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HPSG における音韻情報のタイプ継承と制約

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KobeShoinWomen'sUniversityRepository

Title HPSGに お け る 音 韻ll青報 の タ イ プ 継 承 と 制 約 TypeInheritanceandConstraintsofPhonological InformationonHPSG

Authors)

松 井 理 直MichinaoMatsui Citation TheoreticalandappliedlinguisticsatKobeShoin, No.S:53-82 IssueDate 2002 ResourceType BulletinPaper/紀 要 論 文 ResourceVersion URL Right AdditionalInformation

(2)

HPSGに

お ける音韻 情 報 の タイ プ継 承 と制 約*

松井 理直

TypeInheritanceandConstraintsofPhonologicalInformation onHPSG MichinaoMATSLTI Abstract Typeinheritanceisoneofthemosteffectivemethodstocompactinformationof lexicalitems.SomegenerativegrammarsincludingHead-drivenPhraseStructure Grammar(HPSG)adoptthisapproach.Manyresearcheshaveclearedtheaspects ofsemanticorsyntactictypesubsumpition,However,littleisknownaboutcom-putationalfeaturesofconstraintsbasedonphonologicaltypes.Thisstudydraws theoutlineoftypeinheritanceofphonologicalinformationinlexicalitems. 情 報 の 構 造 化 は 、 認 知 機 構 の 処 理 す る 情 報 の エ ン ト ロ ピ ー の 減 少 と し て 捉 え る こ と が で き る 。 情 報 が 構 造 化 さ れ る に つ れ 、 エ ン ト ロ ピ ー が 減 少 し 、 探 索 に 必 要 な 範 囲 が 限 定 さ れ て い く 。 こ う し た 認 知 機 構 の 情 報 構 造 化 過 程 を 形 式 的 に 表 現 す る 方 法 の 一 つ に 、 タ イ プ 継 承 と い う 手 法 が あ る 。 本 研 究 は 、 主 辞 句 構 造 文 法(HPSG)に お け る 音 韻 情 報 の 構 造 と 制 約 の 相 互 作 用 を 、 タ イ プ 継 承 と い う 点 か ら 議 論 し た も の で あ る 。 1.・ 「青幸侵牽苛造 1.1情 報 の 部 分 性 とゲ シ ュ タ ル ト性 多 くの 認 知 機 構 は 、 情 報 の 産 出 過 程 や 理 解 過 程 に お い て 、 情 報 の 構 造 化 を行 う。 構 造 化 に よ り、 情 報 の エ ン トロ ピー が 減 少 し、 そ の 情 報 が 「よ り意 味 の あ る」 もの に な る 。 例 え ば 、 音 楽 の メ ロ デ ィ に お い て 、 主 音Cの み が 提 示 さ れ た 場 合 、 メ ロ デ ィ と して の 価 値 は極 め て 少 な い 。 しか し、次 にEの 音 が 出現 す る と、 メ ロ デ ィ の 体 制 化 が 起 こ り始 め 、F TheoreticalandAppliedLinguisticsatKobeShoin5,53-82,2002. OKobeShoinlnstituteforLinguis[icSciences. 宰本 研 究 は、 日 本 学 術 振 興 会 科 学 研 究 費 補 助 金(基 盤 研 究(B),課 題 番 号:12410129,「 言 語 に お け る 制 約 間 の イ ン タ ー フ ェ ー ス に 関 す る 総 合 的 研 究 」,研 究 代 表 者:西 垣 内 泰 介)の 援 助 を 受 け て い る 。

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やDな どの 音 が 続 く可 能 性 が 高 い と い う予 測 が で きる 。 さ ら に 、 実 際 にD音 が 現 れ 、 続 い てE音 が 出 現 した 場 合 、 次 はE-Fと い う 「系 列 」 が 出 現 す る と い う予 測 も可 能 に な る 。 こ う した系 列 の 予 測 は 、 情 報 の 構 造 化 が 行 わ れ る か ら こ そ 可 能 に な る 事 態 で あ る 。 認 知 機 構 に お け る こ う した 情 報 の構 造 化 は 、 「ゲ シ ュ タ ル ト性 」 と して よ く知 られ て い る 。 ゲ シ ュ タ ル ト性 は 、 全 体 が 部 分 の 総 和 を越 え る こ とが あ る と い う点 で 興 味 深 い 現 象 で あ る 。西 洋 古 典 音 楽 の メ ロ デ ィ は 、 部 分 と し て は せ いぜ い12個 程 度 の 音 を集 め た もの で しか な い 。 しか し、 そ の 音 が 系 列 と し て 体 制 化 され た 時 、 メ ロ デ ィ と い う全 体 と して の 属 性 が 新 た に 現 れ る 。 情 報 の 構 造 化 に よ り、 部 分 の 総 和 か ら は 導 出 で き な い 属 性 が 創 発 す る とい う性 質 は 、 認 知 機 構 の 重 要 な 特 徴 で あ る 。 1.2HPSGと タ イ プ継 承 あ る構 造 の レベ ル に お け る 情 報 の 創 発 性 を、 明 示 的 か つ 形 式 的 に 表 現 す る 方 法 の 一 つ に タ イ プ 継 承(typeinheritance)と い う技 法 が あ る 。 こ の ア プ ロ ー チ は 、 ラ ッセ ル の パ ラ ドッ ク ス に 端 を 発 し、 そ の 後 、 推 論 に お け る デ フ ォ ー ル ト性 や 限 定 さ れ た 非 単 調 性 (nonmonotonicity)を 形 式 的 に 表 現 す る 方 法 と して 、 拡 張 さ れ て き た 。 言 語 理 論 に お い て も、Head-drivenPhraseStructureGrammar(HPSG;PollardandSag1987,1996,Gunjil987, G呵iandHasidal998)な ど の 制 約 に基 づ く文 法 理 論 な ど に 積 極 的 に取 り込 ま れ て い る 概 念 で あ る 。 HPSGに タ イ プ継 承 を導 入 さ れ た 理 由 の 一 つ に 、 語 彙 間 の 類 似 性 や 情 報 の 共 有 を 明 示 的 に 表 現 で きる と い う利 点 を あ げ る こ とが で き る。HSPGは 語 彙 主 義 の 立 場 に立 ち 、 中 央 制 御 的 な モ ジ ュ ー ル が 存 在 し な い とい う特 徴 を も つ 。 文 の 生 成 は 、 個 々 の 語 彙 項 目 に 含 まれ る情 報 の 相 互 作 用 、 お よ び 一 般 的 な 制 約 と の に よ り行 わ れ る 。 こ う した オ ブ ジ ェ ク ト指 向 的(object-oriented)な 特 徴 に よ り、 原 理 的 に は 、辞 書(語 彙 デ ー タベ ー ス)が 適 切 に用 意 さ れ れ ば 、 複 雑 な 文 法 規 則 を用 い る こ と な く、 文 の構 造 を 決 定 す る こ とが で き る 。 ま た 、 個 々 の 語 彙 項 目 の情 報 が 自由 に 相 互 作 用 を持 て る た め 、 統 語 的 な情 報 と共 に、 意 味 的 な情 報 や 音 韻 情 報 を 柔 軟 に辞 書 に盛 り こ む こ と も可 能 に な る 。 逆 に 、 語 彙 主 義 の 立 場 に もい くつ か の 欠 点 が あ る 。 特 に 、 般 に辞 書 を構 成 す る 各 々 の 項 目が もつ 情 報 は膨 大 な量 に な る の が 普 通 で あ る。 しか し、 そ の 中 に は複 数 の語 彙 項 目 に よ っ て 共 有 さ れ て い る情 報 も多 い 。 さ ら に 、 語 彙 項 目 同士 は 全 く独 立 に存 在 す る の で は な く、 内 部 的 に 階 層 的 な 関係 を有 して お り、 か つ 相 互 に情 報 を 参 照 し合 っ て い る。 した が っ て 、 辞 書 に登 録 され た 個 々 の 語 彙 項 目 をそ れ 自体 が 必 要 に して 十 分 な情 報 を もつ オ ブ ジ ェ ク ト と して 捉 え、 異 な る オ ブ ジ ェ ク トが 共 有 す る 情 報 は 共 通 の ス ー パ ー オ プ ジ ェ ク トに 重 複 な し に 記 述 して お く よ う な 構 成 を と る と、 記 述 の 冗 長 性 を排 除 で き る 。 各 オ ブ ジ ェ ク トか ら共 有 情 報 へ 、 ま た オ ブ ジ ェ ク ト同 士 に リ ン ク を張 っ て お け ば 、 リ ン ク を た ど る こ と に よ っ て 必 要 な 情 報 が 得 られ る の で あ る 。 さ ら に 、 各 オ ブ ジ ェ ク トの 属 す る タ イ プ と、 タ イ プ 間 の 依 存 関 係(タ イ プ 包 摂;typesubsumpition)が 明 ら か に な っ て い れ ば 、 タ イ プ の 上 下 関 係 を 自 由 に た どる こ とで 、 必 要 な 情 報 を 展 開 す る こ とが 可 能 に な る 。 こ う した タ イ プ 継 承 の 技 法 は 、 同 時 に、 論 理 の 非 単 調 性 や 、 構 造 化 さ れ た 時 に 創 発 す

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HPSGに お け る音 韻情 報 の タイ プ継 承 と制 約 55 る ゲ シ ュ タ ル ト性 の 表 現 が 容 易 に な る と い う利 点 を も持 つ 。 非 単 調 性 は 、 認 知 機 構 が 推 論 を行 う際 に 必 要 に な る こ とが 多 い 。 認 知 機 構 は 、 対 象 とす る 世 界 の 全 情 報 を 知 る こ と が で き な い た め 、 あ る 条 件 下 で は 、 暗 に設 定 され た 前 提 条 件 を 用 い ざ る を得 な い 。 しか し、 推 論 が 進 む に つ れ 、 そ の 条 件 と は 相 反 す る条 件 が 明 らか に な っ た 場 合 に は 、 そ れ ま で 設 定 さ れ て きた 前 提 条 件 を 覆 す(override)す る 必 要 が あ る 。 タ イ プ継 承 を 用 い る と、 知 識 表 現 の 一 般 的 な 性 質 で あ るoverrideの メ カ ニ ズ ム を 容 易 に表 現 で き る 。 デ フ ォ ー ル ト の 情 報 を あ る タ イ プ に指 定 し て お き、 下 位 タ イ プ や 具 現 化 に よ り、 デ フ ォ ー ル ト情 報 が 破 棄 され る とい う 限 られ た 非 単 調 性 を 、 タイ プ 包 摂 に よ り表 現 で き る か らで あ る。 ま た 、 各 タ イ プ に属 す る を制 約 に よ り、あ る タ イ プ に お い て 、 そ れ ま で 非 明示 的 で あ っ た 情 報 が 展 開 ・具 現 化 す る た め 、 あ る構 造 レベ ル にお け る ゲ シ ュ タル ト性 も表 現 可 能 に な る 。言 語 にお け る非 単 調 性 の タ イ プ 継 承 の 研 究 と し て は 、Shieber(1992)お よ びCarpenter(1997) で 詳 し く議 論 さ れ て い る 。 こ う し た論 理 の 非 単 調 性 や 情 報 の 創 発 性 は 、 語 彙 情 報 の コ ン パ ク ト化 や 意 味 情 報 を 扱 う上 で 特 に効 果 的 で あ る た め 、HPSGの 枠 組 み に お い て も、 タ イ プ 継 承 に 基 づ く研 究 が 多 く行 わ れ て き た(Flicinger1987,Imaizunu2000な ど)。 日本 語 の 音 韻 タ イ プ に 関 す る も の で は 、 吉 本(1994)に よ る ア ク セ ン ト生 成 の 優 れ た 研 究 が あ る。 こ れ は 、minor-phrase やmajor-phraseと い う タ イ プ に属 す る制 約 を用 い て 、 複 合 語 ア ク セ ン トの 導 出 を 試 み た も の で あ る。 そ こ で 、 本 研 究 で は 、 吉 本(1994)で は 考 察 され て い な い 、 よ り下 位 の 音 韻 タ イ プ をHPSGの 立 場 か ら考 察 す る こ と を 目的 とす る。

2.音

韻 素性構 造

2.1音 韻 の 基 本 単 位 ま ず 、 音 韻 タ イ プ の 最 も 下 位 の レ ベ ル か ら 議 論 を 始 め よ う 。HPSGの 音 韻 論 で は 、 音 韻 の 基 本 単 位 と し てphononと い うatomicな 要 素 を 設 定 す る(松 井1998,2001)。 音 素 や

分 節 音 はphonon単 独 あ る い はphononの 集 合 体 と し て 扱 わ れ る 。 日 本 語 で は 、A(開 口),

1(口 蓋),u(唇 性),@(母 音 性),R(舌 頂),q(破 裂),h(摩 擦),N(鼻 音),V(無 声),v(有 声)と い

うphononが 存 在 す る 。 各phononは 、 以 下 の よ う に 、 そ れ ぞ れmajor素 性 、manner素

性 、place素 性 の 素 性 値 に な る 。 (1) maj°r{V,v,N} manner{q,h,(q,h)} place(A,1,U,R,@} 素 性 構 造 を使 う と、 例 え ばe音 やt音 な ど は(2),(3)の よ う に 表 現 さ れ る 。 括 弧 の す ぐ外 に あ るCやVは 、 そ の構 造 の タ イ プ を 示 し、 そ れ ぞ れ 子 音 と母 音 で あ る こ と を意 味 す る 。 な お 、 こ う した 表 示 を 簡 略 して 、[A,エ],tv,R,q]の よ うに 表 記 す る こ と も あ る 。

(5)

(2) (3) コ mayor manner e= place head γ・ {A,国} 団1 mayorv manner国t = placeR C'head国q こ のphononは 音 韻 の 基 本 単 位 で あ り、 タ イ プ 階 層 の 最 下 位 に属 す る が 、最 小 単位 で は な い 。 最 小 単 位 とは 、 そ れ 以 上 分 解 で きな い 要 素 で あ る が 、 各phononは 固有 の 定 性 的 性 質 お よ び定 量 的 性 質 を持 つ 。 し か し、 「音 韻 」 レ ベ ル の 記 号 操 作 に 関 与 す る の は 、phonon よ りも上 位 の タ イ プ で あ り、phononの 内 部 構 造 は直 接 操 作 され る こ と は な い(松 井2001) 2.2語 彙 項 目中 の 音 韻 情 報 (1)・(2)の よ う な 構 造 は ・ さ ら に上 位 の 音 韻 構 造 に 組 み 込 ま れ る 。 例 え ば 、 基 底 形1si! を表 す 素 性 構 造 は 、morph素 性 と い う上 位 構 造 の 素 性 値 に な る 。 こ のmorph素 性 は 、 単 純 な 平 板 構 造 を して お り、素 性 値 の順 序 を 保 存 す る リ ス ト構 造 に よ っ て 示 さ れ る 。1一 方 1si1の 表 層 形 で あ る[∫i]は、 表 層 形 お よ び 韻 律 構 造 に 関 す る情 報 を表 すphon素 性 に組 み 込 ま れ る 。 (4} (5) /si/

[fl]_

m・叩h〈 ph・nく μ C

羅}」p一

工11

mora onset peak

C v   m町or man皿er place major ma皿ner place

濫国}1

国工1

こ れ ら2種 類 の 音 韻 素 性 は 、 語 彙 項 目中 に お い て 、 共 にmorphon素 性 の 下 位 構 造 と な る 。 こ のmo叩110n素 性 は 音 韻 構 造 全 体 を 支 配 す る 最 上 位 の 素 性 で あ り、 統 語 ・意 味 構 造 の素 性 で あ るsynsem素 性 と並 列 して 存 在 す る 。 こ う した 構 造 に よ り 「音 と意 味 の 対 応 物 」 で あ る 語 彙 項 目 が 完 成 す る と共 に、 音 韻 情 報 と意 味 情 報 は 、 互 い に 関 連 し合 い な が ら も、 独 立 した 構 造 と して 生 成 可 能 に な る 。 これ に よ り、 解 析 時 に 音 韻 情 報 を 済 ませ て か ら、 意 味 解 析 に移 る とい っ た 手 続 きが 必 要 な くな り、 決 定 され て い る情 報 を 自 由 に 使 え る こ と を 意 味 す る(松 井 ・郡 司1998,Gunji1998)。 1構造 を単 純 化 す るた め、head要 素 を下 線 で示 す 。

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HPSGに お け る 音 韻 情 報 の タ イ プ継 承 と制 約 57 {6) 日本 語 の 語 彙 項 目 の 一 般 形 mo叩h基 底 形 ・形 態 素 情 報 mo叩hon phonlmora表 層 形 と韻 律 構 造 synsem統 語 ・意 味 情 報

こ う した 語 彙 項 目中 に お い て は 、phon素 性 にお け るphononの 値 とmorph素 性 に お

け るphononの 値 は 、 常 に両 者 共 に 決 定 して い る わ け で は な く、 産 出 時 に はmorph素 性 の値 が 、 理 解 時 に はphon素 性 の 値 が 決 ま っ て い る よ う な 状 態 に あ る 。 両 素 性 はphonon に 関 す る 一一一定 の 制 約 に よ っ て 互 い に束 縛 され て お り、 こ の 制 約 に よ っ て 、 決 定 して い る 片 方 の 素 性 の 情 報 が 、 も う一 方 の 未 決 定 の 素 性 値 を 自動 的 に 集 束 さ せ る 。 ま た 、 素 性 制 約 は 、 こ う し た異 な っ た 素 性 間 の み な らず 、phon素 性 に お け る素 性 値 の 連 鎖 を束 縛 す る よ う な も の も存 在 す る。2mo叩h-phon素 性 問 の 対 応 制 約 と し て は 、morph素 性 の1と

phon素 性 の エ要 素 は共 起 す る(す な わ ち基 底 に お け るiと 表 層 に お け るiは 同 一 トー ク ン と して 対 応 す る)と い っ た 制 約 が あ り、phon素 性 間 の 制 約 と して は 、peak素 性 の エ要 素 はonset素 性 の 値 と して も共 起 す る(す な わ ち 表 層 に お け る 口 蓋 要 素 の 逆 行 同化)と い っ た 制 約 が あ る 。 こ れ ら の 制 約 に よ り、(4)と(5)を 統 合 し た 「詩 」 とい う語 彙 項 目の 情 報 は 、 次 の よ う に 表 現 さ れ る 。 (7) morphon morph phon

1

Mora C' コ 皿qJor[]v ㎜ 皿er回h,,[Plac・ place[到R major mora onset peak manl董 ¢1唱 puce

1 工 一 團 国 {,4}

旦1

こ こで 、(7)のphon素 性 に お い て 、Moraと い う タ イ プ が 指 定 さ れ て い る 点 に注 意 さ れ た い 。 さ ら に 、 前 述 した よ う にphon素 性 は 、 表 層 形 の 情 報 を示 す と 共 に 、 韻 律 構 造 に関 す る 情 報 を も担 う。 しか し、 日本 語 に お け るmora素 性 以 上 の 韻 律 構 造 は 、 素 性 構 造 の 形 式 で は 表 現 され ず 、mora素 性 が どの よ う な 上 位 タ イ プ に 属 す るか と い う、 タ イ プ 継 承 の み に よ っ て 表 現 さ れ る と考 え る 。3例 え ば 、(5)の 情 報 は タ イ プMoraに 属 して い る が 、 こ の 素 性 構 造 が シ ラ ブ ル の タ イ プ σ に上 昇 し た と して も、syllableと い う 「素 性 名 」 を持 つ 素 性 構 造 が で き る わ け で は な い 。 し か し、 タ イ プMoraの 場 合 と は情 報 量 が 異 な り、 ア ク セ ン トに 関 す る 情 報 が 決 定 さ れ て い る こ とが 分 か る 。

aい わ ゆ るphonotacticに 近 い 制 約 で あ る。 な お 、morph素 性 内 の 情 報 は 、phon‐morph素 性 間 の 対 応 制 約 と 、phon素 性 内 制 約 が あ れ ば 自 動 的 に 決 定 さ れ る た め 、 特 別 な 制 約 は 必 要 な い 。

3英 語 で は シ ラ ブ ル の 構 造 ま で が 明 示 さ れ

(7)

(8) morphon mo叩h phon

C

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」p㎞

團工1>

mora onset peak mayorpp manne「 旦 place{回,回} major manne「 旦 place

1

accentO σ こ の よ う に タ イ プ σ・に 上 昇 した 時 に 音 調 情 報 が 確 定 す る の は 、 ア ク セ ン トに 関 す る 一 連 の 制 約 が タ イ プUに 属 して い る た め で あ る 。HPSGで は 、 各 タ イ プ に 固 有 の 制 約 が あ る た め 、 あ る タ イ プ が 実 現 す る と 、 下 位 タ イ プ で は 見 ら れ な か っ た新 規 の 現 象 が 創 発 す る こ とが あ る。 す な わ ち 、上 位 タ イ プ の 情 報 は 、下 位 タイ プ の 情 報 の単 な る 総 和 と は 限 ら な い 。 こ れ は 、 タ イ プ 継 承 に基 づ くゲ シ ュ タル ト性 の 実 現 例 の 一 つ で あ る。 吉 本(1994)の 研 究 は 、 こ う し たHPSGの タ イ プ継 承 の 観 点 か ら、 日本 語 ア ク セ ン トの 様 々 な 現 象 を説 明 して い る注 目す べ き もの で あ る 。 彼 の 研 究 で は 、 ア ク セ ン トに影 響 す るaccentphrase やintermediatephraseの タ イ プ につ い て 論 じ ら れ て い る 。 そ こ で 、 以 下 で は 、 吉 本 で は 述 べ られ て い な い 、 音 調 句 よ り も下 位 の タ イ プ、 す な わ ち 形 態 現 象 に 影 響 す る タ イ プ に つ い て 論 じ る こ と に した い 。 2.3音 韻 素 性 の タ イ プ 継 承 (2)お よ び(3)で 見 た よ う に 、 音 韻 に お け る 「素 性 構 造 」 と して の 最 も小 さい も の は 、 major素 性 、manner素 性 、place素 性 を ま とめ 上 げ る 構 造 で あ る 。 この 構 造 はmorph 素 性 の 中 で は ほ ぼ 音 素 に相 当 し、phon素 性 で は ほ ぼ 分 節 音 に 相 当 す る情 報 で あ る 。 し た が っ て 、 こ の 最 小 の 素 性 構 造 は子 音 あ る い は母 音 を 表 す もの で あ り、 言 い換 え る な ら ば 、 音 韻 素 性 に お け る最 も低 い タ イ プ は 、CかVと い う こ と に な る 。 こ こ か ら 、 韻 律 語 の タ イ プ で あ るPrWdま で の タ イ プ 階 層 をFigure1に 示 す 。 な お 、 こ の 図 は 日本 語 の 音 韻 タ イ プ 階 層 で あ り、 英 語 の 場 合 は 、 タ イ プFootが 直 接 タ イ プ σ一を支 配 す る よ う な 階 層 に な る 。 ま た 、PrWdが 最 上 位 の タ イ プ と い う わ け で は な く、 こ れ よ り も上 位 の タ イ プ と し て 、accentphase,intermediatephrase,utteranceな どが あ る が 、 こ の 上 位 タ イ プ につ い て は 吉 本(1994)を 参 照 され た い 。 低 い タ イ プ か ら順 に 見 て い こ う。 まず 、子 音(タ イ プC)と 母 音(タ イ プ め は 、前 述 した よ うに 最 小 の 音 韻 素 性 構 造 の タ イ プで あ る 。 こ の レ ベ ル で は 、 タ イ プVに 対 し、manner 素 性 が どの よ う な値 と も単 一 化 さ れ な い(す な わ ち 矛 盾 ⊥ で あ る)と い う制 約 が 掛 か る 。 一 方 の タ イ プCに は 何 の 制 限 も な い。 ま た 、 日本 語 の 場 合 は 、5母 音 しか な い た め 、place 素 性 の 取 り う る 範 囲 も子 音 よ りは少 な い 。 以 上 の こ と か ら 、 こ の タ イ プ の レベ ル に お け る 制 約 は 、 以 下 の よ う に形 式 化 して 示 さ れ る 。4 4Tは その素性に属するいかなる値 とも共起で きることを示 し、⊥は どの ような値 とも共起 できない ことを

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HPSGに お け る 音 韻 情 報 の タ イ プ継 承 と制 約 59 搾rw冨

1

Foot 『 Mora morn

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cγ 図1:凶on索 性 の タ イ プ継 承(部 分)

{9)

払c=騰

蓋瑚1

タ イ プcrvの 一 段 上 の タ イプ は 、 日本 語 と英 語 で 大 き く異 な る 。 日本 話 で は 、Figure1 に示 さ れ て い る 通 り、 音 節 頭 子 音 に 相 当 す るo器 ε言と音 節 の 中 心 を な す 岬 欲 が くる0一

方4英 語 で はC,Vを 支 配 す る タ イ プ は 、闇omと 川o擢 で あ り、o溜 部 は 廻研 ロ と 冊lo川を

支 配 す る μ と 同 じ レベ ル の タ イ プ と して 存 在 す る 。 一 般 的 な英 語 の 音 節 理 論 で い う な ら 、

轟f`湘 はp蘭kに 、'船 川 はCodaに 相 当 し、μ はrh}+meに 、o鷹 ∫はon8etに 相 当 す る 。 一

方 、 日 本 語 にお け る タ イ プ 物 ロ はh¢avymor旦 の こ とで 、 子 音 と母 音 の 揃 っ た モ ー ラ構 造 を 意 味 す る。Figure1で 、o皿甜1peakか ら 物 掴 に か け て 矢 印 線 が 引 か れ て い る の は 、

こ の タ イ プ 上 昇 が 共 起 閲 係 に あ る こ と を示 し て お り、o欄 即 かpeakか の ど ち らか 片 方 の タ イ プ しか な い 場 合 に は 、M6舩 へ の タ イ プ上 昇 は ブ ロ ッ ク さ れ る。 一 方 、㎜mは1i帥t

(9)

moraで 、 母 音 あ る い は 特 殊 拍 の み か らな る モ ー ラ構 造 の タ イ プ で あ る 。 つ ま り、 この タ イ プ で は 、 以 下 の よ う な 制 約 が 掛 か る こ と に な る 。 (10) onsetC a.Mora= peakV °nsetlb .more= peak{C,V} c.オ=}Mora,mora} こ の タ イ プMoraお よ びmoraは 、 一 般 的 な モ ー ラ構 造 の タ イ プ で あ る μ の 下 位 タ イ プ に な っ て い る。 後 に 見 る よ う に 、 ほ とん どの 日本 語 の 語 彙 項 目 は 、phon素 性 の 値 に 、 この タ イ プ μ が 指 定 さ れ て い る 。 こ の タ イ プ μ は 、 日本 語 の 音 韻 タ イ プ 階 層 に お い て 最 も重 要 な レベ ル で あ り、 日本 語 の 音 韻 構 造 は どの よ う な もの で あ れ 、 必 ず タ イ プ μ を満 た さ な け れ ば な ら な い 。 こ の レベ ル を満 た さ な い 限 り、(10a,b)で 示 したphon素 性 構 造 を作 る こ とが で き な い か ら で あ る 。 こ の タ イ プ μ は 、 日本 語 に お い て は 、 次 に そ の上 位 タ イ プ で あ る フ ッ ト構 造(タ イ プ Foot)お よ び シ ラ ブ ル 構 造(タ イ プ σ)に 組 み 込 まれ る。5タ イ プ σ は 、lightsyllableの タ イ プ で あ るsylとheavysyllableの タ イ プ で あ るsylと い う2種 類 の 下 位 タ イ プ を 持 つ 。 前 者 は 、 た だ1つ の モ ー ラ構 造(そ れ がlightmoraかheavymoraか は 無 関 係)を 持 つ の に 対 し、 後 者 の タ イ プ は 、 あ る モ ー ラ構 造 とlightmoraの 構 造 が 共 起 した 時 に成 立 す る。 す な わ ち 、 シ ラ ブ ル レベ ル で の 制 約 は 以 下 の 通 りで あ る 。6   配   9 砂 = = の ハη 理 み く く 乱 h D G シ ラ ブ ル レベ ル で は他 に もい くつ か の 制 約 が あ る 。 代 表 的 な もの は音 調 に 関 す る もの で 、 吉 本(1993)な ど に 述 べ ら れ て い る が 、 分 節 音 レ ベ ル で も次 の よ う な 制 約 が あ る 。 (12)a.Syl=[cost‐C] b.syl*=オ c.〈 σ 〉=〈 …,V,… 〉 (12a)は 、 タ イ プsylが 形 成 で き る 場 合 、-Cと い うマ イ ナ ス の 経 済 負 荷 が 掛 か る 、す な わ ち 利 益 が も ら え る こ と を意 味 す る(離 散 的 コス ト値 の 意 味 に 関 し て は 、 松 井(1999)を 参 照 の こ と)。 タ イ プ8メ は 利 益 も経 済 負 荷 も掛 か っ て い な い た め 、 あ る分 節 音 列 が タ イ プ sylに も タ イ プsylに も な れ る よ う な 場 合 に は 、 タ イ プsytの ほ うが 形 成 さ れ や す い こ と に な る 。(11)の 制 約 か ら、 タ イ プSylは 複 数 の モ ー ラ構 造 を ま とめ あ げ る の に 対 し、 タ イ プsylは1つ の モ ー ラ構 造 に対 応 す る の で 、(12a)の 制 約 は 「シ ラ ブ ル の 構 造 数 を 減 ら す ほ うが よい 」 と言 い 換 え る こ と もで き る 。 5この タイプ継承 は日本語の場合であ り、英語などではタイプFootは タイプ σの上位 タイプ として存在す る。 6なお、以下ではタイプMoraをM,タ イプmoraをmの ように頭文字で略することがある。

(10)

HPSGに お け る音 韻 清 報 の タ イ プ継 承 と制 約 61 一 方(12b)は 、 シ ラ ブ ル の 中 心 を 意 味 す る タ イ プSyl*、 す な わ ち シ ラ ブ ル 内 のsonority hierarchyに 関 す る 制 約 で あ る 。(11b)の 制 約 か ら 、heavysyllableの モ ー ラ 連 鎖 くオ,m>に お い て は 、 μ の ほ う が 先 行 す る こ と が 分 か っ て い る 。 し た が っ て 、(12b)の 制 約 はheavy syllableの 中 心 と な る 要 素 は 先 行 す る 要 素 で あ る こ と を 意 味 し て お り、 逆 に い う な ら ば 、 先 行 要 素 は 後 続 要 素 よ り もsonorityが 高 く な け れ ば な ら な い こ と を 示 す 制 約 と 考 え る こ と が で き る 。 最 後 の(12c)は 、 シ ラ ブ ル の 連 鎖 の 中 に は 、 必 ず 母 音 が 必 要 で あ る こ と を 意 味 し て い る 。 例 え ば 、 タ イ プ 継 承 に 従 う な ら 、C⇒peak⇒mora⇒ μ ⇒5メ ⇒ σ の よ う な 上 昇 ル ー トで 、 子 音 だ け か ら構 成 さ れ る シ ラ ブ ル が 生 じ う る が 、 こ れ は タ イ プ σ に 属 す る(12c) の 制 約 に よ っ て ブ ロ ッ ク さ れ る の で あ る 。 シ ラ ブ ル と 共 に 、 モ ー ラ 構 造 の 上 位 タ イ プ と な っ て い るFootは 、 ア ク セ ン トの 位 置 や 脚 韻(Foot)を 形 成 す る 際 に 強 く働 く レ ベ ル で あ る 。 日 本 語 で は 、2モ ー ラ1フ ッ ト と い う構 造 に な る 。 さ ら にFootの 上 位 タ イ プ で あ るPrWdは 、 「単 語 」 と し て の 成 立 を 規 定 す る レ ベ ル で あ り、 日 本 語 で は1つ のprosodicwordは 最 低1つ のfootを 持 た な け れ ば な ら な い と い う 制 約 が 働 く 。 (13)a、 〈Foot>=〈 μ,μ> b.(PrWd)_(…,Foot,…) こ の よ う に 、phon素 性 の各 タ イ プ に は 、 そ の タ イ プ に 固 有 の 制 約 が 存 在 す る。 こ の タ イ プ 固 有 の 制 約 は 、 タ イ プ 継 承 に お い て 、 そ の タ イ プ が 実 現 さ れ た 時 に初 め て 働 くす る もの で あ り、 こ う し た タ イ プ付 き の 制 約 が 機 能 す る こ とで 、 下 位 の 構 造 に は 見 ら れ な い 現 象 が 上 位 タ イ プ にお い て 創 発 す る と い う ゲ シ ュ タ ル ト性 が 達 成 され る。

3.音

韻 タイ プ と形 態現 象

3.1単 一 化 違 反 解 消 系 音 韻 タ イ プ の 継 承 を 使 う と、 辞 書 情 報 を か な り軽 減 させ る こ とが で き る と共 に、 あ る 語 彙 層 に共 通 す る 一 般 的 特 性 を 明 確 に す る こ とが で き る。 しか し、 こ の ア プ ロ ー チ を徹 底 す る と、 後 に見 る よ う に、morph素 性 の 要 素 とphon素 性 の 構 造 と の 単 一 化 に 失 敗 す る こ とが 起 こ り う る 。 ど ち らか の 素 性 値 が 不 足 して い た り、 あ る い は 過 剰 で あ っ た りす る た め で あ る 。 しか し、 言 語 表 現 に お い て 、優 先 さ れ るべ き もの は 意 味 の 生 成 で あ り、 音 韻 構 造 が 完 成 さ れ な い か ら とい っ て 、 言 語 表 現 の 生 成 が ク ラ ッ シ ュ す る の は 好 ま し くな い 。 そ こ で 、 原 形 態 素 の レベ ル で 音 韻 情 報 の 単 一 化 違 反 が 起 こ る 場 合 、 そ う した 違 反 を 回避 す る よ う な 制 約 群 が 存 在 す る と考 え られ る 。 こ う し た 系 を単 一 化 違 反 解 消 系 と呼 ぶ 。 こ の 系 は 、 次 の4つ の 制 約 群 か ら成 立 す る 。 (14)a.波 及 制 約 b.黙 約 値 制 約 c.強 化 制 約

(11)

d.弱 化 制 約 波 及 制 約(14a)は 、 先 行 す る 文 脈 か ら未 決 定 の 情 報 を補 間 す る 制 約 で あ り、 隣 接 要 素 の 情 報 を 「可 能 な 限 り」 コ ピー し、 単 一 化 を 完 成 させ る 制 約 と して 捉 え ら れ る 。 この制 約 は 、(15)に 示 す よ う に 、 タ イ プCあ る い は タ イ プVの レベ ル に お い て 適 用 さ れ る語 彙 規 則 で あ る 。 タ グ 国 か ら分 か る とお り、 波 及 制 約 はmorph素 性 に 適 用 さ れ る も の で あ り、 適 用 さ れ た 時 点 で 、(日 本 語 で は)経 済 負 荷 ε が 掛 か る 。 (15)波 及 制 約:要 素 α が タ イ プAと 対 応 可 能 で あ る 時 、

m°rph((

phon((::::㍑

齢hl::::1購

マ胸 ゜)1J

この 波 及 制 約 は 語 彙 規 則 で あ るか ら 、 左 辺 の 語 彙 項 目が あ れ ば 「同 時 」 に右 辺 の 語 彙 項 目 も存 在 す る こ と を保 証 す る 。 例 え ば 、(16a)の よ う な 構 造 が あ れ ば 、(16b)の 構 造 も 同 時 に存 在 す る 。 この 時 、(16b)に は 経 済 負 荷 が 掛 か っ て い る が 、(16a)の よ う な 単 一 化 違 反 を起 こ し て い な い た め 、(16b)の ほ うが よ り よ い 解 と な る 。 μ l V

"昌

l

v

/

h

圖く

H

"

(14b)の 黙 約 値 制 約 も、波 及 制 約 と 同 じ く過 小 指 定 され た 素 性 値 の 情 報 量 を安 定 させ る 制 約 で あ る 。 た だ し、文 脈 か ら情 報 を補 間 す る の で は な く、 デ フ ォ ー ル トに 与 え られ た情 報 を 強 制 的 に与 え る 性 質 を 持 つ 。 こ の 黙 約 値 は 、 分 節 音 に直 接 働 きか け る 制 約 で あ る た め 、 母 音 に 関 す る も の と子 音 に 関 す る も の が 必 要 と な る。 母 音 の 黙 約 値 は(17)の よ う な 形 で 記 述 さ れ る 。 こ の 制 約 が タ イ プCに 後 続 す る タ イ プv、 す な わ ち子 音 に 後 続 す る母 音 に対 して の み 適 用 され る 点 に 注 意 さ れ た い 。 ま た 、 和 語 とそ れ 以 外 の 語 彙 層 とで 、 最 も経 済 的 な 黙 約 値 は 異 な る。 (17)母 音 の 黙 約 値 制 約: a.(…,C,V, b.(…,C,V,

う一「蕪 離:

morphlPlace … 〉=synsemldass cost 工 Yamato 2の X 冒Yamato Y

(12)

HPSGに お け る音 韻 情報 の タ イプ継承 と制 約 63

た だ し 、(X,ア)=(A,ZC),(1,2の),(U,28).

和 語 で は 、defaultの 母 音 はiで 固 定 で あ る 。 こ の 時 の経 済 負 荷[cost2の 】と な る。和 語 以 外 の 語 彙 層 で は全 て の 母 音 が 候 補 に な り得 る が 、母 音aを 黙 約 値 とす る 場 合 に は[cost

20]、i音 な らば[cost2の]、u音 は[cost2ε]、e音 は[costC+の]、o音 で あ る な ら

[costC+ε]と い う経 済 負 荷 を持 つ こ と に な る た め 、結 果 的 に1u1,!i1,101,1e1,1a1の順 で 黙 約 値 に な りや す い こ と に な る 。 こ の 制 約 が 適 用 さ れ た 時 の 直 感 的 な 構 造 は 次 の よ う な も の で あ る 。 この 黙 約 値 制 約 も語 彙 規 則 で あ る た め 、 黙 約 値 の 入 っ て い な い 語 彙 項 目 と同 時 に 、 黙 約 値 が 取 り込 ま れ た語 彙 項 目 も存 在 す る 。

冨-紛 G D

H

一・方、 子 音 の黙 約 値 制 約 は(19)の よ う に な る。 子 音 に お い て は 、 調 音 点 の み な ら ず 、 調 音 法 も重 要 な性 質 で あ る た め 、 黙 約 値 もplace素 性 お よびmanner素 性 そ れ ぞ れ に 設 定 され る こ と に な る 。母 音 の 黙 約 値 同 様 、 この 制 約 も適 用 され る 環 境 が 決 ま っ て お り、母 音 に挟 ま れ た 子 音 に対 して 適 用 され る 。 (19) 子 音の黙 約 値制 約: 乱 ぐ ・・,V,C,V,一 ウ=膿phi脚 塾 b.(…,V,C,V,一 ウ=膿phlma㎜ ち1 子 音 に 黙 約 値 は 、place素 性 、manner素 性 の 各 素 性 に 対 し、各 々R,qと な っ て い る 。 こ れ ら の 制 約 は独 立 に 適 用 可 能 で あ る 。 言 う まで も な く、 両 制 約 を 同 時 に適 用 す る こ と も で き 、 こ の 場 合 は 、[q,旦],す な わ ち 子 音f音 が 生 成 さ れ る 。

V

-a

C

-k

  0 2 く

-、

D

囮く

あ るい は、[majorv]の み が 指 定 さ れ て い る タ イ プCと い っ た 環 境 に も、 こ れ ら の 制 約 を 適 用 す る こ とが 可 能 で あ り、 この 場 合 は[v,R,q]す な わ ちt音 が そ こ に生 成 さ れ る 。 逆 に 、[mannerh]が 指 定 され て い る 場 所 に は 、(19b)の 制 約 は適 用 で き な い 。 単 一 化 に 成 功 しな い か らで あ る。 残 り の 強 化 制 約 お よ び 弱 化 制 約 は 、 構 造 変 換 に 関 わ る 制 約 で あ る 。 前 述 し た よ う に 、 日本 語 は必 ず タ イ プ μ ま で タ イ プ 継 承 を行 わ な い とい け な い 。 こ の レベ ル まで タ イ プ を 引 き継 げ な い 限 り、(10)の 制 約 を 掛 け る こ と が で き ず 、 タ イ プ を 音 節 構 造 に マ ッチ ン グ

(13)

させ る こ と が で き な くな る か ら で あ る。 しか し、 い くつ か の 音 韻 現 象 に お い て は 、 音 韻 タ イ プが 最 も低 い レベ ル で 止 ま っ て し ま う場 合 が 考 え られ る 。 代 表 的 な例 は 借 用 語 の 取 り込 み で あ り、 例 え ば`desk'と い う語 は 、 そ の ま ま の状 態 で は[s],[k]の 部 分 が タ イ プC に止 ま っ た ま まで あ り、 タ イ プ μ ま で 継 承 で きず 、 し た が っ てphonlmora素 性 の 構 造 に 変 換 さ れ な い 。phon素 性 の 構 造 が な い とい う こ と は 、 こ の[s],[k]の 要 素 を構 造 に 単 一 化 す る こ とが で き な い こ と に な り、 こ こ で 単 一 化 違 反 が 起 こ っ て し ま う。 本 節 で 述 べ る 強 化 制 約 は こ う した 違 反 を さ け る た め の 違 反 回 避 制 約 で あ る 。 こ の 制 約 は 、 以 下 の よ う に 形 式 化 され て い る。 (21) 弓董イヒ告U糸勺: ・・[ph・n〈(…,)C,C,… 〉]⇔ b.lph・n〈(…)VV,… 〉]・ ⇒ phon〈(…,)C,V,C,・ 一> costB phon((…,)V,C,V,…) costB こ の 制 約 の 適 用 に よ っ て 、 借 用 語 や 語 形 成 な ど に お い て 、 どの よ うな 語 で あ っ て も 日本 語 と して 正 し い音 節 構 造 を持 つ こ とが で きる よ う に な る 。 た だ し、 こ う した 語 彙 項 目 に お い て は 、 強 化 制 約 に よ っ て掛 け られ る 経 済 負 荷[cost別 と共 に 、 黙 約 値 制 約 あ る い は 波 及 制 約 の 適 用 も必 要 に な る 。 こ れ らの 制 約 を掛 け な い 限 り、phon素 性 とmorph素 性 との 単 一 化 に 成 功 し な い か ら で あ る 。 例 え ば`desk'と い う借 用 語 は 、 次 の よ う に強 化 制 約 と黙 約 値 制 約 に よ っ て 、 日本 語 の 語 彙 と して 完 成 す る 。7

V

l

e

C

l

d

a 勾 ¢

C

l

s

C

l

k

H

な お 、残 る 単 一 化 違 反 回避 制 約 で あ る弱 化 制 約 は 、 強 化 制 約 と鏡 像 関 係 に あ る制 約 で 、 タ イ プ の 数 を 減 らす こ と に よ っ て 、 構 造 と要 素 と の 単 一 化 を完 成 させ る性 質 を持 つ 。 例 え ば 、 英 語 や フ ラ ン ス 語 で は 、schwaを 落 とす こ と に よ っ て 、 音 節 数 を減 ら し 、 発 音 を 容 易 に す る 傾 向 が 観 察 さ れ る 。 こ れ は 、 要 素 を減 少 させ る こ と に よ っ て 、 そ の 場 面 に お け る よ り適 切 な 音 韻 構 造 を作 り出 し て い る 例 と考 え ら れ る 。 日本 語 で は 、 こ の 制 約 は 極 め て コ ス トが 高 く、 こ の制 約 の 適 用 を受 け た 候 補 は 、 ほ と ん ど生 き残 る こ とが で き な い 。 ま た 本 議 論 で の 議 論 は 直 接 は 関係 し な い 制 約 で あ る た め 、 本 稿 で は 説 明 を 省 略 す る 。 3.2長 音 ・促 音 の 生 起 次 に 、 こ う した 違 反 解 消 系 の 関 わ る い くつ か の 形 態 現 象 に つ い て 見 て み よ う。 中 で も、 日本 語 の特 殊 拍 で あ る長 音 と促 音 、 お よ び 挿 入 母 音 の 例 を 中 心 に 考 え て み る。 7矢印 線 は、 強 化制 約 に よ って タ イプ μ に認 可 され る(逆 にい う とタイ プ μ にタ イ プ上 昇 が で き る よう に な る)こ とを示 す 。

(14)

HPSGに お け る音 韻1青報 の タ イ プ 継 承 と 制 約 65 長 音 と促 音 は、 「ミー ト」 「ミ ッ ト」 の よ う に 、 しば しば 日本 語 の 中 に 現 れ る 。 こ れ ら の 音 は 、[miito],[mitto]の よ う に 同 じ音 が 連 続 して い る 点 に 特 徴 が あ る 。 し か し、 こ う し た 同 一 音 の 連 鎖 は 、 多 くの 言 語 で 観 察 さ れ るOCP制 約(ObligatoryContourPrinciple) の 違 反 で あ る 。 さ ら に 、 長 音 ・促 音 は 、 英 語 圏 の 日本 語 学 習 者 に と っ て 極 め て 難 しい 音 で あ る こ とが 知 られ て い る。 多 く英 語 話 者 は 、 日本 語 の 「ミー ト」 と 「ミ ッ ト」 お よ び 「三 戸(み と)」 の 区 別 が 困 難 で あ る 。 こ れ は 、 「三 戸/ミ ー ト/ミ ッ ト」 の 区 別 が 要 素 レ ベ ル の もの とい う よ り、何 か ら の 韻 律 的 な 要 因(例 え ば モ ー ラ タ イ ミ ン グ)に 依 存 す る違 い に よ る もの と考 え られ る 。 こ れ ら の 点 を踏 ま え 、JPSG音 韻 論 で は 、 これ ら3種 の 単 語 は 、 次 の よ う に表 示 さ れ る 。8 (23)a.三 戸: b.ミ ー ト: c,ミ ッ トr morph phon morph phon morph phon

躍>1

(m,i,t,o) (μ,V,オ〉 (m,i,t,o) 〈μ,C,μ 〉

(23a,b,c)で は 、 い ず れ のmorph素 性 も 〈m,i,t,o>と な っ て お り 、OCP違 反 は 起 こ し て い

な い 。 こ れ ら の 違 い は 、phon素 性 の タ イ プ に よ っ て 引 き 起 こ さ れ て お り、 す な わ ち 韻 律

リ ズ ム の レ ベ ル で の 違 い で あ る こ と が 明 示 的 に 表 現 さ れ て い る 。 次 に 、 こ れ ら の 語 彙 項

目 に お け るmorph-phon素 性 間 の 単 一 化 に つ い て 見 て み よ う。 ま ず(23a)は 、pllo皿 素 性

の タ イ プ と し て μ が 指 定 さ れ て い る た め 、Figure1に よ っ て 、 次 の よ う な タ イ プ 継 承 が 可 能 で あ る 。 (24)a.μ ⇒M⇒ 〈C,V> b.μ ⇒m⇒ 〈C> c.μ ⇒m⇒ 〈め さ ら に タ イ プC,Vは(9)に よ っ て 、phononの 入 るべ き構 造 と対 応 づ け る こ とが 可 能 で あ

る。 こ の 結 果 、(24a)の よ う なphon素 性 は 、 何 の 問 題 もな く[morph〈m,i,t,o>]と 単 一 化 可 能 に な る 。 一 方 、(24b,c)は 、 そ の ま まで は 単 一 化 で き な い 要 素 が 出 て きて し ま うた め 、 違 反 解 消 系 の 強 化 制 約 あ る い は 弱 化 制 約 の 適 用 を受 け る 形 で 単 一 化 を 行 う必 要 が あ る。 しか し、 こ の 場 合 に は コ ス トが 掛 か り、 全 く コ ス トの 掛 か ら な い(24a)に 負 け て し ま う。 し た が っ て 、(24a)の よ う なphon素 性 の構 造 に よ っ て 、 表 層 の 音 形 が[mito]と 決 定 され る こ と に な る 。 一 方 、(23b,c)は 、 た と え(24a)の タ イ プ継 承 を経 た と し て もmorph素 性 に お け る 要 素 が 不 足 す る 。 した が っ て 、 単 一 化 違 反 を必 ず 起 こす こ と に な り、 違 反 解 消 系 の 適 用 を受 け た 語 彙 項 目が 必 要 に な る 。 例 え ば(23b)の 場 合 な ら、 こ の 語 彙 構 造 と 「同 時 」 に 次 の よ う な 語 彙 項 目 も存 在 す る 。 8marph素 性 の 値 は、 本 来 な らphononの 集 合 体 で あ る が 、 表 記 の 簡 便 上 、 音 素 表 記 を 行 う 。

(15)

(25)a,波 及 制 約 の 適 用 を受 け て mo叩h phon cost <m,[コi,[コ,t,0> 〈μ,V,オ〉 ε b.黙 約 値 制 約 の 適 用 を 受 け て morph phon cost (m,i,u,t,o) 〈μ,玩 μ> 2ε c.強 化制 約 お よび黙約値 制 約 の適用 を受 けて morph phon cost (m,i,r,u,t,o) <オ,C,V,オ> B+2の+2ε これ らの語 彙 項 目は い ず れ も単 一 化 に成 功 す る。 しか し、 この 中 で 最 も経 済 性 の よい(25a) が 最 終 的 な解 と し て選 択 され 、 そ の 結 果[biito]と い う音 形 が 成 立 す る 。(23c)の 場 合 も 同 様 に 、 (26)morph〈m,i,[コt,団,o> phon〈 μ,C,μ> costε と い う 語 彙 項 目 に よ り 、[mitto]と い う促 音 が 発 生 す る こ と に な る 。 3.3漢 語 の 原 形 態 素 日本 語 の 漢 語 形 態 素 は 、 も と も とモ ノ シ ラ ブ ル の 形 態 素 しか な い 中 国 語 の 影 響 に よ り 成 立 して い る 。 した が っ て 、 日本 語 に お い て も、 原 形 態 素 の レ ベ ル で は 、 次 の よ う な モ ノ シ ラ ブ ル の 構 造 と して 一 般 的 表 現 が な され る と考 え ら れ る 。 (27)phon〈 σ> synsemlclasssino-J こ の σ の タ イ プ をFigure1に 従 っ て 下 降 し て い く と、(28)に 示 す よ う に タ イ プC ,Vの 列 か ら な る構 造 に ま で た ど り着 くこ と が で き る 。 こ れ ら の 語 彙 項 目は 、 い ず れ も個 別 の 形 態 素 語 彙 項 目内 でmo叩h-phon間 の単 一 化 に 成 功 し て い る 。9こ の よ う に 、 タ イ プ継 承 を使 う と 、 あ る 同 一 の 語 彙 ク ラ ス の も の 共 通 す る性 質 を 明 示 的 に 表 す こ とが で きる よ う に な る 。 な お 、 各 形 態 素 内 で 単 一 化 を成 功 させ な け れ ば な らな い の は 、 漢 語 形 態 素 の 絶 対 的 な 制 約 で あ る 。 こ れ に対 し、 後 に見 る よ う に、 和 語 の 形 態 素 は 各 語 彙 項 目内 で 単 一 化 が 行 わ れ な くて も よ く、 形 態 素 を 組 み 合 わ せ た 条 件 で 単 一 化 可 能 で あ れ ば よ い 。

(28)a.〈 σ〉⇒ 〈syl>⇒ 〈μ〉⇒ 〈mora>⇒ 〈peak>⇒ ぐ5ノ〉 例:!i1(位) m°rph phon2>m°rphphon亀 9こ の タ イ プ 継 承 を 行 う際 、(12c)の σ に 関 わ る 制 約 に よ り、 子 音 だ け で で き る よ う な 構 造 は ブ ロ ッ ク さ れ 、 生 成 さ れ な い 。

(16)

HPSGに お け る音 韻 情 報 の タ イ プ 継 承 と制 約 67

b.〈U>⇒ 〈s)の ⇒ 〈μ〉⇒ 〈Mora>⇒ 〈onset,peak>⇒ 〈C,V> 例:1ka!(火)

morph<k,a>mo叩h〈k,a> D phon<σ>phon〈C,V>

C、 〈σ 〉⇒ 〈Syl>⇒ 〈μ,mora>⇒ 〈tnora,mora>⇒ 〈;peak,peak>⇒ ぐV,V> 例:1ei1(永)

m°rph

phonl含;〉-m°rphphonl訓

d.〈o-〉 ⇒ 〈syl>⇒ 〈μ,mora>⇒ 〈mora,mora>⇒<peak,peak>⇒ 〈V,C> 例:!eN1(遠)

m°rph

phon割 一m°rphphon(e,rr)(V,G')

e.〈(ア 〉⇒ 〈s)の ⇒ 〈μ,rrtora>⇒ 〈Mora,moray⇒ 〈onset,peak,peak>⇒ 〈C,V,V> 例:1kai/(快)

morph(k,a,i)morph(k,a,i) D phon〈 σ>phon〈C,V,V>

f.〈 σ 〉⇒ 〈Syl>⇒ 〈μ,morの ⇒ 〈ルfo槻,mora>⇒ 〈onset,peak,、peak>⇒ 〈C,V,C> 例:1kaN1(完) m°rph phon馴 一m°rphphon{k,a,N)(C,V,C>1 な お 、 σ か らの タ イ プ継 承 の み で は 、 形 態 素 の 性 質 に よ り、 単 一 化 違 反 を 引 き起 こす もの が 存 在 す る 。 こ れ は(28d,f)の 系 列 で 出 て くる も の で 、最 後 の 子 音 が 撲 音 以 外 で 終 わ る 形 態 素 、 具 体 的 に は 「圧/at1」 や 「活/kat1」 な どで あ る。 こ う した 語 末 子 音 は 、 い わ ゆ る促 音 と して 表 層 に 出 現 し た場 合 に 限 り、 音 韻 タ イ プCの 構 造 と単 一 化 可 能 で あ る 。 し か し、 促 音 と して 出 現 す る た め に は、 「圧 巻 」 「活 気 」 な どの よ う に 、 後 続 す る 形 態 素 が 無 声 子 音 で 始 ま ら な け れ ば な ら な い(phon素 性 内 制 約 で 束 縛 さ れ る)。 した が っ て 、 無 声 子 音 が 後 続 しな い 場 合 に は 、 「圧 力 」 「活 動 」 の よ う に 、 デ フ ォ ー ル トの 母 音 が 挿 入 さ れ た形 が 生 き残 る。 3.4和 語 の 形 態 現 象 和 語 に お い て も 、 単 一 化 違 反 解 消 系 の 関 わ る現 象 が あ る 。 例 え ば 、 「ぐ さ ぐ さ」 か ら 「ぐっ さ り」、 「の び の び」 か ら 「の ん び り」 とい っ た 副 詞 が 作 られ る 例 で 見 て み よ う。 こ の よ う な 「リ延 長 副 詞(Kurodal965)」 は 、2モ ー ラ の 原 形 態 素 が あ り、 そ れ が オ ノマ ト ペ や あ る種 の 副 詞 に拡 張 さ れ た もの と し て取 ら え られ る 。 (29)a.ば た(ば た)、 ぽ き(ぽ き)、 す ぱ(す ぱ)、 ぐ さ(ぐ さ) b.ば っ た り、 ぽ っ き り 、 す っ ぱ り、 ぐ っ さ り c.ぼ や(ぼ や)、 ふ わ(ふ わ)、 の び(の び)、 ほ の(ぼ の)、 に ま(に ま) d.ぼ ん や り、 ふ ん わ り 、 の ん び り、 ほ ん の り、 に ん ま り 、 した が っ て 、 原 形 態 素 は 次 の よ う な 語 彙 情 報 を 持 っ て い る と考 え られ る 。

(17)

(30) morph(a,,6,y,8) phon〈 砿 ルわ た だ し 、 α,γ は 子 音,β,δ は 母 音 。 こ れ に対 し、 リ延 長 副 詞 は 次 の よ う な形 で与 え られ る 。 (31) morph〈 αβ,γ,δ,f,i> phon〈 σ,〃,ル0

(31)に お い て 、phon素 性 の 最 後 のMに はmorph素 性 の 〈r,i>が、phon素 性 の 最 後 か ら

2つ 目のMに はmo叩h素 性 の 〈γ,δ〉が 対 応 す る。 こ こ で重 要 に な る の は 、phon素 性 の

最 初 の 構 造 σ で あ る 。 これ は 、 漢 語 形 態 素 の 場 合 同 様 、音 韻 タ イ プ を 下 る こ と に よ っ て 、 次 の よ う に展 開 で き る 。

(32)a.〈 σ 〉 ⇒ 〈syl>⇒ 〈μ 〉⇒ 〈ノMora>⇒ 〈onset,peak>⇒ 〈c,v>

b・ 〈σ 〉 ⇒ 〈Syl>⇒ 〈μ,〃zora>⇒ 〈、Mora,〃aura)⇒ 〈onset, 、peak,、peak>⇒ 〈C,V,C>

した が っ て 、(31)の 音 韻 構 造 を樹 形 図 で 示 す と 以 下 の よ う に な る 。 な お 、 この 例 で は 原 形 態 素 を 「ぐ さ/gusa/」 と して い る 。 (33)a.[gu][sa][ri] /¥ CVCVCV

llllll

gusari

b.[gu]m[sa][ri]

AlAA

CVCCVCV

ii

gusari (33a)は 、 こ の状 態 で 単 一 化 に成 功 して お り、 「ぐ さ り」 と い う 副 詞 が 生 成 さ れ る。 一 方 、 (33b)は 第2モ ー ラ 目 に お い て 単 一 化 違 反 を起 こ す た め 、 単 一 化 違 反 解 消 系 の 適 用 が 必 要 で あ る 。 この 場 合 は 、 波 及 制 約 を適 用 す る こ とが 可 能 で あ り、 そ の 結 果 、 「ぐっ さ り」 と い う音 形 も可 能 に な る 。

(34)[gu]

A

cv

ll

gu

胡 l c \ 厄

V

l

i

C

l

f

さ ら に 、 この 語 形 成 で は興 味 深 い 現 象 が 起 こ る 。 そ れ は、 原 形 態 素 の 第2モ ー ラ 目が ラ 行 音 の場 合 で 、 こ の 場 合 に は(33a)に 相 当 す る 副 詞 は生 成 さ れ る の に対 し、 一 般 に(33b) に相 当 す る 副 詞 の 生 成 は ブ ロ ッ ク さ れ る の で あ る。 例 え ば 、 「ご ろ(ご ろ)」 か ら 「ご ろ り」

(18)

HPSGに お け る音 韻情 報 の タイ プ継 承 と制 約 69 は作 り出 さ れ る が 、 「こ ん ろ り」 と い う副 詞 は存 在 し な い とい っ た 現 象 で あ る 。 こ の 例 で 注 目す べ き点 は 、 原 形 態 素 の 第2モ ー ラ 目の子 音fで あ る 。 これ は 、 黙 約 値 制 約 の と こ ろ で み た よ う に 、defaultの 子 音 と考 え られ.る。(19)の 黙 約 値 制 約 は 、 相 対 的 な 語 彙 規 則 で あ る か ら、 語 彙 項 目 中 に お い て 、morph素 性 にr音 を指 定 して い な い 語 彙 は 、 単 一 化 操 作 さ え掛 か ら な け れ ば 、r音 を持 っ て い る 語 彙 よ り も2の 分 だ け経 済 的 に な る 。 した が っ て 、 単 一 化 操 作 の 必 要 と され な い 単 独 の 語 彙 項 目に お い て は 、f音 が 指 定 され て い な い と 考 え ら れ る 。 す な わ ち 、 「ご ろ(ご ろ)」 とい う原 形 態 素 は 、 次 の よ う な音 韻 構 造 を 持 つ 。 (35)a. ㊥ 鴻 仙 〃 く く h

1

-。

h こ れ に対 し、 σ をC,Uに 展 開 した リ延 長 副 詞 の 音 韻 構 造 は 、

(36)[go]

A

CV

ii

go

[P1]

A

CV

lI

ri とな り、 黙 約 値 制 約 を 適 用 す る こ と に よ り、 単 一 化 を 完 成 させ る こ とが で き る 。 しか し、 σ をC,V,Cに 展 開 した リ延 長 副 詞 に つ い て は 、 不 完 全 指 定 され て い る環 境 が 、V,C,Vと い う タ イ プ連 鎖 に な っ て い な い た め 、(19)の 適 用 を受 け る こ とが で き な い 。 こ の 結 果 、 第 2モ ー ラ 目が 特 殊 拍 に な る よ う な 音 形 は 生 成 が ブ ロ ッ ク され て し ま い 、 こ う し た 音 形 の 存 在 が 許 可 され な い 。

V

-o

C

-9

  7 3   ー C

M

︿

[ri]

A

CV

ll

t1 3.5日 本 語 動 詞 の 形 態 現 象 最 後 に 、 日本 語 の 動 詞 形 態 素 の 振 る舞 い を見 て み よ う。 日本 語 の 動 詞 は 、 語 幹 語 尾 の 性 質 に よ り、 「子 音 語 幹 動 詞 」 と 「母 音 語 幹 動 詞 」 に 分 類 され る 。 子 音 語 幹 動 詞 は 、 一 般 に 次 の よ う な語 彙1青報 を 持 つ(郡 司(2000)も 参 照 の こ と)。 こ こ で は 、例 と して 動 詞 「飛 ぶ1tob1」 を 取 り上 げ る 。

(19)

(38} morphon synsem morph phon head maj°r manner place 〈M> alignp vforminf V q R[P-{叫 「maj°rmannerplaceqUV1>

{39)[to]

A

cv

llI

tob こ の よ う に 、 子 音 語 幹 動 詞 は 、 語 末 の 子 音(こ の 場 合 は/b/)がphon素 性 の 構 造 を も っ て い な い 点 、 お よ び こ の 子 音 のmajor素 性 の 値 が 、synsemlheadlalign素 性 と共 起 関 係 を 起 こ し て い る 点 に 特 徴 が あ る 。 一 方 、 母 音 語 幹 動 詞(e.9.「 食 べ1tabe1」)の 語 彙 情 報 は 、(40)に

示 す よ う に 、全 て のmorph情 報 がmora構 造 と 共 起 し て お り、 そ の た めsynsemlheadlalign

素 性 は 空 に な っ て い る 点 が 子 音 語 幹 動 詞 と 異 っ て い る 。 な お 、synsemlheadlalign素 性 は 、 郡 司(2000)に お け るheadlinn素 性 に 相 当 す る も の と 考 え て よ い 。 (40) morphon synsem

m°rph(t,a,b,e) phon(M,M) headalignQ, v orminf [beJ

な お 、 こ れ ら の 動 詞 は[vforminfJが 指 定 さ れ て い る が 、 ほ と ん ど の 動 詞 に お い て 、 い わ ゆ る 音 便 形 で あ る[vformeuph]も 同 じ構 造 を持 つ 。 例 外 に な る の は、 語 尾 の 子 音 がk・9の もの で ・ こ れ は 語 彙 規 則 に よ りeuph形 が 作 られ る 。 例 え ば 、 「漕 ぐ1ko91」 の euph形 は 次 の よ う に な り、morph素 性 の 情 報 か らg音 が 消 え て い る 。 しか し 、align素 性 に 元 の 語 末 子 音 の 情 報 が 残 さ れ て い る 点 に注 意 さ れ た い(末 尾 子 音kの 場 合 は 、align

素 性 がvと な る 。)。 また 、inf形 とeuph形 とで 、phon素 性 の 構 造 数 が 変 化 して い な い

こ と も重 要 で あ る。 こ の 語 彙 規 則 は 、 形 容 詞 「美 し き一美 しい 」 な ど に も適 用 さ れ る 。 (42) mo叩hon synsem m°rph phon潔 〉] headalignV vformeuph

(20)

HPSGに お け る音 韻情 報 の タイプ継承 と制約 71 こ う した 動 詞 の構 造 に 対 し、 受 身 「ら れ 」 や 使 役 「させ 」 な ど の 動 詞 後 続 形 は 、 一 般 に(43)の よ う な語 彙 情 報 を持 つ 。 こ こで は 受 身 形 「られ 」 を例 に と る 。 ま ず 、 こ う した 語 彙 項 目 は 、 動 詞 「後 続 形 」 で あ る か ら 、adjacent素 性 に よ っ て 、 動 詞 と 隣 接 す る こ と が 明 示 的 に示 され る。 特 に、 「られ 」 の 場 合 は 、動 詞 の 語 幹 と隣 接 す る こ と を情 報 と して 持 っ て い る 。 一 方 、 音 韻 構 造 の ほ う は、phon素 性 がonset,peakを 持 つ 構 造 で あ る タ イ プMが 指 定 され て い る の に 対 し 、morph素 性 に お い て は 、 先 頭 の 子 音 情 報 が 指 定 さ れ て い な い 点 に注 目 さ れ た い 。lo (43) (44)

劉 黙胤 圃1

M[re] /¥/ CVCV

ii

are この(43)を 、 子 音 動 詞 語 幹(38)と 組 み 合 わ せ る と 、 次 の よ う な 完 全 解(コ ス トの か か る 制 約 違 反 解 消 系 を必 要 と しな い)[tobare](飛 ば れ)が1つ だ け 導 出 さ れ る 。

-、

十 1 、D 司 巨 = 司 μ

︿

一 方、 母 音 動 詞(40)と 組 み 合 わ さ れ た 場 合 に は 、(46a)に 示 さ れ る よ う に単 一 化 違 反 を 起 こ す た め 、 制 約 違 反 解 消 系 の 影 響 を 受 け る 。 た だ し、 こ こ で は 素 性 間 に1対 多 の 対 応 を付 け る こ とが で き な い た め 波 及 制 約 の 適 用 は で き な い 。 しか し 、 動 詞 と接 続 す る こ と に よ り、VCV連 鎖 が 生 じて い る こ とか ら、 黙 約 値 制 約 の 適 用 が 可 能 で あ る 。 し た が っ て 、 [cost2の]を 払 っ て 、 黙 約 値[r]が 挿 入 さ れ た[taberare](食 べ られ)と い う音 形 が 最 終 的 な解 とな る 。

h

囮く

M

︿

V

(

0

10mo叩h素 性 の情 報 は 、本 来 な らば 〈a,e>と指 定 さ れ てい て よい。 本稿 で は、 議論 の無 用 な混 乱 を さ ける た め に、 本 質的 で ない 部 分 の情 報 を全 て 明記 して い るに過 ぎな い。

(21)

こ の タ イ プ の 後 続 形 は 、 「ら れ」 の 他 に、 非 過 去 の 「る」、 条 件 を 表 わ す 「れ ば」 な どが あ る。 ま た 、 一 般 に 「ラ抜 き こ とば(e.g.,食 べ れ る)」 と呼 ば れ て い る現 象 は 、 本 来 子 音 動 詞 の み に 後 続 して い た 可 能 の 形 態 素 「え(e.g・,呼べ る)」 が 母 音 動 詞 に 対 して も過 剰 に 適 用 され た結 果 、(46b)と 同様 の 制 約 解 消 系 の 影 響 を 受 け 、生 じた も の で あ る 。 これ を(47) に示 す 。

U

= μ ︿ v -, 十

C

l

b

=

-,

"

こ う した ア プ ロ ー チ で は 、 「られ 」 「る」 な どの 後 続 形 に対 し、/rare/,/are/とい った複数 の 語 彙 項 目 を 設 定 す る必 要 が な く、 ま た特 別 な語 彙 規 則 も要 求 さ れ な い 。 こ う したr音 で 始 ま る 後 続 形 と は 異 な り、 使 役 形 「させ1(s)ase1」 の よ う な 場 合 に は 、 最 初 のs音 を 随 意 的 な 要 素 と して 指 定 さ れ て い る た め 、 上 位 の タ イ プ に属 す る 黙 約 値 制 約 に よ っ て 与 え られ る デ フ ォ ー ル トの 値 が 覆 さ れ 、r音 は 生 起 し な い 。11 (48) morphon synsem

翻1品m司11

く 乱 勢 ω

h

"

岡(

V

l

e

C

l

s

4.タ イ プ 継 承 に 要 求 さ れ る 形 式 的 性 質 最 後 に 、 本 稿 で 述 べ た タ イ プ 継 承 と タ イ プ に属 す る 制 約 に よ り情 報 生 成 を行 う よ う な ア プ ロ ー チ に 求 め られ る 形 式 的 性 質 に つ い て 議 論 を 行 う。 11鶴岡方言では使役形において[taberase]という音形が生起す る 。これは語彙情報 としてS音 が指定されて お らず、1ase1という形 を持つめ、受身形 と同 じく黙約値制約が効力を持つためと考 えられる。

(22)

HPSGに お け る 音 韻 情 報 の タ イ プ継 承 と制 約 73 4.1継 承 の 向 き と制 約 との 関 係 これ ま で に述 べ て き た タ イ プ 継 承 と タ イ プ に 属 す る制 約 を用 い た 情 報 生 成 は 、 一 見 す る と、 生 成 文 法 の 標 準 理 論 で 用 い られ て い た 規 則 群 に似 て い る と思 わ れ るか も し れ な い 。 しか し、 タ イ プ付 きの 制 約 と規 則 の 間 に は 、 処 理 の 方 向 依 存 性 に 関 し て 、 重 要 な違 い が あ る。 規 則 は 、 派 生 を 用 い る手 続 き 的 な ア プ ロ ー チ で あ り、 しば し ば 規 則 間 に 順 序 が 存 在 す る 。 例 と して 、 以 下 の よ う に順 序 づ け ら れ 、 循 環 適 用 は され な い 規 則 群 を 考 え て み よ う。 (50)a.[‐voiced]‐ 〉[+voiced]/[+voiced] b.[‐nasal]一 一一  [+nasal]/ _[+voiced]

こ の規 則 に よ っ て 「呼 ぶ 」 とい う動 詞 の 過 去 形 を生 成 す る場 合 、1job+ta1→(50a):jobda →(50b):jomda→ 逆 行 同 化 規 則:jondaと い っ た 流 れ で 、 「呼 ん だ 」 と い う情 報 が 得 られ る 。 こ こ で 、(50)の 規 則 は 、 こ の 順 番 で掛 け な け れ ば な ら な い 。(50a)と(50b)の 順 番 を 逆 転 させ る と 、/job+ta1は[*jodda]と い う音 形 に な り、正 しい 生 成 が 行 わ れ な い か ら で あ る 。 ま た 、 文 脈 依 存 の規 則 群 の 場 合 、(i)S→  ,(ii)A→a/_b,(iii)B→b/a_, の よ う な 、 相 互 依 存 的 な規 則 が 存 在 す る と、処 理 そ の も の がdeadlockし て し ま う。 この こ と は 、 も し タ イ プ付 きのHPSGに お い て 、 こ う し た規 則 を用 い た 場 合 、 自 由 な タ イ プ シ フ トは 許 さ れ な い こ と を示 し て い る 。 した が っ て 、 タ イ プ に属 す る 制 約 群 は 、 タ イ プ 継 承 の 方 向 性 とは 独 立 した 静 的(static)か つ 宣 言 的(declarative)な 性 質 を持 た な け れ ば な ら な い こ とが 分 か る。 こ こ で 、 実 際 に 様 々 な制 約 の 相 互 作 用 に よ っ て 、mo叩hon素 性 の 値 が 決 定 さ れ る 様 子 を 見 て み よ う。 具 体 例 と して 、 日本 語 で 三 項 対 立 を な す[有 声 性 、 無 声 性 、 鼻 音 性]に 関 す る制 約 を取 り上 げ る 。 まず 、 有 声 性 を表 すV要 素 に つ い て は 、 以 下 の よ う な タ イ プ依 存 の 制 約 が あ る 。12 (51} 有 声 要 素 制 約:Cor(V)={a,b}

d識 臨

hl購

mayor mayor mayor mayor

榴1訓

と!】

同 様 に 、 無 声 性 を表 すv要 素 、 鼻 音 性 を 表 すN要 素 に つ い て も タ イ プ に 附 随 した 制 約 が か か る 。 (52)無 声 要 素 制 約:Cor(v)={a} morphmajor〔 国 罵 ヨv}] a. ph・nlm…maj・ ・{団,¶v}] 12こ れ ら の 制 約 は 不 決 定 性 の 有 限 状 態 オ ー トマ トン と 等 価 で あ り、 制 約 の 相 互 作 用 は オ ー トマ トン を 並 列 的 に動 作 させ る こ と に よ っ て 実 現 で き る(Matui1998,松 井 ・郡 司(1998)。

(23)

(53) a. b 鼻 音 要 素 制 約:Cor(N)={a,b} morph phonlmora mo叩h phonlmora cost maj°r major maj°r major C 〔国N,-N}] {国,¶ 明

謂]1

こ の3つ の 制 約 は 、phon素 性 とmorph素 性 の対 応 関 係 を規 定 し た も の(最 適 性 理 論 にお け るfaith制 約 に類 似 した も の)で あ る 。HPSGphonologyの 制 約 に は 、 こ う し た 素 性 間 の 対 応 関係 に 関 す る 制 約 と共 に、phon素 性 内 の 制 約 も存 在 す る(こ ち ら は 最 適 性 理 論 で い うmarkednessに 類 似 した 制 約 で あ る 。)。 例 と し て、 日本 語 の 国]の 生 起 に 関 す る 制 約 を(54)に 示 す 。 な お 、morph素 性 内 の 制 約 は 必 要 な い 。morph素 性 の 性 質 は 現 実 の デ ー タ か ら直 接 得 られ る もの で は な い た め 、 こ う した 制 約 を 必 要 と しな い の は 、 言 語 獲 得 の 点 か ら も妥 当 で あ る 。 (S4) ph°ny cost… 野 璽]・"ウ1

phon素 性 とmorph素 性 に お け るmajor素 性 値 は 、 こ れ らの 制 約 の 相 互 作 用 に よ り決 定 さ れ る 。 以 下 で は 、major素 性 以 外 の 値 を 固 定 し13、 基 底 形 と表 層 形 に お け る 有 声 性 の 変 異 は 、 次 の よ う な コス ト計 算 に よっ て得 られ る 。(55)の 左 側 は191音 が 語 頭 に あ る 場 合 、 右 側 は!91音 が 語 中 に あ る 場 合 で あ る 。 (55) !#9・ ・ゾ ■ 1#9・ ・ゾ /#g・ ・ゾ 1…9・ ・ゾ /…9…1 1…9・ ・ゾ Cor(V} ¢ B B B 沼 Gor(v) ¢ * ¢ ¢ * o Cor(N) c ¢ ¢ C Con(0) ¢ 1 o II ¢ ⑪ 一詔 [#9…] [#k…] [加 …] 卜 ・・臼 …1 【…k…1 【… 羽…1 語 頭 ・語 中 共 に 、/91音 か ら 産 出 さ れ る 候 補 は 、{[9],陶]}の み で あ る が 、 語 頭 に お い て は 、[g]音 は 経 済 負 荷 が0で あ り 、 国]音 は[costB+C]と い う 値 を 持 つ た め 、 最 終 的 な 解 と し て は 、 よ り 経 済 的 な[g]音 が 選 択 さ れ る 。 一 方 、 語 中 に お い て は 、[g]音 の 経 済 負 荷 が0で あ る の に 対 し 、 剛 音 の コ ス ト値 は[costB+0-31]で あ り 、 経 済 負 荷 は マ イ ナ ス ー す な わ ち 「利 益 」 を も ら え る 値 一 と な っ て い る 。 し た が っ て 、[g]音 よ り も 国]音 の ほ う が よ り経 済 的 な 候 補 と い う こ と に な り 、 語 中 で は[η]音 が 出 現 す る こ と に な る 。14 こ う し た 制 約 の 重 要 な 性 質 の 一 つ に は 、 制 約 そ の も の が 解 の 候 補 の 生 成 器 と し て も 機 能 す る 点 が 挙 げ ら れ る 。 例 え ば 、 入 力/…9…1に 関 し て 、 各 制 約 を 単 一 化 し て い く と 、 最 終 的 に(55)と 同 様 の 結 果 が 得 ら れ る 。 13調音 法 は破 裂 に([mannerq])に 、調 音 点 は軟 口蓋([placev】)に 限 定す る。実 際 は、 これ らの素 性 に関 す る 対 応 もチ ェッ クす るた め 、 さ らに探 索 範 囲 は広 くな る。 ]4なお、若 年層 で観 察 され る語 中の[g]〆[η]の揺 れ は、(54)の コス トが[cost‐B]で あ り、(55)に お け る[0]音 の経 済負荷 が[costB-B(=0)]、 す な わ ち[g]音 の経 済 負荷 と等 しい値 に な るた めで あ る。

(24)

HPSGに お け る 音 韻 情 報 の タ イ プ継 承 と制 約 75 (56)●(51a)を 掛 け て

[m・叩h1蜘・

・V]^1器

「IV]=[謂

「 田V1

・ こ の 結 果 に(52)を 掛 け て

1鵠 離

「 圏VIAl謂 欝

「:VV=1鵠 牌

「V

・ こ の 結 果 に(53a)を 掛 け て

識 欝 「lv1^1識 欝:IH認

「VI

(57)●(51b)を 掛 け て

[-hlm…]A[認

囲V]=1鞭

鵠樽

・ こ の 結 果 に(52)を 掛 け て

縢 鵠 鰹 券^[課 膿 野:Vv=「

照 躍 野}1

● こ の 結 果 に(5ヨb)を 掛 け て

㏄}1A 騨 欝IN1-「 購

㎝凱。1

・ こ の 結 果 に(54)を 掛 け て

「脚

㎝Lc1Ar謙1㎜!寅[一

ウ1

=「照 盟 ㎝ 凱副

制 約 に 関 す る も う1つ 重 要 な 点 は 、 最 終 的 な 結 果 は 各 制 約 を掛 け る順 序 に は 依 存 し な い とい う こ とで あ る 。 この 性 質 に よ り、 タ イ プ を 自 由 に シ フ ト した 場 合 で も、 必 ず 適 切 な 解 を 得 る こ と が で き る 。 (58)●(53b)を 掛 け て

[…ph瞭v]A「 購

野IN1ニ1鮮 翻 野11

・ こ の 結 果 に(52)を 掛 け て

.鞭翻 脳1A儲

翻 野:VV=1騨謙 脳1

(25)

・ ・ こ の 結 果 に(51b)を 掛 け て morplllmajorVmorphlmajor phonlmajorNAphonlmajor costCIIcost こ の 結 果 に(54)を 掛 け て morphlmε 噸orV pho皿lmajorN costB+C mo叩hlm司or =phonlm珂or cost n V V ﹁ 鼎10叩 亘11m瑠orV pho"lm司orN castB+C phonlmora〈 …,[N,q,璽],…> cost一 図 V N B+C一 例 以 上 の こ とか ら、 こ う し た ア プ ロ ー チ に お い て は 、 前 述 し た規 則 適 用 の 順 序 依 存 性 や 処 理 のdeadlockと い っ た 問 題 が 生 じ な い こ とが 分 か る。 な お 、 規 則 群 の 説 明 で 例 に取 っ た 動 詞 過 去 形 は 、 以 下 の よ う なphon内 の 制 約 が あ れ ば 、 正 し く生 成 可 能 で あ る 。 (59)鼻 音 連 鎖 制 約Nas(C)= pho皿lmora synsemldass COSt 〈…[P・akl圃 ・r (Yamato,onomatopia} 一詔 N】,[・酬1呵 ・-v1…} 4.2解 の 探 索 こ の 制 約 問 にruleorderingが な い とい う性 質 は 、 並 列 計 算 の 特 徴 で もあ る 。 並 列 的 と は 仮 説 保 持 の 方 法 に 関 して の 性 質 で あ り、 必 ず し も計 算 を 並 列 的 に行 う とい う意 味 で は な い 。 前 節 で 見 た よ う に 、 直 列 的 な 計 算 で 実 現 す る こ と も可 能 で あ る が 、 そ の 手 続 きの 順 序 は 最 終 的 な結 果 に影 響 を与 え な い と い う 点 が 重 要 な の で あ る 。 こ の 性 質 は 、 タ イ プ シ フ トを 自 由 に 行 っ て も、 最 終 的 に 同 一 の 解 が 得 られ る とい う 利 点 の み な らず 、 解 を探 索 す る 際 の 頑 強 性 も保 証 す る 。 あ る 制 約 は 、 最 終 的 な 正 解 を 含 ん だ 複 数 の 候 補 を 要 素 と し て 持 つ 集 合 を 生 成 す る 。 別 の 制 約 も、 集 合 の 要 素 こそ 異 な る が 、 最 終 的 な正 解 を 含 ん だ 候 補 群 を生 成 す る 。 した が っ て 、 解 は 、 全 て の 制 約 が 生 成 す る 集 合 の い ず れ に も要 素 と して 含 ま る こ と に な る 。 した が っ て 、 この ア プ ロ ー チ で は 解 の 探 索 に 関 す る頑 強 性 が 保 証 さ れ る 。 この 性 質 は 、 コ ス ト値 の 設 定 に つ い て も有 利 に働 く。 文 法 の 予 測 す る最 適 解 と現 実 の デ ー タ に 違 い が 生 じ た 時 、 近 傍 解 を探 索 す る こ とで 、 現 実 の デ ー タ に合 致 す る も の が 見 つ か る か らで あ る 。 した が っ て 、 既 知 の ク ラ ス に属 す る 対 象 を 、 そ の正 ・負 両 方 の 具 体 例 を用 い て 同 定 す る こ とが で き る 。 言 い 換 え る な ら ば 、 タ イ プ 継 承 に 従 う コ ス ト付 き制 約 の 下 で は 、 言 語 獲 得 にお い て 間 接 否 定 証 拠 を用 い る こ とが 許 さ れ 、 探 索 経 路 に 従 っ て コ ス ト値 を 変 更 す る こ と で 、 文 法 獲 得 の 遂 行 も可 能 に な る 。 さ らに 、 こ の 探 索 範 囲 と 制 約 コス トに は も う一 つ 別 の 重 要 な 関 係 が 存 在 す る 。 こ こ で 、 コ ス トの 性 質 そ の も の に つ い て 考 え て み よ う。cost素 性 値 が0で あ る とい う こ とは 、 そ の 状 態 が 最 もunmarkedな 標 準 状 態 で あ る こ と を意 味 す る と考 え られ る 。 一 方 、cost素

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