテ諸国 二不 知 コ その と は﹁. トバ ハ用 ル ニ不 足﹂ であ る が、甲州流 の兵 法 用語 は諸 流 一般 に用 いる用語 な ので ﹁天下 ノ軍 サ コト バ ニシテ通 用 ノ詞. 。 ナリ﹂ れはも ち ろん ﹁ それは武 と いう こと が でき る、 私解﹂におけ る武貞 の解 説 ではあるが、 ﹂ とす る点 にそれ が見 ら れる。ゝ. 貞 が平素 永貞 から聞 き知 ったも のであると解 す る こと が でき る。そ のような自党 に立 って、兵 学用語 のうち戦闘以前. のも のに限 ってそ れを ﹁軍詞 ﹂ と命名し、そ れを六分 野 に分類 す る点 に ﹁ 軍詞 之巻 ﹂ の特性 が見 られる のであ る。. 武者 言 葉集 を兵 法学 の体系 の中 へ導入 し たばあ い、 そ れにど のような学的意義 を期待 す るかは、兵 法学 の流派 の違. いによ って相違 す る こと が多 く、常 に同 一と いう ことは できな い。 甲州流祖 小幡 景憲 の指導 のも とに成 立した ﹁軍 鑑. 挙要﹂ のばあ い、既述 のよう に主たる目的 は ﹁甲陽 軍鑑﹂ の読 解 を容易ならし め る点 にあ ったと思 われる。 そ の小幡. 景憲 の弟 子 であ り有 沢永貞 にと っては師 であ る山鹿素行 は、軍詞を小身 の侍 の心得 るべき軍札 に関す るも のとし て述. べて いる。 素行 にと って兵 法 学 は士道 におけ る実学 とし てあ るも のであり、 そ のような 立場 から素行 は軍詞を説 いた。. 武教小学﹂ の ﹁ 素行 は言語 教育 に ついては ﹁ 言語応待 ﹂ の項 と か、﹁ 山鹿語類 ﹂巻 第 二十 一の ﹁ 慎言語﹂な どにお いて. そ の基本 的姿 勢 を述 べて いる が、﹁ 武教全書 ﹂の軍詞 は小身 の士 の心得 るべき具体 的 事項 とし て説 かれたも のと理解 す. ﹁ る こと が でき る。 軍詞乾押 之巻 伝記﹂ にお いて、 伊藤 幸 氏 の言 と覚しきも のによって 諸 礼 家 とし て の小笠原流水島 派 では、. ﹁ 当 道 ハ軍詞 ヲ習覚 シテ仮初 ・ 学者 は武者 言葉 の具体的用法 を知 ≡ 人前 ニテ弱 キ詞 ノ禁句 ヲ吐 ヌ嗜専 要也 ﹂ と述 べる。 丘︵. 悉し、 そ の具体的使 用 に当 た って誤 ると ころ のな きを期 せねばならぬが、我 ら諸礼 家 の立場 はそれとは異 って いる。.
(20) (2θ )325. 雄 勇 田 島. そ れを 武 者 言 葉 に つ いて言 え ば 、 そ れ ら を 具 体 的 に習 得 し て武 者 言 葉 によ る言 語 的 交 流 の本 質 を 理 解 し. 、 必 要 に迫 ら. れ てそ れ を 使 用 す る場 に遭 遇 し た ば あ い、 そ の本 来 的 用 法 に か な う よ う に適 切 に使 用 す る こと こそ 当 道 の目 的 と す る. と ころ であ る。 幸 氏 の意 図 は そ こ にあ る ら し く 思 わ れ る。 武 者 言 葉 集 を小身 の侍 の た め の軍礼 指 導 の 一端 と す る も の. 、 に は要 門 流 の ﹁武 者 言 葉 大 概 ﹂ を 初 め数多 く 挙 げ る こと が でき る が 多 く の現 存 の武 者 言 葉 集 で は兵 法 学 体 系 の中 で. 、 の座 席 も 定 ま ら ぬ し 、 武 者 言 葉 の概 念 さ え も 明確 でな いこと が多 い。 そ れら に比 較 す れ ば これ は 甲 州 流 諸 派 はも ち ろ ん他 流 一般 の中 でも 、確 手 と し た座 席 指 定 を 持 つ稀 な 例 の 一つであ る。. 未 注 田 杉 本 勲 氏 ﹁近 世 実 学 史 ﹂ の研究 ︵ 徳 川思 想 史 研 究 ﹂ ︵一九 六 七 、 昭 和 三 七 年 、 吉 川 好 文 館 ︶。 田原 嗣 郎 氏 ﹁ 米 社 ︶な ど。.
(21) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論. 324(21). ニ ッ之 備 キ︲ ケ ‘イ 奇 正 懸 待 陰陽 . 言語資 料 注。 ﹁疋夫 之 抄 ﹂ は有 沢永貞白 筆 本 と さ れ るも の ︵. 〓弓之備 七 段之 備. 天 人 地. 私 解 ﹂ も とも に金 によ る。 ﹁疋夫 之 抄 ﹂ も ﹁ 沢市 立 図 書 館 蔵 本 によ る。 ︶. 之 先 小 荷 駄奉 行 備 一之先 一一. 則備 脇 備 右 左 旗 本 一. 此外 遊 軍 アリ 或 浮 勢. 夫 兵 法 ノ教 其 事 繁 フシ テ其 品多 シ 是 ヲ導 ク ノ諸 流 事 理本 末 ノ弁 見 聞 ス ル ニ暇 ナ シ 鉄ガ ニ士トン プ戦 陣 ノ名 目 軍 中 ノ常. 略︶ 図云 ︵. 騎 侍 五 十騎 組雪 一. 一備 手 組. 法 其 働 之 善 悪 不 知 之 而何 ヲ カ勤 何 ヲ カ為 ン 故 二其 至 近 ニシ テ不 知 シ テ不 レ 叶 ノ品 々 ヲ集 而 疋 夫 之抄 ト ス 如 レ 此 ノ雑 記 近 世其 類 無 ニア ラ ス 然 ト モ其 利 多 ク ハ私 二出 テ戦 国 ノ風 儀 二遠 キ ア リ 故 二甲陽 軍 鑑 ハ中 興 軍法 ノ亀 鑑 ニシ テ其 伝 広 シ. 騎 鉄砲 弓 足 軽 五 十 人 大将一一 騎 長柄 五 十本 奉行一一. 騎 旗 本 五 本 馬 験 二本 奉行一一. 其書多其言 一 依 レ之 余 亦 若 年 ヨリ学 之 粗其 要 旨 ヲ聞 然 ル 一 繁 フシ テ或 勤 仕 無 二閑 暇 一或 老 学 無 余オ 而始 終 ヲ聞 正 ス事成 カ タ キ ノ士 二於 テ当 務 ヲ以 早 々知 シ メ ント欲 ス ル ニ有 而 巳. ン 侍大 将 麒 欧繊 持筒 持弓 持鑓 歩者書アリ 自分ノ侍有之則 役 略︶ 五行 座 備 之 図 ︵. 騎 馬 大 近習 奥 近 習. 旗 本 或 大 備手 組. 備定. 長柄 役 長 柄 御長 柄. 足 軽 先 足軽 持 足 軽 手 分 手 配 手 組. 三 箇 之大 本. 軍 詞之 巻. 兵 法 抜 書 疋夫 之 抄. 後 イ 薦.
(22) 旗 惣 旗 御 旗 右 段 々頭 奉 行有 之 歩 行 衆 組ヲ分 頭ヲ分 小 人中 間 上 ・ 一 同 ハ奉行 使番 目付 横目 諸 役者 ェ. ︵ 図略 ︶. 右 之 外 戦 用無 之 役 人 数多 有 之. 先 衆手組 同 心 与力 組 相 備. 右備 立戦 法 之 変 化 握 勝 之 要 之. 警 固 日 明 実 験使. 行列 備 押 之作 法 頭奉 行 ハ先 二乗. 軽 柄 敵搬 丘 木馬 験 晦 慟 ﹁ 耐ば ﹂ 侍時 中 騎馬 、期 j 鼓 ﹂ ノ 旗 本 備 押 之 次第. 先 足 軽 役長柄 惣 旗 持 筒 持 弓. 御 馬 柄 使 番 御 乗 替 一 御 旗 馬験. 棚腑 持 鑓 越鼓 武者 奉 行 歩 行 衆. 餓 書 期 使番姫 御 慶 黒 大将神 効 麒 副 欄. 殿 足 軽 奥 近 習 大 近 習. 諸 軍備 押 之 次第 マ. 一之 先 一一 之先 一 則備 旗 本 右 脇 奉行 奉行 左 脇 後備 小 荷 騎 営法. 陣 場 奉 行之 事 小 屋 刻 人 数 配. 陣 取作 法. 一行 二行 ハ道 ノ広 狭 二随 フ. 先 ヲ右 ト シ右 ヲ先 ト ス. 早 静 行 止 ハ太 鼓 ヲ以 テ定. 張 番 カギ 物置 本 等 拾 箸 陣 排 備. 諸 役者 置様 虎 口明様 篠 垣 ヶ チ 卜 ピ 蹴 出 外 張 盤 上 ヶ 五 ヽ 土居. 道 悪 ク ハ作 テ押 一日 二押 道 積. 本 陣構作 法 モ 掻上 離虎溜 勝手. 出 仕 所. 家 中 旗 本 旗 ノ押 様 一手 備 押 之 次 第. 厩. (22)323 雄 田. 勇 島.
(23) 栖 櫓 見せ櫓 締 弊 楽 堂 棚 木 場 御旗 鑓立. 隠虎 口. 角 馬 出 丸 馬 出 辻 馬 出 曲 尺ノ 馬 出. 馬出. 相陣取 ︵ 図略 ︶. 捨 郭 惣 郭 出丸. 武者 走 り 雁木 合板 重坂 大走. 商 下 勾 倍 内 外 芝 土居 石 垣. 土居. 土居 屏 櫓 植 物 屋 敷. 蔀葬. 升 形 邪 屏風 折. 横矢. 郭. 曽馬 出 郭 馬 出 重 馬出 双 馬 出. 山陣 取 後 虎 口 脇 虎 口 腰 郭 人数 配 大陣取 大 人 数 之時 旗 本 用 之. 右 座 備 行 列陣 取 戦 陣 三 ッ之 備 卜 云 古 今 定 理之 軍法 也 城取 ン 城 二三 様 平 城 山城 平 ラ山城. 水 堀 涸 堀 堀ノ 内 チ 道 障 子 堀. 堀. 本 城 一三二之 郭 郭或曲輪卜書 内外惣テ丸卜ニム. 石打棚 出 屏 塵 落 棚 虎 落. 覆 裸 木 狭 間 鉄砲 弓 重 狭 間. 屏高 下 真 草. 捨 堀 糞 捨 塵 取 塵 防. 門 平 門 櫓門 扉 臀金 地伏 透門 挙城方 双虎口. 内 升 形 一之門 二之門 外 升 形 武者 屯 馬 屯. 虎口. 大 手 或追手 捌 手 陰 陽 之 縄. 縄張. 内 郭 外 郭 腰郭 横 郭 斜 郭. 惣 軍 連陳 取 ︵ 図略 ︶. 図略︶ 方齢陣取 ︵. 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論. 322(23). 立堀.
(24) (24)321 勇 雄 田 島. 二械 大小 一一 械 一. 渡 り櫓 着 到 櫓 水 櫓 升 形 橋升 形 袖升 形. ・ 天 主 或 ハ殿守. 土 橋 掛橋 引 橋 廊 下 橋 並 橋 長 橋 欄 干板 土橋 蔀. 歩頭 物奉行 御長柄奉 行 役長 柄 奉 行 惣旗 奉 行. 中間頭. 使 武 者 使番トモ 日付 横 目. 諸 士 近習 外様 直参 同心 与力 又者 歩 武者 徒虜 武者 青 葉者 或白歯 出法 武者 右之外 諸奉 行. 小 荷 駄奉 行 陣 場奉 行 普 請 奉 行. 此外 陣 中 諸 役 人 小 姓 咄 衆 納 戸 奉 行. 作 事奉 行 兵 根 奉 行. 足軽 大 将. 、 ′ 舞 朝 水 維 忍或 郎枷 蔀 波 ト モ算 ン勘 ン者 大 工. 文者 右 筆 軍 配者 出家 法印 使僧 医 者 本 外. 一芸 ヲ以 テ無 テ不 レ叶 役人. 軍戦 ノ用 二非 ス 其 家 風 二随 ヘシ 一枝. 御膳 奉 行 台所奉 行 賄方 等 ノ役 人 ハ. 組 頭 番 頭. 頭武者. 武 者 奉 行 二人 御 旗 奉 行 二人 持 鑓 奉 行 二 人. 六奉 行. 侍 大 将 武者大将. 武者分. 取 出 陣城 付 城 向 城 屋 敷 構. 国 主 居 城 郡主 居 城 境目 之城. 城品 々. 城 堅 固 守 成 ィ之 地. 郡 堅 固 防 戦 之 地. 国 堅 固 繁 昌 之 地. 三 段之 堅 固. 橋. 櫓.
(25) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論 32θ (25). ヵ ル ク 細 工 金剃 鍛 治 猿 楽 制法 太 鼓 螺 鐘 拠 旗 集 或組 円居 馬験 守 験 守 旗 見 セ旗 二ッ巻 袖 印 対 指 物 冑 前 立 一. ンヤ ク ト云 ト キ ハフル ト 棚 ノ木 ハサ クト云時 ハ付 ルト云 ヽ ム モ一. 味方 ノ人数 ハ幾手 二備 タルト云 敵 ノ人衆幾 キ レ ニ備 タ ルト云. 大 軍出 合 テ戦 ヲ合 戦 卜云 一手二 手 或 ハ足 軽 ニテ勝負 ヲナ. ス ヲ小 迫 合 或 ハ足軽 合 ナ ト ヽ云. 一定 レル勢 ノ外 一手 二手 ニテ別 所 へ行 ヲ働 ノ勢 卜云. 一進 出 ル備 ノ跡 二抑 タ ルヲ胴勢 卜云. 扇 笠 印 団扇 釆幣 一 合礼 ︿口 相 言. 一敵 地 へ働 入 退 ク ト キ跡 二拍 タ ル ヲ胴勢 卜云. 一二手敵味方相向テ迫合前 ヲ守合卜云 ヒシト近寄ヲ鑓 組卜云. 一敵 地 へ働入退 クトキ跡 二残 り敵 ヲ押 ユルヲ殿 リト云 或尻 払卜 云. 隧 火 或狼煙 相 図 ノ火 飛 脚等 軍詞 一影 ヲ 家 テ朝 敵 ヲ退治 二行 ヲ節 度 使 卜 云 征 伐 ト モ追 討 ト モ. 喰 付喰 留 ルトリクサ ル事 横 鑓 廻 備 ノ事. 進 発 ト モ発 向 ト モ云 動動 座 卜 云 一公 方 官 領 之 出陣 ヲ ハ御 動. 小 返守 返惣 返 ノ事. 敵 国 ノ村 家 ニテ人 馬 財 宝 ヲ奪 取 ヲ乱 取 或 乱 放 卜云. 分 捕高 名 卜 云. 敵 ノ首 ヲ取 ヲ高 名 卜 云 討 タ ル敵 ノ太 刀等 ヲ首 二添来 ル ヲ. 戦 ノ場 ヲ不 レ動 ヲ芝 居 ヲ略 ュルト 云. 一陣 ト ハ人 数 ヲ動 カ シ他 国 へ働 ノ惣号 也 故 二陣中 対 陣 出 陣 蹄陣 卜 云 一道 ヲ打 テ行 間 ヲ行 軍 卜 云 其 次第 ヲ定 ル ヲ行 列 卜 云 或 備. 一 一夜 陣 ヲ ハ陣場 卜云 五 日 ト モ留 ル所 ヲ陣 所 卜 云. 味 方 ノ人数 引 取 ヲ ハアク ルト云. 押 卜 云 押 陣 武者押 ナ ト ヽ云 ハ俗語也. 一家 二陣 ヲナ スヲ宿 陳 野 二陣 ス ルヲ野陣 卜 云. 味 方 ノ敗 軍 スル ヲ ハタ テ ラ レタ ルト 云. 味 方 ノ手負 ヲ ハ射 サ セタ ル突 セ タ ル切セ タ ルト云. 一陣 ヲ取 テ居 ルヲ張 卜 云 引 ト ルヲ沸 卜云 一陣 具 棚 木 ノ類 ヲ ハ取 卜 云.
(26) (26)319 勇 雄 田 島. 討 死 シ タ ル ヲ ハ討 死遂 タ ルト 云. 一旗 ヲ 貧 エルト 云 納 ルヲ ハ マク タ ヽムト ハ云 ヘカ ラ ス ア. 城 フ ト リ カ コム ヲ巻 卜 云 人 数 ヲ ア ク ル ヲ ホゴ スト 云. 陣 屋 或 ハ城 ヨリ立煙 ヲ飯 霞 人気 卜 云. ヲ立 ルト 云. 敵 地 ヲ焼 ヲ放 火 卜云 味 方 ノ地 ヲヤク ヲ地 焼 卜 云 或 ハ煙. 国 端 村 里 ヲ敵 ヨリ取 タ ル ヲ ハ其 所其 里 ヲト ラ セ タ ト 云. 節 所 山 川 谷 堀 ナ ト ヲ敵 ヨリ越 タ ルヲ ハ越 サ セ タ ト 云. 一筆 ヲ ハタ クト 云. 一矢 庫 籠 ヲ ハ負 卜 云. 一空 穂 ヲハツク ルト 云. 一母 衣 ヲ ハ掛 ルト 云 或 ハス ヽム ルト 云. 一旗 ヲ ハ指 卜 云. 一矢 ノ箆 ヲ ハタ ツト 云. 一旗 竿 ハ切 卜 云 ヘカ ラ ス ホ ルト 云. ク ルト云. 寄 口持 ロ ノ事. 一野 狼 煙 ヲ ハア ク ルト 云. 味 方 ノ城 ヲ敵 ノ責破 リ タ ル ヲ ハヤ フラ セ タト 云. 敵 城 攻 落 ス ヲ乗 取 乗 定 ム ルト 云. 一御 馬 イ テ マイ レ ツ レテ マイ レト 云 引 テ マイ レト 云 ヘカ ラ. ン ヽ. 一人 数 五千 ト モ アラ ハ軍勢 卜 云 ヘシ 其 ヨリ内 ハ手勢 卜 云 ヘ. ス. 攻 取 タ ル城 ヲ破 却 ス ル ヲ掃 卜 云 亦 城 ヲ割 ト モ云 敵 ノ橋 ヲ ハ引 卜 云 味 方 ノ橋 ヲ ハハネ ルト 云 味 方 ノ馬 ヲ ハイ サ ムト 云 敵 ノ ヲ ハイ ナ鳴 卜 云 味 方 ノ ヲ ハ馬 煙 又 ホ コリ武 者 煙 ナ ト ヽ云 敵 ノ ヲ ハ マケブ リト 云. 五 人 為 レ伍 五 伍 為 レ両 二 十 五 人. 周 礼 六 軍数. シ ラ カ ス ト 云 遊 山 見物 ノ ト キ ハ張 ト モ云. 一味 方 ノ幕 ヲ ハ打 卜 云 敵 ノ幕 ヲ ハ引 卜 云 船 中 ノ幕 ヲ ハハ. 一大鼓 ヲ ハ打 ト モイ サ ム ルト モ云. 四 両 為 レ卒 百人 五卒 為 レ旅 五 百 人 五旅 為 レ師 一平 五百人 五師 為 レ軍 一万 三千 五 百 人 一貝 ヲ ハタ ツ ルト云 一円 ノ声 ヲ ハツク ルト モ ア ク ルト モ云.
(27) 兵法諸流 と武者言葉集 との関係 につ いての試論 θ18(27). 鳥. ヲ作 テ 居 ヲ安 ク シ 商 ハ其 間 二有 テ器 ヲ農 人 二配 り食 ヲ エ. 兵法抜書 疋夫之抄 三冊 軍詞軍容撲功追加二冊兵器武功 ハ有沢. 王将 士其 道 ニカナ フト キ ハ国 家 易 ク其 道 ニ ナ リト イ ヘリ ヽ. テ行 ハ士 也 故 二士 ハ英 雄 也 英 雄 ノ心 フト ル ハ主 将 ノ法. 命 ヲウ ケ テ施 ス ハ将 ナ リ 其 令 二随 其 命 ヲ出 ス ハ主 也 立︵. 蛇. 之 道 也 不 可不 察 也 卜 云 々 丘父 器機 ニア ラ ス 執 之 者 ヲ云. 虎. 王 六 軍 大 国 三 軍 次 国 二 軍. 竜. 几 人 タ ル衣 食 住 ノ三 カ ケテ ハ生 ヲ養 ヒ タ シ 伏ガ ニ農 ハ田. 雲. 小国 一軍. 風. ヲカ ヘシ蚕 ヲ ヤシナ ヒ テ衣食 ヲ調 ヱエ ︵其 器 ヲ コシ ラ ヘ家. 地. 諸 葛 孔 明八 陣 天. 人 ニア タ ヘテ事 ヲ調 ル也 是 ヲ天 下 ノ三 宝 卜 云 士 ハ其 業. 無 シ テ三 民 二長 タ ル所 以 ハ能 三民 ヲ守 護 シ テ邪 悪 ノ者 ヲ征. 永貞作之 ヲ治 世 ノ士年 ヲ逐 テ戦国 二遠 サカリ戦陣 ヲ勤 メ タ ル. タ カ ウト キ ハ危 シ 依 テ兵 ハ死 生 存 亡 ノ カ ヽル所 国 之 大 事. 軍 詞 之 巻 私解 上. 疋夫 ノ業 ヲモ不 知成行 ニョリ是 ヲシラシメンタ メ其 類 ヲ寄 テ. 卜 云 ナ リ 其 兵法 ノ教 ヲ知 ル士 ノ当 然 也. 罰 シ テ太 平 ト ナ ス ノ役 人 也 其 士 ノ中 二主 将 士 ノ三 段 ア リ. 集之其趣 ヲ伝語 スルノ便 リト ス 伏ガ ニ予先年粗 註 ヲ加 フト. 立響貫繁 フシ テ立省リタシ. 云ト モ未 夕全 カ ラ ス 其後図解 巻数七箇 ヲ作 テ猶是 ヲ得知 ス. 今 兵法 諸 流多 フシ テ書 ヲ ア ラ ワシ伝 ヲヒ ロク シ テ モ猶不 足. ルノ助ト スル也 今年有故 其 私解 ヲ改 メ作 シ軍詞軍容撲功 武功 ノ註詞全 ク成就 ストイ ヘト モ兵法 ノ始終 ヲ尽 ス ニアラス. ノ事多 ク其 道 ヲ全 フセ ント ス ルト キ ハ五百 年 来 天下 ノ治 乱. テ其 理 ヲ以 テ本 ト ス ルノ教 ハ天文 術 数 兵 器 計 謀 ハ皆 兵法 ノ. 専 ト シ偽 謀 ヲ旨 ト シ テ大 本国 家 大 平 ノ法 タ ル事 ヲ不 知 ト シ. 兵 ヲ談 ス ル ニ至 テ或 ハ軍 配 ヲ貴 ト ミ軍 器 ヲ作 り或 ハ兵 術 ヲ. 是 ヲ導 ク ノ諸 流 事 理 本末 ノ弁 見 聞 ス ル ニ暇 ナ シ. ヲ考 ヘサ レ ハ能 ハ知 カ タ シ 故 二事多 シト也. 唯 疋夫抄 ヲ解 ス ル而巳也 有 沢武貞. 疋夫 抄 序 夫兵 法 ノ教 兵 卜 云 ハ士 ヲ サ シ テ云 孫 子 曰 兵者国 之 大 事 死生 之 地 存 亡.
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