福 島 県 にお け る 水 稲 品 種 の用 途 別 品 質 に 関す る 研 究
2 0 0 7 . 3
東 京 農 工 大学 大 学 院
連 合 農 学研 究 科
生 物 生 産学 専 攻
佐 藤
弘 一
, , 本 論文 は 福島 県農 業 総合 セ ンタ ー 品種 開 発グ ル ープ に在 職 する 著 者が 大 学 院 設 置 基 準 第 14 条 に 基 づ く 教 育 方 法 特 例 を 受 け て 行 っ た 博 士 課 程 で の 成 果 を そ れ ま で の 研 究 結 果 も 含 め て と り ま と め た も の で あ り , 以 下 に 発 表 し た . 1 . 佐 藤 弘 一 ・斎 藤 真 一 ・平 俊 雄 200 3. 味 度 メ ー タ ー お よ び ラ ピ ッ ド ・ビ ス コ ・アナ ラ イザ ー を利 用 した 水 稲良 食味 系 統選 抜 .日 作 紀 72:390- 394. 2 . 佐 藤 弘一 ・ 斎 藤 真 一・ 吉 田 智 彦 2005. 水稲 糯 品 種 の 餅硬 化 性 , 糊 化特 性 お よび 尿 素崩 壊性 に よる 選 抜方 法 .日 作 紀 74:310- 315. 3 . 佐 藤 弘一 ・ 吉 田 智 彦 2007. 水 稲 福島 県 育 成 系統 の 家 系 分析 . 日 作 紀 7 7(印 刷中 ). 4 . 佐 藤 弘一 ・ 吉 田 直 史・ 大 谷 裕 行 ・吉 田 智 彦 2007. 水 稲糯 品 種 の 糊 化特 性 と 玄米 千 粒重 ,玄 米 白度 と の関 係 .日 作 紀 76 65: ―70.
目 次
総 合 要 旨 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 要 旨 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 第 1 章 序 論 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7 第 2 章 水 稲 福 島 県 育 成 系 統 の 家 系 分 析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 1 1 . 育 成 系 統 の 主 要 品 種 と の 近 縁 係 数 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 1 2 . 近 縁 係 数 と 農 業 形 質 と の 関 係 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 1 第 3 章 味 度メ ータ ー およ び ラピ ッ ド・ ビ スコ ・ アナ ライ ザ ーを 利 用 し た 水 稲 良 食 味 系 統 選 抜 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 8 1 . 食 味 官能 検 査 値 , 味 度値 お よ び RVA特 性値 相 互 の 関 係・ ・ ・ ・ ・ 28 2 . 味 度 値, RVA特 性 値 の 遺 伝力 ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ 34 3 . 主 成 分 分 析 に よ る 食 味 の 評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 5 第 4 章 味 度値 , RVA特 性 の 遺 伝分 析 ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ 40 1 . 味 度 値と RVA特 性 の 一 般 組合 せ 能 力 と ダイ ア レ ル 分 析・ ・ ・ ・ ・ 40 2 . 味 度 値, RVA特 性 値 と 農 業形 質 の 関 係 ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ 50 第 5 章 水 稲糯 品種 の 餅硬 化 性, 糊 化特 性 およ び 尿素 崩壊 性 によ る 選 抜 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 0 1 . 水 稲 糯 品 種 の 餅 硬 化 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 0 2 . 水 稲 糯品 種 の RVA特 性 ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ 64 3 . 餅 硬 化性 と RVA特 性 の 関 係・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ 674 . 糯 品 種 の 尿 素 崩 壊 性 と 糊 化 温 度 , ピ ー ク 温 度 と の 関 係 ・ ・ ・ ・ 7 0 5 . 餅 加 工 特 性 に 対 す る 登 熟 気 温 の 影 響 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7 5 第 6 章 水 稲 糯 品 種 の 糊 化 特 性 と 玄 米 千 粒 重 , 玄 米 白 度 と の 関 係 ・ ・ 7 9 1 . RVAに よ る 糊化 特 性 , 玄 米千 粒 重 , 玄 米白 度 に つ い ての 遺 伝 率 ・ 79 2 .糊 化 温度 ,ピ ー ク温 度 ,玄 米 千粒 重 ,玄 米 白度 それ ぞ れの 遺 伝 相 関 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 6 3 . 糊 化 温 度 , ピ ー ク 温 度 と 栽 培 特 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 9 第 7 章 新 品 種 の 育 成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 4 1 . 良 食 味 品 種 の 育 成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 4 2 . 加 工 特 性 の 優 れ た 糯 品 種 の 育 成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 0 0 第 8 章 総 合 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 0 7 謝 辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 1 5 引 用 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 1 6 Summary・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ 1 24
総 合 要 旨
福 島 県 育 成 系 統 の 家 系 分 析 を 行 っ た . 最 終 の 祖 先 品 種 と 育 成 系 統 と の 近 縁 係 数 を 計 算 し た と こ ろ , 北 部 九 州 で の 材 料 と 異 な り , 旭 , 大 場 , 亀 の 尾 の 寄 与 率 が 高 か っ た . 食 味 に つ い て , 育 成 系 統 は コ シ ヒ カ リ の 近 縁 度 と の 有 意 な相 関 関係 が認 め られ な かっ た . 味 度 値 , RVA特 性値 の コ ン シ ステ ン シ ー は 食味 官 能 検 査 との 相 関 が 高 く, 遺 伝 率 が 高 か っ た . 味 度 値 , 最 終 粘 度 に 一 般 組 合 せ 能 力 が 認 め ら れ た . 味 度 値 , 最 終 粘 度 の 遺 伝 率 が 高 く , 味 度 値 , 最 終 粘 度 , コ ン シ ス テ ン シ ー に 関 す る遺 伝 子は 優性 遺 伝子 が 相加 的 に増 加 させ る 方向 に作 用 した . 餅 硬 化 性 に は 品 種 間 差 が 認 め ら れ た . ま た , 品 種 と 年 次 間 に 交 互 作 用 が . , , . 認 め られ た 餅硬 化 性は 糊 化 温度 ピ ー ク温 度 と正 の 相関 関係 に あっ た , , , , . ま た 餅 硬化 性 糊 化温 度 ピ ーク 温度 は 登 熟 気温 の影 響 を受 け てい た 尿 素 崩 壊 性 は , 糊 化 温 度 と 相 関 が あ り , 簡 易 選 抜 指 標 と し て 利 用 で き た . , , . , 選抜実験から ピーク温度 玄米白度の遺伝率の高いことがわかった 糊化温度 , . ピーク温度は稈長と負の相関関係があり 短稈・良質系統選抜が可能と考えられた 良 食 味 系 統 の 選 抜 を 行 い , 最 低 粘 度 , 最 終 粘 度 が 既 存 の 低 ア ミ ロ ー ス 米 と 粳 米 の 中 間 の 値 の 系 統 が 育 成 で き た . 餅 加 工 特 性 の 優 れ る 系 統 の 選 抜 を 行 い ,糊 化 温度 ,ピ ー ク温 度 がこ が ねも ち 並の 系 統が 育成 で きた .要 旨
1. 福 島 県 育 成 系統 の 家 系 分 析を 行 っ た . 最終 祖 先 ま で の最 大 世 代 数 が14~ 17 , 総 祖 先 数 は 568~ 3 500, 重 複 品 種 を 除 い た 祖 先 数 は 62~ 147と い ず れ も 比 較 品種 よ り高 い値 を 示し た . 2 . 育 成 系 統 へ の 遺 伝 的 な 寄 与 率 が 最 も 大 き か っ た の は 旭 (朝 日 ), 次 に 愛 国 , 大 場 (森 田 早 生 ) , 亀 の 尾 , 器 量 好 (選 一 , 神 力 ), 上 州 , 京 都 新 旭 の 順 で あ っ た. 上 位 3品 種 合計 で 43.6~ 64.1% , 5品 種 で63.5~ 79.9% , 7品種 で 75.0~ 87.5% の寄 与 率が 認 めら れ た.北 部 九州 の 材料 と比 較 して,旭 (朝 日 ),大 場 (森 田 早生 ),亀 の 尾の 遺 伝的 寄 与率 が 高か った . 3. 玄 米 品 質 に つい て , 育 成 系 統は 対 コ シ ヒ カリ , 対 亀 の 尾の 近 縁 係 数 と負 の 相 関 関 係 に あ り , 対 旭 (朝 日 ) 近 縁 係 数 と 正 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ た . 食 味 に つ い て , 比 較 品 種 は 対 コ シ ヒ カ リ , 対 農 林 2 2号 の 近 縁 係 数 と 正 の 相 関 関 係に あ った が, 育 成系 統 は有 意 な相 関 関係 が 認め られ な かっ た . . , , 4 味 度 値 RVA特 性値 の コン シ ステ ンシ ー は食 味 官能 検 査と の 相関 が 高く 遺 伝 率が 高 かっ た. 5. 育 成 系 統 や 比較 品 種 の 食 味 関係 値 の 相 関 行列 か ら 主 成 分分 析 を 行 っ た結果 , 第 1主 成 分 は , 最 低 粘 度 , 最 終 粘 度 , コ ン シ ス テ ン シ ー , 味 度 値 の 4特 性 と 関 わ り が 深 い 因 子 で あ り , 炊 飯 米 の 老 化 性 を 表 す と 考 え た . ま た , こ れ ら は 遺 伝 率 が高 く , 遺 伝 的 に安 定 し て い た. 第 2主 成 分 は, 最 高 粘 度 ,ブ レ ー ク ダ ウ ン の2特 性 と 関 わ り が深 い 因 子 で あり , 米 飯 米 の膨 潤 性 , 崩 壊性 を 表 す と 考 え ら れ た . ま た , こ れ ら は 遺 伝 率 が 低 く , 環 境 に 影 響 さ れ る と 考 え ら れ た . 良 食 味 品 種 で あ る コ シ ヒ カ リ は , 米 飯 米 の 老 化 性 が 低 く , 膨 潤 性 ,崩 壊 性が 高い こ とが 認 めら れ た. . , , , 6 良 食 味品 種 同士 の 交配 組 合せ に より 味度 値 が高 く 最 低粘 度 最 終粘 度 コ ン シス テ ンシ ーの 低 い品 種 が育 成 可能 と 考え ら れた . 7. ダ イ ア レ ル 分析 に よ り , 味 度値 , 最 終 粘 度の 遺 伝 率 が 高く , 味 度 値 ,最 終 粘 度 , コ ン シ ス テ ン シ ー に 関 す る 遺 伝 子 は 優 性 遺 伝 子 が 相 加 的 に 増 加 さ せ る 方 向 に 作 用 す る こ と が わ か っ た . 最 低 粘 度 に は 非 対 立 遺 伝 子 間 に 相 互 作 用 が 存 在 す る こ と が 示 唆 さ れ た . コ ン シ ス テ ン シ ー は 優 性 効 果 が 認 め ら れ , 組合 せ によ る固 有 の優 性 効果 が 認め ら れた . 8 . は え ぬ き /中 部 10 9号 の 組 合 せ 後 代 に お い て , 味 度 値 , RVA特 性 値 に 関 し て , はえ ぬ き, 中部 109号よ り 有意 に優 る 系統 は 認め ら れな か った . 9. 最 低 粘 度 , 最終 粘 度 は 穂 長 と正 の 相 関 関 係が , 穂 数 と 負の 相 関 関 係 が認
め ら れ た . 穂 長 に 品 種 間 差 が 認 め ら れ た こ と か ら , 穂 の 長 短 が 最 低 粘 度 , 最 終 粘度 に 遺伝 的に 影 響す る こと が 示唆 さ れた . 1 0. 味 度 値 は 玄 米 千 粒 重 と 正 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ , ま た , 玄 米 品 質 と 負 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ た . 味 度 値 , 玄 米 千 粒 重 に は 品 種 間 差 が 認 め ら れ る こ と か ら , 遺 伝 的 関 係 が 示 唆 さ れ た . 整 粒 歩 合 80% ~ 90% の 間 で 味 度 値 に ば ら つ き が 認 め ら れ , 品 質 が 良 く て も 必 ず し も 味 度 値 が 高 い と は 限 ら な か っ た . . , . 11 餅 硬化 性 には 品 種間 差 が認 め られ こ がね も ちは 餅 硬化 性 が高 か った ま た ,品 種 と年 次間 に 交互 作 用が 認 めら れ た. 12. 餅 硬 化 性は , RVA特 性 値 中 の糊 化 温 度 , ピー ク 温 度 , 最低 粘 度 , 最 終粘 度 お よ び コ ン シ ス テ ン シ ー と 正 の 相 関 関 係 に あ り , ブ レ ー ク ダ ウ ン と 負 の 相 関 関 係 に あ っ た . ま た , 餅 硬 化 性 , 糊 化 温 度 , ピ ー ク 温 度 , 最 低 粘 度 , 最 終 粘 度 お よ び コ ン シ ス テ ン シ ー は , 登 熟 期 間 の 気 温 と の 相 関 係 数 が 高 い こ と から , 登熟 気温 の 影響 を 受け る と考 え られ た . . , , 13 尿 素崩 壊 性に は 品種 間 差が あ り 糊 化 温度 と 相関 関 係に あ るこ と から 少 量 で簡 易 な餅 硬化 性 の選 抜 方法 と して 利 用で き ると 考え ら れた .
14.選抜実験により,ピーク温度,玄米白度の遺伝率が高く,最高粘度,ブレーク ダウンの遺伝率が低いことがわかった.糊化温度,ピーク温度と玄米千粒重は,値 は低いが負の遺伝相関にあった.糊化温度,ピーク温度と玄米白度については,ど ちらを直接選抜するかで符号が異なることから遺伝相関は0に近いと考えられた. 15.表現型相関係数では,糊化温度,ピーク温度と耐冷性については,値は低いが 有意な正の相関関係が認められた.また,糊化温度,ピーク温度,玄米白度は登熟 , , . , 気温と正の相関関係にあり 稈長 穂長は登熟気温と負の相関関係にあった なお 糊化温度,ピーク温度は稈長と負の相関関係が認められ,短稈で餅硬化性の優れる 系統の選抜が可能と考えられた. 16. 味 度 値 ,R VA特性 値 に よ り 選抜 を 行 っ た .最 低 粘 度 , 最終 粘 度 の 値 は低 ア ミ ロ ー ス 品 種 ス ノ ー パ ー ル , ミ ル キ ー ク ィ ー ン と 粳 品 種 あ き た こ ま ち , ひ と め ぼ れ の 中 間 の 値 で , 玄 米 白 濁 程 度 は ミ ル キ ー ク ィ ー ン 並 か 山 形 84号 並 で , 葉 い も ち 圃 場 抵 抗 性 は や や 弱 ~ 強 で ひ と め ぼ れ 並 以 上 , 耐 冷 性 が 強 ~ 極 強で , ひと めぼ れ 並み の 有望 系 統を 選 抜し た . 17. RVA特 性 , 玄 米白 度 に よ り 選抜 を 行 い , こが ね も ち よ りい も ち 病 抵 抗性 , , , , が 劣 るが 糊 化温 度 ピ ーク 温 度は ヒ メノ モ チよ り 高く こ がね も ち並 で 早 生 化, 短 稈化 ,耐 冷 性, 穂 発芽 性 の改 良 がで き た.
18 .こ の よ う に 本 研 究 で は , 良 食 味 品 種 育 成 に おい て , 味 度 値 ,RVA 特性 , . 値 に よる 選 抜方 法と そ の遺 伝 的特 性 農業 形 質と の 関係 につ い て検 討 した ま た , 実 際 に 品 種 の 育 成 を 行 っ た . 加 工 適 性 の 優 れ る 糯 品 種 育 成 に お い て は , 餅 硬 化 性 の 簡 易 選 抜 方 法 と 選 抜 形 質 で あ る 糊 化 温 度 , ピ ー ク 温 度 と 玄 米 白 度 , 農 業 形 質 の 関 係 に つ い て 検 討 し た . ま た , 実 際 に , 糊 化 温 度 , ピ ー ク 温 度 , 玄 米 白 度 に よ る 選 抜 に よ っ て , 糯 品 種 の 育 成 を 行 っ た . こ れ ら の 成 果 は 今 後 の 福 島 県 に お け る 良 品 質 安 定 多 収 品 種 の 育 成 に 寄 与 す る と 考 え ら れる . 注 ; 語句 の 説明 味 度 値 : 白 米 を 炊 飯 し た 状 態 に 近 づ け , 米 の 保 水 膜 (飯 粒 表 面 を 覆 っ て い る 粘 液 状 の 物 質 で 多 量 の 水 分 を 含 み 半 濁 色 の 部 分 ) を 電 磁 波 で そ の 厚 さ を 測 定 し, 食 味の 評価 を 行う 測 定機 ( 味度 メ ータ ー とい う) の 測定 値 . RVA特 性 : 澱 粉の 糊 化 特 性で あ り , ラピ ッ ド ・ ビス コ ・ ア ナラ イ ザ ー (RVA) を 利 用 し て 測 定 し た と き の 値 . 粘 度 が 上 昇 し 始 め る と き の 温 度 を 糊 化 温 , 最 高 粘 度 時 の 温 度 を ピ ー ク 温 度 , 最 高 粘 度 と 最 低 粘 度 の 値 の 差 を ブ レ ー ク ダ ウ ン, 最 低粘 度と 最 終粘 度 の差 を コン シ ステ ン シー と称 す .
第 1 章
序 論
品 種 の 家 系 を 解 析 し , 品 種 の 血 縁 関 係 と 品 種 の 特 性 と の 関 係 を 解 析 す る こ と は 重 要で あ る . 日 本の 稲 品 種 の 近縁 係 数 を 用い た 家 系 分析 は , 酒 井 (1 95 7), 大 里 ・ 吉 田 (19 96), 吉 田 ・ 今 林 (199 8), 重 宗 ら (2006) が 行っ て い る . 近 縁係 数 と 品 種 の特 性 に つ い ての 解 析 は , 大 里・ 吉 田 (1996), 重宗 ら (200 6) が 育 成 系 統 の 食 味 と 対 コ シ ヒ カ リ 近 縁 係 数 と の 関 係 に つ い て 報 告 し て い る . こ れ ら の 報 告 は 主 に 北 部 九 州 で の 材 料 , 北 陸 研 究 セ ン タ ー に お い て 育 成 さ れ た 材 料 に つ い て で あ り , 広 く 各 地 域 で の 品 種 や 育 成 材 料 に つ い て 家 系 分 析 を 行 う 必 要 が あ る . 良 食 味 品 種 の 育 成 に は 交 配 親 が 重 要 で あ る が (佐 々 木 ら 1 990) , コ シ ヒ カ リ の 食 味 を 求 め て い く 限 り , 育 成 品 種 の 遺 伝 的 背 景 が 狭 く な る 危 険 性 が 指 摘 さ れ て お り , 遺 伝 的 背 景 を 拡 大 す る 必 要 性が あ ると され て いる (井辺 1991). 現 在 , 一 般 に 用 い ら れ て い る 米 の 食 味 検 定 に は 官 能 検 査 法 が あ り , 炊 飯 米 の 外 観 ,味 , 香 り , 粘り , 硬 さ お よび 総 合 評 価で 判 定 さ れて い る (櫛 渕 1996 . 育 種 に おい て は , 育成 途 中 の 多数 の 系 統 の中 か ら , 良食 味 系 統 を少) 量 の サン プ ルで 効率 的 に選 抜 する 必 要が あ る. 本 研 究 で は , ま ず , 育 成 品 種 の 遺 伝 的 背 景 の 拡 大 を 考 慮 し た 良 食 味 品 種 を 育 成 す る た め に , 育 成 系 統 の 家 系 分 析 を 行 い , 近 縁 係 数 と 栽 培 特 性 , 食 味 と の 関 係 を 検 討 し た . 次 に , 味 度 メ ー タ ー 値 (以 降 味 度 値 と 表 記 ) お よ び ラ ピ ッ ド・ ビ ス コ ・ アナ ラ イ ザ ー 特性 値 (以 降 RVA特 性 値と 表 記 ) と 食味官 能 検 査 と の 関 連 を 調 査 し , 良 食 味 系 統 選 抜 へ の 利 用 を 検 討 し た . 良 食 味 品 種 を 用 い た交 配 に よ り , 味度 値 , RVA特 性 値の 一 般 組 合 せ能 力 , ダ イ アレ ル 分 析 を 行 い , 親 と し て の 能 力 , 親 品 種 の 優 劣 性 , 遺 伝 子 の 作 用 に つ い て 検 討 し た . な お , 平 尾 ら (1 999) は 味 度 値 に 品 種 間 差 が 大 き く , 出 穂 期 と 関 係 が あ り , 玄 米 品 質 や 整 粒 歩 合 , 窒 素 含 有 率 と も 密 接 に 関 係 し て い る と 報 告 し て い る . 水 多 ら (1 996) は 味 度 値 と 玄 米 品 質 , 玄 米 の 粒 厚 に つ い て . , , 検 討 して い る そこ で い も ち病 抵 抗性 の 弱い はえ ぬ き (佐 藤ら 1992) と 良 食 味 品 種 で い も ち 病 抵 抗 性 の 強 い 中 部 109号 (杉 浦 ら 20 02) の 組 合 せ に に つ い て の 後代 を 利 用 し , 味度 値 , RVA特 性 値と 農 業 形 質 との 関 係 に つ いて 検 討 を行 っ た. 糯 品 種 の 育 成 に お い て , こ れ ま で は 生 産 力 , 耐 倒 伏 性 , 耐 冷 性 , 耐 病 性 , , お よ び外 観 品質 など の 栽培 特 性の 改 良に 重 点を お いて きた が 現在 は 食味 加 工 適 性 が よ り 重 要 視 さ れ て い る ( 赤 間 ・ 有 坂 19 92). 効 率 的 に 優 れ た 加 工 適 性 を 備 え た 糯 品 種 を 育 成 す る た め に は , 育 成 途 中 の 系 統 の 加 工 適 性 を 少 量 の 試 料 で 評 価 す る 必 要 が あ る . 糯 米 の 切 り 餅 お よ び あ ら れ と し て の 適 性 は , 餅 硬 化 性 な ど に よ り 評 価 さ れ る . こ の 餅 硬 化 性 は , 餅 生 地 の 硬 く な る 速 さ を 示 す も の で , 作 業 効 率 に 影 響 す る 要 因 と し て 重 視 さ れ て い る . 餅 硬 化 性 の 検 定 方 法 に は , 冷 蔵 し た 餅 生 地 の 曲 が り の 比 較 ( 江 川 ・ 吉 井 199 0 ), テ ン シ プ レ ッ サ ー に よ る 貫 入 抵 抗 ( 石 崎 1994 ), 果 実 硬 度 計 (岡 本 ・ 根 本 1998) に よ る 餅硬 度 の 測 定 など , 物 理 的 な評 価 方 法 が 従来 か ら 報 告さ れ て い る . 一 方 , ビ ス コ グ ラ フ に よ っ て 測 定 す る 糊 化 特 性 の う ち , 糊 化 温
度 は , 餅 硬化 性 の 指 標 とし て 有 効 で ある こ と が 報告 さ れ て いる (柳 瀬 ら 19 82).し か し, こ れら の 検定 法 では 大量 の 材料 と 多く の 労力 を 要す る . , , , 一 方 水稲 の 食味 特 性評 価 に利 用 され て いる RVAは ビス コ グラ フに 比 べ サ ン プ ル が 少量 で か つ 短 時 間で 測 定 可 能 であ る . こ れ まで , RVAを 利 用 し, 餅 硬 化性 と 糊化 特性 と の関 係 が調 べ られ,糊 化温 度,最高 粘 度時 の温 度 (以 下 ピ ー ク 温度 ) が 餅 硬 化 性 の指 標 と し て有 効 で あ るこ と が 報 告さ れ て い る (岡 本・ 根 本 1998, 小 林 2000). ま た , 横 尾 ら ( 1993 ) は ア ミ ロ グ ラ ム 特 性 値 を 利 用 し た 主 成 分 分 析 に よ る 水 稲 糯 品種 の 特 性 分 類を 報 告 し , なお , 寺 本 (1995) は RVA特 性 値 を 利用 . , し た 育成 系 統の 品質 評 価を 行 って い る 餅加工特性に関する遺伝分析は少なく 岡本ら (2003) は餅硬化性について陸稲関東糯172号と水稲糯品種マンゲツモチとの 雑種後代を用いて,RVAによる糊化温度,ピーク温度を指標とし,餅硬化性の遺伝様 式の解析を行っている.また,石崎ら (1996,1997) はこがねもちに由来する系統 に餅硬化性の高い品種が多いこと,こがねもち/わたぼうしの雑種集団を用いた試験 により,餅硬化性は世代間で有意な相関関係があること,稈長と正の相関関係が, 穂長と負の相関関係があり,こがねもちタイプの草型が硬化性に優れることを報告 してる. そ こ で 本 研 究 で は , 多 様 な 加 工 形 態 に 対 応 し た 糯 品 種 の 育 成 の た め に , 現 在 栽 培 し て い る 品 種 , 育 成 系 統 の 餅 製 品 の 加 工 上 重 要 な 指 標 と さ れ る 餅 硬 化 性 , RVAに よ る糊 化 特 性 , 尿素 崩 壊 性 に つい て 調 査 し た. そ の 調 査 結果 に 基 づ き , 加 工 適 性 を 重 視 し た 糯 品 種 の 育 成 に お い て の 母 本 の 選 定 と 選 抜
方 法 に つ い て 検 討 し た . 次 に ,RVAによる糊化特性,加工上重要な形質である玄 米千粒重,玄米白度 (柳原 2002) についての遺伝率を検討した.なお,餅硬化性と , , , , 関係のある糊化温度 ピーク温度と玄米千粒重 玄米白度との遺伝相関 糊化温度 ピーク温度と農業形質について検討した. 最後に,良食味品種,加工適性に優れた糯品種の育成を行い,その特性について 調査を行った. 以上のように,本研究は福島県における良食味安定多収品種を育成することを目 , , , 標に行ったもので 育成系統の遺伝的構成の把握 良食味品種選抜のための味度値 RVA特性値の利用,味度値,RVA特性値の遺伝分析,味度値,RVA特性値と農業形質と の関係,糯品種の餅硬化性,糊化特性および尿素崩壊性による選抜方法,糯品種の 糊化特性と玄米千粒重,玄米白度との関係,さらに良食味品種の選抜,加工適性に 優れた糯品種の選抜など,総合的かつ包括的であり,基礎から実際の品種育成まで を含んだものとなっている.
第 2 章
水稲 福 島 県 育 成 系 統の 家 系 分 析
水 稲 の 品 種 改 良 に お い て , ど の よ う な 交 配 母 本 を 用 い る か , 食 味 , 収 量 性 に 関 し て 組 合 せ 能 力 の 高 い 親 は あ る の か な ど を 探 る た め , 品 種 の 家 系 を 解 析 し , 品 種 の 血 縁 関 係 と 品 種 の 特 性 と の 関 係 を 解 析 す る こ と は 重 要 で あ る . 日 本 の稲 品 種 の 近 縁係 数 を 用 い た家 系 分 析 は , 酒井 (1957), 大 里 ・吉 田 ( 1996), 吉 田 ・ 今 林 (1998), 重 宗 ら (2006) が 行 っ て い る . い ずれ も 育 成 品 種 が 狭 い 遺 伝 資 源 で 構 成 さ れ て い る と 報 告 し て い る . こ れ ら の 報 告 は 主 に 北 部 九 州 で の 材 料 , 北 陸 研 究 セ ン タ ー に お い て 育 成 さ れ た 材 料 に つ い て で あ り , 広 く 各 地 域 で の 品 種 や 育 成 材 料 に つ い て 家 系 分 析 を 行 う 必 要 , . , が あ り 東 北 地域 で の育 成 品種 の 家系 分 析は まだ 解 析さ れ てい な い また 横 尾 (200 5) は 米 の 安 定 確 保 の た め に 多 様 な 育 種 を 展 開 し て い く こ と が 必 要 で あ る と 述 べ て い る . そ こ で , 本 章 で は , 育 成 品 種 の 遺 伝 的 背 景 の 拡 大 を 考 慮 し た 良 食 味 品 種 を 育 成 す る た め に , 福 島 県 育 成 系 統 の 遺 伝 的 背 景 を 明 確 に し よ う と し た . す な わ ち , 育 成 系 統 , 比 較 品 種 の 家 系 分 析 を 主 に 近 縁 係 数 を 計 算 す る こ と に よ り 行 い , 育 成 系 統 の 総 祖 先 数 , 最 大 世 代 数 , 祖 先 品 種 と の 近 縁 係 数 も 解 析 し た . ま た , 近 縁 係 数 と 栽 培 特 性 , 食 味 と の 関 係 を 検討 し た.1. 育成 系 統 の 主 要 品種 と の 近 縁 係 数
育 成 系 統 の 遺 伝 的 背 景 を 知 る た め に , ま ず , 育 成 系 統 , 比 較 品 種 の 家 系 分 析 を行 っ た.
材料 と 方法
近 縁 係 数の 計 算 は 水 田ら (1996) に よ る Prolog に よ る 計 算プ ロ グ ラ ムを Windows版 に移 植 した も の (吉 田 (2004),Sofnec社,AZ-Prolog for Win32) を 用 い た. な お ,プ ロ グ ラム は (http://www.d1.dion.ne.jp/~tmhk/yosida. htm) に 掲 載 さ れ てい る . 育 成 系統 等 の 家 系 図を 作 成 し , 交配 デ ー タ ベ ース が 完 備 さ れ て い る こ と を 確 認 し な が ら , 解 析 を 行 っ た . 解 析 し た 品 種 の 中 で , ち ゅ ら ひ かり の 祖 先 で あ る陸 稲 東 海 9号 の交 配 組 合 せ が確 認 で き な かっ , . , た た め 陸稲 東 海9号 を 最終 祖先 と して 計 算を 行 った 他の 品 種に おい て は 交 配 親 は 最 も 古 く 遡 れ る 最 終 の 祖 先 品 種 ま で す べ て 検 索 が な さ れ て い る こ と を 確 認 し た . な お , 同 時 に 本 プ ロ グ ラ ム を 適 宜 改 変 し て , 家 系 図 中 の 総 祖 先 数 と 重 複 品 種 を 除 い た 祖 先 数 , 最 終 祖 先 ま で の 最 大 世 代 数 (家 系 図 の 端 の 祖 先 数 ま で の 世 代 数 ) も 計 算 し た . な お , い く つ か の 最 終 祖 先 品 種 と の 近 縁 係 数 (祖 先 品 種 の 寄 与率 ) も 計 算 し た. 近 縁 係 数 の計 算 は , 第 1表に 示 し た 福 島 県 育 成 15系 統 , 福 島 県 で 作 付 け さ れ て き た 9品 種 (比 較 品 種 ), 第 2表 に 示 し た 育成 系 統 に つ い て行 っ た . 栽 培法 に つ い て は次 節 で 述 べ る. 近 縁 係 数 は そ れぞ れ の 品 種 と トヨ ニ シ キ , コシ ヒ カ リ , 月の 光 , 農 林 1号, 農 林 22号 , 愛国 , 旭 (朝 日 ), 大場 (森 田 早 生 ) , 亀 の 尾 ,器 量 好 (撰 一, 神 力 ) , 上 州 , 京 都 新 旭 に つ い て 求 め た . 旭 と 朝 日 , 大 場 と 森 田 早 生 , 器
第1表 福島県育成系統の最大世代数,総祖先数,祖先品種による遺伝的寄与率. 1) 東北152号:まなむすめ,東北157号:はたじるし,東北160号:こいむすび,新 , , , 潟30号:味こだま 奥羽366号:ちゅらひかり 郡系186:キヌヒカリ/ひとめぼれ 郡系176:中部73号/郡系2 (月の光/農林21号).2) 最終祖先 (家系図の端の品種) までの世代数における最大値.3) 共通品種を除いた値.4) 福島系統に遺伝的寄与 の高い7品種は,高い順番に,1:旭 (朝日),2:愛国,3:大場 (森田早生),4: 亀の尾,5:器量好 (選一,神力),6:上州,7:京都新旭である.3は大場まで,5 は器量好まで,7は京都新旭までの合計寄与率.5) 遺伝的寄与率が6品種で100%寄 与している. 最大2) 世代 総計 除共通品種3) 3 5 7 ふくみらい 中部82号/チヨニシキ 14 568 62 45.1 66.6 76.8 福島3号 東北153号/(農林21号/チヨニシキ) 17 3270 74 57.1 77.0 84.6 福島4号 (農林21号/チヨニシキ)/(月の光/農林21号) 15 778 101 64.1 79.9 87.5 福島5号 中部82号//農林21号/東北152号 15 740 66 56.1 75.8 84.0 福島6号 はえぬき/東北152号 14 838 107 54.9 75.8 85.0 福島7号 越南152号/東北153号 17 3500 104 49.7 72.1 81.9 福島9号 奥羽357号/越南159号 16 838 118 44.1 63.5 77.1 福島11号 東北152号/奥羽357号 16 1000 79 48.0 70.7 80.9 福島12号 北陸165号/東北157号 17 1456 131 51.5 72.0 83.9 福島13号 越南152号/東北160号 15 970 100 50.0 72.4 82.7 福島14号 奥羽365号/東北157号 17 1952 122 43.6 65.0 75.0 福島15号 東北157号/新潟30号 17 1306 125 50.0 71.1 82.3 福島16号 郡系186/おきにいり 14 652 97 47.8 68.2 76.9 福島17号 奥羽366号/郡系176 16 1542 147 50.8 70.9 81.7 福島18号 はたじるし/あきたこまち 17 1340 135 55.8 74.6 84.8 コシヒカリ 3 12 11 62.5 87.5 100.0 5) ひとめぼれ 12 162 51 51.9 75.7 88.2 あきたこまち 11 240 64 64.8 81.1 89.9 まいひめ 12 360 55 39.4 59.1 63.4 はたじるし 16 1098 105 46.7 68.1 79.6 初星 11 148 50 41.2 64.0 76.5 チヨニシキ 12 208 58 46.4 67.5 76.9 まなむすめ 13 372 60 49.1 71.6 82.6 農林21号 3 6 6 87.5 100.0 育 成 系 統 比 較 品 種 供試材料 交配組合せ1) 祖先数 遺伝的寄与率 (%) 4)
第 2表 育成 系 統と 主 要品 種 との 近縁 係 数. 郡 系 119: 福島 3号を 示 す. 交配組合せ トヨニシキ コシヒカリ 月の光 農林1号 農林22号 亀の尾 旭 (朝日) 北陸165号/東北157号 0.426 0.408 0.275 0.280 0.396 0.110 0.200 北陸170号/北陸165号 0.400 0.497 0.282 0.308 0.415 0.112 0.186 越南165号/東北160号 0.367 0.522 0.224 0.327 0.351 0.109 0.132 新潟30号/東北160号 0.323 0.653 0.258 0.387 0.421 0.102 0.135 東北163号/はえぬき 0.366 0.598 0.261 0.333 0.423 0.107 0.180 中部100号/郡系119 0.438 0.442 0.244 0.296 0.361 0.098 0.236 奥羽365号/東北157号 0.421 0.450 0.252 0.277 0.371 0.114 0.155 東北152号/東北164号 0.374 0.674 0.269 0.387 0.433 0.106 0.133 関東183号/中部100号 0.339 0.503 0.219 0.304 0.351 0.092 0.173 関東183号/チヨニシキ 0.437 0.520 0.220 0.333 0.356 0.107 0.135 東北157号/新潟30号 0.360 0.561 0.247 0.359 0.405 0.101 0.150 越南168号/山形67号 0.331 0.601 0.261 0.342 0.420 0.122 0.160 青系129号/中部98号 0.323 0.670 0.270 0.377 0.422 0.108 0.128 越南168号/新潟45号 0.296 0.679 0.268 0.368 0.434 0.114 0.137 平均 0.371 0.556 0.254 0.334 0.397 0.107 0.160
量 好 と撰 一 ,神 力は 同 一品 種 とし た . 結果 と 考察 第 1表 に 福 島 育成 15系 統 , 比 較品 種 の 最 大 世代 数 , 家 系 図中 の 祖 先 品 種の 総 数 , そ の う ち 重 複 す る も の を 除 い た 数 お よ び 遺 伝 的 寄 与 率 を 示 し た . 育 成 系 統 の 最 大 世 代 数 は 14~ 17, 総 祖 先 数 は 56 8~ 3500 (平 均 で 1383), 重 複 品 種 を 除 い た 祖 先 数 は 62~ 1 47(平 均 で 105 )で あ っ た . 大 里 ・ 吉 田 (1996) の 報 告 し た 北 部 九 州 で の 材 料 と 比 較 す る と , 最 大 世 代 数 は 同 程 度 で , 総 祖 , . , , 先 数 重 複品 種を 除 いた 祖 先数 は 明ら か に多 か った 福 島県 で は 耐冷 性 い も ち 病 抵 抗 性 が 重 要 で あ り , 既 存 品 種 の 耐 冷 性 , い も ち 病 抵 抗 性 を 改 良 育 成 され た 系統 を交 配 に利 用 して き たた め と考 え られ た. 育 成 系 統 の 最 終 の 祖 先 品 種 と 育 成 系 統 と の 近 縁 係 数 を 計 算 し た と こ ろ (計 算 結 果 の 表 示 は 省 略 ), 値 が 最 も 大 き か っ た の は 旭 ( 朝 日 )(平 均 で 0.18 , , , , 7) 次 い で愛 国 (同 0.186) 大 場(森 田 早生 )(同0.139) 亀 の 尾 (同 0.107) 器 量 好 (選一 , 神 力 )(同0.098), 上 州 (同0.092), 京 都 新旭 (同 0.008) で あ っ た . 最 終 の 祖 先 品 種 と の 近 縁 係 数 を そ の 品 種 に よ る 遺 伝 的 な 寄 与 率 と す る と (大 里 ・ 吉 田 199 6), 旭 ( 朝 日 ) と 愛 国 の 寄 与 率 が 高 く , 18% 程 度 と ほ ぼ 同 じ で あ っ た . こ れ は , 愛 国 の 寄 与 率 が 最 大 で , 旭 ( 朝 日 ) が そ れ に つ ぐ と 報 告 し て い る 酒 井 (1 957), 大 里 ・ 吉 田 (1996 ), 重 宗 ら (2006) と 異 な る 結 果 で あ っ た . 育 種 目 標 で あ っ た 中 生 の 晩 (農 林 2 1号 ク ラ ス ) の 熟 期 の も の を 得 る た め に , 19 92年 ま で 農 林 2 1号 を 数 多 く 母 本 と し て 利 用 し
て い た (注 :福 島 県 農 業 試 験場 百 年 史 ). 農林 21号 は 対 旭 (朝 日 ) 近 縁 係数 が 0 .500 と 高 く , 福 島 3号 , 4号 , 5 号 は 農 林 21号 の 改 良 を 重 ね 育 成 さ れ た も の で あり , 対旭 (朝 日 ) の 近 縁係 数 が高 く なっ て いる と考 え られ た . 北 部 九 州 で の 材 料 に よ る 大 里 ・ 吉 田 (199 6) の 報 告 で の 最 終 祖 先 品 種 の 寄 与 率 は ,高 い 順 に 愛 国, 旭 (朝 日 ),器 量 好 (選一 , 神 力 ),上 州 , 大 場 ( 森 田 早 生 ), 亀 の 尾 , 京 都 新 旭 で あ り , 北 部 九 州 で の 材 料 と 比 較 す る と , , . , 大 場 (森 田 早生 ) 亀 の 尾の 遺伝 的 寄与 程 度が 高 かっ た 重 宗 ら (2006) は 北 陸 研 究 セン タ ー 育 成 系統 に つ い て ,大 里 ・ 吉 田 (1996) の 報告 と 異 な り, 大 場 , 亀 の 尾の 寄 与 率 が 高 いと 報 告 し て いる . 大 場 (森 田早 生 ), 亀 の 尾は 東 北 地 方 で育 成 さ れ た 品種 で あ る こ と (菅原 1990, 山 本 1986), ま た ,重 宗 ら (200 6) の 報 告 同 様 , 大 場 , 亀 の 尾 が 東 北 ・ 北 陸 地 域 で 広 く 普 及 し た こ と と 関 係 が あ る と 考 え ら れ た . こ の よ う に , 北 部 九 州 , 東 北 南 部 と い っ た 地 域性 の 違い が影 響 して い ると 考 えら れ た. 育 成 系 統に お い て ,上 位 3品 種 合計 の 寄 与 率は 43.6~ 64.1% (平 均 で 51.3 % ), 5品 種で 63.5~ 79.9% (同 71.7%), 7品 種 で75.0~ 87.5% (同 81.7%) の 寄 与 が 認 め られ た . 育 成 系統 は 最 終 の 祖先 品 種 の 交 配か ら 10数 世 代 を経 過 し て お り, 総 祖 先 品 種数 は 多 い も ので 3000を 超 え, 重 複 品 種を 除 い て も1 00を 超 え る 品種 が 系 譜 の 構 成に 関 係 し てい る に も かか わ ら ず ,大 里 ・ 吉 田 (1996) の 報 告 と 同 様に 実 質 的 に 少な い 祖 先 品 種が 多 く の 遺 伝的 な 寄 与 をし て い た. 育 成 系 統 , 比 較 品 種 に つ い て , 山 本 (198 6) が 報 告 し て い る よ う な 東 の
代 表 品 種 亀 の 尾 , 農 林 1号 , 西 の 代 表 旭 (朝 日 ), 農 林 22号 と 安 定 多 収 品 種 ト ヨ ニ シ キ , 月 の 光 と 良 食 味 品 種 コ シ ヒ カ リ と の 近 縁 係 数 に つ い て 検 討 し た (第 3表 ). 育 成系 統 で は 対 コシ ヒ カ リ の 値が 平 均 で 0.508,ト ヨ ニ シ キが 同 0.397,農 林 22号 が 同0.384,農林 1号 が同 0.321,月 の 光が 同 0.266,旭 (朝 日 ) が 同 0.18 7, 亀 の 尾 が 同 0.1 07で あ っ た . 比 較 品 種 で は ト ヨ ニ シ キ と 農 林 2 2号 の 順 位 が 異 な る が ほ ぼ 同 様 な 値 で あ っ た . 東 西 の 系 譜 の 関 係 で は , 亀 の 尾 よ り旭 (朝 日 ) と の 近 縁係 数 が 高 く ,農 林 1号 よ り 農林 22号 と の 近縁 係 数 が 高 く , 西 の 代 表 品 種 と の 関 係 が 強 い こ と が 伺 え ら れ た . 育 成 系 統 と 福 島 県 で 現 在 ま で 栽 培 さ れ て き た 比 較 品 種 が 結 果 的 に 同 様 な 値 に な っ た こ と は ,地 域 環境 と近 縁 係数 に 関係 が ある の か興 味 深い こと で あっ た . , , 第 4表 に 第3表 に示 し た福 島 県育 成 系統 に おけ る トヨ ニシ キ コシ ヒ カリ 月 の 光 , 農林 1号 , 農 林 22号 ,亀 の 尾 , 旭 (朝日 ) の 近 縁 係 数同 士 の 相 関係 数 を 示 し た . 対 ト ヨ ニ シ キ 近 縁 係 数 は 対 亀 の 尾 近 縁 係 数 と 有 意 な 正 の 相 関 関 係 に あ り , 対 コ シ ヒ カ リ 近 縁 係 数 は 対 農 林 2 2号 近 縁 係 数 と 有 意 な 正 の 相 関 関 係 に あ り , ま た , 対 月 の 光 近 縁 係 数 , 対 旭 (朝 日 ) 近 縁 係 数 と 有 意 な 負 の 相 関 関 係 に あ っ た . 対 月 の 光 近 縁 係 数 は 旭 (朝 日 ) 近 縁 係 数 と 有 意 な 正 の 相 関 関 係 に , 対 農 林 2 2号 近 縁 係 数 と 有 意 な 負 の 相 関 関 係 に あ っ た . 対 農 林 1号 近 縁 係 数は い ず れ と も有 意 な 相 関 関係 に な か っ た. 対 農 林 22号 近縁 係 数 は対 旭 (朝 日) 近 縁係 数 と有 意 な負 の 相関 関 係に あっ た . 第 5 表 に は , 第 2 表 に 示 し た 生 産 力 検 定 試 験 の 交 配 組 合 せ 系 統 に つ い て , 同 様 に 近 縁 係 数間 の 相 関 係 数 を示 し た . 第 4表に 示 し た 育 成系 統 の 結 果 と異
第3表 福 島 県育 成 系統 や比 較 品種 と 主要 品 種と の 近縁 係 数. トヨニシキ コシヒカリ 月の光 農林1号 農林22号 亀の尾 旭 (朝日) ふくみらい 0.540 0.492 0.275 0.301 0.390 0.105 0.143 福島3号 0.442 0.460 0.229 0.352 0.349 0.118 0.242 福島4号 0.332 0.347 0.379 0.346 0.275 0.096 0.332 福島5号 0.402 0.501 0.247 0.365 0.345 0.109 0.225 福島6号 0.412 0.581 0.254 0.333 0.419 0.109 0.186 福島7号 0.401 0.547 0.241 0.311 0.410 0.122 0.179 福島9号 0.295 0.490 0.249 0.262 0.401 0.086 0.152 福島11号 0.419 0.602 0.261 0.341 0.412 0.118 0.144 福島12号 0.426 0.408 0.275 0.280 0.396 0.110 0.200 福島13号 0.366 0.614 0.256 0.339 0.413 0.115 0.163 福島14号 0.421 0.450 0.252 0.277 0.371 0.114 0.155 福島15号 0.360 0.561 0.247 0.359 0.405 0.101 0.150 福島16号 0.431 0.519 0.226 0.327 0.373 0.112 0.152 福島17号 0.342 0.496 0.342 0.314 0.374 0.097 0.192 福島18号 0.365 0.547 0.262 0.306 0.429 0.087 0.196 コシヒカリ 0.323 - 0.273 0.531 0.531 0.125 0.125 ひとめぼれ 0.294 0.796 0.297 0.417 0.473 0.109 0.116 あきたこまち 0.286 0.615 0.251 0.308 0.454 0.070 0.237 まいひめ 0.457 0.294 0.149 0.235 0.236 0.146 0.185 はたじるし 0.445 0.478 0.273 0.304 0.403 0.104 0.154 初星 0.264 0.593 0.322 0.303 0.414 0.094 0.107 チヨニシキ 0.632 0.458 0.259 0.300 0.382 0.109 0.155 まなむすめ 0.463 0.627 0.278 0.358 0.427 0.109 0.136 農林21号 0.250 0.328 0.127 0.500 0.156 0.125 0.500 平均(育成系統) 0.397 0.508 0.266 0.321 0.384 0.107 0.187 平均(比較品種) 0.379 0.524 0.248 0.362 0.386 0.110 0.191 比 較 品 種 供試材料 近縁係数 育 成 系 統
第4表 育成系統の主要品種に対する近縁係数間の相関係数. n=15,*:5%で,**:1%水準で有意. 第5表 生産力検定試験組合せの主要品種に対する近縁係数間の相関係数. n=14,*:5%で,**:1%水準で有意.
トヨニシキ コシヒカリ 月の光
農林1号 農林22号
亀の尾
トヨニシキ
1
コシヒカリ
0.021
1
月の光
-0.328
1
農林1号
0.022
0.253
0.017
1
農林22号
0.087
-0.556*
-0.304
1
亀の尾
0.240
-0.431
0.299
0.060
1
旭 (朝日)
-0.258
0.606*
0.354
-0.791**
-0.168
0.570*
-0.529*
0.772**
-0.657**
トヨニシキ コシヒカリ 月の光 農林1号 農林22号 亀の尾 トヨニシキ 1 コシヒカリ 1 月の光 -0.164 0.287 1 農林1号 0.200 1 農林22号 -0.536* 0.638* 1 亀の尾 -0.059 0.144 0.474 0.007 0.395 1 旭 (朝日) 0.538* 0.106 -0.246 -0.227 0.839** -0.692** -0.796** -0.688** 0.944** 0.717** -0.680**な っ て い た . 対ト ヨ ニ シ キ 近 縁係 数 は , 対 コシ ヒ カ リ 近 縁係 数 , 対 農 林1号 近 縁 係 数 ,対 農 林 22号 近 縁 係数 と 有 意な 負 の 相 関関 係 に あ り, 対 旭 (朝 日) 近 縁 係 数 と 有 意な 正 の 相 関 関 係に あ っ た . 対コ シ ヒ カ リ 近縁 係 数 は 対 農林 1号 近 縁 係 数, 対 農 林 22号 近 縁係 数 と 正 の 相関 関 係 に あ り, 対 旭 (朝 日) 近 縁 係 数 と 有 意 な 負 の 相 関 関 係 に あ っ た . 対 月 の 光 近 縁 係 数 は , 対 農 林 22号 近 縁 係 数 と 有意 な 正 の 相 関 関係 に あ っ た .対 農 林 1号 近 縁係 数 は 対 農 林22号 近 縁 係 数 と 有 意 な 正 の 相 関 関 係 に あ り , 対 旭 (朝 日 ) 近 縁 係 数 と 有 意 な 負 の 相 関関 係 にあ った . こ こ で 検 討 し た 系 統 は 生 産 力 検 定 試 験 の 選 抜 途 中 の 系 統 で あ り , 育 種 目 標 に あ っ た 選 抜 を 経 て , 品 種 間 の 近 縁 係 数 の 関 係 が 変 動 し て い く と 考 え ら れ た . 交 配 に 利 用 す る 母 本 の 家 系 な り , 交 配 組 合 せ , 選 抜 目 標 に よ り 近 縁 係 数 は 変 化 し , そ の 地 域 に あ っ た 形 に 収 束 し て い く の か 今 後 検 討 す る 必 要 が あ る と 考 え られ た . 第 3表 に 示し た 育 成 系 統は 全 国 で も 作付 け さ れ て いる コ シ ヒ カ リ , ひ と め ぼ れ , あ き た こ ま ち よ り , 対 ト ヨ ニ シ キ 近 縁 係 数 が 高 か っ た . 良 食 味 , 安 定 多 収 品 種 を 目 標 に 耐 倒 伏 性 , い も ち 病 抵 抗 性 が 優 れ る チ ヨ ニ シ キ , ま な む す め な ど , 対 ト ヨ ニ シ キ 近 縁 係 数 の 高 い 母 本 を 交 配 に 利 用 し て き た た め と 考 え ら れ た . 育 成 系 統 は 良 食 味 品 種 の 代 表 で あ る コ シ ヒ カ リ と の 近 縁 係 数 が 高 い こ と は , 大 里 ・ 吉 田 (199 6) が 報 告 し て い る よ う に , 良 食 味 品 種 育 成 の た め に コ シ ヒ カ リ を 親 と し た 品 種 を 交 配 親 に 利 用 し てい る ため と考 え られ た .
2. 近縁 係 数 と 農 業 形質 と の 関 係
本 節 で は , 主 要 な 品 種 と の 近 縁 係 数 と 農 業 形 質 (稈 長 , 穂 長 , 穂 数 , 収 , , , , . 量 倒 伏 程度 玄 米 千粒 重 玄 米品 質 食 味) と の関 係に つ いて 検 討し た 材料 と 方法 近 縁 係 数は 前 節 と 同 様な 方 法 で 行 った . 供 試 材料 は , 第 2表に 示 し た 2000 ~ 2 002年 ま で の 3年 間 試 験 に 供 試 し た 交 配 組 合 せ の 育 成 系 統 , 第 3表 に 示 し た 比 較 品 種と し た . 栽 培条 件 は , 基 肥と し て 窒 素 は 8g m ,リ ン 酸 と カ リウ- 2 ム は そ れ ぞ れ 12g m 施 用 し , 追 肥 は 行 わ な か っ た . 栽 植 様 式 は 条 間 30㎝ ,- 2 株 間 1 5㎝ で , 1株 3 本 植 え で , 2区 制 で 行 っ た . 移 植 は ほ ぼ 5 月 18日 ~ 20日 に 行 っ た .食 味 試 験 は,1 回 に 基 準品 種 を 含め 10 点 で ,コ シ ヒ カリ を 基 準に し て 2回 行 い , 食味 は 食 味 総 合 評価 値 の 平 均 値と し た . 育 成系 統 の 食 味 は, 交 配 組 合 せ を単 位 と し て , 延べ 3~ 26系 統 の 値を 平 均 し て 用い た . な お ,同 一 交 配 組 合 せ で , 複 数 年 供 試 し て い る も の に 限 定 し た . 系 統 に よ り 試 験 年 次 の 異 な る も の が 混 在 す る が , 食 味 等 の 年 次 間 差 は 無 視 し た . 成 熟 期 間 中 に 各 区 10株 の 稈 長 , 穂 長 , 穂 数 を 測 定 し , 平 均 値 を 求 め た . 各 区 60株 を 収 穫 脱 穀 し ,1.8 mmの篩 で 玄 米 を 調製 し , 収 量 (水分 15% 換 算) を 計 算 し た. 調 製 し た 玄 米 に つ い て , 外 観 品 質 ( 観 察 調 査 ) お よ び 千 粒 重 (水 分 15% 換 算 ) を 測 定 し た . 外 観 品 質 は 稲 種 苗 特 性 分 類 基 準 (農 林 水 産 技 術 情 報 協 会 版 ) に 基 づ き , 上 上 (1) ~ 下 下 (9 ) ま で の 9段 階 に 分 類 し た . 3か 年 の 平均 値 を用 い た. 結果 と 考察 第 6表 に 対 親 品種 の 近 縁 係 数 と育 成 系 統 お よび 比 較 品 種 の農 業 形 質 の 相関 関 係 を 示 し た .稈 長 は , 比 較 品種 に お い て ,農 林 1号 と 有 意な 正 の 相 関 関係 . , , に あ った 穂 長は 比 較品 種 にお い て 旭 (朝日 ) と有 意 な負 の 相関 関 係に 育 成 系 統 に お い て は , 月 の 光 と 有 意 な 正 の 相 関 関 係 に あ っ た . 穂 数 に つ い て は , 比 較 品 種 , 育 成 系 統 い ず れ と も 相 関 関 係 が 認 め ら れ な か っ た . 収 量 に つ い て は 第 1図 に 示 し た よ う に , 比 較 品 種 に お い て , 対 農 林 1号 近 縁 係 数 と 有 意 な 負 の 相 関 関 係 に あ っ た . 育 成 系 統 は 比 較 品 種 よ り 収 量 が 高 く , 相 関 係 数は 小 さか った . 倒 伏 に つ い ては 第 2図 に 示 し たよ う に , 比 較品 種 の 対 ト ヨニ シ キ 近 縁 係数 と 倒 伏 程 度 に つ い て 有 意 な 負 の 相 関 関 係 に あ っ た . 育 成 系 統 の 倒 伏 程 度 は 小 さ く , 育 成 系 統 の 倒 伏 程 度 と ト ヨ ニ シ キ と の 近 縁 係 数 の 相 関 係 数 は 小 さ か っ た . 玄 米 千 粒 重 は 育 成 系 統 に お い て , 対 コ シ ヒ カ リ 近 縁 係 数 と 有 意 な 正 の 相 関 関 係 に あ っ た . 育 成 系 統 は , 玄 米 品 質 に つ い て , 対 コ シ ヒ カ リ 近 縁 係 数 , 対 亀 の 尾 近 縁 係 数 と 有 意 な 負 の 相 関 関 係 に , 対 旭 ( 朝 日 ) 近 縁 係 数 と 有 意 な 正 の 相 関 関 係 に あ っ た . 西 村 ら (200 0) は , 玄 米 品 質 の 高 温 ス ト レ ス 耐 性 は コ シ ヒ カ リ と の 近 縁 品 種 で 優 れ て い る こ と , コ シ ヒ カ リ の 祖 先 の 亀 の 尾 4号 が比 較 的 高 温 耐 性が 優 れ て い るこ と を 報 告 して い る . こ のよ う な こ と か ら も , 対 コ シ ヒ カ リ 近 縁 係 数 お よ び 対 亀 の 尾 近 縁 係 数 の 高 い 育
第6表 対親品種近縁係数と育成系統および比較品種の農業形質との相関係数. 上段:育成系統,下段:比較品種.育成系統n=14,比較品種n=9 (食味との相関係 , , . 数についてはコシヒカリの食味のデータを除く8) *:5%で **:1%水準で有意 品種名 稈長 穂長 穂数 収量 倒伏 玄米千 粒重 玄米品質 食味 0.065 -0.082 -0.016 0.147 0.292 -0.310 0.379 -0.197 -0.582 0.664 -0.544 0.565 -0.775** 0.530 0.054 -0.231 0.098 0.092 0.050 -0.203 -0.368 0.560* -0.541* 0.017 0.449 0.434 -0.023 -0.233 0.176 -0.134 -0.341 0.309 0.589* -0.060 0.354 0.350 0.303 -0.306 -0.139 -0.056 0.625 0.296 0.420 -0.212 0.521 -0.472 0.689 0.277 0.117 -0.126 -0.328 -0.287 0.428 -0.450 0.041 -0.190 -0.054 -0.892** 0.630 -0.540 -0.032 0.440 0.236 0.346 0.090 0.057 0.073 0.441 -0.476 -0.020 0.091 0.652 0.037 0.232 -0.097 0.229 -0.449 0.723* 0.175 0.162 0.066 0.080 0.012 0.107 -0.543* 0.029 -0.019 -0.070 -0.512 -0.342 -0.141 -0.366 0.627 -0.504 -0.187 0.206 0.119 0.363 0.367 -0.119 -0.171 0.433 -0.785* 0.076 -0.613 0.570 -0.463 0.168 -0.330 トヨニシキ コシヒカリ 月の光 農林1号 0.895** 0.689** 0.929** 農林22号 亀の尾 旭 (朝日)
第1図 収量と対農林1号近縁係数との関係. ○:育成系統 n=14 r=-0.328,●:比較品種 n=9 r=-0.892**. **:1%水準で有意. 第2図 倒伏と対トヨニシキ近縁係数との関係. ○:育成系統 n=14 r=0.292,●:比較品種 n=9 r=-0.775*. * :5%水準で有意. 50 55 60 65 70 75 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
対農林1号近縁係数
収量
(㎏
/
a)
0 1 2 3 4 5 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7対トヨ ニシキ近 縁係数
倒
伏
程
度
(
0
-5
)
成 系 統は 安 定し て玄 米 品質 が 良質 で あっ た と考 え られ た. 食 味 に お い て は , 比 較 品 種 で 対 コ シ ヒ カ リ 近 縁 係 数 , 対 農 林 22号 近 縁 係 数 と 有 意 な 正の 相 関 関 係 に あっ た . コ シ ヒカ リ は 農 林 22号と 農 林 1号 の 交配 組 合 せ で あ り , 比 較 品 種 の 食 味 は 対 コ シ ヒ カ リ 近 縁 係 数 , 対 農 林 22号 近 縁 係 数 と 有 意 な 相関 関 係 に あ り ,農 林 1号 と 有 意な 相 関 関 係 にな か っ た こ とか ら , コ シ ヒ カ リ の 食 味 は , 農 林 22号 由 来 で あ る こ と を 示 唆 し た . 育 成 系 統 , . で は いず れ の近 縁係 数 とも 有 意な 相 関関 係 は認 め られ なか っ た (第 3図) こ の 結 果 は 食 味 と 対 コ シ ヒ カ リ 近 縁 係 数 に 有 意 な 正 の 相 関 関 係 を 認 め る と し た 大 里 ・ 吉 田 (19 96) の 報 告 と 異 な り , 有 意 な 相 関 関 係 が 認 め ら れ な か っ た 重 宗 ら (20 06) の 報 告 と 同 様 な 結 果 で あ っ た . 育 成 系 統 は コ シ ヒ カ リ と の 近 縁係 数 が 比 較品 種 の 0.294~ 0.796 (平 均 で0.524)に 対 して 0.408~0. 67 9(平 均 で 0.55 6 , 農 林 22号 と の 近 縁 係 数 が 比較 品 種 の 0. 156~ 0.473( コ) シ ヒ カ リを 除 く 平 均で 0.368)に 対 し て0.351~ 0.434(平 均で 0.397)と 値 の範 囲 が 小 さ く , 高 い こ と , ま た , 食 味 が 全 体 的 に 高 く な っ て き た た め と 考 え ら れ た.
ま とめ
福 島 県 農 業 試 験 場 で 育 成 し た 系 統 お よ び 福 島 県 で 現 在 ま で 作 付 け さ れ て き た 水 稲 品 種 (比 較 品 種 ) の 家 系 分 析 を 行 っ た . 育 成 系 統 は 最 終 祖 先 ま で の 最 大 世 代数 が 14~ 17, 総 祖 先数 は 568~ 3500, 重複 品 種 を 除い た 祖 先 数は 62~ 147と い ず れ も比 較 品 種 よ り高 い 値 を 示 した . 遺 伝 的 寄与 率 が 最 も 大き第3図 食味と対コシヒカリ近縁係数との関係. , . ○:育成系統 n=14 r=0.017 ●:比較品種 n=8 (コシヒカリを除く) r=0.929** 食味評価の基準はコシヒカリ,**:1%水準で有意. -1.2 -1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 対コシヒカリ近縁係数 食 味
か っ た の は 旭 (朝 日 ) , 次 に 愛 国 , 大 場 (森 田 早 生 ), 亀 の 尾 , 器 量 好 (選 , , , . , 一 神 力 ) 上州 京 都 新旭 の 順で あ った 上 位 3品種 合計 で 43.6~ 64.1% 5品 種 で 63.5~ 7 9.9% , 7品 種 で 75 .0~ 87.5 % の 寄 与 率 が 認 めら れ た . 北 部 九 州 地 域 の 材 料 と 異 な り , 育 成 系 統 は 旭 (朝 日 ), 大 場 (森 田 早 生 ), 亀 の 尾 の 遺伝 的 寄与 が高 か った . 玄 米 品 質 に つ い て , 育 成 系 統 は 対 コ シ ヒ カ リ , 対 亀 の 尾 の 近 縁 係 数 と 有 意 な 負 の 相 関 関 係 に あ り , 対 旭 (朝 日 ) 近 縁 係 数 と 有 意 な 正 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ た . 玄 米 品 質 が 優 れ る 系 統 は 対 コ シ ヒ カ リ 近 縁 係 数 , 対 亀 の 尾 近 縁 係 数 が 高 い と い う 特 徴 が 認 め ら れ た . 食 味 に つ い て , 比 較 品 種 は 対 コ シ ヒ カ リ , 対 農 林 22 号 の 近 縁 係 数 と 有 意 な 正 の 相 関 関 係 に あ っ た が , 育 成 系 統 は 有意 な 相関 関係 が 認め ら れな か った .
第 3 章
味 度 メ ー タ ー お よ び ラ ピ ッ ド ・ ビ ス コ ・ ア ナ ラ
イザ ー を 利 用 し た 水稲 良 食 味 系 統 選抜
現 在 , 一 般 に 用 い ら れ て い る 米 の 食 味 検 定 は 官 能 検 査 法 で あ る . 一 方 , 物 理 的 な 測 定 値 や 化 学 分 析 値 と 食 味 官 能 検 査 と の 関 係 , さ ら に 各 種 の 測 定 原 理 に 基 づ く 食 味 関 連 測 定 装 置 (味 度 メ ー タ ー 等 ) な ど 数 多 く の 研 究 結 果 が 報 告 さ れ て き た が , 複 雑 な 要 因 が 関 係 し て い る と 思 わ れ る 食 味 を 完 全 に 推 定 す る に は い た っ て い な い ( 大 坪 199 5). し た が っ て , 簡 便 に 測 定 が で き , か つ 食 味 官 能 検 査 と の 相 関 が 高 い 方 法 を 見 出 し , そ れ ら を 適 切 に 組 み 合 わ せ る こ と が 重 要 で あ る . そ こ で , 本 章 で は 味 度 メ ー タ ー 値 (味 度 値 ) お よ び ラ ピッ ド ・ ビ ス コ・ ア ナ ラ イ ザー 特 性 値 (RVA特 性 値) と 食 味 官 能検 査 と の関 連 を調 査し , 良食 味 系統 選 抜へ の 利用 を 検討 した .1. 食 味 官 能 検 査 値 , 味 度 値 お よ び RVA特 性 値 相 互 の 関 係
育 種 に お い て は , 育 成 途 中 の 多 数 の 系 統 の 中 か ら , 良 食 味 系 統 を 少 量 の サ ン プ ル で 効 率 的 に 選 抜 す る 必 要 が あ る . 簡 便 に 測 定 が で き , か つ 食 味 官 能 検 査 と の 相 関 が 高 い 方 法 を 見 出 し , そ れ ら を 適 切 に 組 合 せ る こ と が 重 要 . , , で あ る そこ で 本 節 では 味 度値 お よび RVA特 性 値と 食 味と の 関連 を調 査 し 良 食 味系 統 選抜 への 利 用を 検 討し た .材料 と 方法 材 料 は , 2000 年 , 2001 年 に 試 験 し た 11育 成 系 統 お よ び 比 較 品 種 と し て 食 味 総 合 評 価が 上 の 中 (コ シ ヒカ リ , ひと め ぼ れ ,ま な む す め , 上 の 下 (は) た じ る し ,あ き た こ ま ち, 初 星 , チ ヨニ シ キ ,中 の 上 以 下 (ま い ひ め ,ア) キ ヒ カリ , トヨ ニシ キ ,農 林 21号 ) の11品 種で あ る. 食 味試 験 は第 2章同 様 の方 法 で行 った 味 度 値の 測定 は 味 度メ ータ ー (東. , 洋 精 米 機 社製 MA-90A) を 用 い , 砕 米を 除 去 し た 完全 米 33gを 専用 セ ル に 充填 し , 前 処 理 バ ス で 炊 飯 し , む ら し 後 , 測 定 器 本 体 で 測 定 し た . な お , 測 定 値 は 2 回 の 測 定 値 を 平 均 し て 求 め た . RVA特 性 値 の 測 定 に は , ラ ピ ッ ド・ ビ ス コ ・ ア ナ ラ イ ザ ー (ニ ュ ー ポ ー ト サ イ エ ン テ ィ フ ィ ッ ク 社 製 , 3D型 ) を 用 い た . 試料 は , 精 米を サ イ ク ロン サ ン プ ルミ ル (UDY社 製 ) で 粉 砕 し ,60 メ ッ シ ュ の 篩 を 通 し た 精 米 粉 を 用 い た . 豊 島 ら (199 7) の 方 法 に 準 じ , 試 料 3 .5gに 蒸 留 水 25mLを 注 入 し 測 定 し た . い ず れ の 試 料 も 水 分 は 14% に 補 正 . , , , し た 水 温の 条件 は 50℃で 1分 間保 持後 50℃ から 93℃ま で 4分 間 で昇 温 93℃ で 7分 間 保 持し , 更 に 93℃ から 50℃ ま で 4分 間で 降 温 , 50℃ で 3分 間 保持 し た . 最 高 粘 度 , 最 低 粘 度 , 最 終 粘 度 , ブ レ ー ク ダ ウ ン , コ ン シ ス テ ン シ ー を 求め た .な お, 測 定値 は 2回の 測定 の 平均 と した . 結果 と 考察 第 4図 に は, 2000年 と 2001年 の 各 品種 の 食 味 総 合評 価 の 関 係を 示 し た .各 品 種 は 2 000年 と 2001 年 で 同 様 な 傾 向 が 見 ら れ , コ シ ヒ カ リ , ひ と め ぼ れ 等
第4図 2000年と2001年の食味総合値. ○は食味評価上の中,□は上の下,●は中の上以下,△は育成系統を示す.図中 の数字は品種名を示す 「コシヒカリ (1 ,ひとめぼれ (2),まなむすめ (3),, ) , , , , , はたじるし (4) あきたこまち(5) 初星 (6) チヨニシキ (7) まいひめ (8) ), , , 」 . アキヒカリ(9 トヨニシキ (10) 農林21号 (11) 育成系統 (12~22) を表す
-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
-2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0
0.5
1.0
食味総合評価(2000年) 食味総合評 価 ( 200 1 年 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22の 総 合 評 価 が 高 く , 次 に チ ヨ ニ シ キ , 初 星 が 中 位 で , ア キ ヒ カ リ , ト ヨ ニ シ キ 等 が 低 い 値 を 示 し た . 前 述 の 食 味 総 合 評 価 (上 の 中 , 上 の 下 , 中 の 上 以 下 ) と ほ ぼ同 じで あ った . , , , , , , 次 に第 7表に 食 味官 能 検査 値 (外 観 香 り 味 粘り 硬 さ 総 合評 価 ) 味 度 値 , RVA特 性 値の 相 互 関 係 を示 し た . 食 味官 能 検 査 値 間の 関 係 で は 食味 の 総 合 評 価 は , 2000 , 2001 年 と も に 外 観 , 香 り , 味 , 粘 り と 正 の 有 意 な 相 関 関 係 に あ った . 食 味 官 能 検査 値 と RVA特 性 値お よ び 味 度 値と の 関 係 で は, 総 合 評 価 はRVA 特性 値 の 最 低粘 度 (2000年 ),最 終 粘 度 (2000年 ), コ ン シス テ ン シ ー (2000, 2001年 ) と 負の 有 意 な 相関 関 係 に あり , ブ レ ーク ダ ウ ン (2 000年 , 味 度 値 (2 000, 2001 年 ) と 正 の 有 意 な 相 関 関 係 に あ っ た .米 飯) の 物 理 性を 示 す 粘 りは , 最 低 粘度 (2000, 2001年), 最 終 粘度 (2000, 2001 年 ) , コ ン シ ス テ ン シ ー (20 00, 200 1年 )と 負 の 有 意 な 相 関 関 係 に あ り , ブ レ ー ク ダ ウン (2000年 ), 味 度値 (2000, 2001年) と 正 の 有 意な 相 関 関 係に あ っ た. 第 8表 に は , 食味 官 能 検 査 値 それ ぞ れ の 年 次間 の 相 関 関 係を 示 し た . 総合 , , . , 評 価 粘 り 硬さ は 年次 間 に正 の有 意 な相 関 関係 が 認め ら れた 第 9表に は 味 度 値 , RVA特 性 値 そ れ ぞ れ の 年 次 間 の 相 関 関 係 を 示 し た . 味 度 値 と RVA特 性 値 の 最 低 粘 度 , 最 終 粘 度 , コ ン シ ス テ ン シ ー は , 年 次 間 に 正 の 有 意 な 相 関 関 係 が 認 め ら れ た が , 最 高 粘 度 , ブ レ ー ク ダ ウ ン に は 有 意 な 相 関 関 係 は 認 め られ な かっ た.
第 7表 食味 官 能検 査 値, 味度 値 ,RVA特 性値 相互 の 相関 係 数. 表 の斜 線 右上 の 数字 は 2000年, 左 下の 数 字は 2001年 . n=22, *: 5%で , **: 1% 水準 で有 意 . 食味官能検査値 味度 RVA特性値 外観 香り 味 粘り 硬さ 総合評価 値 最高粘度 最低粘度 最終粘度 ブレークダウン コンシステンシー 外観 0.913 ** 0.909 ** 0.937 ** -0.714 ** 0.934 ** 0.590 ** 0.261 -0.418 -0.513 * 0.623 ** -0.537 ** 香り 0.426 * 0.953 ** 0.892 ** -0.664 ** 0.936 ** 0.491 * 0.271 -0.379 -0.433 * 0.601 ** -0.418 味 0.421 0.794 ** 0.896 ** -0.722 ** 0.968 ** 0.588 ** 0.163 -0.436 * -0.513 * 0.532 * -0.511 * 粘り 0.518 * 0.684 ** 0.805 ** -0.765 ** 0.959 ** 0.615 ** 0.131 -0.591 ** -0.676 ** 0.626 ** -0.652 ** 硬さ -0.199 -0.402 -0.437 * -0.556 ** -0.765 ** -0.762 ** 0.029 0.436 * 0.602 ** -0.328 0.705 ** 総合評価 0.658 ** 0.810 ** 0.890 ** 0.866 ** -0.377 0.634 ** 0.168 -0.498 * -0.576 ** 0.590 ** -0.562 ** 味度値 0.536 * 0.583 ** 0.505 * 0.729 ** -0.630 ** 0.587 ** -0.058 -0.391 -0.581 ** 0.260 -0.723 ** 最高粘度 0.079 0.013 -0.089 -0.351 0.536 * -0.114 -0.267 0.465 * 0.475 * 0.685 ** 0.386 最低粘度 -0.246 -0.111 -0.123 -0.434 * 0.555 ** -0.224 -0.525 * 0.837 ** 0.938 ** -0.326 0.651 ** 最終粘度 -0.385 -0.264 -0.267 -0.537 ** 0.557 ** -0.369 -0.640 ** 0.751 ** 0.965 ** -0.265 0.874 ** ブレークダウン 0.546 ** 0.204 0.040 0.074 0.063 0.159 0.375 0.445 * -0.118 -0.216 -0.123 コンシステンシー -0.543 ** -0.459 * -0.448 * -0.620 ** 0.486 * -0.538 ** -0.729 ** 0.522 * 0.784 ** 0.919 ** -0.335
第8表 食味官能検査値の年次間の関係. n=22, **:1%水準で有意 . 第9表 味度値,RVA特性値の年次間の関係と遺伝率. h =σ /(σ2 2G 2G+σ ). σ2E 2Gは遺伝分散, σ は環境分散.2E n=22,*:5%で, **:1%水準で有意.
RVA特性値
味度値
最高
最低
最終
ブレーク コンシス
粘度
粘度
粘度
ダウン
テンシー
相関係数 0.840** 0.264 0.632** 0.667**
0.204
0.642**
遺伝率(h
2)0.840
0.258 0.631
0.666
0.157
0.636
総合値 粘り 硬さ 相関係数 0.568** 0.700** 0.631**2 . 味 度 値 ,RVA特 性値 の 遺 伝 力
品 種 間 差 をも と に 年 次 を 反復 と し て , 分散 分 析 に よ り味 度 値 , RVA特 性値 の そ れぞ れ の遺 伝率 を 求め た . 材料 と 方法 前 節 の 材料 の 味 度 値 ,RV A特性 値 を 用 い ,遺 伝 率 (広 義 ) は, 品 種 間 差を も と に年 次 を反 復と し て分 散 分析 に より 求 めた (藤巻 ・櫛 渕 1975). 結果 と 考察 第 9 表 に は , 味 度 値 , R VA特 性 値 , そ れ ぞ れ の 遺 伝 率 を 示 し た . 遺 伝 率 に つ い て の 分 散 分 析 の 結 果 は , 年 次 間 の 相 関 係 数 と ほ と ん ど よ く 一 致 し た . 遺 伝 率 は , 味 度 値 が 最 も 高 く , 次 い で 最 終 粘 度 , コ ン シ ス テ ン シ ー , 最 低 粘 度 , 最 高 粘 度 , ブ レ ー ク ダ ウ ン の 順 で あ っ た . 本 研 究 で は , 味 度 値 の 年 次 間 の 相 関係 数 と 遺 伝 率は 他 の RVA特 性値 よ り 高 かっ た こ と から , 東 ら (19 94), 蛯 谷 (1998) と 同 様に , 効 率 的 に良 食 味 系 統の 選 抜 を 行う に 味 度 値は 利 用 で き る と 考 え た . ま た , 最 低 粘 度 , 最 終 粘 度 , コ ン シ ス テ ン シ ー の 年 次 間 の 相 関 係 数 と 遺 伝 率 は , 最 高 粘 度 , ブ レ ー ク ダ ウ ン よ り 高 か っ た . こ れ は , 年 次 間 差 よ り も 品 種 間 差 の 方 が 大 き か っ た た め と 考 え ら れ る . 佐 々 木 ら (197 7) は , ア ミ ロ グ ラ フ を 利 用 し , 最 高 粘 度 は 収 量 並 の 遺 伝 率 で , ブ レ ー ク ダ ウ ン は よ り 小 さ い こ と , 最 高 粘 度 は 年 次 と の 交 互 作 用 が 認 め られ た と 報 告 し て い る . 本 研 究 で , 最 高 粘 度 と ブ レ ー ク ダ ウ ン の 年 次 間 の 相 関 係 数 と 遺 伝 率 が 低 か っ た の は , 品 種 間 差 よ り , 年 次 間 差 が 大 き か っ た た め と 考え ら れる .
3. 主成 分 分 析 に よ る食 味 の 評 価
食 味 の 優 れた 品 種 の 特 性 を総 合 的 に 判 断す る た め に ,味 度 値 , RVA特 性値 の 相 関行 列 をも とに 主 成分 分 析を 行 った . 材料 と 方法 第 1節 の材 料 (合 計 22品種 ) の 味 度値 , RVA特 性 値の 相 関 行 列を も と に Mic rosoft Office Excelに より 主 成分 分析 を 行っ た .結果 と 考察 主 成 分 分 析 に よ っ て 得 ら れ た 第 1主 成 分 お よ び 第 2主 成 分 と 各 成 分 に 対 す る 固 有 ベ クト ル , 固 有 値, 因 子 負 荷 量, 累 積 寄 与率 を 第 10表に 示 し た .200 , , 0年 にお い ては 各 主成 分 によ る 固有 値の 累 積寄 与 率は 第 1主 成 分は 56.0% 第 2主 成 分 まで は 84.6% に な っ たこ と か ら 食 味の 総 合 的 な 評価 に 必 要 な 情報 . は 第 1主 成 分お よ び第 2主成 分 によ っ て大 部 分が 説 明で きる こ とが わ かっ た 第 1 主 成 分 は , 最 低 粘 度 , 最 終 粘 度 , コ ン シ ス テ ン シ ー , 味 度 値 の 4特 性 と 関 わ り が 深 い 因 子 で あ り , 炊 飯 米 の 老 化 性 を 表 し , 遺 伝 率 が 高 く , 遺 伝 的
第 10表 味度 値 とRVA特 性値 の主 成 分分 析 . 固有ベクトル 因子負荷量 第1主成分 第2主成分 第1主成分 第2主成分 最高粘度 0.260 0.663 0.476 0.869 最低粘度 0.483 -0.011 0.885 -0.015 2000 最終粘度 0.537 -0.004 0.984 -0.006 (n=22) ブレークダウン -0.120 0.718 -0.220 0.940 コンシステンシー 0.499 0.006 0.914 0.008 味度値 -0.385 0.211 -0.705 0.277 固有値 3.359 1.716 累積寄与率(%) 56.0 84.6 最高粘度 0.379 0.535 0.743 0.663 最低粘度 0.483 0.137 0.948 0.170 2001 最終粘度 0.505 0.017 0.991 0.021 (n=22) ブレークダウン -0.103 0.747 -0.202 0.925 コンシステンシー 0.470 -0.166 0.924 -0.206 味度値 -0.371 0.330 -0.728 0.408 固有値 3.858 1.532 累積寄与率(%) 64.3 89.8 変数 年次
に 安 定 し て い る と 考 え ら れ る . 第 2主 成 分 は 最 高 粘 度 , ブ レ ー ク ダ ウ ン の 2 特 性 と 関 わ り が 深 い 因 子 で あ り , 炊 飯 米 の 膨 潤 性 お よ び 崩 壊 性 を 表 し , 遺 伝 率 が 低 く , 環境 に 影 響 さ れ やす い と 考 え られ る . 第 1主 成分 に 関 わ る 特性 は , 粘 り や 硬 さと 関 連 が あ り ,第 1主 成 分 は 特に 食 味 と 関 わり が 深 い 因 子で あ る と 考 え ら れ る . 200 1年 に お い て も 20 00年 と ほ ぼ 同 様 の 結 果 で , 固 有 値 の 累 積 寄 与 率 は , 第 1主 成 分 は 64 .3% , 第 2主 成 分 ま で は 89.8% で あ り , 食 味 の 総 合 的 な 評 価 に 必 要 な 情 報 は 第 1主 成 分 と 第 2主 成 分 に よ っ て 説 明 で き る こ と が わ か っ た . 20 00年 と 異 な っ た 点 は , 第 1 主 成 分 に 最 高 粘 度 が 深 く 関 わ った 点 であ った . 主 成 分 分 析 の結 果 を 用 い , それ ぞ れ の 品 種お よ び 系 統 につ い て , 第 1主成 分 得 点 を X 軸 , 第 2主 成 分 得 点 を Y軸 と し て , 2000 年 を 第 5図 a, 2001年 を 第 5 図 bに 示 し た . 良食 味 品 種 と 食 味不 良 品 種 で は異 な る 分 布 を示 し た . 食 味不 良 品 種 は 良食 味 品 種 に 比べ , 第 1主 成 分得 点 が 正 の値 を 示 し ,第 1象 限 と 第4 象 限 に 分 布 し て い た . 食 味 不 良 品 種 は , 共 通 し て 炊 飯 米 の 老 化 性 が 高 い と 考 え ら れ る . 良 食 味 品 種 で あ る コ シ ヒ カ リ は 炊 飯 米 の 老 化 性 が 低 く , 膨 潤 性 お よ び 崩壊 性 が 高 い ,第 2象 限 に 分 布 して い た . 庄 司・ 倉 沢 (1992) は, コ シ ヒ カ リ は 精 白 米 粉 の ア ミ ロ グ ラ ム で は , 最 高 粘 度 と 崩 壊 度 は 高 く , 老 化 度 は 低 い 値 を 示 し た こ と を 報 告 し て い る . 今 後 , コ シ ヒ カ リ と 類 似 し た 特 性 を 持 つ 系 統 あ る い は コ シ ヒ カ リ よ り 膨 潤 性 お よ び 崩 壊 性 が 高 く , 老 化 性 の 低 い 系 統 を 選 抜 し , 環 境 に 対 す る 安 定 性 と 食 味 官 能 評 価 に つ い て 検 討 す る こと が 必要 であ る と考 え られ る .
第5図a 主成分分析による食味評価 (2000年). 第5図b 主成分分析による食味評価 (2001年). 図中の記号,数字は第4図に同じ. -3 -2 -1 0 1 2 3 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 第1主成分得点 第 2 主成分得 点 1 19 18 2 14 6 13 15 20 22 7 3 4 12 21 16 8 9 5 1 7 10 11 -3 -2 -1 0 1 2 3 -5 -3 -1 1 3 5 第1主成分得点 第 2 主成分 得 点 7 17 13 1 20 2 19 5 22 21 18 15 14 16 4 10 3 9 12 8 11 6