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多孔質バイコールガラスの細孔構造におよぼす母ガラスの組成および熱処理条件の影響

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Academic year: 2021

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(1)

多孔質バイコールガラスの細孔構造におよぼす母ガ

ラスの組成および熱処理条件の影響

著者

藤吉 一誠, 桜井 泰

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

26

ページ

125-129

別言語のタイトル

The effects of composition and heat-treatment

of mother glass on the pore structure of

porous vycor glass

(2)

多孔質バイコールガラスの細孔構造におよぼす母ガ

ラスの組成および熱処理条件の影響

著者

藤吉 一誠, 桜井 泰

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

26

ページ

125-129

別言語のタイトル

The effects of composition and heat-treatment

of mother glass on the pore structure of

porous vycor glass

(3)

多孔質バイコールガラスの細孔構造におよぼす

母ガラスの組成および熱処理条件の影響

藤吉一誠・桜井泰*

(受理昭和59年5月31日)

THEEFFECTSOFCOMPOSITIONANDHEAT一TREATMENTOFMOTHERGLASS ONTHEPORESTRUCTUREOFPOROUSVYCORGLASS IsseiFUJIYOSHIandTaiSAKURAI

Todeterminetheeffectofcompositionandheat-treatmentofmothergrassonporestructure

andrateprocessofacidtreatment,anitrogenadsorptionexperimentwasrunandmeasurementsof

theporouslayerthicknessweretaken・

Inthecasewherethemothergrassdidnotcontainanyalumina,poresizebroadenedwith

heat-treatmenttime・Ontheotherhand,whenitcontainedasmallamountaluminaandheat-tre‐

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SurfaceareawascontrolledintherangeoflOOto400㎡/gbychangingtheNa20/B203ratio.

Themeanporeradiuswas43AandwaslargestataNa20/B203ratioofO、172.

Theeffectivediffusioncoefficientwasincreasedwithporesize・Dissolutionconstantwasnot

relatedtotheNa20/B203ratio,butitincreasedwithporevolume.

1 . 緒 目 ある種のホウケイ酸ガラスは熱的に不安定であって 熱処理により,SiO2に富む相とNa20およびB203 に富む相に分相する。これを酸処理すると後者の相の 成分が溶出して,高ケイ酸質の多孔質バイコールガラ

ス(以下PVGと略す)になる。’)

PVGの細孔は複雑な網目構造であり,その表面積 は非常に大きく,しかも表面シラノール基が豊富であ る。このI性質のため,近年,触媒,触媒担体,イオン 交換体,分子筋および憶過材等への応用が注目される ようになった。その孔径は5∼5000Aと言われており

2),上記の多孔材料へ利用するにはそれをより狭い範

囲に特定することが重要になる。 PVGの細孔構造は母ガラスの組成,熱処理条件お よび酸処理条件等によって影響されると考えられる。 著者らは既に酸処理時間が生成するPVGの細孔構造 *兵庫県技術アドバイザー

にほとんど影響を与えないことを確めた。3)

本研究では組成の異る数種類のホウケイ酸ガラスの 熱処理時間および温度を変えて調整した分相ガラスの 酸処理を行い,生成したPVGの細孔構造および多孔 質層の形成速度について検討した。 2 . 実 験 方 法 2 . 1 試 料 PVGの原料として用いたホウケイ酸ガラスは大阪 工業技術試験所製である。表1に示すように,すべて の試料のSiO2は62.5Wt%であり,試料Aは3% のAl203を含有し,他の試料はNa20/B203比が異っ ている。 ガラスの分相性は組成によって異なるため,熱処理 条件は江口が示した分相平衡に到達するための温度お

よび時間の条件4)を考慮して表1に示すように定めた。

(4)

X 126

表1ホウケイ酸ガラスの組成および熱処理条件

OO21

︹虹一一E]両○一×母ぐ三コ 熱処理条件|表面積|細孔容積細孔容積 「ml/質1 表 面 積 「m2/質1 40 記 号記 号 温 度 「℃1 時 間 「hrl 2.2窒素吸着実験

PVG約0.29を柴田化学器械製表面積測定装置P

−700型の試料管に入れ,10 4torr,200℃で約2

時間真空脱気を行った。その後,定圧法により窒素の

吸着等温線を測定した。この結果から,BET表面積

およびDollimoreの方法による細孔分布51を計算し

た。 幽畑一秘一噸 ml/9 0.183 0.208 0.204 未 処 500 500 理一m一別 ) (】 5 (] 30

鹿児島大学工学部研究報告第26号(1984)

2.3分相ガラスの酸処理における多孔質層の形 成速度

分相ガラスの酸処理における多孔質層の増大を前報31

と同じ方法で測定した。すなわち,80℃の1N塩酸

90ml内に直径4mm,長さ10mmの円柱状試料の側

面を半透明のシリコンチューブで被覆して浸漬し,横

断面からのみ酸を接触させた。酸処理時間とともに平

板状に形成される多孔質層の厚みを読取顕微鏡を用い

て測定した。

O 2 0 4 O 6 0 8 0 1 0 0

図1試料Dの細孔分布におよぼす熱処理条件の影響 ◎ 半径10A付近に鋭いピークを示し,また表面積も 300,2/gを超えていた。、これはガラスの製造時に溶 融状態から冷却される際,短時間であるが分相の温度 域を経過するためであり,試料Dはかなり分相性に 富んでいることがわかった。 熱処理の初期に細孔容積が増加するのは分相反応が 進行したことを示している。また熱処理時間とともに 。 半径10A程度の小さい細孔が減少した。このような 傾向はSi0267.21%,Na204.96%そしてB203 27.83%のガラスの場合にも起ることが牧島らによっ

て報告されている。61

熱処理時間により細孔分布が右側すなわち孔径の増 大 方 向 へ 移 動 す る 現 象 は 分 相 に よ り 生 成 し た Na20/B203相が時間とともに凝集して行く結果であ る。 試料Dと同様に粒状にされたアルミナを含む試料 Aの熱処理温度および時間を変えて調整したPVG

の細孔分布の例を図2に示す。このようにいずれも

◎ 半径10A付近に鋭いピークを示した。またPVGの 表面積および円筒状細孔を仮定して算出した平均細孔 半径を表2に示す。表面積は熱処理温度とともに 徐々に増大するが,650℃になると急激に減少した。 X」

熱処理により得られた分相ガラス19あたり,1N

塩酸100mlを用い,80℃で酸処理してガラスを多孔

化した。処理液中のホウ酸濃度を適当な間隔で測定し,

これが一定になった時に酸処理を終了した。

3.実験結果および考察 3 . 1 細 孔 構 造 に お よ ぼ す 添 加 ア ル ミ ナ の 効 果 しへ、 、 、 ロ、 ‐ -.-¥ご冒乏. 5 0 0 3 0 ABCDEF ア ル ミ ナ を 3 % 含 む 試 料 A と , こ れ と 同 程 度 の Na20/B203比を有する試料Dを用いて,熱処理条件 による細孔構造の変化を測定し,添加アルミナの効果 について調べた。

粒子径が20∼32meshの試料Dの未熱処理,500

℃で10時間および50時間熱処理したPVGの細孔

分布を図1に示す。熱処理を行なわない状態で既に

伽叩nm 71 熱 処 理 条 件 Temp.(℃)Time(hr・) 5 5 0 3 0 ||’ 500 560 500 480 SiO 組 成 ( w t % ) B20ユNa20Al20コ Na20/B203 0 .00000 3 7.22 10.00 9.25 7.5 5.5 4.0 27.28 27.25 28.25 30.0 32.0 33.5 62.5 62.5 62.5 62.5 62.5 62.5 0.265 0.367 0.327 0.250 0.172 0.119

(5)

09、一一一 /、 127

0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 o 4

Nq2O/B2O3比仁一コ

図47pとNa20/B203比の関係 3.2細孔構造におよぼすNa20/B203比の影響 50 ○ 表1に示したホウケイ酸ガラスからアルミナを含 む試料Aを除く5種類のガラスの熱処理および酸処 理を行った。試料ガラスはすべて直径4mmの円柱 状であったが,試料EとFは酸処理時に破砕したた め,細片状で窒素吸着実験を行った。これらのPVG の 細 孔 分 布 を 図 3 に 示 し , ま た 平 均 細 孔 半 径 と Na20/B203比の関係を図4に示す。平均細孔半径は ム0 0 3 ,く一一Eu 。

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ー 2 ベーーE]両○一× 0 O 1 0 2 0 3 0 0 1 0 2 0 3 0 0 1 0 2 0 3 0 o r E A . 試料Aの細孔分布におよぼす熱処理条件の影響

l

l p 1 母コーンコ 図2 4 2 3 402 3 8 7 4 1 0 表2試料Aの熱処理条件および表面積 藤吉・桜井:多孔質バイコールガラスの細孔構造におよぼす 母ガラスの組成および熱処理条件の影響 0 平均細孔半径は500ないし550℃で11∼12Aにな った。これらの結果から試料Aの熱処理温度は500 ∼600℃付近が適当と思われる。 550℃で熱処理時間を変えた場合,試料Aの表面 積および平均細孔半径はほとんど変化しないことがわ かった。この結果は前述したアルミナを含有しない試 料Dの場合と異った。すなわち,ホウケイ酸ガラス に少量のアルミナを加えるとNa20B203相の凝集を 防げ,かなり小さい細孔が集中的に生成した。 40 ︿″.、 Temp.(℃)Time(hr)表面積(m2/g)でp(A) 16 30 60 1 0 0 4 0 0 4 5 0 5 0 0 5 5 0 6 0 0 6 5 0

000006

333331

3 7 8 3 8 3 3 5 4 4 0 2 4 1 0 2 9 0 21

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0 2 0 4 0 6 0 8 0

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図3各種のPVGの細孔分布 100 5 5 0 5 5 0 5 5 0 5 5 0 11 11 10 11 400.C hr 1 ・ 550。C 30hr 60OCC 30hr

(6)

× 128 300 ▲ Na20/B203比が0.172の時最大となり,Na20/B203 比の増加とともに平均細孔半径が急激に減少すること がわかった。 SiO2−Na20−B203系組成図に示されるガラスの分

相域の図41では,分相の起りやすさはB<C<D

< E > F で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る 。 こ れ と 図 4 を比較すると,分相の起りやすいガラスが大きい細孔 半径を持つことがわかる。この結果は試料Dにおい て,熱処理時間を長くすると平均細孔半径が増加する と言う結果と一致する。 BET表面積とNa20/B203比の関係を図5に示す。 △AR︼︽しF﹄

①▲○●

4 ○ 3 ︹EE] 400 2 ▲ ▲ (2) 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 6 号 ( 1 9 8 4 ) 組成の異る分相ガラスを80℃の1N塩酸で酸処理 する場合の多孔質層の厚みの増大と酸処理時間の関係 を 図 6 に 示 す 。 分 相 し や す い 試 料 ほ ど 酸 処 理 速 度 が

速くなる傾向が認められた。著者らは前報31において,

この速度過程が細孔内における酸の拡散と界面におけ る溶解反応の両者の影響下にあることを確認し,多孔 rl m − r,J E200 U 狸 │困

,

0 0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 o 4 Na20/B203E−。 図5比表面積のNa20/B203比依存性 表面積はNa20/B203比とともに増加した。これは Na20/B203比が0.119および0.172の試料EとF の細孔分布曲線が他のガラスと異り,図3に示すよ うに大きい孔径の方に移動したことに起因している。 すなわち,表面積は孔径の増大とともに減少する傾向 を示す。 以上のように,Na20/B203比を変えることにより, PVGの表面積を100∼400,2/gの範囲で制御できる ことがわかる。

0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0

t[hr] 図6分相ガラスの酸処理における多孔質層の増大 質層の増大について,擬定数拡散近似法による次の式 を提示した。

赤(力伽冒雨十Q加重十#票)=‘Ⅲ

3 . 3 分 相 ガ ラ ス の 酸 処 理 に お け る 多 孔 質 層 の 形 成速度 kとDeffは次の試行錯誤法により決定した。すなわ ち,初期の勾配よりAEの初期値を求め,おの偏差の 自乗和が最小となるようにDeffの近似値を求めた。 同様にしてノtの値を補正した。この操作を繰返して, 有効数字3桁まで決定した。これによる〃の計算曲 線を図6に示した。 各ガラスについて算出されたkの値とNa20/B203 比の相関性は認められず,ノヒは図7に示すように細 孔容積とともに直線的に増加した。本反応では塩酸の H+イオンが分相ガラス中のNa+イオンと迅速に交

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(7)

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nUのいへN戸仁UU④○一×↑芯ロ 129 藤吉・桜井:多孔質バイコールガラスの細孔構造におよぼす 母ガラスの組成および熱処理条件の影響 8 ) について検討した。 母ガラスがアルミナを含有しない場合,熱処理時間 とともに孔径が拡大し,表面積が減少するなど細孔構 造が著しく変化した。

これに対して,少量のアルミナが含まれる場合,熱

処理温度は550℃付近が適当であり,この温度にお

いて細孔半径および表面積は熱処理時間の影響をほと んど受けなかった。 Na20/B203比を変えることにより表面積を100∼ 400,2/gの範囲で制御できることがわかった。また Na20/B203比が0.172の場合に平均細孔径は43Aで 極大であった。 分相ガラスの酸処理における多孔質層の増大を測定 し,細孔内の物質移動を擬定常拡散近似法によって解 析した。その結果,酸の有効拡散係数は孔径とともに 変化した。また溶解速度定数はNa20/B203比に依存 せず,細孔容積とともに増加した。これにより固液界 面上でH+イオンとNa+イオンの交換反応が迅速で あり,ホウ酸成分の溶解は比較的遅いと考えた。

OO21

,国一Eu.U①帆へ内へ一一oEu ト○一×エ

0.200210.220.230.240.25 VpEml/9. 図 7 片 と V p の 関 係 換し,これに続いてホウ酸を主体とする固相成分が 徐々に溶解して行くと言う機構が考えられる。細孔容 積の増加とともに,拡散経路の全断面積も増大し,見 かけ上ルが大きくなったものと思われる。 一方,有効拡散係数Deffは図8に示すように細孔 使 用 記 :処理液中の酸濃度 :有効拡散係数 :溶解速度定数 :平均細孔半径 :酸処理時間 :多孔質層の厚み :ナトリウムのモル密度 号 〔mCl/l〕 〔Cm2/SeC〕 〔moll/2/SeOCml/2〕 〔A〕 〔sec〕 〔cm〕 〔m01/Cm3〕 多孔質ガラスについて窒素吸着実験を行い,細孔構 造におよぼす母ガラスの組成および熱処理条件の影響 境野,表面,16,591(1978) 江口,大工試研究講演会講演要旨集,25(1982) 藤吉,桜井,化工論文集,6,551(1980) 江口,大工試季報,355,6(1979)

D,DollimoreandHHeal,J、Appl・

Che、.,14,109(1964)

AMakishimaandT・Sakaino.,J、

CeramAssoc・Japan,76,41(1968)

藤吉,高橋,化学工学協会福岡大会講演要旨集, 69(1983) 境野,表面,9,115(1971) f

O鼓

CD鵬凡一rt範β︲

0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0

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図8Deffと下pの関係 半径とともに増加した。これにより,孔径がH+イオ ンの細孔内拡散を抑制する原因と考えられるが,透過

型電子顕微鏡写真7,8)に見られるように,pVGの細孔

は複雑な網目構造をしているため,屈曲性が大きいこ とが予想される。 文 献

1111112345

O ) ’’一一巨 結 ■ 4 7 )

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