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看護師にとっての清拭の意味と習得過程 : 清拭のエスノグラフィー

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Academic year: 2021

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(1)

看護師にとっての清拭の意味と習得過程 : 清拭の

エスノグラフィー

著者

渋谷 幸

学位名

博士(看護学)

学位授与機関

神戸市看護大学

学位授与番号

24505甲第12号

学位記番号

甲第12号

URL

http://id.nii.ac.jp/1189/00000201/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

2016 年度 博士論文

看護師にとっての清拭の意味と習得過程

-清拭のエスノグラフィー-

The Significance of Bed Baths to Nurses and

The Relevant Learning Processes

―An Ethnographic Study of Bed Baths-

神戸市看護大学大学院

博士後期課程

看護基盤開発学領域

72008002 澁谷 幸

(3)

1 目 次 目 次 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 資 料 目 次 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・4 第 1 章 序 論 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・5 Ⅰ . 本 研 究 の 背 景 と 必 要 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・5 1 . 看 護 実 践 現 場 に お け る 看 護 技 術 の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 2 . 看 護 技 術 の 実 践 能 力 育 成 の た め の 教 育 の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 3 . 現 在 の 看 護 技 術 教 育 に お け る 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・8 1 ) 看 護 技 術 教 育 の 方 法 に 関 す る 現 状 と 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・8 2 ) 我 が 国 の 看 護 技 術 教 育 の 現 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・11 4 . 看 護 技 術 の 習 得 過 程 を 解 明 す る 必 要 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・12 5 . 清 拭 と い う 看 護 技 術 の も つ 意 味 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・14 Ⅱ . 研 究 目 的 と 研 究 目 標 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・15 Ⅲ . 研 究 の 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・16 1 . 看 護 技 術 教 育 イ ノ ベ ー シ ョ ン へ の 貢 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・16 2 . 看 護 キ ャ リ ア 開 発 研 究 に お け る 貢 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・16 第 2 章 文 献 検 討 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・17 Ⅰ . 看 護 技 術 と そ の 関 連 概 念 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・17 1 .「 技 術 」 と 「 技 能 」 の 相 違 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・17 2 .「 看 護 技 術 」 と 「 技 能 」・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・18 3 .「 技 能 」 に 関 す る 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・20 1 ) 心 理 学 、 認 知 心 理 学 に お け る 「 技 能 」 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・20 2 ) 「 技 能 」 と 「 熟 達 」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・21 3 ) 「 技 能 」 と 「 知 識 」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・22 4 . 本 研 究 の 立 脚 点 と 関 連 概 念 の 定 義 お よ び 研 究 の 射 程 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・25 Ⅱ . 技 能 形 成 に 関 す る 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・26 1 . 熟 達 化 に 関 す る 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・26 2 . 状 況 的 認 知 ア プ ロ ー チ に よ る 技 能 形 成 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・27

3 .Dreyfus & Dreyfus の 熟 達 ス テ ー ジ モ デ ル ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 30

Ⅲ . 職 場 に お け る 学 習 に 関 す る 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・31 Ⅳ . 看 護 技 術 の 技 術 習 得 、 熟 達 に 関 す る 先 行 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・33 1 . 看 護 技 術 の 技 能 形 成 、 熟 達 に 関 す る 先 行 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・33 2 . 清 拭 に 関 す る 先 行 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・34 3 . 海 外 に お け る 看 護 技 術 、 清 拭 に 関 す る 研 究 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・36 第 3 章 研 究 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・38 Ⅰ . 研 究 の 方 法 論 的 検 討 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・38 1 . 看 護 技 術 を 捉 え る 研 究 方 法 の 検 討 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・38

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2 1 ) 看 護 技 術 の 詳 記 不 能 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・38 2 ) 暗 黙 知 ・ 実 践 知 研 究 の 方 法 論 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・39 3 ) 本 技 術 に お け る エ ス ノ グ ラ フ ィ ー の 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・40 Ⅱ . 研 究 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・42 1 . 研 究 デ ザ イ ン ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・42 2 . 用 語 の 定 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・42 3 . デ ー タ 産 出 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・43 1 ) デ ー タ 産 出 場 所 の 決 定 と 研 究 依 頼 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・43 2 ) デ ー タ 産 出 期 間 と フ ィ ー ル ド ワ ー ク の 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・46 4 . デ ー タ 分 析 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・47 1 ) フ ィ ー ル ド ノ ー ト の 記 載 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・47 2 ) デ ー タ 分 析 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・47 3 ) 分 析 結 果 の 厳 密 性 の 確 保 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・48 5 . 倫 理 的 配 慮 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・48 1 ) 不 利 益 を 受 け な い 権 利 の 保 証 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・48 2 ) 研 究 目 的 、 内 容 を 知 る 権 利 の 保 証 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・51 3 ) 自 己 決 定 の 権 利 の 保 証 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・52 4 ) プ ラ イ バ シ ー の 保 護 、 匿 名 性 、 機 密 保 持 の 権 利 の 保 証 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・53 第 4 章 研 究 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・54 Ⅰ . 病 棟 の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・54 Ⅱ . 研 究 参 加 者 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・54 Ⅲ . 病 棟 の 清 拭 の 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・54 Ⅳ . 看 護 師 に と っ て の 清 拭 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・55 1 .【 患 者 に 快 を 与 え ら れ る 】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・55 1 ) < 快 適 で 苦 痛 の な い 清 拭 に こ だ わ る > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・56 2 ) < 看 護 師 だ か ら こ そ で き る 清 拭 を す る > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・59 3 ) < 患 者 が 必 ず 気 持 ち 良 い と 感 じ る > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・60 2 .【 患 者 が 見 え る 】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・61 1 ) < 患 者 の 感 覚 を 感 じ る > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・61 2 ) < 患 者 と 深 く 関 わ る > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・62 3 ) < 患 者 の 全 体 が 見 え る > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・65 3 .【 清 拭 し な い で 看 護 し た と は 言 え な い 】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・65 1 ) < 清 拭 し な い と 患 者 の こ と が わ か ら な い か ら 看 護 で き な い > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・65 2 ) < 清 拭 は 看 護 の 大 切 な 要 素 が す べ て 入 っ て い る > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・66 3 ) < 清 拭 し な い の は 看 護 を し て い な い の と 同 じ > ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・66 Ⅴ . 病 棟 に お け る 清 拭 の 習 得 過 程 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・68 1 .【 病 棟 の 清 拭 の や り 方 に 合 わ せ る 】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・68 2 .【 患 者 に と っ て の 清 拭 の 意 味 に 気 づ き 自 分 な り の 工 夫 を 加 え て 清 拭 す る 】・ ・ ・ ・73 3 .【 患 者 と の 関 わ り の 中 で 技 術 を 磨 く 】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・77

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3 4 .【 看 護 を 追 求 す る 文 化 が あ る 】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・78 第 6 章 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・90 Ⅰ . 看 護 の 実 践 知 と し て の 清 拭 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・90 1 . 専 門 的 ・ 創 造 的 実 践 と し て の 清 拭 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・90 1 ) 清 拭 に お け る 専 門 性 の 見 え に く さ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・90 2 ) 看 護 の 専 門 性 の 発 露 と し て の 清 拭 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・90 2 . 患 者 を 理 解 し 関 係 を 深 め る 技 術 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・92 1 ) プ レ ゼ ン ス と し て の 清 拭 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・92 2 ) 身 体 性 を 基 盤 に し た 患 者 と の 関 係 を 深 め る 技 術 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・94 3 . ベ ッ ド サ イ ド で 創 出 さ れ る 清 拭 の わ ざ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・94 1 ) 看 護 に お け る 実 践 知 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・94 2 ) 清 拭 の 「 わ ざ 」・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・95 Ⅱ . 実 践 知 と し て の 清 拭 が 習 得 さ れ る 過 程 と 病 棟 文 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・96 1 . 清 拭 の 技 術 習 得 と 病 棟 文 化 の 関 連 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・96 1 ) 新 人 看 護 師 が 捉 え る 清 拭 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・96 2 ) 慣 習 化 さ れ た 清 拭 の 習 得 に よ る 病 棟 へ の 社 会 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・97 3 ) 慣 習 化 さ れ た 清 拭 へ の 過 剰 適 応 を 回 避 す る 病 棟 文 化 の 影 響 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・98 2 . 清 拭 の 技 術 習 得 過 程 に お け る 模 倣 ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・100 1 ) 組 織 の ひ と に な っ て い く た め の 模 倣 ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・100 2 ) 自 ら の わ ざ を 創 造 す る 模 倣 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・101 3 . 清 拭 の 熟 練 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・102 1 )技 術 習 得 に お け る 人 と 関 わ る 力 の 必 要 性 ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ ・102 2 )清 拭 の 熟 練 に お け る 無 意 識 的 非 言 語 的 即 興 的 洗 練 過 程 ・ ・・・・・・・・・・103 第 7 章 看 護 実 践 お よ び 看 護 学 教 育 へ の 示 唆 ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・105 1 . 看 護 実 践 へ の 示 唆 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・105 2 . 看 護 学 教 育 へ の 示 唆 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・106 1 ) 看 護 継 続 教 育 へ の 示 唆 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・107 2 ) 看 護 基 礎 教 育 へ の 示 唆 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・108 第 8 章 本 研 究 の 限 界 と 今 後 の 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・112 第 9 章 結 論 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・114 謝 辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・116 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・117

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4 図 表 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・126 表 1 . 研 究 参 加 者 と な っ た 主 な 看 護 師 ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・126 図 1 . 看 護 師 に と っ て の 清 拭 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・127 図 2 . タ オ ル の 使 い 方 ( 1 )・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・128 図 3 . タ オ ル の 使 い 方 ( 2 )・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・128 図 4 . 病 棟 に お け る 清 拭 の 習 得 過 程 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・129 図 5 . 業 務 調 整 ボ ー ド ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・130 図 6 . 保 清 表 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・130 資 料 目 次 資 料 1 : 研 究 協 力 依 頼 書( 看 護 部 長 用 )・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・131 資 料 2 : 返 信 用 用 紙( 看 護 部 長 用 )・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・135 資 料 3 : 研 究 協 力 依 頼 書( 病 棟 師 長 用 )・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・136 資 料 4 :面 談 依 頼 書 お よ び 返 信 用 用 紙( 病 棟 師 長 用 )・・・・・・・・・・・ ・・・・・141 資 料 5 : 同 意 書 ( 病 棟 師 長 用 )・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・・・・・142 資 料 6 : 研 究 協 力 依 頼 書( 看 護 師 用 )・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・143 資 料 7 :返 信 お よ び 研 究 参 加 の 同 意 書( 看 護 師 用 )・・・・・・・・・・・・ ・・・・・147 資 料 8:患 者 様 へ の 研 究 協 力 依 頼 に あ た っ て の 協 力 依 頼 書( 病 棟 師 長 用 )・・・・・・・148 資 料 9 : 研 究 協 力 依 頼 書( 患 者 様 用 )・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・149 資 料 1 0 : 研 究 参 加 の 同 意 書( 患 者 様 用 )・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・151 資 料 1 1:入 院 患 者 様・ご 家 族 の 方 へ の お 知 ら せ( 入 院 患 者 配 布 用 )・・・・・・・・・152 資 料 1 2:入 院 患 者 様・ご 家 族 の 方・お 見 舞 い の 方 へ の お 知 ら せ( 掲 示 用 )・・・・・・153 資 料 1 3 : 別 紙 1 ; 研 究 協 力 依 頼 か ら 研 究 参 加 ま で の 流 れ ・ ・・・・・ ・・ ・ ・・・・154 資 料 1 4 : 別 紙 2 ; イ ン タ ビ ュ ー ガ イ ド ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・156 資 料 1 5 : 研 究 協 力 依 頼 書 ( 医 師 用 )・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・157 資 料 1 6 : 辞 退 書 ( 看 護 師 用 )・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・159

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第 1 章 序 論

Ⅰ . 本 研 究 の 背 景 と 必 要 性 序 論 で は 、 本 研 究 で 探 求 す る 問 題 の 所 在 を 明 確 に す る た め に 、 ま ず 、 我 が 国 の 現 在 の 看 護 実 践 現 場 に お け る 看 護 技 術 の 現 状 、 看 護 技 術 の 実 践 能 力 育 成 の た め の 教 育 の 現 状 、 看 護 基 礎 教 育 に お け る 看 護 技 術 教 育 の 現 状 に つ い て 述 べ る 。 次 に 、 本 研 究 に お い て 看 護 師 に と っ て の 清 拭 の 意 味 と そ の 習 得 過 程 を 明 ら か に す る 必 要 性 を 明 確 に す る 。 1 . 看 護 実 践 現 場 に お け る 看 護 技 術 の 現 状 昨 今 の 看 護 実 践 現 場 に お い て 、 看 護 師 の 「 ケ ア の 質 の 低 下 」 に 対 す る 危 惧 が 高 ま っ て い る 。川 島(2010)は 、慢 性 的 な ヒ ュ ー マ ン パ ワ ー の 不 足 に よ っ て 、「 看 護 師 が 患 者 の ベ ッ ド サ イ ド か ら ど ん ど ん 遠 ざ か っ て い る 。 看 護 師 の 身 体 や 目 が 患 者 に 向 っ て い な い 、 手 が 患 者 に 触 れ て い な い 状 況 に あ る 」(p.141) と 述 べ 、 専 門 職 と し て の 本 来 の 看 護 が 揺 ら い で い る こ と に 危 機 感 を 示 し て い る 。 こ こ で 言 わ れ る 「 本 来 の 看 護 」 と は 、 患 者 の 安 全 を 守 り 、 安 楽 を 促 す た め に 看 護 師 が 知 識 と 技 術 を 駆 使 し な が ら 、 看 護 師 自 身 の 手 が 直 接 患 者 に 触 れ る こ と に よ っ て 行 わ れ る 援 助 で あ り 、 そ の 中 核 と な る も の が 看 護 技 術 で あ る と 考 え ら れ る 。 臨 床 看 護 師 の 看 護 技 術 の 実 施 状 況 に 関 す る 調 査( 高 橋 ,2005;三 輪 木 ,2005;菱 沼 ,2002; 馬 醫 ,2008) に よ る と 、 現 在 、 実 践 現 場 で 行 わ れ て い る 看 護 技 術 が 、 基 礎 教 育 で 教 え ら れ て い る 方 法 と は か な り 異 な っ て い る 技 術 が あ る 。 例 え ば 、 清 拭 の 技 術 は 、 看 護 基 礎 教 育 で 使 用 さ れ る 教 科 書 で は 、 ほ ぼ 全 て に 「 ウ ォ ッ シ ュ ク ロ ス と お 湯 と 石 鹸 」 を 使 用 し た 方 法 が 掲 載 さ れ ( 馬 醫 ,2008)、 看 護 教 員 の 73.6% が ウ ォ ッ シ ュ ク ロ ス を 使 用 す る と 答 え て い る ( 菱 沼 ,2002)。し か し 、臨 床 看 護 師 が 実 施 す る 清 拭 で は 、ウ ォ ッ シ ュ ク ロ ス を 使 用 す る の は 26.9%( 菱 沼 ,2002)、湯 の 使 用 は 32.4% 、蒸 し タ オ ル の 使 用 は 66.2%( 三 輪 木 ,2005) と 、 蒸 し タ オ ル に よ る 方 法 が 臨 床 で の 一 般 的 な 清 拭 方 法 と な っ て お り 、 臨 床 と 基 礎 教 育 で は 清 拭 方 法 の 違 い が あ る 。 基 礎 教 育 で 教 え ら れ て い る 方 法 が そ の ま ま 実 践 さ れ る こ と の 適 切 性 に つ い て は 議 論 の 余 地 が あ る が 、問 題 は 看 護 師 が そ の 方 法 を 選 択 し て い る 理 由 で あ る 。 こ の 調 査 で 挙 げ ら れ て い る 理 由 は 、「 業 務 が 忙 し く 、 時 間 的 余 裕 が な い 」(65.8% )、「 学 校 で 習 っ た 方 法 は 時 間 が か か る 」(55.7% )、「 効 率 良 く 行 う に は 簡 便 な 方 が 良 い 」(34.5% )な ど で あ り( 三 輪 木 ,2005)、看 護 師 の 実 施 す る 看 護 技 術 が 、現 場 の 多 忙 な 状 況 に よ っ て 、省 略 化 、 簡 略 化 さ れ て い る 可 能 性 が あ る 。 臨 床 現 場 で は 、 看 護 師 不 足 を 補 う た め の 方 法 と し て 看 護 補 助 者 が 導 入 さ れ 、 患 者 の 日 常 生 活 援 助 は 、 看 護 補 助 者 と の 協 働 に よ っ て 行 わ れ る こ と が 多 く な っ て い る 。 日 本 看 護 協 会 は 、 こ れ を 看 護 師 が 高 度 な 臨 床 判 断 を 要 す る 業 務 に 専 従 す る た め と し て い る ( 日 本 看 護 協 会 ,2011) が 、 看 護 補 助 者 導 入 に よ っ て 看 護 師 が こ れ ら の 活 動 に か か わ る 機 会 や 時 間 が 減 少 す る と い う 状 況 は 、 看 護 師 が こ れ ら の 援 助 技 術 を 実 践 す る 能 力 が 低 下 す る こ と に 結 び つ く 可 能 性 を 有 し て い る 。 三 好 ら(2003)は 、臨 床 看 護 師 の 看 護 技 術 水 準 と 経 験 年 数 と の 関 係 を 明 ら か に し て い る 。 こ の 研 究 で は 、「 半 身 麻 痺 の 患 者 に 対 す る 仰 臥 位 か ら 側 臥 位 へ の 体 位 変 換 」を ど の よ う に 実 施 す る か に つ い て 、 臨 床 経 験 1 年 未 満 か ら 15 年 以 上 の 34 人 の 臨 床 看 護 師 に 聞 き 取 り に よ る 調 査 を 行 っ て い る 。調 査 方 法 は 、予 め 研 究 者 が 設 定 し た 13 項 目 に つ い て 、そ れ ぞ れ の 実

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6 施 度 数 を 集 計 し 、こ れ を「 着 眼 し た 情 報(3 項 目 )」「 情 報 か ら 予 測 し た 内 容( 5 項 目 )」「 選 択 し た 看 護 行 為(5 項 目 )」に 分 け 、こ の 3 つ の 大 項 目 の 実 施 率 と 経 験 年 数 と の 関 連 を 分 析 し て い る 。 こ の 結 果 、 3 つ の 大 項 目 の ど れ に お い て も 、 看 護 師 と し て の 経 験 年 数 と 実 施 率 に は 相 関 が 認 め ら れ な い こ と が 報 告 さ れ て い る 。 こ の 調 査 結 果 に つ い て 、 経 済 学 の 立 場 か ら 考 察 し た 下 野 (2010) は 「 看 護 師 と し て の 臨 床 経 験 年 数 が 、 看 護 行 為 の 熟 達 形 成 に 結 び つ い て お ら ず 、 む し ろ 、 看 護 師 と し て 仕 事 に 慣 れ る こ と が 看 護 行 為 を 粗 雑 に し て い る 可 能 性 が あ る 。 看 護 基 礎 教 育 で 教 え ら れ た 看 護 技 術 が 、 臨 床 の 場 で 劣 化 し て い る 可 能 性 が 大 き い 。 こ の こ と は 、 臨 床 現 場 に お い て 、 看 護 師 が 看 護 技 術 を 向 上 さ せ る 機 会 や 時 間 的 な 余 裕 が な い こ と 、 あ る い は 、 看 護 技 術 の 向 上 の イ ン セ ン テ ィ ヴ が 欠 け て い る こ と を 示 唆 し て い る 」(p.51)と 、現 在 の 臨 床 現 場 に お い て 、看 護 師 の 看 護 技 術 の 熟 達 を 妨 げ る 経 済 的 要 因 が 存 在 す る 可 能 性 を 述 べ て い る 。 さ ら に 、 こ の よ う な 臨 床 現 場 に 入 職 し て く る 新 人 看 護 師 の 看 護 実 践 能 力 の 低 さ も 問 題 視 さ れ て い る 。 そ の 背 景 と し て 、 患 者 の 人 権 へ の 配 慮 や 医 療 安 全 確 保 へ の 取 り 組 み が 強 化 さ れ る 中 で 、 臨 地 実 習 で 学 生 が 実 施 で き る 看 護 技 術 の 範 囲 や 機 会 が 限 定 さ れ て き て い る こ と が 影 響 し て い る と 言 わ れ て い る ( 厚 生 労 働 省 ,2003) 。 し か し 、 新 人 看 護 師 の 入 職 時 の 看 護 技 術 の 習 得 状 況 に お け る 調 査 ( 國 井 ,2003) で は 、 95% の 新 人 看 護 師 が 臨 地 実 習 で 経 験 が あ る と 答 え た 技 術 項 目 に お い て さ え 、 そ れ を 「 ひ と り で で き る 」 と 答 え ら れ る 看 護 師 は 60% に も 満 た な い 状 況 に あ る こ と が 報 告 さ れ て い る 。 こ こ か ら は 、 新 人 看 護 師 が 抱 え る 技 術 面 で の 困 難 さ は 、 単 に 学 生 時 代 に 経 験 で き な い こ と の み が 原 因 で は な い こ と が 推 察 さ れ る 。 つ ま り 、 新 人 看 護 師 は 、 学 生 時 代 に 一 旦 身 に つ け た は ず の 技 術 で あ っ て も 、 現 実 の 臨 床 場 面 で 看 護 師 と し て 実 施 す る と い う 点 に 、 学 生 時 代 と は 異 な る 困 難 さ を 抱 え て い る も の と 思 わ れ る 。 看 護 師 の 卒 後 の 看 護 技 術 習 得 過 程 に お い て は 、 学 生 時 代 に 学 習 し た 内 容 が ス ム ー ズ に 臨 床 実 践 能 力 へ と 発 展 し に く い 状 況 が あ る と 言 え る 。 以 上 の こ と か ら 、 現 在 の 看 護 実 践 現 場 で の 看 護 技 術 の 状 況 は 、 ま ず 、 新 人 看 護 師 が 基 礎 教 育 で 習 得 し た 看 護 技 術 の 実 践 能 力 は 、 実 践 現 場 の 状 況 に は ス ム ー ズ に 適 用 で き な い 状 況 に あ る 。 さ ら に 、 そ の よ う な 状 況 に あ る 看 護 師 が 、 実 践 現 場 で 看 護 技 術 を 磨 い て い く に も さ ま ざ ま な 困 難 が あ り 、 看 護 師 は 必 ず し も 看 護 実 践 現 場 で 技 術 を 高 め て い る と は 言 え な い 可 能 性 が あ る 。 そ の 一 方 で 、 医 療 の 現 場 は 今 後 も ま す ま す 高 度 化 ・ 効 率 化 が 進 む も の と 思 わ れ 、 そ の 医 療 の 一 翼 を 担 う 看 護 師 の 業 務 は 、 よ り 一 層 効 率 性 や 合 理 化 が 求 め ら れ る も の と 思 わ れ る 。 そ の 現 実 の 中 に お い て も 、 や は り 看 護 師 は 、 自 ら の 専 門 性 の 拠 り 所 と し て 、 看 護 技 術 を 磨 い て い く 必 要 が あ り 、 そ の た め の 効 果 的 な 方 略 を 明 ら か に す る こ と は 、 看 護 界 に お け る 緊 切 の 課 題 で あ る 。 ま た 、 こ の よ う な 状 況 は 、 高 い 看 護 技 術 の レ ベ ル を も っ て そ の 専 門 職 性 を 発 揮 す る と い う 看 護 職 者 の 専 門 性 の 危 機 に 通 じ る 問 題 で も あ り 、 早 急 な 対 応 が 検 討 さ れ る 必 要 が あ る 。 2 . 看 護 技 術 の 実 践 能 力 育 成 の た め の 教 育 の 現 状 看 護 師 の 看 護 技 術 に ま つ わ る 問 題 に 対 し て 、 ど の よ う な 対 応 が な さ れ て い る の か 、 そ の 現 状 と 課 題 に つ い て 述 べ る 。 ま ず 、新 人 看 護 師 の 看 護 実 践 能 力 に つ い て は 、2009 年 7 月 に 、新 人 看 護 職 員 研 修 が 努 力 義 務 化 さ れ 、 厚 生 労 働 省 か ら 「 新 人 看 護 職 員 研 修 ガ イ ド ラ イ ン 」 ( 厚 生 労 働 省 ,2009) が

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7 提 示 さ れ た 。 こ れ に よ り 、 す べ て の 医 療 施 設 で 、 新 人 看 護 師 が 技 術 面 を 含 め た 臨 床 看 護 実 践 能 力 の 就 職 初 期 段 階 の 教 育 を 受 け る こ と が で き る よ う に な っ た 。 さ ら に 、 看 護 基 礎 教 育 に お い て は 、2011 年 に 、 「 大 学 に お け る 看 護 系 人 材 養 成 の 在 り 方 に 関 す る 検 討 会 報 告 書 」 に お い て 、 看 護 専 門 職 者 と し て 学 士 課 程 修 了 時 に 習 得 す べ き コ ア と な る 能 力 と そ の た め に 必 要 な 教 育 内 容 、 看 護 実 践 能 力 に つ い て の 卒 業 時 の 到 達 目 標 が 詳 細 に 提 示 さ れ た ( 文 部 科 学 省 ,2011) 。 こ れ ら 臨 床 現 場 、 看 護 基 礎 教 育 現 場 か ら の ア プ ロ ー チ は 、 よ り 現 場 の ニ ー ズ や 学 習 者 の 準 備 状 況 に 合 わ せ た 教 育 を 行 う よ う 、 双 方 の 現 場 が そ れ ぞ れ の 教 育 目 標 を 明 確 化 す る こ と で 、 基 礎 教 育 か ら 継 続 教 育 へ の 移 行 を ス ム ー ズ に す る こ と を 目 指 し て い る 。 こ れ は 、新 人 看 護 師 の 職 場 へ の 適 応 を 促 す と い う 点 で は 意 義 が 大 き い と 思 わ れ る 。し か し 、 こ の ア プ ロ ー チ は 、 あ く ま で 教 育 を 提 供 す る 側 に あ る 教 育 機 関 と 実 践 現 場 と の 乖 離 を 埋 め よ う と す る も の で あ り 、 そ れ ぞ れ の 現 場 で 、 学 生 や 新 人 看 護 師 が ど の よ う な 学 習 経 験 を し て い る か と い う 学 習 者 の 視 点 に 立 っ た も の で は な い 点 が 懸 念 さ れ る 。 学 生 時 代 に 経 験 し た 技 術 で あ っ て も 、 患 者 を 目 前 に す る と 「 で き な い 」 と 感 じ る 新 人 看 護 師 の 状 況 が あ る ( 國 井 ,2003) こ と を 考 え る と 、 な ぜ 学 ん だ こ と が 実 践 に つ な が ら な い の か と い う 原 因 に つ い て も 検 討 が 必 要 で あ る 。 す な わ ち 、 臨 床 現 場 に 適 用 で き る 実 践 力 と し て 身 に つ け る た め の 学 習 方 略 の 検 討 が 必 要 で あ る 。 次 に 、2 年 目 以 上 の 看 護 師 へ の 教 育 で あ る が 、 卒 業 後 の 看 護 技 術 を 含 む 看 護 実 践 能 力 の 育 成 は 、通 常 、職 場 内 外 の 研 修(

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)に よ っ て は か ら れ て い る 。下 野(2010) の 調 査 で は 、 現 在 、8 割 以 上 の 医 療 施 設 が 、 何 ら か の 研 修 プ ロ グ ラ ム を 提 示 で き る 形 で 職 場 研 修 を 実 施 し て い る こ と が 明 ら か に な っ て い る 。 し か し 、 看 護 技 術 の 教 育 に 焦 点 を 当 て る と 、 研 修 な ど の 組 織 的 な 取 り 組 み と し て 実 施 さ れ て い る の は 、 注 射 の 技 術 や カ テ ー テ ル 管 理 な ど の 診 療 補 助 に 関 連 す る 看 護 技 術 が 中 心 で あ り 、 生 活 援 助 技 術 が 研 修 内 容 に 加 え ら れ る こ と は ほ と ん ど な い 。 そ し て 、 卒 後 3 年 目 以 上 の 研 修 に な る と 、 そ の 内 容 は 、 プ リ セ プ タ ー シ ッ プ や リ ー ダ ー シ ッ プ 研 修 、 指 導 者 研 修 、 管 理 者 研 修 が 中 心 と な り 、 看 護 技 術 に 関 す る 研 修 は 皆 無 と な る 。 ま た 、 職 場 外 研 修 の 代 表 格 で あ る 日 本 看 護 協 会 が 主 催 す る 研 修 は 、 が ん 看 護 、 糖 尿 病 患 者 や 摂 食 ・ 嚥 下 障 害 患 者 の 看 護 、 認 知 症 患 者 の 看 護 な ど 社 会 的 に 関 心 が 高 い 疾 患 や 症 状 を も つ 患 者 の 看 護 に 関 す る 研 修 内 容 が 多 い 。 ま た 、 看 護 管 理 者 研 修 で は 、 ス ト レ ス マ ネ ジ メ ン ト や ス タ ッ フ の キ ャ リ ア 開 発 支 援 、 リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト な ど と な っ て お り 、 技 術 指 導 に 関 わ る 内 容 は な い 。看 護 技 術 に 関 す る も の は 、フ ィ ジ カ ル ア セ ス メ ン ト 技 術 が 唯 一 で あ り 、 そ の 他 の 看 護 技 術 に 関 す る 研 修 は ほ と ん ど 行 わ れ て い な い 。 こ れ ら の こ と か ら 、 卒 後 2 年 目 ま で の 看 護 師 は 、 看 護 技 術 に 関 す る 職 場 内 研 修 を 受 け る も の の 、3 年 目 以 上 の 看 護 師 は 、 看 護 技 術 の 熟 達 を 意 図 し た 研 修 を 受 け る 機 会 は ほ と ん ど な い と 言 え る 。 さ ら に 、 生 活 援 助 技 術 に 関 し て は 、 新 人 時 代 を 含 め て 組 織 的 な 研 修 は ほ と ん ど 行 わ れ て い な い 。下 野(2010)は 、こ の よ う な 状 況 か ら 、「 生 活 援 助 技 術 の 向 上 は 個 々 の 看 護 師 の 意 欲 や 努 力 に 委 ね ら れ て い る 」 (p.159) と 考 察 し て い る 。 し か し 、 生 活 援 助 技 術 に 関 す る 組 織 的 研 修 が 実 施 さ れ て い な い こ と の み が 問 題 と い う わ け で は な い 。 元 々 、 生 活 援 助 技 術 が 集 合 研 修 で 習 得 可 能 な 技 術 な の か と い う 疑 問 も あ る 。 こ れ ら の 技 術 に 関 す る 組 織 的 研 修 が 実 施 さ れ て い な い の は 、 そ の 習 得 が 、 患 者 へ の 看 護 実 践 を 通 し て 、 す な わ ち

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に よ っ て 行 わ れ て い る こ と を 示 し て い る と 見 た 方 が 良 い と 思

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8 わ れ る 。問 題 は 、そ の

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が ど の よ う に 実 施 さ れ 、そ れ に よ っ て 培 わ れ る 技 術 の 質 、レ ベ ル が ど の よ う な も の な の か 、 そ の 評 価 は ど う な っ て い る の か に つ い て 、 ほ と ん ど 明 ら か に さ れ て い な い 点 に あ る 。つ ま り 、看 護 継 続 教 育 に お け る

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に 対 す る 関 心 が 低 く 、看 護 師 の 生 活 援 助 技 術 の 習 得 は 質 の 担 保 さ れ な い

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に よ っ て 行 わ れ て い る 状 況 に あ る と 言 え る 。 結 果 的 に は 、 看 護 師 の 生 活 援 助 技 術 の 向 上 は 、 日 々 の 看 護 実 践 に お け る 看 護 師 個 々 の 意 欲 、 努 力 に 委 ね ら れ て い る と い う 点 で 、 下 野 の 見 解 と 同 じ 状 況 に あ る と 言 え る 。 3 . 現 在 の 看 護 技 術 教 育 に お け る 課 題 こ こ で は ま ず 、 現 在 の 看 護 技 術 教 育 の 方 法 を 支 え る 学 習 理 論 に つ い て 、 看 護 技 術 の 特 徴 と の 関 連 か ら 述 べ 、 そ の 課 題 を 明 ら か に す る 。 次 に 、 我 が 国 の 看 護 技 術 教 育 の 現 状 に つ い て 述 べ る 。 1 ) 看 護 技 術 教 育 の 方 法 に 関 す る 現 状 と 課 題 現 在 の 基 礎 教 育 機 関 で 行 わ れ る 看 護 技 術 教 育 に お い て 発 生 し て い る 諸 問 題 は 、 「 看 護 技 術 」 と い う 技 術 の も つ 特 徴 と そ の 教 育 方 法 を 支 え る 学 習 理 論 の 影 響 を 少 な か ら ず 受 け て い る も の と 思 わ れ る 。 こ こ で は 、 「 看 護 技 術 の 特 徴 」 と 「 そ の 教 育 を 支 え る 学 習 理 論 」 と い う 2 つ の 視 点 か ら そ の 現 状 と 課 題 に つ い て 明 ら か に す る 。 ( 1 ) 看 護 技 術 の 特 徴 看 護 技 術 が 他 の 職 種 の 技 術 と 大 き く 異 な る 点 は 、 ひ と に 対 し て 実 施 さ れ る と い う 点 で あ る 。 そ れ ゆ え 、 多 く の 複 雑 さ や 不 確 か さ が 含 ま れ る 。 さ ら に 、 看 護 技 術 は 、 そ の 技 術 を 実 践 す る 看 護 師 自 身 の 身 体 性 が 含 ま れ た 相 互 身 体 的 構 成 的 技 術 と し て の 特 徴 も あ る 。つ ま り 、 看 護 技 術 は 、 看 護 師 が 自 分 自 身 の 意 図 や 行 為 に よ っ て 一 方 的 に 患 者 に 働 き か け る 関 係 で は な く 、 看 護 師 と 患 者 と が 共 存 し 、 お 互 い の 身 体 ( 感 じ 方 ) を 通 し て 知 覚 さ れ る 相 互 的 な 関 係 の も と に 成 立 し て い る 技 術 な の で あ る ( 池 川 ,1996) 。 こ れ ら の 特 徴 を も っ て 、 看 護 技 術 は 、 ひ と を 対 象 と す る 他 の 技 術 と も 一 線 を 画 し て い る と 言 え る 。 こ の よ う な 看 護 技 術 の 特 徴 は 、 2 つ の 点 で そ の 学 習 方 法 を 制 約 し て い る 。 ま ず 、1 点 目 は 、 看 護 技 術 の 「 ひ と に 対 し て 行 う 」 と い う 特 徴 に よ る も の で あ る 。 こ れ は 、 一 定 の 手 順 、 標 準 的 な 方 法 を 患 者 に 適 用 し て 実 施 す る と い う も の で は な い こ と を 意 味 す る ( 池 川 ,1984) 。 看 護 技 術 の 目 的 は 、 個 々 に 異 な る 患 者 の 個 別 の ニ ー ズ に 応 え る こ と で あ り 、 そ の ひ と に し か 適 用 さ れ な い 順 序 性 や 方 法 を も つ 1 回 限 り の 技 術 と し て 提 供 さ れ る 。 看 護 技 術 を 個 人 に 適 用 す る 過 程 は 、 「 ス タ ン ダ ー ド な 技 術 を 変 容 さ せ て い く 判 断 の 過 程 で あ る 」( 香 春 ,2009,p.5)と も 言 わ れ る が 、実 際 に は 、そ の 変 容 の 度 合 い は 非 常 に 大 き く 、 初 学 者 に と っ て は 、 ど の よ う な ス タ ン ダ ー ド が 、 ど の よ う に 変 容 さ れ て 実 施 さ れ て い る の か が 理 解 し に く い 状 況 に あ る 。 個 々 の 患 者 に 実 施 さ れ る 援 助 の 個 別 性 は 大 き く 、 ま た 、 同 じ 患 者 で あ っ て も 状 況 が 異 な る と 全 く 異 な る 援 助 を 必 要 と す る こ と が あ る と い う 点 で 非 常 に 状 況 依 存 的 で あ る 。 し た が っ て 、 こ の よ う な 看 護 技 術 に つ い て 、 「 ど の 患 者 に も 適 用 可 能 な 標 準 的 な 方 法 」を 示 す こ と は 非 常 に 難 し い 。臨 床 現 場 で 実 践 さ れ る 看 護 技 術 が 、 様 々 な 基 礎 看 護 技 術 の テ キ ス ト に 示 さ れ る 手 順 や 方 法 と 著 し く 異 な っ て い る 事 例 ( 石 鹸 と ウ ォ ッ シ ュ ク ロ ス を 使 用 し た 全 身 清 拭 の 例 ) も 報 告 さ れ て お り ( 馬 醫 ,2008) 、 テ キ ス ト

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9 に 示 さ れ て い る 手 順 や 方 法 が 必 ず し も 標 準 と は 言 え な い 。 そ れ ゆ え 、 そ の テ キ ス ト に 示 さ れ た 手 順 を 基 に 繰 り 返 し 練 習 し そ れ が 習 得 で き た と し て も 、 そ の ま ま の 方 法 が 現 場 で 活 用 で き る わ け で は な い 。 つ ま り 、 看 護 技 術 は 、 テ キ ス ト や マ ニ ュ ア ル だ け で 習 得 す る こ と が 難 し い と い う 特 徴 が あ る 。 2 点 目 は 、 看 護 技 術 の も つ 相 互 身 体 的 構 成 的 特 徴 に よ る も の で あ る 。 こ れ は 、 看 護 技 術 が 客 観 的 に 妥 当 な 方 法 を 患 者 に 適 用 す る と い う よ り も 、 看 護 師 自 身 が 感 じ た 身 体 感 覚 を 基 に 即 興 的 に そ の 状 況 に ふ さ わ し い 方 法 を 選 び 取 り 、 患 者 と の 関 係 を 再 構 築 し て い く 技 術 で あ る こ と を 意 味 し て い る 。 こ の よ う な 状 況 は 、 実 際 の 患 者 に 接 し 、 そ の 現 場 で 実 践 し て み な け れ ば 理 解 で き な い こ と で あ る 。 さ ら に 、 実 際 に 実 践 し て 理 解 で き た と し て も 、 そ の 実 践 を う ま く 表 現 す る こ と が で き な い 「 言 葉 に で き な い 技 術 」 な の で あ る 。 こ の こ と は 、 看 護 技 術 が 、 机 上 の 学 習 や 、 患 者 の 状 況 や 生 活 の 文 脈 を 切 り 離 し て 行 わ れ る 技 術 演 習 で は 身 に つ け る こ と が 難 し い 技 術 で あ る こ と を 意 味 し て い る 。 つ ま り 、 看 護 技 術 は 、 実 践 経 験 の 中 で し か 身 に つ け る こ と が で き な い と い う 制 約 が あ る 。 以 上 の こ と か ら 、 看 護 技 術 は 、 マ ニ ュ ア ル や 標 準 化 さ れ た 手 順 で 学 ぶ こ と が 難 し く 、 実 践 経 験 を 通 し て 習 得 さ れ る と い う 技 術 習 得 上 の 特 徴 を 有 す る も の で あ る と 言 え る 。 ( 2 ) 看 護 技 術 教 育 を 支 え る 学 習 理 論 に お け る 問 題 看 護 技 術 が 、 標 準 的 な 方 法 や マ ニ ュ ア ル に よ っ て 学 ぶ こ と が 難 し い と い う こ と は 、 初 学 者 に と っ て は 習 得 が 難 し い 技 術 で あ る こ と を 意 味 し て い る 。 前 述 し た 新 人 看 護 師 に 対 す る 調 査 ( 國 井 ,2003) に お い て も 、 基 礎 教 育 で 実 施 経 験 が あ る 技 術 項 目 で さ え 「 ひ と り で で き る 」 と 答 え ら れ な い 状 況 が あ る こ と は 、 新 人 看 護 師 が 、 学 生 時 代 に 経 験 し た 技 術 の パ タ ー ン が 、 現 実 の 個 々 の 患 者 に 適 用 で き る か ど う か わ か ら な い と い う 不 安 を 抱 い て い る と い う 可 能 性 が あ り 、 複 雑 な 臨 床 の 状 況 や 看 護 技 術 の 状 況 依 存 的 な 側 面 を あ る 意 味 新 人 看 護 師 が 良 く 理 解 し て い る と 見 る こ と が で き る 。し か し 、新 人 看 護 師 が 経 て き た 看 護 基 礎 教 育 は 、 必 ず し も こ の よ う な 看 護 技 術 の 学 び に く さ を 十 分 に 考 慮 し た も の と は 言 え な い 状 況 に あ る 。 看 護 基 礎 教 育 に お け る 技 術 教 育 は 、 学 内 で 行 う 講 義 と 技 術 演 習 、 臨 地 実 習 と い う 流 れ で 行 わ れ る 。 技 術 演 習 の ほ と ん ど は 、 あ る 状 況 設 定 患 者 へ の 援 助 方 法 を ひ と つ の パ タ ー ン と し て 習 得 す る 方 法 が と ら れ て い る 。 看 護 技 術 の 状 況 依 存 的 特 徴 を 考 慮 す る と 、 様 々 な 患 者 の 不 測 の 事 態 に 対 応 で き る 状 況 適 応 力 が 培 わ れ る 必 要 が あ る 。 し か し 、 学 内 学 習 に 続 く 臨 地 実 習 に お い て さ え 、 学 生 は 受 け 持 ち 患 者 に 実 施 さ れ て い る 看 護 の ひ と つ の パ タ ー ン を 学 ん で い る 。 そ し て 、 そ の パ タ ー ン の 集 積 は 様 々 な 患 者 に 対 応 で き る 能 力 、 つ ま り 、 状 況 適 応 性 の あ る 技 術 の 獲 得 に つ な が る も の で あ る と い う こ と へ の 暗 黙 の 了 解 が あ る ( 三 瓶 , 2008) 。 し か し 、 具 体 的 な 物 事 の 構 造 や 現 象 か ら そ の 原 理 を 導 き 、 さ ら に 別 の 個 々 の 具 体 に そ れ を 適 応 さ せ る た め に は 、 高 度 な メ タ 認 知 能 力 が 必 要 で あ る ( 佐 伯 ,1996; 波 多 野 , 1996) 。 す な わ ち 、 経 験 の 単 純 な 集 積 が 状 況 適 応 力 を 伴 っ た 実 践 力 に 結 び つ く と は 限 ら な い 。 必 要 か つ 重 要 な こ と は 、 経 験 を 統 合 す る 能 力 が 同 時 に 培 わ れ る こ と で あ る 。 し か し 、 看 護 技 術 教 育 に お い て そ れ を 実 現 す る た め の 有 効 な 学 習 方 法 に つ い て は 、 ま だ 十 分 に 検 討 さ れ て い る と は 言 え な い 状 況 に あ る 。 ま た 、 現 在 の 看 護 技 術 教 育 の 在 り 方 に 影 響 し て い る 学 習 理 論 の 問 題 も あ る 。 現 在 の 看 護

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10 学 教 育 全 般 に お け る 学 習 理 論 の 大 き な 潮 流 は 行 動 主 義 に も と づ く 学 習 理 論 で あ る 。 行 動 主 義 に 基 づ く 行 動 科 学 モ デ ル で は 、 教 育 実 践 の 評 価 が 言 語 化 ・ 可 視 化 可 能 な 行 動 目 標 の 達 成 度 に よ っ て 行 わ れ る 。 厚 生 労 働 省 (2009) か ら 提 示 さ れ た 「 新 人 看 護 職 員 研 修 ガ イ ド ラ イ ン 」 に 示 さ れ る 達 成 目 標 や 、 文 部 科 学 省 (2011) に よ っ て 示 さ れ た 「 大 学 に お け る 看 護 系 人 材 養 成 の 在 り 方 に 関 す る 検 討 会 報 告 書 」 に お け る 「 卒 業 時 の 到 達 目 標 」 も す べ て こ の 形 式 で 示 さ れ て お り 、 こ の モ デ ル が 現 在 の 看 護 学 教 育 全 般 に わ た る 教 育 観 の 優 性 を 占 め る こ と は 明 ら か で あ る 。 し か し 、 言 語 化 で き な い 部 分 が 多 い 看 護 技 術 を 教 授 す る た め の 教 育 方 法 と し て 、 行 動 主 義 モ デ ル に 限 界 が あ る こ と は 明 ら か で あ る 。 例 え ば 、 行 動 主 義 モ デ ル に お い て は 、 チ ェ ッ ク リ ス ト に よ る 技 術 評 価 が 多 用 さ れ る が 、 チ ェ ッ ク リ ス ト 通 り に 完 全 に 実 践 で き る こ と と 、 熟 達 し た 看 護 技 術 が 実 践 さ れ る こ と と は 一 致 し な い 。 こ の こ と は 、 人 間 の 行 動 を ア ル ゴ リ ズ ム 化 し 、 人 工 知 能 に 置 き 換 え よ う と し て も 、 人 間 が 実 践 す る 高 度 な 技 術 の 代 替 は 不 可 能 で あ る と い う 人 工 知 能 研 究 の 失 敗( 福 島 ,2001)と 同 じ で あ る 。ま た 、 行 動 主 義 モ デ ル で は 、 直 接 的 に 観 察 で き る 行 動 の 変 化 し か 判 断 で き な い た め 、 あ る 患 者 へ の 援 助 が 「 で き た 」 こ と が 、 ど の よ う な 患 者 に も 適 用 で き る 技 術 と し て 獲 得 さ れ て い る か ど う か ま で は 判 断 す る こ と が 難 し い 。 さ ら に 、 行 動 主 義 モ デ ル に 基 づ く 教 育 の 基 本 的 な 問 題 は 、 「 学 習 を も っ ぱ ら 反 応 に 対 し て 外 的 に 与 え ら れ る 正 負 の フ ィ ー ド バ ッ ク に 依 存 す る 過 程 と 捉 え る 」( 波 多 野 ,1996,p.6) と い う 点 に あ る 。 つ ま り 、 教 え た 事 柄 と 学 ば れ た 事 柄 を 同 一 視 す る 点 に あ る 。 し か し 、 学 習 者 の 学 習 経 験 は 、 与 え ら れ た 教 科 内 容 や 教 育 目 標 の み で 規 定 し 得 る も の で は な く 、 個 性 的 で 多 義 的 な 価 値 と 内 容 を 含 む 経 験 で あ り 、 学 習 者 の 学 び は 、 教 育 者 の 想 定 を 超 え て 深 化 し 発 展 し て い る ( 池 川 ,2000) 。 看 護 は 実 践 学 で あ る こ と は 自 明 の 理 で あ り 、 そ れ ゆ え 、 看 護 学 教 育 に は 多 く の 演 習 や 実 習 が 盛 り 込 ま れ て い る 。 そ う い っ た 多 様 な 経 験 が 可 能 な 教 育 方 法 を と り な が ら 、 そ の 経 験 を 通 し て 得 ら れ て い る は ず の 多 様 な 学 び は 、 あ ら か じ め 準 備 さ れ た 教 育 目 標 の 裏 に 隠 れ 、 顕 在 化 さ れ に く く な っ て い る 。 こ れ は 、 卒 業 後 の 看 護 技 術 習 得 に 関 し て も 同 様 で あ る 。 ク リ ニ カ ル ラ ダ ー や 新 人 看 護 職 員 研 修 ガ イ ド ラ イ ン が 導 入 さ れ る こ と で 、 実 践 経 験 を 通 し て 得 ら れ る 多 様 な 学 び が 、 行 動 主 義 に 基 づ く 「 で き る 」 「 で き な い 」 と い う 無 機 質 な 表 現 に 還 元 さ れ て し ま う 可 能 性 が 生 じ て い る 。 行 動 主 義 に 基 づ く 教 育 は 、 目 標 が 明 確 で あ る た め 学 習 へ の 動 機 付 け が し や す く 、 評 価 し や す い と い う 利 点 は あ る ( 梶 田 ,2001) 。 し か し 、 目 標 と し て 表 現 さ れ て い な い が 、 確 実 に 存 在 す る 学 び が 、 ふ る い 落 と さ れ て い る 可 能 性 が あ る こ と に 注 意 が 必 要 で あ る 。 言 語 化 で き な い 部 分 が 多 い 看 護 技 術 の 学 習 過 程 の 解 明 に お い て は 、 む し ろ そ う い っ た 部 分 を す く い 取 る 学 習 理 論 に 基 づ い て 検 討 さ れ る 必 要 が あ る 。 行 動 主 義 に 基 づ く 学 習 理 論 と 同 様 に 、 看 護 学 教 育 に 影 響 し て き た の は 、 認 知 主 義 に 基 づ く 学 習 理 論 で あ る 。 認 知 主 義 の 特 徴 は 、 問 題 解 決 過 程 を 重 視 す る 点 で あ り 、 看 護 学 教 育 に

お い て は 、

PBL( Problem Based Learning)

や 看 護 過 程 の 学 習 に 取 り 入 れ ら れ 、看 護 実 践

に お け る 論 理 的 思 考 過 程 の 学 習 に 貢 献 し て き た ( 和 賀 ,2009) 。 し か し 、 認 知 主 義 は 、 理

解 で き た こ と と 行 動 と を 同 一 視 す る 傾 向 が あ る 。 そ の た め 、 こ れ に 偏 り す ぎ た 場 合 に は 、

実 践 的 な 技 術 訓 練 が 軽 視 さ れ る こ と に な る 。90 年 代 の 看 護 技 術 教 育 に お い て は 、技 術 を「 身

に つ け る 」 よ り も 根 拠 を 理 解 す る こ と が 重 要 視 さ れ た ( 野 本 ,1994) 。 こ れ は 、 こ の 学 習

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11 こ れ ら 行 動 主 義 や 認 知 主 義 に も と づ く 学 習 理 論 で は 、ひ と の 学 習 が 教 育 者 に よ っ て 設 定 、 準 備 さ れ た 中 で 起 こ る も の で あ る こ と 、 あ る い は コ ン ト ロ ー ル 可 能 な も の と さ れ る た め 、 そ の 成 果 は 行 動 や 認 識 の 変 容 に よ っ て 説 明 さ れ る こ と が 前 提 と な っ て い る 。し か し な が ら 、 実 際 に 看 護 師 が 一 人 前 に な り 成 長 し て い く 過 程 で は 、 必 ず し も 常 に 指 導 者 が 存 在 す る わ け で は な く 、 ま た 、 目 標 が 明 確 な 中 で 行 わ れ て い る と は 限 ら な い 。 新 人 看 護 師 時 代 以 降 の 過 程 で は 、 む し ろ そ う で は な い こ と の 方 が 多 い 。 前 述 し た よ う に 、 学 習 者 の 学 び は 、 も っ と 多 様 で 看 護 と 同 様 に 状 況 依 存 的 で あ る 。 看 護 技 術 の よ う に 実 践 経 験 を 通 し て 習 得 さ れ る 内 容 に つ い て は 、 職 場 に お い て 自 然 発 生 的 に 成 立 し て い る 学 習 を 捉 え る 視 点 が 導 入 さ れ 、 こ れ が 教 育 の ス ト ラ テ ジ ー に 加 味 さ れ る 必 要 が あ る 。 し か し な が ら 、 現 状 の 看 護 技 術 教 育 で は 、 こ の 点 は ま だ 十 分 に 検 討 さ れ て い る と は 言 え な い 状 況 に あ る 。 2 ) 我 が 国 の 看 護 技 術 教 育 の 現 状 看 護 基 礎 教 育 に お い て は 、2001 年 に「 看 護 学 教 育 の 在 り 方 に 関 す る 検 討 会 」( 文 部 科 学 省 ) が 開 催 さ れ て 以 来 、 文 部 科 学 省 、 厚 生 労 働 省 、 看 護 系 大 学 協 議 会 な ど に よ っ て 看 護 学 教 育 の あ り 方 、看 護 技 術 教 育 の 在 り 方 な ど の 看 護 技 術 教 育 に 関 す る 検 討 が 重 ね ら れ て き た 。 2011 年 に は 、「 大 学 に お け る 看 護 系 人 材 養 成 の 在 り 方 に 関 す る 検 討 会 報 告 書 」( 文 部 科 学 省 ,2011) が ま と め ら れ 、 こ れ に 基 づ い て 、 看 護 専 門 職 者 と し て 学 士 課 程 修 了 時 に 習 得 す べ き コ ア と な る 能 力 と そ の た め に 必 要 な 教 育 内 容 な ど 非 常 に 詳 細 な も の が 提 示 さ れ た ( 厚 生 労 働 省 ,2011) 。 こ の よ う な 検 討 は 、 卒 業 時 の 看 護 師 の 看 護 実 践 能 力 の 低 下 に 対 す る 看 護 基 礎 教 育 側 の 対 応 で あ り 、 実 践 現 場 の ニ ー ズ や 新 人 看 護 師 の 実 態 に 即 し た 教 育 が 実 践 さ れ る よ う に と の 意 図 を 含 ん で い る 。 と こ ろ で 、看 護 基 礎 教 育 は 、「 保 健 師 助 産 師 看 護 師 学 校 養 成 所 指 定 規 則 」(1951 年 文 部 省 ・ 厚 生 省 令 第 1 号 )や「 看 護 師 等 養 成 所 の 運 営 に 関 す る 指 導 要 領 に つ い て 」(1993 年 健 政 発 第 5 号 )な ど の 規 定 に 基 づ い て 実 施 さ れ 、現 在 は 、2009 年 に 改 正 さ れ た カ リ キ ュ ラ ム に 即 し て 運 営 さ れ て い る 。 こ の 新 カ リ キ ュ ラ ム は 、 そ れ ま で の 様 々 な 検 討 会 に お け る 報 告 書 を も と に 改 正 さ れ た も の で 、 臨 床 現 場 の 状 況 を 鑑 み 、 基 礎 看 護 学 が ひ と つ の 分 野 ( 専 門 分 野 Ⅰ )と し て 独 立 さ れ る な ど 、技 術 教 育 や 演 習 を 強 化 し た 内 容 と な っ て い る( 小 山 ,2007)。 看 護 技 術 教 育 に 関 す る 標 準 的 な 履 修 時 間 数 は 、 学 内 で の 基 礎 看 護 技 術 演 習 は 195 時 間 、 臨 地 実 習 は 1035 時 間 と さ れ て お り 、こ れ は 、看 護 基 礎 教 育 全 体 の 41% を 占 め て い る( 下 野 , 2010) 。 こ れ を 海 外 の 看 護 学 教 育 と 比 較 す る と 、 イ ギ リ ス や オ ー ス ト ラ リ ア で は 、 基 礎 教 育 段 階 に お け る 技 術 教 育 の 占 め る 時 間 は 全 体 の 50% 以 上 と な っ て お り 、我 が 国 の 看 護 基 礎 教 育 に お け る 技 術 教 育 の 時 間 は 、 決 し て 多 い と は 言 え な い 状 況 に あ る ( 山 本 ,2002) 。 た だ し 、 こ れ ら の 国 で 実 施 さ れ る 看 護 技 術 教 育 の 内 容 は 、 診 療 補 助 技 術 が 主 体 で あ り 、 我 が 国 で 行 わ れ る 看 護 技 術 教 育 の 内 容 と は 異 な っ て い る 。 こ こ で 、 諸 外 国 と 我 が 国 と で 看 護 師 の 看 護 技 術 の 質 保 障 に つ い て の 状 況 を 比 較 す る と 、 ま ず 、 諸 外 国 で は 、 卒 業 後 の 免 許 更 新 制 度 が 設 け ら れ て い る 場 合 が 多 い 。 オ ー ス ト ラ リ ア で は 、毎 年 各 州 の 看 護 協 会 へ の 更 新 が 義 務 づ け ら れ て お り 、5 年 以 上 更 新 が な い 場 合 に は 、 再 教 育 課 程 を 修 了 し な け れ ば な ら な い 。 イ ギ リ ス で は 、3 年 ご と の 免 許 更 新 が 必 要 で 、 最 低 35 時 間 以 上 の 継 続 教 育 を 受 け て い る こ と が 更 新 時 の 条 件 と な っ て い る 。そ の 他 、ア メ リ

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12 カ 、 中 国 、 タ イ な ど で も そ れ ぞ れ 国 や 州 に よ っ て 基 準 や 制 度 は 異 な る も の の 、 看 護 師 免 許 更 新 制 度 を 設 け て い る 。 こ れ ら が 、 看 護 師 の 看 護 技 術 の 向 上 に 直 結 し て い る か ど う か は 不 明 で あ る が 、 更 新 時 に 要 求 さ れ る 内 容 に よ っ て は 、 看 護 技 術 の 維 持 、 向 上 へ の 自 覚 や 動 機 付 け に な る 可 能 性 は あ る ( 下 野 ,2010) 。 我 が 国 で は 、 看 護 師 免 許 は 終 生 免 許 で 更 新 制 度 は な い 。 し か し 、 看 護 師 の 専 門 職 と し て の 技 術 レ ベ ル を 保 証 す る た め の 何 ら か の シ ス テ ム は 検 討 さ れ る 必 要 が あ る と 考 え る 。 現 在 は 、 そ の シ ス テ ム も な く 、 卒 業 後 の 看 護 技 術 の 質 保 障 は 、 個 々 の 施 設 や 看 護 師 自 身 の 信 念 や 意 欲 、 あ る い は 専 門 職 と し て の 倫 理 観 に 委 ね ら れ て い る 状 況 で あ る 。 さ ら に 、 専 門 職 と し て の 技 術 の 水 準 を 担 保 す る 免 許 制 度 の 根 幹 で あ る 資 格 試 験 に つ い て 見 る と 、 我 が 国 の 看 護 師 国 家 試 験 に は 実 技 試 験 が な い 。 看 護 技 術 に 関 し て 国 家 試 験 で 問 わ れ る の は 、 そ れ を 実 施 す る た め に 必 要 と な る 知 識 の み で あ る 。 大 平 ら (1998) の 調 査 に よ る と 、 看 護 技 術 に 関 す る 国 家 試 験 問 題 は 、 「 一 般 的 な 基 礎 的 知 識 の レ ベ ル 」 「 事 項 の 説 明 や 適 切 な 行 動 を 選 択 す る レ ベ ル 」 に と ど ま っ て お り 、 患 者 の 条 件 を 解 釈 し 必 要 な 援 助 技 術 を 判 断 す る と い う 解 釈 レ ベ ル の 評 価 は 十 分 に な さ れ て お ら ず 、 国 家 試 験 に お い て 、 看 護 師 の 看 護 技 術 の 水 準 を 保 証 す る こ と は 難 し い 状 況 に あ る 。 一 方 、 海 外 に お い て は 、 資 格 試 験 を 実 施 し て い な い 国 も 存 在 す る 。 イ ギ リ ス 、 オ ー ス ト ラ リ ア な ど で は 、 看 護 師 の 国 家 試 験 は な い 。 こ れ ら の 国 で は 、 学 生 は 大 学 卒 業 と 同 時 に 教 育 プ ロ グ ラ ム の 認 定 機 関 で も あ る 看 護 協 議 会 に

RN

Registered Nurse

)と し て 登 録 さ れ る 。た だ し 、オ ー ス ト ラ リ ア で は 、卒 業 す る た め に は 、 看 護 協 会 や 教 育 機 関 が 定 め た 看 護 技 術 水 準 に 到 達 し て い る こ と が 証 明 さ れ な け れ ば な ら ず 、 卒 業 後 は

RN

と し て 認 め ら れ た 状 態 で 働 く こ と が 期 待 さ れ る た め 、 学 校 で は 技 術 教 育 や 臨 地 実 習 が 非 常 に 重 視 さ れ 、 そ の 後 も 毎 年 の 免 許 更 新 が 必 要 と さ れ て い る 。 ま た 、 イ ギ リ ス で は 、 免 許 更 新 時 の 継 続 教 育 を 義 務 づ け る な ど 看 護 技 術 の 水 準 を 保 証 す る た め の 仕 組 み が 設 け ら れ て い る 。 我 が 国 に は 、 国 家 資 格 と し て の 看 護 師 の 技 術 に つ い て 、 免 許 取 得 時 に も 、 そ の 後 に も 、 そ れ を 公 的 に 保 証 す る 仕 組 み が な い 。 現 状 で は 、 免 許 取 得 前 に 行 わ れ る 看 護 師 養 成 機 関 に お け る 技 術 教 育 が 、 唯 一 公 的 意 味 を も つ も の に 位 置 づ け ら れ る 。 し か し 、 そ れ も 教 育 機 関 に よ っ て 内 容 や 時 間 が 異 な り 、 卒 業 生 の 到 達 レ ベ ル に は か な り の 差 が あ る こ と も 問 題 と な っ て い る ( 下 野 ,2010) 。 4 . 看 護 技 術 の 習 得 過 程 を 解 明 す る 必 要 性 こ れ ま で 、 看 護 師 の 看 護 技 術 の 習 得 と 技 術 向 上 に つ い て の 課 題 を 検 討 し た 。 明 ら か に な っ た の は 、 以 下 の 通 り で あ る 。 1 ) 現 在 の 新 人 看 護 師 の 看 護 技 術 は 、 基 礎 教 育 で 学 習 で き る 内 容 や 量 が 限 定 さ れ て い る 上 に 、学 習 し た 内 容 だ け で は 、実 践 現 場 の 状 況 に は ス ム ー ズ に 適 用 で き な い 状 況 に あ る 。 2 ) 看 護 師 は 、 看 護 基 礎 教 育 修 了 後 、 実 践 現 場 で 看 護 技 術 を 磨 い て い く に も さ ま ざ ま な 困 難 が あ り 、そ の 技 術 を 向 上 さ せ る 機 会 が 少 な い と い う 状 態 に 置 か れ て い る 。そ の 結 果 、 看 護 師 は 必 ず し も 看 護 実 践 現 場 で 技 術 を 高 め て い る と は 言 え な い 可 能 性 が あ る 。 3 ) 看 護 技 術 教 育 の 背 景 と な っ て い る 学 習 理 論 は 、 行 動 主 義 や 認 知 主 義 に 偏 重 し て お り 、 そ れ は 、 看 護 技 術 の 学 習 に は 適 用 し に く い 学 習 理 論 で あ る 。 看 護 技 術 の 特 徴 を 踏 ま え る と 、「 現 場 で の 学 び 」 の 視 点 を 加 味 し た 教 育 が 検 討 さ れ る 必 要 が あ る 。 4 ) 臨 床 現 場 に 看 護 師 を 送 り 出 し 、 そ の 技 術 を 保 証 し て い く 役 割 を 担 う 看 護 基 礎 教 育 に お

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13 け る 技 術 教 育 に つ い て は 、 臨 床 現 場 の 状 況 に 合 う よ う に 様 々 な 検 討 が な さ れ 対 応 策 が 実 施 さ れ つ つ あ る が 、 そ れ は ま だ 十 分 と は 言 え な い 状 況 で あ る 。 5 )我 が 国 の 看 護 師 の 国 家 資 格 制 度 に は 、公 的 シ ス テ ム と し て 看 護 技 術 の 質 を 十 分 に 保 証 す る シ ス テ ム は な い 現 状 で あ る 。こ の こ と か ら 、看 護 技 術 の 質 保 証 は 、臨 床 現 場 の 看 護 師 の 自 己 研 鑽 に 頼 ら ざ る を 得 な い 状 況 に あ る 。 以 上 の よ う に 、 現 在 の 看 護 界 に お け る 看 護 技 術 の 習 得 に は 多 く の 課 題 が あ り 、 現 状 の ま ま で は 看 護 師 の 看 護 技 術 の 実 践 能 力 の 低 下 は 必 然 と も 言 え る 状 況 に あ る 。 し か し な が ら 、 こ の よ う な 状 況 下 に お い て も 、 看 護 師 は 患 者 に 安 楽 や 快 適 さ を も た ら す た め に 努 力 と 工 夫 を 重 ね て い る ( 三 輪 木 ,2005) 。 そ う い っ た 看 護 師 の 中 に は 、 優 れ た 看 護 技 術 を 実 践 す る 看 護 師 も 存 在 す る の で は な い か と 思 わ れ る 。 看 護 師 が ど の よ う に そ の 技 術 を 習 得 し た の か も 含 め て 、 現 在 の 看 護 実 践 現 場 に お け る 看 護 技 術 の 習 得 過 程 を 知 る こ と は 、 看 護 師 の 看 護 技 術 習 得 を 促 す 方 略 を 検 討 す る う え で 非 常 に 重 要 で あ る と 思 わ れ る 。 近 年 、企 業 に お い て は 、人 材 育 成 に お け る 技 能 形 成 、伝 承 が 話 題 に な っ て い る 。中 で も 、 看 護 技 術 の よ う に マ ニ ュ ア ル に よ っ て 習 得 す る こ と が 難 し い 、 あ る い は で き な い 技 能 の 伝 承 の 問 題 が 取 り 上 げ ら れ て い る 。 そ れ は 、 機 械 化 、 情 報 技 術 化 が 進 む 中 に お い て も 、 完 全 に は マ ニ ュ ア ル 化 で き な い 熟 達 者 の も つ 技 能 の 重 要 性 が 再 認 識 さ れ て お り 、 こ れ を 効 率 的 に 後 進 に 伝 え 、 優 秀 な 人 材 を 効 果 的 に 育 成 す る こ と が 、 企 業 の 経 営 戦 略 の 重 要 課 題 と な っ て い る か ら で あ る( 松 本 ,2003a)。我 が 国 は 世 界 有 数 の 技 術 立 国 で あ り 、も の づ く り に お い て は 世 界 一 で あ る と 言 わ れ る が 、 そ の も の づ く り の 現 場 で あ っ て も 、 最 終 的 な 結 果 の 成 否 を 左 右 す る も の は 、円 熟 し た ベ テ ラ ン の も つ「 言 葉 に な ら な い 技 術 」で あ る と 言 わ れ る 。 こ の 領 域 に お け る 問 題 は 、 言 葉 に で き な い こ と だ け で は な く 、 言 葉 に す る こ と そ の も の に 功 罪 が あ る こ と を 踏 ま え た 技 能 形 成 と 伝 承 に 関 す る 戦 略 が 持 て な い こ と で あ る と も 言 わ れ て い る ( 塩 瀬 ,2009) 。 こ の よ う な 情 勢 を 背 景 に 、 経 営 学 に お け る 技 能 形 成 研 究 で は 、 「 教 え る 技 能 形 成 」 か ら 「 相 互 構 成 的 学 習 カ リ キ ュ ラ ム の 形 成 」 へ と 意 識 転 換 が 図 ら れ て い る 。 そ の コ ン セ プ ト の 第 一 は 、 職 場 に お け る 技 能 形 成 が 、 あ く ま で 自 分 の 身 体 で 「 実 践 」 す る こ と が 基 本 プ ロ セ ス で あ る と い う ス タ ン ス を 明 確 に す る こ と で あ る 。 そ し て 、 組 織 に 求 め ら れ る も の は 、 学 習 者 で あ る 組 織 成 員 の 技 能 に 対 す る コ ミ ッ ト メ ン ト を 高 め 、 学 習 者 が 主 体 的 に 「 実 践 共 同 体 」 内 外 に 関 わ れ る よ う に 職 場 組 織 が デ ザ イ ン さ れ る こ と で あ る 。 そ の た め の 資 源 は 、 そ の 技 能 の 性 質 、 技 能 と 状 況 と の 関 連 、 熟 達 者 の 技 能 形 成 過 程 な ど に 関 す る 分 析 を 基 に し た 組 織 に お け る 技 能 形 成 の 構 造 、 メ カ ニ ズ ム を 知 る こ と で あ る ( 松 本 ,2003a) 。 看 護 実 践 現 場 に お い て も 、 現 在 の 看 護 技 術 を め ぐ る 状 況 を 考 え る と 、 そ の 習 得 を 促 す ス ト ラ テ ジ ー は 、 こ れ ま で の 技 術 演 習 、 技 術 研 修 の 在 り 方 に と ら わ れ な い よ う な イ ノ ベ ー シ ョ ン が 必 要 で あ る と 思 わ れ る 。 と り わ け 、 現 在 の 医 療 現 場 は 高 度 化 、 複 雑 化 し て お り 、 そ の 中 で 、 看 護 師 に 要 求 さ れ る 専 門 性 や 専 門 的 技 術 の 内 容 、 質 は 変 化 し て い る も の と 思 わ れ る 。 し か し 、 看 護 実 践 現 場 に お い て 看 護 師 が 実 践 す る 看 護 技 術 に つ い て は 、 例 え ば 、 新 人 看 護 師 の 看 護 技 術 到 達 状 況 の 低 さ と 、 早 期 離 職 や 医 療 安 全 と の 関 連 な ど が 論 じ ら れ 問 題 視 さ れ る も の の 、 専 門 性 の 向 上 と い う 点 で の 議 論 は 少 な い 。 と く に 、 日 常 生 活 援 助 技 術 が 、 高 度 な 専 門 的 実 践 の 議 論 の 中 核 と し て 捉 え ら れ る こ と は ほ と ん ど な い 。 患 者 の 日 常 生 活 援

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 講義後の時点において、性感染症に対する知識をもっと早く習得しておきたかったと思うか、その場

生活援助:買物 調理 洗濯 掃除等 身体介護:清拭 オムツ交換 入浴.

清水港の面積(水面の部分)は約1,300 万平方メートルという大きさです。