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石綿健康相談における看護職の役割 - 石綿NPOの相談記録の質的分析結果から -

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(1)長松他 :石綿健康相談 における看護職の役割一石綿 Np Oの相談記録の質的分析結果か ら一. 研究報告. 石綿健康相談における看護職の役割 一石綿 NP Oの相談記録の質的分析結果から一 長松 康子1). 佐居. 由美2). 名取 雄司3). TheRol eofNur s ngonA i s bes t osHea lt hCons lt u a t i on Qua it l at i veJ ha lys i sofCons lt u at i onRecor dsofAs bes t osN・ P・ O. I Ya s ukoNAGAMATSU,RN,PHN,MPHl ) Yum i s AKYO,RN,PHN,MN 2). Yui iNATORI ,M D 3 ). 〔 Abs t r act 〕 Th i ss t udya ime dt oc l a df ya s be s t osr e l a t e dpr obl e msa nds uppor t sa ndt oi de ndf yt her ol eofnur s e sr e l a t e d. t oa s be s t oshe lt a hc ons lt u a donbyqua it l a dve l y-a ly 2 : ng344c i ons lt u a donr e c or dsf rom a s be s t osnonpr o丘t or ga ni z a ions( t NPO) . Cl a s s i 丘C a donofpr obl e mspr e s e nt e dt oNPO a s be s t osc ons lt u a donf e 皿i nt of ourc a t e gor ie s :pr obl e ms l a ingt t ode ve l opl nga s bes t os r e l a t e ddi s e a s e s ;pr obl e msf a c e d r e l a 血gt ot hea s be s t ose xpos ur e ;pr obl e msr e. bypa de nt sa ndpr obl e msoff a mi ie l swhol os tt he i rr e l a dve sbe c a us eofa s be s t os ICha r a c t e is r dc snur s mgl n a s be s t oshe lt a hc ons lt u a ionwe t r et o:i ns t r uc tpr e ve ndonofe x pos ur ea ndons e tofr e l a t e ddi s e a s e sa nda dv ic e a ppr opna t eme di c lc a he c kups :a c c e ptf e a rofr e ht e ddi s e a s e sa nda s s ur ene c e s s a r ya s s i s t nc a e :a s s i s tpa de nt-d it ha ppl i c a ionofc t ompe ns a dona ndi nt r oduc epa ie t nta ndbe r e a ve ds uppor tgr oupa ndNPOI be r e a ve dw. Nur s ngc i a r ei na s be s t oshe ldlWa a st O:( 1 )a c c e ptc ons lt u e r r spr obl e ms ;( 2 )e na bl ec ons lt u e r st of a c et he i r 3 )da df yt hepr obl e msw it hc ons lt u e r s ;( 4 )r e c om e nds ol ut iOnsba s e don t he i r pr obl e msbyl i s t e ni ng;( e xpe r ds eort heme di c le a ide v nc ea nd( 5 )r e f e r r a lt ot h ea ppr opr ia t es pe c i a hs t s ・. l Keywords]. a s b e s t os ,c ons u l t a don,pr obl e ms ,n u r s ng i ,. 〔 要 旨〕 石綿 NpO の相談記録 344件 を質的に分析することで,人々が抱 える石綿 に関す る問題 と支援 を明 らか にし,石綿健康相談における看護職の役割 を検討 した。 その結果,相談内容か ら,石綿曝露 に関連する問題,石綿曝露後の関連疾患発症 に関連する問題,石綿 関連疾患患者が直面する問題,石綿関連疾患患者の遺族が抱 える問題の 4つのカテゴリーが抽出された。 石綿健康相談 に特有 な看護 は,曝露 と発症の予防法指導及び健診の助言 を行い,曝露 した者の発症不安 を 受け止めて支援 を約束 し,患者 と遺族 に医療保障制度 申請の支援 と患者 ・遺族会や NPO紹介 を行 うこと である。具体的には,医療機関に限 らず地域や職域で,人々が抱 える問題 を受け止め,訴 えを傾聴するこ とで相談者 自身が問題 と向 き合 う準備 を整 え,相談者 と共 に問題 を明確 にし,解決のために専門的知識や エビデンスに基づ く助言や,適切な専門機関への橋渡 しや個別支援 を通 じてネッ トワークを構築行 う。. 1 )聖路加看護大学 2)聖路加看護大学. 国際看護学 s tI . u k e l sCo l l e g eo fNu r s i n g , I n t e ma d o n a l Nu r s i n g 基礎看護学 st . Lu k e l sCo u e g eofNu r s i n g , Fu nd a me n t lSo a fN u r s i n g. 3 )医療法人社団ひらの亀戸ひまわり診療所,中皮腫 ・じん肺 .アスベス トセンター. 血 oK且meido H皿. H. aW. a nCl i n l C , sb A e s t o sCe nt e r 2 0 0 9 年9 月2 5日 受理. 才.

(2) 2 聖路加看護大学紀要 No. 3 62 0 1 0 . 3 .. 〔キ ー ワーズ〕石綿,健康相談,問題,看護. Ⅰ.研究の背景 石綿は,建材や工業製品などに広 く用いられてきたが, 肺がんや中皮腫 などの健康被害を起 こすことが知 られる。 わが 国は商業 的 に 1890年代 よ り石綿 の使用 を始 め,. よって生 じた,相談者が解決 を望む事柄や課題 とする。. Ⅰ.研究方法 1.研究対象. 20 04年 に 「 原則禁止」 した。 わが国の石綿関連肺がん. 本研 究 は 2003年 に設立 された A 石綿 NPO が厚生労. は 1960年頃に,中皮腫 は 1973年 に初めて報告 された。. 働科 学研 究委託 で 回答 した典 型 的 な 434件 の相 談記. 20 05年の中皮腫 による死亡 は 1 , 068件で 1),石綿関連肺. 録1 4 ) 1 5 ) を看護の視点か ら再分析 した ものである。同 NPO. がんは,正確 なデータはない ものの,世界の石綿関連疾. の相談月は,呼吸器内科医師及び労働衛生 と環境衛生 に. 患の診断基準 を定めたヘルシンキクライテリアで石綿関. 経験 のある専 門家である。研 究対象 は,2003年 9月か. 連肺が んは中皮腫 の 2倍 とされる 2)ことか ら,年 間約. ら 2006年 12月 に同 NPO に電話 またはメールで寄せ ら. 2, 00 0件 に上 ると推定 される。 日本人男性の悪性胸膜 中. れた数千件の相談か ら,① これまでに内容がほぼ同一 と. 皮腫 は今後更 に増加 し,2000年か ら 40年 間で 10万人. 考えられる相談事例がなかった,②個人が特定されない,. が死亡すると予想 される3 ) 。石綿 による健康障害は産業. とい う基準で同 NPO が典型的な事例 とした 434件 の相. 保健で扱われることが多かったが 4),2005年の尼崎の工. 談記録か ら,同 NPO の呼吸器内科医師 1名 と看護研究. 場周辺住民の中皮腫発生 5)によ り,一般住民 に石綿-の. 者 2名で,「 石綿除去工事の方法はこれでいいか」「 工事. 健康不安が広が った。国は 2005年 に石綿 に関す る相談. 中の建物か ら石綿が出たので対策 を教 えてほしい」 など. 窓口を開設 したが,それ以前 は 2003年 に設立 された A. 石綿含有検査 を行 っているとこ 石綿建築工事の方法 ,「. 石綿 NpO の呼吸器内科医師 と労働衛生の専 門家が行政. ろを紹介 してほ しい」など石綿 に関する検査 ・工事業者. に先駆 けて全 国の電話相談事業 を実施 して きた。 2006. の紹介依頼 など,直接健康 に関連 しない もの,「 石綿の. 年 には石綿 による健康被害の救済に関する法律 ( 以下,. 動物への影響 はあるか」「 外国の大気 中の石綿規制状況. 救済法)が制定 され,労働災害補償制度 ( 以下,労災). を知 りたい」など,看護職の専門知識では回答が困難な. 対象以外の肺がんや中皮腫患者 も医療費等の給付が受け. ものを除外 した。ただ し,これ らの相談内容 について相. られるようになった。救済法申請窓口が保健所 にも設置. 談者が心理的困難 を有 し,話 を聞 くことで看護が心理困. されたことか ら6 ) ,石綿 に関する問題 に対す る看護の充. 難の軽減が可能 と考えた もの,情報や他の専 門職 を紹介. 実が期待 されている。村松 7)は看護相談 における問題 を. することで看護が貢献可能なものは対象 とした。以上の. 「 対象者の健康 回復,健康 の保持 ・増進,お よび生命力. 基準 により 90件 を除外 した 344件 の相談記録 を今 回の. が発展すること-のうごきを阻害する事柄」 とした。既. 分析対象 とした。. に米国では看護職 による患者家族の健康被害調査,被曝 ) が, 者 の不安-の支援 8),ス クリーニ ングと曝露予防9 )が看護職 によっ 英国では治療選択の説明や補償の説明 10. 2.分析方法 研究デザインはレ トロスペクテイブ研究で,相談記録. て行われている。石綿健康相談において看護 を実践する. の相談内容 と支援内容について質的帰納的分析 を行った。. ためには,人々が抱 える石綿 に関する問題や不安の内容. 石綿 に関 して相談者の問題 とそれ らに対する支援策 を以. を明らかにする必要があるが, 日本では石綿関連疾患点. 下の手順で分類 した。. 者,家族及び遺族 の問題 についての報告がある 11ト 13)ち. 1)相談記録 を,相談者の属性,相談内容,相談員の. のの,人々が抱 える石綿 に関する問題の全体像 は未だ明. 対応か らなる分析用紙 に転記 し,相談者の属性 について. らかにされていない。. 単純集計 を行 った。. そこで本研究は,人々が抱 える石綿 に関する問題 とそ. 2)相談内容か ら,相談者の抱 える問題 を一項 目につ. れ らに対する支援 を明 らかにし,石綿健康相談 における. き一枚のカー ドに書 き写 し,意味内容で類似 しているカー. 看護職の役割 を検討することを目的 とした。. ドをひとまとめにラベルをつけ,内容で不明な点は記入. 石綿関連疾患」 を中皮腫,石綿関連肺 本研究では,「. 者 に確認を行 った。ラベルがついたカー ドと,つかない. がん,石綿肺,良性石綿胸水,びまん性胸膜肥厚,胸膜. カー ドを同様 に僻撤 し,上位のラベルを形成 した。これ. 肥厚斑等 とし,「問題」 を身近な石綿や石綿関連疾患 に. を上位 ラベルが作成で きな くなるまで繰 り返 した。この.

(3) 長松他 :石綿健康相談における看護職の役割一石綿 NPO の相談記録の質的分析結果から-. 3. 表 1 人々が抱 える石綿に関する問題 ( 相談事例数 n =3 4 4件.相談内容=3 9 5項 目) カテゴリー ( 4). 石綿曝露に関連 する間毘 1 68項 目. サブカテゴリー ( 26) 建物 か らの石綿曝露への懸念 製品か らの石綿曝露への懸念 業務 か らの石綿曝露への腰念 水道水や大気 か らの石綿曝露への腰念 工場や工事現場 か らの石綿曝露への腰念 石綿の確認以前での漠然 とした不安 労働者の衣服 か らの石綿曝露の魔念 回 りの もの全てに石綿があるような漠然 とし た不安 震災か らの石綿曝露への腰念 健康対策や発症予防法に関する助言希望. 発症 リスクを知 りたい とい う要望 石綿曝零後の石 将来発症 するのではないかとい う不安 綿関連疾患発症 に関連する問題 同僚の発症 で発症 が現実味 を帯びたことによ 1 4 0項 目 る恐怖 症状出現による絶望. 項 目数 具体例 84 自宅の天井に石綿が入 っていないか心配だ。 2 7 蚊取 り線香の台に石綿が入 っているか。 2 3 農業による石綿曝露について知 りたい。 7 水道水に石綿 は含 まれるか。 7 近隣 で工事 を してお り、石綿が飛 ばないか L l 配だ。 6 学校の天井 を 2.3回つついたが大丈夫 かO 石綿 を扱 う者の衣服 か ら家族 が曝露する危険はある 5 か。. 5. 近 くの工場 か らの臭いは石綿 か。. 4. 大 きな地震 で石綿が飛散することはあるか。 健康管理 はどのように した らいいか。病気にならな い方法 を知 りたい。 どれ位の確立で病気になるか。 石綿に曝犀 した。病気 になった らと思 うと心配で眠 れない。. 49. 32 30. 1 2. 同僚 が病気になった。自分 も発症 するのではないか。. 1 2. 29 1 6. 咳がでるがどうしていいかわか らない。 子 どもの学校 で石綿 が見つか り.心配 なの で X線 をとりたい。 中皮腫 と診断 されたが.仕事によるものか。 申請方法が難 しくて労災申請ができない。. 9. 石綿肺 とはどんな病気か。. 曝露の影響 をす ぐに確 かめたいとい う欲求 発症の原田究明願望 労災 ・救済法申請に伴 う困難 石綿関連疾患患 疾患 ・検査 ・治療法に関する知識や情報 を得 者が直面する問 たいとい う要求 責 三. 6 5項 目. 3. 中皮腫 と診断 されたが.治療 して くれる病院が見つ か らない。 若いのに中皮腫 と診断 されてショックだ。 本人は死亡 したが労災 を申請できるか。 石綿関連の仕事 はしていないのになぜ発症 したのか。 こんなに早 く死ぬ人 じゃない。石綿が憎 い。. 2. 母 は真面 目に働 いただけなのに。. ・ 1. 亨警 告漂. 'ていた社会が憎い・使 わない世の中に し 家族のために働 いて くれたか らと思 うと辛い。. 適性 な医療機 関へのアクセス要求. 治療の難 しい病気 と診断 されたショック 労災 ・救済法申請に伴 う困難 家族の死の原因究明願望 石綿関連疾患患 家族 を寿命 より早 く奪 われた無念盛 者の遺族 が抱 え 過失がないのに発症 した家族の無念 を悼 む気 る問題 持ち 2 2項 目 石綿 を使用 してきた社会への怒 り 仕事で暴霧 した家族に済 まないとい う気持 ち. 9 6. 抽 出作 業 は研 究 メ ンバ ー 2名 が 2回ずつ行 った後 ,結果. 明 し,了承 が得 られた もののみ を対象 と した。相談記録. を統合 しカテ ゴ リー に命名 した。問題 に対 し行 われた支. には,氏名 ,住所 ,会社 名 な ど個 人 を特定 で きる情報 は. 援 内容 を一項 日毎 にカー ドに書 き写 し,相談 内容 と同様. 含 まれ ない。 デー タは厳重 に管理 され,分析終 了後 に廃. の手順 で分類 を行 った。. 棄す る。 なお,本研 究 は聖路加看護大学研 究倫理審査 委. 3)最後 に研 究者全点 で 3 4 4件 の相談記録 に立 ち返 り,. 7 0 5 5 ) 0 貞会 の審査 を受 け,承 認 された ( 承 認番号 0. それぞれの相 談者 が相 談す るに至 った相 談者 に とっての 問題が,抽 出 されたカテ ゴリーに よって表 されているか, 同様 に相 談員が行 った支援策が抽 出 されたカテ ゴ リー に よって表 されてい るか を検 討す る こ とで妥 当性 を確 認 し た。. Ⅳ.結果 1.相談者 の属性. 0代 か ら 9 0代 の男女 3 4 4人 で,居住 地域 は 相 談者 は 2 全 国 にわたった。. 3.倫理 的配慮 研 究 に先 立 ち,A石 綿 NpO の責任 者 に調査 へ の相 談. 2.人 々が抱 える石綿 に関 す る問題. ( 表 1). 記録 の使用 につ い て了承 を得 た。 同 NPO はホー ムペ ー. 3 4 4件 の相 談 内容 に含 まれ た問題 は 3 9 5項 目に上 り,. ジで電話 に よる石綿相談受付 を公示 し,相談 内容 が個 人. 26のサ ブ カテ ゴ リーが抽 出 され ,「 石綿 曝露 に関連 す る. を特定 しない形 で研 究 目的 に使用 され る旨を明記 してい. 石綿 曝露後 の石綿 関連疾患発症 に関連す る問題」 問題 」「. る。 さ らに相談 時 に不利益 を得 ず に拒否 で きる こ とを説. 石綿 関連疾患患者 「 石 綿 関連疾患患者 が直面す る問題 」「.

(4) 4 聖路加看護大学紀要 No. 3 62 0 1 0 . 3 .. の遺族が抱える問題」の 4つのカテゴリーに帰結 した。. したが労災を申請できるか」等,労災 ・救済法申請に伴. 「 」内は相談者の言葉を引用 したものである。. う困難 ( 9項 目) 「 石綿関連の仕事はしていないのにな. 1)石綿曝露に関連する問題 1 6 8項 目. ぜ発症 したのか」 という家族の死の原因究明願望 ( 6項. ,. ,. 石綿があるのかどうかも含め,石綿に曝露 したのかわ. 目) 「こんなに早 く死ぬ人 じゃない。石綿が憎い」 と,. か らないことに関連する問題である。「自宅の天井に石. 家族を寿命 より早 く奪われた無念感 ( 3項 目) 「 母は真. 8 4項 目) , 綿が入っていないか心配だ」のような建物 (. 面 目に働いただけなのに」 と,過失がないのに発症 した. 「 蚊取 り線香の台に石綿が入 っているか」のような製品. 家族の無念 を悼む気持ち ( 2項 目) 「 石綿 を使 っていた. ,. ,. ,. ( 2 7項 目) 「 農業 による石綿曝露について知 りたい」の. 社会が憎い,使わない世の中にしてほしい」など石綿を. ような業務 ( 23項 目) ,水道水や大気 ( 7項 目),工場や. 使用 してきた社会-の怒 り ( 1項 目) 「 家族のために働. 工事現場 ( 7項 目),労働者の衣服 ( 5項 目),震災 ( 4. いて くれたからと思 うと辛い」 と,仕事で石綿に曝露 し. 項 目)か らの石綿曝露の懸念であった。「 近 くの工場か. た家族に申し訳ない という気持ち ( 1項 目)があった。. ,. らの臭いは石綿か」 と,周 りのものすべてに石綿がある. ,. ような漠然 とした不安 ( 5項 目)や 「 学校の天井を 2, 3回つついたが大丈夫か」 と,石綿の確認以前での漠然. 3.石綿健康相談に対 して実施 された支援策 ( 表 2) 344件の相談事例 に対 して実施 された支援策は 4 5 0項. とした不安 ( 6項 目) もあった。. 6のサブカテゴリーが抽出され,10カテゴリー 目で,2. 2) 石綿曝零後の石綿関連疾患発症 に関連する問題 1 40. に帰結 した。. 項目. ( 1)石綿曝露の有無の判定 11 4項 目 :相談者の情報 をも. 過去の石綿曝露は明確だが,現在発症 しておらず,将. とに,曝露源の石綿の有無を判定 した ( 6 9項 目) 。判定. 来石綿関連疾患が発症するのではないか,どの程度発症. が困難な場合は方法 を示 し ( 43項 目) ,高度な専門知識. するのか,など石綿曝露後の関連疾患発症に関連する問. が必要なものは相談月が調査 した ( 2項 目)。. 題である。「 石綿 に曝露 した。病気 になったらと思 うと. ( 2) 石綿曝露予防法の指導 95項 目 :石綿の曝露の危険. 心配で眠れない. 」「小 さい子 どもがいるのに発症 したら. があるものに対 し,製品使用や作業の中止指導 ( 76項. どうしよう」など,将来発症するのではないかという不. 目),防御具使用の指導 ( 1 3項 目),石綿 を有する建物. 安 ( 3 0項 目) は,同僚が発症すると 「自分 も発症する. の対策指導 ( 6項 目)が行われた。. のではないか」 と発症が現実味を帯びたことによる恐怖. ( 3 )石綿関連疾患発症の リスク判定 45項 目 :石綿の種. ( 1 2項 目) とな り,症状が出現するに至 って 「 咳が出る. 類,曝露期間,頻度などの情報をもとに発症 リスクの判. が どうしていいかわか らない」 とい う絶望 ( 1 2項 目). 定 ( 3 7項 目)が行われた。相談者の情報では判定が難. 」. に変わった。「 健康管理はどのようにしたらいいか 「 病. しい場合は確認方法の指導 ( 6項 目),判定に高度な専. 気 にならない方法 を知 りたい」などの健康対策や発症予. 門知識が必要な場合は相談員による調査 ( 2項 目)が行. ,「どれ くらいの確. われ,外部専門家への相談,文献調査,専門委月会の設. 49項 目)や 防法に関する助言希望 (. 率で病気 になるか」 と発症 リスクを知 りたい という要望. 6 ) 0. 置に至るものもあった1. ( 3 2項 目) もあった。「 子 どもの学校で石綿が見つか り. ( 4) 石綿曝露後の健康対策指導 6 4項 目 :石綿曝露によ. 心配なので Ⅹ線 をとりたい」 のように石綿曝露の影響. る健康影響が一定以上ある場合,発症危険時期に基づ く. をす ぐに確かめたいという欲求 ( 5項 目)があった。. 健康診断指導 ( 31項 目) ,症状があるものへの受診指導. 3)石綿関連疾患患者が直面する問題 6 5項目. ( 25項 目),禁煙 と今後の石綿曝露予防を含 む発症予防. 石綿関連疾患 を発症 した者が直面する問題である。 「 中皮腫 と診断されたが,仕事 によるものか」 とい う発. ,. 策指導 ( 8項 目)が行われた。 ( 5) 石綿曝露直後の Ⅹ線検査予防 3項 目 :石綿-の曝. 症の原因究明願望 ( 29項 目) 「 申請方法が難 しくて労. 露か ら間もない相談者で,不安のあまりにⅩ線検査 と. 災申請ができない」 という労災 ・救済法申請に伴 う困難. 希望するものには,曝露直後の Ⅹ線検査が無意味なこ. ,. ( 1 6項 目) 「 石綿肺 とはどんな病気か」のように疾患 ・. とを説明 して Ⅹ線検査 を行わないよう指導が行われた。. 検査法 ・治療法に関する知識や情報 を得たい という要求. ( 6) 石綿関連疾患 に関する情報提供 25項 目 :石綿関連. ,. ( 9項 目) 「中皮腫 と診断されたが治療 して くれる病院. 疾患 とその診断方法および治療法について最新情報が提. が見つからない」 という適正な医療機関へのアクセス要. 供 された。. ,. 求 ( 8項 目) 「 若いのに中皮腫 と診断されてショックだ」. ( 7 )石綿関連疾患の診断 ・治療が可能な医療機関の情報. という治療の難 しい病気 と診断されたショック ( 3項 目). 提供 15項 目 :相談者の居住地域で石綿関連疾患の検査,. であった。. 診断,患者の希望する治療が可能な医療機関が紹介 され. 4)石綿関連疾患患者の遺族が抱える問題 2 2項目. た。. 石綿関連疾患で家族 を失った遺族からは 「 本人は死亡. ( 8 )石綿 に関する医療保障制度申請の支援 32項 目 :柿.

(5) 長松他 :石綿健康相談における看護職の役割一石綿 NpO の相談記録の質的分析結果から-. ∫. 表 2 石綿健康相談に対 して実施 された支援策 ( 相談事例 N= 3 4 4件.相談内容= 4 5 0項 目) カテゴリー(10). サブカテゴリー ( 26). 項目数. 石綿曝露の 有無の判定 11 4項 目. 曝露源の石綿の有無の判定. 6 9. 曝零の危険の確認方法の指導 相談員による調査. 4 3. 石綿曝露予防法の 指導 9 5項目. 製品使用や作業の中止指導 防御具使用の指導 石綿 を有する建物の対策指導. 7 6 1 3 6. 石綿関連疾患発症の リスク判定 4 5項目. 発症 リスクの判定 発症 リスク確認方法の指導 相談員による調査. 37 6 2. 石綿曝雫後の 健康対策指導 6 4項目. 発症危険時期に基づ く健診指導 症状があるものへの受診指導 発症予防策の指導. 31 2 5 8. 2. 具体例 日本家屋では石綿入 りの壁は稀です。また飛散 しやすい状 態ではないので安心 して下 さい。 製品の製造年と型番 を調べて.メーカーに確認 して下 さい. 相談員が伺 って詳 しいお話 を伺います。 石綿 を含む製品なので使用 をやめて下 さい。 防塵マスクを着用フィッティングテス トを行って下 さい。 吹付け石綿の除去 をお勧め します。 期間が短いので石綿肺の危険はなく,石綿関連肺がんと中 買還G) 蒜 T J ' 三言h p i ' lp i' 蒜B mi .' ' ) . , J 'L蓋貰■ 芸琵 貰し て 蒜 作業時間,作業内容を調べて再度ご連絡下 さい。 相談員が伺 って詳 しいお話 を伺います。. 0歳以降にその時代の最新方法で健診 を受けて下 さい。 お近 くの病院を紹介 しますので受診 して下 さい。 これ以上石綿 を吸わないように注意 し.禁煙 して下 さい。 石綿関連疾患 は潜伏期があるので,現在は X線検査 をし ないで下 さい。 石綿肺は,職業性石綿曝露でおきる進行性の繊維増殖性変 化 を主体 とした疾患です。. 石綿曝露直後の X線検査予防 3項目. 3. 石綿関連疾患に関する情報提供 25項目. 2 5. 石綿関連疾患の診断 ・治療が可能な医療機関の 情報提供 1 5項目. 1 5. お住 まいの近 くの○○病院の先生をご紹介 します。. 3 0. 職業性石綿曝露がある場合は労災補償の対象です。手続 き について詳 しくお教えします。 石綿に詳 しい病院を受診 し.石綿肺の程度や治療の必要性. 補作制度について説明 してもらって下 さい。. 慧 芯 諾 警 3 2項目 石綿関連疾患発症や 死亡 と石綿 との関連 7項 目 の説明 2. 心理的支援 3 0項目. 笛 詔 諾 畏荒 諾 E S #' 石綿肺等の医療制度の申請指導 情報収集に基づ く発症原因と 思われる曝露源の説明 発症原因調査 安全の保証 いつでも相談を受ける姿勢の表明 相談者の大変 さへのねぎらい 亡 くなった方への哀悼の意表示 気持ちを受け止める 労わりの言葉 訴えをよく聞 く. 2 17. 変電所は吹付 け石綿の多いところとして知 られています。. 10. 相談員が伺 って詳 しいお話を伺います。 心配ありませんので安心 して下 さい0 わからないことがあれば,いつでもご相談下 さい。 病気でさぞご苦労なされていることと思います。 ご伴侶様のご冥福 を心より追悼申 し上げます。 ご心配のことと思います。本当に悩みますね。 ご体験 を教えていただきありがとうございます。 ( 記銀 より :自分の悩みを一気に話 された。息切れや X線 の結果についての質問にはお答えされなかった。 ). 9 6 5 4 3 2. 1. がんや中皮腫 の患者で職業性曝露の者 に労災 申請,不 明. を教 えていただ きあ りが とうございます」 と労わ りの言. な ものに救済制度 申請の手続 きが指導 された ( 3 0項 目),. 莱 ( 2項 目)が寄せ られた。不安の強い ものには,希望. 石綿肺等 の場合 は医療制度の申請指導 ( 2項 目)が行 わ. 時 にいつで も相談 を受 ける姿勢表明 ( 6項 目)が行 われ. れた。. た。. ( 9 ) 石綿 関連疾患発症や死亡 と石綿 との関連の説 明 2 7 項 目 :職業,居住歴 などの情報 に基づ き,発症原因 と思 われる曝露源の説明 ( 1 7項 目)が行 われ,曝露源が不. 1 0項 目)が実 明な場合 は相談月 に よる発症原 因調査 ( 施 された。. Ⅴ.考察 1.石綿相談 に寄せ られた多様 な間麓の存在 身近 な製品か ら職業 まで種類 も健康-の影響度 も様 々. ( 1 0 )心理的支援 3 0項 目 :訴 えをよ く聞いた 1項 目は,. な石綿曝露 に関す る問題,曝露 した人が感 じる将来の健. それだけで相談者が安心 して相談 を終 えた。 「ご心配の. 康障害-の強い不安,石綿関連疾患の診断治療が可能な. ことと思います」 と気持 ちを受け止めた もの ( 3項 目),. 医療機関に関する情報不足 ,石綿関連疾患患者のシ ョッ. 「 病気 で さぞ ご苦労 なされてい ることと思い ます」 と相. クや発症原因究明欲求,医療保障制度の申請法の困難 さ,. 談者 の大変 さへ のね ぎらい ( 5項 目),曝露不安が強い. 石綿で家族 を失 った遺族の無念感や怒 りな ど,人々は石. ものでその危険がなかった ものに対 して 「 心配あ りませ. 綿 に関連 した様 々な問題 を持 っていた。本研究 における. んので安心 して下 さい」 と安全 の保証 ( 9項 目)が行 わ. 相談実施機 関は NPO であるが,長尾 ら1 7 ) の報告 では石. れた。遺族 に対 しては家族の死 に対する哀悼 の意が示 さ. 綿外来や健診 を受診 した患者 も,医学的内容だけでな く. れ ( 4項 目),家族 を失 った体験談 に対 しては 「ご体験. 職業歴 と曝露,労災補償制度,石綿関連疾患への不安 な.

(6) 古. 聖路加看護大学紀要 No. 3 62 01 0 . 3 .. どを相談 していた。 このように多様な問題 に対応するに. に関する情報及び関連機関 とのネ ッ トワークを用いて問. は,医学,労働衛生,建築,法律 などの基礎知識 と地域. 題解決 を図る。 しか しなが ら,石綿健康相談 には看護職. における石綿産業や医療機関の情報,関連機関 とのネッ. では解決できない問題 も含 まれていたため,それ らにつ. トワークが必要 と考えられた。. いては,平山19)が 「自分で解決で きない ものや,他の専. 本研究の対象 となった相談記録 は電話 とメールで行わ. 門家 による解決のほうが好 ましい ものを他 に委ねる」 と. れたものである。 これらは相談者が様々な問題 を気軽 に. したように,適切な専 門機関へ と腐渡 しや個別支援 を通. 利用で きる半面,限られた時間やメールの枠内で信頼関. じてネッ トワークを構築する。未知の難治性疾患 を発症. 係 を作 り,情報 を収集 して相談者の問題 を把握 し,援助. する石綿 に関 して漠然 とした不安や恐怖 を抱 く相談者 も. を行わな くてほならない という限界がある。 このような. いることか ら,これ らのすべてのプロセスで相談者の訴. 形態の相談事業は今後増加するもの と思われるが,問題. えをよく聞 き,心理的困難の軽減に努めることが必要で. 解決の難 しい相談者 を面接や家庭訪問あるいは他の専門. ある。特 に心理的困難が強い もの,不眠などの身体症状. 職 につなげるための第-ステップとして活用すべ きと思. を有するもの,子 どもの曝露者 に対 しては,精神科やカ. われた。. ウンセラーの紹介 も検討すべ きであろう。石綿関連疾患 発症の不安や,既知の有害物質で家族 を失った遺族の無. 2.心理的支援の重要性. 念 さは,理解 してもらう機会が少ない上,相談者がずっ. 相談者が訴える問題 として多 くの心理的困難が存在 し. と持 ち続 けていかな くてはな らない問題 である。菱沼. ていた。 これまで石綿曝露 に関する不安 8 ) ,石綿関連疾. 医療者,家族,友人に話せないことを聞いても ら21)が 「. 患の発症不安 1 3 ) ,石綿関連疾患の症状出現時や診断時に. らうニーズを看護職が受け止める」 としたように,石綿. 患者が感 じる強い不安 1 1 ト1 3 ) が報告 されているが,具体. に関連する問題 をもつ人々にとって,思いをよく聞いて. 例 を示 した詳 しい内容は見当たらない。本研究で遺族が. もらう機会 を得 ることは大 きな支援 となるもの と思われ. 感 じた石綿 に家族 を奪われた無念 さや怒 りは中皮腫 ・石. fS2 2)が 「 セラ ピス トが患者 に与 えうる最大 の る。Rodge. 綿疾患 ・患者 と家族の会 1 2 ) の調査結果 と一致 した。 さら. ものは,その人の感情に別の人間として喜んで寄 り添い,. に本研究は,患者の心理的困難が,石綿関連疾患が難治. ともに歩むこと」 としたように,話 をよく聞 き,辛い気. 性であること,既知の有害物質によること,職業曝露 に. 持 ちへの理解 を示すことが求め られている。 これまでは. よること,石綿曝露 した者すべてが発症するわけではな. 石綿 に関する問題 に寄 り添い,心理的支援 を提供する機. いことなどによってもたらされること,患者や遺族が原. 関がほとんどなかったが,全 国保健所 に石綿健康相談が. 因究明や石綿曝露の再発防止 を望むことなどを示 した。. 開かれたことか ら,地域住民,患者や家族及び遺族の心. このように多様性のある石綿 に関する心理的困難 を理解. 理的困難軽減への看護職の貢献が期待 される。. し,専 門的知識やエ ビデンスに基づいて助言 を行い,逮 切 に対応することが求め られていると考える。. 4.石綿健康相談における看護職の役割 人々が石綿 に対 して不安 を抱 き,曝露 した者 は長期間. 3.相談事業における看護職の役割. 発症に関する不安をもち,発症 した患者や遺族が強いショッ. 相談者の問題 に対 して相談員は,心理的支援,石締曝. クや被害感情や原因究明願望 と社会的な痛みで苦 しむ背. 露の有無や石綿関連疾患の発症 リスク判定,石綿曝露予. 景には,石綿関連疾患は長い潜伏期 のある難治性疾患で. 防や健康対策の指導,石綿曝露直後 の Ⅹ線検査予防,. あ り,避けることので きた社会的な疾患であることが関. 石綿関連疾患や医療機関に関する情報提供,石綿関連疾. 連 していると考えられた。 これ らの石綿関連疾患の特徴. 患 と石綿の関連 についての説明,医療保障制度申請の支. を考慮 し,相談内容の 4つのカテゴリー時期 に対応 した. 援 などを行 っていた。石綿健康相談における具体的な看. 石綿健康相談 における看護職の役割 を以下に考察する。. 護の方法は,相談者 は何か しら問題 を抱 えて相談 して き. 石綿曝露に関連する問題では,建築物 に大量 に残 る吹. たのだか ら,まず,相談者の問題 を受け止める。これは,. き付 け石綿等か ら曝露を予防 し健康障害を予防すること. 9)が看護相談の特徴 として 「 健康障害の有無 にかか 平山1. が可能であ り,健康相談 を予防の機会 として有効活用す. わらず とりあえず相談者の問題 を受け止める」 と述べて. ることが重要 となる。大気汚染防止法の関連部署 を有す. いる通 りである。次に,相談者の多 くが混乱や不安にあっ. る保健所の役割は大 きく,保健所保健師は住民か ら相談. たことか ら,相談者の訴えに耳 を傾ける。 これは,相談. が持ち込 まれた場合,建物,製品,業務,その他 に関 し. 者 は話す ことで気持ちを整理 し,問題解決 に向けて必要. 6 ) ,NPO 2 7 )などによる て,厚生労働省 23ト25),国土交通省2. な援助 を受け入れる準備 を整 える2 0 ) か らである。そのの. we bサイ トやマニュアル 14)15)等 を活用 した対応 を行 う.. ちに,相談者か らの情報 をもとに相談者の問題 を明確 に. 保健所 ・自治体の大気汚染防止法関連部署や労働基準監. し,看護職が有する知識 と経験,地域の産業や医療機関. 督署の監督課 と連携 し石綿の飛散防止 を指向 し,複雑 な.

(7) 長松他 :石綿健康相談における看護職の役割一石凍 NPOの相談記録の質的分析結果から-. 7. 事例 では リス クコ ミュニケーシ ョン経験 の豊富 な石綿 関. 族が抱 える問題」 の 4つのカテ ゴ リーが抽 出 された。石. 連 NPO の依頼 も考慮す る。. 綿健康相談 に特有 な看護 は,建物 や地震 の際の石綿曝露. 石綿曝露後 の石綿 関連疾患発症前 に関連す る問題 につ. と発症の予 防法指導及 び曝露の程度 と時期 に合 った健診. いては,保健 師が禁煙や曝露予 防のマスクの指導等 で発. についての助言 を行 い,曝露 した者が抱 く長期 の発症不. 症予 防 を行い,早期発見のため可能 な場合 は産業 医や内. 安 をよ く受 け止めて支援 を約束 し,患者 と遺族 に対 して. 科 医及 び労働基準局 と連携 し石綿健康管理手帳制度 の申. は対象 となる医療保 障制度 申請 の支援 を行 い,被害感情. 請援助 を行 う。長期 にわたる発症- の不安や恐怖 を抱 き. や原 因究明願望 に対 しては患者 ・遺族会 や NPO を紹介. 続 ける人 々の訴 えを受 け止 め,必要 な時はいつで も支援. す ることであ る。具体的 には,石綿 に関 して相談者 が抱. す ることを約束す る。職業曝露の者 に対 しては産業保健. える問題 を受 け止 め,訴 えをよ く聞 くことで相談者 自身. 師が果 たす役割 となるが,職業曝露以外 で曝露 した者や. が問題 と向 き合 う準備 を整 え,相談者 とともに問題 を明. 中小零細企業 の労働者 の発症不安 については今後 の課題. 確 に し,解決 のために専 門的知識やエ ビデ ンス に基づい. が残 されている。. た助言や.適切 な専 門職へ の橋 渡 しや個人支援 を通 じて. 発症 した石綿関連疾患 患者が直面す る問題 については.. ネ ッ トワー クを構 築す ることと考 える。. 臨床看護 師が最 も身近 な看護提供者 となる。が んのケア に加 え,社会- の怒 りや被害感情 を もっ ことも理解 して 看護 にあた り,主治医やケース ワーカー,労働基準監督. 調査 は,文部科学省科学研 究費 ( 平成 1 9-22年度 基 坐 ( C)課題番号 :1 95 9 261 0)の助成 を受 けて行 った。. 署 の労災補償課や環境再生保全機構等 との連携が必要 と なる。労災 ・救済制度の申請が難航す る,原 因の究明 を. 引用文献. 強 く望 む場合 に石綿 関連 NPO の活用 や,社会 的痛 みが. 1)厚生労働省 . ( 2008).石綿 ( 石綿)情報. 都 道府県. 強い場合 に臨床心理士や患者家族 団体 を紹介す ることも. 別 にみた中皮腫 による死亡数の年次推移 ( 平成 7年 か. 解決 につなが る。保健所保健 師 も,救済法制度 の申請 に. mhJw. goj p/ ら1 9年).人口動態統計統計,ht t p: // W F.. あたって,労災制度 の活用相談 を含 め看護 師同様 の看護. t ouke i /Sa ik n/ i hw/ j i nkou/t Ok us y u/c hu uhi s y u07/ nde i x. ht r l n. を提供す ることがで きる。. 〔 20 090205〕.. 石綿 関連疾患患者 の遺族が抱 える問題 に対 しては,が. i s ,a ndc a nc e r : 2)cons e r l S uSRe por t .( 1 997 )A s be s t os ,a s be s t os. んに対す るグ リーフケアに加 えて遺族が有す る社会 的痛. t heHe l s i nk ic it r e iaf r ordi a g nos i sa nda t t r i budon・Sc a ndJ. み に対す るケアを行 う。希望者 には,臨床心理士や患者. a l t h,23,311 1 31 6. Wor kEnv iL OnHe. 家族 団体 を紹介す ることも期待 される。看護提供者 とし. a ma ,Y, ,e ta l.( 20 06 ) .Es ima t donoff utur emor t a h t y 3)Mur a y. て,ホス ピス看護 師や在宅看護 の看護職及 び保健所保健. rom f f lexu r a lma l i g na ntme s ot he l i omai nJ a pa nba s e doma n. 師に よる看護提供が期待 されるが,家族へ の グリーフケ. a ge -c ohor tmode l ・A m e dc a nJ our na lofhdus t r i a lMe d i c i ne ,. アを行 わない医療機 関で患者が死亡 した場合や労災 ・救. 4 9,I 7.. 済法 申請 を行 わない場合 の看護提供が課題 に残 る。 本研 究の限界 と して,調査対象 が石綿 NPO に寄せ ら れた相談 に限定 されていること,全相談の典型例 のみが 分析対象 であること,調査項 目に相談者や相談員 の満足. 4)森永 謙二. ( 205).職業性 ぼ く露の機会 .森永謙二 ( 編),改訂新版職業性石鰍 ぎく露 と石綿 関連疾患.435 9.東京 :三信 図書 .. ( 2 08 ) . Ma ppi ng血er i s kof. 5)Kur uma t ni a ,N. , Ku ma g d,S.. 度が含 まれない ことが挙 げ られる。今後 の研 究- の示 唆. me s o血e l i oma due t o ne i h bor g hood a s be s t ose x pos ur e.. として,石綿健康相談 に対 す る相談者 の満足度や保健所. m e A r i c a nJ ou m a lofRe s pi r a t or ya ndCddc a lCa r eme d i c i n e ,. 等,近年石綿健康相談 を開始 した機 関 を対象 とす る調査 が望 まれる。. 1 78( 6 ) ,5 56 7. 6)財 団法人厚生統計協会 . ( 2008).国民衛生 の動 向 ・ 厚生 の指標. Ⅵ.結論 人 々が抱 える石綿 に関す る問題 とそれ らに対す る支援 を明 らか に し,石綿健康相談 における看護職の役割 を検. 臨時増刊 .55( 9),35 5 358.東京 :財 団. 法人厚生統計協会. 7)村松康平 . ( 1 96 7).看護相談要論. 関係発展 の看護. 学 .61 7 7.東京 :現代社 . 8)ca s s i ng ha m,B.( 1 98 5 ) . n es i l e nte pi de i ca m s be s t os i sa nd. 討す るため に,石綿 関連 NpO の相談記録 3 4 4件 に含 ま. r e ht e dd i se a s e sOc c upa dona lHe a l h Nuf t S i n g,33( 7 ) ,36 036 2・. れる相談内容 と支援策 を質的に分析 した。その結果,人々. 9)Knuds e n,N, ,Bl oc k,K,Sc hu ma l n,S.( 1 98 9 ) .Ma h gna nt. の石綿 に関す る問題 として,「 石綿曝露 に関連す る問題」. Pl e ur a lme s ot he l i oma・Onc o l og yNur s i ngFor um,1 6 ( 6 ) ,. 「 石綿曝露後 の石綿 関連疾患発症 に関連す る問題」「 石綿. 8 45 8 51.. 関連疾患患者 が直面す る問題 」「 石綿 関連疾患患者 の遺. 1 0) Da iS, C.( v 2 07 ) .Fat a ll e g a c y ofa s be s t os .Nu r s i ng.

(8) 8 聖路加看護大学紀要 No. 3 62 0 1 0 . 3 .. 版会.. St a nda f d,21( 42 ) ,2 4 25.. 2 09).石綿外来受診者 l l) シェ リフ多 田野亮子,他. (. 20) 飯 田澄子 ,他 .( 1 978). 援 助 過程 . E B中恒男 ,他. の不安お よびうつ状態 と病態像 について. 日本看護科. ( 蘇),看護科学- の アプローチ. 2),293 7. 学会誌 ,29(. 2小48 . 東京 :医歯薬 出版,. 205). 中皮 1 2) 中皮腫 ・石綿疾患 ・患者 と家族の会. ( 04 5. 腫 ・石綿肺がんに関するアンケー ト報告書.1. 1 3 )名取雄司. ( 2006).石綿 関連疾患患者 とその家族2( 1 ),5863. のケア態勢.看護技術 ,5 2008).厚生労働科学研究 1 4) 名取雄司. (. 生総合研究事業. 労働安全衛. 9年度報告書. マニュアルの基礎 的整備の検討」 平成 1. 生総合研究事業. 21 ) 菱沼典子,他. ( 2 06).看護大学が開設 している健. 康相談か らみた市民の健康問題 と看護職の対応 .聖路 9( I ),38 45, 加看護学会誌 ,1. f S ,C.( 2007 ) .カール .ロジャースの ミス ・マ ン 2 2)Roge. 「 石綿 ・リスクコミェニケ-シ ョン ・. 1 5) 名取雄司. ( 2009).厚生労働科学研 究. 看護相談 ・面接 .. 労働安全衛. 「 石綿 に関す るリス クQ&A」 平成. 〔. 21年度報告書. 209 07 07〕. 20 1 6)佐渡市立両津小学校石綿健康対策等専 門委員会 ( 08).佐渡市立両津小 学校石綿健康対策等専 門委貞会. 報告書. 1 7) 長尾典 尚,他. ( 2 08 ).石綿外来 ・石綿健診の全 国. との面接. 第1 7回.畠瀬稔 ( 監修)加藤久子,他 ( 共. 訳) .495 3.東京 :コスモスライブラリー. 23) 厚生労働省.石綿ぼ く蕗作業 による労災認定等職場. 一覧表 ( 第 1表).厚生労働省. ht t p: // 耶 W. muW. gOj p/houd ou/ 2008/1 0/hl O31 1 a , hm l .. 〔 2091 21 1〕.. 2 4) 厚生労働省.石綿 にさらされるおそれのある作業 に t p: // W y . mht w. goj p/ ne wつ い て . 厚 生 労 働 省 . ht. n/s a g y o. hd .〔 2009 1 211 〕. i nf o/k obe t u/r oud Du/s ek i me 25)厚生労働省.石綿製品について.厚生労働省.. 実態一実施医療機関を対象 とした質問票調査結果報告一.. ht t p: // Ⅵp W. muW. gOj p/ne wi nf o/k obe t u/ r oudou/s e k i me n. 45 l らl . 産業衛生学会誌 ,50,1. .〔 2009 1 211 〕. /s e i hi n. hm l. 1 8) 森 由弘,他. ( 2007).石綿健康管理手帳の取得経緯. アスベス り 含有建材 データ 26) 国土交通省他.石綿 (. と健康被害 に関する意識調査. 日本呼吸ケア ・リハ ビ. ベース.国土交通省.. I ),6 366. リテー ション学会誌 ,17(. ht t p= // www. a s be s t os da t a ba s e . j p/ por t l. a php. 20 091 211 〕.. 1 99 9).相談的対応技術 の基本.平 山朝 1 9)平 山朝子 . (. 〔. 27) 中皮腫 ・じん肺 ・アスベス トセ ンター.石綿 q&A.. 子,他 ( 蘇),第 3版公衆衛生看護学体系 ・第 2巻. 中皮腫 ・じん肺 ・アスベス トセ ンター.ht t p: //www. a s. 8 2.東京 :日本看護協会 出 公衆衛生看護学総論 2.71. . 2 091 21 1〕. be s t os c e nt e r . j p/a s be s t os / qa nda . hm l. 〔.

(9)

表 1 人々が抱 える石綿に関する問題 ( 相談事例数 n =3 4 4 件.相談内容 =3 9 5 項 目) カテゴリー ( 4) サブカテゴリー ( 26) 項 目数 具体例 建物 か らの石綿曝露への懸念 84 自宅の天井に石綿が入 っていないか心配だ。 製品か らの石綿曝露への懸念 2 7 蚊取 り線香の台に石綿が入 っているか。 業務 か らの石綿曝露への腰念 2 3 農業による石綿曝露について知 りたい。 水道水や大気 か らの石綿曝露への腰念 7 水道水に石綿 は含 まれるか。 石綿曝露に関連
表 2 石綿健康相談に対 して実施 された支援策 ( 相談事例 N= 3 4 4 件.相談内容 = 4 5 0 項 目) カテゴリー ( 1 0) サブカテゴリー ( 26) 項目数 具体例 石綿曝露の 曝露源の石綿の有無の判定 有無の判定 11 4 項 目 曝零の危険の確認方法の指導 相談員による調査 6 9 日本家屋では石綿入 りの壁は稀です。また飛散 しやすい状態ではないので安心 して下 さい。43 製品の製造年と型番 を調べて.メーカーに確認 して下 さい.2 相談員が伺 って詳 しいお話 を伺いま

参照

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